.


マスター:STANZA
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:7人
リプレイ完成日時:2013/06/25


みんなの思い出



オープニング



 福島県のほぼ中央、磐梯山の麓に広がる猪苗代湖。
 その面積は県内最大である事は勿論、日本国内でも四番目の大きさを誇る。
 尚且つ水質も良く、湖畔から眺める磐梯山の眺望も素晴らしい、会津地方における観光名所のひとつだ。

 六月も半ばとなれば、そろそろ湖でカヌーやヨット、ウィンドサーフィンなどを楽しむ観光客も増えて来る。
 その週末は晴天に恵まれ、湖では色とりどりのセイルが風を切っていた。
 と、雲ひとつない空が俄に曇ったかと思うと、身を切る様な冷たい風が湖面を吹き始める。
「な、何だ……?」
 セイリングを楽しんでいた人々は、寒さに身を震わせながら暗雲の垂れ込めた空を見上げた。
 その足元が、大きな波に乗り上げたかの様にぐらりと揺れる。
 人々は湖面に目を転じ――それを見た。
 湖の中心が山の様に盛り上がったかと思うと、その下から噴火の如き勢いで何かが突き抜ける。
 湖の真ん中に直立する、巨大な黒い柱。
 だが、それは生きていた。
 黒っぽい鱗に覆われた表面がぬらりと揺らぐと、直立していたそれは緩やかな曲線を描く。
 下に向けて曲げられた先端部には、二つの黄色い目と……チロチロと出入りする、赤い舌。

 それは大蛇だった。
 しかも、とてつもなく巨大な。

 大蛇は真っ赤な口を開け、湖面を漂うヨットやセイルボードを次々と飲み込んでいく。
 勿論、そこに乗っていた人もろともに。
 その様子は、鯨がオキアミを一網打尽にする様にも似ていた。
 湖上の餌を食い尽くした大蛇は、湖面を滑る様に岸辺へと近付いて行く。

 そこは既に、異常事態を知って逃げ惑う人々でごった返していた。
「とにかく、湖から離れろ!」
 人々は近くの駐車場に駐めてあった車に向かって走る。
 だが、そんな彼等の行く手に何かが飛び出した。
 狐の群れだ。
 少なくとも、外見上は狐に見える。
 ただし、普通の狐にしては身体が大きく、しかもその尾は三つ叉に分かれていた。
「化け狐か!?」
 その声に、狐達はニヤリと笑った様に見えた。
 三本の尾がサソリの様に立ち上がり、その先端から炎の塊が放たれる。
 それは逃げ惑う人々を確実に捉え、着弾と共に青い炎を上げて燃えがった。

 逃げられない。
 もう誰も、ここから生きて帰れない。



「緊急要請だ」
 久遠ヶ原学園の斡旋所に一方が入ったのは、その直後だった。
「誰でも良い、手の空いている者は現場に急行してくれ! 詳細は追って知らせる!」
 取る物もとりあえず、慌ただしくゲートへ向かう撃退士達。
 対策など練っている暇はない。
 到着が一分でも早ければ、それだけ多くの人が助けられる。
 細かい事は、現場に着いてから考えれば良い――



リプレイ本文

「おっと、緊急の依頼か」
 報せを聞いて、チョコーレ・イトゥ(jb2736)は急ぎ転送室へ向かう。
 その途中、背筋に何やら刺す様な冷たい視線を感じた。
 まさか、学園の内部に敵が居る筈もないが――
 振り向くと、すぐ後ろには淀んだ瞳の少女が続いている。
 以前にも依頼を共にした事があった。名は確か、機嶋 結(ja0725)と言ったか。
「…俺になにかあるのか、機嶋殿?」
「なんでもありません……よ」
 何でもないという目つきではないが、本人がそう言うなら信じよう。
 久遠ヶ原学園にも天魔、特に悪魔を嫌う学生はいるだろう。
 特に自分の様に、見た目ではっきりと判る者に対しては。
「…そうか」
 再び背を向けたチョコーレの後に続きながら、結はその姿から目を逸らす事が出来ずにいた。
 仕事上の仲間だから協力するという、その考えは理解できるし、実際に必要とあらばそうするつもりだ。
 しかし納得はできない。この感情も、止められない。
 彼には嫌われたかもしれないが、それも仕方がないと割り切っていた。
(私の態度が悪いのですし…)

 途中で合流したルーガ・スレイアー(jb2600)は、走りながらも片手でスマホを弄っている。
 SNSで何やら呟いている様だが、そう言えば毎度の呟きは既にネット上で有名になっているとかいないとか。
『イナワシロ湖に出撃なう(`・ω・)シャキーン』
 全てはソシャゲ課金の為に。
 いや、愛と正義の為も、少しは……あると信じたい。



 転送された先は松林の中だった。
 右も左もわからないが、撃退士達は悲鳴が聞こえる方に弾かれる様に走り出す。
 阻霊符発動と同時に上空へ舞い上がったチョコーレは、そこから状況を把握して皆に伝えた。
 南北に長い砂浜で、人々が逃げ惑っている。
 彼等を取り囲んでいるものは、狐の様な姿をしていた。
 加えてひときわ目立つのが、湖から突き出た巨大な柱の様な大蛇の姿だった。
「敵の数が多いな、手分けして当たった方がいいだろう」
 それを聞いて、結は走りながらスマホで現在位置を確認。
 チョコーレからの情報も合わせて現場までの最短ルートを導き出す。

 いずれの陣営に属するものか、それはまだわからないが――いずれにしても。
「天魔を放置しておくわけにはいきません! 速やかに撃破して観光客の身の安全を図る事にしましょう」
 ひとまずは大蛇の動きを抑えようと、楊 礼信(jb3855)が元気に飛び出して行く。
 ルーガもそれを狙うべく、闇の翼で人々の頭上を越えて行った。
「よーくよーく狙って…そこだぞー( ´∀`)」
 自分と似た金色に輝く瞳に狙いを付け、ルーガは鶺鴒の弦を引き絞る。
 アウルの矢が大蛇の瞳に吸い込まれるその瞬間、半透明の膜がそれを覆った。
 確かに当たった筈なのに、膜が退いた大蛇の瞳には僅かな傷も見られない。
 魔法攻撃に切り替えてみたが結果は同様、余り違いは見られない様だ。
 と言うよりも、どちらの攻撃も普通に効く。普通すぎる。
 相手がサーバントなら、もっと手応えがある筈だ。
「こいつらディアボロだと思うなう( ´∀`)!」
 ルーガはその観察結果を皆に知らせた。

 その間にも逃げ惑う人々は狐の攻撃を受けて膝を折り、倒れ……二度と動かなくなった者もいる。
 しかし今は目の前で大口を開け、彼等を一息に呑み込もうとしている大蛇を止めるのが先だ。
「蛇は此方で受け持つ。そちらの方は任せたぞ、結殿」
 鬼無里 鴉鳥(ja7179)は戦友に言い残すと、大蛇の目の前に立った。
「此方を見ろよ、相手を履き違えるな。貴様の相手は此方だ」
 だが、それが目に入らないのか、それとも敢えて無視しているのか。
 殆ど180度に開いた口が、観光客の頭上に迫る。
「――尤も、別に余所見をしてくれても構わぬがな。その方が首も刎ね易い」
 蛍丸の刀身に収斂されたアウルが、一閃のもとに漆黒の閃光となって飛ぶ。
 それは何枚かの鱗を剥ぎ取り、肉を散らした。
「足を止めさせて貰う――などとは言わぬ。蛟の化生よ、貴様は今此処で朽ちて滅べ」
 次いで、鴉鳥の瞳がその色を変える。
 邪魔な虫でも叩き潰す様に振り下ろされた巨大な首に向けて、蛍丸が閃いた。
 大蛇の首は獲物を叩き潰す直前に、痛みと共に跳ね返される。
 どうやら首の下側は鱗も薄い様だ。

 傷付けられた痛みと怒りに、大蛇は湖面を波打たせて闇雲に暴れる。
 大きく開けた口からは、周囲に向けて手当たり次第に水弾を吐き続けた。
 そのうちの一つが、観光客のいる浜辺へ飛んで来る。
 ただの水でも、圧縮された巨大な塊が猛スピードで飛んで来れば、その破壊力は脅威となるだろう。
「ここは僕が止めます!」
 盾を構えた礼信が、宣言通りに小さな身体でそれを受け止めた。
 辛うじて持ち堪えながら、背後の仲間に叫ぶ。
「今のうちに、皆さんを避難させて下さい!」

 避難させろと言われても、前には狐、後ろには蛇。左右も勿論、狐が塞いでいる。
 逃げ場など何処にもない――というのは、先程までの話だ。
 結はツヴァイハンダーを掲げて敵との間に割り込むと、その長い刀身で狐の群れを薙ぎ払う。
「私達は撃退士よ、もう大丈夫だから安心して」
「自分らが来たからには、もう誰にも痛い思いはさせへんで!」
 逃げ惑う人々の中に飛び込んだフローラ・シュトリエ(jb1440)と亀山 淳紅(ja2261)は、大声でそう呼びかけた。
 二人の声で、パニックも多少は収まったかに見えたが――
 周囲から狐火が飛んで来ると、人々は再び秩序を失い始めた。
「させへん、言うたやろ!」
 Io canto ‘velato’.
 淳紅が歌い始めると、その前面に魔法の障壁が現れる。
 結は庇護の翼を広げて背後を守った。
 だが、全員を取り囲んで守るには手が足りない。
 チョコーレが影縛の術で動きを封じるが、殆ど焼け石に水。
 狐の数は15匹程度だが、そこから飛んで来る狐火はその三倍の数に上るのだ。

「直接護るのが困難な以上は、狙わせる訳にはね。こちらの相手をしてもらうわよ!」
 フローラは狐の群れに突っ込むと、手当たり次第にEisexplosionで冷気を巻き起こしながら手近なものに両刃の細剣で斬り付けていく。
 敵陣で派手に立ち回れば、相手もこちらに注意を向けて来るだろう。
 そうすれば一般人が狙われる事も少なくなる筈だし、少なければ仲間達が確実に守ってくれる。
「数が多いままだと危険性も高いから、早めに数を減らしたいわ」
 反撃されても構わずに、いや寧ろ自分が狙われている間は一般人に危害が及ぶ事はないと、フローラは範囲攻撃で弱ったものから剣での追撃を加える。
 それでも一般人を狙うそぶりを見せるものには、氷晶霊符で氷の刃を撃ち込んで牽制し、距離を詰めて剣を叩き込んだ。

 その間、淳紅は魔法の障壁で人々を守りつつ、敵の攻撃を見極めていた。
 一匹の狐から、三つの狐火。スピードは遅く、回避は簡単そうだ。
 だが標的に近付くに連れて、それは速度を上げる。
 その動きは自ら意思を持って付け狙っている様にも見えた。
「遠距離の魔法攻撃やな。追尾性能もあるみたいや」
 だが、撃退士なら当たってもそう痛くはない。厄介なステータス変化も起きない様だ。
 ならばと、淳紅は狐達の前にマスケット銃を掲げ、オペラの様に高らかに歌い出した。
「Oh, e una volpe molto triste!」
 ああ、なんて哀れな狐だろう!
 しかし、彼等にはその歌声に聞き惚れる感性も、言葉に憤慨する知能も備わってはいない様だった。
 そんな無粋な連中には、お仕置きが必要だ。
「お前らは鶏を狩る側やない、自分らに狩られて毛皮にされる獲物やね。サーチ&デストロイ…お前らが焼いた分、きっちり焼き返したるから覚悟せいや」
 淳紅はマジックスクリューを放ち、それに巻き込まれた狐がフラついている所に急接近。ゼロ距離で、その眉間にアウルの弾丸を撃ち込む。
 歌声の様に美しい銃声が響き渡った。

「人形どもが、細切れにしてやるぜ」
 チョコーレはグリースを手に接近戦を挑み、その細い糸で切り裂いていく。
 しかし、狐達は逃げる様なそぶりを見せつつ尾を高く掲げ、一斉に狐火を撃ち出して来た。
「この炎は追尾して来ると言っていたな」
 ならば、その性能はどの程度なのか。どんな仕組みで追って来るのか。
 試しに上空へ逃れたチョコーレの後を、狐火は執拗に追いかけて来る。
 同じ様に、狐達もその動きを目で追っていた。
「なるほど、本体の視覚情報で動いているのか」
 そして、どうやら彼等の視力は余り良くない様だ。
 獲物が見えなくなれば、追尾能力もなくなる。
 狐火は15mほど離れた所で目標を見失い、弾けて消えた。

 それでもまだ上を見上げたままの狐に、結が魔法を叩き込む。
「……余所見してるんじゃないわよ」
 その隙を作ったのが彼だという事は考えない様にして……とにかく、これで一匹。
 と、その脇に居た狐が今までとは違う攻撃ポーズを取った。
 三本の尾を捻る様に纏めたその先から、青白い閃光が迸る。
 速い。
 結は咄嗟に盾を構える。直後、重い手応えが響いた。
「この…攻撃は、危険かな…!」
 まともに当たれば、撃退士でもかなり痛い。一般人なら尚の事だ。
 危険な連中は、さっさと片付けよう。
 レーヴァテインに持ち替えて神輝掌を叩き込む。
 包囲網に狐二匹分の穴が開く。
 丁度その方向に駐車場がある筈だ。一般人はそこへ逃がせば良いだろう。
 今はとにかく湖から遠ざける事。狐達よりも大蛇の方が余程危険だった。
「……死にたくなければ、とにかく逃げなさい」
 そう言いながら、包囲網の破れ目を指差す。
 それでも動かない人々に業を煮やした結は、足元の砂地に向けて派手な魔法をぶっ放した。
 驚いた人々は我先に走り出す。
 しかし、それを阻止しようと集まって来る狐達――

「大丈夫や、今がっつり減らしたるわ」
 集まって来る狐達の前に回り込んだ淳紅は、彼等が一列に重なる所を狙ってブラストレイを撃ち放った。
「さあ、今のうちや」
 一体ずつトドメを刺しながら、淳紅は人々を促す。
 残った敵には結がタウントで惹き付けつつ、反対方向に誘導していった。
「こっちよ、早く」
 駐車場に向かって流れる人々の最後尾に回ったフローラは、敵の不意打ちに警戒しながら避難を促す。
「逃げ遅れた者はいないだろうか」
 上空から砂浜を見渡したチョコーレは、そこに横たわる人々の姿を見た。
 ぴくりとも動かない者は、もう諦めるしかないのだろう。
 だが、まだ息のある者もいた。
 チョコーレは彼等を抱き上げると、安全な場所へと運び始める。


 その様子をちらりと見て、鴉鳥は再び大蛇に向き直った。
 全員が避難を終えるまで、もう少しだ。
 砂浜に遺体となって横たわる者の数は、決して少ないとは言えなかった。
 だが、この人数で全員を救えるとは最初から考えていない。
 撃退士と言えども人間なれば、その手で掴み掬える量は自ずと限られる。
 神ならぬ身に絶対はない。
 絶対に救うと言うならば、それは欺瞞だ。
 それでも、今回はよくやった方だろうと思う。
「後は、貴様を片付けるだけだ」
 見上げた頭上に、真っ赤な口が開く。

 その口に向けて、ルーガは封砲を二発、続けて撃ち放った。
「ルーガちゃんのドーンといってみよう☆なう( ´∀`)!」
 物理攻撃どーん!
 物魔どちらが効くのか、結局の所はよくわからなかったが、大した差がないなら得意な方で。
 使い切った後は周辺を飛び回りつつ、チクチクとダメージを重ねて行く。
 明らかに弱そうな目や口、仲間が傷を付けた場所。
 卑怯とか言うな、これも立派な作戦なのだ。

 ルーガが鬱陶しく飛び回りながら注意を引いている間、礼信は雷針の忍術書で魔法攻撃を加えていった。
 雷の矢が次々と現れては、蛇の身体に突き刺さる。
 一撃のダメージは決して大きくはないが、この場は妖狐の対処に回っている仲間が合流するまでの時間稼ぎになれば良いのだ。

 そして漸く、全員が揃った。
 狐達を殲滅させ、逃げ延びた人々の安全を確認した仲間達が駆け寄って来る。
「加勢に来たわよ」
 フローラの言葉に頷くと、盾を構えた礼信が皆に声をかけた。
「……ある程度までなら僕の【癒し】で回復させられます。僕を信じて、思い切り戦って下さい!」
 砂浜に並んだ彼等を薙ぎ払おうと、巨大な首が水弾を吐きながら近付いて来る。
「これが最後の仕上げやね」
 Canta! ‘Requiem’.
 淳紅の歌と共に、湖面に無数の死霊の手が現れた。
 それは大蛇の首を徐々に這い上がり、抱き締め、締め付ける。
 そこを狙って、ルーガは頭の後ろに向けて最後に残った封砲を撃った。
 反動で大蛇の頭が地面すれすれまで下がる。
 そこに走り込んだ結がツヴァイハンダーを打ち下ろし、フローラが氷晶霊符で氷の刃を飛ばし、チョコーレがグリースをその首に絡めて思い切り引き絞った。
 ワイヤーを食い込ませながら、大蛇の首は砂浜に倒れ込む。
 それと同時に鴉鳥は蛍丸の刀身にアウルを収斂、その刃は更に伸びて、天を貫くかにも見えた。
「――先に言ったぞ。首を刎ねると」
 ワイヤーで付けた傷口を狙い、天を断つが如き刃が振り下ろされる。
 波打ち、濁る湖面が、真っ赤に染まった。
 その中に横たわる首は余りに巨大すぎて、一刀両断とはいかなかったが――
 最後の一撃は、命を絶つには充分だった様だ。



『今日もいっぱいお仕事したなう(*´ω`)ムフー』
 ルーガが戦況報告を呟く中、結はディアボロの死体を調べ歩いていた。
 その能力や攻撃法などをメモしておけば、後の役に立つだろうと考えたのだ。
「呑み込まれた人達が腹の中に入ってる……なんて事はないか」
 呟きながら、結は大蛇の口を覗き込もうとする。
 が、その時。
 その身体は泡を吹きながら縮み、まるでホースを引く様に湖の中に吸い込まれてしまった。
「何、今の……?」
 死体が泡になって消えるディアボロなど、聞いた事がない。
 まさか、死んでいなかった?
「そんな筈はない」
 確かに手応えがあったと、鴉鳥が言う。
 それとも、あの大蛇は何か特別な存在だったのだろうか。
「……が、考えても仕方がないか」
 生きているなら、いずれまた現れる事もあるだろう。
 その時こそ、完全に滅してやる。
「皆さん、怪我は大丈夫ですか?」
 礼信に声をかけられて初めて、二人は自分達が無傷ではなかった事に気付く。
 他の者達も同様だった。
 しかし、いずれも礼信の治療スキルで全快する、その程度で済んだ様だ。


 治療も終わり、皆が帰り支度を始めた頃。
「機嶋殿の実力は、さっきの戦闘でみせてもらった。怖いから俺は先に失礼するぜ」
 仲間の輪を外れる、はぐれ悪魔が一人。
「ええ、皆で一緒に帰りましょうよ!」
 引き止める礼信の声も聞かずに、チョコーレはさっさと飛び去ってしまった。

 悪魔も尻尾を巻いて逃げ出すとは、恐るべし久遠ヶ原女子力(物理)――


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:5人

秋霜烈日・
機嶋 結(ja0725)

高等部2年17組 女 ディバインナイト
歌謡い・
亀山 淳紅(ja2261)

卒業 男 ダアト
撃退士・
黒葛 琉(ja3453)

大学部9年38組 男 インフィルトレイター
斬天の剣士・
鬼無里 鴉鳥(ja7179)

大学部2年4組 女 ルインズブレイド
EisBlumen Jungfrau・
フローラ・シュトリエ(jb1440)

大学部5年272組 女 陰陽師
駆逐されそう。なう・
ルーガ・スレイアー(jb2600)

大学部6年174組 女 ルインズブレイド
chevalier de chocolat・
チョコーレ・イトゥ(jb2736)

卒業 男 鬼道忍軍
闇を解き放つ者・
楊 礼信(jb3855)

中等部3年4組 男 アストラルヴァンガード