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マスター:STANZA
シナリオ形態:イベント
難易度:易しい
参加人数:25人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2013/02/07


みんなの思い出



オープニング


「よぉ、カドちゃん! らっしゃい!」
 ここは久遠ヶ原商店街のリサイクルショップ。
 今日も今日とてマイリヤカーと共にぶらりとやって来た門木章治(jz0029)の姿を見て、店主は顔を綻ばせた。
「また何か探し物かい? ここんとこは、カドちゃんの気に入りそうなモンは入ってないが……まあ、好きに見てってくれよ!」
「……ああ、いや……」
「何だ、注文か? 確約は出来ないが、欲しいモンがあるなら……」
「……いや、その」
「ん?」
「……豆は、あるか?」
「……、…………、………………は?」
 豆? 豆ってあのマメか? 大豆とか小豆とか南京豆とかの?
「カドちゃん」
「……ん」
「うちは、リサイクルショップだ」
「……知ってる」
「リサイクルショップには、普通、豆は、ない」
 店主は身振り手振りを交え、噛んで砕く様に言った。
「豆なら乾物屋だ」
 いや……今時ないか、乾物屋なんて。
「でなきゃスーパーだ。スーパーマーケット」
「……そうなのか」
「そうなんだよ」
 まったく、この人は。頭が良いのか悪いのか、物知りなのか物知らずなのか……
「スーパーの場所は、知ってるよな?」
「……、…………うん」
 何だ、この間は。すぐそこだろスーパー。そこに見えるアレだよアレ。
 しかし、何となく……門木は買い物を諦めて、このまま帰ってしまいそうな気がした。
 そう言えば、門木がスーパーに入る姿は見た事がない。
 買い物袋を提げている姿も見ないし。
 この男、普段の買い物はどうしてるんだろう?
「豆ってのは、何だ。もしかして、節分のアレか?」
 その問いに、門木はこくりと頷く。
「豆まき、やるのか」
 こくり。
「どれくらい、要るんだ」
 それを聞いて、門木の表情がパッと明るくなった。
 ああもう、いいよ、わかったよ、代わりに注文してやるよ。
 で、ここに届けて貰えば良いんだろ?
 だからそんな子犬みたいな目で見るなって!
「……1トン?」
「い……っ、って、カドちゃん、それどんくらいの量か、わかってる?」
 ……ふる。門木は首を振る。
「まあ、俺もよくわかんねぇけどな……1キロだって、こんくらいあるぜ?」
 店主は手で大体の大きさを示してみる。
「あれか、学校で使うんか? 学校行事用か?」
 こくり。
「じゃあ、それなりの量は要るな……でも、1トンはねぇよ1トンは」
 こくり。
「参加者の数は?」
「……100人、くらい……?」
「じゃあ、あれだ。マスに入ったの100個で良いな」
 こくり。
「じゃ、ちょっと待ってな」
 そう言うと、店主は電話をかける為に奥の事務所へ引っ込んで行った。


 節分、それは人々が日頃から心の奥底に溜め込んで来たウップンや、ウラミツラミを吐き出す日。
 その日だけは無礼講として、憎き相手に怒りのマメをぶつける事が許されるのだ。
 ……と、どこでどう間違えたのか知らないが、門木は節分という行事についてそう解釈していた。
「……俺も、相当……恨まれてるよ、なぁ」
 これまで、一体どれだけのアイテムをくず鉄に変えてきただろう。
 なにも好んでそうしている訳ではないし、申し訳ないとも思っているのだが……
 成功も失敗も自然の摂理。人の力では――天使の力でも、どうにもならないのだ。
 だからせめて、こんな時くらいは。
「……ぶつけられて、やるのが……教師の勤めだ、うん」
 覚悟は決めた。
 普通のマメくらいなら、そう痛くはない筈だし……いくら撃退士が相手でも。多分。


「カドちゃん、注文終わったよ」
 店主が奥から出て来た。
「流石に数が多いんでな、メーカーからの取り寄せになるらしいが……節分には間に合うっていうから、安心しな」
 こくり。
「で、支払いなんだが……」
「……給料……入ってからで、良いか?」
 門木の財布、ただいま見事にスッカラカン。
 って、それで買い物に来るって何。最初からツケで払う気だったのか。
「わかったよ、立て替えといてやるよもう」
 カドちゃんには敵わねぇな、そう言って店主は苦笑い。
「……ありがとう……恩に、着る」
 ぺこり、門木は頭を下げた。
「ああ、そう言やカドちゃん。あんた磨けば光るんだって? 商店街のオバチャン連中が、茶色い声で噂してたぜ?」
「……これ、か」
「ん? 何だ、写真あんのか……って、持ち歩いてんのかい!」
 こくりと頷くと、門木はプリントしてもらった写真を妙に嬉しそうな様子で見せびらかした。
「誰だ、これ」
「……俺」
「嘘だろ」
 ふるふる。
「へぇー、マゴにも衣装とはよく言ったもんだなぁ」
「……孫?」
「馬子だよ、馬子。あんたホントに先生か?」
「…………」
「そこ、黙るトコじゃないよ!?」
 久遠ヶ原学園。
 こんなのが教師で、本当に大丈夫なのだろうか……


リプレイ本文

 節分、それは…
「健康と幸せを願う日であり、豆をぶつける日でもあるな」
 そう答えた紫弐(jb2710)の認識が正しい。一般的には。
 しかし、一般とか普通とか常識といったものが通用しないのがこの久遠ヶ原学園だった。

(門木はまた興味深い催しをするな)
 人界知らずの天使ランベルセ(jb3553)は、新年会の様に面白い情報が得られそうだと周囲を見回してみた。
「おー! 節分なんだぞー! 豆だぞー!」
 ふと見れば、今日も元気に上半身裸の彪姫 千代(jb0742)が手にしたタオルをぶんぶん振り回している。
 人間は服を着込むものだと思っていたが…そうでない者もいるらしい。
 そう思いつつ、ランベルセはやたらテンションの高いその男に近付いてみた。
「セツブンとは、その様に布きれを振り回す遊びなのか?」
「おー? 節分をしらないのかー? じゃあ俺が教えるんだぞー」
 飛んで来た豆をタオルで打ち返す、それが節分。ただし千代流。
「打ち損なって身体に豆が当たったら負けなんだぞー」
 負けた場合は豆を食べなければならない。
「如何に相手に返すかが大事なんだぞ!」
 ランベルセは信じた。信じてしまった。
 因みにこの千代流節分に勝ちは存在しない。投げる側に回ってもいけない。
 という事は、立ち位置としてはガード側なのだが…果たしてこの二人、役に立つのだろうか。

「もう、門木先生はどうしてこんな自爆イベントをやろうとしたんです?」
 レグルス・グラウシード(ja8064)はそう門木に尋ね…ついでにぽつりと一言。
「…まあ、先生が僕のメリクリウスをくず鉄にしちゃったことは、ちょっぴり怒ってるんですけどね」
「…いいぞ。向こう側に、行っても」
「そんな訳にはいきませんよ!」
 キリッ。
 レグルスは運動場の反対側を指差した。
 
 そこに溢れ渦巻く、どす黒いマイナスエネルギー。
「ふふふ…うふふふ…」
 どこからともなく乾いた笑い声が聞こえる。
 誰のものかはわからないが、彼等の多くが既に涙も涸れ果て、最早笑うしかない心境になっている事は確かな様だ。
「セツブンは、心を鬼にして日頃のたまった思いをぶつけていい日だって聞いたよ!」
 犬乃 さんぽ(ja1272)は、頭上に広がる青空の如き清々しい笑顔で言った。
 しかしその笑顔の裏から滲み出る殺気。
「今日という今日は、暗殺する位の気迫で節分の豆をぶつけちゃうから! 門木先生覚悟だよ(キリっ☆」
 握った豆は、只今カオスレート−50那由多(推測値・更に下降中)。
「先生には日頃お世話になっていますし、真剣に楽しませて貰いますよ。ええ、真剣にね…」
 くず鉄3つを握り締めつつ静かな怒りを燃やしているのは、楯清十郎(ja2990)だ。
「くず鉄にされた恨みもありますが、これよりも失敗で消えた久遠で懐が痛いんですよね」
 この3つの産業廃棄物を作る為に、どれだけの久遠が科学室の露と消えた事か。
 いや、これを作りたかった訳では勿論ないけれど。
「ロスト確率はゼロだったのよ…」
 手の中の豆を握り潰さんばかりに力を込めて、ナナシ(jb3008)は拳を震わせる。
 確かに、貴重なアイテムがくず鉄と化す確率は皆無だったのだ。
 しかし誰が想像しただろう。
 Sランクが突然変異で水着になるなんて…!
「正直、涙目で頭が真っ白になったわ」
 二度とこんな悲しみを世界に起こさない為、今回は容赦しない。
「容赦なんて、するもんですか…っ」
 その目に再び溢れ出そうとする涙を拭い、ナナシは運動場の反対側を睨み付けた。
 まだだ。まだ泣くのは早い。
 あの鬼に、豆と共に思いの丈をぶちまける迄は――!

「敵はアレだぜ、先生?」
 サングラスの奥で、ミハイル・エッカート(jb0544)の目が光る。
「撃退士相手にフルボッコされることないだろ。タダじゃ済まないぞ」
 それを聞いて、橘 樹(jb3833)はポンと手を打った。
「ほむ…豆まきとはすなわち、人と鬼との命がけの戦いなのかの…!」
 それは一般的には完全なる勘違い。しかし、ここ久遠ヶ原では一概にそうとも言い切れないから恐ろしい。
「…でも、な」
「別にあんたのせいじゃない」
 何か自虐的な事を言いかけた門木を遮って、レガロ・アルモニア(jb1616)が言った。
 今日は傍観を決め込むつもりだったのだが、門木のしょぼーんとした子犬の様な姿を見て、つい何か言ってやりたくなってしまったらしい。
「前にも言ったが、別に自分の中に背負い込まなくていいだろ」
「そういう事だな」
 レガロの言葉に頷き、ミハイルは門木の肩をぽんと叩いた。
「門木殿はわしらが守るからの!」
 樹もにこやかに頷いている。
「僕も頑張りますよ! 顧問の先生を度を超えた暴力から守るために!」
「…いや、俺…ただのヒラ部員」
「えっΣ」
 暫し固まったレグルスはしかし、次の瞬間には何事もなかったかの様にタクティカルゴーグルを装着、イイ笑顔で盾を構えた。
「これで、どんな豆も怖くありません!」
 流石、リア充中学生はポジティブだ。
「では〜、戦いに備えて戦闘服に着替えるのですよ〜」
 メイクセットを取り出したアレン・マルドゥーク(jb3190)が、嬉々として門木を引っ張って行く。
 ヘアメイクアーティストの腕を発揮して、中年鬼のファッションリーダー的なチョイ悪系渋イケメンに改造するのだ。
 無精髭を活かして、跳ね回る癖毛に更に癖を付けてワイルドアレンジ。
「ここは既存のイメージに囚われず、大胆かつ斬新なワイルドダンディを目指しましょうかね〜」
 そして出来上がったのが…
 ――ぽろり。
 ミハイルの目から、ウロコならぬサングラスが落ちる。
 上は黒にグレーの虎縞シャツ、下は艶消しの黒い皮パンツに白黒の虎柄ベルト、首には派手さを抑えた黄色い虎模様ストールを巻き、彩度を落とした赤いロングコートに黒革の指なし手袋。
 勿論、頭には角が付いている。細く長く、捻れた角が。
「これ、本当に先生なのか」
 そう言えば、ミハイルは変身門木を見るのは初めてだったか。
「イケメン化で攻撃しづらい心理効果を狙ってみましたよ〜」
 それとも、却って相手のどえす心を燃え上がらせてしまうだろうか。
 それならそれで、楽しくなりそうだ。
「はーい、記念撮影いきますよ〜」
 自分の作品を写真に残すべく、アレンがカメラを構える。
「これで商店街のオバチャン達のハート更に鷲掴みですね〜」
 オバチャンどころか、ミハイルさんのハートも鷲掴み?
「そんな訳があるかっ」
 ミハイルは慌ててサングラスをかけ直す。
「準備が整ったら戦闘開始だ。行くぞ!」


 合図と同時に、レグルスがアウルの衣で門木に加護を与える。
 直衛に入ったのは、レグルスとアレン、樹、そしてミハイル。
「俺んとこの部員が体張って恨みを引き受けるってなら、部長の俺が黙っていられるか」
 ミハイルと樹は都市迷彩服やミリタリーゴーグルという、サバゲーでも始まりそうな本気装備だ。
 アレンは性別不祥な虎模様の衣装を身に纏って、ヒリュウと共にほわんと立っていた。
 勿論、三人とも頭には角。樹に至っては自前なのだから、本格的(?)だ。
 その周囲に散った前衛が配置に付いた所に、敵方から豆が飛んで来る。
 まず最初に立ちはだかったのは、ピンヒールの女王様、青木 凛子(ja5657)だった。
「この美貌に豆をぶつける勇気があるのかし…」
 ――ばしっ!
 だが言い終わらないうちに、その艶やかなデコに豆が直撃!
 誰? 誰が投げたの?
「おまえはそれでも天使かっそんなヨレヨレの服きるんじゃない!」
 叫んでいるのは思春期100年目のツン天使、アダム(jb2614)だった。
 今は少しはマシな様だが、だからといって普段のヘタレっぷりが許される訳ではない、という事の様だが。
 それを聞いた凛子の中で、何かが弾けた。
 女王様に豆をぶつけたその勇気は認めよう。しかし――
「白衣のヘタレ眼鏡中年系に萌えたって良いじゃない!」
 ばしばしばしっ!
 凛子は思いっきり反撃の豆を投げつけた!
 白衣と眼鏡と無精髭は神! 反論は認めない!
「あ、いたっ! 痛いっ!」
 アダム、捨て台詞を残して一時撤退。
「俺は戻って来る! 必ず戻って来るからなーっ!」
 代わって攻撃陣の先頭に立ったのは、ギィネシアヌ(ja5565)だ。
 他の攻撃陣の陰に隠れる様に進み、壁の薄い所を狙って近付く。
「門木センセイに罪はないのはわかっちゃいるんだけども…、当たっても怪我しないだろうし、ここは一つ俺の鬱憤ばらしに付き合って貰うのぜ!」
 ギィネシアヌはガードに向かって豆…の前に、「うすいほん」を投げ付けた。
 しかも、わざわざ目を惹きそうなページを開いて!
 果たしてこのトラップに引っかかる者は……
「ほむ…これは興味深いのう」
 いました。
 薄い本にも色々あるが、果たして何が彼の興味を惹いたのか。
 残念ながらここからでは確認出来ないが、夢中でページを繰る樹の頭上に豆が雨あられと降り注ぐ。
「くっ…このような無防備では…ぐはっ」
 ばらまかれる豆に当たりまくり、何故か無駄に悲壮感を漂わせる樹。
「今のうちに、門木センセイまで全力移動だぜ!」
 しかし、そこにもうひとりの樹、龍仙 樹(jb0212)が恋人の氷雨 静(ja4221)と共に現れた。
「マフラーを強化してくれた恩返しをしましょう」
 樹は庇護の翼で門木を庇い、タウントでギィネシアヌの視線を釘付けにする。
「私の半身…フェアリーテイルは門木先生のおかげ! しっかりガード致します!」
 その隣でメイド服姿の静が盾を構えた。
「知夏は、アスヴァンっす! アスヴァンらしく先生の防御に回るっすよ!」
 もっふもふのウサギを着ぐるみで全身をガードした大谷 知夏(ja0041)も、盾を構えて門木の前に立つ。
 しかしギィネシアヌは構わず突き進んだ。
 精密狙撃スキル、オン。豆、セット。狙い定めて親指で弾き――アタック!
「厄よ去れ!」
 ぴしっ!
「幸あれ!」
 ぴしぴしっ!
「…いてっ」
「よし、当たったぜ!」
 しかし、ガード達は思わず門木を振り返り「何で当たるんだよ!?」という目で見る。
 確かに、これだけガードが厚ければ門木の所に豆が到達するのはほぼ不可能。
 それが何故当たるかと言えば……
「おー! 飛んで来る豆は全部打ち返すんだぞー!」
「…こうか」
 ぶんぶんぶん。
 ガードに混じってタオルを振り回す二人組。
「おー? 間違えちゃったぞー」
 千代が打ち返した豆は100%の確率で門木の方へ飛んで行く。
 それは最早間違いとは言わない気がするが、それをまた門木が律儀に当たりに行くのだ。
「おー…また負けちゃったぞー! 豆食べるんだぞー全部食べるんだぞー!」
 ばりぼりばり。
 千代は打ち損なった豆を律儀に食べる。
 ランベルセも教わった通りにきっちり食べていた。
 が、体が大きい上に翼を出しっぱなしなので当たりやすい彼の口は、既に豆で一杯。
「顎が疲れる…獣じゃあるまいし鍛える必要もないだろうに…」
 ばりぼりば…もう飽きた。
「ランベルセ君、それ節分じゃないよ…」
 ぽむぽむ。
 飽きつつも懸命に咀嚼を続けるランベルセの肩を、鴉女 絢(jb2708)が叩く。
「鴉女、何をしている、セツブンだろう」
「それはこっちの台詞だよ!」
 不思議そうな顔で見る友人に、絢は新たな教えを授けた。
「良い? 一般的な節分っていうのはね…」
 知識の伝授は知的かつ丁寧に、教え終わった後は自慢げに胸を張る。
 その解説によれば、豆は打ち返すものではなく取って食べるもの、らしい。
「節分と言えば豆まき、豆まきと言ったら豆が食べれる!」
 絢は飛んで来た豆を取っては食べ取っては食べ…
「お豆おいしいー! これだから節分はやめられない!」
「セツブンにも流派が存在するのか…」
 そして結局は食べるのかとちょっとゲンナリしながら、ランベルセは豆を掴み取る。
(それにしてもこの髪、引っ張りたい…)
 そんな事を思いながら豆を食べ続けるランベルセの目の前で、絢は飛んで来る豆を超人的でも何でもない普通の目で見抜き、綺麗なものを厳選して口に入れていた。
 集荷場のセンサーの如き正確さで瞬時に選り分け、しかし勢いよく飛んで来るものはいくら綺麗でも華麗にスルー、背後に控える鬼の皆様の元にご案内。
 そんな訳で、やっぱり豆は門木に向かって飛んで来る。
「…なるほど。豆まきというのを初めて生で見たが…鬼は何故、律儀に豆に当たるのだ…?」
 その様子を見て、手の中の豆と鬼とを交互に見比べながら飛鷹 蓮(jb3429)が呟いた。
 だが、わざわざ当たってくれるのであれば、望み通りに当ててやるのが礼儀というものだ。
「門木教師に恨みはないが…豆まきといえばやはり、ぶつける側が妥当か」
 相手も天使ならば、多少の攻撃は蚊に刺される程度なのだろう。
(…遠慮はいらんな、恐らく)
 蓮は見よう見まねで豆を投げてみる。
「鬼は科学室へ」
 びゅんっ!
 発声は静かに、だが投げる豆は剛速球並みに力をこめて、ガードの隙を衝き一直線に。
(遠慮をしたらいつか自分にも来るかもしれない鉄クズに申し訳ないからな)
 いや、そこは遠慮しても良い所だと思うんですが。
 しかし豆は遠慮なく飛んで行き――
「だから、何で当たりに行くんだよ」
 誰かが後ろから門木の襟首を引っ掴んだ。
 蓮の投げた豆は目標を失って逸れて行く。
「豆撒きの鬼だからって別に当てられるのを待たなくていいし逃げていいんだぞ」
 手を離されて振り向くと、そこにはレガロの姿があった。
「少しは当たらないと攻撃側に申し訳ないとか思ってるんじゃないだろうな?」
 そう言われて、門木は目を逸らす。図星か。
 レガロは溜息と共に足元の豆を拾い上げると…
 ぴしっ!
「…いてっ!」
 豆でデコピン。
「別に科学室でのふてぶてしさがあったっていいんじゃないか?」
「…ふてぶてしい、か…?」
 自覚ないのか、この人は。
「それに、そうポンポン当たられたんじゃガードの意味がないだろう」
 向こうではミハイルが頭を抱えていた。
「これは命がけの真剣勝負である故、どちらにも情は無用であるしの」
 じゃきん、樹は手にした改造エアガンという名の豆鉄砲を構える。
 と、その時――
「そ、う、れ!」
 帰って来たアダムがガードの足元にバケツ一杯の豆をぶちまけた!
「それそれそれー!」
 躍れ! そして滑って転ぶが良い!
「先生、よけて下さい!」
 静の空駆翼によって、門木の背に一対の空色の翼が翼が現れる。
「そのまま飛んで逃げろ!」
 ミハイルの声に、空色に片方だけの白を重ねて門木は空へ。
 しかし、そこにはアダムが待ち構えていた。
「ふんっお前の行動は読んでいる!」
 ばしぃーっ!! ばしばしばし!
 相手がスキルで守られていようと、数の前にはきっと無力!
 足をとられたガードが体勢を立て直さないうちに、出来るだけ多くの豆をぶつけるのだ!
 だが…
「ふ…甘いわね、坊や」
 誰もが膝をついた戦場で、ただ一人大地を踏み締め…いや、ピンヒールを突き立てて立つ凛子。
 そのグリップ力は下手なスパイクよりも高かった。
「さあ、覚悟なさい?」
 大人の余裕と有無を言わせぬ上から目線に思わずビビる思春期天使。
 その間にガードも復活し…
「Σい、いたっや、やめっ…う…うええええ…!!」
 怒濤の反撃に、アダムは泣きながら豆を投げまくる。
 だが、どう頑張っても敗色は濃厚。アダムは堪らず白旗を掲げた。
「よし、一人撃破!」
 そのままの勢いで防衛班は運動場を突っ切り、科学室へと向かう。
「まめまきってこんなにハードなゲームなんだな…」
 後には、豆に埋もれて涙にくれるボロボロの天使がひとり残されていたそうな…。


「ふ、行きおったか…」
 それを見送り、マクセル・オールウェル(jb2672)は背中の翼を露わにした。
 ゴールは科学室とわかっている。それならば、わざわざ寄り道をする必要もない。
「我輩、運動場より科学室まで一直線に向かうのである。ゆくぞ、光の翼!」
 筋肉天使は真っ直ぐに運動場を飛び越え――
 何故か、屋上に着地した。
 あれ、科学室は?
「防御側にミハイル殿が参戦しているのである! 我輩、ここで待ち伏せいつぞやの決着を付けるのである!」
 科学室は、それからだ。
 さて、ここで待っている事に上手く気付いてくれれば良いのだが。

 そして同じく、真っ先に科学室を目指したさんぽは…
 遁甲の術で気配を消し、校舎に忍び込んだ所で敵の気配を感じて立ち止まる。
「ここから先へは、行かせません」
 廊下の向こうから姿を現したのは、待ち伏せていたガードのメレク(jb2528)だった。
「悪いけど、ここは通して貰うよ!」
 さんぽは分身の術を使うと、そのまま壁走りで天井を駆け抜ける。
 しかしメレクもそう易々と逃がしはしなかった。物質透過で壁をすり抜け近道をすると、さんぽの死角に回り込む。
「鬼は外、福は内」
 そこから豆を投げ付け、前進を阻もうとした。
 だが…
「ごめんね!」
 レベルに差がありすぎた様だ。
 さんぽはメレクの攻撃を難なくかわすと、科学室に走り込む。
 バーン☆
 ニンジャ☆アイドル、犬乃さんぽ見参!
「今日は心の鬼を昇華させて払う日、門木先生覚悟!」
 この姿、そのぼーっとした目にしっかりと焼き付けるが良い!
 カオスレート、ただいま−85那由多(推測値)!
「効果もなく消えていった、ボクの久遠と、キラキラ光る星、そして甘い罠のキャンペーンの恨みだっ!(ゴゴゴゴゴ」
 ばしいーーーっ!!
 怒りの豆が炸裂する!
 だがしかし! 豆はそのままバラバラと跳ね返った!
「…ぇ?」
 目の前の門木をよぉ〜く見れば、それは…
「二次元!?」
 そう、それはベニヤ板で出来た等身大のダミーだった!
「…先生、いつ行っても科学室で出迎えてくれると思ったら…っ」
 まさか、普段からこの身代わりが!?
 いや、そんな事はどうでも良い。ゴールはここと決まっているのだから、本物はいずれここに現れる。それまで待ち伏せするのだ。
 カオスレート、更に下降中…。

 その頃、ハッド(jb3000)は何故か久遠ヶ原商店街にいた。
(むむむ〜 )
 ぽり。
(科学室もじゃお先生が節分とな?)
 ぽりぽり。
(あやついったい何の教師なのじゃ?)
 ぽりぽりぽり。
(…お? うっかり豆を全部食べてしまったのじゃ。これは自腹で補充せねばならんかのう?)
 そんな訳で、買い物なう。
 商店街のオバチャン達に声をかけ、各種豆製品を購入して…いざ、参戦。
「我輩はバアル・ハッドゥ・イシュ・バルカ3世、王である。デーモンを追放するとは不謹慎な行事じゃが、よい。バアル王朝の威光を示してくれよ〜ぞ!」
 スタート地点に戻り、めいっぱい背伸びをしながら大音声で呼ばわってみる。
 が…仲間達は既に運動場を出て校舎に向かおうとしているではないか。
「これ、待つのじゃ! 我輩を置いてけぼりにするでない!」


「ふ、対抗豆まき対戦…燃えるわ」
 逃げる鬼達を追いかけながら、田村 ケイ(ja0582)はクロスファイアを構え、見知った顔に狙いを付けた。
「望むところって話だったから。レッツ勝負よ」
 不良中年部で知り合ったミハイルにマーキング弾を撃ち込むと、手元の豆をその銃身に詰めて…詰め、あれ。入らない。
 その時、物陰に隠れていた樹がスタイリッシュにローリング登場!
「こちら狙撃班。敵を発見、直ちに任務を開始する」
 口調まで変わるマジぶりで、目の前のミハイルに通信を送る。
「残念だったな、こちらの銃はプロの手で改造された正真正銘の豆エアガン!」
 樹は勝ち誇った様に言うと、ケイの足元を狙って引き金を引いた。
 ――ぽっぽう!
 鳴き声と共に銃口から顔を出す白い鳥。
 ぽっぽうぽっぽうぽっぽう!
 樹は鳩が豆鉄砲を食った様な顔で、改造を手がけた「プロ」の顔を仰ぎ見る。
「…すまん」
 ぽつりと呟き、目を逸らすプロ。
「この改造は、先生が?」
 ケイは無防備になったガードの間を悠々と歩いて門木の目の前に。
「はい鬼は外」
 特に恨みもないからと、頭から軽く豆を掛けて一礼。
「ではこれで。鬼頑張ってください」
 と、一転ガードに向けて鋭いショットを放った。銃が駄目なら自分の手で投げるまで!
「鬼は外ー、福は内ー、そしてガードは撲滅ー」
 迎え撃つ樹も、その手で反撃の豆を投げる。
 豆には豆を、ぶつかって弾ける豆と豆。
 その流れ弾ならぬ流れ豆を盾で受け止め、ミハイルも豆を投げ返す。
「鬼は内−−!」
 その後ろではヒリュウが美味しそうに豆をもぐもぐ、アレンはほくほく。
「楽しい遊びに、なりそうだな」
 その様子を見て、紫弐は乾いた豆を手の中で転がしながら口の端を歪めた。
「恨みは無いが、遊びは常に全力で望むもんだ」
 暇潰しには丁度良い。ついでに物好きなあの娘の健康でも願っておくか…主に精神面での。
 豆を握り締め、紫弐は笑みと共に敵陣へ。
 まずは正面突破と見せかけて大量の豆をぶちまけた。
「静さん、あれを!」
「はい! 先生には当てさせませんよ!」
 樹と静が大きな透明ビニールシートを広げて、飛来する豆を防ぐ。
 しかし、紫弐は闇の翼で軽々とそれを飛び越え上空から豆を投げ付けた。
「上からの攻撃は、無論有りなんだろうな?」
 無しと言われても、今更遅い。
「アホ娘の悪趣味精神が健康になりますようにぃい! ってなぁ!」
 ばらばらーっ!
 だが、その大部分は門木の直衛に防がれ、更には…
「真冬にこれはきついですよね!」
 爽やかな笑顔でウォーターガンを放つ中学生。
「冷てぇっ」
 そればかりか、知夏のシールゾーンで翼を封じられてしまった。
 水浸しで墜落する紫弐。
 防御側、わりと容赦ない。
 だが、攻撃側もその貴い犠牲を無駄にはしなかった。
 ガードが紫弐に気を取られている隙に、上空から近付いた清十郎は盛大に豆の雨を降らせる。
「大変お世話になっていますが、『変異許可証』使って成功は酷いです!」
「失敗は先生のせいではありません」
 樹がタウントで気を惹こうとするが、清十郎には効果が無かった。
「ならば、これでどうですか!?」
 静が銅延射で飛距離を伸ばした豆を投げる。
 だが、清十郎はそれを甘んじて受けつつスリングショットで豆の三連発!
「本命はこっちです!」
「いて、いてて!」
 よし、当たった! これでもう思い残す事はない!
 無事に目的を達した清十郎は、静が発生させた霧の中で安らかな寝息を立て始める。
 その表情は、それはそれは満足そうだった。

「ふふふ、まさか俺達がここにいるとは思うまい、なぁ寿さんや」
「クク…あさっての方向ばっか警戒してやがりますなぁ栄さんや…」
 運動場の隅にある草むらから、忍び笑いが聞こえて来る。
 それは綿密な現地調査で死角になる場所を選び抜き、前日から潜んでいたという久遠 栄(ja2400)と梅ヶ枝 寿(ja2303)の二人だった。
 懐に忍ばせた恵方巻きが身体の下で潰れかかっているが、地に伏したこの姿勢を崩してはいけない。腹が減ってもひたすら我慢だ!
「これで勝つる! 俺、りんりん撃退できたら『鬼はー外!福はー内!大事な武器を痛紙袋にすりかえる鬼はァー外チクショー…ッ!』って豆投げつけるんだ…」
 寿のフラグっぽい台詞に一抹の不安を覚える栄だったが…
(いや、大丈夫、大丈夫…)
 ウサギの着ぐるみが生命探知を使って周囲を探索している様だが、甘い甘い。
 あ、でも…こっちに近付いて来る…?
 しかしその前に、恐るべき野生の勘で敏感に察知した者がいた。
 ジャーンジャーン!
 寿の脳内危険センサーが発動する。
 噂をすれば影。見覚えのあるピンヒールが、二人の目の前の地面をざっくりと突き刺した。
「ふふ…欺いたつもり…? あたしの萌えの前に散るがいいわ!」
「げぇっ! りんりん! 何故ここに!」
 だがここで退くわけにはいかないと、栄は覚悟を決めた。
(大事な親友だけど今は心を鬼にする時…!)
 寿も腹を括った。そしてつい、余計な事を言ってしまった!
「りんりぃーん一緒に年の数だけ豆食おうぜ☆ いくつ必要ー?」
(…あ、梅さん死亡フラグ…)
 栄の考えた最高の作戦が、音を立てて崩れて行く。
 凛子の豆を投げ付けようとした手がぴたりと止まり、ぶるぶると震え…
「先生の前で歳の話するなんて…! も、もう、知らないッ!」
 涙を散らしてダッと駆け出す。
「うぼぁ!」
「おおお俺は無実だーっ! あぁんっ」
 ピンヒールが、無意識かつ無慈悲に何かを踏み潰して行った。
 …ちーん。


 そしてバトルは校舎の中へ。
「建物内に入ったらこっちのものですよ!」
 念の為に生命探知で周囲を探り、反応を得たレグルスは嬉々として先頭を走って行く。
「待ち伏せは先制攻撃で潰せ!」
 しかし、そこに潜んでいたのはメレクだった。
「科学室でひとり、待ち伏せしています。かなり手強い方ですので、お気を付け下さい」
 メレクの情報を元に、一行は慎重に廊下を進む。
 科学室の扉が見えて来た、その時。
 頭上から何かの粉が降って来た!
 それは大豆を石臼で引いた粉…つまりは、きなこ。
 天井に張り付いたナナシは、それをガード達の顔に向かって投げ付ける。
 辺りは忽ち、咳とくしゃみの阿鼻叫喚。
 それが収まった時、門木の目の前には今にも泣きそうな目をした少女が立っていた。
「今更Sランク返して何て言わないけど、せめて突然変異率くらい表示しなさいよ!!」
 ばちーん!
 ガードに入る間もなく、カオスレート全開でぶちまけられる豆。
 それを全身で受け止めた門木を睨み付ける目から、大粒の涙が溢れて来る。
「…ごめんな」
 泣き崩れたナナシの頭を、門木は遠慮がちに撫でた。
 これで勝負あったという所だろうか。
 しかし何だろう。何か忘れている気がするのだが。

「遅いのである!」
 その頃、マクセルは屋上で待っていた。
 好敵手が現れるのを、今か今かと。
 しかし、いつまで待っても誰も来ない。
「かくなる上は、やはり科学室に!」
 屋上から飛び立ったマクセルは、科学室の窓を目掛けて一直線。
「…何か来るっす!」
 念の為に警戒を解かずにいた知夏は、生命反応を察知してその出所を探した。
 ふと窓の外を見ると…赤褐色の弾丸がものすごい速さで突っ込んで来るではないか!
 それが顔を庇う様に腕を交差させた筋肉天使の姿だとわかると、知夏は咄嗟に阻霊符の効果を解いた。
 その瞬間、マクセルは窓をすり抜けて飛び込んで来る。
「む、ミハイル殿! いつかの夢の折に付けられなかった決着を、ここで付けようぞ!」
「おう、望む所だ!」
 そして始まる豆の投げ合い!
「我輩を止められるであるか?!」
「勝負を決めるのは筋肉だけじゃないって事を教えてやるぜ!」
 目にも留まらぬ速さで投げ交わされる豆。あっという間に手持ちは底をつき、後は床に落ちたものを拾っては投げ拾っては投げ…
「ぬおぉぉ!」
「どあぁぁ!」
 もう殆ど子供の喧嘩だ。
「門木殿…お主は天使の癖に貧弱に過ぎる! もっと体を鍛えよ!」
「…いて!」
 なんか、とばっちり食ってるし。
 そのどさくさに紛れて飛び出したニンジャが一人。
「効果もなく消えていった(以下同文」
 大事な事だから二度言った!
 そして門木にぶつけられる、カオスレート−91那由多の豆!
「ふっふっふ、門鬼先生に地獄を見せてやるのじゃ…!」
 ハイドアンドシークてひそひそと接近したハッドの手から、豆代わりの納豆がねばーっ、豆腐がべしゃーっ!
 更に匍匐前進で近付く泥田坊が二体!
「鬼は…そ、と…」
「弓の恨み…思い、知…」
 ぱたり。
 カラリと乾いた音を立てて、豆が床に転がる。
「ヒール、かけてほしいっすか?」
 知夏の問いに、微かに頷くヨレヨレの泥田坊ズだった。


「お前、なかなかやるな」
「お主こそ」
 嵐の後の様な科学室で、互いの健闘を称え合い硬い握手を交わす暑苦しい野郎共。
 こんな時は勝負が付かないのがお約束だ。
「…お疲れ。いい邪気祓いだったな」
 頭から納豆と豆腐を被った門木を見て、蓮が表情も変えずに言う。
 後は豆を食べれば完璧だ。
「門木センセイも年の数だけ食べるのぜ?」
 落ちた豆を洗って食べながら、ギィネシアヌが言う。
 一体何粒になるのだろう。
「先生は年の数だけ食べるのは大変でしょうから、食べ易くしてみました」
 気を利かせた清十郎が用意したチリビーンズは、ひとまず『冷蔵庫』へ。
「本当の年齢分を食べるには、喉が持たないな」
 十分の一で手を打った紫弐は、とりあえず自分の健康を願いながら淡々と食す。
「風邪、ひきそうだ…」
 ぼそぼそもそもそ、けほ。
「そんな時には、どうぞこれをお召し上がり下さいませ」
 静が差し出したのは、出来たてほかほかのひたし煎り大豆。
 これなら歳の数くらい行けるかも?
「お持ち帰りはこちらです」
 サービスも満点だ。それなら土産にしてみるのも良いだろうか。
「私は炒り大豆で味噌が作れるか試してみました」
 樹が軟らかく煮た大豆を塩麹と混ぜ、持ち込んだ容器ごと門木に手渡す。
「発酵してフタの上に汁が出てきたら完成です」
「…ん、楽しみだな」
 向こうでは何だかんだで仲の良い三人組が、潰れた恵方巻きを頬張っていた。
「恵方はあっちよー」
「ごちでぃーす☆」
 ん、美味しい。形は悪いけど。
 やがて宴会が始まり、そこでも静の料理が振る舞われる。
「お酒のおつまみにもどうぞ」
 そこに混ざったレガロは…この前は悪かったと、ぽつり。
「天使だろうが悪魔だろうが人間だろうが同じ仲間なら関係ない。割り切れない奴も勿論居るだろうが俺は過去より今が大事だと思っているからな」
 門木はその頭をわしわしと掻き混ぜる。
 その顔には、滅多に見られない微笑が浮かんでいた。

 やがて宴も終わりに近付いた頃。
「ほむ…楽しかったの!」
 鳩の餌にしようと、樹は床に散らばった豆を拾い集める。
 ついでに拾い上げて机に戻したメッセージカードには、こんな言葉が書かれていた。

 ――お疲れ様。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:27人

癒しのウサたん・
大谷 知夏(ja0041)

大学部1年68組 女 アストラルヴァンガード
cordierite・
田村 ケイ(ja0582)

大学部6年320組 女 インフィルトレイター
ヨーヨー美少女(♂)・
犬乃 さんぽ(ja1272)

大学部4年5組 男 鬼道忍軍
哀の戦士・
梅ヶ枝 寿(ja2303)

卒業 男 阿修羅
心眼の射手・
久遠 栄(ja2400)

大学部7年71組 男 インフィルトレイター
道を切り開く者・
楯清十郎(ja2990)

大学部4年231組 男 ディバインナイト
世界でただ1人の貴方へ・
氷雨 静(ja4221)

大学部4年62組 女 ダアト
魔族(設定)・
ギィネシアヌ(ja5565)

大学部4年290組 女 インフィルトレイター
撃退士・
青木 凛子(ja5657)

大学部5年290組 女 インフィルトレイター
『山』守りに徹せし・
レグルス・グラウシード(ja8064)

大学部2年131組 男 アストラルヴァンガード
護楯・
龍仙 樹(jb0212)

卒業 男 ディバインナイト
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
撃退士・
彪姫 千代(jb0742)

高等部3年26組 男 ナイトウォーカー
大海原に覇を唱えし者・
レガロ・アルモニア(jb1616)

大学部6年178組 男 ナイトウォーカー
無尽闘志・
メレク(jb2528)

卒業 女 ルインズブレイド
くりふ〜くりふ〜・
アダム(jb2614)

大学部3年212組 男 ルインズブレイド
伝説のシリアスブレイカー・
マクセル・オールウェル(jb2672)

卒業 男 ディバインナイト
子鴉の悪魔・
鴉女 絢(jb2708)

大学部2年117組 女 ナイトウォーカー
撃退士・
紫弐(jb2710)

大学部5年133組 男 ナイトウォーカー
我が輩は王である・
ハッド(jb3000)

大学部3年23組 男 ナイトウォーカー
誓いを胸に・
ナナシ(jb3008)

卒業 女 鬼道忍軍
Stand by You・
アレン・P・マルドゥーク(jb3190)

大学部6年5組 男 バハムートテイマー
繋ぎ留める者・
飛鷹 蓮(jb3429)

卒業 男 ナイトウォーカー
撃退士・
ランベルセ(jb3553)

大学部5年163組 男 陰陽師
きのこ憑き・
橘 樹(jb3833)

卒業 男 陰陽師