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マスター:STANZA
シナリオ形態:ショート
難易度:易しい
参加人数:8人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2013/01/23


みんなの思い出



オープニング


※このシナリオは初夢シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。


「モーくん、あけましておめでとうございます」
 古びた寮の、狭い部屋の中。
 新米バハムートテイマー、粟野まろんは、壁を背にして座らせた茶色い牛のぬいぐるみに向けて、深々と頭を下げた。
「今年もどうぞよろしくお願いします」
『もぉ〜』
 ぬいぐるみからも、返事が返ってくる……わけはない。
 このぬいぐるみ、頭を下げた状態から起こしてやると、内蔵のギミックが働いて音が鳴るように出来ているのだ。
 勿論、ぬいぐるみが自分でそんな動きをする筈もなく、まろんが動かしている。
 つまり……自作自演。小さな子供のごっこ遊びの様なものだ。
「バハムートテイマーになったら、モーくんとも普通にお喋り出来ると思ったんだけどなぁ」
 まろんはぬいぐるみを抱き上げて、少し残念そうに呟いた。
 バハムートテイマーが召喚出来るのは、セフィラ・ビーストと呼ばれる召喚獣のみ。
 しかも、彼等と言葉を交わす事は出来ない。互いの意思は通じるが、自在に会話を楽しむという訳にはいかないのだ。
「ヒリュウくん達とも、自由にお喋り出来たら良いのにねぇ」
『もぉ〜』

 そんな事を考えながら眠りに就いた、ある夜の事。

 ……ゆさゆさ。
 ……ゆさゆさ。
 誰かに揺り起こされて、まろんは目を覚ました。
「ん……なに……? だれ……?」
 まだ夜中の筈なのに、辺りは昼間の様に明るい。
 まろんは眩しくて開かない目をこする。
「おはよう!」
 目の前で、誰かが微笑んでいた。
 誰?
 茶色くて、丸い手足。緑色のベストに、首に付けたカウベル。
 頭の上には白い角、まん丸で真っ黒な瞳……
「……モーくん……?」
 名前を呼ばれて、ぬいぐるみは頷いた。
「おはよう、まろん。まろんの大好物、はちみつ味の卵焼き作っておいたよ!」
 二本足で立ち上がり、少々危なっかしいバランスを保ちながら部屋の隅に置いたちゃぶ台まで歩き、ちょこんと座る。
「ほら、早く。起きておいでよ。冷めちゃうよ?」
 モーくんは丸い両手でぽふぽふとちゃぶ台を叩いている。
(……これ……夢だよね?)
 まろんは思わず自分の頬をつねってみた。
「……いたっ!?」
 痛い。なのに、目が覚めない。
(夢じゃ、ない……!?)
 そう、これは夢じゃない。
「まろんがね、ボクの魂を召喚してくれたんだよ。だからボクは動けるし、お喋りも出来るんだ」
 モーくんが言った。
 夢だけど、夢じゃない。

 モーくんが作ってくれた美味しい朝ごはんを食べて、まろんは外へ出てみた。
 勿論、足元をよちよちと歩くモーくんも一緒だ。
 そこでも、世界は変わっていた。
 楽しそうにヒリュウとお喋りをする人、飼っている猫と何やら真剣に口論をしている人、自分と同じ様にぬいぐるみを連れて歩いている人……
「あの人、バハムートテイマーじゃなかったよね? あの人も……あ、あの人も!」
 一体どうなっているのだろう。
 でも……みんな楽しそうだ。
 楽しそうだから、良いのかな。
 うん、良いや! 細かい事は気にしない!
「ね、モーくん。何して遊ぼうか!」
 今日は一日、この世界を楽しもう。
 普段は出来ない事を、思いっきり……!


リプレイ本文


 撃退士には盆も正月もない。
 その日も、長幡 陽悠(jb1350)は普段と同じ様に起きて、普段と同じ様に召喚術の練習を始めた。
 まずはヒリュウを召喚して――
『こんにちは、ヒユウ』
 ……今、誰か喋った?
『どうしたの?』
 不思議そうに首を傾げるヒリュウ。声はそこから聞こえていた。
「えぇぇえ?!」
 頭の中が真っ白になる。
 再起動まで、暫くお待ち下さい――


「村雨さんあけおめっす! 今年もよろしくっす!」
 ニオ・ハスラー(ja9093)が、体格のご立派なオカメインコに向かって頭を下げている。
『おう、ひよっこ。今年も恙なく新年を迎えられたのは、めでたい限りだな』
 成人男性の渋ボイスがそれに応えた。
「村雨さんが喋ってるっすーーーー!!!!!」
 ニオ、大絶叫&狂喜乱舞。
『何を驚いている、コムスメ』
 まさか、今まで知らなかったと言うのか。これまで何年一緒に旅をして来たと思っているのだ。
『あり得ん。注意散漫にも程がある。だいたい、いつもお前はあーでこーで、だからお前はひよっこでうんたらかんたら…くどくど』
 村雨さんのお説教が始まった。しかしニオは聞く耳持たない!
「すごいっす! 格好いいっす! 渋いっすーーー!!!」
『俺の話を聞けーっ!』
「でもとりあえず朝食っす! お腹すいたっす!」
『……むぅ、メシか』
 ならば仕方がない。
『俺の好物は知ってるだろうな、コムスメ』
「勿論っす! お弁当も作るっすよ!」
 村雨さんは満足そうに頷くと、いつもの定位置……ニオの頭上に落ち着いた。


「101匹ヒリュウちゃん、召喚です! ニンニン!」
 今だけニンジャでバハムートテイマーの霧隠 孤影(jb1491)は、ここぞとばかりにヒリュウを呼びまくった。
 部屋の真ん中に貼られたお札から、ヒリュウがポンポン飛び出して来る。
 わらわらもふもふ、ヒリュウがいっぱい。
 もう画面いっぱいのヒリュウです。浪漫です、夢です。いっぱいは天国です。地獄です。ヒャッハーです。
 ぎゅうぎゅう、ぎゅうぎゅう……忍法、ヒリュウ隠れ!
 ヒリュウに埋もれ、孤影の姿が消える。
 それでもまだ、ヒリュウ達は増え続けていた。


「召喚獣と話せるとか素敵過ぎるー!! ヤバイね! どうしよう! 嬉しい!」
 黒羽・ベルナール(jb1545)は、もう嬉しくて嬉しくて、部屋の中を転げ回っていた。
「ということで、ヒリュウ召喚ー!」
 どーん!
「すももだ! すももだ! わー可愛いー! いつも通りふにふにで可愛いー!」
 ぎゅーっと抱き締めてみる、と……
『黒羽、苦しいの!』
 ふよふよぽにぽにな生き物がなんか言ってる! 
 短い手でぺちぺち叩いてる!
 叩かれて幸せそうににやにやする黒羽はもう親馬鹿全開だ。
「くぅーーーっ」
 何この可愛い子誘拐したい!
 という訳で、れっつ誘拐! じゃなくて、お出かけ!


 そしてここは、マンションの一室。
 部屋の中には、たった今買って来たばかりの新しい猫用オモチャやキャットフードが置かれている。
 この部屋の主は、飛鷹 蓮(jb3429)。
 自分が召喚師となり、何でも好きなものを呼び出せると知った時、彼が真っ先に思い付いたもの……それが、猫。
 もう猫以外には考えられない。
(…まずい。猫のことを考えるとつい、顔がニヤけてしまう…)
 ぱんぱん。両手で頬を叩いて顔を引き締める。が、頬が緩むのはもう止められなかった。
 まあいい、誰が見ている訳でもないし。
 さて、何匹くらい呼び出そうか。
「百匹の猫――は、さすがに多いか…。世話もできんだろうしな。…九十…いや、七十…」
 暫しの思案。
 これは夢だとわかっていても、現実的な問題を考えてしまう。
「……あまり多くても部屋の中で蠢く絨毯になりかねんな。十匹くらいにしておくか。……後悔は、せん」
 夢から覚める前に、たっぷりと楽しむとしようか――


 天月 楪(ja4449)は、目つきの悪い熊さんの集団に追われていた。
 理由はわからないが、追われているなら逃げるしかない。
 しかし……
『行き止まりクマー』
『もう逃げられないクマー』
 悪熊達はニヤリと笑うと、余裕の態度でゆっくりと近付いて来る。
 だが慌てず騒がず、楪は腕時計のアンテナを伸ばした。
「コール・うさペンスト、ふぁんとむ!」
 それは彼のお気に入りゲーム、スーパーラビット大戦でふぁんとむくんを呼ぶ時の台詞だ。
 と、楪の目の前に派手な色のスパークが走る。
『ヘイ、Are you ready?』
 現れたのは、身長180cmを超える特大うさぬい……いや、これは……っ!
『無事か、myマスター?』
 くるりと振り向いたのは、ビジュアル系っぽい装飾過多な黒コートを翻し、アンダーはウエスタン風の衣装でキメた、銀髪イケメン。ただし、うさ耳(ロップイヤー)。
 ヒトガタチェンジ、成功!
『下がってろ、手ぇ出すんじゃねえぜ?』
 そう言うと、ふぁんとむくんは並み居る悪熊達をバッタバッタと薙ぎ倒す。
 鬼神の如きその暴れっぷりに、スタコラ逃げ出す悪熊達。
『Ha! 一昨日来やがれ!』
 そう言うと、ふぁんとむくんは楪の身体をふわりと抱き上げた。
「わぁー、いつもとぎゃくだねー」
 うさ耳イケメンにお姫様抱っこされて、楪はほっこり上機嫌。
『怖い思いをした後は、甘いスウィーツでも食いに行こうぜ、myスウィートマスター』
 うさ耳イケメンは楪を抱いたまま、ゆっくりと歩き出した。


「……はっ!」
 陽悠の再起動、完了。
「え?! えぇ?! 猫が喋ってる様に聞こえてるアレ…?!」
『もー、ヒユウ驚きすぎー』
 ヒリュウがクスクス笑っている。
「え、ちょっと待って。ヒリュウがこうなってるって事は……」
 ストレイシオン、も?
『呼んだか?』
「うわわわ…っやっぱり喋ってる!? 」
『…呼んだのは君だろう』
「しかも俺より落ち着いてるー!!?? 」
 ちょっとショックだ。いや、そんな気はしていたけれど……
 と、ヘコんだ陽悠の背をストレイシオンの翼が優しく撫でた。
『ヒユウは良い子だよー』
 ヒリュウもぽふぽふと頭を撫でる。
「うん、ありがとう」
『良い子ではあるが……召喚主なら、もっとしっかりしろよ』
「あ、はい。すみません……」
 戦闘での立ち回りや命令のタイミング、技の使いどころ……延々と続く、ストレイシオン先生のお説教。
 どうしてこうなった。
 しかし、ヒリュウの無邪気さに癒やされる。
『一緒にいると、楽しい事や、時々美味しいものも食べられて嬉しい!』
 お前はいいやつだ、うん。
 そうだ。折角会話出来るんだし、いつものお礼にどこか食べに行こうか――


 ここは近所の公園。
 普段からのんびりと散歩を楽しむ人々が多い場所だが、今日はいつにも増して賑やかだった。
「こんにちは〜」
 望月 忍(ja3942)は、牛のぬいぐるみを抱いた少年に笑いかける。
「その子、モーくんっていうの〜?」
 可愛いぬいぐるみの頭を撫でようとした、が。
『ねえ、ぼくのほうがかわいいでしょ、こっちみてよ〜』
 ぐいぐい。誰かがスカートを引っ張っている。
「あおちゃん、ごめんねなの〜」
 忍はスカートに爪を立てている黒い子猫を優しく抱き上げると、その頭を撫でた。
「うちの子は、あおちゃんっていうの、よろしくなのね〜。あおちゃん、ごあいさつしてなの〜」
『ぼく、あおちゃんだよ、よろしくね〜』
 すました顔で、尻尾をぱたり。
『きょうは、いろんなひととおはなしできそうで、たのしみだよ〜』
『ボクもいっぱい遊ぶんだー』
 猫と牛で会話が成立している。
『じゃあね〜』
『またねー』
 彼等と別れ、忍は再び歩き出した。
 あおちゃんはその腕に抱かれたまま、興味津々でキョロキョロしている。
『あれ、とんでるの、ひりゅうっていうの〜?』
 視線の先には、ヒリュウがいっぱい……って、すごい勢いで近付いて来る!?
「あっちにいくですー、キャハハハー!」
 先頭に立っているのは、ニンジャ孤影だった。
 それに続く、101匹のコスプレヒリュウ。ニンジャ、サムライ、ナイト、プリースト、メイジにモンクに……とにかく色々!
 それが集団で、どどーっと通り過ぎて行く。
 嵐が過ぎ去った後、木々の梢では小鳥達が何事もなかった様に囀り始めた。
『しーちゃん、ことりとかもすきだよね〜。ぼくもすきだよ〜」
 多分、忍とは違った意味で。
 そこに現れた、ニオと村雨さん。
「えへへへー村雨さんと会話できるなんてうれしいっす! 前からお話したいと思っていたっす!」
『俺はいつも話しかけてるがな』
「うう、すまないっす! でも今日はちゃんと聞こえるっす! 何でも聞くっすよ!」
『良い心がけだ。なら、心して聞けよコムスメ……』
 そして始まる、お説教第二弾。どうしてこうなった。
『しーちゃん、ぼく、あのとりほしい〜』
 あおちゃんの金色の目が輝く。
 視線の先には村雨さん。鳥と見れば本能的に無視出来ないのだ。
 しかし村雨さんは動じなかった。ニオの頭上からガンを飛ばす。
『何だコゾウ』
 その渋い低音、鋭い眼光。子猫が勝てる筈もなかった。
「村雨さん強いっす! 流石っす!」
「あおちゃんも大きくなったら、あんな風に渋いオジサマになるのでしょうか〜」
 今の甘えん坊ぶりからは、想像も出来ないけれど。
 次にすれ違ったのは、すももを抱っこした黒羽。
「すももはどこ行きたい?」
『甘い物が食べたいの。クリームのがいいの!』
「うん、わかった。じゃあカフェでケーキ食べようね」
 そのらぶらぶっぷりに、見ている忍もほわんと癒やされた。
 軽く挨拶を交わし、すれ違う。
「うふふ、みんな楽しそうでうれしいのね〜♪」
 でも、あおちゃんはどうだろう。楽しんでるかな。今、幸せかな。捨てられていた頃の寂しさで傷ついてないかな。
『しーちゃん、ぼく、しーちゃんのこと、だいすきだよ〜』
 てしてし、あおちゃんはそんな忍の頬を肉球で軽く叩く。
『いつもかわいがってくれて、ありがとう〜! これからもよろしくね〜!』
「……うん」
 忍は、小さな黒い毛玉をそっと抱き締めた。


 そしてここは、遊園地。
 礼野 真夢紀(jb1438)と、ヒリュウ7匹姉妹が遊びに来ていた。
『ほら、みんな並んで並んでー!』
 ジェットコースターの前で仕切っているのは、首の赤リボンに金の鈴を付けた姉御肌のドーアだ。
『そこ、こんな所まで来て本なんか読まない!』
 言われて思わず真夢紀の影に隠れたのは、左腕に黄色いリボンを巻いたミーサ。
『でも、これ……もう少しで、読み終わる……』
 何を読んでいるかと思えば、葉隠?
 その様子を見て勘違いしたのだろうか。右足首に緑のリボンをしたファタがすっ飛んで来て……
『ミーサを苛めるなー!』
 どーん!
 ドーアに思いっきり体当たりをぶちかました。
『きゃーっ!!』
 巻き込まれて吹っ飛ばされる姉妹達。
『何をなさいますの!』
 左足首に青のリボンを巻いたソナが、ぷりぷり怒りながらファタに詰め寄った。
『わたくしのスカーフが汚れてしまいましたわ!』
 いや、それ君のじゃないから。
『また、真夢紀さんの持ち物を勝手に持ち出したのですね』
 右手首に橙のリボンを巻いたレイカが、困ったものだと首を振る。
『シマはおねむなのー』
 頭上の角に紫のリボンを付けたシマは、待っている間に眠くなったらしい。
『まゆのお膝でお昼寝するのー』
 真夢紀をベンチに引っ張ろうとする。
『あ〜、なんか楽しそうな音楽が聞こえるぅ〜』
 ふらふらとメリーゴーランドに吸い寄せられて行くのは、尻尾に藍色のリボンを結んだラーハ。
 ああ、纏まらない。全然纏まらないよ。
 これでもいざという時の団結力は強いらしいが、今は全然いざという時じゃなかった。


 小高い丘の上では、孤影とヒリュウ達がピクニックを楽しんでいた。
「おにぎり食べるです」
 友達100人より多いし、富士山の上でもないけれど。
「ニンジャっぽいです。カッコいいです!」
 もぐもぐ。
『『ニンニンです!』』
 もぐもぐ×101。
「ごはんの後はヒリュウの海にダイブです。忍法、ヒリュウ遁の術です!」
 わらわらもふもふぎゅーぎゅー。
「次はお話するですー」
 ワイワイガヤガヤ、誰が何を言っているのかサッパリわから……いや、わかる。わかるよ! なんたって夢だし!
 101匹と同時に会話する孤影! さすが夢!
「皆は次に何したいですかー?」
 ふむふむ、なるほど。
 かけっこ、かくれんぼ、鬼ごっこ……疲れたらちょっと休んで、次は探検!
「あっちには何があるかな? 行ってみるです!」
 どどどーっ!


 街のカフェで甘味を満喫した黒羽とすももは、商店街をぶらぶらと歩き出す。
 途中、うさ耳イケメンが少年を膝抱っこしながらケーキをアーンしている光景に出くわしたが、それは見なかった事にして。
『黒羽、黒羽! これ、欲しいの!』
 すももに呼び止められて振り向くと、指差しているのはエメラルドの付いたイヤーカフ。
(召喚獣でも女の子なんだなー)
 ほっこり。でもちょっと高そうな……
『黒羽の目と同じ色なの! 綺麗なの!』
 こんな可愛いこと言われたら買ってあげるしかないよね!
 値札? そんなもの見ない! 撃退士なめんなよ! 結構稼ぎがいいんだから!
『ありがとうなの!』
 早速耳に付けてもらって、すももは大喜び。
『あのね、黒羽』
「ん?」
『すももはず〜と黒羽の傍にいるなのよ。だからずっと笑ってなくてもいいの。黒羽が泣いても、すももはいなくならないのよ』
「……ん。ありがと。すもも」
 すももの頭を撫で、黒羽はふんわりと微笑んだ。
「ずっと、一緒だ」


(…そういえば、猫が発する言葉は猫語なのだろうか…)
 そんな事を思いながら、蓮はお気に入りのラグドールに話しかけてみた。
「…なんだ? 遊んでほしいのか? …来い」
『だっこがいいにゃん』
 喋った。これが猫語なのか。わりと普通だが……なるほど。
「わかった」
 ぽんぽん、膝を叩いてみる。
 抱っこ大好きなぬいぐるみ猫は、嬉しそうに乗って来た。
『あそぶにゃ! あそぶにゃ!』
 しかし、元気一杯のアメショーとアビシニアンは遊びの催促。
「わかった。ねこじゃらしと毛玉…どちらがいいんだ?」
『じゃらしにゃ!』
 ラグドールを膝に乗せたまま、両手に一本ずつじゃらしを持つ。
 すると、他の猫達もわらわらと集まって来た。
 猫に埋もれ、猫にまみれ、どこか出かけるでもなく部屋でのんびりと過ごす時間。
「…いい子だな。お前たちはあたたかい。…人も、こうであればいいのだがな」
 膝で丸まったラグドールの頭を撫で、蓮は柔らかな微笑みを浮かべた。



 そうして、夢の時間は過ぎて行く。
 遊び疲れた孤影はヒリュウに埋もれて眠り、ニオは村雨さんに見守られて、うとうと。
『お休み、良い夢をな……ニオ』
 その声は、届いただろうか。

 夢の中の眠り、それは即ち現実の目覚め。
 夢の余韻に浸りながら、陽悠は召喚獣達を呼び出した。
「本当にいつもありがとう…」
 今年も、そしていつまでも……よろしく。


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: −
重体: −
面白かった!:6人

ぴよぴよは正義・
望月 忍(ja3942)

大学部7年151組 女 ダアト
うさ耳はんたー・
天月 楪(ja4449)

中等部1年7組 男 インフィルトレイター
闇鍋に身を捧げし者・
ニオ・ハスラー(ja9093)

大学部1年74組 女 アストラルヴァンガード
約定の獣は力無き者の盾・
長幡 陽悠(jb1350)

大学部3年194組 男 バハムートテイマー
芽衣のお友達・
礼野 真夢紀(jb1438)

高等部3年1組 女 陰陽師
開拓者・
霧隠 孤影(jb1491)

大学部1年46組 女 ナイトウォーカー
召喚獣とは一心同体・
黒羽・ベルナール(jb1545)

大学部3年191組 男 バハムートテイマー
繋ぎ留める者・
飛鷹 蓮(jb3429)

卒業 男 ナイトウォーカー