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マスター:STANZA
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/02/24


みんなの思い出



オープニング



 自分は不運な星の下に生まれたのだ。
 男はそう思っていた。
「だってそうだろ?」
 まだ小さい頃に、生まれた町が天魔の襲撃を受けて壊滅した。
 自身と家族は無事に逃げ延び、新しい町へと居を移したが――
 数年後、その町も襲撃を受け、一家は再び転居を余儀なくされた。
 それからというもの、彼は行く先々で天魔の襲撃に遭ってきたのだ。
 新しい町に腰を落ち着けて数年以内には、必ず天魔が現れる。
「もう、どうなってんだよって思うよな」
 大人になるまでは、両親のせいだと思っていた。
 両親のどちらか、或いは二人とも、天魔を呼び寄せるフェロモンか何かを出しているのではなかろうか、と。
 もし両親がそんな体質なら、その子供である本人も高確率でそれを受け継いでいる可能性があるわけだが……人は大抵、そんな不運は自分を避けて通るものと思いがちだ。
 それは、この男も例外ではなかった。
「でもさ、違うんだよ。独立してわかったんだ。不幸体質は俺だったんだって……」
 彼が独立して以来、実家が天魔に襲われる事はなくなった。
 その代わり……
「後は、言うまでもないだろ?」
 男は力のない笑みを浮かべる。
 今も既に何度目になるかわからない引っ越しを済ませたばかりだった。
 まだ荷物の大部分は段ボールに入ったままだ。
 もっとも、引っ越し魔である彼の荷物は、そんなに多くはなかったけれど。
「俺だってなぁ、好きで引っ越し魔になったわけじゃないんだよ!」
 そう、天魔が悪いのだ。
 彼の行く先々で、狙った様に現れる天魔が。
「それでも死なずに生き延びてるあたり、逆に運が良いのかもしれないけどな」
 生き延びて、新しい町に移って、また襲われて、生き延びて。
 もうそろそろ、天魔を呼ぶ男としてアパートを借りるのも難しくなりそうな気もするけれど。

 だが、そんな心配はもう必要ないのかもしれない。
「だってなあ、これヤバいだろ絶対」
 今までに彼が見た事のある天魔と言えば、見るからに使い捨ての雑魚っぽいデザインの下っ端ばかり。
 それでも一般人にとっては非常に危険な存在である事に変わりはないのだが、撃退士が駆けつければ一撃で倒される、そんな程度のものだった。
 しかし今、彼の目の前にいるものは違う。
 一見すれば巨大な四つ足の獣の様だが……その両肩の部分からは猿の様な毛むくじゃらの腕が生えていた。
 そこには切れ味の良さそうな二本の剣が握られている。
 そして頭は人間だった――少なくとも、見た目は。
 しかもかなり整った部類に入る女性のものだ。
 まるで人と猿と狼を適当に繋ぎ合わせたキメラの様なそれは、狼の素早い動きで地を駆け、猿の凶暴さで剣を振り回し、人の頭で状況を判断する、らしい。
「俺の運も、これで尽きたかな……」
 避難所で、まだ挨拶も交わしていない近所の人々と共に息を潜めながら、男は天を仰いだ。

 駄目なら駄目で、もう諦めよう。
 俺は天魔を連れて来る疫病神なんだ。
 疫病神は疫病神らしく、さっさと死んだ方が世のため人のためだ。
 でも……

 神様、これで生き延びる頃が出来たら、俺は強運の持ち主だと自信を持っても良いですか?

 生きていても、良いですか――?



リプレイ本文


「人命が最優先だ、急げば間に合う!」
 一声吠えた川内 日菜子(jb7813)は転送装置に飛び込んで行った。
 細かい作戦を打ち合わせている時間はない。
 事前の情報から判断する限り、二人一組で互いの背を守るのが定石だろうが――
「想定通りに事が運ぶとも限らないし、現場を見た上で臨機応変に行くぞ」
「連絡はこれで良いな」
 走りながら、獅堂 武(jb0906)がスマホを弄る。
 歩きスマホどころか走りながらの操作は危険極まりないが、ここは緊急事態につき大目に見て貰おう。
 全員で連絡先を交換し、礼野 智美(ja3600)がパーティ回線で連絡が取れる様にセットした。
「これで会話は問題ないだろう」
 翼のある者が上空から索敵を行い、地上で迎え撃つ者達の目となる。
 数や地形の不利はそれで何とかカバー出来るだろう。


 転送先は現場から僅かに離れていた。
「透過されるとあっという間に被害出るし、屋内に入られると索敵も手間取る」
「ああ、建物は壊れてもどうにかなる。人命優先だ」
 智美と日菜子が阻霊符を使い、それぞれに別方向へと別れて走る。
「道の狭さを考えると敵も来る途中ばらけそうだし、ここから敵の方へ扇状に展開しよう」
「なら俺は真ん中を行くか!」
 智美の言葉に頷いた武は、上空に飛んだ仲間に声をかけた。
「俺は敵さんの多い所へ突っ込む、上からの指示よろしく頼むな!」
「ここからならよく見える…航空支援と索敵は任せろ」
 ルナリティス・P・アルコーン(jb2890)が応える。
 いつもの様に天魔が暴れているのでいつもの様に排除する…シンプルな依頼だ。
 さっさと敵を排除し、安全を確保するとしよう。
「後方の支援は我輩達に任せるのである」
 そう言ったのは、ハロウィンのオバケ――ではない。仮装でもない。自らを懲罰する者(jc0864)と称する、はぐれ悪魔だ。
(我輩も、いつまでも新米のままではいられないのである)
 そろそろ前線に出て、天魔との戦いを経験したいところ。
 とは言え最前線でがっつり組み合うには、まだ力不足である事は本人も承知している。
(今回は同行の諸氏が皆、強そうな人ばかりなのである)
 その戦いぶりを参考にしつつ、後方支援をしっかりこなすのが第一。
 その上で余裕がありそうなら、少し前にも出てみたいところだが。

 やがて眼下に黒く蠢く敵の姿を捉えた。
「迅速に片付け、人々の平穏な日常を取り戻しましょう」
 上空に舞い上がった廣幡 庚(jb7208)が、目視での確認と同時に生命探知を使う。
 見える範囲に人影はないが、ディアボロ以外の反応があちこちに点在していた。
「屋内退避している人も多い様です。そこに敵を近付けない様に追い込みましょう」
「しかし…悪趣味な造形だな。いや、これもいつもの事か」
 地上20mで静止したルナリティスが、先頭の一体にスナイパーライフルの照準を合わせる。
 ほぼ真上から光の筋が走ると、黒板を爪で引っ掻いた様な耳障りな悲鳴が辺りに響き渡った。
 それが他の個体にも伝染するかの様に、悲鳴が波の様に広がって行く。
「平穏な日曜日を脅かす悪い子には、お仕置きをしないとだねー」
 藍那湊(jc0170)が耳を押さえながら苦笑いを漏らした。
 ダメージや特殊効果はない様だが、これを聞かされるのは結構キツい。
 自分達は撃退士だし、仕事だから我慢もするが、屋内退避している人達には余り聞かせたくない音だ。
「戸締まりはしてるだろうから、それほどはっきりとは聞こえないと思うけど」
 出来れば何処か人のいない所に誘き寄せてから攻撃したい。
「向こうに田んぼがあったよね。俺が囮になるから、皆は後ろから追い込んでくれるかな」
 挑発スキルは持っていないが、相手に多少なりとも知能があるなら――
「変わった格好のお嬢さん、こちらで俺と遊びましょう?」
 町の中心に向かう群れの背後に降り立って、湊は声をかけてみた。
「振り向いてくれたら嬉しいな」
 無視するなら、ちょっと痛い目に遭って貰おうか。
 湊はアーイズビルクの魔法書を取り出し、敵の足元に氷の刃を突き刺した。
「ほら、こっちだよ」
 だがその挑発に乗って来たのは攻撃を受けた一体のみ。
 他はちらりと一瞥をくれただけで、自分には関係ないとばかりに背を向ける。
「何だよ、薄情だな!」
 反撃をかわして宙に舞った湊は、得物を氷の大剣に持ち替えて急降下、背中側から真っ直ぐに突き刺した。
「ここなら死角になる筈――」
 だが、大剣は背中で交差させた二本の長剣で防がれ、跳ね返されてしまった。
『これは遠距離からの狙撃の方が効果がありそうだな。下がれ』
 ルナリティスからの連絡を受け、湊は射線を空ける。
 直後、上空からの光線が敵の頭部を貫いた。
 間髪を入れず、湊がその首を叩き落とす。
 もう、悲鳴は上げさせない。

 一方、智美と武、日菜子の地上組は、押し寄せる大軍を迎え撃つ形となった。
 上空からの指示を受けて、それぞれに別の道を通り、敵へと迫る。
「道が狭いなら狭いなりに、戦いようはあるってね」
 日菜子は目に付いた一体に炎のアウルを纏った強烈なキックを叩き込み、周囲の注目を集めた。
 一人で塞ぐ必要があるなら、寧ろ狭い方が良い。
「出し惜しみは無しだ、全力疾走で完璧に完走してやる」
 懐に飛び込み、時雨・余燼で先頭の二体を纏めて叩く。
「爆ぜろ!」
 しかし、その頭上を軽々と飛び越えた一体が日菜子の背後を取った。
 無防備な背中に刃が迫る。
 だが懲罰する者が投げ付けた炸裂符がそれを阻止、手が止まった一瞬の隙を衝いて反転した日菜子が顔面に拳を叩き込んだ。
 耳障りな悲鳴が上がるが、お構いなしに連撃を見舞う。
「ありがとう、助かった」
 上空の懲罰する者に礼を言い、日菜子は使い切ったスキルを交換、それに合わせて得物も変える。
 欲を言えばもう少し手が欲しいところではあるが、他も似た様な状況だろう。
 上空からの援護を受け、闘気を解放した日菜子は燃え広がるアウルの炎と共に、目の前の敵に突っ込んで行った。
 時雨に比べて火力劣る点はCRを引き上げて相殺、寧ろプラスに持って行く。
「言わなかったか、最初から最後までクライマックスだとな!」
 周囲に要救助者がいないなら、ここで全力を出し切っても良いだろう。
「必中だ、運は関係ないッ!」
 振り下ろされる腕の一方を片手で捕らえて捻り上げ、残る刃の下を強引に押し通って、もう片方の手で炎のアウルを撃ち込む。
 体内に直接送り込まれたそのエネルギーは内部で爆発し、全身の穴という穴から溢れ出した。
 毛を逆立て、目玉を飛び出させたディアボロは、その場に崩れ落ちる。
「次にこうなりたいのはどいつだ? 全員か?」
 ハッタリだが、同じ技はそう何度も使えない事など奴等にはわかるまい。

「大量に押し寄せてくんじゃねェよ!?」
 そう言いつつも、武は待ってましたとばかりにショットガンを構える。
「こんだけ大量にいりゃ、狙わなくても当たるだろ!」
 敵の足元に弾をバラ撒いて足止めし、近付いて刀印を切った。
 炎を纏った球体が真っ直ぐな道に沿って飛んで行き、並んだ敵を焼き払う。
 温度障害を受けた敵には、庚が上空からPDWを撃ち込んで止めを刺していった。
 スキルが切れれば、後はショットガンと刀での削り合い。
「おっと、そっちに行くんじゃねえよ」
 道を外れて民家の庭に入り込もうとする敵に鉄数珠を絡めて引っぺがし、ついでに地面に叩き付けて転がして、刀で一刺し。
 飛び掛かって来るものは攻撃の軌道に手甲と刀を沿わせていなし、そのままカウンターで刀を叩き込――む事が出来れば良いのだが。
 何しろ相手は数が多い上に、四つ足の他に更に二本の腕を持っている。
 普通の獣と同じ感覚で避けようとしても刀のリーチは長く、また素早い動きから背中を狙われては対処が難しかった。
「だったら、こっちから飛び込んでやるか!」
 ショットガンで弾幕を張りながら敵集団に飛び込み、引き付けて闘刃武舞を発動、武の周囲を何本もの刀が舞う。
「後は気合いだ!」
 動けるうちは傷の治療も後回しだ。

 智美はまずコンポジットボウで敵の前線を削りにかかった。
「距離があるうちに少しでも倒しておきたいからな」
 次いで血界で能力を底上げ、縮地で一気に近付いて烈風突を叩き込む。
 敵の進行速度を考え、可能な限り移動力を上げた状態を維持しつつ、攻撃も全力で。
 素早く動き回る上にリーチの長い相手には、太刀よりも射程が長く、脚や腕に絡めて動きを封じられるワイヤーの方が適している様だ。
 生命探知を使った庚からの情報によれば、このすぐ後ろの家には人が残っているらしい。
「抜かれたら追いかけて倒す必要あるし」
 勿論、通すつもりはないが、多勢に無勢もあって油断は禁物だ。
 雷打蹴で注目を集めて侵攻を阻害しつつ、スタンや弾き飛ばしを併用して何とか踏ん張るしかない。
 駆けつけた湊の魔法による援護を受けて、智美は僅かずつではあるが敵を押し返していった。

 地上の援護をしつつ周囲の状況にも目を配っていたルナリティスは、群れから外れて単独行動をする数体の敵を発見、すぐさま仲間に連絡を入れた。
「聞こえるか?  今から敵をそちらに追い込むので始末を頼む」
 だが、地上班はどこも手一杯で、新たな敵を相手にする余裕はない。
「自分でやるしかなさそうだな…」
 アサルトライフルに持ち替えて機動力を上げ、高度を下げつつ接近、反撃の届かない距離から一方的に銃弾を撃ち込んだ。
「一気に攻める…!」
 中に人がいる事を匂いで知ったのか、一軒の家に取り付いて今にも壁を壊そうとしていたモノ達が、突然の襲撃に驚いて後ろに飛び退る。
 だが未遂に終わったところで威嚇だけで見逃す筈もなく、ルナリティスは全てが動きを止めるまで容赦なく引き金を引き続けた。

 庚が発見した現場では、既に破壊が始まっていた。
 応援を呼んだ庚は、建物を守る様に敵の前に立ち塞がる。
「これ以上の破壊は許しません」
 と、奥の方から助けを求める声が聞こえた。
「今助けます。もう少しだけ待っていて下さい」
 駆けつけた懲罰する者が上空から加勢に入り、炸裂符を投げ付ける。
 敵が僅かに退いたところで庚は火炎放射器を取り出し、炎状のアウルで焼き払った。
「大丈夫ですか?」
 家具の下敷きになっていた住人を助け出し、庚がヒールをかける。
 大きな怪我はしていない様だが、半分崩れかかったこの家にいては危ない。
「では、私が避難所まで運ぶのである」
 大丈夫、オバケじゃないし、怖くない――布の中を覗いたりしなければ、ね?

 他に危険な場所がない事を確認したら、最後の仕上げだ。
 地上班の三人に湊が加わり、残った敵を四方向から囲い込んで交差点へと追い込んで行く。
「さあ、舞踏会も終わりにしようか」
 大剣を手にした湊は愉しそうな氷の微笑を浮かべた。
 稲妻を纏った氷剣が振り下ろされ、その軌跡に氷の結晶状になったアウルが零れる。
 智美、武、日菜子の三人は残ったスキルのありったけを使い、上空からはルナリティスと庚の一斉掃射。
 包囲の中心に動くものの姿がなくなるまで、それは続いた。
 最後にルナリティスが周囲を捜索して、撃ち漏らしや生き残りがいない事を確認。
「これで任務完了、か」
 後は避難所にでも顔を出して、住民の無事を確かめれば良いだろうか。


 地上班が受けた傷のひとつひとつは、それほど深刻なものではなかった。
 しかし相手の数と攻撃の手数、双方が多かった事もあり、全てが終わった頃には満身創痍。
「でも大丈夫です、ある程度は回復出来ますから」
 庚は持てる回復術の全てを動員し、そこにルナリティスも加わって治療に当たる。
 対応が早かった為、民間人で怪我をした者は殆どいなかった様だ。
「うむ。よかったのである」
 懲罰する者がしきりに頷く。
 表情はわからないが、とても喜んでいるらしい事は、その嬉しそうな口調と頷く回数から伺い知る事が出来た。

 全てが終わり、帰途に就こうとした間際。
「そう言えば、天魔に好かれるひとがいるって小耳に挟んだのだけれど」
 湊が投げたド直球な言葉を投げた。
 勿論、悪気はない。それどころか善意の塊だ。
 それは、まだ避難所の中で放心した様に座り込んでいた、一人の男にクリーンヒット。
「…ああ、それ…俺だよ、うん」
 男は「あはは」と力なく笑った。
「…自分が天魔を呼び込んでいるのでは無いか?」
 それを聞いて、ルナリティスがふんと鼻を鳴らす。
「気にし過ぎだろう。それより生き延びている運の良さを喜んでおけ」
「うん、そうだよな…そうなんだけど、さ」
 この運を使い果たしたら、もうオシマイなのだろうか。
「何を馬鹿な事を」
 今度は日菜子が鼻を鳴らす。
「あんたも伊達に運だけで生き延びたワケではあるまい。この世はダイス以上に必然でコトが回っている。その必然の術を誰かに伝えて回ったらどうだ?」
「必然の、術…そんなもの、あるのかなぁ」
 意識した事は全くないのだが。
 まだ溜息を吐いている男に、庚がマインドケアをかける。
 一時的であれ不安や心配を取り除けば、少しは前向きになれるだろう。
 そして天魔ハーフの証である陰陽の翼を見せ、言った。
「私も、生きていてもいいですか?」
「はい?」
 待って、何故そうなるの。
「いや、別に、ハーフだからって…」
「天魔を倒す人間である筈の自分が、その天魔だとわかってから…今も自分にそう問い続けているのです」
 自分の存在そのものが大切な誰かを傷つけてしまうのではと、そんな恐怖を抱え、何かに赦されたいから。
「いや、天魔は俺も怖い、けど」
 男は庚の顔をじっと見つめながら言った。
「あんたは怖くないし、命の恩人のひとりだ。俺に言えるのは、それだけかな」
 いつの間にか男の方が元気づけ、慰める側に回っている。
 だが、そのお陰で何だか元気が出て来た様な。
「撃退士やってると、救えない人も多くいて苦しくなる事ありますが」
 智美が小さく笑った。
「貴方の様に頑張って生き延びてる人もいるんですよね。やってる事無駄じゃないって救われる気がします」
「もしまた何か不安になる事があったら…」
 湊がふわ、と微笑する。
「呼んでくれたら、駆けつけますから」
 アイドル活動は休憩しているが、人を応援したい気持ちは変わらない。
 心の疲れた人には、きっと笑顔が一番の薬になる。
「人生山あり谷あり。これまで不運続きだったのならば、これからはきっと良い事が続くに違いないのである」
 こくり、懲罰する者が満足げに頷いた。
「我輩自身の目的も、達成できて何よりである」
 最後に日菜子が男の肩を軽く叩く。
「不運を諦めるな、肯定しろ。そうすれば幸も不幸もあんたの味方だ」
 病は気から、不幸も気から。

「うん、ありがとう」
 男は安心した様に微笑んだ。
 どうやら更なる引っ越しの心配もなくなった。
 新しい生活が、ここから始まる――


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:4人

撃退士・
鈴木悠司(ja0226)

大学部9年3組 男 阿修羅
凛刃の戦巫女・
礼野 智美(ja3600)

大学部2年7組 女 阿修羅
桜花絢爛・
獅堂 武(jb0906)

大学部2年159組 男 陰陽師
理系女子・
ルナリティス・P・アルコーン(jb2890)

卒業 女 ルインズブレイド
星天に舞う陰陽の翼・
廣幡 庚(jb7208)

卒業 女 アストラルヴァンガード
烈火の拳を振るう・
川内 日菜子(jb7813)

大学部2年2組 女 阿修羅
蒼色の情熱・
大空 湊(jc0170)

大学部2年5組 男 アカシックレコーダー:タイプA
我輩はお化けではない・
懲罰する者(jc0864)

高等部3年21組 男 陰陽師