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マスター:塩田多弾砲
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2013/09/18


みんなの思い出



オープニング

 ジンギスカン。
 モンゴルの大英雄、チンギス・ハーンの事であるが、同時に北海道では、とある名物料理の名前でもあったりする。
 変わった鉄板を用い、たっぷりの野菜とタレとともに、羊の肉を焼く。羊ゆえに多少の臭みはあるものの、これがまた癖になる美味。わざわざこれを食べに、道外からやってくる者もいるくらいに。
 とはいえ、名物として定着した今は、道内の多くの店やメーカーが供している。それゆえ競争が激しく、各メーカーや関係者は、様々な方法での宣伝やアピール、売り込みに余念がない。
 ここ、竹尾ジンギスカンもその例にもれない。釧路市を中心にチェーン店を出している、北海道では中堅どころの店ではあるが、本州からの新興勢力含め、ここしばらくは売上に苦戦している。
 
「というわけで、若いのの力を借りたいんだが」
 学園にひょっこりやってきたのは、竹尾ジンギスカンの宣伝部長・大江山大座衛門。
「ずいぶんと、急な話だわね」
 霞ヶ関は知り合いが多いが、彼、大江山もまた知り合いの一人だった。
「こっちも商売だからなあ。今度行われる『北海道・北のグルメ大祭』を機に新製品を出したいんだが、その時にイベントの雑用などで、5〜6人ほど人の手を借りたいんだが。ちょっとしたバイトって扱いでもいいから、なんとかならんものかね」
「うーん。それはなんとかなるかもしれないけど……」
 別の問題があるのよー……と、霞ヶ関が言葉を漏らす。
「はい、その別の問題こと、わたし、参上!」
 タイミングを見計らったように、とある女子生徒が保健室の窓から現れた。実際見計らっていたのだが。
「……馬場さん、いつも言ってるでしょーが。入るんなら普通に扉から入んなさいって」
「いえいえ、普通に入ったら面白くありません。常識的な思考と行動にとらわれぬ事こそが、未来を切り開く若者に必要! そうは思いませんか?」
 などと、自分の非常識な思考と行動を、さりげなく擁護している女生徒。彼女の名は、馬場聡子。道内に展開している精肉チェーン店「テキサス」のオーナーの娘。
「それはともかく、はじめまして。馬場精肉店こと『テキサス』の馬場聡子と申します。以後お見知りおきを」
「これはこれはご丁寧に。『竹尾ジンギスカン』の宣伝部長、大江山です」
 互いに名刺交換すると、握手。
「で、馬場さん。問題とは?」
「はい。うちも肉屋。牛豚鳥以外にも、ジンギスカンを展開しておりまして、同様に売り込みしたいと思っているのです。ライバルはは少ないに越したことはないですし、できればそういうつぶし合いみたいなことは避けていただきたいなーと」
「とはいえ」と、話を続ける。
「こちらとしても、同業者に『出すな』みたいな事を強制したくないですし、するつもりはありません。そこで、うちと貴社とで互いに得になるやり方を話し合いたいと思います」

「……ってな事があってね。で、話し合いの結果……こういう事になったのよ」
 霞ヶ関が、君たちへと説明する。
 釧路の、「北海道・北のグルメ大祭」。そこで大々的に宣伝する。
 その宣伝方法は、キャラクターによるアピール。
 そしてアピールの具体的な方法は、「プロレス」。

「平たく言えば、互いの会社の宣伝キャラクター……に扮してプロレスして、肉の宣伝を行うってなわけ」
 食肉をプロレスのキャラクターとして擬人化し、デザインしたキャラクター。そのキャラクターに扮してプロレスし、肉をアピールする。
「筋書きはこうだ。悪のレスラーが大暴れして、牛肉や豚肉、鶏肉……のキャラクターを蹴散らす。そこに颯爽と羊肉のキャラクターが現れ、見事にやっつける。その後で、肉のキャラクターのサイン会や写真会、食肉の実演販売……って、こんな感じね」
 そう言って、デザイン画を差し出す。
「登場するレスラーは、善側が五人、悪側が三人」
 牛肉の「カイザービーフ」、豚肉の「ザ・ブタニク」、鶏肉の「チキン・ザ・グレート」。この三名は、もともと「テキサス」のイメージキャラクターとして、広告のイラストに用いられていた。
 それに混じって、今回の主役である二人……「ジンギスカンブラザーズ」こと、「マトン1号:ザ・テキサス」「ラム2号:ストロング竹尾」のデザイン画も。必殺技は、1号のマトンブラスター、2号のラムクラッシャー。合体必殺技の『ジンギスカン・ダブルインパクト』。
 悪側は「ミスター・マズイ」「キラー・クズニク」「オイシク・ナイト」の三人組。
「馬場はアフロ部設立しようとしてたらしいが、設立前にまた別のもんに目覚めたらしくてなあ。今度はプロレスに目を付けたらしい。で、マンガ研究部の知り合いに肉おごってデザインさせたそうだ」
 ちなみに本人曰く「アフロはまた別の機会にしたく思います。というか、『アフロが私に、もっと輝けと囁いている』んです。その結果、輝くためにアフロから一歩離れてみました。飽きたとも言いますが」。

「ま、それはおいといて。今回の依頼は、これらのレスラーに扮して、プロレス兼営業活動してほしいって事ね。派手なプロレスができる奴を大募集……との事で、興味あるやつ、体力に自信のあるやつ、プロレスなら任せろってな奴、リングで死ぬために生まれてきたのかもしれない的なやつ。そういう人間に参加してもらいたい。できれば筋肉質な男子…‥と言ってる」
 参加後には肉食い放題らしい。もっとも、あの馬場聡子の言う事だから、話半分で聞いておいた方が良さそうではあるが。
 ファイティングスタイルも、お任せする……という。ルチャ系の派手に動き回るのもいいけど、重量級なパワーファイターとしての力強い戦い方も見てみたいらしい。
『だってその方が、肉食ってるって感じするでしょ?』とは聡子の談。
 一応、ジンギスカンの二名とカイザービーフは技巧派、ブタニクはパワーファイターげのをイメージしているとの事だが。と言っても、厳密に決めているわけではないので、こちらもお任せ。
『まー、面白くてかっこよくて宣伝になれば基本なんでもOKですよ。っても、アフロに無駄に拘ってしっちゃかめっちゃかにするような事は厳禁ですが』とは、ちょっと前までアフロに拘ってた聡子の談。

「というわけで、参加希望する物好きは早めにエントリーしてくれ。誰が誰を演じるのかも、ちゃんと決めておくように」


リプレイ本文

:ラウンド1:自己紹介!

「こたびは参加ありがとうございます。竹尾ジンギスカン宣伝部長・大江山と申します」
 礼儀正しく、名刺を差し出す。
「同じくー。馬場精肉店『テキサス』の社長代理、馬場聡子ですー」
 こちらは、やる気も礼儀もまるで感じられず。
「はー、できれば男性限定っつったのに、なんで女性ばっか? 最近の若人は募集要項をちゃんと読んでないんですかね(ガッ)……ノーッ! ギブギブ!」
 最後の「ガッ」は、聡子の隣の、線細め美女の仕業。彼女が聡子の顔面に、アイアンクローを食らわせていた。
「失礼。私は『テキサス』の社長秘書、緋勇逸子と申します。仕事のできるか弱き美人秘書、と覚えてくださいませ」
「か弱き〜? 暴走族全員のナニをつぶし病院送りの経歴持ちが……いたいいたい痛い! それ以上はマジ死ぬから!」
「……それでは皆様、自己紹介をお願いします」
「あ、あーっと……ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)。よっしく。こんな美女の頼みなんだ。マジ頑張っちゃうよ?」
「まあ、白い長髪が素敵。カイザービーフ役ですか? よろしくお願いします」
「俺は、風見斗真(jb1442)。オイシク・ナイトをブレイブに演じるぜ!」
「いたたたた……はい、よろしくです。……うーむ、その私服のセンス。まるで青と赤な人造人間っぽいですねえ。笛の音聞くと良心が痛む的な」
「私は、遠石 一千風(jb3845)です。プロレスは初めてだけれど面白そうね。当日は、ジンギスカンブラザーズ改めシスターズのラム2号を演じます」
「はぁ?『改め』って? 聞いてない……」
「逸子ラリアット!(ドガッ)……聡子さん、黙ってて下さい。マスクとコスチュームも変更? はいはい。こんな美少女が演じてくれるのなら、変更大歓迎ですよ♪」
「美具 フランカー 29世(jb3882)ぢゃ。今回セコンドとして参加させてもらうぞ。美具の代わりには、この召喚獣・ヒリュウにマスクマンさせる予定ぢゃー」
「痛たた……って、だーかーらー、そんな勝手な事は……」
「逸子ボンバー!(どごっ)……失礼。こんなかわいい召喚獣なら、当日の活躍に期待ですよー♪」
「……俺は桐山 晃毅(jb6688)、キラー・クズニク役だ。プロレスはガキの時分から見ていました。今回はよろしく頼みます」
「はい。竹尾ジンギスカンも今回は全力でバックアップします。よろしくお願いします」
「私は満月 美華(jb6831)。大江山さん、試合を成功させるためにザ・ブタニク役を頑張りますわ」
「はい、頼りにしてます」
「わらわはジャル・ジャラール(jb7278)! ジンギスカンブラザーズ改め、シスターズのマトン1号ザ・テキサス役だぞ! わらわに任せておけば成功間違いなし! 大船に乗ったつもりでおれ!」
「は、はあ……元気そうで何より」
 大江山の後ろでは、「また設定改変ー!」と叫ぶ聡子と、「美少女だからいいんです!」と、聡子にインディアンデスロックをかけている逸子の姿が。
「ゲルダ グリューニング(jb7318)と言います。ミスター・マズイを演じます。頑張ります!」
「はい、期待してます……」
 そう言いつつ、大江山は後ろをちらり。
「美少女さえ出てればいいのかー!」とわめく聡子に、「黙れっつってんです! 美少女は正義!」と、逆エビ固めをかける逸子。
 出演者たちの頼もしさと比例するかのように、こっちの不安感が半端ない大江山だった。

 そして当日。
 観客席は満員。レスラーたちの出番がやってきた!

:ラウンド2:試合開始!

『皆さんお待ちかね! 美味と正義のスーパースターたちです!』
 司会の声が、会場内にこだまする。
 流れるは、勇壮なテーマ曲。
『その味、最強無敵の皇帝級! 「カイザービーフ」!』
 花道を通り、リングへと軽やかに飛び上がり……マスクマンがコーナーポストを飛び越えて、リング内へと降り立った。
『我が名は……カイザァァビイィィィフ! 正義の美味の伝道者!』
 それが終わると、力強いテーマ曲が。
『豚のパワーを、知ってるか!? 豚のスタミナ、知ってるか!? パワー・スタミナ・ナンバー1! 「ザ・ブタニク」!』
 ふくよか体型のレスラーが、リング内に。コスチュームにウレタンを入れ、より太目の体型に。彼女は、同時にパワーもアピール。
『豚でも華麗に戦いますわよ!』
 そして、最期のレスラーのテーマ曲。
『煮て良し焼き良し揚げて良し! オールマイティ・スペシャリスト! 「チキン・ザ・グレート」!』
 カイザーと同じく花道から出て、空中で二回転し、コーナーポスト上に降り立つ。
『みーっ!』
 召喚獣・ヒリュウにレスラーのコスチュームを着せた姿だが、主に女性からの『かわいいーっ!』という歓声が響く。
 その様子を見て、「よーし、うむうむ、よーし」と、ドテラに腹巻、ステテコに眼帯姿の美具は満足そうにうなずいていた。

『肉の帝王! 牛肉は、食べ方も多種多様! みんな大好き牛丼! しゃぶしゃぶ! 握り寿司!!』
 リング上では、カイザービーフがマイク片手に肉アピールしている。
 カイザーのセリフとともに、周囲のスクリーンには料理の映像が大写しに。
『牛が帝王なら、豚は肉の大王! ビタミンは牛以上! スタミナも牛以上!』
 入れ替わり、ザ・ブタニク。スクリーンも、豚肉料理の映像に。
 ザ・ブタニクに続き、チキン・ザ・グレートが宙返りしてリングに降り立った。
『みーっ!』
『「鶏肉も負けては無い」? 「カロリーオフなら任せとけ、脂少な目ササミでダイエットもOK」?』
 カイザーが、チキンの言葉を代弁する。
『「焼き鳥つくねに、照り焼きと、こちらも千差万別自由自在」? いかすぜ、鶏肉!』 そして、スクリーンに鶏肉料理の映像が。
『皆、絶対食べてくれよな!』
 が、カイザーのその一言が終わらぬうち。毒々しい色のスモークが!

:ラウンド3:悪役登場!

『!?』
 スモークと同時に、耳障りなテーマ曲。人を不安と不快に引っ張る曲とともに出現するは……。
『出たーーっ! 最強最悪、激マズ軍団のお出ましだーっ! これは不味いぞ、色々な意味で!』
 ブーイングの中、三名のレスラーがリング上に上がった。
 最初に上がるは、上半身に甲冑を着たレスラー。
『美味は全て破壊! マズさと邪悪と破壊の騎士! 「オイシク・ナイト」!』
『デリシャス反応あり、破壊! 破壊! 破壊でゴザル!』
 甲冑を脱ぎ捨て現れるは、西洋鎧を思わせるコスチューム姿。
 ナイトに続くは、巨漢のレスラー。
『顔も根性もクズなれど! 憎らしい程ストロング! 極悪クズ肉製造機! 「キラー・クズニク」!』
 ボディスーツを引きちぎり、醜いマスクとコスチューム姿に。
『肉なんざ食えりゃいい! 味? 知ったことか!』
 吼えると、観客席からは子供の泣き声が。
『邪悪なるジェントルメン! 美味を憎み、美味しさを嫌う最低紳士! 「ミスター・マズイ」!』
 三人目は、燕尾服をモチーフにしたコスチュームに、片眼鏡マスク。
『鶏だの豚だのやかましいのダー! 肉などどれも同じ、激マズミンチダーッ!』
 くるくるとステッキを手にして、憎々しげにマイクアピール。
『待て! そんな事は我々が許さない!』
 カイザーらが立ちはだかる。
『ならば、止めてみやがれなのダーっ!』
 言うが早いが、ゴングが鳴った!

:ラウンド4:ピンチ! 絶体絶命!
 クズニクが、ブタニクをロープめがけて投げつける。
 ロープがたわみ、その反動でクズニクへと体当たりするブタニク。
『このダイナマイトボディで押しつぶしますわよ! 「豚岩弾」!』
しかし……。
『効かねえな! 「クズニクプレス」!』
 そのまま弾き返し、パワープレス! 倒れるブタニク。
『タッチだ!』
 チキンと交代するブタニク。しかしクズニクは、オイシク・ナイトと交代する。
『悪のレスラーが時に野心を抱き、世界征服を夢見た時に……君はどうする、君はどうする、君はッ! でゴザル!』
 そのまま蹂躙せんと、矢継ぎ早にナイトがキック、キック、キック! 何とかしのいだチキンは、空中に飛び上がりフライングキック!
『燃える闘志と、憎しみは……冷たく邪悪な、マスクの中! 誰も知らない俺たちの……』
 が、ナイトはチキンの攻撃を受け、その勢いでリングに叩き付けた!
『これがこれが秘密の、秘密の切り札でゴザル!』
『みーっ!』
 チキンが、苦しげな声を上げる。
『はーっはっはっはーっ! 死ね、死ね、死ね死ね死ね死ね、死んじまえでゴザル!』
『そうはさせるか!』
 チキンとタッチし、カイザーが。が、カイザーが組みつくと同時に、後ろからマズイが攻撃!
 よろけるカイザーの顔を、ナイトと交代したマズイがつかみ、頭突き!
『ふふふ、我が召喚獣「パイプ椅子」に恐れ戦くのダー!』
 リング下から、クズニクに出させたパイプ椅子を手に取り、それをカイザーに叩き付ける!
『ぐわっ!』
 何度も何度も叩き付けるが、そのたびに耐え抜くカイザー!
 観客からのブーイングが、更に大きくなるのを見計らい……マズイはダメージを食らったカイザーをニュートラルコーナーへ叩き付ける。
『第二の召喚獣「一斗缶」もあるのダー!』
 ぐったりしたカイザーへ、リング下から取り出した一斗缶で一撃! 一撃! 更に一撃! 
『おーっと! どうしたカイザー! これは不味いぞ、いろいろと!』
 リング中央に倒れたカイザーに、コーナー上に上るクズニク。
『ピーンチ! クズニク、「スーパークズニクプレス」をかますつもりかーっ!?』
 巨体を翻し、ダイビングボディプレス! それを食らったカイザー、大ダメージ!
 そのままリング外に戻り、助けに入ろうとしたブタニクを掴むと、アナウンス席へと投げつける!
 ナイトも同じく、チキンを掴み膝蹴り!膝蹴り!
 マズイ、一斗缶を掲げ、カイザーに止めを差さんとする!
 クズニク、再びコーナーリングに上り、再び必殺技を狙う!

 が、そのピンチに!
『『待ちなさい!』』
 雄々しき二人の声が、リングに響いた!

:ラウンド5:登場!ジンギスカンシスターズ!

 新たなテーマ曲とともに、花道を走り跳躍した二つの影!
『そこまでだ! 肉を愚弄する者たちよ!』
 二人のレスラーが、リングに降り立った!
『わらわは、マトン1号ザ・テキサス! 肉を愛する者たちに誘われ見参!』
 羊をモチーフにしたマスクとコスチュームの、小柄な方が言い放つ。その胸には、テキサスの企業ロゴ。
『同じく、ラム2号ストロング竹尾! 肉の美味しさ、貴方たちから守ってみせる!』
 もう一人が、続き言い放つ。胸には同様に、竹尾ジンギスカンの企業ロゴ。
『『我ら、ジンギスカンシスターズ!』』
 カイザーとタッチし、ラム2号がマズイへと突撃する。一斗缶を振るうマズイ、が、それを回避し、ソバットを。
 バランスを崩し、一斗缶を取り落とすマズイ。すかさずその首根っこを掴み、首投げを決めるラム2号!
 2度、3度と投げを決め、観客から歓声が。
 が、後ろからナイトの攻撃を受け、リングに倒れる。
『がんじがらめの罠を仕掛け! 破滅を企むのは、俺だ! でゴザル!』
『ぐっ!』
 更に、立ち上がる時、ナイトの一斗缶、マズイのパイプ椅子のダブル攻撃!
『目には目を歯には歯を! ルール無視の俺らに! 愛の掟で戦う? アホか! でゴザル!』
『弱すぎなのダー! ジンギスカン!』
『卑怯じゃぞー! 立て! 立つんだラム!』
『タッチだ!』
 美具の声とともにタッチし、マトン1号と交代するラム2号。
 しかし、タッチせずにリング上に出てきたクズニクが、マトン1号の前に。
 マトン1号がつかみかかるも、軽く突き飛ばされる。
『お前のようなチビが、俺と戦う? 遊ばれるの間違いだろう?』
 チッチッチ……と、侮るように指先を振る。
『うぬぬ! わらわの力はこんなものでは……あいたっ!』
 突き飛ばされ、しりもちを。
 が、そこで美具らにより観客席に配られる、試食用のラム肉。
『そうだ! ここには肉を愛する者たちがいるではないか! 皆よ、食べてその力を貸してくれ!』
 美具から手渡されたラムチョップを受けとり、それを持って見せつけるようにかぶりつく。
 同じく、ラム2号も串焼きをコーナーリング上にてかぶりついた。

:ファイナルラウンド:逆転!正義は勝つ!

『うおおおっ! 力がみなぎってきたーっ! 皆の肉への愛、受け止めたぞ!』
 クズニクへと突進しラリアット! 吹っ飛び倒れるクズニク!
 起き上がったクズニクが、ラリアットをかまそうとするも、小柄なために当たらない! よろけるクズニクの身体にとりつき、技を!
『マトンブラスター!』
 さらに、両足を抱えてジャイアントスイング!
 それをカットしようとリングに上がるナイトにマズイだが、カイザーとブタニクに引きずりおろされる。
『行くぞ! A5フランケンシュタイナー!』
 場外乱闘! リングサイドで、技をマズイに食らわすカイザー! フラフラになったマズイへと、チキンのフライングクロスチョップ!
『不覚、ダーッ!』ダウンするマズイ!
『ふざけるなーッ! 俺が、俺が、俺が正義だーッ!でゴザル!』
 仇討ちとばかりにカイザーに肉薄するナイト。しかし、ラム2号の足に首を挟まれ、フランケンシュタイナーを食らう!
『ラムクラッシャー!』
『た、タイムリミットが近い……でゴザル……』
 ヘロヘロになり、そのままダウン!
 そしてリング上。同じく回転され、ヘロヘロのクズニク。
『見よ! これが肉の力だ!』
 闇の翼を広げ、ラム2号を抱え空中に飛び出すマトン1号。そのまま、2号は空中へと飛び出し、クズニクへと飛び蹴り!
 よろめくクズニクへ、マトン1号が止めの一撃!
『『ジンギスカン・ダブルインパクト!』』
 地響きとともに倒れたクズニクへ、フォール!
『1! 2! 3!』
『ウィナー、ジンギスカンシスターズ!』
 ゴングが鳴り響く中、二人のレスラーが勝利のポーズを決めた!

:試合後:戦いすんで日が暮れて

「皆様、今日はありがとうございました」
 打ち上げの会場にて。皆に飲み物を配り、逸子は乾杯の音頭を取っていた。
「お陰様で、テキサス、そして竹尾ジンギスカンさんの両方にとって、良い宣伝活動になりました。つきましては、ささやかなお祝いの席を用意しましたので、皆様……どうか召し上がってください」
「……おいしい!」
 初仕事を追えて、ゲルダはジンギスカンに舌鼓を打っていた。
 大変だったけど、やりがいもあった。皆さんも、こういう充実感の中で仕事していたのかな……。
「おい、わらわにもっと肉をよこさんか!」
「そちらの味付け豚肉、こっちにわけてくれません?」
「ん? ヒリュウ、その鶏肉うまいか? 美具も好きだぞ」
「んー♪ 牛肉うめーっ!」
 先輩たちを見ると、肉の取り合い。
「……頑張ろう、色々な意味で」
 そういう決意も新たに、肉を食らうゲルダだった。


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: −
重体: −
面白かった!:3人

ドS白狐・
ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)

卒業 男 阿修羅
ハウリングブレイカー・
風見斗真(jb1442)

大学部4年80組 男 ナイトウォーカー
絶望を踏み越えしもの・
遠石 一千風(jb3845)

大学部2年2組 女 阿修羅
怪傑クマー天狗・
美具 フランカー 29世(jb3882)

大学部5年244組 女 バハムートテイマー
鉄拳をもって教えてやる・
桐山 晃毅(jb6688)

大学部8年72組 男 ルインズブレイド
チチデカスクジラ・
満月 美華(jb6831)

卒業 女 ルインズブレイド
葡萄園の悪魔(食欲的な)・
ジャル・ジャラール(jb7278)

小等部5年3組 女 陰陽師
マインスロワー・
ゲルダ グリューニング(jb7318)

中等部3年2組 女 バハムートテイマー