.


マスター:如月修羅
シナリオ形態:ショート
難易度:易しい
参加人数:10人
サポート:6人
リプレイ完成日時:2013/04/21


みんなの思い出



オープニング

●山菜とお花見を楽しもう
 ぜんまい、たらのき、つくし、よもぎ、ノビルにハコベ、ふきのとう……。
 まだまだ山菜は沢山ある。それらを天麩羅やおひたしにして頂こう。
 そして咲くは満開の桜! さぁ、宴会をしませんか?

●招待状です
「というわけで、東北のとある村で村おこしの一環で山菜INお花見祭りをやるんだって!」
 ネーミングセンスないね、とは誰も言わなかった。空気を読む、大切である。
「このぐらいの……小さな笊に山菜を取り放題! んで、会場ではお金を払って自分たちで料理もできるし、山菜はお土産にしちゃって屋台で物を買うことも可能だよ! あ、勿論危ない山菜じゃないかとかはベテランさんが調べてくれるから、安心してね」
 このぐらい、と小さな笊を示す。ちなみに1000久遠払えば、会場においてある設備&材料で色々できるらしいし、初心者はその会場にいるおばあちゃんたちに料理を教わることも可能だそうだ。
「まぁわかってると思うけど、山菜の乱獲は禁止! 来年楽しめなくなっちゃから、一つ、二つは残すっていうのも必要。あと、会場は綺麗に使いましょう、ゴミはゴミ箱に!」
 あとは、まぁ未成年の飲酒は禁止だよね、と笑い、あぁ、一番大切なの忘れる所だったと、大声をあげた。
「桜が見ごろなんだよ! 会場の中心には大きな立派な桜があってね、その周りにも千本近く桜があって、もう凄く綺麗なの! 日ごろの疲れを癒してみるのもいいんじゃないかな!」


リプレイ本文

●満開の桜の下で
 山菜INお花見祭りに揃ったのは総勢10名だった。グループ参加ということで、礼野 静(ja0418)が皆から100久遠ずつ集めて代表で払う。これで、料理もすることが可能になった。
「……これくらいしか、お役に立てませんから……」
 そんなことないない! という声の中、さてでは山菜採りに行きましょうと皆動き出した。そんな中、澄野・絣(ja1044)とシエロ=ヴェルガ(jb2679)が待っているという。
「お姉様方に、色々聞いておきます」
 お姉様とはおばあちゃん達のことである。楽しそうにお茶を飲みながらお話に花を咲かせていた。そんな中へ声をかけ入っていく。
「クリフ、ちゃんとアダム見ててね? クリフがいれば大丈夫だとは思うけど」
 大丈夫だよ、しーちゃんという声に安堵しながらも準備を二人で行う。貸し出しをしている料理器具を二人で洗ったり、用意したり。
「アダム、大丈夫かしら……。一番心配なのよね……」
 ぽそりと漏れるのは、そんな言葉。どれだけ心配なのか。安心させるように絣が微笑んだ。
「大丈夫ですよ。さぁ、そろそろ聞きませんか?」
そうね、と笑いあい、談笑しているおばあちゃんたち声をかける。
「すみません。山菜の下処理の方法、教えて貰ってもいいですか?」
「お姉様方、私にも教えてください」
「おやおや、二人とも勉強熱心だねぇ……アクは米の研ぎ汁に入れて……。あぁ、こういった山菜は、筋を採ると歯ごたえがいいよぉ」
 楽しげな笑い声が響きわたった。

●山菜採りですよ!
 そして此方山菜採りメンバーである。
「え? これ? これ食えるヤツ? 採っていいの?」
「いいですよー。ほら、木の根元とかゆっくり見てくださいねー」
 マナーを守って山を歩く……と心に誓いながら花菱 彪臥(ja4610)が案内人に色々聞きながら山菜を採る。山に登る軽装は準備万端だ。
「あ。採れたー!! へっへー、山菜初ゲットだぜっ!」
 笊に入れていきながら、にこにこ微笑む。その隣では、御堂島流紗(jb3866)も楽しげに山菜を採っていた。
(山菜INお花見祭って良い名前だと思うんですけど……ネーミングセンス無いのでしょうか……?)
 首を傾げつつ、フキノトウを採る。勿論、山のマナーを守って全部採るなんてことはしない。
 耳や尻尾を隠して、とすでに隠した状態のアルクス(jb5121)がきょろきょろと辺りを見渡した。料理は出来ないから、山菜採りで……と気を入れる。けれど……やはり山が気になる。
 山には小さな花や木の実がついたりしていた。まだまだ蕾が多いが、その蕾も元気いっぱいに青々しい。鳥達が囀っている姿を見て笑みが毀れる。
 ぱちり。一枚、と写真を撮った。
(せっかくカメラも持ってきたから、撮れたら写真も撮ろう。山から下りた後、皆で見て楽しむ事も出来そうだよね)
 そんな中、アグレッシブに楽しんでいる者達も居た。最上 憐(jb1522)。光纏をして入って準備は万端。野生のカンと食べ物の匂いで的確に山菜を採っていく。
「……ん。あっちから。食べ物の。気配」
 誰も届かない岩場の影とかの山菜も採る。タラの芽なんか美味しそうだ。
「き、気をつけてくださいねー?!」
 案内人が声を上げる。そして仲良く二人? で採っている者達が居た。
「ヘビイチゴでジャムが作れるんだって」
 クリフ・ロジャーズ(jb2560)の言うとおり、ヘビイチゴは食べられる。ただし、味はまったくないのでそのまま生で食べるとしょんぼりすることになるから注意だ! ちなみに毒があるというのは迷信である。
「おれはへびいちごをさがす旅に出る! みんな、心配するな……おれは必ず帰ってくる!」
 カッと稲妻のようなものが見えたのは気のせいだろうか。アダム(jb2614)が見えもしない敵相手にくるっと地面をターンした。さすが撃退士だけあってその身のこなしは素晴らしいが、でもなにも居ない。
 案内人は、ただ微笑ましそうに二人を見ていた。ちなみに、ヘビイチゴの群生が見つかるのはあとちょっと未来のお話。
 その後ろから九十九(ja1149)がのんびりと歩いてくる。山菜採りも気になるけれど。
(山は良いねぇ。ん……なんか落ち着くさね。それに桜が綺麗だねぇ。の〜んびりと景色を愉しむとしようかねぃ)
 木の上に登り、そこから下を眺めてみる。皆楽しげにそれぞれ採っていた。 
 妹達に話を聞いてきた静。ゆっくりと採る。
「……『たらの芽は毎年とっているなら上にしか芽が出ないし、木は凄く高くなるし、とげが多いんだから、姉上は手を出さない方が良い』って言われまして……下の妹に言わせると『天麩羅にするならたらの芽が一番美味しいのに』だそうですけど」
「じゃぁ俺とってくるよ! それに、ちょっと遊びたかったし!」
「お願いします、気をつけてくださいね」
 上は危ないからと下にある収穫のポイント……勿論下の妹から教えてもらったのを思い出しながら一つ一つ丁寧に入れていく。そして、彪臥といえば小天使の翼でぱたぱたと飛べばタラの木を見つけた。
「へへー、でっかい木に登ってみたかったんだよなっ」
 勿論採りすぎることはなくちょこちょこ採らせてもらう。そして。
「九十九、隣いいー?」
「花菱さん、どうぞ」
 幹に寝そべっていた九十九の隣にと、邪魔にならないように腰を下ろす。
「皆は……おー、あんな斜面にへばりついて、面白そうだなー」
「ですねぇ……」
 落ちないように胸元に居た三毛猫のライムがにゃーっと鳴いた。採ってきた山菜を見せながら、二人と一匹で笑いあう。
「どう料理しようかなー!」
「聞いてみるといいんじゃないですかねぇ」
 アドバイスに、それがいいじゃんね! と大きく頷いた。待っていてくれる二人が、きっと美味しく料理してくれるだろう。
 そんな中元気いっぱいは……、アダム&クリフコンビだろう。ヘビイチゴってこんなに元気いっぱいに採るものだったか、採るものだったかもしれない。
「くりふー! くりふー!! みろ! おれの大冒険の末のたからものだ!」
 ハンカチに包んだヘビイチゴを見せれば、此方もさりげなく採っていたクリフ。頷いて微笑んだ。
「ジャムにするからには沢山採らないとね」
 案内人に聞いた所、ヘビイチゴを採る人はまず居ないとのことだったので、寧ろ採ってくれるとありがたいとのことだった。とはいえ、動物達で食べるものもいるかもしれないから、残してほしいとは言われたが。
 アダムが一人またちょっと離れた所に走って行ってしまった。見える範囲だから大丈夫だとは思うが……。
 そんな時、がさっと音が聞こえた。イノシシだろうか? エンカウントしてしまったアダムの平和的解決を行うための声が聞こえる。
「ま、まつんだ! おれのこと、おそってもいいことない!」
 きりっとしたその表情と声にクリフが慌てて駆けつけてみれば……。
(小脇に抱えて逃げよう……)
「………ぇ?」
 小鹿だった。え、すみませんっていう表情をしている。怖がりなので、すぐに走り去って行ってしまった。
「まぁ……無事だったようでよかったよ、アダム」
「べ、べつにこわくなかったからな……!」
 寧ろ可愛かったような気がするが、ぎゅってしてみた。
 そんな中、物音に気が付いていたのは憐だ。
「……ん。猪とか。熊とか。出ないかな。食材に。欲しい」
「あーそれには許可が必要だぁ。お譲ちゃんにはまだ無理だねぇ……」
 残念という表情をしていたが、確かに狩猟には許可が必要である。しょうがないだろう。
 さて、そろそろ皆の笊も一杯! 案内人が今一度確認するが、どれも危なくない山菜である。皆にっこりと微笑み下山した。

●料理の時間
 お帰りなさい、と迎え入れられたそこは、おばあちゃん達と和気あいあいしていた。こんな風に若い人たちがくるのも珍しいのだろう。
 料理が出来ない人達はそのまま頼んで屋台の方にと向かう。
「先ほどお姉様達にきいておきました!」
 着物の袖を捲りあげ縛った後、髪を後ろに結い絣がてきぱきと料理を始めた。それに教わるのは下拵えぐらいは……と静だ。
「えぇっとですね……」
 絣から説明を受けた後、土筆の卵とじを作り始める。お姉様方お勧めのやはり山菜といえば、やはりそのまま楽しめるお浸しである。ただ、茹でるだけではない。筋をとって……等とすると結構手間暇かかるものなのだ。せっせとする絣。
「しーちゃん、下ごしらえってどうやったらいいのかな?」
 クリフの質問に答えるはシエロだ。
「クリフもお疲れ様。ワラビ、ゼンマイ、フキノトウなら灰汁抜きして? 重曹貰ったから」
「あぁ分かった」
 そんな中ひょいっと現れたのはアダムだ。
「シエロー?な につくってるんだ? たべていいか? いいよな?」
 答えを聞く前に食べる姿は堂にいっていたが頭をぺしんと叩かれる。
「勝手につまみ食いしちゃ駄目でしょう?」
 後片付けに奔走するのはアルクス。
(料理はできません! でも、自分が出来ることをするっていうのは、いいものだなぁ……)
 洗いおわった食器を置きながら、そっと周りを見る。
(皿洗いには、特に知識も経験も必要ない、よね?)
 大丈夫、多分ない。そんな中、皿等を用意するのは流紗。時折ぼんやりと手際よく用意する皆を見る。一部なんか騒がしいがそれはそれだろう。
(素敵ですの〜。私もこうなりたいなぁ……って思うのですの。思う存分美味しい料理作って自分で食べるとか素敵ですの)
 人数分まとめられた皿と、箸やその他諸々。きちんと並べ終えれば自然と笑みが毀れた。きっと、楽しい時間が過ごせるの! そんな楽しい予感が胸に広がる。
 はてさて、屋台では憐が屋台を全滅させる勢いで食べていた。
「……ん。あるもの。全て。大盛りで。頂戴」
 流石に品切れになって他の人が楽しめないのは……! と言われれば素直に頷く。だがしかし、全店制覇しよう。そう思う。
 制覇する前に、料理は終わるのだろうか?
 やがて、料理が作りおわった人で買いたい人があっちこっち見て回る。
 それもひと段落すれば、皆会場にと集まった。

●のんびり楽しみましょう!
 出来た料理を囲み、宴会が始まる。場所はすでに二人がとっていた、千本桜に囲まれているような……そんな綺麗な場所だった。沢山の薄いピンク色が、青い空の下優美に咲く。
 はらはらと桜が舞い、皿の上を彩る。さざめきがまるで一つの音楽のようだった。
 下から見上げる桜はとても強い存在感を残す。料理を一口含めば、皆の顔に笑顔が広がった。
「……ん。美味。やはり。生で。食すより。調理して。貰う方が。美味しいね」
「美味しー!!」
「これ、どうやって作ったのかね」
「えぇっとですね、これは……」
 そんな声が上がる。出来たての料理はとても美味しい。勿論それだけではない、自分で採った、自分で料理した。そして、皆で食べた。それが、なによりのスパイスなのだ。
 今日、共に過ごした時間、それが何よりも料理を美味しく引き立てる。
 はらりと桜がコップにと飛び込めば、小さく微笑みを浮かべた。なんとも言えず風流だろう。一つ、二つと皿の中身がなくなっていく。
「……あの、皆さん、全員で写真とりませんか?」
 宴も半ば。そう言ってカメラを取り出したのは静。家族に見せたいと言う。勿論撮ったのは後日皆さんに配りますと微笑めば、では私が撮りましょうと案内人が立候補してくれた。
 全員がぱちりと一枚の写真に収まった。
「あ、せっかく撮った写真みようよ!」
 アルクスが来なかった二人にも見えるように写真を見せる。そして、それも終われば今度は演奏が始まった。まずは九十九が一曲即興で弾きはじめる。それはとても清々しい今の季節にとてもあう曲だった。
 次は……と、視線をやれば絣と視線が合う。横笛を手に取った。優しい曲を、と二人合わせ始めた。
 それに手拍子するのは流紗。
(私は演奏できないですの。でも……こうやってやるのも、素敵ですの!)
 手拍子も曲の一部の用に響きわたるのだ。その隣で楽しそうに微笑んでるのは彪臥だ。
(桜を見てると……なんだかぼーっとする)
 けれど、今は楽しく。はらはら舞う桜は何かを思い起こさせるけれど。
 その近くでは三人が楽しく料理を食べていた。勿論皆と楽しむことも忘れない。
「色んな塩で食べてみたいって思ってたんだ。ありがとう、美味しいよ」
 天ぷらにつける塩をくれたシエロにお礼を言うクリフ。ちなみにそっとヘビイチゴジャムの乗ったクラッカーをアダムに渡している。
「アダム。どう? 美味しい?」
「おいしいぞ!」
「優雅よねぇ……魔界に居た頃は想像も出来なかったけど」
 桜を見上げてシエロが呟く。そして、そんな中一心不乱に食べていたのは憐だ。
「……ん。桜は。綺麗だけど。私は。花より団子」
 そんな楽しい時間もやがて終わりを告げて。
 皆で後片付けをしてその場を去る。
 また来年。この桜の下で出会えたら。
 そんな言葉とともに……。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:7人

祈りの胡蝶蘭・
礼野 静(ja0418)

大学部4年6組 女 アストラルヴァンガード
日月双弓・
澄野・絣(ja1044)

大学部9年199組 女 インフィルトレイター
万里を翔る音色・
九十九(ja1149)

大学部2年129組 男 インフィルトレイター
いつでも元気印!・
花菱 彪臥(ja4610)

高等部3年12組 男 ディバインナイト
カレーは飲み物・
最上 憐(jb1522)

中等部3年6組 女 ナイトウォーカー
天と魔と人を繋ぐ・
クリフ・ロジャーズ(jb2560)

大学部8年6組 男 ナイトウォーカー
くりふ〜くりふ〜・
アダム(jb2614)

大学部3年212組 男 ルインズブレイド
月夜の宴に輝く星々・
シエロ=ヴェルガ(jb2679)

大学部7年1組 女 陰陽師
ドォルと共にハロウィンを・
御堂島流紗(jb3866)

大学部2年31組 女 陰陽師
撃退士・
アルクス(jb5121)

高等部2年29組 男 ナイトウォーカー