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マスター:樹 シロカ
シナリオ形態:ショート
難易度:非常に難しい
形態:
参加人数:12人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2013/12/24


みんなの思い出



オープニング



 決断の速度。
 何時だってそれが運命を分ける。
 即座に日常を放棄し、家財を放棄し、避難に移る、これはなかなか、普通の人間には取れる行動ではない。
 しかし、行動の素早い者というのは何時の世にもいるものだ。
「原住民というのも、なかなか鼻が効く、いや、だからこそか? ……まぁ理由などはどうでも良い」
 空、黒い外套に身を包み、紫焔の両翼を広げて、壮年の男が舞っていた。
 視線の先、地上。
 富士市の西、静岡市へと向かう車道。山と駿河湾の間を抜ける東海道に、車が列を成して西へと向かっていた。
 この地域で天の軍勢が攻めて来るのは良くある事だった、だから人々は襲撃の報に慣れている。
 だが、サリエル軍とガブリエル軍の二大軍団の大攻勢を受け、今回ばかりは危ういのではないかと判断した危機意識の高い一部の市民は、この時点で既に避難を開始していた。
「鼠のように素早い。だが、裏目だったな」
 空を舞うイスカリオテは双剣に白い光と黒い光をそれぞれ収束させると、無造作に振り払った。
 白と黒の螺旋の光波が、アスファルトを爆砕して道路を粉砕し、車両を次々に吹き飛ばした。
 地の底より樹木が生えるかのように次々にサーバント達が出現し、路上を封鎖してゆく。
「ここから先は、通行止めだ」
 後続車が次々に横転した車両に激突し、轟音が轟き、次の瞬間、爆発して炎上し、その炎はさらに連鎖していった。


 東海道上が封鎖されたとの報を受けて、撃退士の一隊が天魔を排除すべく急行する事となる。




 それは天の使いが作り出した地獄であった。
 燃え盛る車の巻き上げる黒煙が、凶事を告げる狼煙のように湧き上がる。
 この地点が東海道の要衝、幾つもの主要道路が集う地点である為に、並走する道路上からもその煙は良く見えた。
 人々は何が起こったのかを悟った。――追い付かれたのだ。
 渋滞で身動きが取れない車列は全く動かない。どころか、あちらこちらで追突事故まで起こしていた。
 とにかく、ここでじっとして居てはいけない。
 外へと走り出した人々は、車の間を縫って走り出す。西へ、西へ。

 だが絶望はすぐに訪れた。
 北の山から、耐えがたい程に暴力的な音が響いて来たのだ。
 音はどれぐらい近付いているのかわからない程大きな、白い不気味な人型の物が発していた。
 その傍らから幾つもの小さな黒い影が表れると、飛び跳ねるように近付いて来る。
 狼の頭に簡素な鎧を身につけた、獣頭人身のサーバントだ。
 その一体があっという間に迫ると、長い槍を構えて眼前の車を串刺しにする。
 逃げ出した人に、いつの間にかそこにいた不気味な襤褸を纏った影が襲いかかった。
 緑色に刃輝く巨大な鎌が打ち振られる度に、誰かの血が噴き上がる。

 怒号、悲鳴、嗚咽。
 混乱の中、それでも人の波は西へと動く。
 そこで誰かが叫んだ。
「南だ!」
 道路脇にぽつぽつと建つ家屋の隙間から見えるのは、線路だった。
 そこに、西からやってきた者達がいたのだ。
「こちらへ! この地点から向こうは、確保しています!」
 撃退士達が到着した。差し伸べる手の、何と力強く見えることか。
 線路に向かって駆け出す人々の脇をあるいは駆け抜け、あるいは頭上を飛び越えた一団が、サーバントに立ち向かってゆく。


 イスカリオテは唇の端を僅かに釣り上げた。それは、自嘲を籠めた笑みになる。
「成程、鼠には鼠なりの知恵があるものだ」
 自動車という移動手段を使えなくすれば、大人数の移動は阻止できる。それはほぼ目的を達しつつあった。
 だが窮鼠共は、存外諦めが悪いものらしい。
 黒衣の男は上空に浮かび上がった。揺らめく紫光の翼が、その背に広がる。
 興奮も高揚も感じさせない澱んだ瞳に、押されているサーバント達の姿を認め、流石のイスカリオテもほんの僅か眉を動かした。
「撃退士共か。それなら放っておくわけにもいかんな」
 双剣を握り直し、天使は高みより舞い降りる。


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●現地状況(略図)
↑北
―――――★――――
□□□◆□◆□◆□□
□□●□●□●□●□
――――――――――中央分離帯
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
――――――――――
□□▲▲□□▲▲□□
□□▲▲□□▲▲□□
□□▲▲□□▲▲□□
←脱出方向=====線路
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□ 道、平地
▲ 民家
★◆● サーバント

道路幅は片側約6m、道路から線路までは約10m。
道路上には乗り捨てられた車が多数放置されています。
(便宜上、2×4mの車が2m間隔で連なっているとします。南北は真っ直ぐ見通せない配置です)
イスカリオテは北側の上空から現れます。


リプレイ本文

●希望を繋ぐ

 山を背に白い巨人達が吠える。その声自体がまるでこちらを殴りつける意思を持っているかのようだった。
 幾体かのサーバントを従え、それぞれが動けなくなった車列を目がけて進む。
 動ける人々は力の限り、必死に走った。その後を追って狼頭のコボルト四体が迫り来る。
 サーバントにとって、鉄の塊は障害とはならない。邪魔ならば長槍で貫く。その先に目的があればすり抜ける。ただそれだけだ。
 それでも僅かな希望を求め、人々は駆ける。
 その眼前に救いの手は現れた。天魔と闘う力を持った撃退士達だ。
 車を踏みつけ、人々の背中に追いすがるコボルトの足元に、氷の刃が突き立った。
「たく、胸糞悪くなるような事してんじゃねぇよ!」
 獅堂 武(jb0906)が毒づいた。生活を捨てて逃げた先で、また化け物に追い立てられて逃げ惑う人々を一人でも多く、安心させたい。
「こっちへ! ここから先は退路を確保するんで、落ちついて!」
 符を手にコボルトを牽制しつつ、逃げて来る人々に声をかける。
 取り残された人がいないか車内を確認しつつ、前に出たところで阻霊符に力を籠める。
「もう遠慮はいらないな。全力でぶっ飛ばす!!」
 それまですり抜けていた車にコボルトがぶつかった。それでもひしゃげた車を踏みつけ、飛び越え、黒い影が押し寄せて来る。

「時間をかけるような相手でもない、さっさと片付けるぞ」
 フィオナ・ボールドウィン(ja2611)が傲然と言い放つ。豪奢な金髪を揺らし強く振り上げたレガースの脚が、轟音と共にすぐ傍の車を北へと押し込んだ。
 僅かではあるが、部隊が展開する余白がそこにできる。
 サーバント達がその派手な挨拶に気を取られている隙に、狗月 暁良(ja8545)が脇へと回り込む。
「雑魚はチャキッと終わらせるゼ」
 車の屋根に固定したマシンガンに身体を伏せ、確実に狙いを定めた。
 完全に意識外からの攻撃に、コボルトの一体が足を貫かれ無様につんのめる。
「よし、先手必勝ってヤツだな! ……って、なンだありゃ」
 攻撃を仕掛けたことで、サーバントは暁良を敵と認識した。こちらに向き直った別の一体が駆け出したのだ。凄まじいスピードで駆け寄るコボルトの構えた槍の穂先が白く輝く。と見るや、膨れ上がった光輝が真っ直ぐ暁良を狙って放たれた。
「と、やべェ……!」
 前兆を察し、暁良は横っとびに避ける。だがほんの僅か間に合わなかった。
 光に弾き飛ばされたように、暁良の身体が仰け反る。体勢を立て直す前に槍が迫り来る。

 混乱の中、優雅に空を舞うはぐれ悪魔一体。
 『東名高速道路なう( ´∀`)』
 阻霊符とスマホを器用に同時に扱いながら、ルーガ・スレイアー(jb2600)はハマっているソーシャルメディアに報告を忘れない。
 これでもちゃんと避難する人達のフォローは考えているのだ。阻霊符があれば、線路際に点在する民家が多少なりとも彼らを守ってくれる。
 が、戦端が開かれたことで、流石にルーガもスマホをポケットにしまった。万が一落としたら大変だ。
「なんか面倒な技使って来る奴みたいだなー!」
 コボルトの放った白い光のことだ。だが暁良目がけて二体がまとまって向かっているのは好都合だ。ルーガは長大な弓を引き絞り、力を籠める。射線上に二体が重なる瞬間を、見定める。
「よーし、ルーガちゃんのドーン★ といってみよーお!」
 放たれた封砲の勢いに二体のコボルトが巻き込まれ、吹き飛んだ。そのまま別れ物陰に逃げ込もうとするサーバントを、光の矢が容赦なく貫く。
「逃しません」
 余り感情の籠らない口調で、機嶋 結(ja0725)が小さく呟いた。
「おー、見事見事。次のも行ってみるかー!」
 ルーガが民家の屋根に伏せた結に、空から手を振って見せる。
 その無防備な笑顔に、結は唯小さく頷き返す。
(……これは仕事)
 悪魔。その存在そのものが、結にとっては耐えがたい。
 人間にだって、色んな奴がいる。そんなことは判っている。悪魔だってそうだ。それも判っている。
 けれど記憶と身体に刻み込まれた深い深い傷は、冥魔の姿にざわめき、結を苛む。
 ――あれは敵なのだと。
(この瞬間だけは……仕事仲間ではありますか)
 はぐれの悪魔達は仕事仲間であり、学園にとって必要な戦力。
 判っている。結は感情を理屈で押し込め、再びサーバントに目を向ける。

 残るコボルトは二体。少し離れたところには、襤褸を纏った如何にも不吉な人に似た影が三体いた。
 勿論、これは自分達のすぐ近くの敵の姿だ。
 彼らと別班の撃退士達が闘っている物音は迫る山肌に反響し、辺りを満たす。
 小田切ルビィ(ja0841)は建物に身を隠しつつ、『臨戦』で力を溜めつつあった。
 その間にも態々人間の脱出を阻止するのに最も効果的な地点を狙って来た、敵の思惑を推し量る。
「此処まで大規模な作戦行動となると――天魔共を指揮する天使級が近くに居やがっても不思議じゃねえな」
 それはほとんど確信といっていい予測だ。
 目の前のサーバント達は前座に過ぎないだろう。
 同じく仕掛ける間合いをはかっていた御幸浜 霧(ja0751)が、頃やよしと車椅子を置いて、大太刀を手に進み出た。霧の身体から立ちのぼる紫光が切先に集まる。
「少しの間、お下がりください」
 丁寧な言葉遣いに反し、敵を舐めつくす業炎は苛烈。
 身を焼く熱に苦悩するようによろめきながらも、敵は進むのをやめない。
「鬼が出るか、蛇が出るか。どの道、早いとここいつらは片付けちまうに限るな」
 ルビィはクロスボウの矢を、黒い襤褸を引き摺るように接近するサーバントに撃ち込んだ。
 強い一撃に、敢え無く黒腐骸兵が倒れ伏す。
「成程、どうやら余り頑丈な敵ではないらしい。それならば遠慮なく行くとしようか」
 鷺谷 明(ja0776)がさも楽しそうに次の贄を探す。

「おーい、そっち回り込んで行ったぞー」
 上空からのルーガの声に、鴉守 凛(ja5462)が反応する。
 背後に立つ民家は、線路を守る最後の砦なのだ。
「ここから先は行かせません」
 車の影から飛び出した影に、斧槍から迸る光が襲いかかる。狼頭戦士は片腕をもがれ、衝撃に弾かれ後退した。だがとどめの一撃を狙った凛に、回り込んできた黒腐骸兵の大鎌が迫る。
「く……!」
 咄嗟に斧槍の柄でその毒々しい緑色に光る刃を受け止め、威力を減じた。
「まだまだ、下がるわけには!」
 凛は大鎌を絡め取るように得物を捻り、すぐさま繰り出す。その一撃を受け止めながらも、死に物狂いの体で振り回した黒腐骸兵の大鎌が凛の頬を掠めた。


●白の巨人

 翼持つ者たちの一隊が僅かに戦場を離れた場所で、北へと目を向けていた。
「コボルトと黒腐骸兵は、皆が何とかしてくれそうじゃの」
 大鷲に似た力強い翼を具現化しつつ、緋打石(jb5225)が呟く。
「そうね。あとは私達がアレを仕留めるだけよ」
 ナナシ(jb3008)も大型ライフルのスコープ越しにクルセイドジャイアントを見据えた。
 逞しい巨体の上に乗った白い顔には、青い十文字の戦化粧。額に嵌めこまれた握り拳大の青い宝玉が、陽光を浴びて煌めいていた。
「一体だけ特別な感じよね。あの宝玉に何か意味があるのじゃないかしら」
 巨人はサーバント達と同様、その間にも南下しつつあった。
 相変わらず耳障りな奇声を発し、両手に構えた長大な剣を振り回している。
 ミリオール=アステローザ(jb2746)の声が隠しきれない高揚を帯びる。
「ここより先は通行止めってやつなのですワっ!」
 その声と共に金属質の触腕が幾つも地面から伸び、ジャイアントに掴みかかった。
 狂ったような咆哮と共に、ジャイアントが大剣を振り上げる。触腕が消えると同時に進み出る十字巨人に向かって、飛来した緋打石が銃弾を撃ち込む。
「ほらほら、お前の相手はこちらじゃ」
 触腕も、銃弾も、確実に巨人の身を削り、体液を迸らせた。
 だが次の瞬間、その傷口は見る見るうちに塞がってゆく。

「あら治癒能力がありますの? でもそれならもっと戦いを楽しめますワぁ♪」
 ミリオールはオーロラの光を放つ翼の光輝を空にたなびかせ、ジャイアントに肉薄。大剣の下を掻い潜り、アウルの力を籠めたバンカーを脇に叩きこむと、すぐさま離脱する。
 だがその傷すらも、すぐに塞がってゆく。
「キリがないな」
 緋打石はそう言ったものの、余り悲壮感はない。目前の敵が異質で強い程、興味も湧く。
 翼を消し、地面に降り立つと、得物を蛇紋の刀に持ち替えた。
「これならどうじゃ」
 ミリオールとほんの一瞬、視線を交わす。直後、同時に飛び出す。空からと地上からの同時攻撃。
 巨人は狂ったように大剣を振り回した。
 大振りの一撃の狙いは甘いが、それだけに食らえばただでは済まない。
 接近していた緋打石には、身の丈よりはるかに長い二本の剣を交わす余地がなかった。
「ぐッ!」
「ちょっと、余所見は許せませんワぁ!」
 緋打石が脱出する隙を作るべく、ミリオールが突っ込む。巨人はバンカーを身体で受け止め、自分の足元をも貫く勢いでミリオールの身体に逆手の剣を突き立てた。
 その隙を、ナナシは見逃さなかった。
「もらったわ」
 狙いすました銃弾が、両腕を開き無防備になった巨人の額の宝玉を撃ち抜く。
「グオ……ウガァアアアア!!!!」
 十字巨人の咆哮が大地を揺るがすかのように響く。
 その怒りの程は伝わるが、撃ち抜かれた額から体液は流れ続けていた。
「宝玉が再生力の源か!」
 緋打石は痛みに顔を顰めながらも、再び剣を取る。倒せると判れば、攻めるのみだ。
「死んじゃう前に、その力、頂くのですワっ……!」
 ミリオールが生成した黒い球体をジャイアントに打ち付ける。それは巨人の体力を奪い取り、その力でミリオールの傷を塞いで行った。
「じゃあ仕留めていいわね」
 ナナシが言うまでも無く、満身創痍の十字巨人は既に三人の攻撃に耐えうる状態ではなかった。
 巨体がゆっくりと前に倒れ、大地が震える。そして静寂が訪れた。

 クルセイドジャイアントが倒れたとほぼ同時に、既に残り少なくなっていたサーバント達の動きが明らかに鈍くなった。
 最後の黒腐骸兵を黄金の鎖に絡め難なく討ち取り、フィオナが息を吐く。
「あれが指揮官だったという訳だな」
 地面に長々と伸びる白い巨体は、今や過去形で語られる存在だった。

「こちらへ。なるべくわたくしの周りに集まってください」
 霧が負傷者に呼び掛ける。
 一度に多人数を治癒する術を有効に使い、傷を塞ぐ。
 ナナシは他の部隊の様子を確認しつつ、クルセイドジャイアントの持つ指揮能力と、回復術を封じる方法とを伝えた。
 ひとまずは自分達の体制を整え、サーバントに押されているらしい班の支援に向かおうかというそのとき。
 ルビィの抑えた声が変事を告げる。
「――どうやら親玉が御登場と来たぜ。テリトリー的に例の『死天使』のお仲間って処か?」
 凶事を告げる彗星のように、紫の光が北から迫りつつあった。


●黒衣の天使

 イスカリオテ・ヨッドは洞穴の様な瞳で、既に動かなくなった白い巨人を見下ろした。
「大した足止めにはならなかったか。流石ザインエルに手傷を負わせた連中というだけはある」
 尤もそれは、連中が手数を揃えたからなし得たこと。
 今回の作戦を急いだのは、軍勢を整える時間を与えない為だ。
「どのような戦い方をする連中か、見定めるのも作戦の内ということか」
 イスカリオテの手に輝く双剣が現れる。

 迫り来る敵の姿は余りにも異質だった。
 単に異様な姿をした天使というなら、学園生なら多少は覚えがある。どれ程武骨であろうと、どれ程禍々しい形相であろうと、天使という存在はどこか『らしさ』を感じさせるものだった。
 だが上空に現れた黒衣の男は、それとは根本的に違う物に思えたのだ。
 明はその背に揺らめく紫光の翼に、先日出動した任務を思い出す。
「やれやれ最近の流行りなのかねえ。ひょっとしたら白も黒も使う、良いとこ取りのインチキ天使かもしれないよ」
 どこか楽しむような口調は変わらず。しかしその辛辣な内容に素早く視線を交わし、撃退士達は対策を講じた。
 単身突っ込んでくるからには、余程の力量を持っているのだろう。ならば各自が単独で当たるのは危険すぎる。三人一組、それも天冥の気が偏らぬように別れ、各班は距離を取って散らばる。

 黒衣の天使は間近まで迫っていた。
 ルビィは今やはっきり見えるその姿に、思わず声を上げる。
「……お前、本当に天使なのか?」
 天使とは思えない、だが悪魔とも違う佇まい。
 自分の『人種』が特定できない程に様々な血を身の内に持つルビィは、不思議な既視感を覚えた。
 ――コイツからは俺と同じ匂いがする。白と黒の入り混じった“混沌”の匂いが……!
 天使は上空からルビィを見下ろしていた。
 およそ感情というものをほとんど感じさせない、虚ろな黒い瞳。
「今の所、一応そういうことになっている」
 抑揚のない、どこか疲れたような声。
「でなければここでお前達と対することも無かっただろうな。俺はイスカリオテ・ヨッド。『混じり者』のイスカリオテだ。生きて帰れたらそう記録しておくと良い」


 それが戦闘開始の合図だった。
 天使は双剣を構え、不意に高度を落としたかと思うと人の背丈ぐらいの高度を滑空する。
「……イスカリオテってアレだよな、裏切る感じ?」
 いつか読んだ本にあったその名を思い返し、暁良はマシンガンを構え直す。
 今はのんびりしている暇はない。
 ――Наступление - лучшая защита.
 攻撃は最大の防御なり。
 暁良はその言葉の通りに、先手を取りに行った。
 闘気を籠めた銃弾を掻い潜り、イスカリオテは飛来する。その正面にはフィオナが双剣を構え待ちうけていた。
「反逆者を示す名で、王たる我の前に立つか……その上奇しくも同じ得物……面白い」
 強敵を前にフィオナの顔に笑みが浮かぶ。
 速い剣に魔法で操る重力を乗せた渾身の一撃。だがその剣先は、天使の黒衣を僅かに掠めただけだった。
(……想像以上に速いな)
 フィオナの目に愉悦の光。天使というからには、こうでなくては。

 イスカリオテがフィオナの攻撃を避けたところで、暁良と武が両側から仕掛けた。
 武は素早く刀印を切り、八卦石縛風を試みる。
「飛び回られると、面倒なんでな!」
「食らえ!」
 暁良は一気に間合いを詰め、冥魔の気を強めた必殺の鬼神一閃を叩きこむ。
 囲まれた形のイスカリオテに、避ける余地はない。
 連撃に晒されるかと見えた瞬間、地に足をつけたイスカリオテの全身を紫色のオーラが炎のように包み込んだ。
 同時に、天使の双剣の片方が白い光を放つ。
「飛び込んできたからには、覚悟はいいな」
 眩い純白の光の軌跡、暁良にはそれしか見えなかった。強烈な天界の気を帯びた剣が、冥魔の気を強く纏った暁良の脇腹を貫いたのだった。
 残る剣、そして暁良の身体から引き抜いた剣が、今度は武を切り裂く。
「何……ッ!」
 武は突然のむせかえるような鉄の匂いに眩暈を覚える。どうにか意識は手放さずに済んだが、それだけだった。
「くっそ……煽りすぎたか……?」
 刀を頼りに辛うじて身体を支えている状態だ。
 一瞬のうちに、二人が倒れた。想像以上の戦闘力だった。

 だがイスカリオテに休む暇を与えるわけにはいかない。
「さて、白い光の効果の程は如何なものかねえ」
 明が物陰に身を顰めたまま、『紅蓮』を放った。霜の巨人の息吹に似たそれは、冥魔の気を強く帯びる。この攻撃が効くかどうか、それを確かめるのだ。
 伸びゆく光が天使の身体に達するかと見えた刹那、紫の炎が立ちのぼる。
 天使は眉一つ動かさなかった。
「その剣は飾り……ではないようですねえ……」
 凛は自分自身と緋打石に守りを固める防壁陣を施す。目くばせすると、凛と緋打石は同時に飛び出した。
「飾りでないなら打ち合いましょう」
 凛が斧を白く輝かせながら叩きこんだ。大きく天の気に傾いたそれは、本来天使には余り効果がないはずだ。だが、同時に緋打石が上空から急降下し、渾身の兜割りをイスカリオテの脳天目がけて打ち込む。
「思い切り行かせて貰うよ!」
 こちらは大きく冥魔の気に傾いた打撃。
 本当にこの黒衣の天使は天冥の気を同時に操るのか。どちらかだけでも効果を及ぼすのか。それを確かめる。
 そしてその答えは。
 ごぼり。緋打石の口元から噴き出る血の塊。
「白と黒…………? おもしろいこと、してくれるじゃねえ、か」
 イスカリオテは向かって来る凛と緋打石、それぞれに、相対する白と黒の光を帯びた剣を振るったのだ。
 明が突然笑い出した。
「何というインチキ! 何という出鱈目! いやはや、これはゲームとしては随分酷い出来ではないかね!」
 可笑しくてたまらないとばかりに、明は笑う。
 これが笑わずにいられようか!


●出鱈目な混じり者

 混じり者、と天使は言った。その意味する所は今や明白だった。
 天使でありながら、冥魔の力をも自在に使う存在。
 遭遇してからの短い時間に既に四人の撃退士がその刃に打倒された。
 だがイスカリオテの表情には、それを誇る気配すら見えなかった。
(血統の正しくない者、ということですか。それが鼻抓み者にされるのは天使も一緒なのですね)
 霧はほんの一瞬、憐憫と呼んでも良い感情を覚えた。だがそれはほんの一瞬。
「戦闘を継続させるには、一人でも多くの方に立っていて貰わねばなりませんので」
 三人一組の作戦を、敢えて離れる。追撃が来る前に一人でも助けねばならない。
 霧は凛と緋打石の元に駆け寄り、二人の傷の程度を確かめる。
「あら……?」
「しっ」
 短く交わされる言葉。霧が小さく頷く。そして緋打石の深い傷に今動かすのは危険だと判断し、ひとまずは出血を止める為に軽癒の術を使った。柔らかく暖かな光が満ち、緋打石の蒼白な顔に心なしか紅が差す。
 その時だった。
 イスカリオテが嫌にゆっくりと見える動作で、両腕を交差させる。
「……気を付けろ。デカいのが来るぜ……ッ!」
 ルビィの警告の声が鋭く飛んだ。
 天使の双剣に、これまでとはまったく異なる光が集まり膨れ上がっていく。
 身体を覆う紫光が僅かに薄くなったかと見えた直後、同時に振り抜いた剣から白と黒の光が放たれ、螺旋を形作って殺到する。
 霧は緋打石の前から逃げず、己の身体でその螺旋を受け止めようと身構えた。
「そう思い通りにはさせませんよ」
 突然、凛が跳ね起きた。
 こちらの人数が多い間は、おそらく一人一人にとどめを刺している暇はないはずだ。倒れたふりをしていれば、如何様にも動けるだろう。そうして機会を窺っていたのだ。

 アスファルトを砕き、車両を跳ね上げ、尚も突き進む螺旋の光は、凛の不倒の意思の光を呑み込み、霧を覆う楯の術を突き破る。
「全く、企画外れもいい所だねえ」
 潜んでいた車両と共に舞い上がるジャケットだけを後に残し、明が下がる。
 彼がいた場所をも突き抜け、背後にあった民家が一軒、衝撃に半ば崩れかけている有様だった。
「癒し手は一人か」
 イスカリオテが霧を目がけて駆けだした。
 霧は傷つきながらも、目を逸らすことなく身構える。
 煌めくのは不吉な黒の閃光。普通の人間には一度のスパークのように見えただろうが、撃退士の眼には三度打ち振られる剣の軌跡がはっきり見て取れた。
 霧の全身から鮮血が飛び散る。それでも倒れることを許さない紫電の縄張りにおいて、霧は立ち続ける。
 
 ミリオールの身体が青い光を帯びる。
「この体でどの程度やれるか……試させて頂きますワっ!」
 敢えて見せつけるように、星雲が輝くような美しい翼を広げ真正面から敵へと突進する。かつて天界に属する存在だった証の神々しい光が溢れた。
「堕天使か。折角無事に逃げおおせたなら隠れておれば良いものを」
 呟くイスカリオテの剣が黒い光を帯びる。天の影響を受けたものを討つ為に。
 それがミリオールの狙いだった。
「いくら強い天使とはいえ、技は無限ではないはずですワ! さあ、来るのです!」
 ベルゼビュートの杖の力でミリオール自身はフラット。天にも冥にも属さない。技の無駄打ちを誘う為、敢えて堕天使であることを見せつけたのだ。
 ミリオールのバンカーが一際眩しい青い光を纏う。飛翔の勢いのままに突き出す腕が青い光の軌跡を残し、イスカリオテの肩を狙う。同時に繰り出される剣先は、敢えて受け止める覚悟だ。避けて体勢を崩せば、こちらの狙いも外れてしまう。
 覚悟を決めた突撃に、イスカリオテがいぶかしむ暇はなかった。青い彗星に煽られ、黒い衣が激しく翻る。その間に繰り出された黒の剣がミリオールの小柄な身体を傷めつけた。技の分を差し引いても、あり余る威力だった。
 離脱するミリオールを追いかけようとするイスカリオテ。だが真横から接近する強く白い光に気付き、その場に踏みとどまる。

「……本当に自分だけは影響を受けないのですね」
 結が僅かに眉を寄せる。不愉快な冥魔の気を帯びながらも、天界の守りの元にある存在。
 己のことを混じり者と言った天使は、本当にその身の内に混沌を抱えているらしい。
「それならいつも通りに攻撃するまでなのだぞー」
 ミリオールと結に敵の意識が向いているのを見て取り、ルーガが大弓を引き絞る。
 アウルを籠めて放たれた矢は、イスカリオテの足に突き立った。
「……!!」
 流石の天使も僅かに体勢を崩すと、その場を離れるべく紫光の翼を広げる。
「きりがないな」
 どうにか体勢を立て直したイスカリオテは、多数を単身で相手にする愚を噛みしめる。
 だが今更それを言っても始まらない。その場でできることをする。今までも、そしてこれからもそれは変わらない。
 剣に白い光を帯びると、わき目もふらずルーガ目がけて黒い弾丸のように舞い降りる。
「負けないんだぞー!」
 ルーガは尚も弓を構え足を踏ん張った。その愚直なまでに真っ直ぐな瞳に、結はひとまず迷いを振り切る。今は敵を退けることを何よりも優先しよう。
「援護します」
 合わせて放つ衝撃波は、イスカリオテの頬に赤い筋を走らせた。
 だが次の瞬間、鮮血を噴き上げながらルーガがゆっくりと仰向けに倒れ込んで行った。
「ルーガさん!」
 背後にルーガを庇い、結が身構えた。誰も自分の前で死なせはしない……!

 至近距離をすり抜けて行ったイスカリオテが、身を捻り転回する。
 それを見てルビィの端正な頬に、銀と朱の淡い光の文様が浮かび上がった。
「よし……貰った!」
 過る姿を目で追いつつ、愛用の刀を力の限りに振り抜く。黒いオーラを練り上げたような旋風が迸り、猛烈な勢いで天使の背中を襲った。
 イスカリオテが中空で僅かに仰け反る。紫の翼が揺らめくと、霧のように散って行った。
「堕ちろ!」
 だがそれは叶わなかった。あっという間に再び沸き上がった紫光が収束し、天使の背に翼が再生される。
 紫の光に煽られ、初めてイスカリオテの顔に表情の様な物が現れる。
「翼狙いが意味のない者も多いぞ。ザインエルに効いた手段が、毎度使えると思うな」
 血に濡れた口元が皮肉な笑みの形に歪んだ。
「どこまでも『規格外』という訳か。あんたは確かに他の天使とは違うらしい」
 油断なく刀を構え、ルビィは言葉を繋ぐ。
「で、それだけの力を持っていて、こんなところで俺達相手に何やってんだ?」
 答えは期待していない。ただ、こちらを向かせる為だけに。
(今のうちに、急げ――!)
 ルビィは天使から目を逸らさないまま、心の内で仲間に呼びかける。


●諦念と執念

 イスカリオテの微笑は、相変わらずだった。だがその目は全く笑っていない。表情という物が失われた、黒く暗い空洞だった。
「さあな。だがそんなことはどうでもいい。俺はやるべきことをやるだけだ」
 イスカリオテが言い終える前に、右腕を激痛が走り抜ける。
 如何なる障壁もものともせず、天界に属する物にだけ痛撃を与える『禁断の実の欠片』だった。
 ゆっくりと顔を向けると、身を起こすナナシの姿が目に入る。
「貴方、ザインエルのこと知ってるのね。彼の翼はもう元に戻った?」
 奇襲は一度だけしか通用しないと知っている。最初の一撃が命中したことを確かめ、ナナシは既に隠れることをやめた。
 ここまで異様な天使をこの場では倒せないだろう。ならば可能な限り、その手の内を探り今後の対戦に役立てたい。
 ナナシは静かな表情のまま、次撃に備える。
「……まだいたのか」
 天使の口調には怒りはなかった。ただただ、疲労が色濃く纏わりついた声。
 その声に似つかわしくない俊敏さで一息に空を横切ると、ナナシに向かって容赦ない斬撃を浴びせる。だが白い光は確たる手ごたえのないまま、空を切った。 
「変わり身の術か。大したもんだ」
 イスカリオテは剣に絡む襤褸布となったスクールジャケットを振り落とす。その顔は相変わらず無表情だったが、刃を伝って流れ落ちる血は隠しようもない。
「それでも限りはあるのだろう」
 再び白い光が溢れ、ナナシに打ちこまれる。
「気がついた事があるわ。貴方は強い、けど、無敵じゃない」
 ナナシは身体を貫く刃を受け止め、尚も目を上げてイスカリオテを見据えた。
「貴方はカオスレートを生かさなければ、最大の力を発揮できないのよ」
「そうかもしれんな。忠告は有難く覚えておこう。まあ無敵である必要もないがな」
 剣を引き抜き、イスカリオテは無造作にナナシを蹴り飛ばす。血飛沫を撒き散らしながら、ナナシの身体が地面を転がった。

 イスカリオテは勝ち誇る様子も無く、ナナシを見下ろす。
 そう、どれ程の力も今の自分には意味がない。
 権天使の力は強大だが、それが自分を本当の意味で救う訳ではない。
 寧ろ自分がもっと弱くて、遥か過去に命を落としていれば――。
 軽く頭を振って、イスカリオテは堂々巡りの思考を追いやる。
 サーバント達は他の場所でも次々と討ち取られつつあった。できれば攻め寄せて来た撃退士達を引かせる程度にはもたせたかったが、それも難しいようだ。
 ――せめてもの意趣返しに、ここで幾人か屠るか?
「無意味だな」
 イスカリオテは即結論付けた。それが戦況に大きな意味をなすとは思えなかったからだ。
 倒しても、また倒しても、他の者が立ち向かって来る。その執念の前に、イスカリオテの術の回数は残り少なくなっていた。じりじり削ることはできるだろうが、その間に残ったサーバントを全て失いかねない。
「まあいい。戦力は削った。道路もすぐには使えん。これ以上は俺が危険を冒す必要もない、か」
 ゲートを開かねばならない身だ。小さな上司からも無理はするなと言われている。警戒を解かぬままではあったが、イスカリオテが高度を上げる。
「尻尾を巻いて逃げるか、イスカリオテ」
 フィオナの痛烈な言葉にも、男は相変わらずの調子だった。
「そういう事になるか。まぁ、運命が螺旋を紡ぐなら、またどこぞで刃を交える時が来るだろうよ。尤も、もう二度と遭うことも無いかも知れんがな」
 天使はそのまま一気に高度を上げると、元来た方へと飛び去った。そしてそれを追える者は、もう残っていなかったのだ。



 凛が天使の姿を目で追いながら呟いた。
「引いてくれて助かった、というところですかねえ」
 突然の襲来に、じり貧に追い込まれつつあったのは事実だった。良くも抑えたというところだろう。だからといって悔しくないと言えば嘘になるが。
「生きていれば、再戦も望めるでしょう」
 結がほっと息をつく。
 皆が生きている。まずはそのことに安堵する。
「やあ……先ほどはどーも、機嶋殿は幼いのに勇敢だなー!」
 目を覚ましたルーガが血に濡れた顔で微笑んだ。
「……痛みはどうですか」
「大したことはないな! そうだ、お礼によかったらこれドゾー」
 斬撃を切りぬけた大事なスマホを取り出すと、気に入りのソーシャルゲームの認識コードを示す。
「え、えぇ……?」
 結は意外すぎる展開に戸惑う。
「その、遠慮……しときます……。私、そういうゲームはやってないですので」
「そうかー、じゃあやりたくなったらいつでもどうぞだ。こないだゲットしたレアカードもあげるぞー」
 はぐれ悪魔の顔に、邪気のない笑みが浮かんだ。
 結は何故か微かな胸の痛みを覚える。
(どうして……悪魔にこんな感情……抱く必要なんてない筈なのに)

 人と悪魔、人と天使、そして悪魔と天使。
 それぞれが出会い、抱く思いは時に混じり合い、時に対峙したまま螺旋を描く。
 身の内に螺旋を抱えた天使の姿はもう遠いが、ルビィは虚無を宿した瞳を思い返す。
「――いずれまた、逢おうぜ……」
 その時こそ、お前に刃を突き立てる。


 こうして富士市西側は撃退士側が守り切り、サーバント達は一旦引いて行った。
 道路という移動経路の確保は、小さくない成果だ。増援が整いさえすればまだ勝ち目はある。
 真の地獄が口を開いているだろう未来に、人類の打つ手はまだ残されているのだ。


<了>


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: 『天』盟約の王・フィオナ・ボールドウィン(ja2611)
 ベルセルク・鴉守 凛(ja5462)
 ファズラに新たな道を示す・ミリオール=アステローザ(jb2746)
 誓いを胸に・ナナシ(jb3008)
重体: 意外と大きい・御幸浜 霧(ja0751)
   <イスカリオテの黒耀剣を受けた>という理由により『重体』となる
 暁の先へ・狗月 暁良(ja8545)
   <イスカリオテの白霊剣を受けた>という理由により『重体』となる
 駆逐されそう。なう・ルーガ・スレイアー(jb2600)
   <イスカリオテの白霊剣を受けた>という理由により『重体』となる
 誓いを胸に・ナナシ(jb3008)
   <イスカリオテの白霊剣を受けた>という理由により『重体』となる
 新たなる風、巻き起こす翼・緋打石(jb5225)
   <イスカリオテの白霊剣を受けた>という理由により『重体』となる
面白かった!:8人

秋霜烈日・
機嶋 結(ja0725)

高等部2年17組 女 ディバインナイト
意外と大きい・
御幸浜 霧(ja0751)

大学部4年263組 女 アストラルヴァンガード
紫水晶に魅入り魅入られし・
鷺谷 明(ja0776)

大学部5年116組 男 鬼道忍軍
戦場ジャーナリスト・
小田切ルビィ(ja0841)

卒業 男 ルインズブレイド
『天』盟約の王・
フィオナ・ボールドウィン(ja2611)

大学部6年1組 女 ディバインナイト
ベルセルク・
鴉守 凛(ja5462)

大学部7年181組 女 ディバインナイト
暁の先へ・
狗月 暁良(ja8545)

卒業 女 阿修羅
桜花絢爛・
獅堂 武(jb0906)

大学部2年159組 男 陰陽師
駆逐されそう。なう・
ルーガ・スレイアー(jb2600)

大学部6年174組 女 ルインズブレイド
ファズラに新たな道を示す・
ミリオール=アステローザ(jb2746)

大学部3年148組 女 陰陽師
誓いを胸に・
ナナシ(jb3008)

卒業 女 鬼道忍軍
新たなる風、巻き起こす翼・
緋打石(jb5225)

卒業 女 鬼道忍軍