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マスター:樹 シロカ
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
参加人数:25人
サポート:8人
リプレイ完成日時:2013/01/09


みんなの思い出



オープニング

※このシナリオは初夢シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。

●寄り道
 それは依頼の帰り道。
 誰かが思いついたように言った。
「なんかさ、この近くの洞窟が面白いらしいぜ」
 大八木 梨香(jz0061)がそれに答えた。
「洞窟? ……面白い? どういうことでしょう」
「噂なんだけど、大晦日にお参りして一年の反省をすると、それに応じて上からなんか降って来るんだってさ」
「え、何ですか、それ」
「だから、あれじゃないの。反省の度合いに応じて降って来るんだろ、なんかが」
「……よくわかりませんね」
 訝しみつつも、なんとなく興味をひかれ、一同は洞窟へと向かう。
 
 洞窟の前には長蛇の列ができていた。
 入り口に締め縄の渡された鳥居がある。
 その脇に看板が立っていて、説明書きがあった。

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・鳥居から先へ一緒に入れるのは三人まで。勿論一人で入ってもよろしい。
・祠の中に石の台があるので、そこで今年一年の反省をすべし。
・反省の中身によって、祠が審判を下すであろう。
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 ……何だこれは。
 首を傾げていると、何かに反響したような悲鳴や怒号が聞こえてきた。
 それは一定時間ごとに続き、その度に全身びしょ濡れになった人や、頭を抱えたままふらふらになった人などが、洞窟から出てくる。
 ……なんかが、降って来たらしい。
 
 どうします? ……入りますか?


リプレイ本文

●謎の祠
 そこは一見、何処にでもある洞窟だった。
 意を決したように戸次 隆道(ja0550)が先陣を切る。
 暫くの後、よろめきながら出てきた隆道は、ただ何も言わずに傍の樹に縋りついた。
 それに高虎 寧(ja0416)が続く。
 恐れる様子もなく、ただ普段通りの眠そうな目のまま、ちょっと散歩に行って来るというような風情だ。
 寒々しい洞窟の奥、仄かな蝋燭の明かりに祭壇が浮かび上がる。
 石台の前に座り、寧は手を組み合わせた。
「反省……うん、何時も寝落ちして……ごめん……Zzzz」
 言いながら突っ伏した。ちょうど学校の机ぐらいの奥行きが眠りを誘うのか。
 突然、寧にバケツ一杯分ぐらいの水がぶちまけられた。
 ……起きない。
 続いて雪の塊が降り注ぐ。
 ……やっぱり起きない。
 
 洞窟の外では、大八木 梨香(jz0061)が恐る恐る中を覗いていた。
「高虎さん、遅いですね……」
 そうつぶやいた瞬間。中から激しい勢いで何かが突進してくる。
「!!」
 思わず避けた梨香の目前で、布団で簀巻きにされた寧がミサイルのように射出された。
 ……それでも起きない寧。新年もたぶん、ダメだ。

 アーレイ・バーグ(ja0276)が物珍しそうに洞窟に入る。
 外国生まれの彼女には、奇妙な儀式への興味が勝る。石の台の前に跪き、祈る。
「お色気担当なのに今年はデロ依頼に出れなかったのをもうしわけなくおもっていま……ひゃうっ♪」
 ぼたぼたぼたっ。
 ぬるっとしてひんやりしてねちょっとして……お約束のスライムが、アーレイめがけて降り注ぐ。
 そしてこのスライムが、張り付くだけで済むはずがないのもお約束。
「まってー! いくら一年の帳尻合わせとはいえ、ここでデロとか力業過ぎますー!」
 腕で覆いきれない程のアメリカンサイズの胸を抱え、アーレイが叫んだ。既にお気に入りの可愛い服はスライムに溶かされ、ほとんど端切れ状態である。
「最近蔵倫厳しいんじゃなかったんですかー!?」
 等と、意味不明のことを言っており。
 えぐえぐと泣きながら座り込んだアーレイの頭に、ひらりと何かが落ちた。
「……?」
 バニースーツである。
 続いてもう一枚。網タイツである。
「わーん、責任者出て来いーー!」
 最後に落ちてきたウサ耳まで律義に装着し、アーレイは洞窟を駆け出した。
 新年は脚もいいと思う。
 と、いうことかもしれない。


「では私も行ってきますね……」
 梨香がひきつった笑顔で洞窟に消えた。
(反省、色々ありますけど……思えば合宿、試験、ハロウィン……色々な方にお世話になりっぱなしですね……。私はいつも受け身で。もう少し積極的にならないと……)
 そのとき突然の稲光が、梨香を打つ。
「きゃーーーっ!?」

「あー、降って来なさったか」
 洞窟の外まで漏れる光と叫び声に、世話役らしい年配の男性が呟いた。
「あんまり反省することが多そうな人がようけ来るとな、神様が適当な人に降りて来なさるんだわ。解説せんと判らんだろうって。まあ、巫女さんみたいなもんや」
 中で皆の反省を聞くことになるが、目が覚めたら忘れるので気にするなとのことだ。

 それを聞いて、ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)が続いた。
 天井も奥行きも何処まで続いているのか判らない。
「降ってくる物はどこから来たのか、誰が判定してるのか」
 衝撃に弱い所持品や濡れた時に使うタオルを、少し離れた場所に座る梨香の前に置いて準備。梨香は無表情で反応もない。
「色々気になるけど、とりあえず試してみよっか」
 祭壇の前に戻り、膝をつく。
(一年の反省……依頼や修練を頑張ったのは良いけど、その分交流とかが疎かになってしまったかな)
 結構、真面目である。
「それまでのコミュニティというか……に籠っちゃった感があるからね。もっと交友範囲を広げに行こうかな、って思ってるよ」
 誰かに語りかけるように言い終えたその時。
『では修練の成果を見せて貰おう』
 梨香のものではない、腹の底に響く声が響いた。同時に、鋭い岩の塊がソフィアの頭上に降り注ぐ。
「こんなもの!」
 素早い動きで身を翻す。単純に落下するだけの岩塊など、問題にならない。
 かわしきれない岩は、『Spirale di Petali』の花弁が舞い、粉砕する。
「どんなもんだい、ってね。これぐらいであたしがやられる……」
 ゴーン。
 一通り岩を降らせた後に、金盥。
『まあ頑張れ』
 床に倒れたソフィアに、無表情のまま梨香が親指を立てた。


(一年の反省……やっぱりあれかな……)
 長身を屈めるように、長幡 陽悠(jb1350)が洞窟を進む。
 彼には、どうしても気にかかっていることがあった。
 罰を受けてすっきりと新年を迎えよう。そう心に決め、祭壇の前に立ちヒリュウを召喚。
 そして陽悠自身は跪き、固く両手を握り合わせ、声に出さず祈る。
(ある依頼でこのヒリュウを、胸毛とかもっふもふのガチムチアニキに特攻させました……!!)
 うつろな目が祭壇を見上げる。
(俺も視覚共有はしていた。でもやっぱり直で飛び込むのとはまた違うと思う。感触とか……感触とか……うん、お陰で助かったよ……でも、本当ごめんっ)
 石台に伏した陽悠の耳に、何やら声が聞こえた。
「……?」
「「「えっほ! えっほ!」」」
 慌ててヒリュウの召喚を解く。洞窟の奥から響く声の主は、十人ほどの筋骨隆々の男達。
 全員陽悠と同じか、それより高い程の長身。だが胸板の厚みは倍ほどもあろうか。蝋燭の明かりに白い締込が眩い。
「「「えっほ! えっほ!」」」
「ぎゃーーー!!」
 降ってない。それはさておき。
 陽悠は押し寄せる兄貴の集団に揉まれた揚句、洞窟の外にぴょいっと押し出された。
 冷たい地面に倒れた陽悠の顔面は、雪のように白かったという。
 彼の身に起こったことは、当人が黙して語らない為誰にも判らない。


 久我 常久(ja7273)は豊満で柔らかそうな腹をぽんと叩いた。
(1年の反省ねぇ……? ワシ何も悪い事してないから何も降ってこないんじゃないのか? ま、あいつ等はそうじゃないだろうけどな?)
 ちらりと振り返ると、そこには色々背負ってそうな知人の顔。
(カイちゃん、オミィ、アツシ、シュウヤなんて反省する事が多すぎて間違いなく訳分からんことなるぜ!)
 ほくそ笑みつつ、洞窟に入る。
「ここが祭壇か。ワシは無罪放免だろ?」
 ガハハと笑うと、胡坐をかいて石台をぺちぺち叩いた。そこに、多人数が近付く気配。
「「「えっほ! えっほ!」」」
 蝋燭の明かりに白い締込が眩い、筋骨隆々の兄貴の集団。
 常久を取り囲むと、その固い胸板を前から後ろから押し当ててくる。……悪夢の光景。
「なんだコレ……わ、わわわわわし悪い事してないぞ!!」
 その時、脇に座っていた梨香が徐に呟いた。
『……ロリコンは、いけないとおもいます』
「ばっか、おめぇそれは罪じゃねぇよ! 性質なんだから罪にならん! なんだそんな目で見るな!! ぎゃあああああああ!!!」
 ――暗転。
 搗きたてのお餅のように真っ白になった常久が、洞窟の外で座り込んでいたのはそれからすぐ後のこと。
 まあそれでもたぶん、懲りてない。性癖は簡単に治らないだろうから……。


 続いてカイちゃんこと七種 戒(ja1267)は、周囲をチラチラ窺いつつ洞窟へと進んで行った。
(私には……そう、反省しなければならない事がある……ッ!)
 薄暗い通路を抜けると、梅ヶ枝 寿(ja2303)の姿が見えた。
 寿は祭壇を眺めている。
(なんだっけ、アレ思い出すよな懐かし番組的なアレの懺悔的な……)
 気のせいだよ、気のせい。
 気のせいじゃないのは、人の気配。
(あれ、やべ、誰か一緒に来ちゃってね?)
 振り向くと、長い髪、細身の身体。寿の心臓が激しく脈打つ。
(女子? やだこんなところで出会いとか俺心の準備が……!)
 だがその女子はがっかりしたように言った。
「ちょ、おま、何でおんねん!?」
「戒か! ですよね!」
 こんな所に出逢いなんかない。わかってたけど期待しちまう俺のばか! ピュア!
「もーこーなったら二人でやるしかねーか……」
 諦めたように跪く寿。並んだ戒もしおらしい風情で両手を組む。
「……ことぶこいいから先言えよ」
「え? いや戒から先言えよ、待ってっから」
「そんなこと言わずに」
「いやお前が、レディーファーストって言葉もあるし」
 しばし小突き合う二人。
「「……」」
 沈黙の後、二人が同時に叫んだ。
「せーのっ……清純過ぎてごめんなさいっ!」
「今年も女子力高くてすんませぇん!」
 ちなみに自称・清純が戒で、自称・女子力が寿だ。
 目を閉じ裁きを待つこと暫し。寿が片目を開く。
「………何もおこんない系……? ま、そんなもんか……」
「アレ? ……ハッそうか、つまり当たり前の事だからッ!」
 ドヤ顔で立ち上がる戒の前に、ひらりと紙が一枚落ちてきた。
 同時に覗きこむと、無駄に達筆でこう記されてあった。
『そんなんだからモテねえんだよ』
「……んなことわかってるわドチクショウ!」
 紙を握りしめ叫ぶ寿、石台の上にうつ伏せた戒。
 だが洞窟の主は容赦なかった。
「「おうふッ!?」」
 二人の頭上を、何か固い物が直撃。見ると、厚みのある本が2冊。
「……辞書?」
 寿は付箋のついた頁を開く。『もてる[持てる]』の下が黒く塗りつぶされていた。
 戒も付箋のついた頁を開く。『せいじゅん[清純]』の下が黒く塗りつぶされていた。
 傍の梨香が呟いた。
『お前らの辞書に……』
 洞窟からは寿の切ない叫びが響き渡る。
「くそ、来年こそはリア充ってやる――!」


●それも愛
「転ばないようにね……?」
「ありがとうございます。でも何なんでしょう、ここ……」
 星杜焔(ja5378)が雪成 藤花(ja0292)の手を引いて、おずおずと祭壇の前に出る。
 藤花は握った手を離す前に、励ますようにほんの少しだけ力を籠めた。
 きっと自分より、心に重荷を抱えていると思うからだ。
(焔さんを……仲の良い皆さんの中で、一時でも仲間はずれにさせてしまった)
 大切な友達をこのまま失ったら……それだけが気がかりで。
 それでもこの人の傍に居たいという、自分の気持ちに嘘はつけなかった。
 ――もしここに、本当に神様がいるのなら。
(焔さんに逢わせてくれて、ありがとうございます)
 ごめんなさいと同じぐらい、そう伝えたかった。
 焔は手を固く組み、祈っている。
(非モテ系ディバインナイト友の会のみんな〜まさかの……りあじゅう化……しちゃって……ごめんよ〜……!)
 見た目も性格も悪くはないのに、どういう訳かお付き合いしている女子がいない。そんな連帯感が根底にある仲間。それがこの物悲しい名称の友の会のメンバーなのだ。
 いつか一人くらい、実は俺……って言い出すメンバーが出てくるさ。
 そう皆に言われたけれど、まさかの一抜けが自分。焔自身、まさに『そんな馬鹿な』という事態であった。
(お付き合いは秋から……でした……自分でも信じられなくてなかなか言い出せなかったね……)
 ずっと一緒だった友達を傷つけ、去ること。そのことを心から謝りたい。
 突然焔が、はっと顔を上げた。
「危ない、藤花ちゃん!」
「きゃあっ!?」
 バラバラバラッ。
 降り注いだ固く白い物は雪ではなく……。
「お……お砂糖?」
 呼気の水分を吸ってぎちぎちに固まる角砂糖の山の中、笑顔のままぷるぷる震える焔を、藤花は必死で発掘するのだった。


 彪姫 千代(jb0742)は探検気分で洞窟を進む。
「おー! 祠だぞー! ウシシ暗いな! リュウー!ここ楽しそうだぞ!」
 龍騎(jb0719)は、ちょっと怒ったような表情だ。
「リュウ反省なんてナイよ。チヨ何かあんの? 並んでみただけだったら怒るよ」
 言いつつふと考え込んだ。
 知り合って三ヶ月という短い期間に、友人相手に何度も怒ったような気がしたのだ。
(だって、子供じゃナイのに全然反省しないし服着ないよな。悪いコトはしてナイかもしんないケドさ)
 龍騎の足が止まる。いつも通り上半身裸の友人は、ずんずん先へ進んで行く。
(でも服なんて些細なコトかもしんない……チヨは優しいし強いしイイトコロばっかりで……)
 そこで小首を傾げる。どうもこの反省はおかしい。
(いや、イイヤツでも服は着るべき。うん、リュウ間違ってナイ)
 自分で自分に納得した所で、祭壇の前に立つ千代の大声が響き渡った。
「これからもリュウとずっと一緒にいたいんだぞ! 神様リュウに合わせてくれてありがとうなんだぞ!!」
 龍騎はその馬鹿でかい声と、内容に唖然とする。
「バカー!! 何響き渡らせてんだよオマエ、リュウをどうしたいんだよ!!」
 龍騎は千代の剥き出しの肩を掴んだ。
「おー! リュウは願い事したのかー?」
「願い事…? チガウ、入口に看板あっただろ…!」
 反省そっちのけで大騒ぎである。
「もう出れない! 外出ないから! ……って、うわああ!?」
「うおーっ!」
 どばあ。大量の雪が二人の上に落ちてきた。
 千代は雪まみれで面白そうに笑っているが、龍騎はじたばたと雪をかき分ける。
 と、その手に、何やら布が触れる。広げると、ファー付きのコートだ。
「ホラ、チヨ、神様が服着ろって!」
「ふ……服が降ってきたんだぞ!! リュウ! 俺は着ないんだぞ!」
「うるさい着ろ!」
 何故か裸より恥ずかしいらしい千代が、もじもじしながらコートの裾を弄る。
「……リュウゥ……余り見ないで欲しいんだぞ……俺……凄く恥ずかしいぞ……」
「うるさい! 恥ずかしいのはリュウの方なんだからな!」
「ま……待つんだぞ!」
「待たない」
 賑やかに、仲良し二人組は洞窟を出て行った。


 入れ違いに来たのは三人連れ。
 アダム(jb2614)が憮然とした表情で金の髪をかきあげ、クリフ・ロジャーズ(jb2560)を見遣る。
「クリフが暗いところ怖いっていう気がするから、ついて行くだけなんだからな!」
(まあ何かあったら、俺が守ってやるけどな)
 実際は助けられている方が多いのだが、アダムは無意味に自信満々だ。
「え、何で俺? こんな場所が怖いのは、お前ぐらいだろ」
「別に超絶天使な俺様に反省することなんてないし!」
 シエロ=ヴェルガ(jb2679)はしっかりとクリフの手を握りしめ、悲壮な声を上げた。
「クリフ! 手、離さないでね!?」
「あー、わかってる。転ぶなよ? しーちゃん、どうしたんだよ」
 シエロはそっと天井を窺う。
「だって怖いじゃない……何が居るか分からないし……! アダム……あなた、泣いてないわよね?」
「な、泣く訳ないだろ!!」
 アダムは、むきになって答える。
 ……実はほんのちょっとだけ、シエロが怖かったりするのだが。
 祭壇前で、アダムは不意に思い詰めたような表情になる。
「天界にいる兄ちゃんに逆らって家出して、ごめんなさい……」
 構われ過ぎるのが嫌で、いつまでも子供扱いされるのが嫌で、とび出した。
(……怒ってるかなあ)
 アダムの真剣な表情に、クリフとシエロも自分の行いを振り返る。
(うーん、やっぱりあれかな? 何度もしーちゃん怒らせたし……)
(反省すること……クリフをハリセンで殴ってごめんなさい……かな?)
 殴らせる理由を作るクリフが悪いとは思う。でもハリセンはやりすぎかしら? などと手を組み合わせたままシエロが逡巡していると、クリフの声が聞こえた。
「あの言葉をしーちゃんに何度も言ってすみません、もう言いません!」
 シエロのこめかみが、ぴくり。思わせぶりな言い回しが引っかかった。
「クリフ、それってどんな言葉?」
「え、そりゃ、乳。あ……」
 深い青の瞳がきらりと光る。
「─―っ! だから、乳って言うなぁあぁぁ!!!!」
「うぐふぅッ!!」
 目にもとまらぬ平手打ちがクリフの頬に炸裂した、その時。
「きゃああああ!?」
「うわーーーッ!?」
 ザバーン!! バケツでぶちまけたような水が二人を襲う。
 全身びしょ濡れになったシエロのドレスが、艶めかしく身体に張り付いた。慌ててクリフは自分の上着を脱いで、掛けてやる。こちらも濡れてはいるが、厚みがある分ましだ。
「しーちゃんっ、ほらこれ着て! 乳がモロに……あ」
「何で胸じゃなくて乳って言うのッ……!!」
 借りた上着をしっかりと片手で押さえつつ、シエロがハリセンを振るう。
「ふ、ふえぇ……」
 シエロの迫力に、アダムは思わずへたり込んだ。
(やっぱり怖いよう!!)
 その目の前に白い物がふわりと舞い落ちる。
「……?」
 両手の上に受け止めたそれは、白い羽根。アダムが涙目になる。
「……にににに……兄ちゃんの羽根だ……」
 にーちゃんが、にーちゃんがー! とパニック状態のアダムの襟首を捕まえ、シエロにハリセンで追いまわされながら、クリフは洞窟を脱出した。


「僕は誰にも恥じるような行いは……まあ魔法の練習で公園を多少散らかしたりはしたけれど……」
 洞窟の入り口で、クインV・リヒテンシュタイン(ja8087)はくいっと眼鏡を上げた。
「だが、眼鏡の素晴らしさを周囲に知らしめ、魔法による眼鏡の可能性を追求し、むしろ褒められてしかるべき好青年なのs……こ、怖くなんて無いさ、押さなくても行くっ、行くよっ!!」
 後がつかえている為、クインは洞窟に押し込まれる。
 蝋燭の炎に照らされ輝く眼鏡も悪くない……クインは眼鏡の新たな魅力をまたも発見し、満足する。
「い、いや、反省か。僕は眼鏡を綺麗にすることには誰にも負けない!」
 そう宣言し、ふと思い返す。ぱりーんという残響。飛び散る透明な破片の残像。
「……あぁ、でもちょっと沢山レンズを割られてしまったけれど、それは僕のせいじゃない! ……こほん。失礼、さあ何でも来るといい!」
 あんまり反省してるようにも思えないが、クインは堂々と胸を張る。
 その額に、ぽたり、と粘っこい雫が落ちた。思わず指でなぞる。
「……油……?」
 と思った瞬間、だら〜っとクインの顔面にそれが垂れ落ちた。
「くっ、なんてことを! 眼鏡の汚れは心の汚れッ! 負けるものか!!」
 眼鏡がキラリと光を放つと、油が弾け飛ぶ。と同時に、眼鏡の放つ光が油に火をつけ、クインが身を捻るとそれに合わせて炎の軌道が走る!
 落ちる油が導火線のように燃え上がる。だがクインの背後に、もう一筋の油が迫った。
『危ないッ!』
 思わぬ方向から光が迸り、クインの背後の油を到達前に燃え上がらせる。
 振り向くと、眼鏡を煌めかせた梨香。
「フッ……眼鏡、万歳。眼鏡よ永遠なれ」
 クインは軽く片手を上げ、煙漂う洞窟を後にした……。


 奇妙な被り物の悪魔、オーデン・ソル・キャドー(jb2706)が続いてやって来る。
 祭壇の前で片膝をつくと頭を垂れた。
「私がおでんに出逢ったのは、今年の冬でした。冬こそはおでんの季節……」
 全身から無駄に漂う喜びの波動。彼は今、愛するおでんについて回想中なのだ。

 コンニャクはプリプリとした食感と、ダシの素直な旨味を
 卵はその黄身を溶かす事で、スープに新たな味わいをもたらす
 大根に歯を押し進める程、溢れ出る歓喜の涙……

 オーデンは傷ついた心と身体に優しく沁みとおった暖かさに、全てを捨ててはぐれ悪魔となった。
 ……天使だったら、オデンでダテン。惜しかった。

 だが、私はまだ知らない
 春の匂い、木漏れ日を感じながら頬張るちくわを
 夏のビーチで潮風と共に薫るダシを
 秋の味覚、その瞬間にしか味わえないモノ
 例えば銀杏は鍋の混沌の中で、どの様な輝きを魅せるのだろう……!!

 反省というか願望は、背中に器用に潜り込んだ物に突如遮られる。
「あつっ!?」
 慌てて取り出すと、はんぺん。
 見上げるとこんにゃく、ちくわ、餅巾……要は、熱々で貼りつく系のおでん種が次々と降って来る。
「我が願い、愛は届いたというのか……熱っ! さあっ我が全身に浴びせるが良っ、熱っつおっ!」
 歓喜と恐怖に舞い踊るオーデン。
「愛とは……ゼエゼエ……耐えるっ、熱っ、こっ、っつ、と……ぐあぁ!?」
 コーーーン!
 最後の一撃、某家電街で売られているという『おでん缶』がオーデンの脳天を直撃した。


●弾けろ芸人魂
 栗原 ひなこ(ja3001)は、洞窟の入り口を見透かす。
「洞窟って一本道なのかな?」
 如月 敦志(ja0941)は長い列を前に、思わず嘆息した。
「凄い人ごみだな……はぐれない様に手をつなぐか?」
 からかうように笑って手を伸ばす。
「えっと……あ、んーじゃぁ……そこに捕まらせて貰ってもいいかな?」
「はいはい」
 笑いながら服の裾を掴ませ、先へと進む。
 辿り着いた洞窟の中に並んで立つと、ひなこは何気ない風で敦志の服から手を離す。
「うーん、案外すぐだったね」
「よし、んじゃ俺が先に行こうか」
 敦志が進み出る。
(……今年は各所で相当絶望してしまった。来年は絶望せずに生きる)
 そこで思い出し、付け加えた。
(後、ダーツからは距離を置いて生きて行きたいッ……!)
 と拳を握った瞬間。頭皮、もとい頭部に鋭い衝撃音。
「痛!! 何!? どういうことなの!?」
 床でくるくる回っているのは金盥。
「なんか凄い音したけど大丈夫!?」
 頭を押さえながら、慌てて駆け寄ったひなこに場を譲る。
「ひなこ、気をつけろよ?」
「大丈夫かなぁ……」
 ひなこは金盥を横目に、恐る恐る跪く。
(色々な先生にご飯奢って貰ったけど……よく考えたら白川先生にはまだちゃんと奢って貰ってないなぁ。よっし今度給料日に突撃してみよう)
 この場に居ない教師に(財布的な意味で)死亡フラグ。というかそれは反省なのか。
 そう思ったのは裁きを下す何かも同じだったらしい。
「えっ、あれ?? なんにもない?」
 きょろきょろ見回すひなこの背後で、激しい水音が洞窟に響き渡る。
「……多分そうかな、とは思ってた」
 手で顔を覆い、ずぶ濡れの敦志。今年の絶望納めか。
「わっ、敦志くん大丈夫?? あっ、あたしハンカチあるよっ」
 慌ててひなこが敦志の顔を拭う。
(コレってダメって事かなぁ……?)
 いや普通ダメだろ。
「体冷えちゃうね。後で飲もうと思って温かいの持ってきてたんだけど飲む?」
 暖かい緑茶を手渡され、敦志は嬉しそうに笑って見せる。
(ま、これはこれでいいか)
 その頭上に再度衝撃。――育毛剤の小瓶が転がる。
「大きなお世話だーーーー!!」
 それでも放り投げず、小瓶をしっかりと握りしめる敦志であった。


「他の方がどんなジャッジを受けるのかも興味ありますわね。ラグナさん、ご一緒するのですわ」
 ラグナ・グラウシード(ja3538)は旧知のクリスティーナ アップルトン(ja9941)に手を引かれ、洞窟に挑む。
 クリスティーナは祭壇前で膝をつく。
「『久遠ヶ原の毒りんご姉妹』華麗に反省! ですわ」
 彼女の反省点は、妹と開いている喫茶店のこと。
「今年は、お店のメニューをあんまり試食できませんでしたわ」
 一日にパスタ一皿ぐらいは試食していたのだが。それを足りないと言うらしい。
「妹にもっと新メニューをたくさん発案させて、もっともっとおいしいお食事やデザートを食べておけばよかったです」
 その隣で、ラグナが祈る。
(ふふん!今年一年、私はよく努力したからな! できれば美女でも落ちてきてほしいものだが!)
 ラグナはそこでふと、表情を曇らせる。唯一と言っていい反省点を思い出したのだ。
(い、いや、あの件については確かにやり過ぎたと思う、反省している)
 それは『非モテ友の会』の仲間だった焔を、彼女ができたからと排斥したこと。
(だがッ! それ以外は私に懺悔するところなどなしッ!)
 クワッと目を見開き、拳を突き上げラグナは叫ぶ。
「天魔討伐にリア充征伐! 私は実に数多くを成し遂げた……神よ! 御照覧あれッ!」
「さすがラグナさん、御立派ですわ!」
 感に堪えない様のクリスティーナ。
「さあ、では帰ろうか」
 イイ笑顔で振り向いたラグナは、暗い足元に気づかなかった。
 ずるん。
「きゃああああああ!!」
 なんでこんなところに、という絶妙な位置にバナナの皮。
 雑巾を裂くような(?)男の悲鳴が洞窟に響き渡る。
 何ということだろう、クリスティーナを押し倒す格好になってしまった。豊かな胸が眼前に迫る。
「ラグナさん、大丈夫ですか?」
「グハァ、私としたことが! いや、これは事故だ! 断じて汚らわしい気持ちなど!!」
 激しく首を振るラグナを、さらなる悪夢が襲う。
『ラグナのえっち!』
 忘れようもない宿敵の声。いやまさか、こんな所に!
「うわああああああああ!!!」
 見えない敵か、幻聴か。力を籠めて踏み込んだ先に……バナナの皮、再び。
 頭を打って伸びたラグナをクリスティーナが連れ出す。
「やはり私、何をやらせても華麗ですわね……」
 何処からか取り出したぞうりを額に乗せ、完璧な仕事ぶりに満足げなクリスティーナ。
 まずは己の中の敵を見つめよ。それがラグナへのメッセージだったかもしれない。


 月居 愁也(ja6837)は祭壇前で呟いた。
「んー、親友愛が足りなかったと思います」
 わくわくしつつ見上げる。……何も起こらない。
「ここは空気読んで、なんか降らせるべきじゃね!?」
 ばんばんと石台を叩く。いや君、何しに来たの。
「依頼も頑張ったのに……巨大蛙と戦っ……ぎゃーーーー!?」
 何処からともなく伸びてきた粘っこい物質に絡めとられ、視界は暗転。
 全身をもみくちゃにされた後、岩の上に転がされた。そのまま巨大蛙は闇に消える。
「こ……この感触は……いやまず、風呂入らないとってぐはぁ!!」
 よろめきながら足を踏み出すと頭に衝撃。頭を抱えてしゃがみ込む愁也をあざ笑うかのように、金盥が転がる。だがまだ悲劇は終わらない。
「なんなんだよ……ってぎゃーーー!!」
 ざばーーー! 降り注ぐ湯の滝に突き倒され、愁也は金盥に顔を突っ込む。風呂☆完了。
「これ反省関係なくね!? い、いや。心は広く、これも反省だな」
 こほん。気を取り直した所で、傍に立つ女子学生が何かを手渡してきた。
「……最後にこれか」

 洞窟の外に走り出た愁也を、小野友真(ja6901)が指さして笑う。
「愁也さん、反省して出てきたんがそれ!」
「うるさい子だね、冬休みの宿題終わったのかい! そんなんじゃ来年も土下座進級だよッ!」
「うわーん、そんなことないもん!!」
 心が広い=母の心ということか、アフロカツラに割烹着、盥を抱えた愁也にパンチを繰り出し、友真はそのまま洞窟内へと逃げ込んだ。
 加倉 一臣(ja5823)は、謎のカメラ目線で無意味な決め顔。
「フッ……俺に反省を語らせたら一晩じゃ済まないぜ?」
 踵を返し、友真の後を追う。

 並んで祭壇前に立つ一臣と友真。先に友真が進み出る。
「反省なー。面白い事言えへんかったんで、次からもっと頑張りたいです」
 身についた土下座を華麗に決める。
 暫しの間の後、天井から大量の飴が降り注ぐ。
「おーご褒美ー! ……飴ちゃんの雨、再び!」
 キャッキャと大喜び。だが、それもつかの間。
「うわあ!?」
 ドスドスドスッ! 棒状の物が周囲に突き立つ。
「な、何やこれ……?」
 這いつくばった友真はその一本を手に取る。ねじり飴だ。
 無言で座っていた梨香が重々しく呟いた。
「小野さんには、捻りが足りないです」
「梨香ちゃん、鋭い突っ込みやな……ていうか今、巫女さんやなくて、素やったな……?」
 友真が張り付いた笑顔を向けた。

 一臣は祭壇を睨み、腕組み。
「セキュリティ突破依頼で、俺は見事な人間橋となったが。己を踏んだ人数に気を取られて大事な事を忘れていた」
 眉根を寄せ、きりりとした表情。
「指先は、もっとエレガントに伸ばすべきだった」
 その後も『そうじゃない』感漂う反省点は延々と続く。
「いや待て、最も反省すべきは寝落ちの多さだ」
 既に立ち直っていた友真は、一臣の言葉に頷く。
「そうそう、それマジ反省して治してほしいって思……」
 一臣は舞台俳優のように手を広げていた。
「でもやめられない止まらない、気付いた時には既に夜明けだ。ああ、荒ぶる神よ心あらば教えてくれ、寝落ちしない奥g」
 そこにふわりと降りてくる布団。
「わあ。おひさまの匂いがする……」
 三秒で眠りに落ちる一臣。
 ……どれほどそうしていただろう。凶悪な気配に、布団を跳ねのけ起き上がる。
 左顔面を掠める、アウルの銃弾。
「……おはよう。次右肩、最後に頭な?」
 冷たい笑顔の友真の手に、鈍い光を放つ拳銃。
「待て、話せばわかる……なっ?」
「うるさいわ! どんなけ人を心配させたら気が済むんやーーー!!」
 改めて何も落ちてこなくても、流石の一臣も充分反省したことだろう。そう信じたい。


 同行者の中で、最後に踏み込んだのは佐藤 としお(ja2489)。
「へぇ〜、ここが巷で噂の有名な『謎の祠』ねぇ」
 黒縁眼鏡を持ち上げ、興味深そうに進んで行く。
(えーっとなんだっけか、確か……ここでお祈りすると願いが叶う……だっけ? いや、望みが叶うだっけか? ……まぁいいや。とりあえず、前進〜♪ 前進〜♪)
 鼻歌気分で祭壇前に立つ。
「お? ちょうどいい椅子があるぞ、失礼してっと」
 祈りを捧げる為の石台に腰掛ける、事前注意を全く読んでいないとしお。
「うーん、願いっつってもなぁ……あ、そうだ! じゃあ、ちょー可愛い彼女が出来て、その子と夏祭りで花火が見たーい! ……とか?」
 楽しそうに、祭壇に指を向けた。
 すると祭壇から、何かが転がり出てくる。
「ん? なんだこれ」
 それは黒く丸い物体。一部から細い紐が一本出ていて、そこに祭壇の蝋燭の火が燃え移り……。

 外の人々は、突然の轟音に思わず空を見上げる。
 洞窟の天井と思しき辺りの岩が吹き飛び、粉塵が舞上がる。
 暮れかけた冬の空に打ち上げられたとしおは、黒い煙を龍のようにたなびかせ宙を飛んで行った。


 ――なんとか、全員の反省も終わったということで。
 身を清めて迎える新しい年が、良きものとなりますように。

<了>


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 己が魂を貫く者・アーレイ・バーグ(ja0276)
 あんまんマイスター・七種 戒(ja1267)
 哀の戦士・梅ヶ枝 寿(ja2303)
 ラーメン王・佐藤 としお(ja2489)
 輝く未来を月夜は渡る・月居 愁也(ja6837)
 撃退士・久我 常久(ja7273)
 約定の獣は力無き者の盾・長幡 陽悠(jb1350)
 おでんの人(ちょっと変)・オーデン・ソル・キャドー(jb2706)
重体: −
面白かった!:15人

己が魂を貫く者・
アーレイ・バーグ(ja0276)

大学部4年168組 女 ダアト
思い繋ぎし紫光の藤姫・
星杜 藤花(ja0292)

卒業 女 アストラルヴァンガード
先駆けるモノ・
高虎 寧(ja0416)

大学部4年72組 女 鬼道忍軍
修羅・
戸次 隆道(ja0550)

大学部9年274組 男 阿修羅
厨房の魔術師・
如月 敦志(ja0941)

大学部7年133組 男 アカシックレコーダー:タイプB
太陽の魔女・
ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)

大学部4年230組 女 ダアト
あんまんマイスター・
七種 戒(ja1267)

大学部3年1組 女 インフィルトレイター
哀の戦士・
梅ヶ枝 寿(ja2303)

卒業 男 阿修羅
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
懐かしい未来の夢を見た・
栗原 ひなこ(ja3001)

大学部5年255組 女 アストラルヴァンガード
KILL ALL RIAJU・
ラグナ・グラウシード(ja3538)

大学部5年54組 男 ディバインナイト
思い繋ぎし翠光の焔・
星杜 焔(ja5378)

卒業 男 ディバインナイト
JOKER of JOKER・
加倉 一臣(ja5823)

卒業 男 インフィルトレイター
輝く未来を月夜は渡る・
月居 愁也(ja6837)

卒業 男 阿修羅
真愛しきすべてをこの手に・
小野友真(ja6901)

卒業 男 インフィルトレイター
撃退士・
久我 常久(ja7273)

大学部7年232組 男 鬼道忍軍
眼鏡は世界を救う・
クインV・リヒテンシュタイン(ja8087)

大学部3年165組 男 ダアト
華麗に参上!・
クリスティーナ アップルトン(ja9941)

卒業 女 ルインズブレイド
泡沫の狭間、標無き旅人・
龍騎(jb0719)

高等部2年1組 男 ナイトウォーカー
撃退士・
彪姫 千代(jb0742)

高等部3年26組 男 ナイトウォーカー
約定の獣は力無き者の盾・
長幡 陽悠(jb1350)

大学部3年194組 男 バハムートテイマー
天と魔と人を繋ぐ・
クリフ・ロジャーズ(jb2560)

大学部8年6組 男 ナイトウォーカー
くりふ〜くりふ〜・
アダム(jb2614)

大学部3年212組 男 ルインズブレイド
月夜の宴に輝く星々・
シエロ=ヴェルガ(jb2679)

大学部7年1組 女 陰陽師
おでんの人(ちょっと変)・
オーデン・ソル・キャドー(jb2706)

大学部6年232組 男 ルインズブレイド