.


マスター:樹 シロカ
シナリオ形態:イベント
難易度:易しい
形態:
参加人数:25人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/09/01


みんなの思い出



オープニング

 一般的には盆休みの最中のある日のことだった。
 真夏の暴力的な太陽光線の下、久遠ヶ原大学部准教授のジュリアン・白川 (jz0089) は学園島内のとある建物に向かっていた。
 夏季休暇中のこと、普段よりはラフなジャケットスタイルにサングラス姿であるために、胡散臭さは一層増している。

 彼を呼び出したのは、上司の星教授。目的の建物の所有者でもある。
 彼女は眉唾系対天魔のトンデモ研究をライフワークとしており、学園関係者の一部からは『マッドサイエンティスト』と呼ばれている。だが皮肉にも偶にそれなりに効果的な物を作成することがあり、その特許のもたらす潤沢な資金を元に、個人でかなり立派な研究棟を所有しているのだ。
 白川は空調の利いた静かな玄関を抜け、エレベーターを上がって4階で降りる。
 そこでは白衣をひっかけ、長い黒髪を一つに束ねた、30代半ばと思しき女が待ち構えていた。

「暑い中呼び出して悪かったわね」
「いえ。教授も休暇を取られていなかったのですね」
「いくら私にできることがないとはいえ、今はのんびり休む気にはなれないわ」
 星なりに危険な戦いに赴く学生達を案じているらしい。
「それでご用件は?」
「ええ、こちらを見て欲しいんだけど」
 星の案内で廊下に出る。

 そこには何やら複雑そうな、謎の巨大な機械があった。動力源と思しき本体の周りには、太いパイプやコードが複雑に絡んでいる。
「これはなんですかな」
 一抹の不安が背中をせり上がってくるが、白川は努めて冷静な声で尋ねた。
「名付けて『エクストリーム流水装置』! 無理なく楽しく能力を伸ばす、夢の訓練装置よ!」
「は……?」
 実はこれ、白川は初見であるが、2年前には『エクストリームそうめん流しマシーン』と呼ばれていた装置の改良型である。
 胡散臭い男の胡散臭そうな視線を全く意に介することなく、滔々と説明は続く。
「水量はA−2級消防ポンプ自動車の規格放水量と同じ、毎分2キロリットル。前回の物を改良して、放水量を増やしてみたわ。この先は全長100mの水路を経て、この建物の地下にあるプールに繋がっているの」
「……遂に地下がプールになったんですね?」
 色々な突っ込みどころはあったが、ひとまずその点を確認する白川。

「ええ。何かの時には役に立つかと思って。まあ元々の目的は、どうせそこに水を溜めるなら活用した方がいいんじゃないかしらってことね」
 いや、普通に水溜めろよ。
 白川は内心で突っ込む。この時点で大体の用向きはわかってきた。
「で、私の呼ばれた用件は……」
「撃退士がこの水量の中でどれぐらい動けるのか。貴方も興味あるでしょう? 被験者を募集して欲しいの」
 そこで星は軽く肩をすくめる。
「まあ、それは一応表向き。報酬つきの水遊びよ。ああ、でもレポートは貴方がお願いね」
 一応は星なりの、学生への愛を籠めたプレゼントということか。
 白川はまだ多少の疑念を持ってはいたが、学生達が多少なりとも気晴らしできるなら面倒事を引き受けてもいいという気になった。
「……まあそういうことでしたら。手配はしておきましょう」
「頼んだわね」

 白川が立ち去った後。
「ふふふ……これで準備は整ったわね。私を嵌めた報い、身を持って受けると良いわ白川君!」
 窓際の機械をそっと撫で、星はほくそ笑むのだった。


リプレイ本文


 着替えを済ませた蓮城 真緋呂(jb6120)は、廊下の窓から外を眺める。
「わー……なんかすごいぷーるだー……」
 どうしようもない棒読み。それもそのはず、窓から見えるのは只管うねる水路のみ。
「……プールって地下って話でしょ?」
 身を乗り出すと、水路の隙間からようやく水面が見えた。その水面が地面の高さだ。
「何この落差……」
 僅かに声が震えていた。が。
「すっごい楽しそうじゃない!!」
 ……さすが撃退士。
「わーいプールだプール!」
 腰にタオルを巻いて、月居 愁也(ja6837)が飛び出してくる。
 集合場所には三々五々、撃退士が集まりつつあった。
「あれー……どっかで見たような面子が……」
 微笑みながら見渡し、ふと白川と目があった愁也は、何故か合掌する。
「ま、折角の機会だしな! 思い切り楽しむぜー!」
 そう言って勢いよくタオルを外すと、蔵倫発動……と思いきや、見えないテグスで固定されたファンシーマスクがかろうじて貼りついていた。
「フッ、バカにしか見えない水着d、ぐほぁッ!?」
 激しい衝撃が背中に走った。
「ほんの冗談じゃんかよぉおお……」
 悲鳴を後に残し、背中に赤い足跡をつけた愁也がまだ水のない水路を転げ落ちていった。
「この学園は本当に何でもありですね……」
 蹴り飛ばした夜来野 遥久(ja6843)は、まるで他人事の風情で謎の機械を撫でている。

 加倉 一臣(ja5823)は改めて学園の深淵を覗く思いで、そっとスキルを入れ替える。生き延びるための選択だ。
 それから笑顔で振り向く。
「やぁ、顧問におかれましてはご機嫌麗しく! 最近のご活躍は報告書で拝読いたしました☆」
 白川は一臣の部活の顧問だ。
「俺も窮地から脱する術を是非学び取りたい……」
「君なら大丈夫だ。窮地に在ってもずっと生き残っているではないか」
 肩を叩かれ、それはちょっと違うなと思う一臣。
「ところで、あの件は結局上手くいったんですか」
 遥久が小声で尋ねた。白川もほとんど唇を動かさずに答える。
「……だとしたら、今頃忙しくてこんな依頼は出ていないだろうね」
「成程」
 少し前に学園生が関わった依頼で、今回の依頼主、星教授は強制的に見合いをさせられていた。それはどうやら芳しくない結果に終わったようだ。

 その依頼にはДмитрий(jb2758)も参加していた。
 僧形の堕天使は、何食わぬ顔でバケツと雑巾を手に水路に出て行く。
「汚れたままではいかんだろう。掃除しておこう」
「ああ、助かるわ。あの後を滑るのはあまり嬉しくないでしょうからね」
 星が言う通り、愁也の滑った後にはファンシーマスクの擦れた跡と、何やら赤い筋が残っていた。……大丈夫、問題ない。撃退士はこれぐらいで死にはしないから。
 競泳水着にパーカーを羽織った六道 琴音(jb3515)が、白川を見つけて丁寧に頭を下げた。
「白川先生、お疲れ様です。今日はよろしくお願いします……なんだかお顔の色が優れないような?
 よかったら、マインドケアをかけましょうか?」
「ああ、有難う。大丈夫だよ」
 恐らくこの依頼では数少ない(?)良心の持ち主に、白川の表情が明るくなる。
「それならいいのですが。……こちらの訓練装置の被験者をやればいいんですね? なるほど、四階建の高さからのウォータースライダーですか」
 下るもよし、遡るもよし。なかなか挑戦的な水路である。
「ところで白川先生、ご自分ではもう試されたんですか?」
「はっはっは」
 ……笑ってごまかしやがった。

「じゃあ始めるわよ」
 星がスイッチを入れると、腹に響くような物音。
 櫟 諏訪(ja1215)はその水量に、さも楽しそうに微笑んだ。
「うん、楽しみましょー!」
 わくわくしながら星の傍にさり気なく近寄り、耳打ちする。
「とりあえず、スライダーの摩擦が減る案があるんですよー?」
 だがその詳細を利いた星は、首を横に振った。
「残念だけど却下。材料が足りないし、貯水槽だから水はなるべくそのままよ」
「なるほどですよー? では、これでどうでしょうかねー?」
 ひそひそひそ。何やら悪だくみが続く。
 その間に黒百合(ja0422)は密かに機械に近寄る。
「んー……これだけの水量を発生させる機械には興味あるわねェ、どんな仕組みになっているのかしらァ……?」
 星の目を盗み、黒百合は機械の裏側まで辿っていく。透過が使えるというのはこういうとき便利だ。ダクトを辿り、その姿は壁の向こうへと消えていった。



 激しい水音をかき消すように、小田切ルビィ(ja0841)の声が響いた。
「――えッ! 今回は流し素麺はナシ、だと……!?!」
 今を遡ること2年と少し前。今回とそっくりの機械は、流しそうめんに利用されていた。
 あの日の死闘、そしてあの輝き。今回もきっと、磨きに磨いた技を駆使して、戦いに勝ち抜き、そして……
「無い、だと?」
 ルビィの端麗な横顔が怒りに震える。
「そんな事は俺が認め無ェ。例え世界中を敵に回したとしても……俺はひとりで戦い抜いて、極上のそうめんを味わってみせるぜッ!!」
 男は孤独なソルジャー。己が信念を曲げることなし。
 ルビィは割箸と硝子の小鉢を手に身構えた。


 それに呼応した訳ではないが、一臣が沈痛な面持ちで水路に現れた。
「……流しそうめんのつゆに出汁は必要でしょう……?」
 身に纏うは魚の着ぐるみ。ご丁寧に腹にはやけっぱちの文字で『かつおぶし』と書かれてある。
「ふっ、やるからには全力。それがこのメンツの鉄の掟だろう?」
 藁苞の着ぐるみを纏ったその凛とした表情は、さながら面を被らぬなまはげか。
 アスハ・A・R(ja8432)はひとつ息を吐くと、メフィス・ロットハール(ja7041)を振り返る。
「メフィス……お互い、無事だといいな?」
「え?」
 メフィスは困惑を隠せない。
 確かになんだかちょっと面子が濃い上に、ビシビシとまずい気配が漂ってはいる。
 だから少し大人しくしていようかと珍しく逃げ腰だったが、気がつけばペンギンの着ぐるみを身につけていた。
 かわいい。そう思ったが、よく考えたら手足が短いので満足に動けないような気もする。
 おまけにアスハが何やら悟ったような表情だ。

「ええい、生き延びるための手段は尽くした。我が命運、天のみぞ知る!」
「よし行け、カズオミ」
 覚悟を決めてウォーターガンを構えた一臣の背中を、優しく、だが力強く蹴るアスハ。
「いやちょっと待って、もうちょっと心の準備とかそういうのが……!!」
 よろけながらも一臣は無駄に緑火眼を輝かせ、無駄に美しいフォームで水路に滑り出した。
 見送りながら、アスハは敬礼。
「流石はカズオミ、いいフォームだ」
「だって。出汁がきいてないとおいしくない」
 矢野 胡桃(ja2617)がももんがの着ぐるみで重々しく頷く。
「ところでアスハおにーさん、その着ぐるみ似合ってる」
「コモモの見立てだから、な」
「あれー、水が入ってから滑ったんだ。削れねーじゃん」
 よたよたと歩いて来るトマトの着ぐるみは愁也。
 無駄にきりりと表情を引き締めた遥久は、ナスの着ぐるみ。
「……それで滑るの?」
 星が着ぐるみ集団に眉をひそめたのも無理はない。
「ワレワレニ、フカノウハ、ナイ」
 眼帯をつけたリトルグレイはエルナ ヴァーレ(ja8327)だ。何となく喉を叩きながらそれっぽい声を出して見る。
 そう、彼らは「どうしてこうなった」という愉快な仲間達。【タグ】という集団らしいが、それは着ぐるみからはみ出ているアレではないようだ。

「まあいいけど。吸水した重さも耐えてこその訓練とは、考えたわね」
 満足そうな星に、トマトの愁也が済んだ瞳を向けた。
「あ、そーだ。星先生、見合いしてその後どうなんですかー?」
 率直なのは愁也のいいところだ。だが。
「……そう言えばあのときのお礼がまだだったわね?」
 星が微笑みながらリモコンを取りだした。
 ぽちっとな。
「あぁあああ!? あっっっっつい!?!?」
 真夏の太陽に熱せられた屋上のパイプから大量の放水。そのまま愁也は茹でトマトとなって流れていく。
「遥久、たすけ……!」
 がし。掴んだ親友の腕は決して離さない。
「おい愁也、大丈夫k」
 一緒に流されながら、遥久は思った。そう言えば防水加工を施した覚えはない……。

 流れ落ちていく面子を、パンダの着ぐるみ姿の橋場 アイリス(ja1078)がじっと見つめていた。
「…………」
『……どんなプールなのよ……』
 イシュタル(jb2619)はアイリスの傍で困惑顔だ。
 まぁ、当人達が楽しいのならいいのかもしれない。だってここは久遠ヶ原だから。
 そんな思考はアイリスの呟きで途切れた。
「……楽しそうなのです」
『え?』
 背後に立ったアスハがアイリスの肩を掴む。
「やめておけ。重体では流石に危険、だ」
 そう、アイリスは現在重体中の身なのだ。激流水路に挑むのは危険すぎる。
 だが。
「プール……はいるの! はいるのです!!!」
 理性は飛んだ。蒼玉の瞳が真紅に燃え上がり、底力を発揮した阿修羅パンダが藁苞を抱え上げる。
「すべり、たいの……!」
「んまっ、ちょっ……がっ!?」
 藁苞のアスハが宙を舞い、水路へ叩きつけられた。……顔面から。
 咄嗟に身を乗り出したメフィスの手を、溺れる藁が絡め取る。
「っちょ!? アスはぁぁああああ!?」
 後は諸共。所々に藁苞から零れた豆をこぼしつつ、ふたりは仲良く滑って行った。
 ……楽しいかどうかは、分からない。
『何時ものこと、ではあるのだけど……何というか相変わらずね』
 イシュタルは黙って見送った後、まだ興奮冷めやらぬアイリスの頭を軽く撫でる。
『滑りたいの? でも怪我をしているのだからあまり無理はしないように、ね』
「大丈夫なように、一緒に滑るの」
 イシュタルはぎゅうとしがみ付くアイリスに微笑み、一緒に水路へ。
『じゃあいい?』
 ほとんど身投げという体で、ふたりは水路に飛び込んだ。
『ふわあぁ……! 思ったより水流が、って、ええっ!?』
「はむぁーーーーーーッ!」
 アイリスはここぞとばかりにイシュタルにしがみ付き頬ずりする。
 イシュタルもアイリスの体を気遣いしっかり抱えたままなので、上手く大勢が整えられない。
『え!? ぁ……今そんな事されたら……!?』

 ざっばーん!

 着ぐるみ集団が、塊になって水路から飛び出した。
「うまくいったみたいですねー?」
 諏訪が満足そうに微笑んでいる。
 水に濡れるとくっつく薬剤を、密かに染み込ませていたらしい……。



 胡桃は棒読みで呟く。
「わーすてきなぷーるー」
 しっかりと義父の矢野 古代(jb1679)が逃げ出さないように、腕を掴んだままで。
「……なかなか良い人生だったな」
 何もかもを諦めた表情の、アロハシャツを纏った狸の着ぐるみがそこにいた。
「とうさん、に が さ な い よ」
 微笑みながら胡桃は古代にマーキング。古代は微笑みを返す。
「俺は、君から 逃 げ な い さ」
 ここまで言われてもまだ、胡桃は衛士の縛鎖で古代をぐるぐる巻きにする。
「とうさん、折角だから。た の し ん で!」
「うわぁあああ!!!」
 狸は水路へ蹴り落とされた。
 いろいろな出来事が、走馬灯のように脳裏を流れていく。
「俺、死ぬのかな……」
 それはほんの一瞬だった筈だ。だが古代はそこに桃源郷を見た。
 世界は褌。真理は褌。
 ――褌訳聖書に曰く若い褌の栄えはその白さ、老褌の美しさはその糊付けである。
 世界の男は褌を締められなくてはならない……!
 ……ある意味、社会的に死にかけている男は決意する。
 この場にいる男全員に褌を着用させようと……!


「へぇ、これはちょっと本気でかからないとだねぇ」
 雨宮 歩(ja3810)が緩く笑う。
 水着こそ普通のトランクスタイプだが、ヤル気は充分。
「実験という名のチャレンジと行こうかぁ」
 水上歩行でサーフィン風に水流に乗れるか試すつもりである。
 旨く行けば、海での戦闘にも役に立つ……のだろうか?
「それじゃ、姉さん。お先に失礼するよぉ」
「あっちょっ!? 先に行くとかずるい!」
 姉さんと呼んではいるが、その実奥さんの雨宮 祈羅(ja7600)が瞬間移動、満面の笑みで抱きついた。折角張り切ってビキニの水着まで着て来たのに、置いていかれてなるものか。
「置いて行ったら拘束するからね! うち絶叫系大好き! めちゃ楽しそうだよね、これ!」
 おぶさるように背中から抱きすくめ、しっかりしがみ付く。
 そこでふと思いついた。
「あれ? 探偵さん絶叫系ダメじゃなかったっけ……?」
 顔を覗き込んで様子を伺う。歩は苦笑いで応えた。
「あぁ、身動きできないのが苦手なんだよねぇ。自分で動けるなら大丈夫だよぉ」
「ふうん? そうなんだ」
 祈羅が残念そうなのは気のせいか?
「んじゃ、今度バンジージャンプしよー!」
 そう言って、滑りだそうとする歩の頬に抜き打ちで唇を寄せる。
「なっ、姉さん!? それはちょっと危ないんじゃないかなぁ!?」
「だいじょぶだいじょぶ! なんかあったらライトヒールしたげるからね!」
「そういう問題じゃ……ッ!!」
 その瞬間、物凄い勢いの水流がふたりを押し流す。
「ひゃあああ!! なにこれなにこれ!!」
「ッ……姉さん、しっかりつかまってろよぉ」
 歩は必死でふたり分の体重を支え、体勢を整える。

 その頃、機械の操作盤の前では。
「へェ……面白いわねェ? こっちはどうかしらァ……?」
 くすくす笑いながら、黒百合がスイッチを片っ端から弄りまくっていた。
「うん、大体は分かったわァ……こうすれば、強くなるのよねェ」
 かちかちかち。
 指針は、レッドゾーンを示していた。

 ますます激しくなる水流。
 その勢いに乗った歩と祈羅は、先を行くアスハに追いつきつつあった。
「ひゃあああああ! すごいすごい、楽しーーー!!」
 完全に面白がっている祈羅を支えて、歩は容赦なく藁苞にスキルの赤い鎖を絡める。
「困った時はお互い様、旅は道連れ一緒に堕ちようって事でねぇ」
「待て……お互い、ひとりの体ではない、んじゃ……」
「きゃああああああ!?」
 メフィスも巻き込まれ、ひと固まりとなって水路を転がっていく。



 迫る荒波を待ちうけるのは、遡上を試みる一団だった。
 学園制式採用スクール水着の雫(ja1894)は、手を翳して白波を眺める。
「これを遡上すれば良いトレーニングになりそうですね」
 波のまにまに見え隠れする、様々な物体は敢えて見ない。
 突然、雫ははっと目を見張る。
「画期的な方法を思い付いたのです……」
 やおら、素足の爪先を水面に。
「こうして踏み出した片足が沈む前に、逆の足を踏み出す……」
 雫の全身を妖しい光が包み込む。それはあたかも、魑魅魍魎の如く。
「またその足が沈む前に逆の足を踏み出せば、水上だろうが、流れが有ろうが走り抜ける事は可能な筈です」
 んなわきゃねえ。
 だが念ずれば通ず。やれると信じて踏み出した一歩が奇蹟を生んだ。
 ……と言いたいところだが。
「普通の人では無理でも撃退士ならば不可能は無いのです」
 イニシアチブと移動力を極限まで上昇、縮地まで使って雫は水面を走り出す!
 そこに転げ落ちて来る着ぐるみの塊。雫はそのまま踏みしめて水流を駆け上がっていく。
「これは……スリルがあって中々に楽しいですね」
 雫は軽快に水路を遡上して行く。
 既にイニシアチブもアウルも関係ない。何故なら、踏み台がそこにあるのだから。

 琴音はその姿をじっと見つめていた。
「あれほどの身体能力は私には……」
 迷うような視線が雫の踏みしめていく着ぐるみを眺めていた。
「何人かでも、普通に課題をやるひともいないと……白川先生がレポート書くのに困るでしょうしね……」
 根が真面目な琴音は、健気にも自分がそのテストを受けて立とうというのだ。
「自信はないけど、でもがんばります」
 ぐぐっと決意を籠めて、身体を沈める。それから一気に駆け出した。
 雫の後に続いて、走る、走る。
「ようは、鯉の滝登りの要領ですよね!」
 鯉がどうやって滝を登るかは知らないけれど。

 真剣な眼差しで雫と琴音の挑戦を見守るのは、水無瀬 雫(jb9544)。 
「流れの速さは想像以上ですね。正直驚きましたが」
 もっと驚いたのは、それに臆することなく遡上しようとする女子学生達と、身動きできない着ぐるみで転げ落ちて来る連中である。
「流石、皆さん覚悟が違いますね。着ぐるみに至っては、もはや自殺行為と言っても過言ではないでしょう。私にはとても真似ができないです」
 その表情には、ある種の畏怖が宿る。それはもう敬して遠ざけるレベルで。
「もっとも、着ぐるみはともかく。確かに天魔との戦いに比べれば、この程度で怖気づくわけにはいきません」
 キッと顔を上げ、気合を入れる。
「いきます!」
 全力移動(※水泳)で激流に逆らいながら水無瀬は泳ぎ始めた。
「ぐ……がぼ……」
 物凄く頑張って泳ぐ、泳ぐ。
 ついでに不動で押し戻す力に対抗しようというのだが……それは前にも進まないな!
「修行とあれば、ま、負けません……!」
 なんだか必要以上に自分に厳しい水無瀬であった。


 一方、少し先を行く雫は、激流のなかに奇妙な物を見つけた。
「……っと、これはなんでしょうか?」
 着ぐるみたちを避けながら、驚異的な動体視力で流れ去る白い筋を見極める。
 そのとき。
「俺は、負けん!!」
 上流から猛然と突進して来るルビィの姿。
 その鬼気迫る眼差しが追うのは、激流の中を流れゆく白い筋。
「極上のそうめんを、手にするまではッ……!!!」
 そうめんを流水路に流し、その後を追っているのである。
 果たしてこれが美味なのかどうかは非常に疑問だが、努力の果てに手に入れることに意味があるのだろう。たぶん。
「俺の前に立つな!」
「とおっしゃられても、水路はこの幅しかないですから」
 雫が真顔でそう言いながら、足だけは物凄い勢いで動かしている。

 シャッ……!

 互いの能力が高いからこその、交錯。
 狭い水路をふたりは奇蹟のようにすれ違う。

「ふむ、これは星さんの装置も、あながち無駄ではなさそうだな」
 白川はひとり呟く。
 双眼鏡の向こうでは、ルビィの割箸に捉えられたそうめんが夏の日差しに煌めいていた。



 一通り先陣が流れ落ちた水路を、神谷春樹(jb7335)がそっと覗きこむ。
「無理はダメだけど、少しくらいはいいよね」
 重体の身ではあるが、これほど大掛かりな流水プール、せっかくならば楽しみたい。
「水の流れに身を任せるぐらいなら、たぶん……」
 そう思って身を乗り出した春樹の横を、つるんと一体のミイラが流れていく。
「えっ……?」
 ミイラではなく、包帯でぐるぐる巻きの佐藤 としお(ja2489)だった。
「大丈夫なのかな……?」
 とりあえず春樹も後を追う。
 激流が静まった水路は、中々に楽しかった。激しいアップダウンで身体は少し痛かったが、紫寿布槍を水路にひっかけたりしながらなんとか体勢を整えて流れていく。
「ちょっと心配だったけど……気持ちいいなぁ♪」
 水流が塊のように勢いを増してきたときは、軽く飛翔して、また飛び込む。
 まるでトビウオになったように、春樹は水の感覚を楽しんだ。

 そうして、貯水槽の水面に到着。
「うん、偶にはこういうのも楽しいよね……」
 満足げに呟いた春樹は、すぐ傍らの水中に何やら奇妙な物を見つけた。
「……何だろう?」
 軽く引き上げて見ると、眼帯をつけた宇宙人だ。
「ウチュウマジョジンハミズニモツヨ……」
 いや沈んでるし。全然強くないし。
「だ、大丈夫ですか……?」
 覗き込んだ春樹の目の前で、宇宙人の背中が割れた。ファスナーだ。
「……って、なんであたいがこんなことしなきゃいけないのよーーー!!!」
 めりめりめりと宇宙人の体を割って出て来たのは、黒ビキニも眩いエルナだった。
「ちょっとあんた、手伝いなさいよ! こんなモノさっさと脱ぐわよんもー!」
「え? あ、はい」
 勢いに乗せられ、グレイを持ち上げて飛ぶ春樹。だが。
「あれー?」
 実は初心者マークの小天使。
「え、ちょ、なによおーーー!?」
 ごぶごぼごぼ。
 リトルグレイは春樹に手を掴まれたまま、またも水中に沈んで行った。

 一度水路から外れてしまえば、プールは平和そのものだった。
「撃退士専用のプールですか! これはうちの召喚獣達も遊ばせてあげねばなりませんねえ」
 エイルズレトラ マステリオ(ja2224)はまず、ストレイシオンのダイヤを召喚。
「ほら、気持ちいい!」
 ダイヤは嬉しそうにばしゃばしゃと巨体をくねらせた。
「あははは、僕にあんまりしぶきをかけるんじゃないよ!」
 せめて召喚時間いっぱい楽しませてやろうと、エイルズレトラは優しい目で忠実な召喚獣の鼻面を撫でる。
 さっきまでの激しい流れは随分と収まっていた。
 それもそのはず、張本人の黒百合は装置をいじるのに満足して、今は水着に着替えて遊んでいる。
 としおも無言のまま、平和に水面を流れていく。
 そこに涼しい風が吹いた。
「準備は万端。真緋呂いきまーす!」
 ダイヤモンドダストのキラキラを撒き散らしながら、ケセランに掴まった真緋呂が滑り降りてきたのだ。
「きゃーっ楽しい〜♪」
 ケセランのもふもふに埋もれながら、右に左に、上に下に揺すられる。
 だが次第に、その回転が尋常ではなくなってきた。
「え、もしかして、逝きますになったりとか……」
 青ざめた真緋呂は慌てて秘伝書「ねば〜る」を取り出す。異臭はこの際我慢して、どうにかスピードダウン。それでも最後は水路から放り出され、水面にダイブとなった。
「ひゃあああ!?」
 派手な水音とともに飛び込み、びっくりしているケセランに掴まりながらどうにか浮かびあがった真緋呂が見た物は。
「細ッ!?」
 濡れた毛が貼りついて、何とも奇妙な具合になったケセランであった……。
 その間にもエイルズレトラは、ハート、クラブ、スペードと名付けた召喚獣を次々と呼びだす。
 スレイプニルが出て来たところで、プールの水面は大きく波打った。



「おいちょっと」
 白川は野太い声に呼ばれ、振り向いた。いかつい僧形の男がじっと自分を見つめている。
「どうせなら、猛スピードでスライダーを下りる実験をしたい。他の学生を怪我させるのもまずいだろう、下で堤防役として止めて貰えんか」
 あからさまに怪しい。
 それでもまあ、実験に協力ということなら……と白川は承諾した。
「ではご一緒に」
「何!?」
 いつの間に近付いていたのか、背後から遥久の声。
 水も滴るいい男……と言いたいところだが、水ナスだ。
「早く楽にお連れしますよ」
 微笑みながら有無を言わせず白川をナスに乗せ、そのままスライダーへ。
「このカツラ、見覚えがありませんか? W白川です、楽しいでしょう」
「私は時々 君 が わ か ら な い よ!」
 金髪のカツラをなびかせて滑り降りる遥久。
 その進行方向には、何故かカッポンで水路の底部を移動する愁也。
「うわ、ちょっと遥久、そのスピードやばいって……ぎゃああああ!?」
 結局またもや団子になって、水路を転げ落ちていく。
 それを見てエルナが動いた。
「危ない! いまよ、オミーさん! 臣鉄砲!!」
「うげ」
 ゴン。
 何故か一臣が腹パンで吹っ飛んで行った。単に犠牲者が増えただけのような気もする。

 百々 清世(ja3082)は水に足だけをつけたまま、警戒心も露わに唸った。
「てゆーかまじこのスライダー? ヤバくね、人死なない……?」
 だがここに普通の人はいない。色んな意味で。
 まあそんなわけで、普通じゃない連中の指導者たる白川も、自力で這い上がってきた。
「全く、油断も隙もない……!」
「わーいじゅりりーん、生きてるー?」
 足をばしゃばしゃさせながら、清世が呑気そうに手を振った。
「こら、少しはテストに協力しないか」
「えー、だってやばいし」
 等と言いながら、白川が水から上がる。
 魔法少女【プリティ・チェリー】こと御手洗 紘人(ja2549)はその姿をガン見した。
『やだ……先生、大胆……☆』
 白川はなんかこう『ウルトラ魂』っぽい競泳用水着で、筋肉アピール系だった。
『これは冬の祭典が熱くなる! 設定資料にもなるしね!』
 少し離れた場所から、激写しまくるチェリー。
 その気配に、白川が気付かないはずがない。
「チェリー君、ちょっとこっち来なさい」
 笑顔で手招き。
『え、やだ、恥ずかしい……☆』
 カメラを誤魔化すために、もじもじしながらチェリーは物陰に隠れる。
「チェリーちゃん、こっちこっちー。一緒に泳ごー?」
『お兄さんがそう言うなら……』
 恥ずかしそうに出て来たチェリーは、桜色のタンキニ(※パット7割増し)姿だ。
 全く泳げないため、腰にはピンクの浮き輪を装着しているのがちょっと残念な感じではある。
「チェリーちゃん、その水着すげーかわいーじゃん」
 清世はしっかり褒めるが、白川の目は鋭い。
「何を撮影していたのか、訊いてもいいかな?」
『えっと、皆の夏の思い出、デス☆』
 てへぺろ。
 何と言っても見渡す限り、 イケメンの裸体! 夏最高! とか死んでも言えない。

 そこにやたら響く野太い声。
「おーい、そっち行くぞー!」
 Дмитрийは手を振る白川の姿に、ほくそ笑んだ。
 あの澄ました顔が、苦悩に歪むところを見てみたい。その一念で、今まで猫を被っていたのだ。
「所謂ラキスケだ。俺のビッグマグナムにあんたがどんな表情を見せてくれるか……楽しみだぜ!」
 水路を滑りそれまで着ていたスクール水着を破り捨てる。
 ここで即蔵倫発動とはならなかったのは、その下にブーメランがかろうじて食い込んでいたからだ。だがある意味、余計にヤバい感じである。
 摩擦の痛みと熱に耐え、僧形の男は只管白川を目指す。自慢のソレを顔面にお見舞いする為に!
 危うし白川。
「なん、だと……?」
 だが天はちょっとだけ彼に味方した。
「顧問、援護します!」
 一臣がウォーターガンを構える。顧問に恩を売る気持ちもあったかもしれないが、それよりもインフィルトレイターの本能が勝った。
 ウォーターガンの回避射撃が、水路から飛び出したДмитрийの軌道を僅かに逸らす。
「と、足場が……!」
 流石に無理な体勢からのスキル使用に、一臣が足を滑らせた。
「あいるびーばっく……」
 沈みゆく一臣。最後は親指だけが取り残される。涙なくしては見られない光景だ。
 白川はその隙に、誰かを掴んで突き出した。
「「何ッ!?」」
 交錯する男達の視線。
 そう、それは白川に、一臣に、褌を着用させようと潜水していた古代の頭だった。
「アッーーー!!!」

 キィン★

 古代はブーメランの犠牲になった。
「危ないところだった……」
 白川が額の汗を拭った。結局のところ、人間は自分が一番大事らしい。



「皆さん大丈夫ですか? タオルで体を拭いて、温かい飲み物をどうぞ」
 一足先に着替えを済ませて、水無瀬が甲斐甲斐しく立ち働いている。
 その近くでは星が仁王立ちしていた。
「全く、酷い有様ね?」
 誰のせいだと言いたくなるが、確かに酷いので何とも言い難い。
「浮き輪要りますかー? でも着ぐるみから手が出ないと、どうしようもないですねー?」
 諏訪がぷかぷか浮いている古代に呼び掛けた。
 胡桃が何とも言えない顔で、義父を棒きれでつついている。
「とうさん、応急手当てしなくはないけど……先に顔とかきれいにあらってきてね?」

 相変わらず召喚獣達は楽しそうに遊んでいる。
 流れていくとしおはアイリスが仰向けに裏返し、額に寝落ちシールを貼りつけ、口にスポーツドリンクを突っ込んでおいた。
「はふぁ……」
 あとは大きな浮き輪に身体を預け、しばしのんびり。浮き輪が波に持ち上げられて、青い何かにぶつかったが気にしない。
『……たまにはこんなのも悪くはないわね』
 イシュタルが浮き輪に手をかけながら微笑んだ。

 流石の白川も、今回はかなり疲れていた。
「なんかじゅりりん、めっちゃ疲れてね? 大丈夫? 俺で癒される?」
「…………」
 癒してくれるのは男子大学生の清世というあたり、喜ぶべきか悲しむべきか。
 だがチェリーだけは少なくとも喜んでいた。
『お兄さん、もっと近づいて! 弱ってる先生の顔が入らない!!』
「えー、こうー?」
 清世は面白がって顔を近づける。
『最高ッ!!!』
 ぐっと親指を立てるチェリーに、清世はひらひらと手を振る。
「後で俺にも送っといてねー。記念だしー」
 抵抗する気力もなくした白川に、メフィスが眼を伏せて近づいてきた。
「この間はアスハがご迷惑をかけたようで……」
 しおらしくそう切り出したメフィスだったが、すぐににっこりと微笑む。
「白川さんにも、いつかいい人が見つかりますって、ね、だから頑張ってくださいね?」
 それは既婚者ゆえの余裕の笑みだった。
「ははは……」
 男子学生に抱きつかれたまま、白川は乾いた笑いを浮かべるのみ。

 エルナはリトルグレイの着ぐるみの水を絞り、改めてプールを見渡す。
「撃退士って、ばかよねぇ」
 一見馬鹿げてるとしか思えないことでも、面白ければ作る。試す。
 でも、そんな愛すべき馬鹿達だから、明日はまた危険に飛び込んでいけるのかもしれない。
「ま、それに参加してる自分も、ばかよねぇ……」


 だがここで話は終わらない。
 それは遊び疲れた真緋呂の一言が切欠だった。
「なんかお腹減った……」
「そういえばそうねェ……さっきのそうめん、残ってないわよねェ……?」
 黒百合がルビィを振り向く。
「あー、もう食った。元々かなり流れて行っちまったしな」
 自然、皆の視線が白川に集まる。
 暫しの間。
 咳払いの後、白川は厳かに告げる。
「今日は皆お疲れ様だ。着替えたら慰労会としようか。今回は、ここにスポンサーがいるからね!」

 湧き上がる歓声。
「え……?」
 後に星は、撃退士達の真の姿に、心から戦慄することとなったという。

<了>


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 撃退士・エルナ ヴァーレ(ja8327)
重体: 撃退士・矢野 古代(jb1679)
   <褌に気を取られ、恐ろしい物に触れた為>という理由により『重体』となる
面白かった!:11人

赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
戦場ジャーナリスト・
小田切ルビィ(ja0841)

卒業 男 ルインズブレイド
踏みしめ征くは修羅の道・
橋場 アイリス(ja1078)

大学部3年304組 女 阿修羅
二月といえば海・
櫟 諏訪(ja1215)

大学部5年4組 男 インフィルトレイター
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

卒業 男 鬼道忍軍
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
雄っぱいマイスター・
御手洗 紘人(ja2549)

大学部3年109組 男 ダアト
ヴェズルフェルニルの姫君・
矢野 胡桃(ja2617)

卒業 女 ダアト
オシャレでスマート・
百々 清世(ja3082)

大学部8年97組 男 インフィルトレイター
撃退士・
雨宮 歩(ja3810)

卒業 男 鬼道忍軍
JOKER of JOKER・
加倉 一臣(ja5823)

卒業 男 インフィルトレイター
輝く未来を月夜は渡る・
月居 愁也(ja6837)

卒業 男 阿修羅
蒼閃霆公の魂を継ぎし者・
夜来野 遥久(ja6843)

卒業 男 アストラルヴァンガード
押すなよ?絶対押すなよ?・
メフィス・ロットハール(ja7041)

大学部7年107組 女 ルインズブレイド
撃退士・
雨宮 祈羅(ja7600)

卒業 女 ダアト
撃退士・
エルナ ヴァーレ(ja8327)

卒業 女 阿修羅
蒼を継ぐ魔術師・
アスハ・A・R(ja8432)

卒業 男 ダアト
撃退士・
矢野 古代(jb1679)

卒業 男 インフィルトレイター
誓いの槍・
イシュタル(jb2619)

大学部4年275組 女 陰陽師
悪魔のような天使の笑顔・
Дмитрий(jb2758)

大学部5年198組 男 バハムートテイマー
導きの光・
六道 琴音(jb3515)

卒業 女 アストラルヴァンガード
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
揺れぬ覚悟・
神谷春樹(jb7335)

大学部3年1組 男 インフィルトレイター
天と繋いだ信の証・
水無瀬 雫(jb9544)

卒業 女 ディバインナイト