.


マスター:樹 シロカ
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
参加人数:25人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2015/01/22


みんなの思い出



オープニング

※このシナリオは初夢シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。


 いつも通りの教室、いつも通りのざわめき。
 授業が終わったばかりの独特の空気の中、教卓に立った教師(jz0089)の声が響き渡った。
「あー、ちょっと静かに」
 学生達のざわめきが収まる頃合いを見計る様な、胡散臭い笑顔。
 何事かと視線が集まるのを待ち、意外なことを言い出した。
「君達には愛し合って貰います」
「は?」
 それ何のパクリ。
 というか、訳が分からないんだが。

 だが教師の言葉でひとつわかったことがある。
 まず、この教室が何処なのか判らないこと。
 次に、窓の外の光景からは、今が何時なのかもわからないこと。
 最後に、教室の面子が、どういうメンバーなのか全く覚えがないこと。

「バカバカしい、帰るぞ」
 誰かがそう言って椅子を蹴って立ち上がり、出入口の扉に手をかけた。
 が、悲鳴を上げて飛びのく。
 教師は僅かに眉をひそめ、口を開いた。
「ひとりではこの教室からは出られないんだよ」

 気がつけば、最前列の机の上には様々な物が並んでいた。
 チョコレートのかかった細長い菓子・ポッキリー、やたら可愛いデザインの色付きリップクリーム、ちょっと大きめのどてら、ロープ、などなど……。
「君達には籤でこの道具が配布される。愛し合う二人がこれを使って、カップルであることを証明できればこの教室から脱出できるだろう」
 暫くの間。
 その後、激しいブーイングが巻き起こった。やってられるか、等の声も聞こえる。
 だが教師は微笑を浮かべたまま、恐ろしいことを宣言した。
「勿論、参加は自由だ。だがもしも一定時間経過後にこの教室に残っていた者は、向こう三年、彼氏彼女ができないという呪いを受けることになる!」
 水を打ったような静寂が教室に満ちた。


リプレイ本文


 静寂の中、ひとりの男が席を立つ。
「ふふふ、僕は天才だよ」
 クインV・リヒテンシュタイン(ja8087)は磨き込んだ眼鏡をくいっと上げると、扉を目指す。
「ふふふ、この程度のトラップなんて……ふぎゃっ!?」
 だからそう言っただろうに。
 謎の教師(jz0089)は、仰向けに倒れ四肢をひくつかせているクインを憐れむように見遣る。

「大変な事になりましたネ」
 小田テッサ千代(jb8738)はぼそりと呟いた。
「でも、脱出方法がわかり易くて助かりましたヨ。誰かと恋人ゴッコすればいいのですネ」
 ふと隣を見ると、見た目年齢の余り変わらない可愛い子がいた。
「困ったことになりましたネ?」
「えっボク!?」
 犬乃 さんぽ(ja1272)はわたわたと落ちつきなく手をばたつかせた。
 どう見ても美少女だが、れっきとした男子である。それがわかると、逆にテッサはほっとした。
「犬乃サン、ワタシと一緒に脱出しませんカ?」
「うん、がんばろうね! ラブラブな所を見せつけ……て……あ、愛の力で教室から脱出だよ!!」
 頼られた以上、必ずこの子を脱出させて見せる!
 さんぽは赤面しつつも、固く決意した。

 九鬼 龍磨(jb8028)は素早く視線を走らせた。男は除外だ!
 目があったのはステラ シアフィールド(jb3278)、美人だった(※ここ大事)。
「ねえ、組んでもらってもいいかな?」
 アイドルを目指しているだけあって、はにかむ表情も決まっている。ただステラの場合、龍磨がイケメンでなくても答えは決まっていた。
「はい、わたくしでよろしければ」
 たおやかな笑み。
「恋人という事ですの龍磨さんと呼ばせて頂きますね、わたくしの事はお好きにお呼び下さいませ」
「えっと……じゃあステラちゃん、と呼んでいいかな? よろしくね!」
 早速揃って籤を引きに行く。

 加茂 忠国(jb0835)は謎の教師に勝る胡散臭さで、アッシュグレイの髪をなでつけた。
「HAHAHA、世界が羨むモテメンの私ですよ? たかが教室に残っていた位で彼女が出来ないなどと……」
 自信満々、他人事のような余裕の笑み。
 が。
 そこで突然、気付いてはいけないことに気づいてしまったのだ。
「……アレ、でも私彼女いたの何年前でしたっけ」
 トモミちゃん。気に入ってお店に通ってただけの関係。
 アキコちゃん。最後に会ったときに「私達、友達ですよね!」って止めを刺された。
 マユミちゃん。サユリちゃん。ミサトちゃん。
「あっるぇ〜〜〜?」
 歴戦すなわち連戦。愛の戦に於いて、これは時に連敗を意味するのである。

「おーっほっほ! 何も驚くに値しませんことよ!」
 桜井・L・瑞穂(ja0027)は一瞬動揺した自分を鼓舞するように、女王の高笑いを響かせた。
 そう、自分には既に将来を約束した恋人がいるではないか!
 だがその心も、麻生 遊夜(ja1838)の言葉にぐらついた。
「呪いねぇ……既にいる場合はどうなるんだろうな? 結婚できないとか別れるとかに変化するってことかねぇ……?」
「ななな、なんですってぇー!!」
 掴みかからんばかりの瑞穂に、遊夜が苦笑いで両手を広げた。
「や、判らないがな。その可能性も無視できねえべ?」
「そんなこと、わたくしは決して認めませんわよ!」
 口調とは裏腹に、若干涙目の瑞穂。その背後に影が回り込む。
「君に決めた……」
 捌拾参位・影姫(ja8242)は高度な忍びの技を無駄遣いして、瑞穂に接近していた。
「とにかく、わたくしは――あはぁんっ♪」
 背中に密着する柔らかな感触、背後から回された手の動きに、意図せぬ声が漏れてしまう。
「ね、瑞穂ちゃん」
「な、ななな、何を……!」
 耳元でささやく影姫の声にぞわぞわする。
「今だけ、ボクの恋人になってくれる、かな……?」
 瑞穂は忙しく計算した。決めた相手がいる以上、彼以外の男とはフリであってもいちゃつくことなど出来はしない。ならば、いっそ女子の方がマシだ!
「よろしくてよ! 誰もがうらやむカップルを演じて見せますわ!!」
「うふ、うれしいなぁ……よろしくね♪」
 影姫の目に、怪しい影がよぎった。

 遊夜の呟きはまるで他人事だった。
「おやまあ、大変なこったな」
 その肩にもたれ、来崎 麻夜(jb0905)は密かにほくそ笑む。
(ふふ……これはチャンス、かな?)
 麻夜は近くにありながら手の届かない輝きに、死ぬほど焦がれているのだ。呪いなど如何程のものか。
 それでも一応話は合わせておく。
「呪いね。用心するに越したことはないかな?」
 麻夜は遊夜の背中でうとうとしているヒビキ・ユーヤ(jb9420)に頼みこんだ。
「カップルのみ、って条件らしいから……今回は譲ってもらえるかな」
 ヒビキはこくんと頷いた。
「ん、仕方ない、今回は、マヤに譲る」
 麻夜が余程心を許した相手にしか触れることもできないことは、『家族』であるヒビキにはよく判っている。
「カップルでのみ……か」
 寧ろ遊夜の方が眉間に皺を寄せていた。ふたりは大事な『家族』だ。おとーさんは小さなおかーさんたちに妙な呪いを回避させたい。だがヒビキに妙な虫がつくのも許し難い。
「妙な真似しやがったら、後でぶっ飛ばすしかあるめぇよ」
 遊夜はヒビキの背中を物凄い形相で見送っている。
 麻夜は確保した遊夜の腕に掴まり、嬉しそうだ。
(今後に響くかもしれないし……逃す手もないよね)

 思惑は交錯し始めた。



 机に並ぶ道具を見て、遊夜は僅かに歯軋りを緩めた。
「ま、この程度なら目くじら立てるほどのもんでもなかろう」
 くすくす笑いだす麻夜に、遊夜はひきつった笑いを向けた。
「大丈夫、おとーさんは平気ですよ?」
「ならいいけど?」
 麻夜が籤を引く間に、ヒビキは獲物……もとい、組む相手を見つけた様だ。
「うわあああ、誰か僕と組んでください、何でもしますからぁああ!!」
 森田良助(ja9460)の悲痛な叫びに、音もなく近付く。
「ん……今、何でもする、って言った?」
 悪戯っぽい目で良助を見つめ、小首を傾げる。
「え、あ、うん。……いいの?」
「じゃぁ……」
 ヒビキは籤を確認すると、至近距離で囁いた。
「二人羽織りで、うどん食べよう?」
「え?」
 良助は俄かに意味を掴みかねるが、今更拒否は無い。
 その様子に、遊夜は自分に言い聞かせるように繰り返した。
「大丈夫だ。森田さんは確か恋人さんがいたはず……あとには響かん、大丈夫だ! 大丈夫だっつーの!!」
 寧ろ大丈夫でなさそうなのは、良助の様な気もするが。

 百目鬼 揺籠(jb8361)の顔色は冴えなかった。
「3年も彼女できねぇとか耐えられねぇから……」
「それって大変なことなんですかねぃ?」
 きょとんとしている秋野=桜蓮・紫苑(jb8416)の様子に、祀木 魅木(jb9868)は着物の袖を口元に、ころころと品よく笑った。
「おめめちゃんには大変なことのようだわねえ」
 不思議そうに振り向いた紫苑に、魅木が挨拶した。
「初めまして、私、魅木っていうの。お名前教えてくれるかしら?」
「俺ってば紫苑って言うんでさ!」
 紫苑はぱっと顔を輝かせる。
「美人さんじゃねぇの、兄さんも隅におけやせんね」
 肘で揺籠をつついたが、そこは魅木に否定された。
「あらあら、おめめちゃんとは友達なのよ? でも出られなくても、そんなに気にしないし……のんびり楽しもうかしら?」
 魅木は明らかに面白がっている。となると……。
「紫苑サン、協力して脱出し……」
「兄さん、愛し合うって昼ドラみたいなあれですかぃ? それって楽しいんですかぃ?」
「うっ」
 紫苑はその反応に、子どもゆえの残酷かつ純粋な笑みを浮かべた。
「まぁまぁ、俺も3年NO恋愛に付き合いやすから」
 言うと同時にするりと揺籠の袖の下をすり抜けていく紫苑。
「あれ、ちょ、ま」
 楽しそうに笑いながら逃げ出す紫苑、追いかける揺籠。
「少しだけ我慢してくれりゃ良い話じゃねェですか!!」
 魅木がこの光景を眺めているのはやりにくい。だが背に腹は代えられない。
「其方も此方も、どうして脱出する気ねぇんですかね?」
 揺籠は息を切らせて紫苑を追いかける。迫真の鬼ごっこであった。

 若杉 英斗(ja4230)はピンク色の頭巾を被ったうさぎのぬいぐるみを手に入れた。
「なんてつぶらな瞳なんだ……」
 ここで失敗したら3年間非モテ確定。その動揺が、英斗を現実逃避させていたのかもしれない。
 ふと顔を上げると、篠倉 茉莉花(jc0698)と目があった。
 ズキューン☆
 ちょっと目つきは鋭いが、美少女だ。これはチャンスである。
「篠倉さん! 俺と一緒に脱出して! お願いしますお願いしますお願いしまs」
「あーもうわかったわよ!! さっさと出たいし……とりあえず、よろしく」
 ある意味、ウサぬいが結んだ縁。茉莉花の胸のポケットからは小さいウサギが覗いている。つまり茉莉花は大好きなぬいぐるみに気を取られて近寄ったのだ。
「俺に良い案があります! ばっちりラブラブで、ここを脱出しましょう!!」
「え、と……うん……?」
 何か分からない迫力に不安を感じつつも、茉莉花は了承した。

 そんな光景を、教室後部の掃除用ロッカーの上からДмитрий(jb2758)はじっと見つめていた。
 小鳥のように静かに座っていたオッサン破戒僧は、不意に天使の微笑を浮かべる。
「なあ、そこの悪魔のおっさん」
 おっさんがおっさんと呼びかけたのは、小田切 翠蓮(jb2728)だ。
「――儂の事か?」
 ゆるりと優雅に笑い振り返る。
「おうよ。どうだ、子供らに、大人のめくるめく愛のかたちというものを教えてあげようではないか? それが年輩者の務めというものだと思うがな」
 座っている着物の裾ははだけ、有難すぎて目が潰れそうなセクシーインナーが覗いている。
 翠蓮はくつくつと笑いつつ目を細めた。
「そうさなぁ、人より永き刻を生きる者同士、共に愛の深淵を探求するも又一興やも知れぬのう。それにしても」
 翠蓮が長い指をドミートリィの頬に添える。
「儂を所望するとは、おんしは中々に骨のある奴よな……くくく」
「なに、ここは日本……やはり日本の伝統的な愛し合い方を覚えておきたいでな。それから俺のことはドミーと呼ぶがよいぞ」
 暗転。何やらキーボードの調子が悪いようd……



 変な光景が見える。
 キーラ・V・リヒテンシュタイン(ja8078)はそう思った。
 だが美しく輝いている眼鏡が曇っている筈は無い。そう、曇っているのは世界の方だ!
「くい、ここから出るにはカップルで愛を示さなければならないそうよ……だったら私はくいと組むわよ!!」
 正直ちょっと情けない気もしたが、今は気にしないことにする。
 だが愛する弟の眼鏡は無残にも割れ、クインは倒れ伏したままだ。
「って、くいのバカ! スペアの眼鏡を持っていないの……!?」
 慌ててクインを助け起こす。
「……む、この眼鏡が煌めく時にする音のような声は……」
 クインは薄目を開け、キーラの顔を見た。
「良かった、息を吹き返したのね!」
「はっ、きぃ! 君も居たのか! すまない僕にはもう眼鏡が……僕はもう……」
「くい、しっかりして! ほら代わりの眼鏡よ……!」
 キーラはクインにスペアの眼鏡をかけてやる。
 キラーン☆
「こ、これは新しい眼鏡! 素晴らしい、世界が輝いて見える!」
 身体を起こし、キーラと手を取り合う。そしてタイミングを合わせて、教卓の方を見た。
 どうだ、この愛の力!
 ……扉が開くことは無かった。クインは重ねて眼鏡の素晴らしさを謳いあげる。
「素晴らしい! 世界が輝いて見える!」
 ……扉は無反応だった。
 キーラが悔しそうに顔を歪ませた。
「……これじゃ足りないのね。じゃあやり直しよ、やり直し!」
 こんな所でめげるふたりではない。新たな作戦を模索しつつ、眼鏡を輝かせる。


 教室には奇妙な一団がいた。
「これは大変なことになりましたね」
 夜来野 遥久(ja6843)が秀麗な眉を僅かに曇らせた。何故か纏うのは茄子の着ぐるみ。
 突然、茄子は教卓へ突進。教師は迫る茄子に身構えた。
「茄子ですよ。ナースの方がお好きでしたか? それは残念」
 等と言いつつ籤を引く遥久。
「おや、怯えていらっしゃいますか? まるで迷子のチワワのような」
「怯えてはいないが相当奇怪だとは思うよ」
「そんなに褒められると恐縮ですね」
 すれ違う会話の中、茄子男はリップクリームとロープを確保した。

「さあ初手から遥久の猛アタック! 失うものが無い奴は強い!」
 机や椅子を積み上げた簡易バリケードの陰から、月居 愁也(ja6837)は実況しつつスマホで録画を始める。
 そう、3年恋人ができないことを恐れなければ、何の問題もない訳だ。
「……教師というのは、大変、だな」
 アスハ・A・R(ja8432)は籤で引き当てたポッキリーをバリバリと噛み砕いた。
 この状況がどう転ぶか、楽しみになってきた。
「という訳で、この集団は……『遥久を暖かく見守るだけじゃ物足りないの会』と自称する、か」
 矢野 胡桃(ja2617)はやはりお菓子をかじりつつ、棒読みで呟いた。
「わー。はるおにーさん、エンジン全開。先生うらやまー」
 何がどうしてこうなったのかはさっぱり判らない。
 だがお菓子があって、面白い見物がある。出る必要性も感じない。となれば、煽るしかないではないか。
「あ、はるおにーさん。あとで焼き増しして送りますねー! ご要望があれば引き伸ばしもばっちりですよー」
「さあここで教師逃げるか? 反撃かー!? と、胡桃ちゃん、お菓子ほっぺについてる」
「きゃうっ!?」
「おべんとつけてー何処行くのーってね♪」
 屑を胡桃の頬から取り除く愁也のすぐ後ろに、うなだれたままの菊開 すみれ(ja6392)がいた。
「うーん、呪いなんて嫌だけど。知らない男の子と組むの怖いなあ……?」
 ふと顔を上げると目に入る姿。
「あれ? 愁也さんとアスハさんはペア組む気ないのかな?」
 ならば、あれを。

「えいっ!」
 すみれはふたりの間に飛び込み、両腕をそれぞれの腕に絡めた。
「わっ!」
「うふふ、びっくりしましたか?」
 愁也に悪戯っぽい目を向けるすみれ。
(これ一度やってみたかったんだ! 両手にイケメン? こんな少女漫画シーン憧れるよねっ)
 すみれはほんのりと頬を染める。
(私も大人の女性になりつつあるし? 私を取り合うってこともあるじゃない? それで、無事に脱出できたら、今度このネタで夢小説を書くんだ……)
 思わずギュッと二人の腕を抱え込むすみれ。
「わーおすみれちゃん、肘がほら、当たってる当たってる」
 愁也が身動きできずに固まる一方、アスハは少し抑えた声ですみれに囁いた。
「スミレ、ちょっと目を閉じてくれる、か」
「えっ、何アスハさん……う、うん」
 ギュッと目をつぶる。その唇に、ポッキリーがねじ込まれた。
「この場では、これぐらい自然にやらないと、ダメだろ……?」
(うわあ……どうしよう、このまま迫られちゃったら……流されちゃうかも)
 顔を真っ赤にして身構えるすみれ。だがポッキリーは微動だにせず、すみれの口に咥えられたままだった。



「龍磨さん」
 龍磨はびくっと身体を震わせた。
「え、えっと何かな、ステラちゃん」
 鼻をくすぐる甘い香り。組み合わされた指と指。ぴたりと寄り添いながら、ステラは龍磨を熱っぽい潤んだ瞳で見上げる。
「ゲームしません?」
 ステラはポッキリーを見せる。
「うん、いいよ。でも人の見てる前って、緊張するねえ……」
 だが嫌ではない。
 細い菓子の両側を咥えると、伏せた長い睫毛が震えているのがわかる。
 その瞬間、菓子は折れた。
「あ、あれ?」
 動揺で力が入ってしまったらしい。ステラは微笑みながら、もう1本を咥えて目を閉じた。
 今度こそ。
 少しずつ接近する顔と顔。互いの唇が触れる寸前、菓子は見事なタイミングで折れた。
「にはは、さっきよりは上手く行ったかな? ……!?!?」
 ステラはそのまま龍磨の頭を抱いて、黙って頬を擦り寄せてくるではないか。
「少し、ドキドキしてます」
「うん、僕もちょっと、どきどきしてる」
 なんという頬の滑らかさ。いっそずっとこうしていたい。そう思った瞬間、胸元を軽く押された。
「あれ……?」
 ステラは少し離れた床に座り、手招きする。膝枕である。
「こういうのはお嫌ですか?」
「ううん、膝枕、嬉しい……」
 本気かと思ってしまうぐらい、ステラは龍磨を翻弄する。
 いやいや夢だから、これは夢だから! なので龍磨も少し大胆な行動に出る。
「じゃあ僕からのお礼。ほら、あーん♪」
 少し俯いて、ステラは龍磨の差し出した菓子を口にした。
「照れますね」
「にはは、ちょっとね。でも皆がこんな幸せな気分で出られたら、いいよね」
 龍磨は目を細めて、隣のカップルを微笑ましそうに見守る。

 さんぽは勇気を奮い起した。
(ボク男だもん、ここはちゃんとリードしなくちゃ!)
 頬は真っ赤だが、決意の宿る目は力強い。
「千代ちゃん、ボクに任せて……」
「お願いしマス」
 そう囁くとテッサの身体を軽々と持ち上げた。いわゆるお姫様抱っこの状態で、顔と顔が近い。
(……それにしても犬乃サンは、本当に可愛いですネ。女の子にみえますネ)
 テッサの恋愛対象は男性だ。だがどうにも違う意味で落ち着かない。ヤバい方向へ目覚めそうで、それを誤魔化すためにぎゅっと抱きついた。
「千代ちゃん震えてる……嫌だったらやめる?」
 テッサはぷるぷると首を振る。
「えっとじゃあ、いくよ?」
 だからポッキリーの話だってば。テッサは恋愛の国フランス出身とはいえ、まだ中等部。流石に異性とこの距離まで顔を近付けた経験は無い。
 それでもさんぽの気遣いは嬉しくて、頑張ろうと思うのだ。
 だがさんぽだってドキドキしている。
(さっ最後までしっかり!! ボクは男なんだから!!)
 見れば、テッサははにかむように口元を抑えていた。その仕草は本当に可愛かった。
「……大好きだよ、千代ちゃん」
 暖かくて柔らかな、女の子の重み。少なくともこの夢の中では、大事で特別なお姫様なのだ。

 麻夜は菓子とリップクリームを持って微笑んで見せた。
「えーと……お姫様抱っこでポッ●ーゲーム、らしいよ?」
 遊夜は観念したような苦笑いを浮かべた。
「そういう、約束だからな」
 麻夜は薄紅色に濡れた光を纏う唇に妖しい笑みを浮かべた。
 軽々と遊夜が抱き上げると、首に腕を絡めて唇に菓子をねじ込む。
「折っちゃ、やだよ?」
 仮初のひととき、儚い夢。
 けれど今、この腕に居るのはボク。だから放さない。絶対に。
 ――永遠にこの時が続けばいいのに。このまま一緒に、夢の中に閉じ込められてしまえばいいのに。
 けれど麻夜はゆっくりと離れる。
「ふぅ……ご馳走様♪」
 いつものくすくす笑いで、リップの色が移った遊夜の顔を覗き込んだのだった。


● 
 何だかんだで流されてしまった様な気がする。瑞穂はそう思ったが、敵前逃亡は性に合わない。
「これは誓いの指輪……恋人として愛し合う誓いの証だよ」
 影姫は優しく瑞穂の手を取り、薬指に指輪を滑らせた。
「……愛してる、よ。瑞穂ちゃん……♪」
 自分を見つめる影姫の妖しい紫の瞳。
(え、お待ちになって。ああいえ、予行練習、そう、予行練習ですわ。わたくしったら……!)
 いつもの凛とした表情を鉄の意思で維持しつつ。
「勿論、わたくしもですわ」
 そう言ってもうひとつの指輪を影姫に嵌める。
「じゃあ次は、誓いのキス……だね♪」
「よろしいですわ。さぁ、とくと御覧なさいな! わたくし達の誓いを、んむぅっ」
 瑞穂は勝負となると時々歯止めがぶっ飛ぶ。愛し合うふたりの内心は、まるで真剣の鍔迫り合いの様な気迫である。
 が、それこそ影姫の望むところ。
 自分から離れられない瑞穂と、周囲が目を逸らさんばかりの熱愛ぶりを見せつける。
「はぁ……っ♪ ……瑞穂ちゃん、大好きぃ……♪」
「んむむむむむ!?」
 だが教室の扉はまだ開かない。

 教卓の前で、翠蓮はロープを取り上げた。
「うむ、ならば蝋燭も所望しよう」
 その目は、いつしか残忍で妖しい輝きを放っていた。
「これが日本古来より伝わる愛の儀式ぞ」
 おっさん嘘つくな。だがドミートリイは身体を締めあげられて愉悦の表情を浮かべている。
「こ、これは……あふん」
 髭のおっさんの唇から熱い吐息が漏れた。なんか気に入ったらしい。どうなっとんの。
「ククッ……昔を想い出すのう」
 まるで蟲毒のように。蛇の如く絡みつく細い紐、注ぎ込まれるのは甘い毒。
 いつの間にやら紫の明かりが、おっさんふたりのシルエットを浮かびあがらせている。
「――さぁ、小鳥の様に囀るがよい。まだまだ儂を楽しませられるであろう?」
 囁く声は耳から全身を駆け廻り、ドミートリイは身悶えした。
 ……えーと。こっちはもうこれぐらいでいいかな。

 この混乱の中、英斗は茉莉花と差し向かいで座っている。
「君の胸ポケットのそのコと合わせて、4人家族だね」
「え……?」
 茉莉花が思わず自分の大事なウサギのぬいぐるみをひしっと抱きしめる。
「ほら〜お父さんでちゅよ〜」
 英斗は籤で手に入れた大きめのぬいぐるみを、高い高いしてやる。物凄く真面目に。
 要するに、ウサギのぬいぐるみを子供に見立てた『らぶらぶ☆おままごと』で脱出を狙うつもりなのだ。
 だがこれには大きな障害があった。
「あ、あんた恥ずかしくないの……ッ!!」
 お母さんのノリが悪いのだ。
 だが今からまともな相方は見つかりそうにない。かくなる上は恥辱に耐え、とにかく一刻も早くこの部屋から脱出するしかないだろう。
「よ、よかった、わね……今日はお父さんが早く帰ってきたから」
 なにこれ、泣きそう。そのとき、英斗が真顔になった。
「いかん!」
「ど、どうしたのよ」
「このコ、おなかが減ってるみたいだぞ!?」
 大きなぬいぐるみを大事そうに抱え、茉莉花を真剣な表情で見る。
「お母さん! ほらっ、はやくっ! このコにおっぱいをあげt」
「……そんなに痺れたいの?」
 バリバリバリッ。身体に溜まった雷のパワーが、今にも放たれそうだ。
「調子に乗りました。本当にすみませんでした」
 お父さん、土下座の図である。



 揺籠は教室の隅で頭を抱えていた。
「これもしかすると、俺、嫌われてるの……?」
 紫苑は少し離れたところで止まっていた。
「兄さん。なんならチョコケーキ、1ホールで手をうちやすぜ」
「1ホールは流石に食い切れねぇでしょうよ……」
 そう溜息をつきつつも、指きりゲンマン。
「やったー! あ、これ可愛いですぜ!」
 何だかんだで気になっていたのだろう。紫苑は、安物だがラメが煌めくリップを握りしめていた。
「どうせ自分じゃ塗れねえでやしょう。こっちよこしなせぇ」
 紫苑は素直にリップを渡した。揺籠は綺麗に塗ってやる。
「はいはい、なかなか可愛いじゃねぇですか」
「んじゃ兄さん」
 紫苑が手招くのに身体を屈めると、頬にぺたりとした感触が。
「兄さん、昼ドラの浮気男みてぇでさ!」
「俺、浮気はしたことねぇんですが……」
 苦笑いしつつ、髪に軽く唇を寄せる。
「ところで、ガキが昼ドラ見んじゃねぇですよ」
 軽くこつんと額をぶつけると、紫苑はけらけらと笑いだす。
「後はおまけ!」
 紫苑はそう言うと、すかさず揺籠の額の文様にも口づけた。
「兄さん大好きぃ!」
「あら、あらあらまあまあ、おめめちゃんったら隅におけないのね?」
 魅木がふわりと笑う。
「紫苑ちゃん、どうか末永く仲良くしてあげてね? ふふっ」
「もちろんでさあ!」
 そう言って笑う紫苑には、まだやっぱり家族の愛の方が大事なようだった。

 目の前の湯気を立てるうどんを、良助はまじまじと見つめた。
「ねえヒビキちゃん、二人羽織は良いけど、熱々のうどんっておかしいよね?」
「そう? ……でも、くじで当たったから、しょうがないよね」
 背後のヒビキがサラっと言った。
「大丈夫、よ。私に、任せて……」
 任せた結果、熱々のうどんは良助を責めまくる。
「あちっ!! ヒビキちゃんそこ鼻の穴、いやそこは耳です! 熱いです熱ッ!」
「……動いたら、ダメ」
 ヒビキはそう言ってぐいと良助の身体を押さえつける。
「いやいやそっちは目です、口に入れてくださいお願いします!!」
 しかし良助の災難はそれだけではなかった。
 羽織の中で背中には柔らかな物がずっと密着しているのだ。健康な男子にはもう、うどんどころではない。
「あの、背中に……当たってます! すっごい当たってます!!」
「胸が? ……当ててんの、よ?」
 良助の顔が火を噴いた。
(こう言えば良かった、はず)
 誰に教わったのか、ヒビキは深い意味も考えず危ない発言。
 良助はパニックになりつつも、どうにか根性でうどんを完食した。
 放心状態の良助の顔はうどんの出汁まみれ、鼻の穴からも1本がこんにちはしている。
「どうしてこうなった……」
「ん、お疲れ、さま? よく、頑張ったと思う……」
 ヒビキは優しく良助の顔を拭ってやる。
「ヒビキちゃん……って、ぐええええ!?」
 あとついでに、鼻のうどんを引っ張り出してあげたりも。
 うん、熱々だな!

「くい、もう一度! 輝きを合わせるのよ!!」
 キーラとクインは真正面から向き合う。
 互いの指先が頬を滑り、耳、眼鏡の弦にかかると、そっと眼鏡をはずし……
「これぞ愛の証、眼鏡交換よ!!」
 互いの眼鏡をかけた姉弟は、自信満々で眼鏡を光らせた。
「どうだ、二人で眼鏡を交換さ! 眼鏡を見れば皆幸せ、だろう? 僕らはめくるめく眼鏡の世界を共有してるのさ!」
 世界は眼鏡の為に。眼鏡は世界の為に。ああ素晴らしきかな、眼鏡。
 だがこの愛をジャッジしてくれるはずの教師は、それどころではなかった。



 教師は黒板まで追い込まれていた。
「君は一体何を考えているのだ」
 茄子遥久はプリンをひと匙すくい、はにかむように目を伏せる。
「何を、ですか……ええ、私の富士山になって頂きたく」
「胡瓜でも探してきたまえ!!」

 アスハはポッキリーをむさぼり、嘆息した。
「悪くは無い、が……ハルヒサにもまだ、照れがある、な……」
 この状況でもまだ足りないという。
「このようにおっしゃっていますが、ゲストのすみれさん。どういった展開を望まれますか!」
 不意に話題を振られたすみれ。まだ目をつぶってポッキーを咥えていた。脳内ではドキドキが続いている。だがその言葉にカッと目を見開いた。
「壁ドンして下さい!」

 ドン。茄子は力強く教師の顔の横に手をついた。
「唇が乾燥しておられますね、リップクリームをどうぞ」
「おい、私はそもそも人数に……ぐむっ!?」
 教師の唇、ピンクのつやぷる。

 胡桃はちらりと愁也を見た。目つきが怪しい。
「しゅやおにーさん。もしかしてちょっとじぇら……あ、飛び込んだ」
「俺も混ぜろーーー!!」
 荒ぶる鷹のポーズで愁也が飛び出して行った。
 が、その目前で茄子はコロンと転がる。
「ぎゃーっ!?」
 フライングアタックは黒板に激突。そのまま嫌な音を教室中に響かせつつ、愁也は床へと崩れていく。
 茄子の方は満足そうに微笑みつつ、教師を下敷きに転がっていた。
「ご一緒に出ましょう。ああ、ここでずっと一緒でも私は構いませんが?」
「いずれも拒否する! そもそも私が認定しない限り、脱出は……待て、何をする!!」
 この間にも教師をロープで縛りあげると、優しく抱き上げる茄子。
「……脱出されますか?」
 否を言わせない微笑が迫る。
「わ……判った! 判ったから下ろしたまえ!!」
 だが茄子は尚も顔を寄せて来た。
「丁度男女があちらに2名ずつ。一緒に宜しいですね?」
「……これで脱出できても、呪いが解けるかどうかは私は知らんぞ!」

 教室に光が満ちる。固く閉じていた扉が、するすると開くのが見えた。
 次々と脱出を果たす一同の中、忠国は焦る。
「クッ、こうなったらイチャラブに失敗して傷心気味な女の子に這いより、私の包容力でねっとりと……!」
 ねっとりとした視線で周囲を見渡すが、教室は半ば空だった。フリーの女の子が、いや、フリーの男すら残っていない状態だ。
「ええい! 最悪誰でもいいので組んで脱出してやりますよチクショウ!」
 忠国の目つきが真剣そのものになる。手は巧みにロープを操り……何故か自分を綺麗に縛り上げた。
「くっ、後少し……!」
 慣れた手つきだが、焦りが邪魔をする。
 もだもだと蠢く忠国を、憐れむように見つめる目があった。
「あらあらまあまあ。御困りでしたら何かお手伝いしましょうか?」
 和服美女の魅木に、忠国はイケメンスマイルを向ける。
「ああ、できればそこを引いて……」
「こうですか?」
「そう、そうです!! そしてさぁ早く、これを!!」
 後ろ手に握り締めているのは鞭。いやもうこれ愛でも何でもない、単なる趣味だし。
「ええと……?」
 使い方が分からないようで、魅木は小首を傾げる。
 だがまだ忠国は見捨てられていなかった。教室を抜けだす一歩手前で、ステラが振り向いたのだ。
「わたくしでよければ御望みを叶えましょうか?」
 正に女神。忠国は粗い息でこくこくと頷く。
「でもわたくし、武器は得意ではありませんので……これでもよろしいでしょうか」
 ステラは相手の表情や仕草から望んでいることを知ることができるのだ。
 メイドドレスの裾を優雅につまみ一礼、メイド靴の踵でやおら忠国を踏みにじる!
「うっ……! す、素晴らしい!!」
 もう愛とか関係ない様な気もするが、本人が幸せそうなのでそっとしておこう。

「今でちゅよ、お母さん! 皆で逃げまちゅよ〜!!」
 英斗は茉莉花の手を引いて、出口へ急ぐ。
「やった! これで非モテは卒業d……ぐほっ!?」
 茉莉花の拳が英斗の腹にめり込んでいた。大事なぬいぐるみはしっかりと茉莉花の腕に抱えられている。
「こんなめちゃくちゃな夢、絶対忘れ去ってやるわよ!!」
 顔を赤くして、足取りも荒く茉莉花は立ち去った。

 全く、酷い初夢であった。

<了>


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:15人

ラッキースケベの現人神・
桜井・L・瑞穂(ja0027)

卒業 女 アストラルヴァンガード
ヨーヨー美少女(♂)・
犬乃 さんぽ(ja1272)

大学部4年5組 男 鬼道忍軍
夜闇の眷属・
麻生 遊夜(ja1838)

大学部6年5組 男 インフィルトレイター
ヴェズルフェルニルの姫君・
矢野 胡桃(ja2617)

卒業 女 ダアト
ブレイブハート・
若杉 英斗(ja4230)

大学部4年4組 男 ディバインナイト
リリカルヴァイオレット・
菊開 すみれ(ja6392)

大学部4年237組 女 インフィルトレイター
輝く未来を月夜は渡る・
月居 愁也(ja6837)

卒業 男 阿修羅
蒼閃霆公の魂を継ぎし者・
夜来野 遥久(ja6843)

卒業 男 アストラルヴァンガード
愛、それは強く。・
キーラ・V・リヒテンシュタイン(ja8078)

大学部4年56組 女 アストラルヴァンガード
眼鏡は世界を救う・
クインV・リヒテンシュタイン(ja8087)

大学部3年165組 男 ダアト
愛、それは激しく。・
捌拾参位・影姫(ja8242)

大学部2年101組 女 鬼道忍軍
蒼を継ぐ魔術師・
アスハ・A・R(ja8432)

卒業 男 ダアト
セーレの王子様・
森田良助(ja9460)

大学部4年2組 男 インフィルトレイター
愛の狩人(ゝω・)*゚・
加茂 忠国(jb0835)

大学部6年5組 男 陰陽師
夜闇の眷属・
来崎 麻夜(jb0905)

大学部2年42組 女 ナイトウォーカー
来し方抱き、行く末見つめ・
小田切 翠蓮(jb2728)

大学部6年4組 男 陰陽師
悪魔のような天使の笑顔・
Дмитрий(jb2758)

大学部5年198組 男 バハムートテイマー
愛って何?・
ステラ シアフィールド(jb3278)

大学部1年124組 女 陰陽師
圧し折れぬ者・
九鬼 龍磨(jb8028)

卒業 男 ディバインナイト
鳥目百瞳の妖・
百目鬼 揺籠(jb8361)

卒業 男 阿修羅
七花夜の鬼妖・
秋野=桜蓮・紫苑(jb8416)

小等部5年1組 女 ナイトウォーカー
撃退士・
小田テッサ千代(jb8738)

高等部3年30組 女 陰陽師
夜闇の眷属・
ヒビキ・ユーヤ(jb9420)

高等部1年30組 女 阿修羅
宴に集う妖怪・
祀木 魅木(jb9868)

大学部2年261組 女 陰陽師
with your "melody"・
篠倉 茉莉花(jc0698)

大学部2年245組 女 アカシックレコーダー:タイプB