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マスター:清水裕
シナリオ形態:イベント
難易度:やや易
参加人数:50人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2013/06/13


みんなの思い出



オープニング

●そうだ、合宿行こう!

 初夏。
 日ごとに太陽が力を増していく、ある日のこと。 
 斡旋所に張り出された一枚のチラシが、学生達を誘う。

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久遠ヶ原学生各位

『新緑合宿のおしらせ』

 前略

 諸兄におかれましては、日々任務に学園生活に邁進のことと存じます。

 さてこの度、有志教職員一同の提案により、強化合宿を執り行うこととなりました。
 撃退士たるもの、いついかなる時でも自覚をもって行動せねばなりません。
 それは日常生活においてもです。
 来たる夏に向けて心身ともに鍛え抜く為にも、本合宿が諸兄のお役に立つことを願っております。
 奮ってご参加ください。

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 説明会に用意された部屋に、学生達が集まった。
 挑戦的な募集文に、合宿の内容を恐る恐る確認する。

 おおさかパーク
 【施設紹介】
 ・精神力の限界地に挑む天界のレールウェイ
 ・恐怖を克服する真なる闇の部屋
 ・自然林の害獣を撃退せよ!
 その他、温泉・旅館等各種完備


 おおさかパーク。
 大阪府下のとある遊園地。特別な派手さはないが、何処か懐かしさを感じさせ、ファミリー・カップル問わず人気の場所である。

 ――ここで学生達の意識に過る既視感。
「あの、先生、これってえんそ――」
「合宿だ! 油断しきった時にこそ、個人の真価が問われるのだ! 覚悟のない者は去りたまえ!」
 何だかよく判らないけど、先生がそう言ってるからこれは合宿なのだろう。
 かくして、『合宿』旅行の募集が始まった。

●大阪=食い倒れ
 目的地である場所のウェブサイトを見ると丁度移動販売車が何台も来ているようだった。
 駐車場近くの空き地を利用しているらしく、食べ歩きマップが載せられていた。
 ざっくり見てみると、こんな販売車が来ていた。

 ・日本三大焼きそばの一つである富士宮やきそば。
 ・巻いた姿が花の様に見える甘い香りが漂うクレープ。
 ・ふんわりしっとりとした甘い味わいのバームクーヘン。
 ・大阪の代名詞でもある大玉のたこ焼き。
 ・同じく大阪の代名詞であり、屋台の醍醐味のお好み焼き。
 ・肉厚のパティとオリジナルソースが美味しい佐世保バーガー。
 ・色んな物を食べたい人向けのトルコ風ライス。
 ・おおさかパークのマスコットを焼型にしたワッフル。
 ・パーク内の料理店特製のビーフカレー
 ・暑い陽射しに持って来いの冷たくて甘いジェラード

 これは所謂屋台村といった風な物なのだろう。
 色々食べる事は出来るだろうが……、他のアトラクションを楽しむ為には色々先立つ物が必要である。
 だから、あまり食べる事は出来ないだろう。少しがっかりしながらウェブサイトを閉じようとする。
「えっとぉ〜……、先生からの伝言ですがぁ、報酬は出ない代わりに屋台村で使えるチケットを5枚だけですが渡すそうですよぉ〜……」
 斡旋所の窓口に座っていた魚住 衣月(jz0174)が言うと、彼らは先生に感謝するのだった。


リプレイ本文

●ようこそ、屋台村
 パークとの境目の場所には空気で膨らまされたゲートが設置されており、お腹が空いた者やその場所に興味を持った者達がゲートを潜り抜けていく。
 同時に既に楽しんだ者達は、パークへと歩いて行く。
 その中には東城 夜刀彦(ja6047)、レイ・フェリウス(jb3036)、ファラ・エルフィリア(jb3154)もおり、ジェラードやクレープを手に歩いていた。
 ゲートの先には何台もの販売車が停まっており、美味しそうな音と匂いが漂って来ていた。
 食べ物の香り、焼く音、それらを楽しみながら屋台を周り始めるのだった。

 翼を広げて空を舞うアヤカ(jb2800)は、真っ先に佐世保バーガーを売る販売車へと移動する。
「ポテトドリンクセットでくださいニャ☆」
 チケットを渡し、店員はハンバーグの種を取り出すと鉄板の上に置いた。
 脂が弾ける音がし、鉄板とハンバーグの周りに気泡が生じて下の方から色づき始める。
 暫くして裏返すと、鉄板に染み出た脂によって激しい音が響き渡った。
 そこに蓋をして蒸し焼きにすると、鉄板の空いた場所で目玉焼きを作り始め、バンズを温め始めた。
「ドリンクは……流石にお酒はないニャよね〜? 仕方ないからジンジャエールを貰うニャ〜」
 アヤカの注文を聞きながら、紙コップへと炭酸ジュースを入れると紙袋へと揚げ立てのポテトを詰めていく。
 温まったバンズを取ると、焼きあがったハンバーグを乗せ特製ソースを振り掛けた。
 その上にトマトとレタスを載せてマヨネーズをかけるとバンズで挟み、佐世保バーガーが完成した。
「ありがとうニャ〜☆ あとは粉物系を狙うニャ〜」
 楽しそうに、アヤカは次の目標に狙いを定めて歩き出した。

「佐世保バーガーは外せない!」
 杖を突くミイラ男の月詠 神削(ja5265)が拳を握り締めながら力強く叫ぶ。
 定義を知り、色々なパターンがある事を知る彼には各個たる野望があった。
「今回出展している屋台も一種類だけではないはずだ。個人的には全て制覇したい所だな」
 しかしチケットは5枚しかない、それは困った事態であった……がメニューを見ると一種類しか売っていなかった。
 だが近くを見回すと同じ種類の販売車が見えた。
 結果、神削の目の前には5つのバーガーが置かれていた。
「さて、どんな味か……楽しみだ」
 その一つを手に取ると、彼は袋を剥がし食べ始めた。
 ふんわりとしたバンズを噛み締め、肉の旨味とレタスのしゃきしゃき感とトマトの酸味が口一杯に広がってきた。
 そして目玉焼きの淡白な味わい共に、食べ進めると濃厚な黄身の味が混ざり新たな味を生み出していく。
「うん、美味しいな。次はこっちの方を……」
 そう言いながら、神削は次のバーガーを食べ始めるのだった。

「おおさかパークだが長崎や静岡名物もあるのか」
 日下部 千夜(ja7997)が夏木 夕乃(ja9092)と手を繋いで歩きながら呟く。
 夕乃には聞こえていなかったらしく、千夜に笑う。
「大盛りで屋台定番なら何でも来やがれって感じだね。ワクワクするっ」
 その表情に、千夜はこのデートを楽しむ事にしようと考えてどれを食べるかを見渡していく。
 色々に目移りしながら、歩く……と、夕乃がたこ焼きの屋台の前で立ち止まった。
 錐を使ってクルクルと具材が回転して行き、粉だったのが丸になっていく。
 その隣では引っくり返す作業が行われていた。
 余分な粉を切り分け、穴に錐を刺し回転させる。すると、粉が型に零れてジュワっと良い音がした。
 粉が焼ける音に耐えられず、夕乃は手を挙げると迷わず口を開いた。
「おじさん、たこ焼きください!」
 注文を受けると出来立てのたこ焼きを舟に乗せソースを塗り、最後に散らす様にして青海苔と鰹節を振り掛けた。
 熱々のたこ焼きから夕乃の鼻を擽る様にソースの濃厚な香りが漂ってくる。
 それを受け取ると2人は歩き、今度は千夜がバーガーセットで手に入れた。
「初めて食べるから楽しみだ」
 そのまま2人はそれらを味わうべく中央にある座る座席スペースへと向かい、空いている席へと座る。
「さて、どんな味だろう?」
「たこ焼きって、あたしがこの世で一番好きな食べ物かも幸せな思い出詰まってるもん。へへっ」
 千夜が佐世保バーガーを齧り付くのを見ながら、夕乃もたこ焼きを口に入れた。
 甘くどいソースの辛さと出汁で溶かれた生地が口の中に絡み合って行き、トロトロとした舌触りと蛸のクニッとした弾力性のある食感、紅生姜の辛さを感じながら、熱々のたこ焼きを食べる。
 しかしまだ熱いからか、ハフハフと奥から来る熱さを冷ます様にして夕乃は息をする。
 そんな彼女へと千夜はドリンクを差し出し、受け入れる様にストローを咥える。
「はぁ〜……、ありがとう千夜さん」
「無事で何よりだ。けど、火傷には気をつけるんだな」
 千夜の言葉に夕乃は照れながら笑う。
「熱いけど、美味しいよ。良かったら食べてよ」
 あーん、と言いながら夕乃は爪楊枝に刺したたこ焼きを近づけて行く。
 静かに千夜は口を開け、彼女の差し出すたこ焼きを口の中へと運んで行く。
 舌の上に熱さが広がるが、噛み進め飲み込むと熱さに息を漏らす。
 それを見ながら笑う夕乃へと千夜はポテトを差し出す。
 恥かしがりながらも彼女はそれを口の中へと入れるのだった。

「これが合宿だったら、多分世の中の運動部員は喜ぶだろうな」
 歩きながら久瀬 悠人(jb0684)は屋台を見回す。
 結果、屋台の定番の食べ物を悠人はチケットを使って手に入れた。
「大量大量〜っと」
 持っていた屋台の定番を空いた場所を見つけ、腰掛けるとそれらを広げるようにして置いた。
 そして彼が手を上げると共にヒリュウのチビが召喚され、何時もの様に彼の頭に飛ぶとアホ毛を弄り始めた。
「チビ、遊んでないでご飯を食べよう」
 言うと置かれた食べ物に気づいたらしく、テーブルへと座ると置かれたたこ焼きを食べ始めた。
 それを見ながら、お好み焼きを箸で摘み食べ始める。
 甘辛いソースとキャベツと豚肉の食感を楽しみながら、たこ焼きに目を移した。
「あ、こらそれ俺の最後のたこ焼きッ!?」
 全部食べられようとしているのに気づき、チビの頬を引っ張ると共に自分の頬にも痛みを感じていた。

「なんだか良く分らんが取り敢えずチケット分食べようっと……」
 そう言いながら佐藤 としお(ja2489)は即座に行動に移る。
 そんな時、凄くサングラスと手拭いが似合わなさそうなたこ焼き屋の店員(静馬 源一(jb2368))が居た。
「らっしゃい! このたこ焼きはめっちゃ美味しいで御座るよー、お兄さん一個食べていかんかー? で御座る!」
「うーん、今はたこ焼きって気分じゃないんだ」
「そうで御座るか……、らっしゃい、らっしゃい」
 としおがそう言うと店員はがっかりしたが次の客を求めて呼び込みを始めた。
 性根逞しさを感じながら、としおは途中で見つけたバーガーセットを購入し、その足で辺りを見渡すと鼻を擽るソースの香りがした。
 見ると、焼きそばの屋台があった。良く見るとB級グルメで人気がある富士宮焼きそばの屋台だった。
 少し考えながらとしおは残りのチケットを使い、大盛りを注文した。
 大き目のパックに入れられた焼きそばとトレーを持ち、中央の座席スペースへと向かい空いた席に座るとそれらを味わうべく食べ始めた。
「うん、美味しいね〜♪」
 啜り終え、としおは立ち上がり自らの活動を開始し始めるのだった。
 そう、それだけじゃ足りない者達に対する豚骨ラーメン作りを。

「やっぱり締めにはカレーだよね」
 食べ歩きを続けたユリア(jb2624)だったが、カレーは味わう為に丸太に座る。
 香辛料の香りを感じながら、ご飯と共に口の中に入れる。
 程好い辛さと玉葱の甘み、厚切りなのにトロリと蕩ける牛ブロック。
 少し硬めのご飯は口の中で解れてカレーと一つになっていく。
 味わう毎に口の中には牛の旨味が広がっていく。
「この辛さと旨味が堪らないよ」
 笑みを浮かべながらユリアはどうせならと思う。
(カレーパンがあれば最高なんだけど、無いよね……?)
 あったら彼女のテンションはやばくなっていたであろう。

「礼信が参加してたのはラッキーだった。男同士で色気が無いが、いろいろ食べる事にしような」
「いろいろ食べたかったですから、十郎太さんが居てくれて僕も助かりました。それで何から食べましょう?」
 榊 十朗太(ja0984)と楊 礼信(jb3855)は話しながら、2人併せて十枚になったチケットを見ながら屋台を練り歩く。
 そして、十郎太が買って来た物はお好み焼きとバーガーセットで、礼信は大盛りの焼きそばであった。
「礼信も育ち盛りだし、がっつり喰う事にしようぜ」
「はい。それじゃあ、いただきます」
 手を合わせると、2人は食べ始めた。
 礼信が焼きそばを啜るとコシのある麺の食感と絡まったソースの辛味が口に広がり、炒めたキャベツの歯応えと甘み、そして肉かすと呼ばれるラードを造る時に出来た物がカリカリとした歯応えとジュワっとした脂が口の中に溢れて行くのが感じられた。
「……この肉かすが良いアクセントになっているみたいですね。これを何か別の料理に応用出来ないものか、な」
 考えながら、礼信は思っている事を口にする。
 バーガーを齧りながら十郎太はその呟きを聞きながら笑みを浮かべる。
「こういうのは何も考えずに喰う方がより楽しめるんだが、な。……まあ、おじさんの息子じゃ仕方ないか」
 言いながら彼は礼信の父親の姿を思い出す。それが気恥ずかしくなったのか、礼信の顔は赤く染まる。
「そうですね、何も考えずに食べる事にします」
 そのまま2人は食事に専念し始めるのだった。

 鉄板の上へとキャベツが落とされて、焼ける良い音が聞こえる。
 その音に混じって、ヘラの音と共にキャベツが踊る。
 良く炒められ、次に解した蒸し麺が鉄板の上に置かれ、お湯をかけると湯気が上に昇り、お湯が弾ける音が聞こえた。
 麺を蒸し上げる為に、炒めたキャベツと肉かすを麺の上に乗せ……暫くすると全体を絡めるようにして再び炒め始めた。
 麺を焼く音が鉄板が奏で、合いの手の様にヘラの金属音が響く。
 遂に焼きそばの主役であるソースが麺に掛けられ、絡ませ終えると共に混ぜ合わせて、麺がソースの茶色に染まり始めていく。
 鉄板にソースが焼かれ周囲へと刺激のあるソースの匂いが漂い始めていった。
 それを見ながら、ナナシ(jb3008)は屋台へと近づく。
「ひとつください」
 ナナシの注文に応えると、店主はパックに焼きたての焼きそばを入れる。
 そしてその上に鯖のだし粉を振り掛け、隅に紅生姜を乗せると蓋を閉めゴムで留めると差し出した。
 受け取ると彼女はそれを味わうべく一度座る事にし、歩き出した。
(怪我をした時にこそ戦う心構えを忘れてはいけないよね)
 彼女はそう心で思うが、もし文章だったらルビとして『病院はご飯が不味い』と書かれていた事だろう。

「さーって何から食べようかなぁ」
 隣を歩く七ツ狩 ヨル(jb2630)を横目で見ながら、蛇蝎神 黒龍(jb3200)が周囲を見回す。
 何か大声で張り切っているたこ焼きを焼いている店員が見えたので2人はそこに向かってみた。
「いらっしゃい、いらっしゃい! お一つどうで御座るか?」
「……これ、火を強くしたらもっと早く出来たりしないの?」
 焼かれていくたこ焼きに興味を示しながら、ヨルは店員に尋ねた。
 たこ焼きを返しながら、店員は言う。
「それだとたこ焼きが焦げて逆にダメになってしまうで御座る。丸が出来てからは火を弱めて焼いていくので御座るよ」
「そうなんだ……」
 頷きながらヨルは納得をする。
「ほな、店員ちゃん。一つ貰っていこか?」
「毎度ありでござるよー」
 たこ焼きを受け取り、お好み焼きにも良く似た反応をするヨルを見ながら、黒龍は彼の眼に映る何かを共有できれば良いと考える。
 2人はクレープを購入すると食べる為に丸太に座った。
 たこ焼きとお好み焼きを半分分けし、味を楽しみ……クレープを味わう事にした。
 どうやって食べるのか分らないヨルはクレープを片手に黒龍を見る。
「黒、どうやって食べるの?」
「ああ、ヨル君は初めてやったな。こうやって食うんや」
 言いながら彼は巻かれた紙を千切りクレープを見せると、パクリと齧り付いた。
 パリサクの外周と共にバナナの甘い酸味と生クリームの甘い滑らかな食感とチョコのほろ甘さが口の中に広がる。
 それを見ていたヨルが彼の真似をしながら、食べてみた。
 クレープの味と生クリームの甘み、そして苺の酸味と肉厚のある食感が口の中に広がっていく。
「っと、零れとるよヨル君……よし、これでええわ」
 皆から見えない様にして黒龍はヨルの頬に付いた生クリームを指で拭うと指で舐め取った。

 見られていないと思っていたが、それをばっちりと目撃した者は居た。
「颯君こっちも美味しいから食べてみて!」
「あ、……うん」
 角度的にクラスメイトとその友人2人がキスをしている様に見えた颯(jb2675)だったが、鴉女 絢(jb2708)の声にハッとしながら差し出してきているクレープを食べてみた。
 その味は自分が注文した生クリームの味とは違い、濃厚なカスタードクリームでありトッピングの苺との組み合せが普段食べるクレープと違った味わいを感じられた。
 颯の食べる仕草を見ながら絢は嬉しそうに微笑む。
「私も颯君の食べさせてもらっても良いかな?」
「絢さんのよりもあっさりしているかも知れないよ」
 そう言って差し出したクレープを絢は口にする。食感の良いクレープ生地に少しサワーなクリームチーズが口に広がり、ブルーベリーソースの甘酸っぱさが広がっていく。
 甘く美味しい味を楽しみながら、絢はクレープを飲み込む。
「うん、颯君のクレープも美味しいね。クレープを食べたら今度はワッフルとバームクーヘンを食べようよ」
「良いよ。その前に……」
 それらを取り出そうとしている絢へと颯は顔を近づけ、唇にキスをして離れ際に頬についたクリームを舐め取った。
「え、え、えぇ!?」
「ごちそうさま。絢」
 真っ赤になる絢を呼び捨てにしながら颯は彼女の反応を見て微笑む。
 初めてのキスに動揺しながら、絢は今の顔を見られたくなく彼に抱きつくと胸に顔を埋めるのだった。

「うん、私はこれでいいです」
 一人呟きながら水屋 優多(ja7279)がお好み焼きを買い、屋台から少し歩いた所で見知った顔を見つけた。
 礼野 真夢紀(jb1438)と音羽 千速(ja9066)だ。そして向こうも優多に気づき、急いで近づいてきた。
「「一緒に回りませんかっ!?」」
「……なるほど。そうですね、一応15枚あれば一通り屋台全部回れますものね」
 2人の状況を即座に察し、彼は苦笑しながら一緒に食べる事にする。
「一応デザート系は後回しにしてご飯系を買ってらっしゃい。私は席を取って待ってますから」
「やったぁ! 優多さんありがとう。それじゃあ後でね!」
 そうして3人は分かれてそれぞれご飯系を入手すると優多の待つ席へと向かって行った。
「「お待たせっ!」」
「はい、それじゃあ食べましょうか」
 そう言うと3人は丸太椅子に座ると食べ物を広げた。
 お好み焼き、トルコ風ライス、たこ焼き、焼きそば、ビーフカレーに佐世保バーガー、そしてワッフルが置かれた姿は宛ら満漢全席といった様であった。
「ワッフルとバーガーは……千速ちゃんダガー持ってたでしょ貸して」
 受け取ったダガーでそれらを切り分け、3人は食べ始める。ちなみにそれぞれ飲み物を持ってきているので飲み物の心配は無かった。
 モグモグとご飯を食べながら千速が笑顔で2人を見る。
「仲間がいるって良い事ですよねぇ」
 それを聞きながら2人は頷く。そのまま3人は話をしながら、B級グルメを堪能し全て無くなった頃にはお腹が一杯になっていた。
 そんな彼女達を見ながら、優多が訊ねる。
「クレープとバームクーヘンとジェラード、食べられますか?」
「「はいっ、甘い物は別腹っ!」」
 3人は笑い合うのだった。

「ごはんだいすきいただきます」
 みくず(jb2654)の目の前に置かれたチケット分のグルメを前に手を合わせると彼女は即食事を開始した。
 それを見ながら紫 北斗(jb2918)は自身のトルコ風ライスを食べようとする……が、視線に気づきそちらを見ると既に食べ終えたみくずが見ていた。
「む、何をそんな物欲しそうに見ているのだ……や、やらんぞ……仕方ないどすな、ほれ、ちょっとだけやで……」
 円らな瞳に北斗は諦めて、半分彼女の皿に乗せ、自身も食事を開始し始めた。
 足されていくご飯を喜びながら、みくずは両手を挙げる。
「ありがとー!」
 喜びながら貰ったトルコ風ライスを彼女は食べる。
 今の内にと考え、北斗は側にあったたこ焼きを刺すと口に運んで行った。
(久しぶりの関西、やっぱりたこ焼きでっしゃろ)
「おお、これやこれや!」
 嬉しがりながら彼は残りのたこ焼きを……再び視線がした、向くとみくずがやっぱり羨ましそうに見ていた。
「……わかった、わかったて! 何個かくれてやるさかい、口開けやー」
「もぐもぐ、はふはふはふ……」
 ハフハフ言いながら彼女は口に入れたたこ焼きを美味しそうに食べる。
 それを見ながら北斗は、
(何か放っておけんおなごやなぁ……)
 と思い。みくずは、
(北斗さんって優しいし、何だか時々妙に懐かしい気がするんだよね)
 と思うのだった。

「良かろう、ならば食い倒れである! ……たった5枚であるか?」
 マクセル・オールウェル(jb2672)が威風堂々と叫んだが、持っていたチケットを見てガクリと膝を突く。
 これでは食い倒れどころか、腹八分にもならないだろう……だから近くを歩いていた学校関係者を呼び止めた。
「我輩自身も久遠を出すゆえ、2倍に増えぬか?」
 だが良い返事を貰う事は出来なかった。
「そうか、ダメであるか……ならば仕方あるまい」
 呟き立ち上がると彼は即座にバーガーの販売車へと歩き出した。
 世紀末覇王的威圧感を出しながら屋台に向かうと少し店員が引いたがそこは気にしないでおこう。
 そしてバーガーを1つ受け取ると販売車が立ち並ぶ隅の方で食べてみた。
 普通なら軽く潰さないと食べれない大きさを彼はそれよりも大きく口を開き、一気に齧り付いた。
 レタスの食感と肉の旨味を味わいながら、ゴクリと飲み込む。
「ふむ、これは良い! うまいしそこそこボリュームもあるな」
 そのまま食べ進める、食い終えるとマクセルはカレーと焼きそばがどの程度の量あるかを見始める。
 バーガーに費やすべきかそれらを食べるべきか、悩み所であった。

「折角ですから名物が食べたいですよね……大阪と言えばやはりたこ焼きですから、それは外せないとして……何を食べましょう、迷いますね……」
 アトラクションを楽しんできた鳳月 威織(ja0339)が5枚のチケットを握り締めながら、屋台村を見回していく。
 たこ焼きを食べる事にはもう決めた。後は何を食べるべきか……悩みながら彼は目に付いた物を食べる事に決めた。
 たこ焼きを購入し、周囲を見渡し富士宮焼きそばにフラフラと移動し、そこから佐世保バーガーへと向かい、最後に目に付いたのが……。
「すみません、バナナチョコ生クリームでください」
 チケットを渡すと、店員は丸型の板の上にタネを落とすと道具でグルリと回転させて薄く伸ばしていく。
 暫く置くと薄長いヘラでタネと板を剥がす様に取っていき、裏返した。
 焼き終えるとクレープを隣の盛り付ける為の板上に乗せ、生クリームとチョコソースを全体にかける様にして行き、最後にバナナを乗せチョコスプレーをかけると良く見るクレープの形に整えていった。
 それを紙で巻きつけると、白と黒のデコレーションがされた花の様なクレープが完成した。
 受け取り、威織は丸太に座るとひたすら食べ始めた。
 主食を食べ終え、デザートに取り掛かると彼はすごく幸せそうな顔をしながら食べていた。
「さてと、食べた分は動かないといけませんね」
 食べ終えると再び立ち上がり、威織はまた体を動かすタイプのアトラクションへと向かうのだった。

「灰次と来て良かった〜。女の子と一緒だと我儘言えないしー」
「ほんとだよなー。女の子相手じゃ直ぐにヤニ吸いてえとか言い辛いもんなー」
 二階堂 光(ja3257)に相槌を打ちながら鈴屋 灰次(jb1258)が煙草を咥えてライターを取り出す。
 だが火をつける前に灰次の煙草を光が取り上げると、ワッフルを詰め込み笑う。
「煙草吸うよりは甘い物食べた方が健康的じゃない?」
「俺にほっへは、ヤニぎゃいのふぃな」
 ワッフルを咥えながら灰次が言うが、良く聞き取れない。
 そんな彼を見ながら光もワッフルを口に入れる。少しして灰次がワッフルを半分ほど食べると光を見た。
「そういや、ひーちゃんジェラードも好きじゃなかった? 買って来るけどどうする?」
「好きだよ。じゃあ俺は飲み物を調達するよ」
 2人は別れ、行動を開始した……が光は自販機を探してる間に困った事になったのだった。
 簡単に言うと、女性に逆ナンされていたのだった。
 無碍にも出来ずに困り顔になる彼だったが、不意に誰かが腰に抱きついて来た。
「ごめんね、このイケメン、俺のなの」
「……って訳なのでごめんねー?」
 去って行く彼らを見ながら、女性は顔を赤くして恥かしがっていた。
 少し歩きそこから離れると、2人はしゃがみ込みジェラードを食べ始めた。
 違う種類のを食べながら、光は灰次のジェラードに視線を移す。
「あ、それ美味そう! 俺にも一口頂戴ー」
「良いぜ。はい、あーん」
 笑いながらスプーンで一口分掬うと、それを近づけるとパクリと口の中に入れる。
 その美味しさに光は笑みを浮かべるのだった。

「久遠ヶ原学園のスイーツプリンセスとしては、完全制覇しないワケにはいかないよっ」
 力強くゲート前で叫ぶ下妻ユーカリ(ja0593)は脇目も振らずに一番最初にクレープへと向かう。
 味を知る為に彼女はバナナクレープを注文し食べながら歩く。
「もぐもぐ、皮と皮の間の生クリームでまるでケーキの様な食感だね。お次は……バームクーヘンに決めた!」
 そこに向かうと、サイズSを頼み受け取り箱に入れようとする店員を止め剥き出しのままで受け取る。
 切り分けた直後なのか、熱く中の紙を取り出すと豪快に齧り付いた。
「ふんわりとした食感で、バニラエッセンスの香りが強く普通のバームクーヘンとは違った美味しさを感じられるね」
 歩きながら味わい、次にワッフルの屋台に辿り着くと注文し、渡された箱とナイフ&フォークに座って食べる事を余儀なくされ、ユーカリは座る。
「さてと、箱の中身は……って大きい!?」
 大きなワッフルに驚き、スマホで写真を撮ると彼女は味を確かめるべくフォークを握り締めた。
「しっとりフワフワとしてて……メープルシロップにつけると、美味しい!」
 ワッフルを食べながらユーカリはスマホを操り、新聞部のマイコラムにスイーツ情報をずびしとアップさせる。
 そして、食べ終わるとジェラードを堪能しながら他の参加者の感想を聞く事を考えるのだった。

「女の子はねっ、お砂糖とスパイスと後なんか色々な物で出来てるのっ」
 そう言いながら、エルレーン・バルハザード(ja0889)は己が欲望を満たす為に行動を開始した。
 最初にクレープを手に入れ5口もしない内に食べ終え、そのままジェラードを食べ、ワッフルを上品且つ素早く漢らしく喰らうと立ち上がった。
「お腹一杯になっちゃった……まだ、チケット余ってるなあ」
 残ったチケットを見ながらエルレーンは周囲を見渡し、持ち帰りが出来そうな物を探していた。
 そして彼女が決めたのは、バームクーヘンだった。
「ばーむくーへん、くださいなのっ」
 買う物も買ったので、それを一度置きに行こうと移動を開始する。
 だが、熱が残っている為に開かれた箱からは甘い匂いが漂い、彼女の食欲を刺激する。
「ちょ、ちょっとだけ……」
 魅惑に負け、彼女はつまみ食いを開始する。
 一口だけと思いながら……気づくと……。
「あっ……これは、今晩はご飯食べられませんね」
 全部食べていたのでした。

「どれも美味しそうですね」
 販売車を見ながら、鑑夜 翠月(jb0681)は売られている物を念入りにチェックしていく。
 そして数ある中から彼が選んだ初めの食べ物は……たこ焼きだった。
「すごく、大きいですね……ふー、ふーっ……はふっ、はふはふっ、はふっ」
 大玉の大きさに驚き、匂いを楽しむと楊枝に一つ刺し持ち上げると息を吹きかけ、少し冷ましてから口の中に入れた。
 だが、たこ焼きは冷め切っておらず、中はトロトロの熱々で猫舌の翠月は熱そうだが美味そうに食べる。
 その直ぐ近くの丸太に座った黄 秀永(jb5504)も同じ様にたこ焼きを食べているが、そちらは2舟から1個ずつ突き刺し食べていく。
「あち、あちっ……けどたこ焼きは熱い内に食うのが基本やで!」
 そう言う秀永も食べるのだが、大阪の有名なマスコットのコスプレをしているものだから何と言うか……若手芸人の体を張ったコントの様だ。
 暫くして、彼らは歯に青海苔を着けながら食べ終わった空の舟に手を合わせる。
「はふ、熱かったけど美味しかったです」
「やっぱたこ焼きは美味いわ。って事で、お好み焼きを食いまっせ!」
 そう言うと、秀永は積んでいたお好み焼きが入った容器を開ける。
 すると、容器で蒸されたソースの香りが秀永の鼻を擽り、関西の血を騒がせる。
「うーん、この匂い。この匂いやでー! ほな、頂きます!」
 箸を割ると彼は美味しくお好み焼きを食べ始める。
 あのコスプレの人よく食べるな。と思いながら翠月は立ち上がりクレープを買いに行き、手に入れたそれを覗き込む様に見る。
 彼が頼んだ物は林檎を使ったクレープで、生クリームとクレープの間に薄切りの皮付き林檎が一緒に巻かれており、それがまるで赤が散りばめられた薔薇の様になっていた。
 華の様な外見と、クレープ特有の甘さと中の林檎酒で煮詰めた林檎の甘く濃厚な香りを堪能してから小さく齧り付いた。
 クレープと生クリームの甘みと共に、シャクシャクの薄切り林檎と深い甘みの柔らかく肉厚の林檎の食感。
 それらを楽しみながら味わい、気づけばすぐにクレープは食べ終えていた。
「ごちそうさまでした。どちらもとても美味しかったですね。……チケットを下さった先生にも感謝ですね」
 先生に感謝する近くでは、ワッフルを食べ終えた秀永が居た。
「ふう、食った食った。けど足らへんなー……っと貰いもんに贅沢言うたらバチ当たるなあ。これで我慢しよか、大阪=食い倒れは常識やで」
 ふと、翠月は最後の疑問を呟く。
「えっと、この合宿は何を強化する合宿だったのでしょうか……」

 少し昼を回った頃、一組の男女が屋台を巡っていた。
「色々食べたい物あって迷うッスね……!」
「ほんとだねー、アズキくん。色々あって迷うなー」
 一歩前を歩くニーナニーノ・オーシャンリーフ(jb3378)に対して天菱 東希(jb0863)が言う。
 ちなみに東希は両手に荷物を持っているが、ここに来る前にニーナニーノが買った小物だった。
「俺が飯もの頼むんで、ナノさんスイーツ系どうっすか? ……あ。勿論俺が買出し行きまッス」
「アズキくん、買ってきてくれるの? ありがとー、よろしく。荷物見てるね!」
 席まで移動し、荷物を置いてもらうと彼女は丸太椅子に座り、東希は主食になりそうな物を入手しに行った。
 少しして東希が戻ると、その手にはお好み焼き、富士宮焼きそば、たこ焼きが置かれた。
「半分こッス。ナノさんお先にどうぞッスよ」
「了解ー。んんー、美味しくて止まらないかも……って、あれ?」
 気づいた時には既に遅く食物は半分以上減っていた。
「さて、俺も食べ……って、既に量が三分の一以下ッス……」
「た、たこ焼き美味しいなー……」
 しょんぼりする東希に誤魔化す様にニーナニーノはたこ焼きを食べながら横を向く、ちなみにたこ焼きが美味しく顔は笑顔だった。
 その笑顔を見て、彼はしょうがないと思い立ち上がる。
「それじゃあ、食後のデザートを買って来るッス」
「美味しそうだから楽しみー」
 笑顔を東希に向けて見送り、暫くして彼は女の別腹という恐ろしさを味わう事となるのだった。

「へぇ……油かすに削り粉か。麺も特徴あんだな」
 富士宮焼きそばの作る手順を見ながら相賀翡翠(jb5879)は店員に聞く様に言う。すると、店員は油かすよりも肉かすと言う言い方が一般的であると教えてくれる。
 感心しながら翡翠はスマホにその情報をメモり、疑問を聞く。
「あと地元じゃ何入れんだ?」
 するとイカや肉も入れたり、もやしや玉葱を入れたりするという事を教えてくれ、それをスマホに書き込む。
 感謝しながら彼は出来上がった焼きそばを受け取り、清々しいまでに啜った。
「ご馳走さん。教えてくれて、あんがとな」
 感謝して去ると、次に翡翠はワッフルを食べる事にした。
 ふんわりしっとりとした食感を味わい、砂糖と小麦の香りを感じ取り……隠された味を探し始める。
 そして、探し当てた味を確かめるべく翡翠は歩き店員に尋ねる。
「これって、隠し味はレモンとか?」
 店員が如何答えたかは企業秘密だった。

「ん、国のバーガーよりも少し小さい……かな? まあ、良いでしょう」
 バーガーに齧り付きながらリオン・H・エアハルト(jb5611)は全体を見渡せる位置に座っていた。
 何故そこかと言うと答えは簡単だった。
「やはり、一人で来てる人よりも友達と一緒やらカップル同士が多いかな。又はスイーツを求めた女性もだな」
 例えばあそこを歩く玖珂 円(jb4121)だ。彼女を見ているとクレープ→ジェラード→バウムクーヘンといったスイーツ祭りを開催していた。
「こうやって甘い物食べている時が幸せですわね。出来ればご一緒できる殿方がいれば最高なのですが……」
 まだ見ぬ素敵な殿方に憧れながら、円は丸太に腰掛けバームクーヘンを千切りながら少しずつ食べていく。
 食べ終えると残ったチケットをテーブルの上に置き去って行った。どうやら見つけた者に上げる事にしたようだ。
「あと一枚多ければ、食べ物選びの組合せに今ほど悩む事もないんですが……あら?」
 そこへバーガーとカレーを持ったヴェス・ペーラ(jb2743)が座りチケットの存在に気づいた。
「ジェラードが多く食べる事が出来ます。置いていった方、ありがとうございます」
 感謝しながら、彼女はカレーを食べ始めた。
「パーク特製と言うカレーに興味がありましたのですが、美味しいですね」
 じっくり煮込まれており、肉はトロトロで野菜も舌の上で蕩けるとても上品な味だった。
 味わいながら食べ、皿が空になると嬉しそうにヴェラはジェラードを求め立ち上がった。
「シングルでしたが、ダブルにしましょう♪」
 やはり女性は甘い物が好きなのだ。
 しかし観察ばかりしていてリオンは楽しいのだろうか?
「人の行動を観察するのも楽しい物ですよ?」
 誰かに聞かれた様な気がして、彼はそう答えるのだった。

「店員さん、焼きそば下さいな♪ あっ、青海苔は無しでお願いします」
 オルタ・サンシトゥ(jb2790)が焼きそばの屋台で音を弾ませながら言う。
 理由を察し、店員は笑いながら魚粉と紅生姜だけを乗せて彼女に渡す。
 その足でオルタはバームクーヘンにワッフルを入手し、ついでにジェラードも購入し空席に座り食事を開始した。
 焼きそばは青海苔が入ってはいない代わりに魚粉が掛かっており、何時も食べる焼きそばとは違った味わいが口の中に広がり、難なく食べる事が出来……スイーツに取り掛かるが、量が多かった。
「やわらかい甘さが美味しいですね。っと時間が掛かりましたが締めのジェラードを……あぁ!」
 店員のお勧めを入れて貰ったジェラードだった。しかし、時間がかかった熱で半分ほど溶けてしまっていた。
「やっぱり食べ終わってから買いに行った方が……でもお腹一杯で動けませんよ〜!」
 少し落込みながら、オルタは溶けかかったそれを食べ……冷たくて美味しかったので笑顔となるのだった。

「乗り物……ですが食べ物の香り?」
 首を傾げながらウィズレー・ブルー(jb2685)は販売車を見る。
 隣に立つカルマ・V・ハインリッヒ(jb3046)は興味深そうに販売車のポップを眺める。
「ふむ、佐世保とは地名の名前だそうですが、何故そんな名前に……」
「土地の名前が食べ物になるのですね。面白い仕組みです……」
 感心しながら彼女達はバーガーセットと交換し、テーブルに座るとそれらを食べる。
「さて、ちょっとデザートを買ってきます。ウィズはそこに居てください……あ、何味にします?」
 フラフラしかけた彼女を呼び止め、動かない様に釘を刺すとカルマは立ち上がる。
「あ、クレープは苺、ジェラードはバニラでお願いします」
 待つ間、ウィズレーは活気と辺りの風景に興味津々だ。
 しかし釘を刺された手前、動く訳にはいかなかった。暫くしてスイーツを手に入れカルマが戻り、手に持った物を渡す。
「ありがとうございます。……外で食すと更に美味しく感じますね」
「そうですね、さぁ食べましょう」
 その言葉を聴きながら、彼はチョコクレープと珈琲味のジェラードを食べると、視線を感じた。
「あの、それも美味しそうですね……」
 凄く興味津々であった。

「そうか、これは食育のテストかっ!」
 とっても勘違いをしながら黒井 明斗(jb0525)はチケットを握り締め叫ぶ。
 そうと判れば買い食いを始めるしかない。そう思いながら明斗は歩き出し、店員に素材の質問を始めて行き……ベストと思う物を購入し始める。
「お好み焼きは完全食品だな。そしてジェラードは疲労回復とリラックスの為に」
 それらを前に、明斗は食事を開始……しようとする前に、目の前の黄昏ひりょ(jb3452)に残りのチケットを差し出した。
 今まで彼が座っていたのか、食べ物の空の容器が置かれていた。そしてその対面ではアヤカが幸せそうに眠っていた。
「黒井さん、感謝!」
 お礼を言うとひりょは駆け出していく。
「お、キミ綺麗だねぇ。折角だし一緒に遊ぼうよ♪ あ、ここのたこ焼きが美味しくて」
 その途中でジェラルド&ブラックパレード(ja9284)が近くを歩いていた娘に話しかけ、大阪特有のボケと共にナンパをかわされている所に出会った。
 向こうもひりょに気づくと手を上げながら、再び別の女性にナンパを開始する。
「焼きそば一つ!」
 焼きそばの屋台に辿り着くと彼は開口一番そう言った。
 明斗が行儀よくテーブルで良く噛んでお好み焼きを食べ終えると同時にひりょが焼きそばを持って戻ってきた。
「よく食べますね」
 言いながら、彼は落ちているゴミが気になり始め……気づけばゴミ拾いを始めていた。
「もぉ〜こんなに汚してっ」
 チケットをお腹を空かせた世紀末覇者に分け与え身軽となった稲葉 奈津(jb5860)は地面に落ちているゴミを拾う。
 向こうでも自分と同じ様にゴミを拾う男性が居るのを見て少し嬉しくなりながら、彼女はゴミを拾う。
「……んっ? 私って結構仕事してない?」
 初依頼の奈津にとってはこれがとても嬉しかったようであった。

「ほら、狐雀。これでもう少し食べれますわ。もっと味わって御食べなさいな」
 桜井・L・瑞穂(ja0027)がそう言い、影山・狐雀(jb2742)へと4枚のチケットを差し出す。
「わふ、いいんですか!? ありがとうございますー、天使さんですー♪」
 それを見て嬉しそうに尻尾を振り、狐雀は屋台へと駆け出して行った。
 そんな2人にリネット・マリオン(ja0184) は嫉妬を感じてしまう。
(お嬢様と2人きりなら存分に構って頂けますのに……)
 眼差しに気づきながら、瑞穂は立ち上がり……ワッフルを手に戻ってくる。
「半分こしましょう、リネット」
「あの、宜しいのですか……? お嬢様が買われた物ですのに……」
「いらないのかしら?」
「い、いえ! 有難く頂戴致します……!」
 微笑む瑞穂の顔を見ながら、リネットは味も判らないワッフルを食べる。
 食べ終えるとリネットは意を決してチケットを前に出す。
「お、お嬢様もまだあまりお食事なされておりませんでしょう? 私の券がまだあります故、これで半分ずつお食事を……!」
「ええ、宜しくってよリネット。何時も尽くしてくれる貴女のお願いですものね?」
 微笑みながら瑞穂はリネットの頭を撫でるのだった。

「こ、このままじゃお腹が……摘めちゃう!」
 甘い物中心に食べ、フィン・ファルスト(jb2205)は美味しい思いをした。
 しかし、考えてみると糖分の取り過ぎではないだろうか?
 それに気づいた瞬間、彼女は立ると走り出しゲートを飛び出し、夕陽の差し込むおおさかパークへと走る。
 ああ、数時間前に戻れるならば、戻れるならば……「甘い物は別腹なの〜♪」と言っていた自分を止めるのに。
 それを見ながら、カウガール姿の鴉乃宮 歌音(ja0427)はジェラードを食べながら呟く。
「明日から頑張れば良いのに」
「そういうものですか? あ、美味しいなこれ」
 歌音に買って来て貰ったスイーツを食べながら、雫石 恭弥(jb4929)は幸せそうに聞いたのだった。


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: −
重体: −
面白かった!:9人

ラッキースケベの現人神・
桜井・L・瑞穂(ja0027)

卒業 女 アストラルヴァンガード
ヌメヌメ女の子・
レナトゥス(ja0184)

大学部5年190組 女 ナイトウォーカー
死神と踊る剣士・
鳳月 威織(ja0339)

大学部4年273組 男 ルインズブレイド
ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
みんなのアイドル・
下妻ユーカリ(ja0593)

卒業 女 鬼道忍軍
┌(┌ ^o^)┐<背徳王・
エルレーン・バルハザード(ja0889)

大学部5年242組 女 鬼道忍軍
『榊』を継ぐ者・
榊 十朗太(ja0984)

大学部6年225組 男 阿修羅
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
インキュバスの甘い夢・
二階堂 光(ja3257)

大学部6年241組 男 アストラルヴァンガード
釣りキチ・
月詠 神削(ja5265)

大学部4年55組 男 ルインズブレイド
災禍祓いし常闇の明星・
東城 夜刀彦(ja6047)

大学部4年73組 男 鬼道忍軍
希望の守り人・
水屋 優多(ja7279)

大学部2年5組 男 ダアト
God Father・
日下部 千夜(ja7997)

卒業 男 インフィルトレイター
リコのトモダチ・
音羽 千速(ja9066)

高等部1年18組 男 鬼道忍軍
撃退士・
夏木 夕乃(ja9092)

大学部1年277組 女 ダアト
ドS白狐・
ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)

卒業 男 阿修羅
鉄壁の守護者達・
黒井 明斗(jb0525)

高等部3年1組 男 アストラルヴァンガード
夜を紡ぎし翠闇の魔人・
鑑夜 翠月(jb0681)

大学部3年267組 男 ナイトウォーカー
絆紡ぐ召喚騎士・
久瀬 悠人(jb0684)

卒業 男 バハムートテイマー
強さを知る者・
天菱 東希(jb0863)

大学部1年55組 男 ナイトウォーカー
アングラ情報ツウ・
鈴屋 灰次(jb1258)

大学部6年13組 男 鬼道忍軍
芽衣のお友達・
礼野 真夢紀(jb1438)

高等部3年1組 女 陰陽師
湯煙の向こうにナニカ見た・
フィン・ファルスト(jb2205)

大学部3年237組 女 阿修羅
正義の忍者・
静馬 源一(jb2368)

高等部2年30組 男 鬼道忍軍
カレーパンマイスター・
ユリア(jb2624)

大学部5年165組 女 ナイトウォーカー
夜明けのその先へ・
七ツ狩 ヨル(jb2630)

大学部1年4組 男 ナイトウォーカー
サバイバル大食い優勝者・
みくず(jb2654)

大学部3年250組 女 陰陽師
伝説のシリアスブレイカー・
マクセル・オールウェル(jb2672)

卒業 男 ディバインナイト
撃退士・
颯(jb2675)

大学部1年96組 男 ルインズブレイド
セーレの友だち・
ウィズレー・ブルー(jb2685)

大学部8年7組 女 アストラルヴァンガード
子鴉の悪魔・
鴉女 絢(jb2708)

大学部2年117組 女 ナイトウォーカー
アド褌ティの勇士@夢・
影山・狐雀(jb2742)

高等部1年7組 男 陰陽師
スペシャリスト()・
ヴェス・ペーラ(jb2743)

卒業 女 インフィルトレイター
仲良し撃退士・
オルタ・サンシトゥ(jb2790)

大学部3年208組 女 バハムートテイマー
天魔アイドル、参上ニャ!・
アヤカ(jb2800)

卒業 女 アーティスト
己の信ずる道貫き通す・
紫 北斗(jb2918)

卒業 男 ナイトウォーカー
誓いを胸に・
ナナシ(jb3008)

卒業 女 鬼道忍軍
闇夜を照らせし清福の黒翼・
レイ・フェリウス(jb3036)

大学部5年206組 男 ナイトウォーカー
セーレの友だち・
カルマ・V・ハインリッヒ(jb3046)

大学部8年5組 男 阿修羅
おまえだけは絶対許さない・
ファラ・エルフィリア(jb3154)

大学部4年284組 女 陰陽師
By Your Side・
蛇蝎神 黒龍(jb3200)

大学部6年4組 男 ナイトウォーカー
ゲームセンターEX!・
ニーナニーノ・オーシャンリーフ(jb3378)

高等部3年7組 女 ディバインナイト
来し方抱き、行く末見つめ・
黄昏ひりょ(jb3452)

卒業 男 陰陽師
闇を解き放つ者・
楊 礼信(jb3855)

中等部3年4組 男 アストラルヴァンガード
氷雪の迷路・
玖珂 円(jb4121)

大学部3年32組 女 インフィルトレイター
災恐パティシエ・
雫石 恭弥(jb4929)

大学部4年129組 男 ディバインナイト
たこ焼き師見習い・
黄 秀永(jb5504)

高等部2年12組 男 バハムートテイマー
撃退士・
リオン・H・エアハルト(jb5611)

大学部3年264組 男 ルインズブレイド
力の在処、心の在処・
稲葉 奈津(jb5860)

卒業 女 ルインズブレイド
非公式A級料理人認定・
相賀翡翠(jb5879)

大学部6年184組 男 ルインズブレイド