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マスター:清水裕
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:42人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2013/01/07


みんなの思い出



オープニング

●今夜はクリスマス
 クリスマスはね、カップルにとって忘れられない日なの。
 高鳴る胸の鼓動を抑えながら、彼の家のチャイムを押す勇気。
 白い息を吐いて待ち合わせ場所で待っていると、息を切らして彼がやって来てくれる。
 手を繋いで街を歩いて、彼と一緒に服を見たり水族館に行ったり、タワーに上って地上を眺めたりするの。
 夜になったら、彼が予約を取ったレストランでディナー。ふふっ、こんな高いお店は彼にはちょっと無理してる。
 嬉しいのと彼の見栄に自然と笑いが零れる私に、どうしたのか聞いてくる。
 私は、なんでもなーい。って笑うと彼は変なやつ。と言いながら微笑む。
 この後は……2人だけの時間。

 プツンッ――と、そんな光景が黒く染まり、部屋は静かになった。
「けっ! 何が2人だけの時間だよ!」
 どうやら今までのはテレビだったようだ。
 それを見ていた男は悪態吐きながらカップラーメンを啜る。
「彼女なんて……彼女なんて……欲しいんだよチクショウ!!」
 どうやらもてない男の魂の叫びのようだ。
 とか思っていると、不意に携帯が鳴った。
 画面を見るとメールだった。しかし……差出人が不明だ。
 だが、タイトル文を見た瞬間。男の胸は燃え上がった。
『しっと祭りのお知らせ』
「遂に来たか……胸が躍るぜ……!」
 瞳に暗い炎を宿しながら、男は立ち上がりクローゼットを開け、奥に手を入れ箱を取り出した。
 引き抜いた箱の中には、カップルどもに天誅を与える正義の使者の装備がしっとりと収まれていた。

●クリスマスはドタキャンとなりました。
 暗い部屋に蝋燭に火が灯り……部屋が少しだけ明るくなった。
 同時にそれを見ていた者達の姿が薄っすらと現れた。だが男か女かは解らない。
 蝋燭ではなく電灯がついていたとしても解らないだろう。
 何故なら此処に居る者達は皆、変なマスクと姿を隠す為の外套を着ているのだから。
「さて、これが普通のクリスマスだ。お前達、何か言う事は?」
「ノット! ノット、クリスマス!!」
「カップルに死を!」
「クリスマスに制裁を!!」
 口々に洩れるくぐもった叫びを音楽のように聴き、司令官的ポジションのマスクが指揮者のように手を振っていく。
 ボルテージが高まり爆発寸前の所で、司令官は指を鳴らした。
「よろしい、ならばカップル達を撲滅だ。クリスマスを中止に……だ」
 それと共に司令官は手を振り翳した。すると同じ様に他の者達も手を振り翳した。
「「我らが、しっとファイアの為に!!」」
 その一言と共にマスク達は外套を外し、彼らは冬の街へと飛び出していった。
 ブーツを鳴らし、蝶マスクや覆面を被り……ピッチリとした海パンやビキニといった水着姿で。

●いっぽーそのころ
 そこは見るからに司令室だった。
 教室の教卓に白い布を被せて段差にかけた感がバリッバリだが司令室だった。
 そんな司令室には……白いサンタたちが椅子に腰掛けていた。
「司令、奴らが動き出す模様です」
 オペレーターらしき少女が一番奥に座る色眼鏡の男に語る。
 どうやら傍受していたのか、しっと団の秘密基地に盗聴器でも仕掛けてたりするのだろう。
「ふっ、馬鹿な奴らだ。毎年メールアドレスは巧妙に変えているくせに決起を行う場所はまったく変わっていないとは」
「まあだからこそ、襲う場所の一般人を隔離して変わりにカップルに扮した撃退士の皆さんに彼らを退治してもらってるんじゃないですか」
 お調子者っぽいちょいロングな髪をした青年が応える。
 隣では眼鏡をかけた青年が電話を行っている。
「はい、はい。それでは必要な衣装はこちらが用意しますのでしっと団の撃退をお願いします」
「手はずは整った。さあ、今年も白き衣装を赤く染めよう」
 色眼鏡を光らせ司令は言う。隣に立つ副指令は十字を切る。
「主よ。クリスマスに聖なる祝福を」


リプレイ本文

●聖夜に燃えるしっとの炎・開幕編
 クリスマスの街並みはイルミネーションが輝き、木々を彩っている。
 時折洋菓子店の前では店員達がケーキを売ろうと頑張っている姿がちらほらと見えた。
 そんな中をカップル達は手を繋ぎ、肩を寄せ合い……愛を語らいながら歩いていく。
 長年連れ添ったであろう夫婦、初めてのクリスマスなのか恥かしそうに手を繋ぐ初々しいカップル、所構わず愛を大声で語り合うバカップル。
 そんなカップル達が溢れている街中へと異様な集団が着実に進行していた。
 ある者はビキニであり、またある者は海パンであり……その殆どが異様なマスクをつけた者達だった。
 クリスマスだからそんな格好をする者達も居るだろう。
 そんな風にしてカップル達はまったく気にした様子は無いようだった。
 しかしそれは着実に増えていく。カップル達を街から逃がさないようにする様に入口を固め、しっとの炎を燃え上がらせ始めていく。
『〜〜〜〜〜〜〜―――ッッ!!』
 人通りの多い広場では外套を羽織った蒼井 御子(jb0655)がトランペットを咥えてポップスと言うかジャズといった感じの曲を演奏している。
 吹き終え、次の演奏を始めようとした時……彼女の前をマスクの集団が通り過ぎて行った。
 それをチラリと見ると御子は小さく笑みを浮かべた。
「さて、次の曲は――ボクらの狂想曲。楽しんでいってね」
 直後、御子は外套を脱いだ。――つるぺたビキニ姿だった。
 まるで小学生くらいの小さい少女が無茶してビキニをつけたようだった。と言うか出るところ出てないとかなり悲しいよねビキニって。でも同時に需要がある人にはあるから大丈夫!
 そんな哀れな視線が突き刺さる中、御子はマスクを着けた。同時に蒼と黒の竜馬であるスレイプニルが召喚された。
 そんな中で誰かが「つるぺたビキニ」と呟いた。瞬間、何名かが吹いた。
 直後、恥かしいからなのか先制攻撃なのかは知らないが……しっとガール御子は超音波を放った。
 演奏を聴いてた者達はその場で怯み動けなくなる。それを見ながらしっとガール御子は満足そうな顔をしながら腕を天に掲げた。
「さて、ケーキやローションをカップルにぶつけにいくよっ!」
 その掛け声と共に街にはしっとの炎が燃え上がった。
 聖夜を燃やすしっと団の活動の始まりである。
 しかし、御子は気づいていなかった。背後に近づく者の影を……。

 御子が行った場所から少し離れた場所をまるで初々しいカップルのように月詠 神削(ja5265)が歩いていた。
 その服装はカップルらしくペアルックだった。ただし白いサンタ衣装。
「……あ、この手袋もセーターも、手編み……なんだ。うん、暖かいよ」
 隣を歩く彼女へと神削は言う。彼女は嬉しそうに頬を染める。
「君の気持ちが、いっぱい詰まってるからかな? ……君は、寒くない?」
 ううん、私は大丈夫。と言う風に彼女は手を振る。
 そんな彼女に神削が肩を寄せる。
「もっと傍においでよ。俺が、暖めてあげるから……」
 そう言いながら、手袋で彼女の肩を――すか。
 肩を――すか。……っていうか、彼女って何処にいるの?
「……や、やってられるかっ!」
 肩を震わせながら神削は吼え、ひとりノリツッコミをする。
 というか、リアル彼女が居るのになんでエア彼女相手にこんな事をしてるんだろうね……彼。
 冷静になってきた結果、物凄く恥かしい気分となってきた神削はその場で転げ回りたくなった。
 そんな時、視線を感じ……神削は振り返った。何だか微妙な顔をして片手にラッパ、もう片手にローションを持ちスレイプニルに跨った御子と目が合った。
「ボ、ボクは何も見ていないよー……」
 どう見ても目撃していた。だけどあまりにも可哀想だったが故に見なかった事にしたのだろう。
「……見たな?」
「ミテナイヨ?」
 超笑顔の神削と目を逸らす御子。そんな彼女に対して神削は煌びやかな装飾がされた大剣を抜くと超笑顔のままそっちを見た。
 ……って、笑ってない、目がまったく笑ってないよ!
「見たからには、生かして帰すわけにはいかない」
「に、逃げろーー!」
 悲鳴を上げながら、御子が一気に逃げ出した。しかし神削の方が一速早かったらしく、御子の前を阻んでいた。
 その笑みはまさに天使のような悪魔の笑顔であった。
「あ、あ、あ〜〜〜〜っ!!」

●聖夜に燃えるしっとの炎・しっと編
 イルミネーションが彩られた大きなツリーへと白いサンタ衣装のカップル達は集まっていく。
 と言うか何で道行くカップルの衣装が全部白いサンタ衣装なんだろう?
 そんな中、ツリーの変化に誰かが気づいた。
「なんだ……あれ」
 鳥か? いや違う。
 猫か? いや違う。
 では犬か? だから違うって!
「くくっくっくっく、ふっふっふっふっふっふ……はーっはっはっはっはっは!! 闇夜を貫く白いしっとの閃光! しっと怪盗ダークフーキーン見参!!」
 しっとのマスクに蝶の仮面。上半身をタキシードに下半身をピチピチの海パン、マントという新時代を貫くファッションのイアン・J・アルビス(ja0084)はポーズを決めてツリーの上に立っていた。
 本人はタキシード+マントを希望だった。しかしそれでは面白くないだろう……というわけで間を取ってこうなった。
 変態だからイヤと叫ぶこと間違い無しだろう。だが何時しか慣れる。慣れとはそういうものなのだから。
「「へ、変態だーーーーっ!!」」
「さあ、しっと怪盗からのクリスマスプレゼントだ。受け取れ! と言うか、イチャつくな!!」
 しっとに燃えながら、イアンことダークフーキーンは隠し持っていた水風船を地上に向けて投げつけた。
 地面に落ちたり、白いサンタに落ちたりと水風船は色々な風になっていった。
「うわっ! み、水っ!?」
「と、とろろーっ!」
「きゃっ!? べとべとするーっ」
「げほげほっ! こっちは小麦粉かよ!」
 地上で起きる惨状にダークフーキーンは高笑いする。そんな中、勇気ある者が「暴力行為は止めろ!」と叫んだ。
「暴力ではない、迷惑行為だ!」
 そう叫びながら、ダークフーキーンが飛び立つと彼の背中に神々しくも禍々しい天使の翼が出現した。
 そのまま彼はツリーの周囲をグルグルと回り、地上に向けて水風船を投下し続けた。
 しかし迷惑行為と言うものは最終的に消されるものである。
 だがまだその時ではないようだ……。
「ふはははははは、はーっはっはっはっはっは!!」
 ダークフーキーンの高笑いがツリー上空に木霊するのだった。

「ふっ、家に帰れば可愛い2匹の猫が私を待っててくれるんだ。帰ったらもふもふを堪能するんですよ。私ってすごいリア獣ですね」
 黒猫の着ぐるみを着たカーディス=キャットフィールド(ja7927)がそう呟きながら財布へと飼い猫2匹の写真を忍ばせる。
 どうやらクリスマスは家で猫達を一緒に過ごす予定だったようだ。
「べ、別に悔しくなんてないのですっ!」
 誰に言ってるのかは解らないが、彼にとっては猫が恋人なのだろう。
 着ぐるみの下で涙を流しながら黒い毛並みが夜の暗闇に同化し、周囲から気づき難くなっている状態の中でカーディスはリア充を待ち構えていた。
 そんな彼の視界に白いサンタ衣装のようなロングコートを羽織った男が映った。
 どうやら恋人を待っているのだろうか。ちょっとカーディスはイラッとした。
「……何故、こんな事に……?」
 ポツリと呟きが聞こえるが、きっと家でパーティーをしたかった派だということにした。
 不意に男、シルヴァ・V・ゼフィーリア(ja7754)が歩き出した。
 きっとやってきた彼女に対して暖かい缶コーヒーとか缶紅茶とかをあげてポイントアップを図るつもりなんだぜ。
 そんなしっとの結論が脳を支配し、カーディスは両手に用意していたケーキを取り出した。
 イカ墨を入れたのか、妙に黒すぎるホイップクリームが塗られたデコレーションケーキ。中心にはでかでかとホワイトチョコレートが乗せられており、どろどろとしたイチゴソースで『滅せよくりすます』と書かれていたのだろうがどろどろと垂れて読みにくくなっている。
 そんなケーキをまず一投目……投げました!
 しかし投げられたケーキはシルヴァに命中せずにその先の壁を彩った。
「おっと……危ない、な」
 嫌な予感がしたからか、運良く彼は天使の翼を生やし空へと飛び上がっていた。
 結果として彼は背後から付けている存在に気づき、逃げるようにして急いで向こうへと逃げ出していった。
 カーディスはそれを追いかけながら残弾補充として何処からか再び黒いケーキを取り出した。
(「私の、私の直感が叫ぶのです。あいつはリア充だと……!」)
「ふしゃーーっ!」
 着ぐるみの機能なのか、口は開き顔が見え……見え、あれ、見えない。と言うかしっとの炎が口から燃え上がってるよねこれ!
 そのオーラに釣られたのか、他のしっと団員もカーディスの後を付いて行く。
 そのままカーディス一群を引き連れながら、シルヴァは道の角を曲がる。
 そこは……行き止まりだった。天使の翼の効力が消え、塀の上に立ちながらシルヴァが彼らを見ながら半ば哀れむように溜息を吐いた。
「実は、騙していたんだ……しかしまさか引っ掛かるとは、な」
「なん……だと」
 驚く声を上げるカーディス達を尻目にシルヴァは再び天使の翼を広げる。
「……それでは、な」
 軽く手を上げると、彼は再び跳び去って行った。
 それを見ながらカーディスは怒りの身を震わせながら……叫ぶ。
「騙したな! 純情な私を騙したな!! 信じてたのにっ!!」

「今年もこの季節か? はあ……やれやれ、始めるか?」
 サングラスをかけ、黒スーツ姿に変装した神楽坂 紫苑(ja0526)が建物の死角から通りの様子を見る。
 一応しっと団として行動を行おうとしていた彼だったが正装ではない為、しっと団にしてしっと団に非ずな状態となっていたりする。
 そんな彼の前をしっと団員が逃げるように走り去っていく。一般人の団員だろう。
「「まてこらぁ!!」」
 ヤクザ染みた叫びと共に数名の白いサンタが団員を追いかけるように飛び出してきた。
 多勢に無勢だったのだろう。そんな事を考えながら、紫苑は片足を彼らの前へと出した。
 すると先頭の1人が転び、釣られるようにして後続のメンバーも転んでいった。
「ふう、いっぱい転んだね」
「な、何するんだてめぇ!!」
「やっちまえ!」
 使命感と怒りに満ちた瞳を一斉に向け、彼らは襲い掛かってきた。しかし、それを軽々と交わしながら紫苑は距離を取る。
「皆さんとやりあうつもりはないので、失礼させてもらうよ」
 そう言い残し、彼は懐からローションを取り出すと地面にぶちまけて逃げていった。
 どうやらしばらくはこうして仲間をかげながら助ける事に専念しようとしているようだ。

「悪戯をすればケーキ食べ放題と聞いたのでしっと団に参加するで御座る!」
 胸に『しっとだん』とアップリケが付けられ、フードがしっとマスクになっているパーカーを着た静馬 源一(jb2368)がクリスマスの街中を駆け回る。
 その手にはケーキとフォークが持たれており、自由気ままにケーキを食べていた。
 一つ目のケーキを食べ終えると腰に隠していたローションを取り出し、地面に撒き散らした。
「うわっ!? な、何だこれヌルヌルして……って、ローションーっ!?」
「ぷくく、悪戯成功で御座るー」
 自分が仕掛けた罠に引っ掛かって転ぶ男を見ながら源一は面白そうに笑う。
 そのままもう一つ新しいケーキを取り出すとフォークを突き刺し、新たな悪戯目標を探す。
「ケーキ食べ放題だなんて幸せで御座る〜♪ お?」
「いくよー、はいチーズ! よし、撮れた♪ もう一枚行くよー」
 所謂女子会なのだろうか、そんな一団の姿を見つけ源一は新たな悪戯を思いつく。
「はい、チー」
「ズで御座る〜」
 片手でケーキを胸に、もう片手を空に向けながら源一はカメラ目線で自分的にカッコイイポーズを取る。
 いい感じに取れたかなと思いながら女性達がデジカメの画面を見始める。
「な、なにこれーっ!」
 自分達の写真が撮られずに少年がケーキを胸にポーズを取っている写真が撮れているのだから当たり前だろう。
 ちなみにショタ専な女性が見たらご馳走かも知れないが、この中には居ないようだ。
「さーて、次の悪戯は何をしようで御座る〜――うっ!」
 不意に腹を押さえながら源一は膝をつく。
「き、気持ち悪いで御座る〜……はっ! ま、まさか毒が仕込まれていたので御座るか?!」
 どう見ても食べすぎです。そんなツッコミをかける者はこの辺りには居ない。
 よろけながら、源一は壁に体をぶつける……直後、持っていたケーキは地面へと落ちた。
「あ、あああ〜〜〜っ!! け、ケーキがぁ……」
 この世の終わりのような表情をしながら、源一は燃え尽きた。

「うふふふー、きゃはははー! 私は彼女とイチャイチャですよー」
 冬の街中を白いサンタの一員となっている七瀬 桜子(ja0400)が楽しそうに歩く。
 隣にはまるで彼女が居るように楽しそうに――。
「って女子でエア彼女ってただの百合やん! なんか違うやん!!」
 最初から敗北宣言やん! 私はノンケやっちゅうの! 冬の夜空に桜子の嘆きが木霊した。
 そう思っていると、動かなくなり……不意に笑い始めた。
「ムギャオー! 私はしっと団! しっとに狂う普通の女の子! ヒャッハーー!!」
 壊れてしまったのか叫びだし、着ていたサンタ衣装を脱ぐとその下からは炎の様に真っ赤な赤ビキニが姿を現した。
 そして何処からか取り出した仮面を付けると一人前のしっと戦士となった。
「しっとの心はー里親心ー、一丁目! 一丁目! わーおー!」
 壊れたように叫びながら桜子は近くを歩くカップルを襲い始める為、行動を開始しようと……。
 した所で、喫茶店から手招きする女性の姿が目に入った。
「何ですかあなた様は、わたくしは今からしっとの限りを尽くすのですよ」
「いや、なに……今恋人に振られてな、少し話に付き合ってくれると嬉しいんだが」
 そう言いながら水鏡(jb2485)は笑みを向ける。しかしこれは彼女の作戦だった!
 いきなり出鼻を挫かれた桜子はどう言えば良いのか判らないまま、言われるがままに座った。……なんだろうこの構図。
「さっきから見ていたよ。いきなり脱いで寒かっただろう……」
 紙袋からセーターを手渡し、微笑む。
 どうやらあわよくばそのまま彼女をお持ち帰りして別のせいやを展開させようと思っているようだ。
 だがその計算付くの優しさは別の結果をもたらした。
「ボッチだって寂しくないもん……本当だもん……悲しくなんて無いもん! ただ夜風が目に染みるだけ! び、びえぇーん!!」
 泣き出しながら桜子は逃げるようにして冬の寒空へと駆け出して行った。
 優しさは時として武器となる。そういう事だろう。
「おや、残念だな。仕方ない別の子を引っ掛けてみるか」
 呟きながら水鏡はテーブルに置かれた温かい飲み物に口を付けた。

「何度か敵対していたのですから少し位は怪しんで下さい……」
 開始当初はしっと団に溶け込むべく仕方なく正装を着用し雫(ja1894)は溶け込んでいた。
 しかしある程度団員が分散されて行き、少なくなった頃を見計らうと……物陰に隠れ、事前に用意していた服を着た。
 これらの行動を見る限り……どうやら裏切る気満々だったようだ。
「ある意味では純粋なのでしょうけど、方向が間違い過ぎです……んしょ」
 頭を通し終えると雫は携帯電話を取り出すと何処かに向かって連絡を開始した。
「はい、はい……こちらの方は――名で、場所は――と、――に集中しています」
 通話口の相手と話をし、ある程度話し終えると……通話を切った。
 そのまま振り返ると、雫は改めて少しだけ顔を出した。視線の先にはしっと団の占拠した聖夜限定の音楽を流す施設があった。
 だから今はクラシックな音楽ではなく、和太鼓がドンコドンコと流れてたりしているのだ。
 そこに向けて、雫は息を吸い込むと……いつもの彼女には見れないような大声で叫んだ。
「――さんと――さん、――さんや――も彼氏彼女が居ますーーっ!!」
 その声は彼らの元へと届き、通信係のしっと団員が音楽を止め、マイクを入れた。
「裏切り者が数名、直ちに粛清を――」
 直後、各所から悲鳴が木霊した。

(「うーん、ケーキ欲しさで参戦したものの……これは酷いな」)
 裸エプロンならぬ裸割烹着姿の矢野 古代(jb1679)がしっと団が猛威を振るうエリアを見ながら少しながらドン引きしていた。
 しかしそれと共にカップルが悲鳴を上げて逃げ惑っているのは少なからずスカッとする。
 そんな古代の視線には隅に逃げる事に成功した男性が映った。
「彼女さんとの待ち合わせの間にどうだ?」
「はぁ、はぁっ! す、すみま――ごふっ!?」
 息絶え絶えに受け取ったクッキーを食べると、咽るように男性が倒れた。
「ははは、ハバネロ入りクッキーは早かったみたいだね」
 倒れた男性を見ながら古代は笑う。そんな時、猛威を振るっていたしっと団の呻きが聞こえた。
 何事かと見ると、しっと団員が道の先から次々と吹き飛ばされているのが見えた。
「恋人達の秩序を乱す者……見逃せんな?」
 そんな声と共にピコピコとした音が聞こえる……吹き飛ばされていくしっと団達の中心にはピコピコハンマーを持った綾瀬 レン(ja0243)が立っていた。
 ハンマーの側面には制裁と書かれ、攻撃用という事だろう。
「くっ、に……逃げろー!」
「あいつ、撃退士か……!」
 一般しっと団員達は散り散りとなりながらレンから逃げる為に走り出していく。
 それを追いかける為に移動しようとした……が、彼の前へと水風船が投げられてきた。
「む……っく!?」
 弾き、進もうとしたが水風船は割れ、中の水がレンの顔に命中した。
 咄嗟に目を閉じたが、少し入ってしまったのか強烈な痛みが襲い掛かり、目を閉じる。
「どうだい、タバスコ水の威力は」
「お、おじさん……こんなので俺の動きを封じたと思ってるんですか?」
「いや、思っていないね。でも……時間稼ぎにはなる。さあ、団員の皆さん。今のうちに逃げよう!」
「くっ、ま……待て!」
 逃げる足音を聞きながら、レンは動けずに居るのだった。

●聖夜に燃えるしっとの炎・粛清編
「うぃーうぃっしゅあめりくりすまーす!!」
 冬の夜空にしっとビキニ姿のエルレーン・バルハザード(ja0889)が金切り声のような悲鳴と共に大量に買った夏の残りの花火を白いサンタ達に向け発射した。
「あんだはっぴーにゅーぃやーッ!」
 グラマラスな女性にはロケット&ヘビ花火、カップルには指の隙間に挟んだ計8本の花火をシャワーのように浴びせ、男には尻に向けて打ち上げ花火を打ち込んだ。
「エルレーンさん、そんな事しちゃいけないッ!」
「ふふん! 今回ばかりは、レグルス君のゆうことは聞いてあげないッ!」
 逃げ惑う白きサンタの波を抜け、レグルス・グラウシード(ja8064)が姿を現し、エルレーンに向け叫ぶ。
 しかししっとの炎に取り憑かれたエルレーンはレグルスのいう事を聞かずに両手に花火を握り締める。
 だが人としての優しさが少しだけ残っているのか、クルリと方向転換して一目散に逃げ出した。
「私にはやらなくちゃいけない使命があるの! だから、捕まってあげなーいッ!」
「あ、待て! 逃がさないよ!」
 声を荒げるレグルスを無視し、エルレーンは叫びながら逃げ出した。
 追いかける間も無く逃げ出したエルレーンに対し、彼は持っていた杖を握り締める。
「判る、僕には判る筈だ……たとえ人が多くても、兄の大切な人くらい判る筈だ!」
 そう叫びながら、彼は生命探知を行う。
 しばらく目を閉じ立っていたが、何かに導かれるように走り出した。
「よし、こっちだ!」
 ちなみに特定の人物を探すというものは無いが、へんな何かが働いたのだろう。
 その結果、レグルスが向かった先には……エルレーンが居た。
「レ、レグルス君っ!? 何故ここが!」
「もう逃げられないよ、エルレーンさん!」
「くそー、こうなったら実力行使!」
 叫びながらエルレーンは残った花火を立て続けに彼に向けて打ち放った。所謂フルバーストだ。
 突然の攻撃ながらもレグルスは持っていた盾を構え、花火を受けきっていく。しかし、巨大な閃光に彼は吹き飛んだ。
 くらくらする頭を抑えながらエルレーンを見ると……その手には巨大な打ち上げ花火が握られていた。
「ふふふっ、私のしっと力の方が強かったみたいですね。それでは、さらば!」
「ぐあっ!?」
 そう言ってエルレーンは止めと言わんばかりにレグルスの顔を踏むと何処かへと逃げていった。
 顔が痛いからか、それとも敵わなかったからか……彼は涙を零す。
「ごめん、兄さん……僕はなんて無力なんだろう……」
 冬の寒さが目に染みるのだった……。

「いいですか、恋人達にとってこの日は一年間待ってた特別な日なんです!」
 捕まえたしっと団を前に鈴代 征治(ja1305)は周囲を回りながら、説教をする。
 その声に反応し1人増えた。
「去年までの僕は君達でした。でも今年はこんな僕にも彼女が出来たんです、こんな僕にも!」
 大事なので二度言いました。しかし説教と言うか変な洗脳はまだ続く。
 2人だったのが4人になった。
「こんな事しててもモテるわけじゃないんです。むしろなにやっちゃってんのですよ。諦めずに今、胸に手を当てて考えて下さい。いいな、と思う人は居るでしょう? その気持ちは何より大切で育てていかなきゃいけないんです」
 4人が8人となり、それに気づかずに征治は喋る。きっと振り返った時、涙を流して自分の罪を認めている事を信じて。
 そう、信じて征治は手を広げて振り返った。
「だから皆さん、こんな事もう止めましょう!」
「「あ、ごめん。途中から聞いてなかったわ」」
 視界一面にケーキを構えるしっと団達が居た。気づいた瞬間、8個のケーキは彼目掛けて投げられた。
 そして一旦、此処から少し時間と場所が移動する。
 白いサンタ衣装の赤坂白秋(ja7030)が彼女と手を繋ぎながら、街中を歩いていた。
「星が綺麗だなんて言っちゃいけない。彼女らは今、きみに嫉妬してるんだ……その美貌に、な」
 キリッとした表情をした瞬間、\イッケメーン!/と白秋の頭の上に擬音が浮かび、声が聞こえた。
 ああ、なんて素敵なんだ。なんてびゅーりーほーなクリスマスなんだ!
 そんな素敵過ぎるクリスマスは――すぐに終了した。
 (エア)彼女にケーキが当たったのだ。ケーキが当たった瞬間、エア彼女はきゃっ!と驚きながら、存在は消えたのだ。
「あ、あ……お、おむぁえるぁぁぁぁ!!」
 血の涙を流しながら、白秋はケーキを投げた男達を見た。
 何かその足元にケーキ塗れとなった友達の征治が居たが……視界から除外。だって彼女と二人きりの世界だったんだもん!
 その溢れんばかりのしっと力にしっと戦士達は怯む。
「その服装、見た所しっと戦士の様だな……だが、まったくダメだ」
「くっ、何だとぉ!」
「本物のしっと戦士ならば――こんな芸当もしてみせろ!!」
 こちらへと逃げていく女性サンタ達が通り過ぎる中、\イッケメーン!/と擬音と文字が見えた。
 通り過ぎた白秋の手には、逃げて行った女性と同じ数のブラジャーが握られていた。
「「お、おぉっ!!」」
「白サンタだからって、リア充だと思ったか?」
 不適に白秋は微笑むが、\イッケメーン!/の擬音と手にブラを持ってると……変質者オーラ丸出しだった。
 直後、ブラを抜き取られた事に気づいた女性サンタ達は悲鳴を上げ、盗んだ白秋を睨み付けた。
 袋叩きの開始であった。同時にこの光景を見た一般しっと戦士達は白秋を師匠と呼ぶのであった。
 きっと本物のサンタの様に真っ赤になるだろう。

「サンタ狩りの時間よォ……真っ赤に染めてあげるわァ♪」
 黒いサンタ帽、黒ビキニトップ、黒スカートと言った自称黒サンタな服装をした黒百合(ja0422)が自分を追い詰めた白サンタ達を見ながら歪んだ様に笑う。
 そして次の瞬間、素早くケーキを投げつけた! しかも投げつけたケーキは百発百中、白サンタ達の顔に命中していった。
「ぐあ!? 生クリームなのに辛いっ!?」
「げほっ! げほっ!!」
「く、臭ぇーーーー!!」
「うふふゥ、7号ケーキ・改よォ……まだまだあるわよォ♪」
 笑いながら黒百合はその場から逃げ出し、姿を消す。
 素早いスピードで黒百合は駆けて行き、その際スカートが翻り中が見えたがお尻にバックプリントで『しっと上等!』と書かれた文字が見えた。
 しばらく走ると黒百合は壁走りでビルの壁へと張り付く。
(「さァて、次は誰を相手にしようかしらァ」)
 呟きながら地上を見ると丁度真下を手を繋ぎ歩くカップルを見つけた。
 黒百合はそれを次の目標として静かにビルから地上へと降り、そのまま静かに歩きカップルの直線位置へと立つ。
 そこをスタートとし、少女は一気に飛び出した。
「その口に抉り込む様にィ、叩き付けるゥゥゥ!」
「メリークリスマス……早速で悪いけど、終わりの時間である――ぶっ!?」
 これを見る限り、麻生 遊夜(ja1838)は黒百合の存在には気づいていたのかも知れない。
 だがしかし、詰めが甘かった。カウンターとしてゴム弾を叩き込む為……振り返った瞬間、彼の顔へとケーキは打ち込まれた。
 けれど、打ち込まれたと同時にゴム弾は放たれ……黒百合はバランスを崩し突撃したまま、先の地面へと倒れこんだ。
 そのまま倒れこんだ遊夜へと来崎 麻夜(jb0905)が近づく。
「遊夜先輩、大丈夫だよ。傷は深いよ」
「いや、それは何だか違う。けど、麻夜に何もなくて良かった。フリとは言え今は彼氏なんだ。手ぇ出させる訳にゃいかんだろ――ごはっ!」
「遊夜先輩……後はボクに任せてね」
 ケーキの辛さと不味さが口の中を浸透し、遊夜は燃え尽き気絶した。生クリームが顔を覆っているが、きっと拭われたら悶絶顔が現れるだろう。
 そんな彼を道の片隅に寝かし付けると、麻夜は倒れた黒百合に視線を移し自分の元へと引き摺って来る。
「そんな寒い格好じゃ風邪引くよね。手編みだよー?」
「う……」
 誰が編んだか判らない手編みのセーターと手袋を装備させ、見た目が暖かくなったのを見ながら麻夜は解いた毛糸を使い黒百合を拘束し始めるのだった。
「座禅縛り……あ、上手くできたー。菱縄縛りに亀甲縛りをしていこう」
 気絶した遊夜を膝に乗せて、微笑みながら麻夜は黒百合に色んな縛りを試す。
 何というか、本人は嬉しそうだからそれで良いだろう。

「敵の血糊で濡れた服。地獄のサンタと人は言う。久遠の街に、しっと戦争の亡霊が蘇る。ヘンタイとうたわれた久遠ヶ原特殊人間。情け無用、命無用の撃退士。この命、30久遠也。最も安価なインフィルトレイター。ツキコ、危険に向かうが本能か」
 等と何かを捩ったナレーションを言いながら月子(ja2648)は、カップル役のサンタ達を追い詰めたしっと団達へと突撃した。
 それまで共に行動した仲間達は一斉に止める。しかし、月子は笑顔で突貫する。
「冗談だけにしてくれ! 私はクソ不真面目な女さ!」
 いや訳が解らないよ。それにその前は、イチャツクカップル見て壁殴りつけてたよね。
 イチャイチャみると 嫉妬しちゃう 人間だもの バイつきこ。そんな自称俳句も創ってたよね!
 とか思っていると、案の定やらかしてくれましたよこの子。
「はうわ!?」
 自分の足を引っ掛け、グルグル転がりながらしっと団のど真ん中で彼女は止まった。
 転がるのを失敗した体勢で大股を広げ、周囲にスカートの中が曝け出される形で……。
 当然ながら彼女の悲鳴が上がったのは言うまでも無かった。
 悲鳴が遠くから聞こえる中、商店街ではテト・シュタイナー(ja9202)はルィスレア(jb2510)の手を繋ぎ歩いていた。
 俗に言うカップル繋ぎと呼べるタイプの繋ぎ方だ。
 そんな2人は絶賛ウィンドウショッピング中。
「テトちー、この服とか如何かなっ!」
「うんうん、いい感じだねルィス。そんな服を着たらもう激しく抱きしめたくなるぜ!」
 そう言いながらテトはルィスレアを猛烈なハグをして、頬にチュッチュとキスをする。
 何処からどう見ても百合バカップルだ。
 そんな光景をしっと団が黙って見ている筈も無い。
「百合だからって、イチャつくバカップルには変わりはねぇんだよ! 死ねやゴルァ!」
「おい馬鹿、隠れてやり過ごすんじゃなかったのかよ!」
「危ないテトちー!」
 怒りに満ちた瞳と共にケーキを構えたしっと戦士が2人の前へと立ちはだかり、叫びながらケーキを投げつけた!
 しかしそれをルィスレアが身を挺してテトを庇い、胸で受け止めた。
「……あぅ、気持ち悪いよ〜」
「行くぜ、ルィス。反撃の時は今! 後、その胸に付いたケーキは後でペロペロさせろ!」
 彼女の防御を見てテンションMAXとなったテトは張り切りながら霧吹きを両手に構える。
 そのまま、ルィスレアがテトを抱き抱えると悪魔の翼を広げ、宙に浮いた。
「「人魔合体、サンタ・クロス!」」
 まあ、抱えられただけである。
 けれど移動は素早くなり、襲い掛かってきたしっと団達の周囲でテトは振り回して貰いながら、霧吹きで激辛水を散布していく。
「カプサイ神の名に於いて、目覚めよ。激辛の嵐ッ!」
 霧状の激辛水はしっと団達の目を痛め、咽させる。
 それを見ながら2人は地上に降り立つと決め★ポーズを取る。
「目・鼻・口に☆」
「激辛お届け☆」
 しかし2人は最後の最後でミスをしているのに気づいていなかった。
 霧状となった激辛水はまだ周囲に残っている事に……結果はいうまでもないだろう。

(一応恋人と目されている相手いるのにこれに参加ってどうなんだろう俺)
 軽く溜息を吐きながら礼野 智美(ja3600)はウォーミングアップを終え、息を切らした状態で曲がり角から飛び出した。
 手に持った紙袋を強く抱き、速足で歩く。それはまるで恋人の家に急ぐ彼氏といった風である。
 そんな智美の前に一般しっとガール達が道を塞いだ。
「此処から先へは行かせな――」
「女の子は体を冷やしちゃいけないよ」
 言い終わる前に智美は紙袋からワンピースを取り出し近くに居たしっとガールへと被せるように着せ、更にセーターを着せ、最後に手袋を嵌めさせる。
 しっとガールAが普通になった。呆気に取られていた周囲は冷静になると、倒す為に狙いを定めた。
「此処は危険だね、じゃあ一緒に逃げようか」
「え? え?」
 理解し切っていないしっとガールを抱えると、智美は素早くこの場から撤退を開始した。
 向かう先はしっとガール捕縛の為。
 それを塀の上から眺める者が居た……白蛇(jb0889)だ。
「ふむ、黒百合は捕まったみたいじゃな。余興が一つ減ったのう……じゃが、嫉妬しか出来ぬ者達に鉄槌を」
 呟きながら塀から降りると智美を追いかけていたしっとガール達の視界を白蛇はわざと通り過ぎる。
 嬉しそうに頬を染め鼻歌を歌い、手には菓子屋の袋を持っている状態で。
 案の定、彼女らは標的を白蛇に移し路地裏を曲がった所で襲撃をした。
「ダメ! それはあの人と一緒に……!」
 今にも泣きそうな表情で袋を返して貰うよう懇願するがしっとガール達は無視して、袋を開いた。
 瞬間、袋の中に入っていたトリモチが爆発し周囲のしっとガールを拘束する。
「じゃから言ったじゃろう。わしは触るなと」
 邪悪に笑いながら、白蛇は暴れるしっとガール達の口に猿轡を嵌めると歩き出した。
「ああ、寒い。本部に戻り温かい食事がしたいのものじゃ」

 春には桜並木となり花見客で賑わう通りも、イルミネーションの花が咲きカップル達が愛を語り合っていた。
「嫉妬する前に……やるべき事が、有ると思うの、だが」
 既婚者の余裕を見せながら、アスハ・ロットハール(ja8432)は隣を歩く妻を見る。
 黒髪ロングのウィッグを被り、サンタ服の上から白いコートを着たメフィス・ロットハール(ja7041)は愛しそうにアスハの腕にしがみ付いている。
 ちなみにアスハの方はサンタ服の上には蒼色のコートを重ね着し、白髪ロングのウィッグを付けて変装している。
 だが判る者には滲み出る空気で誰なのか判ってしまうだろう。
 しかし、その場に居るカップルや夫婦が彼らだけの場合ならの話だ。
「街のイルミネーションがとっても綺麗ですね樹様」
「ええ、煌びやかで綺麗ですね……でも比較にならないくらい静さんの方が綺麗ですが」
 肩を寄せる氷雨 静(ja4221)の言葉に龍仙 樹(jb0212)の甘い言葉を返すと頬を染めて静は俯く
 そんな彼女の態度に自分が言った甘過ぎる言葉を理解し、樹も恥かしそうにする。
 あまりの初々しさに2人を知っている者達が見たらきっとじれったい事だろう。
「……なんでこうなったんだろうねぇ。っとじゃなくて、遅い、ですね……まだかしら」
 長髪に四角い銀縁眼鏡、その下の顔には薄化粧が施され……上がサンタの下がグレーのパンツスーツという服装をした雨宮 歩(ja3810)はうんざり溜息を吐く、しかしすぐに言葉遣いに気づき女の子っぽく呟く。
 そう、彼の格好は所謂女装である。そんな歩の背後にある人物が近づくと、目を隠した。
「歩ちゃん、だーれだ?」
「誰って、祈羅だろ。普通に待ち合わせしたらどうだい? と言うか祈羅も口調に気をつけなよ」
 雨宮 祈羅(ja7600)は手を離すと悪戯っぽく笑う。
 そんな彼女は男装として髪を束ね、男性用サンタ服を着込んでいた。
「まぁ、やる以上はしょうがない。元演劇部としても探偵としても技術向上の為と思えば、ねぇ」
「その意気だよ歩ちゃん。それじゃあ行こっ」
 諦めながらもやるからには中途半端はいけないと言う事で歩は祈羅にエスコートされながら、女らしく歩き始めた。
 そんな2人を遠目から見ながら木ノ宮 幸穂(ja4004)はデジカメで撮影を行う。
「あー兄とキラ姉のメモリーにまた1ページ♪」
 楽しそうに呟きながら幸穂は2人をつける。と、そんな時並木道に怒声が響き渡った。
 声がした方向を見ると見た目は子供、中身はオッサンな天道 白虎(jb3441)が和泉 恭也(jb2581)を付き従わせ、数名の間者を引き連れていた。
「我々こそ真のしっと団! 今こそ見せてあげよう、しっ闘士のしっと団の真なる闘争というものをッ!」
「いやはやこの雰囲気も懐かしいものですね」
 何時の事を言ってるのかは解らないが、恭也はそういいながら微笑む。
 どうやら今暴れているしっと団とは違う派閥と言うものらしい。自称先代総帥と名乗った白虎はそう言って、手を振り翳し下ろした。
 直後、付き従った洗脳しっと戦士達はその場に居るカップル達へと襲い掛かってきた。
 そう……彼らは甘く見過ぎていた。ここにいるカップル達を。
「妬む前に自分を磨くべきです……これで目を覚ましてください!」
「天誅でございます」
 樹と静がアウルの翼を広げ地面を駆ける。同時に2人は水鉄砲へと水を装填する。
 樹は粉末唐辛子を混ぜた唐辛子水を、静はデスソースを入れ、撃ち出した。
 水弾はしっと団員の顔に命中し、あまりの辛さに転げ回る。
「つい最近まで私もそちら側でした……。でも少しの事で変わるのですよ、こんなことにかまけていないで自分を磨くなり何なりして相手を見つける努力をなさったら如何ですか?」
 転げ回る彼らを見ながら静は哀れむ様に呟く。
 しかしそれは逆撫ででしかない。血走った目を赤く染め彼らは香水を構える。
 左から汗の香り、牛乳を拭いたまま放置した雑巾の香り、ドリアンの香りだ。
 こんな物を振りかけられたら女性としては終わりだろう。
「静さんは絶対守ります!」
 だが、静を庇う様に樹が間に立つ。結果、香水は彼が一点に引き受ける形となった。
 あまりの臭さに樹は膝を付く。しかし、此処に居たら静にこの臭いが振り掛けられる。
 最後の力を振り絞り、彼は立ち上がると静をお姫様抱っこし一目散で逃げ出した。
「ごめん、静さん。少しの間我慢してて……」
「大丈夫です。香水は表面上の物、樹様の優しい匂いは隠す事は出来ません」
 そう言って、静は抱き抱えられた体をより近づけるのだった。
 ちなみに風の障壁が臭いを掻き消していたのは言うまでも無いが……今は無粋だろう。
「くそっ! 臭え、臭いにおいを放って嫁さんに嫌がられろよぉ!!」
「ふう、折角のコーヒーが冷めてしまう、な」
「後でお店に行って温かい食事と一緒に淹れ立てを楽しみましょう」
 壁に背を預けながらアスハとメフィスは珈琲を飲む。
 その周囲では手を出さずに嫌味としてか、ペペロンチーノ臭の香水をしっと戦士達が振り掛けていくが風の障壁が臭いを阻んでいた。
 しかしやはり視界にマスクと海パンのみの男が囲んでいるのは良い物ではない。
 メフィスが札を取り出すと目の前で火の玉の様な物を燃やした。
「ふっふっふ♪ 襲うカップル間違えたわね♪」
 驚くしっと戦士達を見ながら隠し持っていたロープや手錠を取り出す。
 怯む彼らに対し、2人は道端の雑草程度のレベルでロープや手錠で拘束していく。
 そんな作業を行っていると、壁走りで歩が祈羅と幸穂を抱え自分達の上を駆けていくのに気づいた。
「祈羅、どうした? そっちは……歩、か?」
「あ、アスハちゃん。メリクリー、ちょっと危なくなってきたから逃げて来たんだよね。えーいっ♪」
「私も混ざるべきですよね。トマホークブーメラン♪」
 降りながら祈羅が拘束されていないしっと戦士へと青汁クリームのパイを投げつける。
 隣の幸穂も咽てしまうほどのレベルの激辛パイを全力で投げる。
 2人とも超いい笑顔★ そしてパイが命中したしっと戦士は超悶絶顔。
「餌に掛かった事を喜ぶべきか、悩むところだけどねぇ」
 そう言いながら、自分達が逃げてきた方向を歩が指差す。
 なにやら数名ほどしっと戦士が近づいてくるのが見えた。
 どうやら3人は彼らから逃げてきたのだろう。
「あなたは彼女が居る。恋人が居るー。ほら、隣で素敵な笑顔で微笑んでいるよー」
 メフィスによって拘束されたしっと戦士に幸穂が紐で吊るした5円玉を振り子のように回しながら言う。
 しばらくすると周りの仲間達が心配する中、催眠をかけられたしっと戦士はフラフラと立ち上がり、何処かへと歩み去って行った。
「メリークリスマス♪ 良い一日を♪」
 満面な笑みで幸穂はそれを見送った。それを見ながら、4名はしっと戦士を片付ける為に行動を開始するのだった。

「くっくっく、倒したと思って居るだろうけど……僕にはまだしっ闘士がたっぷり残っている!」
「やり過ぎないように注意してくださいね」
 後方に陣取る白虎と恭也は残りの闘士を動かす為の準備を行う。
 そんな時、シャンシャンと鈴の音を鳴らしながら一台のそりがやって来た。
「へいへーい☆」
「……待たせたな」
 白いサンタ姿の鳳 優希(ja3762)と、赤鼻のトナカイのように鼻を赤く塗りトナカイの角をはめた鳳 静矢(ja3856)が姿を現した。
 トナカイの胴体部分はピチピチのボディスーツなのかペイントなのかはよく分からない。
 そしてソリの上には大きめの厚底鍋が置かれていた。
 いきなり現れた敵に敵意満々にしっと戦士は近づく。
「ぁあ? んだてめぇ!!」
「……彼氏彼女が居ない心の寒さをこれで温めると良いのですよ」
 器に鍋に入ったビーフシチューを優希が差し出す。
 見た目は普通にビーフシチューであった。しかし、匂いはツンとしており……辛子の匂いしかしなかった。
「誰がこんな物を食べるかよ!」
「優希のシチューは美味いぞ? 天にも昇る美味さだ」
 言いながら静矢は食べるのを拒否したしっと戦士の肩を掴むと流し込むようにしてそれを飲ませた。
 すると、ビクビクンと震え……彼は倒れた。まさに天に昇ったのだ。
 結果、悲鳴を上げながら周りのしっと戦士達は逃げ出した。
「貴様らは優希の料理が食えないと言うかぁぁ!」
 鳳夫妻によるビーフシチュー地獄の開幕だった。
 そんな中、ある意味幸せだったのは路地裏辺りに居た者達だろう。
「……自分はどうしてこの任務を受けてしまったのでしょう……? まぁ、いいでしょう。仕事は、仕事です」
 自問自答しながらレイヴン・ゴースト(ja6986)はしっと戦士の首を絞め、落とす。
 そんな彼の服装は白サンタではなく、黒サンタだった。黒い活動をするからこうしたのかも知れない。
「っと、捕まえました。しばらく寝ていてください」
 またすぐに近くに居たしっと戦士の首に腕を絡めると力を込めて落とした。
 そうして出来た戦績は彼の背後に証拠として残った。
 結果、辛子の辛さに倒れるしっと戦士の山と行方不明となった者達で埋め尽くされた。
「くっ! こ……此処は一時撤退! 撤退!!」
「はい、皆さん撤収です。撤収」
 ピンチと知ると白虎は叫び、恭也と共に逃げ出そうとする。
 しかしそんな彼へと背後に迫ったレンのピコピコハンマーが襲い掛かった。
「白虎ッ……総帥は倒れました。総員直ちに撤収です!」
 倒れた白虎の脚を掴み、引き摺りながら恭也はこの場から逃げ出した。
 それを見ながら、レンは頭の片隅に何かを感じた。
「白虎……はて、何処か懐かしい響きを感じるのは何故だろうか? 初対面の筈なのに、懐かしい」
 きっと前世とか何かで出会ったのだろう。

●聖夜に燃えるしっとの炎・最終章
「あー、これはもうしっと団は負けましたね」
 建物の中に透過して身を潜めていたヴェス・ペーラ(jb2743)は溜息を吐く。
 どうやら彼女は偵察を主に行っていたようだ。
 そして彼女が齎した情報は幾つものしっと戦士の役に立ち、奇襲を行う事が出来た。
 しかし如何せん、勝負は時の運だろうか……はたまたしっと団の方の戦士が少なかったからだろうか。
 それは解らない。
「まあ、元々しっと団の主張と私の思考は違っていましたからね。面白かったですが」
 そう言ってヴェスは透過を止め現れ、ローションを構える。
 騒動をお祭りとして楽しんでいたのだから、最後は花火の様に散るつもりなのだろう。
 死屍累々の戦場へと彼女は突入するのだった。そんな死屍累々の中では助けを求める声が度々聞こえる。
「め、めでぃ〜〜っく」
「はいはい、大丈夫ですか?」
 鴉乃宮 歌音(ja0427)は路地裏に傷ついたしっと戦士や白きサンタを引き摺ると前に立つ。
 その服装は白衣と看護帽なコスプレだった。一応しっと団に所属しているがあの服装は嫌だったのだろうか。
 はたまた敗戦になった途端あの服装を喜々としてやめたのだろうか。
(恋愛に興味は無いけど、他人の恋路は邪魔したく無かったからせめてこれくらいはしないと)
 どうやら名目上はしっと団所属だったが、どちらにも所属しない中立だったらしい。
 そのまま負傷者の様子を見ていくと、酷過ぎる怪我は無いらしく歌音は張り切って治療を開始する。
 乳白色のアウルがけが人の傷を被い、傷を治癒していく。
「過剰な暴力行為が無くて良かったですね。私も科学者を使う所でしたよ」
 治療しながら、歌音はそう言って微笑むのだった。

 無表情をしながら、平野 渚(jb1264)は2つの看板を持って交差点に立つ。
「こちらしっと団。あちら恋人もどき」
 看板に書かれた言葉を言って、しっと団、白きサンタと整理を行う。
 やはり渚もどちらにも所属していないようだが、この場に居るのだからどちらかに分類される。結果、しっと団所属と公式上ではなっているらしい。
 通り過ぎようとして行く彼らへと、渚は乳酸菌飲料を差し出す。
「お疲れ様、の意味を込めて」
 何の意味も無くいきなり渡された乳酸菌飲料を受け取りながら、彼らは微妙な表情をする。
 きっと何を考えているのかが解らないからだろう。
 そう思っていると、独り身の寒さに疲れたしっと戦士に気づいた渚が恋人風を装う様に抱き付き、無表情で上目遣いをした。
 すると物凄く嬉しそうにしっと戦士は駆け出して行った。
 無表情だが何処か渚は満足そうだった。

 しっと団と白きサンタ、彼らが行き着いた先は結局は繋がっており、先程分かれて行った彼らは再び巡り会った。
 しかし挑発的な行動を取る事は無かった。戦いは終わったのだから……。
「さあ皆さん、お疲れ様です。温かいケーキと紅茶がありますから飲んでください」
「しっと団は間違ってはいない。ただ、時代が寂しい世の中を作っただけでござる。だから温かい料理で心を癒すでござる」
 その場で今まで料理をしていたのか、水無月沙羅(ja0670)と草薙 雅(jb1080)が待っていた。
 2人の格好は白いサンタ衣装であったが、帽子はコック帽となっていた。
「サンタさんには甘くて熱々のフォンダン・ショコラと、シナモンにブランデーを入れた紅茶のクリスマスティーです」
「しっと団には元気が出る特製デコレーションケーキとお腹を膨らませる焼肉弁当でござるよ」
 温かい者が食べたいしっと団達は迷わずそれらを手に取った。だって、心も身体も寒いんだもん……!
「ふぉおおおお! 滾る、滾るぞこの身体ぁぁぁぁ!!」
 何やらボロボロのダークフーキーンことイアンはマカビンビンに叫ぶ。
 ボロボロなのは、時間制限を忘れ飛び続けた結果……落下したからだったりする。
「何だか気が付いたら、イヤらしい感じに縛られてたわァ。いったい誰が犯人かしらねェ?」
 黒百合は犯人を捜すべく周囲を見渡し続ける。
 その他にも肉を食べて美味しそうにしている者や、ビンビンになって元気溌剌と言った感じになっている者がしっと団の有様であった。
 サンタ側はお礼を言って受け取り、一人で静かに食べる者、エア彼女と食べる幻想を見て泣きながら食べ……口を火傷する者が多く居り、カップル達はイチャイチャしながらショコラを食べる。
「はい、樹様。その……あ、あ〜ん」
「え、静さん……あ、あーん」
 恥かしがりながら、樹と静は頬を染める。
 あの後、最終的に自爆した鳳夫妻も静かに紅茶を飲んでいた。
「うぅ、辛子の辛さがまだ染みるのですよ〜……」
「……じゃあ、口直しにこれはどうだ?」
 ショコラを口に入れた静矢が優希へとキスをした。
「えへへ、甘いのですよー♪」
 そう言って優希は静矢に向けて微笑んだ。
 歩と祈羅と幸穂の3人は仲良くケーキを食べていたが、何かを思い出した様に幸穂がアルバムを1冊取り出した。
「あー兄、キラ姉。プレゼントだよ」
 中身は、2人のラブラブデート(服装逆転)の写真だった。
 歩は恥かしさが込み上げ急いでアルバムを取ろうとし、祈羅は嬉しそうにするのだった。
「あっ、良かったら……今から会えない?」
「うわーん、レグルス君。謝るから許してー!」
「ダメです。ごめんなさいもうしませんをちゃんと500回書くまで許しませんよ!」
 どうやらあの後、立ち上がったレグルスはエルレーンを追いかけ捕まえる事が出来たようだ。
 そんなお仕置きを尻目にレグルスは同い年の彼女に電話をするのだった。
 冬の夜空にエルレーンの泣き声が木霊した。
「みんな 楽しく 仲良く」
「でござる」
 彼らを見ながら沙羅は呟く。それに相槌を打つように雅が頷くなか……空からちらほらと降る物があった。
 雪だ。クリスマスだったのが、ホワイトクリスマスへと変わる。
 しっとを白い雪が覆い隠していく様に地面が白く染まっていく。
 それを見ながら、世界に向けて沙羅は呟く。
「メリークリスマス」

 こうして聖夜は過ぎていくのであった。


依頼結果

依頼成功度:普通
MVP: −
重体: −
面白かった!:26人

守護司る魂の解放者・
イアン・J・アルビス(ja0084)

大学部4年4組 男 ディバインナイト
撃退士・
綾瀬 レン(ja0243)

大学部5年6組 男 インフィルトレイター
撃退士・
和奏(ja0396)

大学部5年76組 男 ディバインナイト
魅惑のメイド・
七瀬 桜子(ja0400)

大学部5年140組 女 アストラルヴァンガード
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
命繋ぐ者・
神楽坂 紫苑(ja0526)

大学部9年41組 男 アストラルヴァンガード
料理は心〜学園最強料理人・
水無月沙羅(ja0670)

卒業 女 阿修羅
┌(┌ ^o^)┐<背徳王・
エルレーン・バルハザード(ja0889)

大学部5年242組 女 鬼道忍軍
最強の『普通』・
鈴代 征治(ja1305)

大学部4年5組 男 ルインズブレイド
夜闇の眷属・
麻生 遊夜(ja1838)

大学部6年5組 男 インフィルトレイター
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
忘れられた巨乳・
月子(ja2648)

大学部5年80組 女 インフィルトレイター
凛刃の戦巫女・
礼野 智美(ja3600)

大学部2年7組 女 阿修羅
蒼の絶対防壁・
鳳 蒼姫(ja3762)

卒業 女 ダアト
撃退士・
雨宮 歩(ja3810)

卒業 男 鬼道忍軍
撃退士・
鳳 静矢(ja3856)

卒業 男 ルインズブレイド
撃退士・
木ノ宮 幸穂(ja4004)

大学部4年45組 女 インフィルトレイター
世界でただ1人の貴方へ・
氷雨 静(ja4221)

大学部4年62組 女 ダアト
釣りキチ・
月詠 神削(ja5265)

大学部4年55組 男 ルインズブレイド
V兵器探究者・
レイヴン・ゴースト(ja6986)

大学部5年7組 男 インフィルトレイター
時代を動かす男・
赤坂白秋(ja7030)

大学部9年146組 男 インフィルトレイター
押すなよ?絶対押すなよ?・
メフィス・ロットハール(ja7041)

大学部7年107組 女 ルインズブレイド
撃退士・
雨宮 祈羅(ja7600)

卒業 女 ダアト
死者の尊厳を守りし者・
シルヴァ・V・ゼフィーリア(ja7754)

大学部7年305組 男 ディバインナイト
二月といえば海・
カーディス=キャットフィールド(ja7927)

卒業 男 鬼道忍軍
『山』守りに徹せし・
レグルス・グラウシード(ja8064)

大学部2年131組 男 アストラルヴァンガード
蒼を継ぐ魔術師・
アスハ・A・R(ja8432)

卒業 男 ダアト
爆発は芸術だ!・
テト・シュタイナー(ja9202)

大学部5年18組 女 ダアト
護楯・
龍仙 樹(jb0212)

卒業 男 ディバインナイト
滅雫のヴァルキュリア・
蒼井 御子(jb0655)

大学部4年323組 女 バハムートテイマー
慈し見守る白き母・
白蛇(jb0889)

大学部7年6組 女 バハムートテイマー
夜闇の眷属・
来崎 麻夜(jb0905)

大学部2年42組 女 ナイトウォーカー
イカサマギャンブラー・
草薙 雅(jb1080)

大学部7年179組 男 バハムートテイマー
揺れる乙女心・
平野 渚(jb1264)

高等部3年1組 女 ナイトウォーカー
撃退士・
矢野 古代(jb1679)

卒業 男 インフィルトレイター
正義の忍者・
静馬 源一(jb2368)

高等部2年30組 男 鬼道忍軍
聖夜のキューピッド・
水鏡(jb2485)

大学部6年259組 女 インフィルトレイター
撃退士・
ルィスレア(jb2510)

大学部3年87組 女 ナイトウォーカー
愛に満ちた翼・
和泉 恭也(jb2581)

大学部3年218組 男 アストラルヴァンガード
スペシャリスト()・
ヴェス・ペーラ(jb2743)

卒業 女 インフィルトレイター
しっと団員・
天道 白虎(jb3441)

中等部2年7組 男 バハムートテイマー