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マスター:嶋本圭太郎
シナリオ形態:イベント
難易度:易しい
参加人数:25人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/02/27


みんなの思い出



オープニング

 久遠ヶ原島の端っこに、何の変哲もないコンビニがある。
 清潔な床、明るい照明、当たり障りのない有線音楽──。
 特徴がないことが特徴の、いかにもなコンビニ。
 あえて何かあげるとすれば、隣に芝生敷きの広場があることと、常時客の姿がほとんどないことくらい。

 ここはハッピーストア久遠ヶ原支店。
 相変わらず閑古鳥とばかり仲がいいこの店が何故つぶれないのか、それは店員にさえ謎であった。



「もう出番ないのかと思ってました」
「え、なに?」
 アルバイトのモブ子(愛称)が唐突にそんなことを口走ったので、店長は思わず聞き返した。
「いえ別に。ところで今日もお昼それなんですか」
 これから休憩に入る店長が手に持っているのは、数日前に山のように売れ残った太巻きのパックであった。
「冷蔵庫に入れてたから大丈夫だよ。アウルのおかげで胃腸は強いし」
 元撃退士の店長は力なく笑った。よい子はまねしないでね。
「客数が少ないのは分かっているのに、何故季節ものを大量に仕入れるのでしょうか」
「世の中にはあらがえないものがたくさんあるって事だよ‥‥」
 店長は遠い目をしたが、モブ子は特に同情した様子もない。
「次はバレンタインですね。勝算はあるんですか」
 言外に(ないですよね)と言われて、店長は少々憤慨気味に答える。
「シーズンエンドの飾り付けを豪華にして‥‥今年は店前にも机を出して呼び込みしようと思ってるんだ」
「半額以下になったら何か買いますね」
「敗北確定!?」
 店長は泣いた。

   *

「モブ子は当日午前中シフトか。‥‥毎年そうじゃない?」
「そういえばそうですね」
 いつもシフト組みに苦労している店長に恨めしげに言われたが、モブ子はしれっとしている。
「たまには学園にも行かないと怒られますから」
 そうは言っても、わざわざバレンタイン当日に合わせる理由は実はない。
(でも、いろいろ面白いんですよね)
 だいたいいつでも久遠ヶ原は面白いが、この時期は普段とは違う悲喜こもごもが見られるのだ。
「今年は販促用のチョコないんですか」
「あ、あるよ! 配ってくれるの?」
「たまにはアピールしないと、本当に潰れてしまっても困りますから」
 いそいそと差し出された、小さなチョコが詰まった袋を受け取る。
 がさがさと袋を振った後、無表情にモブ子は言った。
「当日が楽しみですね」

 さて、今年の久遠ヶ原はどんな様子だろうか。


リプレイ本文

「いやーしかし良い天気だなー!」

 早朝、勤務先のコンビニへと急ぎ歩くモブ子(愛称)の耳に威勢の良い声が飛び込んできた。

「ホント良い天気だなー! こんな日は甘い物が食べたくなる! 例えば‥‥そう、チョコ! チョコレートなんか食べたいな!」

 薄明の空に声を響かせているのは赤坂白秋(ja7030)。

「そういえば妙にチョコの匂いがするぞ? 変だな、何でだろう‥‥あっ」
 わざとらしく周囲を見渡し、わざとらしくぺちっと自らの額を叩く。
「バレンタインデーかー! うっわ全然意識してなくて気づかなかったわー! 全然気づいてなくて偶然だけどチョコ食べたいわー!」
 差し込む太陽光を浴びて輝く白のスーツ。胸元にはバラの花。全身から溢れるイケメン臭はもはや誰にも止められない。
「偶然だけどなー!」


 そんなバレンタインデーの当日である。



「急げ急げですぅ〜♪」
「鈴歌ちゃん、急ぐと危ないから気をつけなよ!」

 コンビニへぱたぱたと跳ねるようにやってくる神ヶ島 鈴歌(jb9935)と、それを追いかける三鷹 夜月(jc0153)。二人は入口の特設コーナーに目を留めた。
「ぁ、夜月さんチョコ発見ですぅ〜! しかも種類豊富♪」
「確かに沢山あるね、ここで買ってこっか」
 売場の店長が背中でわかるほど笑顔になった。
「さすが穴場のコンビニですぅ〜♪」
 あ、ちょっと固まった。

「ありがとうございましたー」
「荷物はうちが持つよ。馬鹿力だから大丈夫!」
「戻って一緒にチョコづくりですぅ〜♪」
 二人は仲良くおしゃべりを続けながら店から出ていった。

   *

「あんなに雪君がチョコ好きとは知りませんでした」
「ん〜ごめんね? 試食で食べ過ぎちゃったね〜」
 駿河 紗雪(ja7147)と藤井 雪彦(jb4731)は、身を寄せ合うようにして店までやってきた。
「手作りチョコは雪君が全部食べちゃったし‥‥お友達用を買わないといけないですね」
「荷物持ちなら任せてね☆」
(でも他の男に行くチョコならば、ボクがこっそりと‥‥)
「チョコ、色々ありますねー」
(っと、いかんいかんいかん)
 紗雪ちゃんを困らせるわけにはいかないもんね、と雪彦は邪念を追い払う。
「んぁ、雪君はもう駄目ですよ? 鼻血出します」
(‥‥どれだけ食べたんでしょうか)
 モブ子は遠巻きにそう思った。

「ん〜、迷いますね‥‥」
 紗雪がチョコ選びに没頭している。
「はい☆ あ〜ん♪」
 雪彦が横から試食用チョコを差し出すと、紗雪はにっこり、口を開けた。
「あ〜ん♪ んぉー☆ しつこくない甘さで美味しいのです‥‥」
「紗雪ちゃん、ここ」
「うにゅ?」
「ついちゃった」
 紗雪の唇に残っていたチョコを拭い取り、雪彦は自分の口へ運ぶ。
「あ‥‥」
「特別美味しいね♪」
 微笑む雪彦の頬は少し赤い。
「はぅー‥‥幸せですね」
 視線を絡ませて、紗雪も頬を染めるのだった。

「一言用カードも買ってきます。すぐですから、雪君は待っててくださいね」
(これは、雪君にも一枚‥‥特別な感謝を込めたもの、を)

 外で待つ間、雪彦はポスターに目を留めていた。
(なるほど、男側からも有りなんだね)
 いわゆる逆チョコというやつだ。。
「よし、決ぃ〜めた♪ 注文、いいですか?」

(二人してサプライズですか‥‥うまく行くといいですね)
 ──と、レジの中で二人の様子に気を取られていると、お客さんが立った。
「いらっしゃ‥‥いませ」
 目の前には、目玉だけ描かれた白い布を被った懲罰する者(jc0864)。
 珍しく一瞬言葉に詰まったモブ子だったがすぐに気を取り直す。
「何かお探しですか」
 すると、白い布の一端が持ち上がり、特設コーナーを示した。
「これは一体、如何なる催し物であるか」
「ああ、これはですね‥‥」
 お世話になった人や恋人、家族にチョコレートをプレゼントする風習なんです、とモブ子は端的に説明する。
「というわけで、よかったらこれどうぞ」
 モブ子は配布用のチョコバーを差し出した。
「‥‥我輩らは恋人でも家族でもないのである」
「そうですね」
 肯定。
「お店に来ていただいたお礼、的なものです」
「そうであるか」
 また布の先がごそごそ持ち上がって、チョコバーを受け取る。すると彼は売場からもチョコレートをひとつとって会計した。
 申し訳ないとでも思ったのか、意外と律儀だ。
「ありがとうございましたー」
 コンビニの袋を布先で持ち、懲罰する者は去っていった。

(毎年いろんな方がやってきますね、ここ)
 真っ白な背中を見送りながら、モブ子はのんびりした感想を抱いた。

   *

 水屋 優多(ja7279)は物思いしながら歩いている。
(さて、チョコを買いに行かないと‥‥そういえばいつか彼女と話題にしたコンビニがあったっけ)
 『可哀そうだからできるだけ利用してあげて』なんて言われるのも納得の閑散ぶりという話だった。
(せっかくだから足を延ばしてみますか‥‥)

 店内に入ってみると、お客さんの姿は‥‥一人だけ。
「あれ‥‥」
 誰かと思えば神谷 託人(jb5589)だった。
「託人もチョコ購入ですか?」
 ちょっと困ったように目を泳がせる託人。
「ええと‥‥従兄弟達にあげる分のチョコは毎年妹が買ってるんだけど、ここ数年私の従弟の分だけ忘れているから‥‥」
(そんな理由がなくても『皆の分だから』って送るんでしょ)と優多は思ったが。
「事情はわかってますから」
 託人に顔を寄せささやく。
「彼女がお兄ちゃん盗られたくない気持ちもわかりますけどねぇ」
「あ、う‥‥」
 優多はくすっと笑うと、売場へ目を向けた。
「大箱渡すのとは別に、彼の分も渡した方が良いと思いますけど。あの人、甘いものそんなに食べないでしょ? そこのビターチョコ辺り、どうですか」
「えっと‥‥そうですね、これなら高級感もあるし‥‥」
 託人はケースを手にしばらく考えていたが、やがて購入することにしたようだ。
「ありがとう、優多」
「彼に喜んでもらえるといいですね」

(‥‥二人とも女性かと思ったら男性なんですね)
 様子を観察していたモブ子は、混乱していた。
(‥‥でも、『彼』なんですね)
 混乱していた。

   *

「わわ、バレンタインの準備すっかり忘れてたよ‥‥!」
 桜 椛(jb7999)は店先にたどり着くと、ふうと息をついて売場を見渡した。
「わあ、いっぱいある!」
 ほっと一息、店長に笑顔を向けて。
「こんなにまだ売れ残ってるなんて助かったよ!」
「店内にも売場があるから、よかったら見ていってね」
 地味に言葉のチョイスにダメージを受ける店長。
「学園近くのお店は売り切ればかりだったから‥‥これで一安心だね!」
 椛は礼を言うと店内に入っていった。
「きっと悪気とか一切ないんだろうな‥‥」
 無邪気の刃が一番痛いって事、あるよね。

「ありがとうございました」
 大量のチョコを会計した椛は受け取った袋から早速一つ、チョコを取り出すと、レジのモブ子に差し出した。
「お仕事お疲れさま。よかったら一つどうかな」
「私にですか」
「うん」
「ありがとうございます‥‥それも、配るんですか?」
 今買ったチョコのことを問うと、椛は頷く。
「部の人とか、友達とかにね。この前、先駆けてバレンタインライブをやったんだ。それですっかり満足しちゃって‥‥」
 照れるようにして笑った。
「当日のことを、忘れちゃってたんだ。でもここならまだチョコ売ってるって教えてもらって」
 椛はもう一つチョコを取り出すと、包みを開けて自分の口へ。
「ふふ。甘くて美味しいね」

「では、これはお返しにどうぞ」
「わあ、ありがとう!」
 配布用のチョコバーを渡した。
(そういえば、あまり他人からもらうことはありませんでしたね‥‥)
 自分用になったチョコはとりあえずしまっておく。仕事がはけたら食べるとしよう。
 椛の言うとおり、きっと甘くて美味しいはずだ。

   *

「わあ、いろんなチョコがありますね‥‥」
 シャロン・エンフィールド(jb9057)は屈み込んで売り物を眺めた。
「あっ、製菓用のチョコもありましたよ。これでいいですか、万碧さん?」
 下段の方に並んでいた固まりのチョコを手に仰ぎ見るが、一緒にきた佐々部 万碧(jb8894)は彼女の予想より少し先にいた。
「こっちだ、シャロン」
 万碧はシャロンを呼ぶと、「今日使うのはこれ」と板チョコを何枚か取り上げる。
「こっちの方が溶かしやすいからな」
「そうなんですね‥‥万碧さんに聞いて良かったです!」

 手作りチョコに挑戦したい、けど分からないから教えてほしい──そう頼まれて、万碧はシャロンを連れてやってきたのだった。
(学園にも慣れて渡す相手が出来たのなら、良い事だろう)
 幼なじみの成長に軽い感慨を覚える万碧。
「初めてということなら、凝ったものは避けておくのが無難か‥‥チョコタルトはどうだ? タルト生地にチョコを入れるだけだから簡単だし、見た目もいい」
「なるほど‥‥」
 シャロンはふんふん頷きながらメモを取っている。
「あと買うものは生クリームと‥‥」
 お菓子コーナーの前で真剣に思い悩む長身男性の図。
「アドバイスだけじゃなくて、一緒に来てもらえてありがとうございます、助かります!」
 礼を言うシャロンに万碧は微笑む。
「誰に渡すか知らないが、喜んで貰えると良いな」
 ぽふ、と頭に手をやると、シャロンは安心しきった笑顔を浮かべた。
「はい、喜んでくださいね」

(‥‥あれ?)
 モブ子は首を傾げた。
(喜んでくださいね、ということは渡す相手はあの方自身なのでは‥‥)
 渡す相手に作り方から教えてもらうというのも中々斬新だ。
 特に気づいた様子もない万碧の後ろを、シャロンは子犬のようについて歩く。
(仲は良さそうですけど恋人同士という感じでもないですし‥‥どういう関係なのでしょうね)

   *

「では、私はこれで失礼します」

「‥‥行きました?」
 モブ子がバイトを終えて出て行くと、脇からひょっこり歌音 テンペスト(jb5186)が顔を出した。
 なんと、ハッピーストアのエプロンを身につけている。
「‥‥あ、愛称はテン子でお願いします」

 コンビニの新人バイトとなったテン子(愛称)は愛想を振りまいたりGカップの胸の谷間を振りまいたりして真面目に仕事をこなしていた。
「でも、なんでモブ子には内緒なの?」
「今はまだ‥‥緊張するので」
 しおらしくうつむく。
「バイトに慣れてから、ご挨拶しようと思ってるんです。‥‥ウフフフフ」
 密やかに笑うテン子であった。



「あら? 確か‥‥」
 町中で、モブ子は女性に声を掛けられた。隣の男性もこちらに気づく。
「ああ、モブ子さん、でしたよね。お久しぶりです」
 カルラ=空木=クローシェ(ja0471)とドニー・レイド(ja0470)は、モブ子と約二年半ぶりの再会となった。

「あのときのアンケート以来ですか」
 かつてモブ子はバレンタインの調査を名目に、学園内で「恋人はいるか」とアンケートを採ったことがあった。
「あのときの質問は、よく覚えてますよ」
「思い出すと‥‥いろいろあるんですけど」
 ドニーは苦笑し、カルラは両頬に手を当てて、恥ずかしそうにしている。
 その様子と、時折絡む二人の視線に当時とは違うものがあった。
「せっかくですから、もう一度聞いてみましょうか」
 少しもったいつけた。
「お二人は、恋人同士ですか?」

 二人は束の間見つめ合い、微笑む。
「ええ‥‥ご覧の通り」
「はい。今はこうして‥‥少しは自然になれたかも」
 時を経て変化した回答を、幸せそうに答えたのだった。

「‥‥今にして思うと、あの頃の鈍感な自分に腹が立つんだよな」
 あの時、ドニーはカルラの前で、理想の恋人像を語っていたりしたものだった。
「わ、私も‥‥全然言えなかったし‥‥気にしないで‥‥?」
 ドニーの肘に手をやりフォローするカルラ。
「良かったですね」
「ええ‥‥ありがとう」
 モブ子が言うと、カルラは至上の微笑みで答えた。

「お二人は、これからどうなさるんですか」
「えっと‥‥彼にチョコレートを渡そうかなって。私の部屋で」
「ほう」
 湯気が立つほど頬を染めたカルラは俯いて顔を隠した。
 ドニーもなにやら思うことがあるのか、幾分顔が赤いようだ。
「ほう」
 モブ子はもう一度頷いた。「では、私はこれで」
「モブ子さん」
 カルラが呼び止める。
「‥‥あの時、実は嬉しかったんです。恋人なのか、って聞いてもらえて」
「カルラ、それ反則。‥‥あの頃からそう見えていたのかと思うと、確かに嬉しいけどさ」
 肩を寄せ合う二人の姿を見て、モブ子は言う。
「これからも、どうかお幸せに」

   *

「チョコを配らないといけませんね」
 学園入口でモブ子が周りを見渡すと──小柄な男女が向き合っていた。

「エフィちゃん、用事ってなに‥‥?」
 如月 統真(ja7484)は、エフェルメルツ・メーベルナッハ(ja7941)を前に、どぎまぎしながら尋ねた。
(もしかして、チョコ貰えるのかな‥‥?)
 まだ恋人同士とは言い切れない仲であるだけに、期待と不安が交互に押し寄せるその心中。
「その前に‥‥少しだけ、目を閉じててほしいの」
「え、あ、うん」
 エフェルメルツのお願いに、統真は素直に目を閉じた。
「良いよエフィちゃん。これで──んむぅっ!?」
「ん‥‥」
 公衆の面前だから、と油断したかも知れない。
「む‥‥ぐっ!?」
「ちゅ‥‥んふ」
 押し開かれた口の中に、熱い吐息と一緒に甘くて苦いチョコレートが押し込まれる。
 たっぷりしっかり間があって、エフェルメルツの体がようやく離れた。
「バレンタインのプレゼント、なの、統真♪」
「え、エフィちゃん‥‥」
 びっくりしすぎてチョコの味もよく分からない。我に返った統真が周りをみると、モブ子とばっちり目があった。
「わああ、み、見ました?」
「これ、見物料ということで」
 チョコバーを差し出すモブ子。
 エフェルメルツは止まらない。
「これだけじゃないの、統真‥‥後で、お部屋でもっとすごいのあげちゃ、きゃぅん!」
「わぁーっ!?」
 統真はエフェルメルツを抱え上げた。ついでにチョコバーをひったくるようにして受け取る。
「と、とにかく帰ろう! これ以上僕が誤解される前にっ!」
 一目散に駆けだした。

「統真、そんなに楽しみにしてるの、嬉しいの‥‥♪」
「そ、そんなんじゃありませんからぁーっ!」


「誤解もなにも、ないと思うのですが‥‥」
 首を傾げるモブ子の耳に、どこからか泣き声が聞こえてきた。

「うっ‥‥ぐすっ‥‥」
 体育館裏で白秋がひっそりと泣き暮れていた。
「何でだよ‥‥何で誰もくれない‥‥」
 なにが、なんて聞くまでもない。

 朝は輝いていた彼の白スーツはすっかり煤け、胸のバラの花はしおれていた。溢れるイケメン臭は誰にも受け止めて貰えなかったらしい。

 白秋は膝を抱えてうわごとのように呟いている。
「一人くらいくれても良いだろ‥‥モテてえよ‥‥本当は無茶苦茶意識してたよ‥‥チョコ欲しいよチョコ‥‥」
 モブ子がてくてく近づと。
「あの」「同情するならチョコをくれえええええええええ!!」
 猛烈な勢いで肩をがっしと掴まれた。
 一般女子ならここで警s──モブ子なので大丈夫です。
「あげますから落ち着いてください」
「本当か! 本当にくれるのか!」
「落ち(がっくん)着いて(がっくん)ください」
 白秋にこれでもかと肩を揺すられながら、モブ子はなんとかチョコバーを差し出した。
「これがチョコ‥‥女子からのチョコレート‥‥!」
 白秋は何の変哲もないチョコバー(三本)を崇め奉っている。
「喜んでいただけて何よりです」
 その隙にモブ子は逃g──離脱した。

「まだお昼ですから、これからもっと貰えますよ」
 白秋と十分距離をとってからそんな(根拠のない)ことを呟いていると、黒服の少女がベンチに腰掛けこちらを見ていた。
 黒鴟(jb9409)は涼やかに呟く。
「‥‥久しぶりに、学園に戻ってきたら。何だか‥‥甘ったるい匂い‥‥?」
「今日はバレンタインデーですよ」
 モブ子が言うと、表情はそのままに顔をかくりと傾ける。
「‥‥バレンタインって‥‥戦争なの?」

 曰く。
 皆して怖い顔で甘ったるい匂いがする箱を持っていて。
 相手は顔を赤くして怒っている。
 中には「爆散しろぉ!」など不穏な発言をしているものもいたりいなかったり。

 黒鴟は自分の観察結果をモブ子にそう伝えた。
「怒っている相手が敵‥‥でいいの?」
「バレンタインが戦争という意見は安易に否定できません。人によってはこの日の為に恋人を作ることに命を賭けたりしますし」
「‥‥そう、なの」
 黒鴟の勘違いを全く修正できていないがいいのだろうか。

「でも、顔を赤くしているのは怒ってるのではなく、喜んでいるのです」
「あんなに‥‥真っ赤なのに?」
「好きな人から貰うと、そうなるらしいですよ。これは、お試し用です」
 モブ子はチョコバーを黒鴟の手に握らせた。
「貴方は‥‥黒鴟のことを好き‥‥なの?」
「学生は皆さんお客様ですから」
「ふうん‥‥」
 黒鴟は不思議そうに、モブ子とチョコバーを見比べていた。

   *

 斡旋所へ向かうと、六道 鈴音(ja4192)が傍らに浮かべたヒリュウの口にチョコのかけらを放り込みつつ、先を行っていた。

「あー、いたいた、潮崎さん」
「あら、鈴音ちゃんいらっしゃい」
 鈴音は受付の潮崎 紘乃(jz0117)へ呼びかけ、抱えていた段ボール箱を見せた。
「これ、ラークスにチョコ送るけど、潮崎さんも何か一緒に送る?」
「え、いいの?」
「潮崎‥‥」
「休憩中ですっ!」
 奥から聞こえた男性の声はぴしゃりとシャットダウン。

 鈴音と紘乃は顔を付き合わせて話し合っている。
「本当はもう少し早く送るべきだったよね。今から送るとバレンタインデーは過ぎちゃうけど、まぁ、仕方ないね」
「手紙、誰宛を入れてあるの?」
「道倉さん、ゆっきー、芝丘さんほか、主なレギュラー陣には激励のお手紙を書いて同封してあるわ!」
 鈴音はドヤ顔で胸を張った。
「さすがね、鈴音ちゃん‥‥抜かりないわ」
「潮崎さんは誰に送るの?」
「私は、投手陣中心に‥‥今年新入団の高校生が個人的に期待なのよね」
「でも高卒だし、今年は体力づくりじゃないの?」
「それが、開幕一軍の目もあるって噂で‥‥オープン戦の‥‥」
「開幕一軍って言えば‥‥今年は‥‥」

(チョコの話‥‥ではありませんよね)
 野球好きの会話内容はモブ子には全くついていけなかった。

「よーし、それじゃ私、発送してくるから!」
 梱包を終えた箱を抱えて、鈴音は立ち上がった。
「よろしくね、鈴音ちゃん」
「任せといて。今年はラークス、Aクラス入りを果たしてもらいたいよね!」
「ええ。気合い入れて応援しましょうねっ」
 二人は今年の奮闘を誓い合い別れたのだった。



 いかにもカップルが多そうな、中庭に出てきたモブ子の目に留まったのは‥‥。

「ハル、ハッピーバレンタイン!」
「ありがとう、ロリータ」
 互いを愛称で呼ぶ二人はドロレス・ヘイズ(jb7450)に神谷春樹(jb7335)。
 ドロレスが見せた箱を春樹は受け取ろうとしたが、彼女はそのまま身を寄せてきた。
「まだ寒いし‥‥食べさせてあげるね?」
 膝の先を合わせて体を密着させると、箱から猫の形のホワイトチョコを取り出して、春樹の口元へ。
「はい‥‥どうぞ」
「ん‥‥」
 春樹は恥ずかしそうに目を閉じ、顔を真っ赤にしながらも‥‥体を離すようなことはせずに口をあけた。
「なんだか去年の事を思い出すね」
 ドロレスは甘えるようにしなだれかかりながら、チョコを春樹の口に押し入れていく。
「んぐ‥‥去年の方が、もっと恥ずかしかった‥‥かな」
 チョコを味わって目を開けると、想像以上にドロレスの顔が間近にあった。
 気恥ずかしくて、思わず視線を逸らす。
「味はどう?」
「うん‥‥美味しいよ」
 自分ばっかり恥ずかしいのも何だか不公平だ。お返しにこっちから「あーん」をしてあげたら‥‥たぶん、無邪気に喜ばれて終わるんだろうけど。

「よう、お二人さん」
 思いがけず声を掛けられた。
「ラファルさん、こんにちは」
 ドロレスが春樹から少しだけ体を離して、ラファル A ユーティライネン(jb4620)に挨拶した。
「ラファルさん、どうも‥‥」
 咳払いしつつ取り繕う春樹に、ラファルは「けけけっ」と意地悪そうに笑った。
「今日はせっかくだからな。俺もチョコを作ったんだ」
「ラファルさんの‥‥手作りですか?」
「丸一晩かかったぜ。つーわけで、お前らにもお裾分けだ」
 ラファルは春樹の手のひらにきれいにラッピングされたチョコを置いた。
「わあ、かわいい」
「よかったら、食べて感想聞かせてくれよ」
 ラッピングを解くと。中は思いの外シンプルな造形の一口大のチョコだ。
 春樹は一口齧り‥‥そして盛大にむせた。
「‥‥! ラファルさ、これ‥‥!」
 外側は確かにチョコレート。だがコーティングの内側は‥‥カレールーだった。
 そもそも甘いものが苦手なラファルがまともなチョコを作るはずもない。彼女渾身のジョークチョコだった。
「つっても俺としちゃフツーなんだけどな」
 そういうと、ラファルは自分の口にカレーチョコを放り込む。。
「さてと、他の面子にも配ってくるぜ。それじゃーなー」
 咳込む春樹を後目に、ラファルはひらひら手を振って去っていった。

「もう、ラファルさんったら‥‥はいハル、紅茶」
 ポットの紅茶を注いで差し出しながら、ドロレスはまた春樹へ体を近づけた。
「それを飲んだら‥‥口直し」
 自分のチョコを春樹の口元へ、ゆっくり運ぶ。
 ジョークチョコの余韻はあっという間に消えて、二人の世界。
「今年もまた一年よろしくね?」
 うっとりと微笑むドロレスであった。

   *

 中庭を抜けた先で亀山 絳輝(ja2258)が立ち尽くしていた。

「どうしたんですか?」
 モブ子が話しかけると、ラッピングされたチョコを見せる。
「チョコを買ったが、渡す相手がどこにいるかわからない」
「はあ」
 恋人に逃げられたとかそういうことですか、と聞きそうになるモブ子の前で、彼女は両手を口元に当てた。

「こんなバレンタイン初めてだよレガ(jz0153)のばかやろーーー!」

 ばかやろーー

 ばかやろー

 ろー‥‥

 かぁー(カラス)

 渾身の叫びが学園にこだました。
「やだそんな目で見ないで‥‥照れるだろ‥‥」


「会いたいときに会えないので渡しようがない、と」
 モブ子が言うと、絳輝は口をとがらせた。
「一応、電話番号は知ってるんだよ」
 端末を取り出して電話帳から呼び出してみる。が。

 ──おかけになった電話は電波の届かないところにあるか、電源が──

「予想通りだよガッデム!」
「携帯に出ない相手は大変ですね」
 とはいえ、まさかゲートの中の人物が相手だとは夢にも思わぬモブ子である。
「はあ‥‥これどうするかなあ‥‥」
 手に途方に暮れる絳輝。
「私が食べるならさっき貰ったこれで十分なんだよな」
 モブ子から受け取ったチョコバーを振りつつ考えて。
「そうだな‥‥よし!」
 方針が決まったのか、絳輝は空の向こうを見て頷いた。
「これから椿さんの所へ行って、チョコ有りきのお茶会だ。食事には行けなかったし、それくらい許してもらえるだろ!」
 また新しい名前が出てきた。
「というわけで島を出るから、これで!」
 絳輝はさっさと行ってしまった。

「恋多き方‥‥なのでしょうか」
 老婆の墓前でお茶会をするなどとは考えもつかないモブ子はそんなことを思うのだった。

   *

 お昼もだいぶ過ぎて、どこかでお茶でもしようかと。
「椿‥‥といえば、そんな名前のお茶屋さんがあったような」

 というわけで和風サロン『椿』の前までやってきたモブ子だったが、入り口には先客がいた。

「いざ渡すとなると‥‥恥ずかしいですね‥‥」
 日向響(jc0857)は入り口前をうろうろ。実は結構前からそこでうろうろ。
「い、いないんじゃないでしょうか‥‥」
 弱気なことを口にして、入り口から奥を覗く──と。
「いらっしゃいませ♪」
「わっ!?」
 テーブルの掃除をしていた木嶋香里(jb7748)と目が合ってしまった。
 ──いや、合ってしまったじゃない。彼女に会いに来たのだから。
 内心決意を固める響に、香里はいつもの様子で彼のそばまでやってきた。
「響さん、ご来店ありがとうございます♪」
「あのっ‥‥!」
 余計なことを口にする余裕がなくて、響はすぐ本題に。
「これ‥‥貰ってくれますか」
 差し出したのは、二色のリボンで丁寧にラッピングされたチョコレートの詰め合わせ。響の手作りだ。
「わあ、ありがとうございます♪」
 香里は笑顔で箱を受け取ると、「ちょっと待っていてくださいね」と一旦店に引っ込んだ。
「お待たせしました。響さん、何時も来て下さりありがとうございます♪」
 お返しは、やはり二色のリボンでラッピングされていた。
「響さんの好みに合うよう作ってみました。是非味わってくださいね♪」
 香里からのチョコを手に、響は口元を引き結ぶ。
「木嶋さん」
「は‥‥いっ?」

 響の顔が香里に重なった。

 それは一瞬のことで、響はすぐに顔を離すと香里から目を逸らす。
「えっと‥‥木嶋さんへの私なりの感謝の気持ちです‥‥」
 背けた顔が真っ赤になっているのがモブ子の位置からも見て取れた。
 香里の顔も同じくらい赤く染まっている。

 きっと今は、二人とも外の寒さなど忘れているに違いない。

 しばらくの沈黙を挟んで、先に香里が我に返った。
「え、ええと‥‥とりあえず店内へ、ご案内しますね」
「は、はい‥‥」
 二人とも赤面のまま、『椿』の中へと姿を消すのだった。


 さすがにそこへ突撃するほどモブ子は野暮ではないので、別のお店を探す。
 料理屋『蛍』の前を通ると、明るい声が響いてきた。

「チョコタルトの完成ですぅ〜♪」
「よしよし、美味しそうだね!」
 鈴歌が両手を上げ、夜月がぱちんと打ち鳴らす。
 目の前には美味しそうなチョコタルトが1、2‥‥
「ぅ? いつの間にか数が減っているような‥‥」
「気のせいだ、問題ない」
 夜月はチョコで汚れた口の周りを拭いながら答えた。
「気のせいですねぇ〜♪ ではでは、皆さんにお配りしましょうかぁ〜♪」
 その前に‥‥と鈴歌は自分で作ったタルトを一つ手に。
「夜月さんにはこちらを、ハッピーバレンタインですぅ〜♪」
「あ、鈴歌ちゃんありがと! うちからもこれ、ハッピーバレンタインだ♪」
 二人はチョコのついた互いの顔を見て、笑い合った。

「美味しそうですね‥‥私も貰えるのでしょうか」
 交換材料といったらチョコバーしかないモブ子だが、何はともあれ店内へ入っていくのだった。



 夕暮れの学園を歩いていると、重苦しい声が聞こえてきた。
「完璧だ‥‥完璧に苦い‥‥」
 川内 日菜子(jb7813)がベンチに腰掛け、ため息混じりに呟いている。傍らにはチョコレート‥‥のような何かが積まれている。
 とても食べ物には見えないが、彼女はそれをゆっくりゆっくり口に運んでは、砂を飲むように嚥下しているのだ。
「ぅぷっ‥‥しかしこれ、本当にまず‥‥いや、苦いな。おまけに渋いし‥‥」
「なにしてるんですか」
 モブ子は遠慮会釈なく尋ねた。

「なるほど、恋人に贈ったチョコの失敗作ですか」
「ああ‥‥捨てるのも勿体無いからな」
 吐き気をこらえながら失敗作を食べ続ける日菜子。
「ずいぶん沢山ありますけど結局ちゃんとしたチョコは出来たんですか」
「それは‥‥」
「おっ、ヒナちゃーん」
「ラル‥‥!」
 向こうからラファルがやってくる。すると、日菜子は猛烈な勢いで残りの失敗作を口の中に押し込み、無理矢理飲み込んだ。
「おお」
 感嘆するモブ子。ラファルは特に気にせず日菜子の隣に腰掛けた。
「やー、配った配った」
「ん? ラルもチョコを配ったりしてたのか」
「おっと、こいつはヒナちゃんにも内緒だぜ。‥‥ま、後でバレると思うけどな」
 ラファルはニッと笑うと、懐を探る。
「ヒナちゃん、チョコありがとうな。こいつはお返し‥‥というか、今日のお祝いだ」
 ジョークチョコとは明らかに違うラッピングの包みを、ラファルは日菜子に手渡した。
「‥‥ありがとう」

「蛇足な気はしますが、せっかくなので私からもどうぞ」
 モブ子は二人にチョコバーを差し出した。「そのチョコほどは甘くないと思いますが」
「なに言ってんだ。俺のはカカオ100%の泥のように苦いチョコだぜ」
 と、ラファル。

(端から見れば、そのチョコも十分甘いですよ)
 思っても口には出さないモブ子であった。




「‥‥居心地が悪いのである」
 懲罰する者が佇んでいる。どうやら彼は独り身であるらしかった。
 白い布の、ちょうど口の辺りが動いているのはもしかして、チョコを食べているのだろうか。


「さて──」
 昨年のことを思い出して、モブ子は下段防御の姿勢をとる。

「モブ子せんぱぁぁぁぁあああいっ!!」
「げうっ」
 残念、今年は中段、胴へのタックルでした。

「お久しぶりです、歌音さん」
 モブ子をマウントしたテン子こと歌音は、既にエプロン姿ではなかった。
 全身チョココーティングで待ち受けていたのである。
 外で待っていたこともあり、チョコはすっかり冷え固まってぽろぽろ落ちてきていた。
「寒くないですか」
「先輩への熱い愛で火傷しそうですウフフフフ」
 歌音は血走った目で答えた。
「さあ、モブ子先輩」
 歌音がモブ子をお姫様だっこする。その拍子にまたチョコがはがれ落ちて色々見えてはいけないところが露出したけど文章だから問題ない。

「バレンタインは見るものではなく食べるもの‥‥あたしを食べてっ! ハッピィィバレンタインッッ!」

 そして、いずこかへと駆けだした。今年も愛の逃避行(つれさり)。


「また出番はきっとあります」
 歌音の力強い言葉がその場に残された。


 懲罰する者はそれを見送ると、星の瞬き始めた空へ浮かび上がる。
「明日よ、さっさと来るのである」
 数多の恋人たちがともに過ごす夜の中を、白布の悪魔は飛び去っていくのだった。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:9人

二人の距離、変わった答え・
ドニー・レイド(ja0470)

大学部4年4組 男 ルインズブレイド
二人の距離、変わった答え・
カルラ=レイド=クローシェ(ja0471)

大学部4年6組 女 インフィルトレイター
いつかまた逢う日まで・
亀山 絳輝(ja2258)

大学部6年83組 女 アストラルヴァンガード
闇の戦慄(自称)・
六道 鈴音(ja4192)

大学部5年7組 女 ダアト
時代を動かす男・
赤坂白秋(ja7030)

大学部9年146組 男 インフィルトレイター
君との消えない思い出を・
駿河 紗雪(ja7147)

卒業 女 アストラルヴァンガード
希望の守り人・
水屋 優多(ja7279)

大学部2年5組 男 ダアト
幸せですが何か?・
如月 統真(ja7484)

大学部1年6組 男 ディバインナイト
二人ではだかのおつきあい・
エフェルメルツ・メーベルナッハ(ja7941)

中等部2年1組 女 インフィルトレイター
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
君との消えない思い出を・
藤井 雪彦(jb4731)

卒業 男 陰陽師
主食は脱ぎたての生パンツ・
歌音 テンペスト(jb5186)

大学部3年1組 女 バハムートテイマー
撃退士・
神谷 託人(jb5589)

大学部2年16組 男 アストラルヴァンガード
揺れぬ覚悟・
神谷春樹(jb7335)

大学部3年1組 男 インフィルトレイター
悪魔でも楽しく・
ドロレス・ヘイズ(jb7450)

中等部2年10組 女 ナイトウォーカー
和風サロン『椿』女将・
木嶋香里(jb7748)

大学部2年5組 女 ルインズブレイド
烈火の拳を振るう・
川内 日菜子(jb7813)

大学部2年2組 女 阿修羅
この音色、天まで響け・
桜 椛(jb7999)

大学部3年187組 女 ルインズブレイド
玻璃の向こう、碧海は遠く・
佐々部 万碧(jb8894)

卒業 男 阿修羅
リアンの翼・
シャロン・エンフィールド(jb9057)

高等部3年17組 女 アカシックレコーダー:タイプB
梟の見た夢・
黒鴟(jb9409)

大学部2年85組 女 ダアト
翠眼に銀の髪、揺らして・
神ヶ島 鈴歌(jb9935)

高等部2年26組 女 阿修羅
撃退士・
三鷹 夜月(jc0153)

卒業 女 鬼道忍軍
初日の出@2015・
日向響(jc0857)

大学部2年71組 男 アストラルヴァンガード
我輩はお化けではない・
懲罰する者(jc0864)

高等部3年21組 男 陰陽師