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マスター:嶋本圭太郎
シナリオ形態:イベント
難易度:易しい
参加人数:25人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2012/10/27


みんなの思い出



オープニング

 世間では、長引いた残暑もようやく終わり、短い秋が訪れる頃。
 天は高く馬は肥え、読書だ食欲だスポーツだととにかくいろんなものの欲求が高まる季節をみんなが満喫するこの時期。

 だが中には、クリスマスもお正月もとっくに通過してその先のイベントのことで頭を悩ませている人だっているのである。
 世の中って不思議ですね。


「うーん‥‥どうしようかなあ」
 A4用紙数枚がまとめられたファイルをみながら、男性が頭を悩ませていた。
「んー‥‥どのくらい需要があるものなんだろう」
 言いながら、となりに立っている少女をちらちら見やる。
「‥‥なんですか、店長」
 レジのお金を数えていた女の子はその視線を長らく無視していたが、やがてあきらめたようにそう聞いた。

 ここは人工島のはずれにひっそりとあるコンビニ、ハッピーストア久遠ヶ原支店。場末の店舗は今日も閑古鳥が鳴いていたが、お客さんが少なくたってすることは意外となくならないのだった。


「いやね、バレンタインデー用の発注書が来てるんだけどさ」
 店長はアルバイトの少女にファイルを渡した。
 ファイルされた書類には二月のイベント時に販売するための、シンプルに包装されたものからちょっとこれ誰向けなの? と思わせる奇抜なデザインのものまで、様々なチョコレートの商品説明が、写真付きで載せられている。
「学園って、カップルとかどのくらいいるのかな、と思ってさ」
 学園からそれなりに離れた位置にあるとはいっても、この島にある以上はメインターゲットは久遠ヶ原の学生である。
「モブ子(愛称)は現役学生だから、事情に詳しいだろ? どう?」
 店長に問われたモブ子だったが、
「基本的に、学校行かないからわかりません」
 さらりとそう答えた。
「‥‥そうだよね、週五でここで働いてるもんね‥‥」
 それでも進級試験は無難にこなしてきたらしい。それで進級を認めてしまう学園というのも他にはなかなかないと思うが。

「本当に、ぜんぜん行ってないの?」
「週一くらいで、顔は出します。担任の教師にまで忘れられると、いろいろと面倒なので」
「じゃあ、そのときでいいからちょっと頼まれてくれないかな。学園の恋愛事情‥‥なんて、そこまでたいしたものじゃなくていいけど。知り合いにちょっと聞いたりしてさ。発注の参考にするから」
 モブ子は、つと考えて。
「‥‥いいですよ」
「本当? 助かるよ」
「適当に発注したあげく余った商品買わされるのはごめんですから」
「あ、いや、その‥‥」
 基本的に、こうした催事の商品は多めに発注されるので、店長は必死で売りきる努力をしなければならない。店員に向かって

「これどう? おいしいよ!」「あと一個なんだけどなぁ〜」などとセールストークをすることなど日常茶飯事である。
 なお、店員ならお安く買えるなどの特典はない。

「どうせなら、いろんな年齢層の人に話を聞きたいですね。人数も‥‥自分から声をかけるのは得意じゃないですが、一日あればまあ、二十人くらいは何とかなるでしょうか」
「えーと‥‥ついででいいから、ね?」
 学校に行っても授業を受けないつもりなんだろうか、とちょっと心配になる店長であった。


リプレイ本文

 ある晴れた秋の日。
 一週間ぶりに学園を訪れたモブ子は、定例となった担任教師のお小言を聞き流して教室を後にする。
 お礼に渡すといって店長にお金を払わせたチョコバーを袋いっぱいに詰め込んで。
「いろんな話が聞けるといいのですが」

 久遠ヶ原恋愛事情、調査開始。


●お昼休み

 まずは高等部の校舎内。
 最初の相手は、他の学生よりいくらか背の低い女の子。
「アンケート? うん、いいよー」
 八角 日和(ja4931)は、モブ子の申し出を笑顔で請け負った。

「それでは‥‥今、付き合っている人はいますか?」
「え!? ‥‥あ」
 遠慮ない問いに日和はちょっと驚いたものの、すぐに柔らかな笑顔に戻る。
「う、うん‥‥居るよ。大学部のひと」
「おお」
「背が高くてねっ、優しくてカッコいいの」
 相手の背の高さを表現するためか、日和は伸びをしつつ手を頭の上でひらひらさせる。
「‥‥私も早く大学部行きたいな」
 ちょっぴり、寂しげに。
 三年になった日和はあと一年の我慢。一緒にいられる機会も今よりもっと、増えるはず。

「でも、これ、何の為のアンケートなの?」
「バレンタイン商戦に向けたアンケートです」
「あ、それならね」
 ふと思い出し。
「‥‥今年のバレンタインに聞いたんだけど、あの人、甘いものそんなに好きじゃないんだって。だから来年は苦めのチョコ使って何か作ろうと思ってるんだ。‥‥こういうの、何かの参考にならないかな?」
「いい情報です。参考にします」
 モブ子はうなずくと袋の中のチョコバーを取り出した。
「アンケートのお礼です」
「いいの? ありがとう」
 日和は礼を言って去っていく。

「男性の意見も聞きたいですね」
 次に目を付けたのはニット帽を被った青年。

「恋愛‥‥興味ない」
 声をかけられた影野 恭弥(ja0018)はそう言い放った。
「恋人を求めてこの学園に来た訳じゃないし。俺たち撃退士の日常は危険と隣り合わせ、だろ」
 モブ子が目をぱちくりさせるが気にしない。
「明日なにが起こるかも分からないのにそんなことしてる余裕ないね‥‥
 ま、やりたい人だけでやってればいいさ。恋人が枷になるやつもいれば強さになるやつもいるだろうし」
 一通り言うと、さっさとそこから離れようとする。モブ子はあわててお礼のチョコバーを差し出した。
「ん、どーも」
 とりあえず礼を言って受け取ると、あとはもう話しかけられたことも忘れたように、さっさと歩いていってしまった。

「あれがクールってやつですか」
 見送りながら、感慨深げなモブ子である。


 校舎を出ると、メイドさんが箒で入り口を掃いていた。

「‥‥?」
 違和感に首を傾げるモブ子だが、ここは久遠ヶ原。もっと違和感を感じる光景も日常茶飯事、気にしたら負け。
 ということで、シャルロッテ・W・リンハルト(jb0683)にアンケート。
「私、学園に来て間もないですから、そういった関係の方はまだいません」
 掃除の手を止め、照れたような微笑みを浮かべて答えるメイドさん。
「告白、なんて聞くと、なんだか恥ずかしくなりますね‥‥でも、お互い支えあえる関係って素晴らしいと思いますし、学園生活をより楽しめそうでいいですね」
 穏やかな口調に丁寧な物腰は、みんなの想像するメイドを体現しているといえようか。
「学園内のカップルは結構見かけますが、片想いの方や三角関係の方など多い気がします。できれば陰から応援したいところです、ふふふ」
 アンケートを終えたシャルロットは一礼すると、再び掃き掃除に戻っていった。

(‥‥別に学園に雇われてるわけではないんですよね)
 掃除してる理由も聞けばよかったと、モブ子は軽く後悔した。


 調子が出てきた、と近くを通った男性に声をかけるが。
「恋人? 友人すら最近ようやく数人できたばっかの、Theボッチの俺にそれを聞くのか‥‥?」
 虎落 九朗(jb0008)にとっては、それは開けてはいけないパンドラの箱だったようで。
 ゴゴゴ‥‥と闇のオーラがせり上がる。
「そもそも女子の知り合いもいないのに告白もなにもあるかぁ!」
 あっという間に沸点突破。
「というか、女子と思ったら男子、男の娘ってなんじゃそら?!」
「それは、ご愁傷様です」
 確かにこの学園、かわいい男子多い。モブ子もうなずくところだ。
「しまいにゃ俺もあのまま女装一直線で男の娘になったろか?!」
「それはどうかと」
 というか、あのままということはすでに女装歴があるらしい。

「にしても、カップル率高すぎだろ」
 恨みつらみはとどまるところを知らず。
「何がリア獣だ、お前らには友情があるじゃねえか! こちとら友情さえも四捨五入すりゃゼロだぞ?!」
 しまいには恋人いない人たちにまであたりだした。
「あ、もう十分です。ありがとうございました」
「おい、聞いてるのか?! まだまだ、俺は言い足りないんだーっ!」

 モブ子がチョコバーを置いて立ち去った後も、九朗はしばらく独りで叫んでいたという。

 彼の友人のみなさん、どうか彼を大切にしてあげてください。


「‥‥標準的な男子の意見が聞きたいのですが」
 とそこへ通りかかった穏和な雰囲気の青年。この人ならどうだろう。

「浮いた話がない僕の意見が参考になるかは疑問ですけど、いいですよ」
 楯清十郎(ja2990)はモブ子の申し出を快く請け負った。

「恋人‥‥いないですね。告白の予定も残念ながら無しです」
 清十郎はモブ子の不躾な質問にもまじめに回答。
「健全な青少年としては、恋人と一緒に昼食を食べたりする学園生活は憧れますからね。欲しくないとは言えませんよ」
 そう言って、穏やかに笑う。
「どうです、参考になりますか?」
「ええ、とても」
 こういう意見だってないと困るのである。

「個人的な見解としては‥‥僕たちは天魔との戦いでいつ死ぬかわからない身ですからね」
 清十郎がさらりと死、という言葉を口にする。
「相手を想うゆえに恋愛関係になることを怖れている人が結構多いのかもしれませんね」
 天魔と戦うものたちが集う学園。
 みんな当たり前に学園生活を謳歌しているように見えて、実はそうではない。
 清十郎が何気なく言ったからこそ、重く響く言葉だ。


 続いては儚げな雰囲気の白い少女。
「まあ‥‥アンケート、ですか?」
 長く伸びた髪をなびかせ、微風(ja8893)は立ち止まった。
 モブ子の問いには恥ずかしそうに。
「生憎と、わたしは男女交際の経験は皆無ですし、今現在好意を抱いている殿方も──」
 申し訳ありません、と一礼をする。
「まだほかにも聞いて回りますから、気にせず」
「まあ、それなら」
 顔を上げる微風。
「よろしければ、お手伝いさせていただけませんか? お力になれませんでしたから、せめて荷物持ちでも」
 モブ子は自分の両手をちらりとみた後、
「‥‥いえ、そんなに荷物ないですし」
 あっさりと断った。

「そ‥‥そうですか──」
 それを聞いた微風は、少々大げさによろめく。
「そうですよね。所詮わたしなどがついたところで、何の役にも──」
 よよ、と目尻を押さえ、ふらふらと後ずさるその様は、それこそ恋に破れた悲劇のヒロインか。
 短調なピアノ曲とかが聞こえてきそうである。
「‥‥それならこれ、持っててもらえますか」
 モブ子がお礼用のチョコバーを詰めた袋を差し出すと、微風はぱっと顔を輝かせた。
「いいんですか? わたし、頑張りますね」

「そろそろ別の場所に行こうと思いますが」
「この時間ですし、食堂などが良いのではないでしょうか?」
 微風の提案にうなずき、二人は移動する。


 昼休みも後半、学生食堂は幾分のんびりした空気が流れている。
「そういえば、カップルの意見をまだ聞けていないのです」
「でしたら‥‥あの二人などは?」
 微風が指し示す先に、食事中のひと組の男女が。

「食事中すみません。ちょっとアンケートをよろしいですか?」
「俺たちですか? ええ、構いませんが」
 モブ子に声をかけられて、ドニー・レイド(ja0470)はスプーンを置いた。
 カルラ=空木=クローシェ(ja0471)はその向かいでスープを口に運んでいる。
「お二人は、恋人同士ですか?」
「──っ!? やっ、違っ、けほっ‥‥」
 カルラがモブ子の問いに盛大にむせた。
「‥‥落ち着けよ、カルラ? 彼女は違いますよ。ただの友人です」
 対して、物腰を崩さないドニー。
「ということは、恋人は別に?」
「いや、残念ながら」
 そう言って苦笑する。
「たとえば、どんな人が理想でしょう?」
 微風が問うと、ドニーは少し考えて。
「そうだな‥‥気立てがよくて、後は料理が上手ければ。
 俺は真剣に付き合いたいから、将来もずっと一緒にいられるような人が良いかな。‥‥それこそ、守りたくなるような」
(‥‥‥‥ふぅん‥‥)
 ドニーが答えるのを、カルラはじっと見つめていた。
 当然、彼女にも同じ質問。
「私はまだ、そういうのは‥‥」
 否定しつつもちらりとドニーをみて。
「‥‥でも、もしできるなら‥‥傍で守ってくれるような人が良いかな、なんて‥‥」
(おや)
(これは‥‥)
 その答えを聞いて、そっと顔を見合わせるモブ子と微風。
「そんなこと言うと相手が減るぞ? カルラも撃退士なんだから」
 だが当のドニーは彼女の言葉の真意など、全く気づかない様子で笑っていた。
「そ、そんなの、私の勝手でしょ!」
 途端、カルラは不機嫌そうにそっぽを向くが、ドニーはそれも意に介さない。
(先は長そうですね)
 二人は内心でカルラにエールを送るのだった。


 周囲を見渡す二人の元へ、
「ねね、二人はどうやって知り合ったのー??」
 女の子の元気な声が聞こえてきた。

「部活で知り合ったな‥‥」
「うんうん、それでそれで?」
 昼下がりの恋バナに華を咲かせる柊 朔哉(ja2302)と藤咲千尋(ja8564)に、これ幸いとモブ子たちが近づく。
「え、彼氏がいるか!? そういう話はレギスちゃんにどうぞ!!」
 千尋は朔哉の背中をずずいと押した。
「レギスちゃん?」
「ああ、私の旧名です。その‥‥旦那、様が、いるので」
「なんと‥‥既婚者でしたか」
 モブ子が驚く。朔哉は戸惑いながらもまんざらでもなさそうに語り始めた。
「最初はお互いに異性拒絶体質、と言いますか‥‥ですが今ではこう、スキンシップがまぁ多めと言いますか、優しい旦那様、です。とても」
「好きなところは??」
 いつの間にかモブ子側に立っている千尋は興味津々。
「紳士的な所、私に対する行為・言動がすべて優しいところですね。すべてクールな所がたまりません‥‥格好良いです」
 朔哉は頬に手を当てほうとため息。
「私には、本当に勿体無い様な‥‥」
 何という全肯定。
「じゃあ最後に、旦那様にひとこと!」
 千尋はノリノリだ。朔哉は良人の姿を思い浮かべるように。
「戦地へ向かわれる際は御気をつけて‥‥
 愛しています。旦那様」
 堂々と、言ってのけた。
「へぇー! わぁー! ひょー!」
 最後は聞いている千尋たちの方が顔を赤くするほど。
「貴重なご意見、ありがとうございます」
 すでにお腹いっぱい気味だが、女の子はもう一人。
 朔哉は千尋の肩をガツッと掴んだ。
「ほら、千尋も。私は話したでしょう? この子も最近恋人が出来て」
「え、わ、わたしも!?」
 攻守逆転。朔哉はにこりと聖女の微笑みで千尋を追いつめる! 逃げられない!!
「え、えーと、毎日幸せで、す‥‥」
 ついに洗いざらい白状させられることとなった。

「恋人は‥‥一歳年上で、頼れる人です。掌で転がされてる気もするけど‥‥それも好き。にこにこ笑ってくれるのが嬉しくて、幸せとどきどきをいっぱいもらう毎日、です」
 顔を真っ赤にしながら、恋人のことを語る千尋。
 だけどやっぱり、その表情はどこか、嬉しそうで。
 本当に幸せなのが、言葉からも態度からも、伝わってくる。
「戦闘も、早く追いつきたいな。すごく遠いけど、目標」
 こく、と頷く。
「あ、でもね! 彼の方が料理上手だから、バレンタイン‥‥喜んでもらえるか、心配!!」
「ちゃんと心を込めれば、大丈夫だよ」
 朔哉が彼女の頭をそっと撫でた。
「板チョコいっぱい、入荷しておきますね」
 ‥‥一応、モブ子なりのエールです、これ。


 食堂を出たモブ子と微風。
 中庭の木陰で静かに読書する青年に目を留めた。
「‥‥恋愛に関するアンケート? 別に構わない」
 神凪 宗(ja0435)は本から顔を上げた。

「といっても、交際相手がいるわけではないから、参考にはならないはずだ‥‥相手が居たら、別な学園生活を過ごすことも出来るだろうし、楽しいだろうな」
「気になるお相手などは、いらっしゃいますか?」
 微風の問いには、いくらか困った顔をして。
「そう聞かれてもな‥‥身近な女子は、教師を除くと年下ばかりだ。まぁ、だからと言って年上が好みというわけではない」
「年下でも問題ないと」
「‥‥そうではなくて、特段理想のタイプがあるわけでもない、ということだ。
 恋愛対象かは置いといて、中等部で騒ぎを起こす女子がいて、放っておけないと感じるところはあるな」
「ほほう」
 モブ子がさらに追求しようとしたところで、昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った。


「残念、時間ですか。微風さん、お手伝いありがとうございました」
 モブ子はお礼のチョコバーを微風にも手渡す。
「興味深いお話をたくさん聞かせていただきました‥‥」
 満足そうに礼を返して、微風は一足先に校舎へ戻っていった。



●放課後

 校舎外で調査を開始。並んで歩く金髪の二人組に声をかける。
「アンケート? ‥‥良いけど」
 ルドルフ・ストゥルルソン(ja0051)とセシル・ジャンティ(ja3229)。一瞬二人とも女性かと思うほど美形のカップルだ。

「彼の好きなところですか‥‥? そ、そんなこと、恥ずかしいです‥‥」
「彼女の好きなとこ? そんなの決まってるじゃん。全部だよ」
 照れるセシルに対し、全く臆せず言い切るルドルフ。
 セシルを後ろから抱きしめて、首筋に顔を埋めるようにして甘えている。
「今みたいに、照れてホンネ言わない恥ずかしがり屋なとことか」
「デートはショッピングや‥‥ああ、夏はプールへ行きましたね‥‥もう! 何処を触っているんですか!」
「普段はお嬢っぽいのに銃持った途端雰囲気から表情から全部変わるところとか」
「‥‥どうしたんですか、そんなに甘えて‥‥」
 見せつけるようにべたべたくっつくルドルフに、セシルは額を小突いたり、頬を優しくつねってみたり。

 ‥‥どうみても、甘え返しているようにしか見えません。本当に(ry

「我ながら酷い惚れようだとは思うけどさ。ま、仕方ないかも。こんなに素直で綺麗な女、そうそういないし?」
「‥‥何よりも誰よりも、大切な人なのです」
 二人態度は違えど、その心根は確かに、つながっていて。

「はぁ‥‥どうもありがとうございました」
 モブ子はくらくらしながら、二人にチョコバーを手渡した。
「え? もうアンケートは終了ですか? お役に立てたのでしょうか‥‥」

 ええ、もうこれ以上無いくらいに。


「あら、恋愛事情のアンケート? 面白い事をやっているのね」
 続いて答えてくれたのは、モデルのようなスタイルの月臣 朔羅(ja0820)。

 さぞ男性にもてそうな‥‥と思いきや、彼女の回答は。
「付き合っている人? いるわよ。同性だけれど」
 あっさり衝撃の告白である。
「小さいときから一緒の子なの。一緒にいるのが当たり前で、気付いたら好きになっていたわね」
 とくに言いづらそうな様子もなく。
「社会一般でみれば、同性のカップルというのは珍しい代物だけど、面白い事に、この学園の中ではそう珍しい事であるようには見えないのよね」
 何しろ自由な学園である。性別の問題など、ここでは些細なこと‥‥なのだろうか。
「まあ、良くも悪くも型破りよね、この学園って」
 クスリと笑う。こんな風に堂々と語れるのは、それだけ相手のことを深く想い、信頼している証と言えた。

「カップルの数と傾向の把握ね。‥‥四ヶ月もすれば、また様変わりしそうだけど‥‥この学園のことだし」
 朔羅はそう言い残して去っていった。
「確かに、この学園ですからね」
 でも発注はしないといけないので、調査は続行です。


「恋人‥‥いませんね」
「告白の予定‥‥ありません」
 腰まで伸びたおさげが印象的な青年、カーディス=キャットフィールド(ja7927)はモブ子の質問に誠実に答えたあとで、がっくりとうなだれた。
「私はお力になれないのですよ‥‥」
「いえ、傾向の把握ですから」
 恋人がいない人の意見だって重要だ。だが、彼は納得がいかないらしい。
「期待に応えられる友人を紹介しましょう」
 そう言って、携帯を取り出した。

 しばらくして。
 モブ子はどういうわけか、校舎の壁面を疾走するカーディスに抱えられて運ばれていた。
「この学園広いので〜この移動が一番早いのです」
 カーディスには特に下心などがあるわけでもないらしい。モブ子もあんまりこだわらない性格なので、されるがままになっていた。

 Rehni Nam(ja5283)は学生寮『風鈴荘』の自室で勉強しているところだった。
「どうも、こんにちは」
 そこへやってきたカーディス。
 顔を上げたRehniが最初に目をやるのは、当然抱えている女の子。
「にゃ? 誰をお姫様抱っこしてるのです? ‥‥もしかして、その女性とご交際のご報告ですか?」
 Rehniの早合点に、カーディスはあわてて否定する。
「こ‥‥交際!? 違いますよ学園についてのアンケートだそうです」
「あ、どうも」
 モブ子は抱えられたまま、Rehniにぺこりと挨拶した。

「え 私の恋愛事情? にゃー‥‥」
 ようやく床に降りたモブ子に詳細を聞き、Rehniは頬を染める。
「恋人はいるのです。とってもラブラブですよ‥‥お互い恥ずかしすぎて顔もまともに見れないですが」
「私はお茶の用意を‥‥あ、これお茶受けにどうぞ」
 カーディスはおやつに持っていた鯛焼きを置いて、お話を聞く準備を整えた。
「すぐ真っ赤になって‥‥視線ずらしちゃうのです。
 それでちらちら顔を見ると目が合って、視線ずらして
 何回か繰り返して‥‥お互いえへへって照れ笑い、するのです」
 Rehniの独白を聞きながら、カーディスとモブ子はお茶をすする。
 渋めに入れておいて良かった。まだ鯛焼き一口も食べてないけど。
「その様子ですと、キスなどは‥‥」
「え キス? そっそんなお付き合いはじめてたった二ヶ月で! 破廉恥すぎるのですよぅ」
 Rehniはいやいやと首を振ったが、顔はぜんぜん嫌そうじゃない。
「べ 別に嫌じゃないのですよ? むしろしたいですしでも恥ずかしいですし
 でも目も合わせられないのに難易度高すぎですし
 手を繋ぐのもやっとなのにステップ抜かしすぎですし
 でも もし彼がしたいって言って来たなら、なんて‥‥」
 最早二人など目に入らないRehniはすっかり妄想お惚気モード。

(お幸せそうで何よりですが甘っ‥‥ぐふっ)
(鯛焼き食べても甘さを感じませんね‥‥)
 砂糖の海におぼれる二人であった。


 モブ子は(またカーディスに抱えられて)学園に戻ってきた。
 そこに丁度いたGジャン姿の青年に声をかける。
「なになに、アンケートに答えればいいの?」
 気安く請け負う若杉 英斗(ja4230)。

 それが、悲劇の始まりであった。※言い過ぎ

「恋人はいますか?」
「いません」
「告白の予定は?」
「ありません」
 モブ子の質問に答えながら、英斗の顔がだんだんとひきつっていく。
(なんだこの質問‥‥だいたい何でお姫様抱っこされてるの?)
 すみません、それはたまたまです。
(このままだと、次の質問は「彼女いない歴が年齢と同じですか?」と来て、はいって答えると指さして笑われる流れか、ふざけんな!)
 妄想が加速して、英斗はキレた。

 心を揺さぶる激しい脳内BGMが流れ始め、英斗のオーラが真っ赤に燃える!
「俺の非モテが光って唸る 合コン誘えと輝き叫ぶ!」
 まさにこんな時のために用意されたスキル『神輝掌』、別名。
「必殺! シャイニングフィンガーーーー!!」

 神々しいまでの輝きは、学園の一角を白く染めあげた──。

(合コン、誘ってあげてください──)

 ※彼はこの後すぐ我に返ったのでけが人とかは出ませんでした。よかったね。


 カーディスと別れたモブ子が続いて声をかけたのは、金髪ツインテの女の子、新崎 ふゆみ(ja8965)。

「んゆ?」
 モブ子に声をかけられたふゆみは、立ち止まって大きな目をぱちくり。
 だけどすぐににっこり、笑顔になって。
「え?んふふ〜…ふゆみには、すてっきなダーリンがもういるのだぁ☆」
 心からうれしそうに、きらきら星をふりまいた。
「いっつもふゆみにやさしくしてくれてねー、笑顔がとってもかわいいの★」
 きっと彼女の脳内では今頃、120%美化された彼氏の笑顔が映し出されているのだろう。
「ふゆみがこのガッコで見つけた、王子様なのだぁ★」

「好きだから、いっしょにいたい‥‥そうゆうコト、だよねっ☆」
 なんともシンプルで、純粋で。
 彼女がひとこと口に出すたび、明るい星がきらり、輝く。
「イベントごとの時は、もっちろん!」
 モブ子に顔を近づけて、にかっ、と笑う。
「クリスマスも、バレンタインも‥‥今からすっごくすっごく、楽しみなのだっ☆」

「まさに恋する乙女、でした」
 先行きに何の不安もなく、ただ幸福な未来だけを想像する。それは、簡単なことではない。
 それだけ、相手を信じているということだろう。

「これからもずっと、幸福であってくれたらいいですね」


「アンケート? えぇ、別に構わないけど‥‥久遠ヶ原恋愛事情、ねぇ‥‥」
 東雲 桃華(ja0319)はちょっと複雑な顔をする。
「ま、まぁ‥‥気になってる人はいるっていうかなんというか‥‥」
 少しもじもじとした後で。
「‥‥ええ、好いてる人はいるわ。私の一方的な想いだけどね。嫌われてはいないのが幸いだけど」
「片想いですか」
「‥‥彼、鈍いのよね」
 言い出したら止まらない。桃華はモブ子に向かって、溜めこんだ想いを吐露していく。
「どれだけアプローチしても全然気付いてくれなくて‥‥私が素直じゃないのが原因なんだろうけど。それにしても少しぐらい察してくれてもいいのに‥‥」
 溜め息混じりにそう言って、モブ子をつと見る。
「‥‥ねぇ。なにかいい方法ないかしら?」
「素直になったらいいんじゃないですか?」
「そ、それが出来たら苦労ないわよ」
 ズバッと言われて動揺する桃華だったが。
「‥‥誰かに聞くことでもないか。ごめんなさい。忘れて頂戴」
 すぐに己を取り戻して背筋を正す。
「あ、アンケートだったわね。悪いんだけど、ノーコメントって事にしておいてもらえるかしら?」
 モブ子にそう言い残して去って行った。

「──忘れろと言われても」
 桃華には悪いが、せいぜい店長に言うか言わないかくらいの違いしかないのだ。


「れ、恋愛事情‥‥ですか? 自分のこと話すのが妥当‥‥なのかな?」
 澤口 凪(ja3398)は、ストレートな質問にどぎまぎしながら。
「えと、いますよ。大事な人」
 それでもはっきりと、そう答えた。

 彼女の恋人は寮の寮長。
 そのため知り合ったのは学園に入学してすぐのことだった。
「はじめはこうなるとはちょっと思ってませんでしたけど」
 はにかむように笑う凪。
「ただ、いっしょに暮らして、依頼もこなしたりして‥‥なんでしょう」
 言葉を探すして目線を動かす。
「この人となら不幸になっても大丈夫、一緒にいれば生きて往けるって、思ったんですよね」

 幸福を求めるのではなくて。
 不幸さえ分かち合える、そんな誰か。

 それが、彼女が恋人に求めるものだったのだ。

「素敵な考え方ですね」
 モブ子が言うと、凪は急に真っ赤になった。
「は、恥ずかしいです‥‥!」

 モブ子と別れた凪は、火照った頬を風で冷やす。
(‥‥うん、今日は寄り道しないで帰ろうっと)
 大切な人の待つ場所へ、いつもよりちょっと、急ぎ足で。


 時間はそろそろ夕暮れ近く。そんな中、やっと捕まえた女の子。
「なになにアンケート?」
 栗原 ひなこ(ja3001)はモブ子に詳細を聞くと、元気よく腕をたたいた。
「情報収集なら任せてっ! あたしも協力するよっ」
 モブ子の手を取り、話を聞けそうな人を探して走り出した。
「みんなの恋愛話、集めちゃおー!」

「あっ、天河さんにひまちゃんだ。おーい!」
 下校するところだった天河アシュリ(ja0397)と市来 緋毬(ja0164)は、ひなこの声に足をとめた。
「ひなお姉ちゃん‥‥どうしたのです?」
 緋毬はかくりと首をかしげるが、モブ子から詳細を聞くと途端に頬を真っ赤に染めた。
「え? あの‥‥恋人はいません。好きな方もとくには‥‥」
 うつむきがちになりながらも、ちゃんと答える。
「彼氏ができたら何したい?」
 隣のアシュリに質問されると、うーんと少し、考えて。
「‥‥お買い物や映画など、思いつきはしますけれど‥‥お相手次第で楽しいことも変わると思うのですが、違います?」
 恋愛経験のまだない緋毬。いろいろ想像はするけれど、ちゃんとしたイメージはまだ持てないというのが正直なところなのだろう。
「私よりも、彼氏のいるアシュリさんに聞くのが一番ではないです?」
 回答者の立場を、アシュリに譲った。

「うん? アッシュにひなこに緋毬じゃねーか、何やってんだあいつら」
 カルム・カーセス(ja0429)は、見知った者たちが集まっているのを見て立ち止まる。
「もう一人は‥‥誰だ? どっかで見たことあるような気もするが‥‥ふむ、思い出せねぇな」
 モブ子の顔を一発で覚えている人は少ないです。
「中々面白いことになってるみてえだな。しばらく傍観しとくか‥‥」
 四人に気づかれないよう、カルムはそっと物陰に隠れた。

「付き合って約一年だよ。好きなトコ? 軟派っぽくふるまってるけど、博識で尊敬してるし、実は一途で恥ずかしがりやなとことか‥‥」
 そこそこの交際歴があるせいか、アシュリは特に照れるでもなく恋人について語る。
「カーセスさんには、お菓子部でケーキ作ったりね」
「そうだったわね」
 思い出して、懐かしそうに。
 興が乗ってきたのか、アシュリは想いを連ねていく。
「とにかく大好き! 目が覚めて一番に好きな人が視界に入るって幸せだなって、一緒に住み始めてから毎日そう思う」
「目が覚めて‥‥」
「一番に?」
 しかしつい口にした言葉に、ひなこと緋毬が目を丸くした。
「え? そりゃ、隣で寝て‥‥何? ちょ、ちょっと、なんで照れる?」
 思わず顔を赤くした二人に、慌てるアシュリ。
「だって同じベッ‥‥あ」
 よせばいいのに、とどめの一言。
「ど、どうしよう、今のナシ!」
 ようやく思い至って手をぶんぶんと振ったところで時すでに遅し。
「大学生は、大人なのです‥‥」
 顔を覆った緋毬が、ぽつりと呟いた。

(やれやれ、そろそろ助けてやるかね)
 照れて慌てる恋人も可愛いが、そろそろ潮時か。
 カルムはさっと駆け寄ると、火消しに必死なアシュリの手をとった。
「きゃ‥‥カルム?! 驚いた‥‥って何時から聞いてたノ?」
 まさか聞かれているとは思わず、さらに顔を赤くするアシュリ。
「悪いな、ひなこ、緋毬。お姫様は貰ってくぜ」
 カルムは言い投げて、そのまま手を引いて去り際。つと立ち止まって。
「おっと、そうそうアンケートな」
 アシュリのことをぐっと抱き寄せると、おでこにチュッと口付けを。
「見ての通りっつーことで‥‥じゃあな!」
 そのまま恋人の手を引いて、風のように去って行った。
「うひゃあー‥‥」
 すっかり当てられた三人は、見送ることしかできなかった。


「いやー、大学生の恋愛事情はさすがだねー‥‥勉強になったよ」
「そろそろ、バイトの時間なので──あと一人くらいですね」
「それなら‥‥」
 ひなこが辺りを見回すと、おあつらえ向きの女性の姿を発見した。

「恋人? いるよ〜」
 森浦 萌々佳(ja0835)はほんわか笑顔でそう答えた。
「ふふ、ももかちゃんの惚気話聞かせて貰おーじゃないっ」
「彼のどんなところが好きですか?」
「最初は優しいところだけだったんだけど」
 ひなこが言ったから、ではないだろうが。
「やっぱり笑顔も素敵だし時々‥‥うん、時々かっこいいところもあるし。
 あ、任務だとすごくかっこいいんだよ? 
 それだけじゃなくてバレンタインに花束をくれたり
 すっごくあたしのことを真剣に思ってくれ(略」
 萌々佳の惚気は、しばらく止まらなかった。

「文化祭カップルももう一年経つんだよね‥‥」
 今年の文化祭も、もうすぐそこだ。
「DWコンテストで優勝してお揃いのにゃんこ作ったり! もー憧れるぞぉ」
 にこにこと萌々佳が抱えているそれこそ、その「すーにゃんこ」。
 恋人を模して作った猫のぬいぐるみに、愛おしそうに顔を埋めていた。

 話を終えた萌々佳は、携帯を取り出してメールを打ち始める。
 軽やかな手つき。宛先は言うまでもない。
(逢いたいな。逢えるかな?)
 もう頭の中は、彼の笑顔で一杯だった。


「ありがとうございました。おかげさまで中々の成果です」
 手伝ってくれたひなこにも、モブ子はチョコバーを手渡す。用意してきた分は、これできれいになくなった。
「こちらこそ、取材にもなって一石二鳥♪ ふふ、放送のネタもバッチリだよっ」
 ほくほく笑顔のひなこに、モブ子は最後のアンケート。
「それで、ひなこさんの恋愛事情は‥‥」
「えっ、あたしの事? う〜んと‥‥ナイショっ!」
 
 頬染めるひなこの恋愛事情は、結局聞けずじまいに終わった。



 久遠ヶ原恋愛事情 報告書
 男性:9人  女性:16人

 恋人いる:12人(相手同性:1人)  いない:11人  ナイショ:1人  片想(訂正線)ノーコメント:1人
 ※男性はカップルで答えた人をのぞいて全員恋人はいないと回答

「あとは店長次第ですね」
 十分な調査結果を手に、モブ子は学園を後にするのだった。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:13人

God of Snipe・
影野 恭弥(ja0018)

卒業 男 インフィルトレイター
銀閃・
ルドルフ・ストゥルルソン(ja0051)

大学部6年145組 男 鬼道忍軍
何も怖くない(多分)・
市来 緋毬(ja0164)

大学部4年213組 女 鬼道忍軍
黒の桜火・
東雲 桃華(ja0319)

大学部5年68組 女 阿修羅
恋人と繋ぐ右手・
天河アシュリ(ja0397)

大学部7年277組 女 鬼道忍軍
My Sweetie・
カルム・カーセス(ja0429)

大学部7年273組 男 ダアト
凍気を砕きし嚮後の先駆者・
神凪 宗(ja0435)

大学部8年49組 男 鬼道忍軍
二人の距離、変わった答え・
ドニー・レイド(ja0470)

大学部4年4組 男 ルインズブレイド
二人の距離、変わった答え・
カルラ=レイド=クローシェ(ja0471)

大学部4年6組 女 インフィルトレイター
封影百手・
月臣 朔羅(ja0820)

卒業 女 鬼道忍軍
仁義なき天使の微笑み・
森浦 萌々佳(ja0835)

卒業 女 ディバインナイト
茨の野を歩む者・
柊 朔哉(ja2302)

大学部5年228組 女 アストラルヴァンガード
道を切り開く者・
楯清十郎(ja2990)

大学部4年231組 男 ディバインナイト
懐かしい未来の夢を見た・
栗原 ひなこ(ja3001)

大学部5年255組 女 アストラルヴァンガード
Amethyst Beauty・
セシル・ジャンティ(ja3229)

大学部8年239組 女 インフィルトレイター
君のために・
桐生 凪(ja3398)

卒業 女 インフィルトレイター
ブレイブハート・
若杉 英斗(ja4230)

大学部4年4組 男 ディバインナイト
過去と戦うもの・
八角 日和(ja4931)

大学部5年96組 女 阿修羅
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
二月といえば海・
カーディス=キャットフィールド(ja7927)

卒業 男 鬼道忍軍
輝く未来の訪れ願う・
櫟 千尋(ja8564)

大学部4年228組 女 インフィルトレイター
穏やかなれど確たる・
微風(ja8893)

大学部5年173組 女 ルインズブレイド
ひょっとこ仮面参上☆ミ・
新崎 ふゆみ(ja8965)

大学部2年141組 女 阿修羅
撃退士・
虎落 九朗(jb0008)

卒業 男 アストラルヴァンガード
ゴシックメイド・
シャルロッテ・W・リンハルト(jb0683)

大学部6年246組 女 ナイトウォーカー