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「良く集まってくれた。さて、諸君。ここに各種の薬を用意してある。この哀れな子羊を救ってやってくれないか。
まぁ、失敗したらその時はその時だ。自由に薬を組み合わせて試飲してほしい」
「本当に…よろしくお願いします。一刻も早く戻りたいんで!」
「っと、言うわけで、早速それぞれ試してみてくれたまえ。組み合わせは自由だが、3種類を組み合わせてもらいたい。
分量は等分でな」
(男が俺しかいねえ……気を抜けば帰りたくなるなコレ)
そんなことを思いながら、卓上に置いてある薬を興味深く手に取るのは、
今回唯一の男性参加者、地領院 徒歩(
ja0689)だ。
自身も医の道?に身を置く者としては、東雲の作る薬に多少興味があった。
「どうせ即物的なものだ、外れならマッドな体験が出来ればいい。後成長ホルモンが多少刺激でもされれ尚良し…」
慎重に薬を選んでいく徒歩。色々悩んだが最後は、4・5・6(毛生え+豊胸+惚れ薬)の薬を選んだ。
内心は3番の身長を伸ばす薬を選びたがった!しかし、依頼には真面目に協力しようと良心が働いた。
「俺の見立てでは、これらが当たりだと思うんだが、さて…あ、東雲さん。記録係を用意してるんですか?」
「私がやろうかと思っていたのだが、ふむ。君がやってくれるのならばありがたいが」
「了解、引き受けました」
前日徹夜のためいつも以上にぼーっとしており、眠たげに目をこすりながら
卓上の薬を見ていたのは鳥海 月花(
ja1538)だ。
そして、薬と誠を交互に見やって、東雲に問うた。
「えーっと…この方、本当に男性だったのですか?」
「うむ。つい数時間ほど前は立派な男だったぞ」
「そうなんですか…」
東雲の言葉に納得しつつ薬を選んでいく。そしてチョイスしたのは2・3・5(若返り+身長+豊胸)の薬だ。
「おい、体がふらついているが大丈夫なのか?」
「あ、大丈夫です…。ちょっと寝不足なだけですので」
そう言いながら、選んだ薬を混ぜていく。最初に「分量は等分で」と言われたにもかかわらず、
2を多めに、3・5を少なめに混ぜてしまった。
寝ぼけながらの作業だったので、頭が良く回っておらず、分量を間違えて組み合わせてしまったのだ。
「薬ひとつひとつの効果を聞くだけでも面白いのです! それを組み合わせたら…どうなるのでしょうね?
れっつとらい、なのですー♪ 」
楽しそうに薬を選んでいるのは逸宮 焔寿(
ja2900)だ。
そして選んだのは、1・4・5(加齢+毛生え+豊胸)の薬だ。
「普通に考えたら、髪の長いナイスバディなお姉さん…ですよね。
ん?男性になったら髪の長いナイスバディの男の人?」
しばらく頭を悩ませたが、そうなったらそうなったでいいや。っと持ち前の明るさを発揮する。
「勿論、成功を狙うのですっ。反転薬つくるですよー」
変な効果でウサギ人間になったら素敵なのですが、とか呟きながら。
仮に失敗したとしても、ソレはそれで楽しもうと思っている焔寿だった。
「おー不思議なお薬だねーこれを飲めばいいのー?いいよー」
鬼燈 しきみ(
ja3040)は楓から薬の説明を受けつつ、ふむふむと相槌を打ちながら、薬の餞別に入った。
この依頼に参加したのは、面白そうだったから依頼を受けたのだ。そして、楓の説明を受け確信を得た。
やはり面白そうだと。
「すごい薬だねー事実は小説よりも奇なりだー」
一通り説明を受けたしきみは、2・3・6の薬を手に取った。
組み合わせのイメージは蒼いキャンディの強化版だ。キャンディで年齢を下げ、
身長を上げる薬を年齢を下げる薬の効果で身長を下げ、惚れ薬で可愛らしさをアップしようという作戦だ。
完全に自分のためである。男女反転薬を作らずにロリ化する薬を作ろうと画策したのだ。
「よーし、ボクはこれいいかなー。うぇーい、ぎーねはどれを混ぜるのー?」
「あぁ、そうだな…」
ギィネシアヌ(
ja5565)は卓上に並んだ薬を見る。
誠を助けるという目的で参加したギィネシアヌだが、内情は違った。
(また部長の発明品か…今度は一体何を…待てよ、これを上手く利用すればフフッフフ)
自分の欲望に忠実なギィネシアヌである。
以前の依頼で見事豊胸薬の試飲に成功し、一週間ではあるが胸がバイーンになった記憶がよみがえる。
アレをもう一度、更に進化した形で超絶美女になるチャンスが巡ってきたのである。
そっと、天に感謝した。
「よし!折角だから!俺はこれを選ぶぜ!」
選んだ薬は1・3・5である。年齢を上げ、身長を高くし、胸を大きく。
ナイスバディなお姉さんになる!思いっきり欲望丸出しである。
「災難だったな…だが、俺たちがどうにかしてやるさ」
一応誠に気遣いの言葉をかけるが、内情は…。まさに小悪魔である。
「この組み合わせ、上手く行ったらなんか大人っぽい感じになれると思わない?」
高峰 彩香(
ja5000)の選んだ組み合わせは、1.3.4である。
年齢を上乗せし、身長を高くして、毛を伸ばす。
なるほど、上手くいけばこれまた美女の誕生しそうな予感である。
また、彩香もしきみ・ギィネシアヌと同じで反転薬を作ることには興味はなかった。
「ねぇねぇ。と言うかむしろ今の状況を楽しんでみるのもいいかもよ?」
と、誠に言い出す始末である。嫌がる誠の横で東雲が大笑いしていた。
「お薬の飲むだけなら、きっと大丈夫。私の背も、きっと人並みには大きくなるよね! 」
そう言いつつ薬を選ぶのは菊開 すみれ(
ja6392)だ。
最初は依頼の事の顛末を聞き、男女反転薬を作らないと聞きちょっとガッカリしたが、
しかし、自分の好きに薬を組み合わせて良いと聞いてニンマリした。
ギィネシアヌの組み合わせ(年齢+身長+豊胸)を聞き、大人の女性になるには自分もそれしかないと確信。
同じ組み合わせを試めそうと1・3・5の組み合わせを選んだ。選んだつもりだった。
しかし、実際に手を取ったのは、1・3・6だ。
何か慌てていたのだろうか。そのまま薬を調合してしまったのである。
「何か面白そうだよね♪こんなのは適当に混ぜ合わせればきっとなんとかなるのだ♪多分。
もしかしたら?失敗したら失敗した時だよね♪」
楽しげに薬を選んでいるのは焔 楓(
ja7214)だ。
今回の依頼は単純に面白そうだからと思ったので参加した。ある意味一番純粋だ。
一応『男女反転薬』にならないかと思い調合を試みるが、特に何かを考えて選んではおらず、直感と勢いのみ。
選んだ薬は2・5・6である。 年齢をマイナスし、胸を大きくし、惚れ薬で魅力アップ。
焔の年齢は10才。ここで年齢をマイナスさせるのは実にチャレンジャーであった。
ついでに部長とは名前が同じなので仲良し握手をする。
「部長さんあたしと同じ名前ー♪お友達になるのだ♪」
「あぁ、よろとしくな焔君」
焔は東雲の手を取りぶんぶんと振っている。実に楽しそうである。
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「さて、それぞれ薬を選び終えたようだな。では皆いっせいに…」
「あ、はいはーい!飲むときの号令って私に掛けさせていただけませんか?」
焔寿がシュタッ!っと手を上げて号令の立候補をした。東雲は笑いながら頷く。
「え〜では…。おっほん!ここに集いし選ばれし勇者よ。さぁいざ飲み干すがいい!己が望む結末を掴み取れ!」
背後から『ばばーん!』っとどこからともなく効果音が付いてきた。
焔寿の号令がかかり、それぞれが自分の調合した薬を飲んでいく。
結果は…悲喜こもごもの声が各所から上がった。
「キタアアアアアア!やってやったのぜ!!」
まず、一番喜んでいるのはギィネシアヌだ。
反転薬などそっちのけで、自分の思い描く最強の自分をイメージして作り上げた薬は、
見事にその効果を表していた。
年齢が上がり、その容姿は美少女から美女へと変貌し、低かった身長もかなり伸びている。
そして何より求めていた胸だ。自己主張の激しい二つの頂が自分にあった。
ブラが苦しい。
恐る恐る自分の胸を触ってみる。
「夢じゃないよな…」
頬も抓ってみるが間違いない。
「おーぅ。ぎーねがぎーねじゃないー。それちょっと触らせてー」
しきみがギィネシアヌに駆け寄り、その見事なおっぱいをほよほよと触る。
「ちょ、やめろよしきみちゃん。みんなが見てるって」
「よいではないかーよいではないかー」
「その体型で、その言葉は似合わないのぜ。それにしてもしきみちゃんは可愛くなったなぁ!」
ぎゅーっとギィネシアヌがしきみを抱きしめる。
そう、しきみもまたある意味では薬の試飲に成功していた。
反転薬にはならなかったが、自分の思い描いた通りの薬の効果を得ていたのだ。
年齢が下がり、背も縮み、可愛らしさが150%はアップしている。
大きなお友達がカメラを構えるほどのレベルだ。
「うわぁ…あたし格好良い」
予め用意されていた姿見をみつつ彩香が呟く。
短髪だった髪は腰に届くほどまで伸び、なにより艶やかに輝いている。
年齢が加算された効果で少し幼かった顔立ちがシャープになった。
また、身長が伸びたことにより、モデルとしてもやっていけそうな抜群の
プロポーションを手にしたのだ。
ちらっとギィネシアヌを見る。同じ銀髪同士で背丈もほぼ同じだ。
並んで立てば、さぞかし映えるのだろうなと思った。
「皆さん大きいですね…おぉ、ちっちゃいし…ないです。鏡はどこですか?」
薬を飲んだ後に、徐々に縮んでいく不思議な感覚を味わいつつも、
現状を確かめる月花。
年齢が下がり、身長も縮んだ。そして、豊胸薬の効果は…逆の意味で出たのだ。
胸がない。まぁ、年齢も下がっているので元々ない体型に戻ったといえばそれまでなのだが。
見事に胸がなくなりぺったんこだ。
効果が一週間しか続かないことがわかっていなければ大混乱していただろう。
「それにしても…服がぶかぶか。えっと…着替えたいので元男性の方は後ろを向いていただけると」
裁縫セットを借りて、服はなんとか着れるようにざっと縫う。器用な月花であった。
「あれ?効果ない??」
すみれが呟く。薬の効果はあった。年齢が加算され、それに見合った成長を見せている。
また、身長もプラスされ、少女は女へと変貌を遂げていた。
しかし、彼女の言っているのは胸だ。胸が成長しないのである。
それはそうだろう。彼女は豊胸薬ではなく、惚れ薬を混ぜていたのだから。
そして、それの効果が強く出てしまった。
ギィネシアヌがすみれに抱きついてきたのだ。
「え?ギイネちゃん?」
「すみれ!好きなのぜ!もう放さねぇ」
「…もしかして、薬間違えた?」
もしかしなくても間違えていたのだ。
「えぇー!」
「後はこれを一気に飲み干せばいいのかな?かな?それじゃあ頂きますなのだー♪」
そう言って腰に手を当て薬を一気飲みしたのは焔だ。
「これで男の子になってれば誠おに…おね…おねにーさん?をもとに戻すことが出来るんだよね♪」
そして、しばらくした後変化が訪れた。
まず胸だ。…大きくなった!
年齢…年齢を下げる薬の効果が逆に出たらしく、外見年齢がプラス5歳増えた。
そしてなにより、一番大きな効果が…ぱっと見、外からはわからない変化があった。
「あれ?これってアレじゃないの?」
もぞもぞと自分の下着に手を入れてみる。
…不思議な感覚だった。女性には付いていないものが、付いている。
胸もあるのに、男性器がある。
おねえさんとおにいさんを足した状態。おねにーさん状態だ。
漫画の世界ではよくあるジャンルを一人で再現してしまっていた。
「お、付いてるー。って言う事は、これって成功?」
焔が東雲に質問した。
「ふむ…しかし、効果が半端だな。完全に男性になったわけではないからな。半分成功と言ったところか」
「あは♪何はともあれ薬が切れるまでは楽しもうー♪きっとなんとかなるのだ♪」
ポジティブな焔であった。
「焔寿いっきまーす☆」
ごくごくと飲み干すと、それはすぐに反応があった。
作り変わって行く体。まず、体の成長があった。上手く年齢がプラスされたようだ。
そして元々長かった髪の毛が更に艶を増し伸びた。
慎ましかった胸は大きくなった。ここまでは順調だった。
このままで終わってれば良かった。
しかし、天の配剤は彼女に試練を与えた。
そう、股間に違和感を感じる。
アレだ。象さんが出現しているのだ。焔と同じくおねにーさん状態になってしまったのだ。
「えぇー!」
残念な悲鳴を上げる。股間以外は上手くいった。股間がいらなかった。
「でもまぁ、いっか。これ一週間ぐらいしか効能ないっって言ってたし」
焔と同じくポジティブな焔寿であった。
「こ、これは…」
薬を飲んだとたん徒歩は『光纏』した。彼の周りから突如炎のような揺らめきが起こり、
やがて収まる。
キタ。キテシマッタ。彼は徒歩はやってしまった。
それはまるで宇宙の黒を星の瞬きを取り込んだかのような、蒼みがかった豊かな黒髪。
刮目せよ!これが黄金比だ!といわんばかりの完璧な曲線美を描くプロポーション。
大きすぎず、小さすぎず。全ての男性をいや、異性をも惹きつけて止まない女性の象徴。
彼から、否!彼女の全身から漏れ出でる色気。フェロモンを超越した何か。
全ての者を惹きつけて止まないカリスマ。
ミロのヴィーナス。いや、それをも超える。超えてしまったのだ彼は。
男から女へ。完璧に性別を超えて見せた。まさに彼はチェンジしたのだ。
気がつけば、皆が彼に頭を垂れていた。
自然とそうさせてしまう波動が彼女から発せられていたのだ。
「え?ちょっ…」
彼女から発せられる声は正に福音。
女性はしばしば母なる海にたとえられる。なれば彼女こそがテティス。
福音はここにあった。
「貴女が私の鞘だったのですね…」
意味がわからない。誠が徒歩を抱きしめる。
実に絵になる。これは売れる。フラッシュがそこかしこから光る。
「と、ともかく、これで依頼は完遂だな。反転薬がどれを組み合わせれば良いかわかったしな」
「そうですね。本当にありがとうございました」
「っふ…礼には及ばない。…依頼を受けて遂行した。ただそれだけのことだ」
「「「「「「「「格好良い」」」」」」」」
皆の目がハートマークになっていた。
かくして、依頼は成功裏に終わった。
薬の効果は一週間ほど続き、それぞれ思い思いの一週間をすごしたようだ。
その中でも一番酷かったのが、すみれである。
性格が派手になってしまい、普段の行動からは考えられないほどのイケイケに。
大人の姿になった自分に惚れ薬の効果も相まって男女問わずの求愛ぶりに、
「そこの愚民ども!私に跪いて、すみれ様とお呼びなさい!」
とノリにノッっていた。
当然、それが切れた後は…しばらく部屋から出られなかったすみれである。
了