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マスター:佐嶋 ちよみ
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
参加人数:25人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2013/11/26


みんなの思い出



オープニング


 ここは久遠ヶ原の片隅にあるレストラン菜花亭。
 今日も元気に営業中――のハズ、であるが。

「おはようございまーす! 冬の新メニュー、今日からですよね。楽しみ!」
「ああ、柏木さん。もう、そんな時間か……」
 アルバイトの柏木 陽子が学園での活動もそこそこに顔を出すと、マスターは時計を見て我に返ったようだ。
 11月も半ば近く。
 秋深まり冬の足音が聞こえ始める季節。日が暮れるのも、早くなってきた。
 このレストランでも、今日からメニューは冬を意識したものへと切り替わる。
「それがね……」
 エプロンを着けながら、柏木は歯切れの悪いマスターの手元を覗きこんだ。

 ――いも掘り体験、しませんか?

「サツマイモ。あ、関西の農園ですか」
「向こうは、暖かいからね。知り合いが経営してるんだが……ほら、毎年送ってきてくれる所だよ」
「ああー。ホクホクのサツマイモ! そういえば、今年は届いていませんね」
 お菓子にも料理にも使い勝手のいい、一般的な品種で味が良い。
 従業員のオヤツで、コッソリ焼き芋を頂戴するのが楽しみだった。
「イノシシ……ですか」
 案内ハガキの下部に、手書きの文面。イノシシ出没により、期間半ばで終了との旨が書かれていた。
 猪突猛進、という言葉があるように、イノシシ本来の突進力は一般人には手に負えないほど凄まじい。
 ワイヤー、猟銃、そういった対抗策でさえ、非常に危険を伴っての行動なのだ。
「まだまだお客を呼び込める段階で、どうにもできなくなったらしくてねえ。
かといって、そのまま芋を地中に入れてたら腐ってしまうから。掘りには行けない、掘らなくちゃいけない、難儀だね」
「あの、それ、学園に依頼できないでしょうか」
「……撃退士に??」
「だって、一般人じゃ危険すぎるんでしょう?」
「まあ、たしかに」
 とはいっても、撃退士の無駄遣いにならないだろうか。
 今だって、各地では天魔との戦いが続いているというのに。
 イノシシを相手取り、サツマイモを掘る。
 色んな意味でオーバーキルにならないか?
「好きな生徒さんは、居ると思いますよー。おいも、そこで食べちゃったりもいいんですよね」
「ああ、それも報酬に含めてくれるというなら有り難い。謝礼は向こうと僕と併せても、多くは払えないからねぇ。
段ボール2つ分、レストランの取り分として持ち帰ってくれると助かるよ」
 頷きながら、柏木はレポート用紙へ依頼内容をまとめていく。
「体験系の農園ってことは、お泊り出来るような場所もありますか?」
「ああー。夏向けだけど、簡単なロッジがあったな。でも、さすがに夜は冷えると思うよ……」
「ふっ、マスター。私たちは撃退士であり、そして学生です。夜のヤンチャもご褒美です!!」
 髪をかき上げ、柏木はキリリと言い放った。


●最後の実り、掘りつくし大会のご案内
 日中は大自然でサツマイモ掘りとイノシシ警戒。
 夕方はキャンプ料理。
 夜はワイワイお泊り。
 山間の農園だというから、きっと星空も綺麗だろう。
 近くに川もあるというが…… さすがに水遊びはできないだろうな。やってみる?


 秋の終わりの悪足掻き。
 美味しい空気を吸って、のびのびと身体を動かして。
 どうか、天候に恵まれますように。




リプレイ本文


 爽やかな秋晴れの日だった。
 風は冷たいが、農園へ辿りつくまでのちょっとした山登りで体は暖まっている。
 そして、これから更に労働タイムだ。

「秋です、外です、良い事です」
 軍手にスコップ、装備は万端。
 安瀬地 治翠(jb5992)は目を細め、山の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
 土の香り、落ち葉の香りが気持を優しくしてくれる。
「秋だね、外だね、寒いよ。ねぇ寒いよハル、俺は帰――」
 調子を合わせるふりをして、細い体に防寒の上着をしっかり着こんだ時入 雪人(jb5998)は、幼馴染であり親友の治翠の腕を引っ張る。
 俺は帰る――そう言おうとした、先に。
「治翠……誰だ、そいつ?」
 その後ろから、ヒョイと金髪の青年が顔を出した。
 治翠と同じくらいに背が高く、しかし三白眼の目はどことなく死んだ魚のようで覇気がない。
 いわゆる『ヤンキー』な雰囲気を漂わせていて、引き篭もり気味の雪人はビクリとした。
 一瞬、治翠の腕を掴む指先に力を込め、それから、
「時入雪人です。どうぞよろしくお願い致します」
 ……言えた。社交的会話、と腹を括れば問題なく。
「素直に挨拶できて何よりです。時人さん、こちらは恒河沙さん。私の友人です。恒河沙さん、こちらは――」
 二人の間を、穏やかな表情で治翠が取り持つ。
「あぁ……。宜しくだ」
 ぶっきらぼうな口ぶりだが、恒河沙 那由汰(jb6459)からは悪意も否定も感じられなかった。
 二度三度まばたきをして、雪人は那由汰と握手を交わした。




 全員で本気を出せば30分ほどで掘り尽くせる――そう事前に説明を受けた畑は、どれくらいの本気を要求しているのか依頼者の胸倉を掴みたくなる程度には広かった。
 『駅から徒歩五分の好立地!』などという住宅情報を鵜呑みにしたような具合である。
 所々、猪によって荒らされた形跡もあり、見る者の胸を痛めた。
 そんな、感傷に浸る間も今は惜しい。
 全員が芋掘りに集中できるわけではなく、猪対応へ初手から回る者もいるわけで、芋掘りメンバーもまた本気を出さなければ日が暮れても掘り続けなければならない。
 それは、ちょっと嫌だ。


「頑張って、掘って掘って掘りまくるよ!」
 普段はのんびりしているののは(jb7599)も、今回はやる気に満ち溢れている。
 自然豊かな場所で、散歩がてらの山登り、土に触れて実りを掘り出す。
 なんて楽しいお仕事か!
「学園祭の出店でも、甘いジャガイモを掘ったわ」
 ののはの隣で、ちょこんをしゃがみ込むのはオリガ・メルツァロヴァ(jb7706)、
 軍手をはめ、小さな手で土をかき分ける。
「焼いて食べたら美味しかったの。カバーン……猪? が食べたくなる気持ちも分かるわ」
「焼きイモするのに火がいるなら【炎焼】を使ってつけるよ」
 それを聞いて、ののはが片目を瞑った。
 攻撃力、過多だろうか…… 加減をすれば大丈夫?
 だって、こんな時に自然現象再現を発揮しなければいつ活用するのだ!
「紫色の根っこを掘って焼いて食うんだな、了解だ」
 二人の会話を聞いて、眠そうな表情ながら納得したのは不破 怠惰(jb2507)。
 根っこを食うとは、人の子とは不思議なものだと思う。
 ちょっと、ここでは昼寝は難しそうだな、などとも思う。
「焼きイモも良いけど、他のみんなが何を作るのかも楽しみだね」
 ののはの言葉に、怠惰はまばたきを繰り返す。
「他にも何か、あるのか?」
「あるよー?」
 こともなげに返され、あとは夜のお楽しみ、で切り上げられてしまう。
「一番大きいのを掘り出してみせるわ。あたしに任せなさい」
「私も負けないよ」
 人見知りするでなく、呑気に笑いかけるののはを、オリガは思わずジッと見つめた。
「?」
 負けじと、ののはが微笑み返す。
「うん、楽しみね」
 遠い、北の異国からやってきたオリガ。
 この学園へ来て、心細くないと言えば嘘になる。
 柔らかな雰囲気を纏うののはに、少しだけ安心して。
「おおーなんか茶色い蛇みたいのがいるな! これはなんだ、ドラゴンか」
 オリガとはまた違うベクトルでマイペースな怠惰。
 不思議な取り合わせで、和やかに芋掘りは進められた。


(お芋、いっぱい掘るの……)
 畑を前に、亀山 幸音(jb6961)はググっと拳を握った。
 大好きな姉・兄と離れての、今回のイベント参加。お土産にお持ち帰りもしたいし、人見知りも克服したい。
 美味しいお芋をたっくさん持ち帰ったら、二人とも喜んでくれるかな?
「こういう土に直接触れながら実りを体験するのも、人の世界ならではですね」
「土の匂いが安心するの」
 隣へ、静かな気配で叶 結城(jb3115)が膝をつき、大地の表面へさらりと触れる。
 農業は初体験だという結城。
 ちょこなんとしゃがみ込み、幸音は笑いかけてみた。
「たまにムカデというのが出たりするそうですから、気を付けないといけませんね」
「そっ、それなの……! さ、刺されると痛いの、危ないの」
「……そう、なんですか」
 つい、と結城が摘み上げたのは、実に立派な百足だった。
 暴れるように反り返るソレを、早く離すように幸音がアワアワ身振り手振りで訴えかける。
「つ、潰したら駄目なの、ちゃんと命があるの」
「そうですね」
 グロテスクな外見が怖いのだろうに、必死に我慢して、それでも殺さないようにと幸音は願う。
 人の心の優しさに触れて、結城も表情を和らげた。
「ミミズさんは土に戻ってもらうの。土の耕し頑張って欲しいの。ふぁいと!」
 掘り出したサツマイモへ立派に絡んでいたミミズは、丁重に土の中へ。
 案外とたくましさを見せる少女である。
「芋の葉も、若いものなら天ぷらにできるそうですが――」
 楽しくなってきて、結城も予てから気になっていたこと、試してみたかったことを幸音へと語りかけた。
 ほのぼの、微笑ましい芋掘り風景。


「結構あるのね……あら、ミミズ」
 サツマイモ掘り初体験のマリア・フィオーレ(jb0726)は、イノシシに荒らされていない辺りを見つけた。
「まぁ、立派だこと。可愛いわネェ」
 土の中を泳ぐように蠢くそれを、リリアード(jb0658)が笑顔で見送る。
「害とか益とかわからないけれど、互いに生ける者として生きる為の選択をするワァ」
 越冬前に、農園の手入れもしたいでしょうね。
 茶目っ気交じりに、そう付け加えて。
 長い黒髪をハーフアップにした金瞳の美女は、農園に凡そ似つかわしくない姿であるが、愉しいイベントであるなら種類は問わないのがポリシーの一つ。
「ふふ、それよりイノシシの方に興味があるのだけど」
「マリアったら。まだ、始めたばかりじゃない。もう飽きちゃったの?」
 そんなことはないけれど。
 セミロングの黒髪をかき上げ、マリアは『魂の双子』を上目で見つめる。
「イノシシ対応の人たち、楽しそうなのよねぇ」
 近づいたらわかるように鳴子を仕掛けたり、一角で調理用のスペースを準備したり。
「それはわかるわ。そうね、必要な分のサツマイモを掘ったら、次はイノシシ狩りに挑戦してみましょうか」
 掘るのも、お仕事のうち。
 一定量は成果を挙げないと。
 顔を見合わせ、二人は頷き合うと、大きなサツマイモに驚嘆しながら取り掛かった。

「通お姉ちゃん、こんにちはー!」

 テテテ、そんな二人の後ろを、幸音が元気に通り抜けてゆく。
「幸音ちゃん! こんにちはー。おっきいの掘れそうですか?」
 黙々ひたすら掘りつづけていた奥戸 通(jb3571)は、土にまみれた顔を上げ、小さな友人へ笑みを向けた。
「はいっ。こんな…… ……通お姉ちゃん、お芋の量、凄いの……」
 褒めてもらおうと胸に抱いてきたサツマイモが霞むほど、籠にどっさりサツマイモ。おそるべし撃退士の本気。
「痛んでるものと、ちゃんと分けてるんですね。ふむ、こういうのも自分たちで食べる分には……」
「あ、えっと、幸音ちゃん、そちらの方は?」
「紹介するの! 叶さん。とっても物知りなの」
「叶 結城、大学部一年です」
 幸音に腕を引かれ、結城が名乗る。
「奥戸 通です。なんだか、みんなでわいわい楽しいですね!」
 と、言いながら通は手を休めずに芋を――
「うん?」
「うん?」
「うーーーーーーーーん!!」

「とったどーーーー!!!」

 聞き覚えのある歓声に、マリアとリリアードが驚いて振り向いた。
 やや後方で、特大サツマイモを掲げているのは……共通の友人、通だ。
「あら、カヨちゃん♪ とっても上手に掘れたわね!」
 50センチくらいはあるだろうか、よくそれだけ育ったものだ。
 途中で折れることなく掘りあげたのは、賞賛に値するだろう。
 リリアードが惜しみない拍手を送る。
「通ちゃん、大きいの掘ったわねえ。ところでイノシシに興味はない? ボタン鍋、すごく美味しいんですって」
 マリアが、隣に並び。
「ボタン鍋……ですか?? 食べたことないので、すっごく興味があります!」
 二人へぺこりとお辞儀をしながら、通は瞳を輝かせた。
「猪さんは他の人にお任せするの……。血はまだ怖いの」
 幸音が、結城の後ろにヒョイと隠れた。


「藪が茂った草地を隠れ家にするため、開けた場所を嫌います、ッと」
 イノシシを警戒しながら芋掘りができる場所を探し、三島 奏(jb5830)は適当な辺りで芋掘りスタート。
「楽しい一日をお過ごしですか? 素晴らしい自然の実りですね」
 穏やかな笑顔で歩み寄るのは幸広 瑛理(jb7150)だ。
 奏と同様に、イノシシの侵入を気にかけて場所探しをしていた。
「目撃された以外にも、山中にいるんでしょうか。全て退治して影響ないのかな……」
「向かってくる以上は、対応しないとッて思うけど。手負いで暴走する前にサ」
 互いに簡単な自己紹介を済ませ、二人は死角を補い合うように位置取りをし、会話を続ける。
「自然と共存出来れば、最良の結果ではないかと思うんですよね……」
「共存、かァ……」
 瑛理の言葉に、奏も少しだけ考え込む。
「あたしはサ、ここで仕留めた猪は、保健所か役所か、動物の遺体処理してくれるようなところへ農園から連絡してもらって処理がスマートだと思ッてるンだけど」
 退治してくれ、と依頼されたのならば、退治するのが仕事であろうと。
「猪も、この雄大な自然の一部ですからね。猪の存在で、守られている自然の何かもあるのかもしれません」
「ふーむ」
 『全て退治して影響ないのか?』という疑問はそれに繋がる。
 この農園に近づいたことで仲間が被害に遭い、そこから他のイノシシたちは近づかないようになる――だなんて、上手くいくだろうか。そんな懸念もある。
「あ、そういえば」
 少しだけ重くなった空気を変えるように、瑛理が顔を上げた。
「サツマイモ。二箱程、依頼者が必要としていましたっけ」
「そうだった。他の誰か、用意してるのかな……。とりあえず、こっちで詰めとこッか」
「そうしておきましょう。レストランですし……できるだけ綺麗なものを選びましょうか」
 この辺りは踏み荒らしの被害も多く、選り分けながら箱詰めすれば、程よく周囲を掘り尽くすことが出来そうだ。


 夏に比べて、空の色が薄い――高い、と表現するのだと誰かが言っていた。
 七ツ狩 ヨル(jb2630)はぼんやりと空を見上げ、それから大地へと視線を降ろす。
 少し頭を出している芋に添うように手を差し入れると、存外に土はふかふかしていた。
(……あったかい)
 更に奥へ潜り込ませると、なんだかベッドのような感触。
 ここしばらく、この畑を耕す人間は立ち入ることができなかったらしいのに……『ミミズ』とやらの、働きなのか。
(なんか……凄いな)
 思わず手を止めて、自然というものを考え込む。
 天使も悪魔も、『人間』からエネルギーを吸収することしか考えていないのに、『この世界』を構成しているのはもっともっと他に多くの生き物が存在している。
 それらによって、『人間』は支えられているのだ……。
 ヨルの心に浮かび上がる感情を、どう名づけたらいいのかわからない。
 むず痒くて、ほんのちょっとだけ、泣きたいような。
「チンタラすんのはめんどくせぇな……。土ん中潜って直接採れば早ぇだろう」
 ふ、と傍らでそんな声。那由汰だ。
「……透過の生産的活用術」
 雪人の忍び笑いが続く。
「って! 息苦しいわ。長時間は密閉されるようなもんだな、これ」
 ぽぽぽい、幾つかを地中から放り出してみるが、呼吸困難に陥りかけて那由汰は浮上した。
「透過……すり抜けることはできても、呼吸は別物、なんですね」
 考えれば、確かにそうか。
 放られた芋をうまくキャッチしながら治翠が感心する。
 地中となればどこまでも壁なわけだ。空気が無い。
 繰り返すよりは、真面目に掘った方が楽かもしれない。
「焼き芋っつたか? 採りたてでやるのがうめぇって言ってたな」
「枯葉…… 食害などでダメになった芋の葉やツルを使えますかね」
「集めて来るよ…… あ」
「あ」
 立ち上がった雪人が、ヨルと目が合う。
「良かったら、一緒に焼き芋しませんか? ちょっと肌寒くなって来たでしょう」
「火元なら心配いらないぜ」
 治翠が雪人の背を押し、那由汰が【炎焼】の素振りを見せる。
「あ、じゃあ……」
 自分には何があるだろうか。
 ヨルは準備してきた物の中からポットを見つける。
「カフェオレ、持ってきてるから……。焼けたら、一緒に」

(…………)
 そんな様子を、遠くから怠惰が眺めていた。
 寝落ち直前の頭で、考える。
(人と天魔が、共同作業……)
 なんだか、未来に明るい物を感じた。
(こんな日も悪くはないね)
「ま、まだ、寝るには早いのよ?」
 ぐらりと傾いだ怠惰の身体を、オリガが慌てて抱き留めた。




「鍋よし! 野菜よし! サツマイモもたっくさん採れたよ♪」
 額に眩しく汗を光らせ、犬乃 さんぽ(ja1272)は満足げに笑みを浮かべた。
 農園へ到着するなり鳴子を仕掛け、常に気に掛けながらの芋掘りは、なかなかにハードなミッションだった。
 サツマイモがメインなんだかイノシシ退治がメインなんだか解らない?
 NO、NO! どっちも楽しみに来たんです!
「――来たっ!」
 仕掛けの音が、耳に届く。
 さんぽの表情が、ニンジャのそれとなる。
(ごめんね、キミはほんとはここに来ちゃ行けなかったんだ……!)
 せめて苦しみは少なく。
 その突撃が脅威となるより速く。
 さんぽは現場へと急いだ。


「いのしし狩りだぁ♪」
 モナ=ルーナ・ガッティーニ(jb6508)は、キラッキラの笑顔。
「少し寒いし、ぼたん鍋がいいよね♪ モナちゃんの為に頑張っちゃう」
 口説くように歌うように神嶺ルカ(jb2086)がモナの唇へ人差し指を当てて。
「ねえラダ君、勝負しようか! 突っ込んで来る猪を止めるんだよ」
「勝負か! 良いぜ、乗ってやるよ!」
 神嶺ラダ(jb6382)はパシンと拳を鳴らし、異母妹からの挑戦状を受け取った。
「僕が勝ったらキスしていい? きみが勝ったらキスしていいよ」
「……それじゃお前にしか得ねぇな? ったく仕方ねぇな、俺が勝ったら俺の言う事を何でも一つ聞く! いいなっ」
 あら、バレた。
「何でも言う事……? いいけど本気出すよ?」
(身長縮めろ、とか言わないよね、流石に)
 言わないとは思うけど。無理だし流石に。
 ツンデレ兄が考えることは、わかるようなわからないような、いずれやる気を出してくれたなら何より嬉しい。
 ルカは挑発するようにニコリと笑う。
「どのあたりに、いのしし出るのかなー!」
 芋掘りに集中している参加メンバーに被害が及ばない場所で止めるべきか。
 雑談を交わしながら、三人は山を少しだけ奥に進んだ。


 広い農園を抱えるだけあって、山自体も広大だ。
 咲・ギネヴィア・マックスウェル(jb2817)は、農園周りの山際から獣道を探していた。
(猪目線になれば…… うーん、こっち?)
 四足歩行になってみれば、違う世界が見えてくる。
 お腹が空いて、いつもの場所に食べるものが無くて、食べ物のある場所を探して―― それは、解る。
 生き物として、当然のこと。
(……当然、だけど)
 がさり、草を分けたその向こうに正面から向き合ってしまったイノシシを相手に、咲の心は揺らいだ。
 睨み付け、威嚇し、リーダーと思しき一体へ気迫を掛けて動きを止めて……
『夜まで待てば、案内してあげるから、それまで離れてなさい』
 咲が選んだ行動は、意思疎通による語り掛けだった。
『あそこの連中、あたしと同じかそれ以上強くて肉食うわよ』
 過剰に怯えさせないよう気を配って近づき、そして【友達汁】を鼻先にペトリ。
『お腹が空いて辛いの、あたしも解るから。信じて』
 本音を言えば。 
 ちょっと前まで、こうして見つけたイノシシを、食べちゃおうと思ってた。
 美味しいかな、って思ってた。
 けれど、
(お腹、空かせてんのよね……)
 食べることが好きな咲は、他者の飢えにも敏感だ。
 気持ちが伝わったらしく、山奥へ戻ってゆくイノシシの群れを、咲はそっと見送った。


「狩猟か、久々だな。鹿や鴨は好きだけど猪も興味があるよ」
 さく、さく、落ち葉を踏みしめ、シルヴァーノ・アシュリー(jb0667)は山道を歩く。
「秋の行事もやって参りましたありがとう! 学園わーい!」
「……ユーナ。ちょっと落ち着こうか?」
 秋の情緒は何処行った。
 相変わらず全力系の嫁・ユーナミア・アシュリー(jb0669)へ、シルヴァーノは苦笑いを零す。
「私はテイマー……つまりやることは一つ。シル、私猪手懐けてくるね! そのあと捌くのは任せる!」
「ユーナ。日本には『猪突猛進』という四字熟語があってだn―― ヒリュウ、フォローを頼むよ」
 探索タイムは何処行った。
 イノシシへ向かって猛進する妻との間へ、シルヴァーノはヒリュウを召喚する。
「油断大敵だよ、ユーナ」
 狩猟用の槍を手に、すぐさま駆けつけて。
「ゲット出来るかなって思って。つい」
「スーパーの半額セールスタートじゃないんだから」
 困った奥さんだ。
 だって、頼れる旦那さんだから。
「えーとまず血抜き…… 任せた」
「ここではやらないよ!? たしか、農園の片隅で場所を用意してくれてたはずだ。そこで解体しよう」
「じゃあ私、帰りがてら竈用の石や火付け用の木々集めるー」
「え、コレ俺ひとりで運ぶの!?」
※平均体重70kg程です


 あちらこちらで、土煙が上がる。
 チーム戦で対応したり、透過能力で不意を突いたり、様々な方法で突進してゆくイノシシたちを捕えていた。
「撃退士は、例え光纏せずとも強力を発揮できるという……」
 そしてまた、ここにも一人の騎士の姿。
「なら、あえて魔具なしで挑んでみようではないか!」
 モテオーラと引き換えに生命力が上昇する愛用の剣を使うまでもない!
 そう、本日のラグナ・グラウシード(ja3538)はモテオーラがフル充填!!
 イノシシにモテまくってやろうではないか!!
「地元の住民の話だと、この辺りが通り道、か……?」
 地図を片手に山道を行く。
「む」
 かさり、落ち葉が動いた。目をやれば、可愛らしいリスが駆け抜けてゆく。
「……。自然は、良いな」
 ラグナに、癒しオーラが加算された。
 小動物が巻き込まれないような場所に当たりを付け、用意した食料を置く。
 近くの木へ登り、イノシシが現れたら上から網を投じるという作戦だ。
(さあ、来るが良い……そして尋常に勝負だ!!)
 遠く、山の上より地響きが聞こえる――
「飛んで火にいる夏の虫!! おまえらは私の術中に有り!!!」
 叫び、ラグナは飛びかかる!!
「……っ、これは」
 真正面から組み合う、長い牙を押さえつけるも、そのまま振り回されそうになる。
 剣があれば盾があればこんな攻撃この程度。しかし今回は自身への枷がある。
 他方から、別の個体の突進を受けそうになったとき、ふっとラグナの視界に光るものが入った――笑顔の缶バッジ。
(そうだ。俺は、誇り高きディバインナイト――猪ごときに後れを取るものか……!!)

「ニャッハー!! 最高にハイって奴ニャー☆」

 そこへ、予想だにしない第三勢力が現れた。
 哀愁漂う秋にモフりたくなるような黒猫姿――中の人などいない・カーディス=キャットフィールド(ja7927)である。
 その手には唸るチェーンソー。
「猪ーー! 首置いてけーーー!」
「なにっ、こいつは私が……」
 壁走りで、樹上を自在に駆け巡るカーディス。
 その存在により、ラグナへの集中攻撃が逸らされているのも事実であった。
「いのししがりー いのししなべー! ニャッハー!」
「……くっ」
 光纏なしで戦うと決めたのは己ひとり、少なくともそこを貫きイノシシを倒せば!!
 チェーンソーと影手裏剣烈を組み合わせるカーディスが仕留め尽くす前に、ラグナもまた一頭を絞め落とした。
 好敵手と呼ぶにふさわしい激闘であった。
 イノシシ……。存外にハードであった。
「こいつも、……食してやるのが、礼儀なのかな?」
 ラグナは泥まみれの頬を拭い、ひとまず好敵手へ手を合わせた。




「ここから先、グロ耐性の無い者は侵入禁止だ」
 猟友会推奨のファッションに身を包み、淡々と告げるのは鴉乃宮 歌音(ja0427)。
 その頬には、返り血が幾つか飛んでいる。
 それぞれが仕留めたイノシシを、一つの場所で解体・調理用などに捌く場所を用意したのは彼の機転だ。
 血の匂いは獣を呼ぶし、苦手な参加者もいるはず。

「『命の糧に感謝を』――彼等にも生活があったのだ」

 歌音の言葉に、誰もが自らこうべを垂れて黙祷を捧げた。
 土に触れ、躍動感あふれる動物に触れ、『命の糧』の意味を深く知る。
「血を抜いて皮を剥いでー……うん、美味そうな猪だな!」
「おっなべっおっなべっぼたんなべ〜♪」
「モナちゃんが仕留めたからね。味わいもきっと、ひとしおだよ」
 ラダ、モナ、ルカの三人はグロテスクな光景を前にしても会話内容は変わらない。
「ところで、ラダ君。勝負の結果は……」
「うっ、うるせえ、あとでだ、あとで!! 今はメシの準備が先だ!」

「皮や骨は、洗浄すれば売るなり加工するなりできるぞ」
 歌音に教わりながら解体をしていたマリアとリリアードが、その言葉に驚く。
「そう言われれば、確かに……」
「『命』だからな。使えない部位は、集積して火葬となるが」
「奥が深いのね。お肉だけじゃないんだわ」
 毛皮やアクセサリー。加工されてしまったものも、辿れば命。
 大切な場面に立ち会っているのだ。


 反対方向では、もう一つ竈を用意してサツマイモを使った料理が進められていた。
「ふうむ、さつまいも……ねえ。できれば、もう少し洗練されたものがいいのだが」
 お貴族様なラグナの発言へ、ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)が心外そうに目を丸くした。
「バリエーションは、色々あるよ。スイートポテトなんて、デザート系だって作れるんだから」
 イノシシは、きっと要望の多いボタン鍋になるだろう。
 そちらへも芋を……入れるかもしれないし、そうなると鍋物以外の、何か。
「何か作るなら手伝うわ。お水もすぐ汲んで来るの」
 サツマイモがたっぷり入った籠を抱え、オリガが顔を出す。
「手軽に食べられる物にしよっか」
 にこり。
 挑むようにも見えるソフィアの笑顔に、気まずそうにラグナは視線を逸らした。
 洗練されたサツマイモ料理に頭を下げる様子が、少しだけ想像できた。




 満天の星空の下、幾つもの鍋から温かな湯気が立ち上る。
 ボタン鍋の大盤振る舞い。
 ソフィアが工夫を凝らした、サツマイモ料理も彩りを添えた。
「依頼でごはん食べられるのはいいよね。また来たいなぁ」
 あれもこれもと味わって、ののはは満足。
「普通に来たら、有料なんだよねぇ」
「来年も、美味しいお芋を食べさせて欲しいのよ」
 並んで座り、オリガはコクリと頷く。
 いっぱいいっぱい掘った。
 大きな芋も掘ったし、イノシシに食い荒らされてボロボロな芋もあった。
 途中で、ののはが焼いてくれた焼き芋も美味しかったし、ソフィアの料理もとっても美味しい。

「大学生ばっかだから大学芋か……」
「ぷ」
「!?」
「聞こえてないです、恒河沙さん」
「いや、今、笑ったろ」
 雪人の答えに、那由汰は顔を赤らめる。
「仲良くなられて、何よりです」
「覚えてろ、治翠……。ちぃ、柄でもねぇ……こういうのは苦手だ」
 ばさり、那由汰は翼を広げて何処ぞへと行ってしまった。
「……ハル。怒らせちゃったのかな」
「照れ隠しですよ。ほら、雪人さん。星空も良いですよ、ロッジに入るのはもう少し後で」
「…………」
 ぐい、と防寒着を渡されて。
 脱・引き篭もりだと言われて。
 儚い笑顔で、雪人は幼馴染を見上げた。


「ボク、一度ボタン鍋ってやつ食べてみたかったんだ♪ あったまるね〜!」
「調味料、各種ありますので味の変化もどうぞ」
「わぁ、ありがとう」
 カーディスから七味を受け取り、さんぽは笑顔の花を咲かせる。
 自分の手で仕留めたモノとなれば、更に感慨も深いというもの。
 大人数で鍋を囲むという状況も楽しかった。


「共に色々な空を見て来たけど、今宵も良い記念だね。ユーナ」
「シル。見上げればいつも星があるように、隣に居させてね」
「……ユーナ」
 星の魔法か、ロマンチックなことを言ってみたユーナミアだが、速攻で恥ずかしさに負けてシルヴァーノの腕に顔を押し付けた。
「まったく、可愛い人だ」
 シルヴァーノは優しく離し、その目じりにキスを落としてやる。
「これ以上、俺を夢中にさせてどうするつもりだい?」


「頑張った後のご飯は美味しいわねえ 。星も綺麗だし来て良かったわ」
「お星さま綺麗ですねー……。なんだか吸い込まれちゃいそう」
 イノシシを捕えようと、ロデオ状態になったのも良い思い出として。
 マリアの言葉に、通がホンワリ同意する。
「ふふふ、夜は通を挟んで、マリアと三人、川の字で寝ましょうね」
「え、え?」
「雑魚寝と言っても、寒いのよ? 最後に風邪を引いたら台無しでしょ?」
 お姉さま二人に迫られ、通は星空の下でもそれと解るほど赤くなった。


「おい、ルカ」
 夕飯、片付けも終えたところでラダが呼びかけた。
「勝ったのは、俺だからな! 抱っこして目ぇ閉じろ」
「え、いいの? 僕としてはご褒美だけど」
「言いながら既に抱いてるよなしかも姫抱っこ!!」
 そりゃあ、だって。
 目をつぶるルカは、それでも楽しそう。
「じゃ、いくぜ、 ――……」
 不器用な、頬へのキス。
「どうだ!!」
「ラダ君、真っ赤……可愛い」
「言うなよ、そういうのを!!」
「ふふっ、にぃやとねぇや仲良しさんだね」
 にこにこしながら、空気を読んで、モナはそっとその場を離れた。


(寒いけど綺麗……。やっぱり俺、この世界が好き)
 夜空に、人より少しだけ近い場所を飛行しながら、ヨルは思う。
 この空も、大地も、人々も、皆。
 綺麗で、優しい。きらきらしている。
(……? あれ、は)
 大地に視線を降ろすと、一人の少女を見つけた。
 咲だ。

「イモのカケラとか葉とか…… 残飯めいてるけど、結構もってこれたわよ。約束したでしょ」
 人間が寝静まった頃合いにおりてきたイノシシへと、そっと与える。
「ふう……。人間が強くなれば生存権で獣と争わずに済むんだけど、まだまだよね」
 たとえば、街中に猫が居ても怖くないのと同じように。
 というのは、極端だろうか?
 咲が悪魔だから、そんな視点を持つのだろうか?
『穏やかに、共存したい』
 願うことは、それだ。
※それはそれとして、『収穫』はしっかりたっぷり美味しく頂きました 悪しからず。


 夜警も兼ねて、奏は夜が更けてからもロッジの外にいた。
 火を焚き、湯を沸かし、ワンカップ酒を温めて。
 焼けたサツマイモにバターを乗せて。
「ふゥ……。美味い酒のためなら、見た目も女らしさもゴミ箱にダンクシュートできるわ」
 程よい疲労、達成感も相まって気分が良い。
「隣、座ってもいいかな」
「わ!?」
「綺麗な星空だよね」
 夜食持参で、ソフィアが歩み寄ってくる。
 見られていたとは思わず、少しだけ奏は頬を赤らめた。
「あ、そういえば、夕飯の料理……ゴチソウサマ。美味かったよ」
「ありがとう。猪相手の戦いも、普段とはちょっと勝手が違って面白かったかな」
「確かに、厄介だった」
 攻撃さえ当たってしまえばなんてことなく仕留められるが、突進スピードが脅威だった。
 聞けば、素手でやりあった撃退士もいるらしい。
 広い農園で、山で、多くの参加者が思い思いの時間を過ごした。
 それぞれが知るエピソードの断片を挙げれば話題が尽きることはなかった。

(星、よりは、それを愉しむ人の心が興味深いね)
 二人を、怠惰がこっそり観察していたなど知る由もない。




 唐辛子を植えて食害を防護した例。
 青色のライトで、夜行動物を追い払う試み。
 指定した量のサツマイモと一緒に届けられたレポートに、依頼者が顔を綻ばせたのは翌日のお話。

 来年も、美味しい実りが満喫できますように。





依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: ドクタークロウ・鴉乃宮 歌音(ja0427)
 撃退士・不破 怠惰(jb2507)
 夜明けのその先へ・七ツ狩 ヨル(jb2630)
 べ、別にビビッてないし!・咲・ギネヴィア・マックスウェル(jb2817)
 仄日に笑む・幸広 瑛理(jb7150)
重体: −
面白かった!:9人

ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
太陽の魔女・
ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)

大学部4年230組 女 ダアト
ヨーヨー美少女(♂)・
犬乃 さんぽ(ja1272)

大学部4年5組 男 鬼道忍軍
KILL ALL RIAJU・
ラグナ・グラウシード(ja3538)

大学部5年54組 男 ディバインナイト
二月といえば海・
カーディス=キャットフィールド(ja7927)

卒業 男 鬼道忍軍
魅惑の片翼・
リリアード(jb0658)

卒業 女 ナイトウォーカー
撃退士・
シルヴァーノ・アシュリー(jb0667)

卒業 男 バハムートテイマー
撃退士・
ユーナミア・アシュリー(jb0669)

大学部6年36組 女 バハムートテイマー
魅惑の片翼・
マリア・フィオーレ(jb0726)

卒業 女 ナイトウォーカー
宵を照らす刃・
神嶺ルカ(jb2086)

大学部6年110組 女 ルインズブレイド
撃退士・
不破 怠惰(jb2507)

大学部3年2組 女 鬼道忍軍
夜明けのその先へ・
七ツ狩 ヨル(jb2630)

大学部1年4組 男 ナイトウォーカー
べ、別にビビッてないし!・
咲・ギネヴィア・マックスウェル(jb2817)

大学部6年268組 女 阿修羅
心に千の輝きを・
叶 結城(jb3115)

大学部5年35組 男 アストラルヴァンガード
撃退士・
奥戸 通(jb3571)

大学部6年6組 女 アストラルヴァンガード
月夜の宴に輝く星々・
三島 奏(jb5830)

大学部7年170組 女 阿修羅
花咲ませし翠・
安瀬地 治翠(jb5992)

大学部7年183組 男 アカシックレコーダー:タイプA
撃退士・
時入 雪人(jb5998)

大学部4年50組 男 アカシックレコーダー:タイプB
荒ぶるモフモフモフリャー・
神嶺ラダ(jb6382)

大学部8年212組 男 ディバインナイト
人の強さはすぐ傍にある・
恒河沙 那由汰(jb6459)

大学部8年7組 男 アカシックレコーダー:タイプA
撃退士・
モナ=ルーナ・ガッティーニ(jb6508)

高等部1年4組 女 ナイトウォーカー
煌めき紡ぐ歌唄い・
亀山 幸音(jb6961)

大学部1年241組 女 アストラルヴァンガード
仄日に笑む・
幸広 瑛理(jb7150)

卒業 男 阿修羅
ねこかふぇに癒された☆・
ののは(jb7599)

大学部5年72組 女 鬼道忍軍
撃退士・
オリガ・メルツァロヴァ(jb7706)

高等部1年1組 女 ダアト