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マスター:佐嶋 ちよみ
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
参加人数:25人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2013/11/04


みんなの思い出



オープニング


「決めたのか?」
「ええ、結局、下の階に住居用の部屋を借りることに」
「……お前なぁ」
 久遠ヶ原学園にある、生徒指導室の一つにて。
 借りた資料の返却に来た筧 鷹政(jz0077)は、教師へ苦笑いを返した。
 対する教師は、しっかりとした渋面である。


 フリーランス撃退士としてコンビを組んでいた相棒を喪い、他チームからの誘いに乗るか、あるいは新たに相手を探すか?
 元より借りていたマンションの事務所と、住居を兼用にしたはいいが結局は手狭になってきた。
 諸事情がアレコレと重なり、事務所の場所を変えるなりなんなりとの資料を借りに来たのが、学園では進級試験の頃。
 その際、生徒たちと遭遇して悪乗りをしてしまったりなかったり。

 ともかく、一ヶ月ほど考え込んで出した答えは『現状維持』であった。
 友人たちから託された魔具により戦いの幅が広がり、対応できる依頼が広がったことも一因している。
 ――今はまだ、もう少し、このままで。
 感傷ではなく決意だからこそ、教師は嘆息する。
「その辺りは、個人の判断だからな……。もったいない、とは言わんが」
「言ってます、先生」
「もったいないだろうが、一人でマンション二部屋賃貸なんぞ。デカイとこ借りろ、それくらいの甲斐性つけろ!」
「そっち……!!」
 甲斐性はあります。一人で生活する分には充分に稼いでます、仕事ばっかりで休日に使うことないから!!
「……ほう」
 情けない反論に、教師の眼鏡が光る。
「知ってるか、筧。学園は今、文化祭中だ」
「あー、ですよね。去年も楽しかったし、帰りがてら色んな出店に寄ろうかなって」
「可愛い後輩たちへ、少し、落としてけ」
「え、何をですか?」
 笑顔と笑顔が、向かい合った。





 ウォークラリーのようなものだ。
 そういって、教師は一枚のチラシを鷹政へ手渡す。
 チェックポイントは3つ。
「そこさえ回れば、あとは適当に時間を過ごしてくれていい。で、時間が来たらこの、集合場所へ」
「せんせい、これ、ぶんかさいですか」
 突貫で作られたソレに目を通し、鷹政の声が震える。

 〜チェックポイントで卒業生を待ち受け、勝負に勝とう!〜

「追加チェックポイントが入ったら随時連絡する」
「じゃなくて」
「昨年のクリスマスを思えば、可愛らしい企画だろう。少し経験値を差し入れするだけだ」
「なんという物理……」
 昨年のクリスマス。
 学園イベントの手伝いで、学園撃退士を相手に個人企画『俺に勝ったら学食カレー』は、確かにやった。
 『クリスマスなのに暇なのか、卒業生』
 『卒業生なのに、学園のイベントごとへ首を突っ込むほど寂しいのか、卒業生』
 本人の真意とはよそに、やたら気の毒な眼差しを受けたり、食券一年分くらい荒稼ぎされたり、思い出深いものであった。
 黒歴史とは呼ばない勇気。
 それはさて置き。
 文化祭期間中、様々なクエストが開催されている。
 その中で、独自に小規模なイベントがあったって構わないだろう。
「参加者は、放送を掛けて集める。お前は適当にブラブラしておけばいい」
「ひっどいな」
 そう言いながらも、鷹政は快諾した。
 後輩たちへ自分にできることと言えば多くなく、戦闘系の依頼を持ち込むことが多いし、こうしてのんびりと学園生活を楽しむのも悪くない。
「で、ボーナスってどうしますか」
 現金払いというのも生々しい気はする、かといって現物支給というのも???
「そこは、お前の甲斐性次第だな」
「俺に対する難度が高いです、先生」
「後輩たちが、日頃磨いた技芸を披露する場だ。その対価くらい、自分で考えろ」
「承知しましたっと」



●チキチキ! 第二回筧節杯・文化祭特別篇
【概要】
『建物や他の学園生たちに迷惑(物魔ともに)が掛からない』範囲で、勝負の内容は不問です
・模擬戦の場合、遠距離の攻撃・スキル、識別不可の攻撃範囲スキルは使用不可です
(周囲損壊・他者巻き込みの可能性があるため)
・心理戦頭脳戦ボードゲームなど、『勝負』の内容は問いません
★勝利しますと個別に賞金が上乗せされます
★勝負イベントであることは筧も承知しておりますので、単純な奇襲の成功率は低いとお考えください

【最重要事項】
★これは文化祭イベントです★
模擬戦選択者は、チェックポイントの領域へ対象が足を踏み入れた時点であらゆる不意打ちもOKですが、
チェックポイント領域外での襲撃は反則となり、報奨金そのものが没収となります


 ウォークラリーのようなものだ。

 集まった生徒たちへ、教師は告げた。
 手渡したチラシに、チェックポイントは3つ。
「確実に、この出店には寄る。そこで待ち構えても良いし、別の出店を用意する場合はこちらから連絡をしておく」
 チェックポイントで行われるのは、簡単な模擬戦だ。
 集団でも良し、一対一でも良し、頭脳ゲームや心理戦でも良し。
 卒業生へ勝つことができたなら賞金+αというご褒美付き。
 ……文化……祭、という単語からは、少々脱線するようにも思えるが。
「戦闘スタイルも文化の一つ、そう考えると各種文化の交流ともいえるだろ?」
 実に苦しい。
「といっても、多勢に無勢はつまらんからな。参加者の中から、筧のサポートに付くことも構わない」
 如何せん、生徒側は『出店で待ち構える』=待ち伏せからの奇襲なども可能、というアドバンテージがある。
 それを利用するか、あるいはあくまで正々堂々と勝負を宣言するか?
 卒業生とて警戒はしているだろう、イベント開始から駆け引きは始まる。
「……先生、何か恨みでもあるんですか?」
 やたらと手の込んだセッティングに、参加者の一人が手を挙げた。
「恨みがあったら、もっと具体的な行動を取るから安心なさい。文化祭でも、皆が思い切り体を動かせる合法的な思い付きというだけだ」
 それは実に爽やかな笑顔だった。


 なるほど、卒業後も学園を頼りにしていると、こういうことになるのか。
 参加者たちは事情を薄々と感じ取りながら、打ち合わせを始めた。 





リプレイ本文


 文化祭で活気あふれる学園内。
 チラシ片手に指定場所へ筧が向かうと、四人の生徒が待っていた。
「聞きましたよインフィの相棒がいたって。僕も同じ立場として協力させてもらいます!」
「よろしく。阿修羅の筧です」
 森田良助(ja9460)と握手を交わす。
「おー! 父さんのアイスボーなんだぞー!!」
「当たりが出たらもう一本なー」
 そういえば、昨年の文化祭の頃には既に『父さん』と呼ばれていた気がする。
 それこそ、クラブがきっかけで知り合ったのは彪姫 千代(jb0742)。当然のようにじゃれついてくる。
「………また、妙なことをはじめてますね。一応、サポートさせてもらいます」
「一応って……」
 暮居 凪(ja0503)は、呆れ顔。
「救護班ということでー。みんな頑張ってねー♪」
「恩に着ます」
 アストラルヴァンガードである紫ノ宮莉音(ja6473)の協力は純粋にありがたく、筧は頭を下げる。
「神の兵士もあるからね!」
 気絶させずに試合は続行です。
 嘘をついたり裏切ったりはしたくない。だけど知らぬ間に削ってることって、あるある。

 さーて、行きましょうか文化祭。
 踏み出したところで、スマホがメールを受信した。
『金魚すくいの出店、1件追加』
「このネタが被るとか」



●第一Check Point
 まずは当初の予定通りの【金魚】すくいへ。
「俺に掬われたい金魚はどこだ!!」
 金魚すくい用の水槽は、二つ。
 一つは――…… 空?

「あらかじめ、全ての金魚をすくっておきました〜!」

 迎え撃ちしは『仁義なき天使の微笑み』森浦 萌々佳(ja0835)。
「さぁ、金魚を還してほしかったら、ヒロインの座を賭けて勝負です〜!」
 金魚を奪還するための勝負。なるほど面白い。

「『勝負内容:金魚がいなくなったビニールプールでの息止め』です。筧さん、先攻どうぞ〜」

「よくわかんねーけど、父さん頑張れなんだぞー!! 」
 千代がデジカメを構えて声援を送る。
 考えてほしい。
 ついさっきまで、金魚が泳いでいた水槽である。
(ヒロインの座を渡すわけにはいきません……!)
 その為だったら、どんな手も使って見せる! 萌々佳の意思は鉄球より硬い。
(まあ、学園イベントだし、な?)

 ―10Tお待ちください―

「まさか本当にやるとは〜……」
「え!?」
「その逃げない勇気、完敗です……あなたがあたしの認める、この学園5人目のヒロインです……」
※萌々佳の他に、学園には公認ヒロインが3人いるとかいないとか
「待って! 森浦さん、なんで倒れるの!? 後攻は!?」


「筧さーん、次はこっちだよ☆」
 深く考えたら負けな気がする。
 莉音から差し出されたタオルで頭を拭きながら、筧は隣の水槽へ。この勝負が終わったら、一度真水で洗っておかねば。
「筧さんが遊んでくれるって聞いたから、はりきって用意しちゃった」
「遊…… 一応、勝負だね」
「えっ、真剣勝負なの? ……それなら負けないもん!」
 きらり、犬乃 さんぽ(ja1272)の目つきが変わる。
「ヨーヨーチャンピオンのボクと、ヨーヨー吊りで勝負だよ!」

 説明:この水槽へは、本物のヨーヨーが流れてきます。ヨーヨー吊りの道具を使って勝負!

「紙縒がヨーヨーの自重に耐えられるか……速さと技の勝負だねっ☆」
 まばゆい笑顔で、さんぽは道具を手渡した。
 凪が、容赦なくホイッスルを鳴らす―― 試合、開始!
「ヨーヨーの重さ、バランス、全てを熟知してこそのヨーヨーチャンピオン。そこへニンジャで培った技を乗せる!!」
 隼突きの要領で、誰よりも早く何よりも早く光の如く、紙縒が水に付くよりも速く――
「勝者、犬乃 さんぽくーん!」
 莉音が勝者のコール。
「やったぁ!!」
「まさかの1T決着」
 信じられないものを見た。
「負けたけど……凄い技を見せてもらった。ありがとう、犬乃君」
 まさに、日頃磨いた技芸である。
「遊んでくれてありがとう、金魚すくいはキャッチアンドリリースだもん」
 賞金は要らない、と言う。
 だったら――
「こちらをどうぞ。文化祭、楽しんでなー!」
 景品を手渡し、筧はくるりと振り向いて――


 先ほどの水槽へ、金魚が戻っていた。
『すげえれとろなゲームやるなう( ´∀`)』
 ついったへ発言完了したルーガ・スレイアー(jb2600)が手招きをしている。
 ソシャゲなら厨と呼ばれるほどにやりこんでいる彼女だが、実戦となると一味違う。
 真っ当な金魚すくいに、ルーガもwktkだ。
「お手柔らかに、だぞー?」
 長身美人が無邪気に笑い、筧の隣へ。
「先に金魚を掬ったほうが勝ち、だぞー」
「ルーガさん、それはいいんだけど」
 何故、シャツの第二ボタンを外しながらしゃがみ込むんですかルーガさん。
「うぬー、こう神経を集中しておると暑く感じるなー。そうだろー、筧殿?」
 不自然に自然な流れで第三ボタンへ指先を掛ける。
「えーーーと」
 視線を逸らしながらも、『Fカップくらいかな』と推定したことは否定しないでおく。
(よーし、この調子で奴の集中力をそげ!)
「おっと、よろけたー」
(ふふふ、らっきーすけべに油断するがいいー)
 ルーガは筧の二の腕へ、むにっと柔らかな凶器を押し当て、さぁこの隙に!!
「……?」
 すくえない。
「破れてますねー」
 莉音が言葉を挟む。
 ――金魚を掬う、ポイの強度に関してはノータッチだった!!
 用意していた数量を使い切っても掬うこと敵わず。
『りあるきんぎょ、てくにしゃん(;´・ω・)』
(テクニックが必要、と言いたかったようです)



●【高等部3年生棟】
「筧さーん! 日頃磨いたフラグ勝負しようぜー!」
「ふ……去年のカレーぶりだね」
 そこでは、小野友真(ja6901)と加倉 一臣(ja5823)が待ち構えていた。
 クリスマスでは本当にお世話になりました、カレー入手的な意味で。
「本当は何かサポートしようと思ったんですけど……、救うまでもない筧さんのオチ率はよく知っているので」
「俺は救えなくても、金魚なら掬えると……?」
「(金魚を)掬うか、(足下を)掬われるか、……こう」
「あら。お久しぶりね。この間の進級試験はおめでとう。これで――確か中3だったかしら」
 不敵な笑みをぶつけ合う一臣と筧の合間を縫って、凪が友真へ声を掛ける。
「……俺次高3なるんやで……?」
 18さいに、なりました。なってます。
「小野君。高3に進級するという事は――直に大学生になるという事。つまりは」
 凪は目を伏せ、それからスッと指先を伸ばし。
「貴方はここで、筧さんに勝たなければなりません!」
「なんでぇーー!?」
 試験にパスしたらええんと違うん!!?
 無茶苦茶な条件も追加され、【高等部3年生棟】独自ルールで勝負開幕。

「色々掬えるお得仕様なん。濡れて困る物はビニール入!
勝敗は金魚数とゲット物のインパクトによるポイント加算でどない?」
「インパクト?」
「金魚の他にも可愛い物食べ物、思わず絶叫する物、危険物とか沈んどる。一番ビビったんは…… 魚雷かな」
「目を見て話そうか、小野君」


「飛び込んで探す位の覚悟見せろよ2人共! 追っかけろよ!」
「ゆうま 知ってるか 鰹は泳げるが 鰹節は泳げない」
 水槽へダイブしようとした友真を、一臣が引き留める。
「止めなや、一臣さん! 『全鰹節が泣いた』をホンモノにするチャンスなんや!!」
「小野君? 水槽へ飛び込んで勝負続行不可にするようだったら、反則による敗退、留年に罰金が加算されるけどいいのかしら」
「大人しう掬います……」

 戦闘開始と同時に、一臣は緑火眼を発動する。
 可愛い物食べ物、思わず絶叫する物、危険物の動きも、止まって見える。
(水の流れを読んで、ポイに負荷が掛からないように――)
「あーっ 3つ目で破れた……美味しい物は取り損ねたか」
 碗の中に何が放り込まれているかは結果をお待ちください。

 時間制限あるでなし、らきすけトラップあるでなし、先の経験が酷過ぎた反動で、筧は案外と冷静さを取り戻してい――
「……!!?」
 大きめの金魚を掬った、その先に謎の魚影。
 目を見開いた瞬間に、ポイに穴が空いた。残念、美味しい物は取り損ねた……
 一臣と筧、揃って何を狙っていたのか。


「結果発表ー。筧さん、美味しい物+大金魚。友真、大金魚×2。俺、可愛いもの+思わず絶叫するもの。でした!」
「絶叫って、なんだったの?」
「じゃーん! 去年のカレー奪われまくり中の写真やー!!」
「い つ の 間 に」
「あの冬……数えきれないくらい、馳せ参じましたからね」
 ちなみに、危険物は真紅ピンヒール『ご使用下さいの文字』。
「俺限定のダメージグッズでしょう、君たち。おい」
 インパクト、各金魚のポイントから挑戦者二人の勝利。
「へへー。筧さん、楽しんでる? 来年も遊んでなー!」
 賞金返上、景品ゲットでホクホクと友真が手を振る。
「仕方ないなぁ……。おー。そっちも、出店がんばってな!」



●【ふれあい猫広場】
 金魚との格闘を終え、真水で髪をすすいでいる間に、チェックポイント追加の通知が数件入っていた。
 いずれ劣らぬ、嫌な予感しかしないラインナップ。
 名前の中で、一番平和そうなもので息抜きをしようか――向かった先は【ふれあい猫広場】。

「癒し空間へようこそ、なのです」
「小部屋で猫数匹と戯れるだけの休憩所、といった所なのだ」
 酒井・瑞樹(ja0375)に村上 友里恵(ja7260)、女子高生二人がお出迎え。
「折角の学園祭なのだから、勝負事ばかりでは可哀想なのだ。
ここでは、『どちらにより多く猫が懐いてくるか』ということで勝負にしたい」
「私は勝負事に弱いので『酒井さんの勝ちに私の魂を賭ける!』方式で参加します♪」
「なるほど、承知した」
 室内に敷かれたカーペットには、茶トラ・キジトラ・三毛・白・黒・ぶち・美形・不細工よりどりみどりニャーニャーしている。
 神妙な面持ちで筧は頷き、猫じゃらしを一つ受け取る。
(武士の心得ひとつ、武士はいかなる技術も研鑽せねばならない!)
 カーペットに座り込み、瑞樹はそっと猫じゃらしを差し出す。
 目と目を合わせるのは、猫に対しての勝負サインであるから、いかに可愛くともそこは気を付けて。
(こちらが緊張しては、猫が警戒するからな……。勝負は忘れて、ただ戯れる事に集中するのだ)
 け、決して猫をもふもふしたい訳ではないのである。
 ――たしっ、
 一匹が猫じゃらしに手を伸ばす、その揺れる尾へ子猫が飛びかかる。
 回転しながらじゃれ合う毛玉たちは、瑞樹の膝元へ。
「……じょっ、上質のもふもふなのだ……」
 ふかふか、あたたかい。陽だまりの匂いがする。
 抱え込んだその背へ、ふてぶてしい面構えの猫がのしかかる。
「ははは、重いのだ。武士の心得ひとつ、背負った命には責任を持つ。……だな」
(筧さんも今ばかりは勝負を忘れて、楽しんで貰えれば良いのだが)
 ふ、と瑞樹が顔を上げると――
(あれはあれで、楽しんでいるのだろうか)
 猫とにらみ合い、距離を測り合っては体当たりのコミュニケーションをとっている卒業生の姿があった。

「負けた筧さんが可哀想なので、筧さんにはナウなヤングにバカウケの衣装を着せてあげますね♪」
「友里恵ちゃん!? どこで用意したの、ソウイウの!」
「あと、入店料は大人料金で高めに頂きますね。猫集めに掛かってしまったので……筧さんの援助に期待なのです♪」
「いや、いえ、あの!!」
(映像は非公開でお願いします)



●第二Check Point
 他にも数件、独自の出店はあったけれども、バランスを見て第二チェックポイントへ移動。
「お化け屋敷! 暗闇の中なら任せてください!!」
 インフィルトレイターの本領発揮! 良助が息巻く。
「おー! 俺、『夜の番人』で視界確保するんだぞ!」
「二人が付いてきてくれるのか。……数的にはどうなんだろ」
「あら、今回のチラシの人ね。私とお化け屋敷はいかが?」
 教室前に立っていたのは、長良 香鈴(jb6873)。
 一向に気づくともたれかかっていた扉から背を離し、意味ありげな微笑を浮かべる。
 流れる動作で、筧の腕へ自身の細い腕を絡め。
「心拍数が上がったら負けね。……腕を組んでいいかしら」
「もう組んでますよね」
「助太刀は不要ー?」
 うーん、莉音が首を傾げる。
 お化け屋敷でどういった『勝負』が展開されるのか、それを知らなければこういったすれ違いもやむなし……?
「ご一緒にどうぞ? お友達でも、鷹政さんの心臓を止めることは出来ないわよね」
 香鈴は強気に言ってのけた。
「楽しんで頂戴、心を込めて驚かせてあげる」

 真っ暗闇のお化け屋敷。
 良助はナイトビジョン、千代はスキルで視界を確保しているが、暗幕を張り巡らせただけで怪しい箇所は視認できない。
「この学園は流石ね、色々なモノが住んでいるの」
 筧の腕を取り、ゆっくりとした口調で香鈴は語る。
「……私も、本当はヒトじゃないのかもしれないわ」
「うん? それは、種族がどうこうじゃなくて?」
「ええ。体はここに。けれど魂はここには無いの。何処に? そう、貴方の後ろにもう一人の私がいるわ……?」


「悪いが、不意打ちなんてさせねー!」
「ふふ、初めまして、そしてさようならかしら」

 良助と香鈴の声が重なった。
 振り向いた先には、香鈴が―― もう一人? え、では隣には……
「ふふ、紹介するわ。双子の妹よ。これから縁がある限り、どうぞ宜しくね」
「カオちゃんに触れたら…… お判りかしら? 心拍数は、バッチリね」
 取り付けていた計測器を確認し、長良 陽鈴(jb6874)は悪戯っぽく笑って見せた。
 明かりが点くと、なるほど顔かたちは同じだが、髪と瞳の色が少しだけ違う。
「こちらこそよろしく。ストレートなのは、効くね」
 呼吸を合わせての行動は、流石双子。
 鋭敏聴覚で所在を突き止めた良助だったが、『存在』を止めることは適わなかった。
「何処か他の参加者のお勧めがあれば教えて下さる? 思い出に残る楽しい場所をヒカちゃんとのデート先にしたいの」
 勝負が終われば用は無し、とばかりにサッサと筧から腕を解き、香鈴は陽鈴と腕を組む。
「あ、それから記念品を頂けるならそちらが良いわ」
「はは、完敗だね。オススメは、そうだなぁ」
 香鈴へ景品、陽鈴へ賞金を手渡して、これまで覗いてきた出店をピックアップする。
「日頃磨いた技芸……。カオちゃんに纏わり付く虫どもを薙ぎ払う技芸を披露かしら?
それならお任せよ。さあ行きましょ」
「良い文化祭をー」
 睦まじい二人を、笑顔でお見送り。
「くっ…… もっと、血沸き肉躍るバトルでサポートできれば!」
「案外とみんな、ほのぼの路線だよね」
 悔しがる良助の隣を歩き、筧は頷く。
 扉を開けた瞬間に奇襲とか、そういった方向で警戒していたが……
 今までがほのぼの路線だっただけで、その先も同じとは限らない。良助の存在が頼もしいことに変わりない。



●【ナイフ】
「……穏やかじゃないね」
 開口一番。筧の笑顔が引き攣った。

「……投げナイフで……勝負を……」

 華成 希沙良(ja7204)、サガ=リーヴァレスト(jb0805)の二人が用意した勝負内容は投げナイフ。
 3人で交互に頭に林檎を載せてその林檎をナイフを投げ、命中させて落としたらOKという形式。
 的役1回、投げ役2回の計算だ。
「ナイフは刃引きをしてあるから安心してくれ。私に有利な勝負だが……良いかな?」
 サガが学園へ来る前の『仕事』時代に、培ってきた特技の一つだ。
「望むところだよ」
 幸い、サガと筧の身長も同程度。的の高さとして不公平にもならない。いざ、尋常に……

「……大丈夫だよ、そんな目をしなくても」
 信頼度ゼロの眼差しを受けながら、筧は希沙良の頭上にあるリンゴをナイフで落とした。
 サガの投擲の際は、信頼しきった表情だったというのに―― まあ、仕方のない部分だろう。
 背の低い希沙良の『的』は、当てやすい。二人とも成功。

「刃引きしてあってよかったと、心の底から思ってます。あと、ありがとう莉音君」
 希沙良のナイフが肩口へ命中した筧は、サガの的となりながら苦笑い。
「……あの……その……」
 刺さり、直ぐに抜いてしまったから盛大な出血沙汰になったが、まぁ、そこはそれ、軽い事故。
 莉音のライトヒールを受けて、何事もなかったかのように試合は続行、最後の局面。
「これ以上、当ててはいけないからな……。特に、目などに刺さっては撃退士としての今後に関わるだろう?」
 ――行くぞ、と
 思わせぶりなモーション、言葉、表情で『的』を揺さぶりに来るサガ。
「……ふ。ふふふ……」
 最後は、あっさりと投げ、落とし、終了。
 怯えを見せた表情がおかしくて、サガが笑いを零した。
「……使用した……林檎は……皆さんで……美味しく頂きましょう?」
 希沙良は椅子と果物ナイフを用意する。
「……筧様……先ほどは……本当に……」
 恋人であるサガへは、きちんとリンゴに当てて落とすことができたのに。
 項垂れる希沙良へ、気にしないでと筧が笑う。
「ほら、希沙羅殿……。あーん、して」
「……サガ様、……あむ」
 サガが剥いてくれたリンゴを頬張り、ようやく希沙羅に明るい表情が戻った。



●【戦技会】
「ようこそ、戦技研究会の出店へ」
 龍崎海(ja0565)が、部室から顔を覗かせた。
「撃退士でないと扱えない固定式砲台、か」
 これを使って、制限時間内に大中小と放たれる多数の的をどれだけ撃ち抜けるかという勝負内容。
 ただしスキルは使用不可。
「イメージを掴んでもらうために、サポートの人たちに模擬戦をしてもらおうかなと。
こっちが用意したゲームだし、彼らの動きから事前情報を与えないと公平じゃないよね」
「よっし、ここは僕に任せて!! ――男なら拳ひとつで勝負だろ!」
※固定式砲台を使用した勝負です
 ようやく、自身の能力を十全に発揮できる――良助が砲台の前に立つ。
「スタート!」
 どのサイズの的を重点的に狙うか……その判断力も要される。
「ふー。僕で130pですか」
「二回勝ったほうが総合点で勝ちという感じで、いいかな」
「OK。恨みっこなしだね」
 神経を研ぎ澄まし―― いざ!!

「……勝った」
 海:186p、筧:203p。
 技術より運の勝利か、しかして勝ちは勝ち。
「部活での出店だからにこちらも賞品を用意したよ」
「え!?」
 差し出されたのは『爆裂元気エリュシオンZ』。
「あはは、タイミングばっちりだな。ありがとう、龍崎君」
「勝負はフェアじゃないとね」
「うん。俺も楽しかった。『戦技研究会』だね。出店選んでる感じの生徒さんを見かけたら、紹介するよ」



●【ももばら】
 ホストクラブ『ももばら』。
 オーナーの夜来野 遥久(ja6843)、ホストの月居 愁也(ja6837)がスーツ姿でお出迎え。
 学園内でホストクラブ? 大丈夫、未成年への飲酒喫煙は許していません。
「文化祭ですし、技より芸で勝負いたしましょうか」
「……芸」
 キラースマイルを発揮するオーナーから、案外に案外な単語が飛び出し、筧は鸚鵡返しする。
「愁也は早食い対決、私は……そうですね。にらめっこはどうでしょう」
「わんこそばならぬ、わんこプリンで3分間勝負! 俺に食わせてくれる相方は、もちろん遥久です。筧さんは? アシストどうする?」
「アシスト。あー、そっか」
 わんこそば形式、というのなら。
 振り向き、考えることしばし。
「……暮居さん、そのシンデレラの靴はどうしたの?」
 【高等部3年生棟】にて『危険物』カテゴリに入っていた、真紅ピンヒール。
 今か。
 使うなら、今か。

「お前ならやれる。頑張れるな、愁也?」
 遥久は輝く笑顔で、優しく愁也の頭を撫でてやる。
(……これでやる気150%増は見込めますね)
 愁也は大切な親友の信頼を裏切らないため全力を尽くす死力を尽くすいけるいけるやれるやれる!
 ホイッスルと同時に、プリンを丸ごと流し込まれるが、愁也、強い。色んな意味で強い。
※窒息の危険性があるので、良い子は真似しないでください。
 猛烈な勢いで食べ進める愁也。
 対して――
「まだ、入りますよね? 筧さん」
 凪が、筧の背を一蹴り。
「……千代くん。これは、撮らないであげてー?」


 敗北を喫した愁也だが、勝てなくてよかったのかもしれないと、勝者を見て思った。
「試合に勝って勝負の敗北感が半端ない」
 筧がため息を零した。
「試合も勝負も、ここからですよ、筧殿」
「……ですねー」
 純度100%の嫌な予感でもって、筧は遥久の向かい側へ腰を下ろす。
 二人の間へ、衝立が差し込まれる。
「三本勝負です」
「あ、筧さん。これ、口に含んでなー。大丈夫、遥久も同条件」
 ショットグラスには、鰹出汁。
※良い子は真似しないでください。
「じゃー、いくよー! 1本目ー! あっぷっぷ!!」

(しばらくお待ちください)

 3連戦を終え。
「おい、愁也」
 静かに、アフロカツラを装着した遥久が立ち上がる。
「ちょびヒゲは筆ペンのはずだったな……? 何故油性マジックなのか、奥で少し話してもらおうか」
「たとえヅラ着用でもちょびヒゲでも、俺の親友は超オトコマエですし!!」

 遥久分の景品を置いて、一行はそっと場を後にした。



●第三Check Point
 参加人数から考えて、ここが一番多いはず。
 ゆえに、読み切れない。
 和気あいあいにカフェを営業しているのか、あるいは混沌としているのか?
「最後の最後で、真っ当な模擬戦が待ってるかもしれませんね!」
 良助が気を引き締める。
「だね、油断は禁物――」
 筧が、扉に手を掛けた。

「お帰りなさいませ、旦那様」

「えーと。……常木さん?」
「旦那様が興味をお持ちだとお聞きしましたので……」
 控えめな会釈で出迎えたのは、何度見ても常木 黎(ja0718)であった。
「興……あー、うん、今年は出店、やらないって聞いたからね……」
 露出の少ない本格的なヴィクトリアンメイド服、だけであるならここまで動揺はしなかった。
 髪の色に合わせて馴染ませた猫耳、鈴の付いた革のチョーカー。
 猫耳メイドカフェ自体は珍しくもないのかもしれないが、なかのひとが珍しすぎた。
「千代、撮影禁止」
「おー??」
「減る」
 身も蓋も突拍子もない二文字である。
「日頃お世話になっておりますし、今この場所では寛いで頂ければ、と」
 自身は、勝負だなんだとは関係なく。
 むしろ、違う部分で戦っているのかもしれない。
「顔を合わせるのは戦場ばっかりだから、雰囲気変わるね」
「普段と違う、ですか……。被っているのですよ、猫だけに」
 黎が苦笑すると、首元の鈴が鳴る。
「黎さん、ちゃおー☆」
「いらっしゃいませ、莉音様。お飲み物など如何でしょうか?」
「えっ、そこ何つながり!?」
「えーーー、内緒!」
 意外な交友に筧が驚くも、少しだけ緊張した空気がほぐれた。かもしれない。


「「お帰りなさいませ♪ 鰹節様!」」
「ぐはぁ!!」
 そこへ、正統派メイドと執事が背後から飛びかかりつつベアハッグしてきた。
 亀山 淳紅(ja2261)とマキナ(ja7016)だ。
「何をしてるの、君たちは」
「筧さんは、猫耳だけでええで!」
 カオスにカオスが重なれば、感覚も麻痺してくる。
 猫耳を装着した筧へ、淳紅とマキナが勝負内容を提示した。
「自分とは『どちらがオムライスにケチャップで上手く鰹節を描けるか』! 勝負やでー♪」
 魚の鰹であればまだしも、鰹節。いや、魚だって難しかろう。
 出来立てホカホカのオムライスがワゴンで運ばれ、有無を言わさずスタート。
「節、なぁ……」
「得意なんは、歌だけやあらへんで」
 スプーンも使い、淳紅は器用にケチャップアートを展開する。
 黄色のキャンバスに、可愛く踊る鰹節フレークを再現された。
「おー!! お好み焼きみたいなんだぞ!」
「うまいうまい! 確かに鰹節だね」
「感心してるけど…… 鷹政さんは、何を描いたのー?」
「え、削られる前……」


 引き続き、そのオムライスの早食い競争がマキナとの勝負内容。
「自分が丹精込めて作ったオムライスやで♪」
「ケチャラーとして、ケチャップ料理代表のオムライス勝負で負けるわけにはいきません」
 マキナが意気込みを語る。
「しっかり味わってなー! じゃ、スタート!」
「……?」
 一口、運んだマキナが一瞬だけ眉を顰める、しかしそれ以降は男らしい食いっぷり。
「…………」
 一方、筧に対しては莉音が神の兵士を発動していた。
「さっすがマキナ君!」
 ハイタッチでお土産確保しつつ、その発言に淳紅が首を傾げた。
「二人とも、自分のオムライス、どないやった?」
 キラキラと、期待の眼差しを向ける。
 沈黙が、やや続いた。


「筧さん、体張ってるんですね……」
 桜木 真里(ja5827)が、苦く笑いながらテーブルへ『勝負』の品を用意して待っていた。
「食べ物続きで悪いんですが、普通に勝負してもあっさり負けるだろうなと考えまして」
 最終兵器:手料理
 君もか。
「食べても、気絶まではいかないと思います。念の為に胃薬も用意してますから、安心してくださいね」
 その言葉の中のどのあたりに安心材料があるか教えてほしい。
「こんにちは、紫ノ宮。筧さんを手伝ってみる?」
「う、うん……。手伝う……ょ……」
「莉音君、既に目が何処か飛んでるけど大丈夫?」
「だって…… 鷹政さんにばっかり、辛い思いなんて……」
「どれだけ辛いのかはなんとなくわかった。じゃ、アシスト頼むよ、相棒」
 ぽふり、莉音の頭を撫でて、着席する。
「作ったのは焼き飯です。完食できたら、勝利! ということで」
 まさかの、完食すること自体が難しい。
 全体的に濃い茶色、所々にある黒い物体は……元・具だろうか。
 炒めているはずなのに、米自体は――
「鷹政さん……リオレって知ってるー……?」
 フランスの家庭菓子で、お米を牛乳で煮込んだものである。
 家庭菓子なので、『これ』という正答もない。色々な仕上げがある。


「おう、来たか。お前、おいと勝負せぇ」
 待ちくたびれて転がっていた六角 結次(ja2382)が、体を起こした。
「待ってる間に腹が減った。大食い競争に変更じゃ!」
「まさかの連戦」
「さ、しんしゃっせんで。店にある甘味すっぱい持ってこ」
 大丈夫、先ほどが主食、今度はデザート。
 大の男二人が机を挟んでスイーツ大食い競争、スタート。
 こう見えて、筧も甘い物好きなのだが――
 先の二戦が、酷い響き方をしている。
「普通のケーキで、美味しいのに喜べない……」
 不本意。本来の限界に至る前にギブアップ。
「今度いっどき酒でも飲んけ行っか!」
「甘味の美味しい店も紹介するよ……! 次は負けないからな、六角君」
 互いに、バシバシと背中を叩きあい、戦士は健闘をたたえた。


「よくここまで辿り着いたわね、筧さん。まずは褒めておきましょう」
 ボスキャラとしてお約束の言葉で待ち構えるのは六道 鈴音(ja4192)であった。
「オムライス、チャーハン、そしてデザート…… ここまで来たら、次は解るわね? 食後のお茶よ!!」
 フルコース予想してませんでした。
「頭脳戦を提案するわ」

 勝負内容:お互いの紅茶に任意の数の角砂糖を入れる。紅茶を飲んでみて、角砂糖が何個入っているかを当てる。

「名付けて、『アマアマ(はぁと)ティータイム』!」
 ルールはシンプルだが、実際は難しそうだ。
「俺、基本はストレートだからな……」
 考え込みながら、勝負のテーブルへ。
(私が筧さんの紅茶に入れるの角砂糖は3個。はたして、いくつ入れたかわかるかしら?)
 音でバレないよう気を付けながら、鈴音はティースプーンでしっかりと混ぜた。
「うーん…… ……4個?」
「ふっ、残念! ハズレよ。3個だったわ。惜しかったわね。それじゃあ、私のターン! セットのクッキーを耐えて紅茶を召喚!」
 筧が角砂糖を投入したティーカップをドローする。
「この紅茶に砂糖を入れたのは誰だぁー! ちょっと! 甘過ぎるでしょ!」
「俺もたまには反抗したくなって!!」
「6。この甘さは6個ね。色んな意味でギリギリの数字よ」
「……正解。よくわかったね」
「もう! こんなの、紅茶への冒涜だわ!!」
「反省してます」
 ぷんすか怒る鈴音へ、返す言葉もない。



 真里が用意していた胃薬を頂戴しながら、筧が指折り数える。
 これで対戦は終了…… いや。まだいる。
「ようこそ、最終ステージへ。俺からの挑戦状は受けてもらえるよな?」
 『華麗なるカレーを極めし者』強羅 龍仁(ja8161)だ。ちなみに『天然系』の二つ名も所有する。
「〆はカレーだ。一皿ごとに辛さが増していく。ギブしそうになったら、神の兵士で正気を保たせてやるから安心しろ」
「その言葉の中のどのあたりに安心材料があるか教えてほしい」
 あれ? 先にも言った気がするな、このセリフ。
「真逆フリーランスともあろうものが臆したのか?」
「ははは、まさか。胃薬でリフレッシュ完了で――」
「ウシシシー! 母さんからの四角は俺なんだぞー! でも、なんで四角なんだー? 三角はどこにいったんだ?」
「華麗なる【裏切】宣言か、千代!!」
 筧を『父』と呼ぶ所以は覚えているが、何がどうして龍仁を『母』と呼ぶようになったのだっけか。
 料理上手だからだろうか。
「母さんのカレーいっぱい食べるんだぞー!」
 かくして、本日最終試合・カレー大食いバトルはスタートした。


「……ギブ!!」
 無理な時は、無理と叫ぶ勇気。
 筧が7杯目を完食しギブアップをコールした時点で、千代は8杯目を平らげていた。
「おー…… おー! 俺、父さんに勝ったのか!?」
「勝ったけど! でも、賞金・報酬は没収だぜ。
勝負を挑むか、味方に付くか、付いての裏切りか、選ぶのは一つってルールだったろ。
欲張ると、他の皆に不公平だ」
「……おー。勝ったのに怒られるのか……?」
「勝ったのは事実だから……そうだな、これ終わったら一緒に他の出店を回るか。少しくらいなら奢るよ」




 日頃磨いた技芸を活かしたり趣味を発揮したり苦手なことにチャレンジしたりの文化祭。
 思い出は、どれだけ作れただろう?





依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 筧撃退士事務所就職内定・常木 黎(ja0718)
 仁義なき天使の微笑み・森浦 萌々佳(ja0835)
 ヨーヨー美少女(♂)・犬乃 さんぽ(ja1272)
 夜の帳をほどく先・紫ノ宮莉音(ja6473)
 BlueFire・マキナ(ja7016)
 春を届ける者・村上 友里恵(ja7260)
 駆逐されそう。なう・ルーガ・スレイアー(jb2600)
 遥かな高みを目指す者・長良 香鈴(jb6873)
 遥かな高みを目指す者・長良 陽鈴(jb6874)
重体: −
面白かった!:18人

武士道邁進・
酒井・瑞樹(ja0375)

大学部3年259組 女 ルインズブレイド
Wizard・
暮居 凪(ja0503)

大学部7年72組 女 ルインズブレイド
歴戦勇士・
龍崎海(ja0565)

大学部9年1組 男 アストラルヴァンガード
筧撃退士事務所就職内定・
常木 黎(ja0718)

卒業 女 インフィルトレイター
仁義なき天使の微笑み・
森浦 萌々佳(ja0835)

卒業 女 ディバインナイト
ヨーヨー美少女(♂)・
犬乃 さんぽ(ja1272)

大学部4年5組 男 鬼道忍軍
歌謡い・
亀山 淳紅(ja2261)

卒業 男 ダアト
闘魂薩摩隼人・
六角 結次(ja2382)

大学部8年59組 男 阿修羅
闇の戦慄(自称)・
六道 鈴音(ja4192)

大学部5年7組 女 ダアト
JOKER of JOKER・
加倉 一臣(ja5823)

卒業 男 インフィルトレイター
真ごころを君に・
桜木 真里(ja5827)

卒業 男 ダアト
夜の帳をほどく先・
紫ノ宮莉音(ja6473)

大学部1年1組 男 アストラルヴァンガード
輝く未来を月夜は渡る・
月居 愁也(ja6837)

卒業 男 阿修羅
蒼閃霆公の魂を継ぎし者・
夜来野 遥久(ja6843)

卒業 男 アストラルヴァンガード
真愛しきすべてをこの手に・
小野友真(ja6901)

卒業 男 インフィルトレイター
BlueFire・
マキナ(ja7016)

卒業 男 阿修羅
薄紅の記憶を胸に・
キサラ=リーヴァレスト(ja7204)

卒業 女 アストラルヴァンガード
春を届ける者・
村上 友里恵(ja7260)

大学部3年37組 女 アストラルヴァンガード
撃退士・
強羅 龍仁(ja8161)

大学部7年141組 男 アストラルヴァンガード
セーレの王子様・
森田良助(ja9460)

大学部4年2組 男 インフィルトレイター
撃退士・
彪姫 千代(jb0742)

高等部3年26組 男 ナイトウォーカー
影に潜みて・
サガ=リーヴァレスト(jb0805)

卒業 男 ナイトウォーカー
駆逐されそう。なう・
ルーガ・スレイアー(jb2600)

大学部6年174組 女 ルインズブレイド
遥かな高みを目指す者・
長良 香鈴(jb6873)

大学部7年308組 女 ディバインナイト
遥かな高みを目指す者・
長良 陽鈴(jb6874)

大学部7年257組 女 阿修羅