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マスター:小田由章
シナリオ形態:シリーズ
難易度:普通
参加人数:7人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2014/07/21


みんなの思い出



オープニング

●香主の憂鬱
 夏の美しい南国の庭園で、天使はため息をついた。
「どうなさいました?」
『いや…なんでもないんよ』
 心配してくれる檀に首を振って、ジャスミンは儚い笑みを浮かべた。
 何でも無いはずは無いが、問い詰めようとしないのはありがたい。
 部下であるシュトラッサーだからではなく、慮って必要になるまで黙っていてくれるのだろう。

 旗下に加えて数年にもならぬのに、ここまで成長してするとはも思いもしなかった。
 冥魔や人間との抗争に手詰まりとなった感のある今では、彼の笑顔は掛け替えのないモノと言えるだろう。
『手詰まり…。思うてな。他の方面への手前もあるし』
 だからこそ、余計に。
 この反語めいた言葉はジャスミンにとって、自分に、檀に、双方に適用できるものだった。
 他の方面で天使や冥魔が動き、迂闊に動けない現状で無理をするほどでも無い。…と、言い訳が出来てしまう。

 彼女は別に、冥魔や人間との抗争で地方に覇を唱えたい訳ではない。
『なんとかせんとなぁ…さて。(復帰するだけならゲート、ああ冥魔討伐でもええか…。でも、それだけじゃあ意味が無いんよね)』
 南種子町にゲートを造り、落ちついたところでパワースポットの情報ともども上層部に明け渡す。
 あるいは冥魔、シマイをおびき寄せ、人間と共闘してでも討つ。
 そんな方法で功績を稼ごうと思えば稼げる。事実、一時的にではあるが共闘関係も築いている。

 だが、それではせいぜい解かれた役に返り咲く程度…。『目的』の為にはまるで足りないのだ。

 より上の地位に登る途中で失敗し、失脚した身としては、まるで足りないというのが実情だった。
 本当の意味で元に戻るという『目的』の為には、パワースポットを含めた種子島全土が必要なのである。
「今は無闇に人間側を刺激するのは得策ではないかと思いますが……」
『そうやね。それはわかってるんよ、檀。でもなぁ、このままじっとしておくわけにもいかんやろ?』
 その言葉に、檀はただ黙り込む。その憂いを帯びた瞳は相変わらずで。
 ジャスミンドールは檀から視線を逸らす。
『いずれ用意した切り札をぜ〜んぶ使い切るとして、その前に状況を動かさんとね。まずは一枚目、アレ使うわ。檀、用意して』
「……わかりました。確かにアレならば、他の方面にも言い訳は立つと思います」
 だからこそ、余計に。
 手詰まりを感じてしまうのである。

 言葉を繰り返せば、返事にほんの少し含まれた逡巡が…、命令の不徹底さを責めているような気がする。
 それを振り払うように、ジャスミンは決断する事にした。
 切り札は一気呵成に使うべき、だけど全てを迂闊には使えない。…そんな矛盾をクリアする手札を投入する。


●ドラゴンの進撃
 会議室には、大きな画面に写された建物の残骸。
 そして遠方より拡大された、巨大なサーバントの影。
 待ち構えるはずのディアボロの群れに、その巨体が進撃していく。
「天使との一応の共闘関係を結んだ訳だが、ジャスミンドールは強力な手札を切って来たようだ。……とは言え対冥魔用だと本人は言うだろうがな。だから倒すと言うよりは…」
「ディアボロ倒しながら、適当に見て来いって言う事ですね?」
「…そうだな。できれば能力を知りたいが、無理せずとも構わん。画像を拡大するぞ」
 参謀役の教師が切りだすと、生徒はめいめいに騒ぎ始める。
 ざわつく学生達の声に、司令官である九重・誉はつとめて簡単に答えた。

「強力なサーバントにはモチーフがある場合が多い。目的は概容を調べて来る事だ。…予想は付くがな」
 ある種のサーバントにはモチーフがある。
 一から魔法で設計するがゆえに、伝説をモデルに様々な能力を持たせるのだ。

 イメージが強ければ、特化した能力を持たせ易いという長所もあるが、見た目のイメージで欠点も判り易いという短所もある。
 だが、強化サーバントと呼ばれる中には、それら全ての前提を覆す個体も存在した。
「…やっぱこのパターンはドラゴンか大翼竜かねえ」
「あの辺は切り札に使われる事が多いし、知られても良いやくらいで投入するもんね。あーやだやだ」

 それは俗に、ドラゴンと呼ばれる種別である。
 耐久量、攻撃力、特殊性…と厄介な事このうえない。
 見えてるパーツの中には、鱗や角、まさに…と言うほかないだろう。
「傾向次第で対処も異なる。戦う事になった際に『初見殺し』で皆殺しになっては目も当てられん。頼んだぞ」
「了解しました。参加するメンバー次第ですけど、頑張るとしますよ」
 名目が立つように、一応はディアボロ退治。人に危害を出さないか、監視を兼ねると言う言いわけだ。
 勿論、建前論ではあるが、攻撃しないのは確かだ。重要なのは…能力を見てくる事なのだから。
 それから会議室は貸し切られ、巨大サーバントの偵察行が決定された。


リプレイ本文

●逡巡
 遠間に見える廃工場が、ビリビリと震え始める。
 魔力が軽く振動した後、巨大な何かが顕れる姿は、蛹から抜け出す成虫のようでもあった。
「出てきますよ。巨大サーバントとの共闘、暴走の監視を名目にした能力偵察ですか…」
「…なんて大きさなんだ。(天魔…、天使との共闘か)」
 顕れた巨大な影に、青戸誠士郎(ja0994)と宇高 大智(ja4262)は目を見張った。
 思わずCGではないかと疑うくらいの、現実離れした光景である。

 とはいえ、彼らが絶句したのも。大きさにビビったという訳ではない。
 むしろ…。
「そんなに気に食わない?天魔との共闘は気にしないわよ。あたしの敵は人の世界に害を為す存在だから、種族は関係ないわ」
 彼らの逡巡の招待に気がついて、佐藤 七佳(ja0030)は状況に向き合うほかないと言いきった。
 今まで敵対し、現在進行形で島を占領している天使と、いきなり組めと言われて戸惑うのは判る。
 だが、現実問題として、こちらに向いた刃が敵の方向を向くなら、一時的にでも歓迎するしかないのだ。
 あるいは…。
「こう考えれば良いんですよ。要はアレの殺し方を調べろってことですよね…って」
 そしてジェイニー・サックストン(ja3784)は、それぞれのスタンスで受け入れれば良いと告げた。
 また殺し合うのに一時的に仲良くしろ、…ではなく、割りきる事が出来るなら、調べるチャンスであるのだと…。
「タフですね…。ですが考え方は判ります。なんとか納得する事にしますよ」
「そうだね。あからさまな手抜きは禁物ですし……何より、こういった存在と共闘すること自体にも興味があります。今はしっかりと戦い、その力を見極めましょう」
 大智と誠士郎は肩をすくめて、仕方ない物は仕方ない。
 戦略自体は理解できるし…と苦笑を飲み込んで、為すべき事を為す事にした。
 サーバントが街を不要に破壊するようなら防ぎとめ、…何より、暴れるディアボロを退治するとしよう。

●機械の瞳
 各自は映像媒体を構え、相互にデータを共通し始めた。
 ある者は高性能端末に複数の情報を写し、ある者は異なる媒体に1つずつの情報を描きだす。
「最後の一面がリンクしました。影から撮られたこの映像は…紅香様ですか」
「よしっ、そんじゃあ帯同するとしますか。お前さんはあんまり近づくんじゃねえぞ?」
 暇潰しに喫んでいた煙草を名残り惜しそうに消しながら、リアン(jb8788)は状況が整ったと相棒に告げた。
 ロベル・ラシュルー(ja4646)も同様に煙草を始末しながら、歩きながら軽く注意を促しておく。
「判ってますよ。存分に近づいたらどうなるか?中々に興味をそそられますが…。この位置でクラクラしますから、先が思いやられます」
「違げえねえ。まあ、君子危うきに近寄るなつーやつだ。外堀で勘弁しててくれよ」
 また後でと別れを告げて、リアンとロベルは逆方向に歩きだした。
 リアンは遠距離より冥魔の誘導を兼ねて、全体把握。

 一方のロベルは、可能な限り近寄って、出来れば騎乗してみるというものであった。
「俺が知りたいのは、取り合えずデカブツの抵抗力と遠距離攻撃だが…。おっちんじまったら後は頼むわ」
『…了解。情報は…届ける』
 肺に残った紫煙と共に、ためらいを吐きだしてロベルは駆けた。
 その様子を脇から眺めながら、紅香 忍(jb7811)はじっと物影より動かない。
 頭に飛び乗ろうとするロベルが、華麗に成功するのか、あるいは無残に失敗するのか。

 忍にとっては仲間の危険も判断材料の一部、送り届けるデータに過ぎないからだ。
 同じ冷静さでも、ロベルの友人であるリアンとは一線を画した冷徹性を秘めていた。
「ドラゴンか大翼竜を模している…ですか。…と、すると能力の幅も限られて来るモノも在りますね…。飛行能力の有無、尾の薙ぎ払い、ブレスには注意が必要でしょう」
『翼…確かにある。飛行速度・滞空時間の見極め…重要』
 仲間がサーバントの周囲に展開するのを、異なる位置でリアンと忍は見守った。
 サーバントの能力はイメージに影響されると言うが、その外見は物々しい気配を秘める。
 近距離用のドラゴンと、遠距離用のワイバーンの差はあれ、危険な能力があるのは間違いないだろう。

●ドラゴンの進撃
 メシメシと軋みを立てて木竜”フレーバー”が進撃して行く。
 アスファルトに盛大な爪跡を残し、のっしのっしと歩き始めた。
 総体にして緩やかなペースであるが、その巨体ゆえに進撃速度はそれほど遅いわけでもない。
「見守るには良いペースかな?戦車(ドラゴン)があるんです、歩兵は守ってももらうもんですよ。こっちはアレほど固くねーんですから」
「戦車か…そいつあー良いたとえだ。考えてみりゃ、戦車も重量があるからって遅い訳でもないよな」
 競歩にしたり、歩いたりペースを調整しながらジェイニーが声を掛けると…。
 ロベルは電灯を足場に、巨体に飛び乗った。
 ドラゴンは最初、うるさそうにしたものの…。一応は人間に手を出すなと言われてるのか、身じろぎ以上の動きは無い。

 そのまま乾いた鱗を足がかりに頭を目指したロベルは、角を抱えて身体を固定する。
「俺はこのまま頭上のカバー能力を確認しとく。冥魔共はどうだ?」
『…偵察隊。隠れて動き始めた』
『こちら宇高。中間点のディアボロは、ドラゴンの進撃に気がついた模様』
 ロベルの確認に、忍は通信で周囲から窺っていたディアボロの動きを報告。
 同様に大智が、やや離れた位置より送って来た。
 二人の報告もあり、画面の一角に周辺の配置図が更新される。

 写しだされた光点を指で叩きつつ、思案して誰かが呟いた。
「敵の偵察隊が隠れているのは都合が良いですね。このまま放置して、奇襲に対する警戒レベルを確かめましょう。隠れっぱなしであれば対処前提で」
「そうですね。…範囲攻撃を確認したいとのことですし、前面も含めて私が調整して引っ張ります」
 誠士郎がドラゴントの警戒力を確かめるプランを提案すると、リアンは頷いて『ルアー』役を申し出た。
 適度に攻撃しつつディアボロを引き寄せれば、あの巨大サーバントがもつ性能を見る事が出来るだろう。
 危険な囮役を行うという意味では、イザとなれば飛んで脱出できるリアンはうってつけだった。

 他の仲間たちもそのプランに納得し、即座に全体計画を修正し始める。
「おーけー。じゃあその路線で行くとして、ブレスにだけは気をつけてね。射程と範囲が判らないし、…そもそも、香りの煙は何を意味しているのかしら?」
 西洋龍はブレスがつきものだけど…。と七佳は画面の編集を止め、少しだけ首を傾げた。
 周囲の香り自体は、カオスレートの低い者の抵抗力を下げるのだという。
 それを考えれば、状態変化か強酸辺りとは予想付くが、今の段階では正直確証が持てないでいる。
「…まあいいわ。このまま少しずつ色々な性能を割り出して行くとして、何を苦手とするか調べたいから、特徴的な敵が居たら直ぐに報告してちょうだい」
『了解。今のところ冥魔領域の外延だから特に目立ったのは居ないけど、直ぐに報告する』
 七佳の要請に応えて、最も冥魔側に居る大智が通信を返した。

 彼の索敵に加えて、隠れ潜む忍や、移動して好位置を抑えられるジェイニーがいれば、漏れなく調べる事が出来るだろう。
 後は戦闘が始まるのを、待つばかりである。
 それは大きな危険とは知りつつも、撃退士が怯む事は無かった。

●スモーカーズ、フォレスト・ドラゴン
 そして…。
 ドラゴンの快進撃が始まった。
「あのレベルの攻撃を食らって何ともないって…。(壮観だなあ)」
「本当に無傷なのか、一応傷ついてるかどうかは別として、のろまな代わりに高耐久って本当なんですね」
 誠士郎やジェイニーの目に、次々と攻撃を食らうドラゴンの様子が映った。
 小揺るぎもしない様子に誠士郎は感心し、ジェイニーは見え見えの攻撃を避けようともしない姿に注目する。
 そしてジェイニーは回線を切り替え、『上』に居るロベルに詳細を尋ねる事にした。
「頭の上からみた様子はどうですか?こっちからじゃあ細かい所までは判らないので」
『そうさなあ…。けっこう傷ついてるが再生もしてる。おそらくは、高い耐久値とそれなりの再生力に任せて、回避はしない方向なんだろう』
 ジェイニーの質問に、ロベルはもうちょい大きい攻撃があれば下からも見えるだろうな…。
 と呟いて、木が生長するように再生する詳細な光景を録画して、編集役(七佳)へ送信する。

 ややあって、映像と位置情報が同期して更新され、蹴散らされてるディアボロの数が減りつつあったが…。
『ちょいとすまねえ。この隠れてる連中を叩きだしてくれるか?火力低いんだが、予想以上に俺の所にも届くんで面倒くせえ』
『了解…。正面の…は、感知力検査、兼ねて。ドラゴンを誘導…する』
「なら残りはこちらでやりますよ。あらかじめ潜伏場所は抑えてますんで、順次追い出していきます」
 ロベルは画面をつつくと、木龍の放つトゲより射程の長い魔法を使うディアボロをピックアップする。
 その要請に忍は内の一体をクリックし実験を申請、誠士郎が残りの対策を行う事で折り合いがついた。

 忍は潜伏したままディアボロの近くに移動し、懐から手鏡を取り出すと…。
 キラッっと、ドラゴン向けて光を反射させる。
『測定…開始。(…どの距離で気が付く?)』
「(始まった。そろそろ、こっちも追い出すかな)」
 忍のかざした光を受けて、ドラゴンが少し関心を向けた。
 誠士郎はそのまま、どの程度で気が付くかを、忍とは別角度で見守りながら…。脇に回り始める。

 そして、誠士郎追い出そうとした時。新しい通信が入ったのである。
『数体ほど引き連れて、そっちに向かっています。タイミングを合わせられますか?可能ならかなりの数を正面に…』
「…えっと、今は正面に隠れてる奴を探してるし…。多分大丈夫…かな?」
「なら反対側は私が担当するっ。記録し易い位置に、移動しておきたいしね」
 リアンより、急遽、連絡が入った。
 話を着た誠士郎とジェイニーは、それぞれの召喚獣を駆って、追い込み作業に入った。

 時折聞こえる発射音が別の敵を呼んでる鈴代わりだとすれば、隠れている敵も合わせて相当な数を集められるはずだからだ。
 殆どは雑魚とはいえ、数量の脅威に対するには、トゲを飛ばすのではなく必ずや切り札を使用するだろう。
『動作に入ったか…。合図と共に急上昇を掛けます!必要なら落ちてください。五…、四、三…』
『あいよ、命は預けるぜ相棒! 二…一!』
 飛行して屋根の上を飛び抜けるリアンの目に、息を吸い込み始めたドラゴンの様子が見えた。
 ロベルは盛大にグラつく足場に苦笑すると、リアンが向かっている軌道に向けて落下!

 片手でキャッチしあって落下速度を減速させた後、ロベルは民家の屋根を蹴ってダメージを最低限に抑えた…。
『おーおー。盛大に喫かしたもんだなあ。人間形状があったらさぞ煙管が似合うだろうね』
『言ってる場合ですか、できるだけ離れますよ!』
 ロベルとリアンは、愛煙家のドラゴンを放置して、一目散に逃げることにした。
 恰好は良くないが、ディアボロの集団と、ドラゴンブレスの激突に巻き込まれたいとは露ほどに思えない。
 噎せ返る様な香気が周囲を満たしたのは、その数秒後の事である。

●偽りの家族愛
 木龍”フレーバー”がブレスを吐きだした時。
 一目見ただけでは、大した効果があったようには思えなかった。
 余波で逃走中のロベルたちを心配するような事も無かったし、…そもそもディアボロたちが傷ついたようにも見えなかったが…。
「マヒだった?それとも不発?…ブレスの他に土煙りもあがって良く見えないんだけど」
『感想から先に言っていいなら最悪だ……。知らずに、町に乗りこまれてたら『詰んでる』ぞ』
 情報を編集していた七佳は、炸裂したはずのドラゴンブレスに疑問を覚え近くのロベルへ確認を取る。
 返事自体は直ぐに聞こえるのだが、不思議な事に…大した傷を負って居ないはずなのに声が震えていた。

 そう、状態変化の類には違いないが…。
 風に吹かれて拡散するような脆弱性を持っていたが、麻痺とかそういうレベルの存在ではなかったのだ!
『こいつのブレスはチャーム系……。耐久性を考えると、魅了系は本体を先に倒せって言う鉄則が、一切通じないバケモンだ。リアンと忍…、てめえらは絶対に下りてくるなよ?』
『やれやれ。ひと段落ついたばかりなんですけどねえ、ここは風上に逃げるとしますか』
『…了解。(…さっきの例…考えると。遠距離攻撃。か、囮…必要)』
 ロベルは吐き捨てるようにして、リアンと忍に警戒を呼び掛けて合流を開始した。
 一直線にロベルが仲間の元を目指すのに対し、リアンと忍は入念に煙を避けて大回りで移動し始める。
 例えブレスの効果が人間には聞き難いとしても、周囲の香気がカオスレートが低い彼らの抵抗力を落とすなら危険極まりないからだ。

 ゾンビ退治に行ってゾンビニになって返ってくるという笑い話があるが、流石にそれは避けたい冗談であろう。
 問題なのは、自分たちが抵抗できたとしても、出来ない人が居ると言う事である。
「戦車がテンプテーション使うのか…。始末…じゃなくて、戦う時は住民避難を優先しないと駄目ですね」
「それと…取り巻きの類を排除しながら戦わないと。ホラっ、魅了した奴、連れて歩いてます」
 左右から見守っていたジェイニーと誠士郎も合流し、散発的に襲ってくるディアボロを始末して行く。
 見ればドラゴンの方は、魅了したディアボロを直衛にして、悠然と進撃を再開したのである。
 自分たちを襲うように新手が襲い来るのだが…、魅了した冥魔はドラゴンこそが『親』とでも言わんばかりに積極的に防備を固めていた…。

「あーもう。悪いけど、貴方達に構っている暇はないの。ほら、あのドラゴンとかいいんじゃない?…次の集団はどう?それ次第で対処を変えましょう」
『えーっとですね。巡回として典型的な獣やアンデッドナイトの集団。冥魔の拠点に近い位置に、でっかい向日葵が睨みを利かせてる感じですね』
 出来るだけ敵を振りきりながら、七佳は警戒している大智に尋ねた。
 彼が奇襲を警戒しているので安心して見てられるのもあるが、冥魔をドラゴンへ退治させたり…逆に弱点を突かせてみたりできるからである。
「でっかい向日葵って…。そういえば四国で『光狩りの剣』って長射程型が居たような…」
「以前に戦った相手ですか?いずれにせよ、戦わせてみたい相手の所へ誘導って感じですね」
 額に指を当てて思いだそうとする七佳に、大智は治療を施しながら仲間の無事を確かめた。
 遠くで煙草を吸ってる大人たちを含めて、全員が無事なようだ。

 全員で知恵と力を合わせれば、必ずや道は拓けるだろう!


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: Defender of the Society・佐藤 七佳(ja0030)
 駆け抜ける風・宇高 大智(ja4262)
 Lightning Eater・紅香 忍(jb7811)
重体: −
面白かった!:5人

Defender of the Society・
佐藤 七佳(ja0030)

大学部3年61組 女 ディバインナイト
ルーネの花婿・
青戸誠士郎(ja0994)

大学部4年47組 男 バハムートテイマー
闇に潜むもの・
ジェイニー・サックストン(ja3784)

大学部2年290組 女 バハムートテイマー
駆け抜ける風・
宇高 大智(ja4262)

大学部6年42組 男 アストラルヴァンガード
良識ある愛煙家・
ロベル・ラシュルー(ja4646)

大学部8年190組 男 ルインズブレイド
Lightning Eater・
紅香 忍(jb7811)

中等部3年7組 男 鬼道忍軍
明けの六芒星・
リアン(jb8788)

大学部7年36組 男 アカシックレコーダー:タイプB