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マスター:猫野 額
シナリオ形態:イベント
難易度:易しい
参加人数:25人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2013/10/10


みんなの思い出



オープニング

 久遠ヶ原学園。
 個性豊かな撃退士たちが暮らすそこは、今日もとても賑やかです。
 けれど、その賑やかさの源が、平和なものとは限りません。

「秋だなあ」

 大きなあくびをしながら、男の人が言いました。
 彼は「円堂 希壱」。大学部の3年生です。
 進級試験を無事に終えた希壱は、とても退屈そう。

「秋ですね」

 希壱の隣で、にこにこ笑顔の背の高い女の人が頷きました。
 彼女は「小美玉 知沙」。こちらも大学部の3年生。
 じろり、と希壱が知沙を睨みます。

「……出やがったな、くノ一野郎」
「ひどい言い様ですね。女性に向かって野郎呼ばわりとは」
「いーじゃねーか別に。挨拶みたいなもんだろ」
「まあ、構いませんけども。少々つまらないですね」

 残念そうに首を振る知沙を見て、希壱が肩を竦めて呟きます。

「お前の隠密スキルはたしかにすげーがな。毎度まいど使われりゃあ慣れるだろうよ」
「ふむ、そういうものですか。では次回は、後ろから抱きついてみましょう」
「やめろ。俺を押し潰すつもりか」
「失礼な。背はあなたより高いですが、体重は軽いですよ?」
「……あー、そーかい」

 はあー、と希壱は溜息を吐きました。
 知沙はにこにこ笑顔のままです。
 会話が途切れた状態で、二人は何となく並んで歩いていました。

「芋煮くいてーな」

 不意に希壱が言いました。

「芋煮ですか。いいですね」

 知沙はうんうんと頷きました。

 芋煮とは、里芋の入った鍋料理のことです。
 特に希壱と知沙の出身地、山形県では郷土料理として親しまれています。

「最近食ってねーんだよなー。うどんとかカレー入れて食うとめっちゃ美味いんだよなー」

 希壱がちょっぴり笑いながら言いました。
 もう彼の頭の中は、美味しそうな芋煮でいっぱいです。
 ところが、知沙は笑っていませんでした。不思議そうに希壱を見つめます。

「芋煮にカレーは無いでしょう」
「は? ……ああ、そーいやお前は『庄内』だったな」
「そういうあなたは『内陸』でしたね」

 穏やかな空気が一変、希壱と知沙の視線がぶつかり、バチバチと火花を散らします。

「芋煮と言やあ『すき焼き風』だろ。醤油ベースに牛肉、シメにうどんとカレーで決まりだぜ?」
「いいえ、芋煮と言えば『豚汁風』です。味噌味のおつゆに豚肉こそ至高です」
「山形風芋煮っつったら内陸の芋煮なんだが?」
「最もポピュラーなのは庄内の芋煮ですよ?」

 山形県では、海に近い庄内地方と、山に囲まれた内陸の地域で、つくる芋煮の種類が違います。
 庄内出身の知沙と、内陸出身の希壱。
 それぞれが想像している芋煮は、里芋が入っていることと鍋料理であること以外は、まったく違っていたのです。

「ありゃ芋煮じゃねーだろ。せいぜい『里芋入り豚汁』ってとこだ」
「そっちだって、『里芋入りすき焼き風カレーうどん』じゃないですか」

 希壱も知沙も、一歩も退きません。
 心なしか、だんだん声も大きくなっていきます。
 一触即発ムードの二人のそばを、たまたま一人の女の子が通りかかりました。

「なんだ、おぬしら。何をもめているのだ?」

 白い髪の女の子、ルーシィ・アルミーダ・中臣(jz0218)は、二人に事情を尋ねました。
 希壱と知沙は、自分の知る芋煮が一番美味しい、とルーシィに熱弁しました。
 ふむふむ、と頷いたルーシィは、得意気な顔で言いました。

「簡単な話ではないか。実際につくってみて食べ比べれば良いのだ」

 なるほど、と二人は頷きます。
 どちらが美味しいのかを決めるには、一番わかりやすくて、一番確実な方法です。
 ルーシィがびしりと人差し指を立てました。

「よし、この勝負は我が預かろう! どうせなら大勢に食べてもらった方がよい!
 芋煮とやらは『芋煮会』で振る舞うのだったな? ならば、それに則るのが最良だ!
 みんなで集まって食べるのだ! きっと楽しいぞ!」

 希壱と知沙は顔を見合わせると、にやりと笑みを交わしました。
 どちらも負けるつもりはありません。
 こうして、「芋煮会開催のお知らせ」は依頼として、掲示板に貼られることになりました。


リプレイ本文

●たたかいのはじまり


 ある日のことです。
 天気が良かったので、龍崎海(ja0565)は散歩をしていました。
 たまたま通りがかった河川敷。そこに、大勢の人が集まっています。
 見知った顔も何人かいるようです。もっとも近くにいた佐藤 としお(ja2489)に、海は声をかけました。

「こんにちは。これは何の集まりだ?」
「あっ、海さん! こんちわっす! 今から芋煮会をやるんですよ!」

 挨拶を返したとしおは、満面の笑みを浮かべています。
 彼にとって、芋煮会に参加するのははじめてのことです。

「そうだ。海さんも一緒にどうです?」
「いいのか?」
「参加費無料って話ですし、大丈夫だと思いますよ!」

 ふむ。海は改めて周囲を見回しました。
 タダで食事が出来るというのです。せっかくのお誘いを断る理由はありません。
 この人数に一人加わった程度であれば、おそらく影響は少ないでしょう。
 それでも、黙って参加するのは少々気が引けました。

「一応、飛び入り参加ができるのか確認した方がいいな」
「じゃあ、あの子に聞けばわかるはずですよ!」

 としおが指さしたのは、白い髪に青い瞳の少女――ルーシィ・アルミーダ・中臣(jz0218)。
 海が軽く声をかけ、用件を尋ねると、二つ返事でOK。
 礼を言う海に「うむっ」と鷹揚な頷きを返して、ルーシィはわざとらしく咳払いをしました。

「あー、コホンっ! 皆の者、よく集まってくれた!」

 声を張るルーシィに、河川敷に集まったみんなの視線が集まります。

「このたび、円堂 希壱、小美玉 知沙の両名が、腕によりをかけて芋煮をつくることとなった!」

 すでに準備にとりかかっている希壱が、ひらりと片手をあげました。
 三角巾を頭に巻いている知沙は、笑顔で小さく手を振りました。
 再度咳払いを挟んで視線を集めてから、ルーシィが続けます。

「皆には、どちらがつくる芋煮が美味しいのか、食べ比べて吟味してもらいたい!
 最初からどちらかの陣営についても良いし、別個に調理をしてもらっても構わんぞ!
 今日は存分に楽しんでいってくれ!」

 ぱちぱちと拍手がおこり、ルーシィは満足そうに頷いています。
 秋晴れの高い空の下で、賑やかな芋煮会がはじまりました。



●おみそにぶたにく


「芋煮と言ったらこっちだと思うのですよ庄内的に考えて」
「そうですよね。あなたはよくわかってらっしゃいます」

 黒瓜 ソラ(ja4311)の言葉に、知沙が嬉しそうに頷きます。
 どうやらソラは知沙と同じ、山形県庄内地方の出身だったようです。
 実は彼女、親類の関係上内陸の芋煮も美味しく頂いているのですが、知沙には内緒。
 乙女の奥ゆかしい秘密なのです。

「素材を余すことなく活かした調理こそ至高なのです。内陸共にはそれがわからんのです!」
「はあ……そういうものなんですね」

 ソラから話を振られた唯月 錫子(jb6338)は、作業の傍ら苦笑を返しました。
 参加費無料、という言葉につられて参加した錫子ですが、ただ待っているのは落ち着きません。
 そういうわけで、興味を引かれた知沙側のお手伝いをしているのです。
 味見したい気持ちをぐっとこらえて、楽しみは完成までとっておくようです。

 さて、そんな女性三名を眺めながら、うんうんと頷きつつ調理を手伝う男性が一人。
 ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)です。

「やっぱり料理をする女性はステキだねぇ☆」
「そ、そうでしょうか……?」
「ふふ、お世辞がお上手なんですね?」

 錫子がほんのり頬を染め、その隣で知沙がくすりと笑うと、ジェラルドはいやいやと手を振りました。
 昔、宮城県にいたジェラルドは、芋煮は味噌派なのです。
 それを抜きにしても、とりあえず女性の味方なのです。

 人手の多い西軍は、知沙の指示でどんどん調理が進んでいきました。
 手際よく皆に仕事を分ける知沙を見て、ソラが感心した様子で呟きます。

「やっぱニンジャじゃないとダメかー。ニンジャの人すごいなーあこがれちゃうなー」
「それほどでもありません。あとでジュースを奢ってあげましょう」

 知沙は、いつもと違ってどこか得意気な笑顔です。
 でも料理の腕前は希壱さんと同じくらいかなあ、と内心で思うソラなのでした。
 もちろん、知沙には内緒です。



●おしょうゆにぎゅうにく、しちりんもあるよ!


 賑やかな西軍とは打って変わって、東軍は希壱が黙々と調理をしています。
 そこへにこにこ笑顔の鈴木 悠司(ja0226)がやってきました。

「こんにちは! これ、よかったらどうぞ!」
「おう、サンキュ。そのへんに置いといてくれ」

 悠司が差し入れたのは、彼が買ってきた缶ビールです。
 すべてを一人でこなす希壱はとても忙しそう。
 返事はしたものの、悠司の方を見る余裕もありません。

「すっごく気合が入ってるね?」
「まーな。負けられない戦いってヤツなんでね」
「そうなんだ。出来上がりを楽しみにしてるよ!」
「ああ。期待しといてくれ」

 じゃあね、と離れる悠司と入れ違いで、希壱に近づいてきたのは鴉乃宮 歌音(ja0427)。
 本日のコスプレテーマは「田舎の婆ちゃん」風、もんぺに頭巾という格好です。

「酒を差し入れようかと思ったんだが、どうやら先を越されたようだね」
「気にせず置いてっていいぜ。缶ビール一本じゃ足りねーかなと思ってたとこだ」

 火の加減を見ながら答える希壱は、先ほど同様歌音の方を見もしません。
 それは重畳、と手土産を缶ビールの隣に並べ、さてさてと歌音は材料を眺めます。

「ときに。余りそうな食材があったりしないかな?」
「うん? なんかつくるのか?」
「酒だけでは味気ないかと思ってね。軽く肴でもつくろうかと」
「そりゃ妙案だ。そこに置いてあるヤツなら、好きなだけ使ってくれていい」
「すまないね」

 本当なら手伝うべきなのだろうが、と歌音は呟きました。
 歌音の調査によれば、里芋の収穫時期に野外で鍋を囲んだ風習が芋煮会の原型とのこと。
 つまり芋煮自体は、豚汁風でもすき焼き風でも寄せ鍋風でも闇鍋風でも構わないのです。
 地域によって鍋の中身が違う、それこそが芋煮の良いところだ、というのが歌音の考え。
 ということで、今回は知沙か希壱のどちらかに協力するつもりはないのです。


 さて、そんな希壱たちの近くには黒猫さん、カーディス=キャットフィールド(ja7927)の姿がありました。
 持参した七輪で火を起こし、ふんふんとご機嫌に歌っています。

「しいたけの塩焼き〜♪
 里芋の上にお醤油をちょっぴり垂らして〜♪
 焼いたお餅には〜♪
 お醤油もお味噌もぴったり〜♪」

 イギリス生まれのカーディスですが、今では日本の食べ物にメロメロなのです。
 この日の為にお腹を空かせてきましたから、準備は万端といったところ。
 上手に焼けた里芋を、近くにいた黒百合(ja0422)に差し出します。

「そこのアナタ。いかがです?」
「あらァ、ありがとうゥ♪ ……その七輪、ちょっと借りてもいいかしらァ?」
「ええ、構いませんよ」

 もぐもぐ。しいたけやお餅を食べながら、カーディスは頷きます。
 黒百合も食材を持参していたので、ついでにサンマを焼くつもりのようです。
 良い香りに誘われて、七輪パーティの会場には人が集まりはじめました。



●いもにいろいろ


 東西両軍のちょうど中間では。
 陽気に歌いながら、久遠寺 渚(jb0685)が芋煮を作っていました。

「芋煮、芋煮、おいしい芋煮♪
 お味噌がいっぱい、豚汁風♪
 お肉はとろーり牛筋さん♪
 里芋さんに、人参さん、蒟蒻さんを加えたら♪
 しっかり灰汁抜き、よく煮ましょう♪
 香りつけには日本酒さん♪
 隠し味にはお醤油さん♪
 お砂糖さんも忘れずに♪
 入れすぎないよう注意です♪
 しめじにお葱も加えたら♪
 さっと一煮立ち、完成ですっ♪」

 歌に合わせるように、手早く、手際よく、あっという間に出来上がり。
 完成、という言葉を聞いて、おなかをすかせた参加者の皆が続々と集まります。

「はーい皆さん! 押さないで並んでくださいねー!」

 一杯目はそのまま。次はカレールーとうどんを入れた、和風カレーうどん風に。
 渚がつくった芋煮は大好評で、瞬く間になくなってしまいました。


 さあ、そんな大人気の渚特製芋煮を、ぺろりと平らげて。
 そればかりか、カーディスや黒百合から、たんと食べ物をもらって。

「たっぷり食べられるなんて……なんというパラダイス!」

 ぽわぽわと幸せそうな表情とは対照的に、物凄いスピードで食事をとるのはみくず(jb2654)です。
 彼女の目の前に次々と椀を並べるのは紫 北斗(jb2918)。
 お料理上手な、みくずの実のお兄さんです。
 今日のために(というよりも妹のために)北斗はたくさん食材を買い込んできました。
 とりすき風や寄せ鍋風と呼ばれる芋煮を、ハイペースでつくっていきますが……。
 需要に対して供給が間に合っていない模様です。
 忙しなく調理に取りかかる一方で、半ば呆れて北斗が呟きます。

「相変わらずとんでもない量を簡単に平らげるな……」

 瞬く間に空になっていく器たち。
 さながら、わんこそばを食べているかのような風景です。
 何せみくずは一日五食、一食あたり五人前を楽々片づけてしまいます。
 北斗がいなければ、みんなが食べる芋煮も全部食べてしまっていたかもしれません。


 ところ変わってまたまた別の場所では。

「芋煮のバリエーションは二つだけではないのだよ」

 うむ、と頷いているのは鳳 静矢(ja3856)。
 どうやら知沙や希壱とはまた違った芋煮をつくるようです。
 テーマは「両陣営の中間となるような芋煮」です。

「さて、頑張ってみるですよぅ☆」

 ぐっと拳を握り、気合十分の鳳 蒼姫(ja3762)。
 旦那さんである静矢と一緒に、さっそく調理に取りかかります。

「私市さん! ここで会ったが100年目、来ると良いなの!」
「わわっ、引っ張らなくても……! でも、誘ってくれてありがとうね、風禰さん!」

 香奈沢 風禰(jb2286)と私市 琥珀(jb5268)も鳳夫妻のお手伝い。
 四人で作業を分担して、おいしい芋煮をつくります。

 まずは材料の下準備です。
 普段から自炊をしている琥珀は、蒼姫の上手な指導もあって、順調に材料を刻んでいきます。
 蒼姫は感心した様子で頷いています。

「私市君は筋が良いねえ。フィーは……」
「なぜ、野菜は切れずに指を切ってしまうなの?」

 不思議そうに自分の指を眺める風禰。
 だらだらと血が流れているせいで、ちょっとホラーです。
 ああ、やっぱり。蒼姫が頭を抱えました。

「わああ!? だ、大丈夫!?」

 慌てて琥珀が絆創膏を取り出します。
 一悶着ありましたが、材料の準備は完了。
 ここからは、味付け役の静矢の出番……なのですが。

「これぞ、芋煮完全系なの!」

 復帰した風禰がよいしょよいしょと食材を抱えています。
 まずは里芋。そしてじゃがいも。さつまいも。山芋、長芋、こんにゃく芋……

「風禰、ストップだ」
「?」

 呆れ顔で待ったをかける静矢。
 芋煮完全系というよりも芋煮ではない何かが出来てしまいそうです。
 はいはい、と蒼姫が風禰から芋の数々を回収します。

「フィーはとりあえず引っ込んでなさいっ」
「うー。無念なの……」
「あはは……」

 残念そうな風禰。琥珀も思わず苦笑い。
 気を取り直して、静矢が仕上げにとりかかります。
 蒼姫と琥珀(と一応風禰)が刻んだ野菜を鍋へ。
 軽く炙って油を落とした豚肉を入れ、蒼姫オススメのだし入り醤油、そして砂糖で甘めに味付け。
 琥珀が用意した糸こんにゃくととうふを入れれば、豚肉を使ったすき焼き風芋煮の完成です。

「醤油ベースなら、さっぱりとした味付けが良いだろう」
「うん、良い味! 私市君とフィーも……ってあれ?」

 味見用の小皿を手に蒼姫が振り返ると、二人の姿が見当たりません。
 静矢と顔を見合わせ、きょろきょろと周囲を見回せば。

「焦げるなの! 茹でられてしまうなの!!」

 向こうの鍋に、風禰が落下していました。
 割烹着姿の北斗の目が点になっています。

「芋煮を作ろうと準備してたら女の子が鍋に入っていた……何を言っているのかわからんと思うが(ry」
「うわあっ!? い、今回復するからね!!」

 琥珀が風禰を助け出し、全力で回復スキルを使っています。
 静矢と一緒に北斗に謝りながら、蒼姫はこっそり微笑みました。

(あの二人。そのうち良い関係になれるといいねえ)



●じっしょく!


「よーし! 双方、料理は出そろったな!」

 ルーシィの言葉に、知沙と希壱が頷きます。
 二人の目の前にはそれぞれがつくった芋煮がありました。
 いよいよ実食タイムです。

「では、各々好きな方から食べてくれ!
 それと、静矢や蒼姫たちも芋煮をつくってくれたようだ!
 そちらの方も完成したようだから、遠慮せずにもらうとよいぞ!」

 待ってました、と参加者たちが思い思いに列をつくりました。
 知沙、ソラ、錫子が配るのは、豚肉に味噌味の豚汁風芋煮。
 静矢、蒼姫、風禰と琥珀が配るのは、豚肉に醤油味のすき焼き風芋煮。
 希壱、渚、歌音が配るのは、牛肉に醤油味のすき焼き風芋煮です。
 配膳を手伝う渚と歌音に向けて、希壱が申し訳なさそうに言いました。

「悪いな。手伝わせちまって」
「いえ、お気になさらず! 私の芋煮は売り切れちゃいましたので!」
「謝る必要は無いよ。材料を融通してくれた礼と、手伝わずにただ見ていた詫びだからね」
「そーかい。ありがとな」

 希壱はちょっぴり嬉しそう。
 お料理するのも、食べるのも、一人より大勢の方が楽しいものです。

 そんな東軍のおとなり、鳳夫妻の芋煮の列に、最初に並んだのは海でした。
 蒼姫から芋煮のお椀を受けとると、列を外れつつ静矢に声をかけます。

「こんにちは。参加……というか、参戦してたんだね」
「ああ。そちらは飛び入りだそうだが、楽しめているか?」
「楽しいのはこれから、って感じかな」
「それもそうか。私も他陣営の偵察に行くとしよう」

 海の言うとおり、芋煮会は始まったばかりです。
 さて、今度は芋煮を食べる側に目を向けてみましょう。

「珍しいな、これは……スープなのか?」

 ほう、と手にした椀の中の芋煮を眺めるのはラグナ・グラウシード(ja3538)。
 はじめて見る料理に興味津々の様子です。

「あ、ラグナさんも来てたんだね」
「貴殿か……む、それは」

 ちょうど近くを通りかかった六道 鈴音(ja4192)の手にも、芋煮の入ったお椀が。
 しかし、ラグナが持っているものとはちょっとだけ違いました。
 知沙たちがつくった豚汁風の芋煮の中に、白い麺が顔を覗かせています。

「うどんを入れてみたんだ。美味しいよ!」
「うどん! そういうのもあるのか……」
「こっちのすき焼き風には、あとでカレーを入れるんだって。そっちも食べてみたいよね!」
「なるほど。ひとつの鍋でふたつの味が楽しめるというわけだな」

 日本食は奥が深い。感心しきりのラグナです。
 その後ろでは、としおとヒロッタ・カーストン(jb6175)が三種類の芋煮に舌鼓をうっています。

「うーん! どれも美味しいな!」
「はっはっは。本当にな」

 にこにこ。笑顔の二人。
 その胸中で、互いににやりと怪しげな笑顔。

(ちょっとした余興にね♪)

 隙を見て、としおの器に素早くデスソースを垂らすヒロッタ。
 それに気づかず、としおが芋煮を一口。

「ぶふぅっ!?」

 悶絶。昏倒。
 はっはっは、と愉快そうに笑い、ヒロッタが自分の芋煮をのんびりと……

「ごはっ!?」

 食べた結果。辛すぎて悶絶。昏倒。
 なんと、ヒロッタの芋煮にもデスソースが盛られていたのです。

(やられた回数は僕の方が上なんだよ……)

 へへっ。力無く笑い、としおは意識を手放しました。
 良い子の皆さんは真似しないようにしましょう。
 一方、未だペースの衰えないサバイバル大食い優勝者・みくずの隣では。

「ん! 醤油ベースはこの香ばしさが良いし、味噌ベースは柔らかな口当たりが美味しい!」

 どんぶりを持参し、超大盛りの芋煮を食べているのは蓮城 真緋呂(jb6120)。
 痩せている体のどこに大量の芋煮が消えていくのか、まったくの謎です。

「こっちも美味しそう。食べていいかな?」
「もちろん。お兄ちゃんの料理は最高だよ!」

 きちんと『みくずから』許可を得て、北斗のつくった芋煮にも箸を伸ばす真緋呂。
 もぐもぐ。大食い少女二人は幸せそうに呟きます。

「「……おいひい♪」」
「いつの間にか増えとる、やと……!?」

 お客さんが増えた北斗はますますたいへんです。がんばれお兄ちゃん。
 ちょうどそこへ、主催者のルーシィが通りかかりました。
 手にした芋煮は忙しすぎる北斗の分です。

「北斗、持ってきたぞ! ……手伝うか?」
「ここは俺が押さえるさかい、ルーシィ氏は先に食べなはれ!」
「そうか? では、こちらに置いておこう」
「おおきに!」

 うむっ。頷くルーシィに、今度は真緋呂が手を振ります。

「中臣さん! 素敵なイベントを企画してくれてありがとう!」
「うむっ、どういたしましてだぞ! どうだ、芋煮は?」
「さすがは山形のソウルフードって感じよ。どれも美味しいわ!」
「そうだろう、そうだろう! 心行くまで堪能するがよい!」
「うんっ、そうさせてもらうわね!」

 一切調理に関わっていないのに、なぜか得意気なルーシィです。
 さてと、と自分の分をもらうため列に並ぼうとしましたが。
 何かが焼ける美味しそうな匂いにつられてふらふら、七輪パーティ会場へ。
 ルーシィの接近に気づいた黒百合が、にィと口角を上げました。

「何か食べたいのかしらァ? ちょうど焼き上がったところなのよねェ♪」
「むむ……いや、我は……」

 美味しそうな焼サンマが差し出されましたが、ルーシィは微妙な表情。
 実は黒百合、事あるごとにルーシィに餌付けしようと画策しているのです。
 というよりも、さつじn……コホン、新作お菓子の実験台にしようとしているのです。
 そういうわけで、ルーシィはちょっと遠慮気味。
 わざとらしく大袈裟にため息を吐いて、黒百合は心底残念そうに呟きます。

「美味しいのにィ……私の渡す物が嫌だなんてェ。
 悲しみのあまり、綺麗な白い髪と青い瞳の天使を闇討ちしてしまいそうだわァ……」
「食べる! 食べるぞ! ぜひいただこう!!」

 ルーシィは急に元気になりました。
 黒百合は満足そうです。よかったですね。(棒読み
 そんな二人の向こう側。

「芋と聞いて私、参上……」

 ふっ、とクールに口角を上げるのは一月=K=レンギン(jb6849)。
 お椀に入った芋煮の他、カーディスから焼里芋もゲットしたようです。
 今日は食べる、と決めてきた一月。さらなる美味を求めて会場を彷徨っていると、見知った顔を見つけました。
 月乃宮 恋音(jb1221)です。その隣には、袋井 雅人(jb1469)の姿もあります。

「恋音。甘露煮はまだあるか?」
「は、はい……? ……ああ、一月先輩でしたかぁ……こちらをどうぞ……」

 恋音が準備してきたのは、棒鱈の甘露煮です。
 彼女の調べでは、棒鱈と里芋を使った鍋が芋煮の起源とする説が、山形県の一部に伝わっているそうです。
 そこで今回の芋煮会には、その説をまとめたパンフレットと、棒鱈を使った料理を持ってきたのです。
 一月は事前に恋音の予定を聞いていたので、出会い頭にああいう質問が飛び出したわけです。

「む……甘露煮は私の分で最後か?」
「はい! 皆さんから好評です! 何しろ恋音の料理ですからね! 美味しいに決まっていますよ!」

 笑顔で答える雅人の隣で、恋音が赤い顔でうつむきました。
 二人が持つのは少量のパンフレットのみ。
 ぎりぎり間に合ってよかった、と一月はほっと一安心。
 ところで、と二人に尋ねます。

「芋煮は食べたのか?」
「えぇと……その……まだ、ですねぇ……」
「それはいかんな。芋煮を食べてこその芋煮会だろう」

 ほれ、と持っていた椀を差し出す一月。
 恋音と雅人は顔を見合わせました。雅人が尋ねます。

「いいんですか?」
「ああ。甘露煮の礼だ。二人で食べるといい」
「す、すみません……ありがとうございますぅ……」
「うむ。私の食べかけだが」
「「えっ」」
「冗談だ」

 爽やかな笑顔を浮かべて、一月はその場をあとにしました。
 芋煮は一杯。一月から受け取ったそれを、雅人が恋音に差し出します。

「とりあえず、恋音から食べてください」
「い、いえ、ここは先輩から……」

 互いに譲り合いが続きましたが、最後は雅人が折れました。
 希壱がつくったすき焼き風芋煮。一口食べたそのとき、雅人に電流が走りました。

(こ、この味はっ!?)

 知っている味だ、と雅人は感じました。
 記憶を失くした状態で久遠ヶ原にやってきた雅人ですが、この芋煮の味は体が覚えていたのです。
 しかし、それ以上深く考えようとはしません。今はまだその時ではないのです。
 不思議な感動を味わう雅人に、おずおずと恋音が声をかけます。

「あのぅ……先輩……?」
「あっ、はい! どうしました?」
「……えと、お箸が……一膳しかないのですが……」
「あー……」

 何となく、二人は顔を赤くしました。
 一月の良い笑顔が、恋音と雅人の脳裏に蘇りました。

 その一月はというと。
 放浪の果てに、酒を嗜む大学部の集まりに辿り着いていました。
 各々が持ち寄ったビールに日本酒、その他各種アルコールが勢ぞろいしています。

「秋空を眺めながらの酒もいいものだな……」
「まったくです。それに、どの芋煮も日本酒がよく合いますよ」

 呟く一月に同調し、樋口 亮(jb7442)が頷きます。
 ちびちびとお酒を飲みつつ、芋煮の食べ比べをしているのはラグナです。

「ふぅむ。どちらかと言えば……私は東軍の方が好みだな」
「んー、懐かしい♪ やっぱ美味しい☆」
「美味しい料理を外で食べるって、良いよね!」

 その一方、自分もちょっとだけ手伝った味噌味芋煮を食べるのは、ジェラルド。
 隣では悠司がビールを飲んでいます。

 飲み会が開かれている一角に、小柄な二人が近づきます。
 一人は、酒とツマミを運ぶ歌音です。

「芋煮会。或いはパジャマパーティ……と、とある貴族は心底行きたそうに語ったという」
「……なんだそれは?」
「気にしない、気にしない。それより、おつまみおまちどお」

 怪訝な表情の一月。
 ですが、歌音のつくった料理を口にすれば、すぐに顔が綻びます。
 「あ、そうそう」とジェラルドが一月におにぎりを差し出しました。
 彼は、知沙を手伝うついでにご飯を炊き、おにぎりをつくっていたのです。

「芋煮会にはお米は必須♪ おひとついかが?☆」
「ん、ありがとう。お礼に棒鱈の甘露煮をわけてやろう。最後のひとつだ」
「えっ、あれってもう売り切れたの? 早めにもらいに行けばよかったかなあ」

 さて、もうひとつの近寄る人影はちょっとお疲れのルーシィです。
 彼女にいち早く気づいたのは亮でした。

「これはこれは、ルーシィさん。このような楽しい席を用意してくれて、ありがとうございます」
「なに、大したことではない。皆の笑顔が見れればそれでよいのだ!」

 えっへんと胸を張るルーシィ。
 芋煮を食べる手を休めたラグナも、彼女に声をかけます。

「久方ぶりだな、中臣殿。新たな友人は作れたか?」
「あー、うむ……まあな……」

 今し方、その新たな友人からいぢめられてきたばかりなのです。
 もちろんそんなことは知らないラグナ。おお、そうだ、と何やらゴソゴソ。

「手土産を持ってきた……が、少々チョイスを間違えた」
「む。ぽてち、か?」

 芋煮会にポテトチップス。痛恨の芋かぶり。
 苦笑いのラグナは、とりあえずルーシィにそれを差し出します。

「ま、まあ、持ち帰って家で食べてくれ」
「ありがとう! 喜んでいただくぞ!」
「あ、ルーシィさん。こんにちは!」

 続いて声をかけたのは悠司です。
 以前、ルーシィがバーベキューを企画したときも、彼やラグナが参加していました。

「楽しい宴会、考えたね! 皆でワイワイするの、大好きなんだ♪」
「うむ! 我も大好きだ!」
「それで、どうかな? どっちが美味しいと思う?」

 悠司の質問に、うーむとルーシィは唸りました。
 しばらく悩んだ後、ひとつ大きく頷き、ルーシィはにぱっと笑みを浮かべました。

「全部美味しい! それが我の答えだ!」
「全部?」
「そうとも! 希壱や知沙の芋煮だけではない。
 静矢たちがつくった芋煮も、渚や北斗がつくった芋煮も、七輪で焼いたものも美味しかった!」

 しかーし! きりりと表情を引き締めるルーシィ。

「これは勝負なのだ! 事前に伝えていたとおり、勝敗は決するぞ!」
「そっか。迷うけど、決めておかなきゃいけないね」

 悠司の言葉に、ルーシィがうむうむと頷きます。
 気がつけば、残りの芋煮もあとわずか。
 楽しい時間の終わりが近づいてきていました。



●けっかはっぴょう!


「勝負であるなら、決着の方法は明確であるべきでしょう」

 銀縁眼鏡を押し上げながら、黒井 明斗(jb0525)が真面目な顔でそう言いました。
 今日は「芋煮管理委員」を自称し、この勝負を取り仕切る気満々の明斗なのです。
 参加者たちを前に、手作りのダンボール製投票箱を示します。

「ルールは簡単です。
 皆さんに先ほど配った投票用紙、これに一文字書いて、こちらの箱に入れてください。
 円堂さんの『すき焼き風』が良かったと思う方は『東』。
 小美玉さんの『豚汁風』が良かったと思う方は『西』。
 それ以外の方は白紙でお願いします」

 ざわざわとした喧騒の中、投票箱に次々と紙が投じられていきます。
 その様子を、希壱は難しい顔で腕組みをしながら、知沙は相変わらずの笑顔で眺めています。
 最後の一人が投票し、続いて明斗の手で開票と集計が進められていきます。
 そして、ついに結果発表。
 明斗から勝者の書かれた紙を受け取り、ルーシィが一歩前に出ます。

「今回の勝負! 勝ったのは……西軍だ!!」

 ぱちぱちぱち。拍手の中、ルーシィの隣に知沙が並び、微笑んで一礼しました。
 拍手が止むのを待ち、「だがしかし!」とルーシィが続けます。

「こたびの投票、そのほとんどが白紙であった!
 すなわち! 優劣つけ難しと感じた者がほとんどであったということだ!
 おいしい芋煮をつくってくれた両人に、もう一度拍手を頼む!」

 再度鳴り響く拍手の中、居心地悪そうに希壱が頭をかいています。
 知沙の浮かべる笑顔も、どちらかといえば苦笑に近いものになっていました。
 そんな中、第三勢力として芋煮をつくった静矢が二人に声をかけます。

「そう苦い顔をするな。私たちがつくった鍋のように、互いの良さを認め合うことも大事だぞ?」
「私もそう思う! ふたつの芋煮を一緒に食べてみたんだけど、それが一番美味しかったし!」

 静矢に同意したのは真緋呂です。隣では、みくずも大きく頷いています。
 それはどうなんだ、と顔を見合わせる希壱と知沙に、真緋呂が説得を続けます。

「料理の和洋折衷しかり、ラーメンの味噌豚骨とか醤油豚骨しかり。
 和合によって織りなされるハーモニーもあるでしょ?」
「勝ち負けとかじゃなくて、おいしいものをいっぱい食べられる。
 それが幸せってものじゃないかなあ」

 みくずがそう言って笑うと、山形県民二人も「たしかにな」という顔に。
 調理という名の戦闘を終えた北斗が、どこか悟った表情で呟きます。

「『みんなちがってみんないい』……と、この世界では言うのだろう?
 美味しいものは正義や。そして、どちらの芋にも美味い。
 つまりは、そういうことやで」

 参加者のみんなからも、同意する声、感想を述べる声がどんどん聞こえてきました。
 その声たちも次第に落ち着き、みんなの視線が希壱と知沙に集まります。
 はあ、と息を吐き、希壱はおどけて両手を挙げました。

「皆いろいろ思うところがあるたぁ思うが、負けは負けだ。俺は負けた」

 だがよぉ。にやりと希壱が笑います。

「次は負けねえ。来年だ。来年は、俺が勝つぜ」
「せっかく皆さんが丸く収めようとしてくださったのに……まあ、あなたらしいですけど」

 ふふ。知沙も意味深な笑みを浮かべました。

「来年も私が勝ちます。勝たせていただきます」
「なにやら勝手に話が進んでいるようだが! 第二回があるというなら、もちろん我が音頭を取るぞ!」

 鼻息荒くルーシィが宣言しました。三人とも気が早すぎます。
 やれやれ、と肩を竦めて、黒百合が呟きます。

「盛り上がるのはいいんだけどねェ? まずは、今日の分を片付けないとダメよォ?」
「そうだねぇ♪ 来たときよりも、美しく☆ってね♪ さ、みんなで後片付けしよう☆」

 ぱん、とジェラルドが手を打ち、各々が動き始めました。
 会場を綺麗に掃除して、無事に帰るまでが芋煮会なのです。
 こうして、第一回久遠ヶ原学園芋煮会は幕を下ろしたのでした。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:11人

撃退士・
鈴木悠司(ja0226)

大学部9年3組 男 阿修羅
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
歴戦勇士・
龍崎海(ja0565)

大学部9年1組 男 アストラルヴァンガード
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
KILL ALL RIAJU・
ラグナ・グラウシード(ja3538)

大学部5年54組 男 ディバインナイト
蒼の絶対防壁・
鳳 蒼姫(ja3762)

卒業 女 ダアト
撃退士・
鳳 静矢(ja3856)

卒業 男 ルインズブレイド
闇の戦慄(自称)・
六道 鈴音(ja4192)

大学部5年7組 女 ダアト
インガオホー!・
黒瓜 ソラ(ja4311)

大学部2年32組 女 インフィルトレイター
二月といえば海・
カーディス=キャットフィールド(ja7927)

卒業 男 鬼道忍軍
ドS白狐・
ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)

卒業 男 阿修羅
鉄壁の守護者達・
黒井 明斗(jb0525)

高等部3年1組 男 アストラルヴァンガード
未到の結界士・
久遠寺 渚(jb0685)

卒業 女 陰陽師
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー
種子島・伝説のカマ(白)・
香奈沢 風禰(jb2286)

卒業 女 陰陽師
サバイバル大食い優勝者・
みくず(jb2654)

大学部3年250組 女 陰陽師
己の信ずる道貫き通す・
紫 北斗(jb2918)

卒業 男 ナイトウォーカー
種子島・伝説のカマ(緑)・
私市 琥珀(jb5268)

卒業 男 アストラルヴァンガード
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
限界を超えて立ち上がる者・
戒 龍雲(jb6175)

卒業 男 阿修羅
思い出に微笑みを・
唯月 錫子(jb6338)

大学部4年128組 女 アストラルヴァンガード
黒翼の焔・
一月=K=レンギン(jb6849)

大学部8年244組 女 阿修羅
名司会者・
樋口 亮(jb7442)

大学部7年146組 男 陰陽師