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マスター:猫野 額
シナリオ形態:ショート
難易度:難しい
参加人数:6人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2013/09/10


みんなの思い出



オープニング

●人混みの中で


「わあー! すごい!!」

 空に広がる大輪。
 それを見上げる一人の少女が、ぴょんぴょんと跳ねた。

 金色の髪。橙の瞳。
 『セルカ』――それが少女の名前だった。

 太鼓と囃子の陽気なメロディ。
 あちこちから漂う美味しそうな香り。
 そして、数え切れないほどたくさんいる人間たち。

「これが『お祭り』かあ〜! 思ってたよりすごいかもっ!」

 セルカの瞳にうつるのは、物珍しい光景ばかり。
 何もかもが、眩しいくらいに輝いていた。

「……あ、そーだ。いいこと思いついた!」

 ふふっ。セルカは笑った。

 この場所を空から見たら。
 あの大きな輪っかをもっと近くで見られたら。
 人間界で飛ぶのは、ちょっとたいへんだけど。
 綺麗な景色が見たいから。

 少女は、黒い翼を広げた。

 あっという間に夜空へ。
 期待に胸を膨らませ、セルカは振り返った。

「……あれ?」

 地上の様子は、彼女の想像と大きくかけ離れていた。
 先ほどまでの雰囲気は、微塵も残っていなかった。
 見えるのは、背中と、こちらを指す人間たちの顔。
 セルカの耳に、叫び声が聞こえた。

「てっ、天魔だ!! 天魔が出たぞーッ!!」

 悲鳴と怒号が飛び交っていた。
 転んだ子供が泣いている。
 人間たちは、セルカから遠ざかっていった。

「え? え?」

 ただ一人、渦中のセルカだけが状況を把握していなかった。
 地上に降りる。セルカは、近くの地面に座り込み、脂汗を浮かべる人間に近寄った。

「ねえ――」
「ひいいぃっ!! く、来るな!! 化け物っ!!」

 腰が抜けて動けない男は、必死の思いで砂を掴んだ。
 目の前の少女に――蝙蝠のような翼の生えた少女に、投げつける。
 砂は、セルカの後ろに落ちた。

「……なんで?」

 セルカは、男の首を両手で掴んだ。
 その細い腕からは想像もつかないような力で、簡単に持ち上げる。

「なんで逃げるの? 綺麗な景色が見たかっただけなのに。空を飛んだだけなのに。なんで逃げるの? なんで?」

 男は答えなかった。
 答えられなかった。
 男の首は、すでに潰れていた。

「あ……とれちゃった」

 血飛沫に濡れて、セルカは呟いた。
 地面に倒れた首の無い体。そのすぐそばに、持っていた頭を置いた。
 周りを見る。もう、誰もいなかった。



 なんでかな。
 わたしが悪い子だからかな?
 きっとそうだよね。ずっとそう言われてきたんだもん。
 お母さんもお父さんも、みんなわたしが悪い子だって、言ってたから。

 ……今から追いかけたら、間に合うかな?
 誰か、わたしの話を聞いてくれるかな?
 わたしはなんにもしてないよ、って。またみんなで「お祭り」やろう、って。
 そう言ったら、みんな戻ってきてくれるよね。

 わたし、いい子になるって決めたんだもん。
 話せばきっと、わかってくれるよね?



●祭囃子は既に無く


「さて、皆さん。まずはこうしてお集まりいただき、ありがとうございます」

 斡旋所職員の男はそう言うと、柔和な笑顔を浮かべて会釈した。
 顔を上げた彼の顔から、微笑みが消える。

「あまり悠長に話している時間はありません。簡潔に説明しましょう。
 今から皆さんには、お祭りの会場に向かっていただきます。
 現場に居合わせた学園生からの情報によりますと、悪魔が一匹、出現したとのことです。
 この悪魔を討伐することが、皆さんの目標となります」

 一拍、間が空いた。

「……すでに、一般人の方が一名、亡くなられたそうです。
 これ以上の被害は防がなければなりません。
 避難者の護衛には、別途人員を割きます。
 皆さんは、目標との戦闘に集中してください」


リプレイ本文

●天使と悪魔


 少女が一人、歩いていた。
 屋台が立ち並ぶ道。少女以外に人影は無い。

(楽しいお祭りの場を荒らすなんてー!)

 久遠ヶ原に身を置く堕天使、エマ・シェフィールド(jb6754)は怒っていた。
 人間たちと一緒にこの世界で暮らしてきた彼女にとって、今回の敵は許されない存在だった。
 光の翼を広げて夜空を飛ぶ。眼下では、悪魔が一人で歩いていた。
 髪や顔や服に血がついていた。殺した人間の血だろうか。エマは慎重に距離を詰めた。

(……あれ?)

 小さく首を傾げる。襲撃にしては悪魔の様子が変だ。
 逃げた人間を追いかける素振りは無かった。
 困っているような、今にも泣いてしまいそうな、そんな表情をしていた。


『どうしたの〜?』

 頭の中に声が響いて、セルカは顔を上げた。
 やや離れた空に、白い翼の少女が浮いている。

『……誰?』

 意思疎通で語りかけてきたエマに対し、セルカも意思疎通で答えた。

『ボクはエマ。キミの名前はなんていうのかな?』
『わたし、セルカ。……エマは、天使さん?』
『うん、そうだよ〜。セルカはここに何しに来たの〜?』
『わたしはね、お祭りを見にきたの』
『そうなんだ〜。お祭りって楽しいよね! 花火もキレイだし〜』
『はなび? それってなあに?』
『うんとね〜、お空に咲く火のお花、かなあ?』
『あ、それ知ってる! さっき見たの!』

 笑顔を浮かべるセルカを見て、エマの中の警戒心は薄れていった。
 少なくとも、人間を殺すためにここへ来たわけでは無いようだ。

(戦うつもりはないみたい……もっとお話しできないかなあ)

 みんなに相談してみようか。
 そう考えたエマは、意思疎通の対象をこっそり変えた。



●言葉を交わして想いは巡る


「――良い夜だな、お嬢さん。祭囃子に誘われたのか?」

 エマとの意思疎通に夢中になっていたセルカ。
 声をかけられてはじめて、自身に近寄ってくる存在に気がついた。

「おじさんたちは?」
「わしはインレ(jb3056)という。こちらはわしの仲間だよ」

 名乗ったのは、戦闘装束に身を包んだインレ。
 その後方で五十鈴 響(ja6602)とキイ・ローランド(jb5908)の二人が、黙ってセルカを見ていた。
 エマがインレの隣に降り、四人は改めてセルカと相対する。
 最初に口を開いたのはインレだった。

「さて、お嬢さんの名前を伺ってもよいかな?」

 こくり、とセルカは頷いた。

「わたしはセルカ」
「セルカか。よい響きだ」
「ありがと。インレも素敵な名前だね」
「ははは。そうかな」

 インレは口元に小さく笑みを浮かべた。
 決して油断できない相手だ。今は大人しいが、子供の演技をしている可能性もある。
 敵意を見せず隙も見せない。フードの奥で、インレはセルカの一挙手一投足を注視していた。


 セルカを観察する響は、その真意を測りかねていた。
 すでに一人、殺している。そのわりには害意が無い。かといって反省している様子もない。
 今まで、たくさんの人が天魔に殺されてきた。人が人を殺すのとはわけが違う。

 一般人から見た天魔は、いわば天災に等しい。
 運悪く遭遇した誰かが死ぬのは仕方がない、という考え方があることは事実だ。
 人類と敵対する天魔に、殺した相手を慮る発想があるとは思えない。しかし。

(……「この子」が少しでも考えてくれるかどうか、よね)

 殺された人の家族。血をかぶったセルカを見た人たち。
 周囲の人間の気持ちを、悪魔である少女は理解できるのか。
 その答えによって、こちらの対応も変わるだろう。響は観察を続けた。


「……ねえ」

 セルカは、キイを見ていた。
 キイも真っ直ぐにその視線を押し返す。

「あなたが持ってるそれは、何?」

 キイは盾を手にしていた。
 攻撃を受けたとき、素早く対応できるようにするためだ。
 対面してから、一瞬も欠かすことなく警戒の色を滲ませるキイが、セルカは気になっていた。

「セルカは、盾を知らんのか?」

 インレが問うと、セルカは「ああ」と手を打った。

「これが盾なんだ。本物を見るのははじめてだけど……なんで盾を持ってるの?」

 セルカはにこりと笑った。頬に、血がついていた。

「盾って戦うときに使うものなんだよね。お祭りでは、何に使うの?」

 ――なるほど、とキイは思った。
 その上で、ようやく言葉を発した。

「まず知らないといけないね。君も、自分達も色々とね」
「……? どういうこと?」

 セルカの問いに、キイは答えなかった。
 これ以上自分から語るつもりはない、という意思表示だった。


「セルカよ。ひとつ聞きたいことがある」

 キイを見つめていたセルカは、インレに視線を戻した。

「なあに?」
「おぬしは何故、ここに来た? 目的は何だ?」
「それはもちろん、お祭りを見るためだよ」
「しかし、祭りは中止になってしまったな。何故かわかるか?」

 インレの言葉に、セルカは首を振った。

「わたしはなんにもしてないよ。空を飛んだだけ」
「ふむ……そうか」

 インレは、セルカの後方の屋台に目をやった。
 殺気が強まった。焦るなよ、と内心で呟いた。



 ぎり、と歯が鳴った。
 陽波 飛鳥(ja3599)は苛立っていた。
 耳から伸びたイヤホンのコードは、スマートフォンに繋がっている。
 屋台の陰から悪魔を見ることは、しなかった。

 今し方聞こえた会話から導き出せる結論は、こうだ。
 あの悪魔は「人を殺したことを少しも気にしていない」。
 空を飛べば天魔だと指を差されて声を上げられるだろう。当然だ。
 その姿を見た人々は命の危機を感じて逃げる。当然のことだ。
 それはいい。そこまではいい。

 しかし、悪魔は確かに「わたしはなんにもしてない」と言った。
 何の理由もなく、一人の命を奪っておきながら。

(――ふざけるなッ!!)

 飛鳥は虚空を睨んだ。
 犠牲者の無念を思うと手が震えた。
 自分に今の役割が無かったとしたら、怒鳴り散らしていただろう。
 身勝手な気持ちだった。自身に怒りと情けなさを覚えた。

 耐えなければならない。
 戦いになれば、もっと多くの血が流れる。
 それは飛鳥の望む事態ではなかった。可能なら、戦闘は回避すべきだ。
 倒すべき敵とするには、相手はまだ子供過ぎる。
 飛鳥は昂る感情を抑えた。今は、まだ。



 飛鳥が身を隠している屋台から、通りを挟んで対面の位置。
 瑠璃堂 藍(ja0632)が、物陰からセルカの背を窺っていた。

(……私、やれるかしら……?)

 大規模な戦いの中、多くの仲間と共に悪魔と対峙した経験はある。
 しかし、少数で悪魔に相対したのは、藍にとって今回が初めてだった。

 イヤホンを通して話し声が聞こえる。
 インレが問うていた。答える声は少女のそれだった。

(女の子……ううん、それでも悪魔よ)

 藍の気持ちは揺れていた。
 仮に。彼女と戦う事態に陥ったとして。

 ――私はあの子を斬れるの?

 見た目は普通の女の子だ。人間と変わらない。
 本当かどうか、はっきりしないが……彼女は祭りを見にきただけだという。
 今のところ、敵意も戦意も感じられない。

 ――あの子を、躊躇せずに殺せる?

 わからない。わからなかった。
 藍と飛鳥の役目は、奇襲だ。中でも藍はその初撃を任されている。
 悪魔を倒せるか否か。自分の攻撃は、今夜の結末を大きく変えることになるかもしれない。

(しっかりしなきゃ……)

 ふう、と息を吐いた。
 考えていても仕方がない。仲間と悪魔が交わす会話に集中することにした。

『――その赤は、どうした?』
『ん、これ? さっき人間を「こわしちゃって」。そのときに、ばーってなって。かかっちゃったの』
『……壊した、とはどういうことかな』
『うーん。わたしはね? お話ししたかっただけなの。だけど、逃げようとしたから。
 つかまえて、お話しを聞いてもらおうと思ったの。そしたら、ぐしゃってなっちゃって。
 こわれちゃったの。動かなくなっちゃった』

(……人間と悪魔の違いがわかっていないのかしら)

 やはり、いや、ひょっとしたら外見以上に内面は幼いのかもしれない。
 インレとセルカの会話を聞きながら、藍はそう感じた。

 悪魔である彼女は簡単に人を殺せる。今までも。今回も。きっとこれからもそうだろう。
 それを理解した上で、人間に害を与えないとあの子が誓う。
 そこまで達することが出来なければ、戦闘は避けられない。
 ……説得は難しいかもしれない。
 そう感じた藍は、無意識に拳を握った。



(殺意は無かった……いわば無知ゆえの事故か。死人が出ている以上、事故の一言で済ませるわけにもいかんが)

 表面上は穏やかな気を纏うインレ。セルカは相変わらずだった。
 四人とセルカが向かい合い、言葉を交わす状況が続いていた。

 余裕がある、というよりは、最初からこちらを敵として認識していないらしい。
 セルカは盾を知らなかった。人間の脆弱さも知らないようだ。
 おそらく、撃退士がどのような存在なのかも知らないのだろう。
 インレたちがその撃退士であることも、当然彼女にはわからないし、理解できない。

 ――諭せるか?

 自問した。答えは無い。
 だが、試してみる価値はあるだろう。
 機を見計らい、そちらの方向へ話題を誘導できれば。


「わたしね」

 セルカが目を閉じた。胸に手を当てる。
 盾を握るキイの手に力が入った。攻撃の予備動作かもしれない。

「ずーっと、ダメな子だって言われてきたの」

 少女の姿をした悪魔。
 彼女が瞼の裏にどんな光景を描いているのか。
 それを知る術は、撃退士たちにはない。

「わたしの家族はみんな、すごい魔法使いなの。みんなみんなすごい魔法使いなんだよ。
 ……でも、わたしだけはダメだった。いくら練習しても、ちっとも魔法なんて使えないの」

 少女は笑った。

「わたし、いらないんだって。
 魔法が使えない子は、うちの子じゃないって。お姉ちゃんに言われちゃった」

 少女は笑っている。

「だから、だからね? ずっと遠くへ行こうって思ったの。
 遠くから、ここまで来たんだよ。そしたらね!」

 両手を広げて、空を仰いだ。
 くるり、とその場で回る。

「きれいな服の女の子が、喋ってるのを聞いたの!
 お祭りっていう、すっごく楽しいことをやってるんだって!
 わたし、気になっちゃって、こっそり着いてって、ここに来て、花火を見て……」

 だけど。少女は笑った。

「やっぱりダメだった。
 わたしが来たから、お祭りは止まっちゃった。
 わたしがダメな子だから。わたしはいらない子だから――」

「うーん? そうなのかな〜?」

 セルカの言葉を、エマが遮った。
 きょとんとするセルカに、エマは笑顔を向けた。

「難しいことは、ボクわからないよ〜。ボクはみんなと仲良くしたいだけ。
 怖がられることもあるけど……ボクはこの世界の人間たちが大好きなんだ」

 エマが一歩前に出た。

「お祭りは楽しいし、花火はキレイだし、お菓子はおいしいし〜。
 こういうのをつくり出した人間ってすごいよね。ボクはすごいと思ったよ〜。
 もっと近くで見てみたいって、そう思ったんだ。だからボクは、人間界に来たんだよ」

 もっと近くで見たい。
 はじめて花火を見たときの感動を、セルカは思い出していた。

「人間と一緒に暮らしてたらね……なんだろ、みんな生きてるんだな〜って。
 ボクらから見たら短い命だけど、それをめいっぱい輝かせて生きてるんだな〜って思って。
 そしたらね、お菓子とか、楽しいことだけじゃなくてね〜。
 みんなを失くしたくないって、そう思ってる自分に気がついたんだ」

 失くしたくない。
 セルカは、顔の血を手の甲で拭った。

 そっか。
 わたしは、みんなのうちの誰かをこわしちゃったんだ。
 だから、あの盾の人は、ずっと怒ってるんだ。

 エマがくるりと振り返った。
 それはつまり、セルカに背中を晒すことを意味する。
 響が目を丸くした。インレとキイの表情が険しくなる。
 そんな仲間たちを気にする様子もなく、エマは笑顔で言った。


「ボクは、セルカと友達になりたい。みんなはどうかな?」


 しばらく答えは無かった。
 セルカは、じっとエマの背中を見ていた。

「――セルカよ」

 長い静寂を破ったのは、インレだった。

「祭りを楽しみたいと思ったおぬしは悪くない。だが、人は脆く、そして天魔を恐れるものだ。
 エマのように人と共に在りたいと願うのならば、これからおぬしは学び、償わねばならん」

 インレは、ゆっくりとセルカに歩み寄った。
 フードを外し、目を覆う布も外した。
 まっすぐにセルカを見る。橙の瞳がインレを映した。

「おぬしがそう願うなら、わしらはそれを受け入れよう」

 セルカは、インレをじっと見つめた。
 それからエマを見た。エマは微笑みを浮かべている。
 続いてキイを見た。盾を持つキイの表情は変わらない。
 最後に響を見た。小さく頷いて、響は口を開いた。

「人間と天魔では、異なる部分がたくさんあるのよ。
 寿命、体の頑丈さ、物の考え方。全部違うと言ってもいいかもしれない。
 あなたはそれを知らないようだから、これから学ばなければならない。
 ……それはわかる?」

 こくり、とセルカは頷いた。
 そう。響は小さく呟いた。持参した紐を手に、セルカに歩み寄る。

「今、周りにいる人たちはあなたを怖がっている。
 あなたが自由に動けなければ、安心してくれると思うの。
 私たちと一緒にくるなら、縛られるのを我慢してもらわないといけないけれど……」

「うん、我慢するよ」

 それから。セルカは頭を下げた。

「……ごめんなさい。みんなから、一人とっちゃって、ごめんなさい」

 謝っても、死んだ人間は戻ってこない。
 それでもこの謝罪は、彼女の真意だった。
 彼女の償い、その最初の一歩。



●祭囃子は遠く


「ごめんね……今はちょっとだけ我慢してね」

 四人と合流した藍が、手首を縛られたセルカに語りかけた。

「落ち着いたら、もっとお話ししましょう。
 私はあなたのことを知りたいし、あなたにも私のことをわかってほしいの。
 そうして、たくさんの人とわかり合えたら、きっとみんなと仲良くなれるわ。
 楽しい『お祭り』ができるはずよ」

「……そうね。良い子にしてると約束するなら、いつかお祭りに連れて行ってあげる」

 そっぽを向きながら、飛鳥は続けた。

「あんたが約束を守るなら、私たちも約束を守るわ。
 だから、これから学びなさい。
 天魔も人間も持っておくべき、大切なものを」

 飛鳥の言葉に、セルカは頷いた。

(――…………)

 キイの手に、盾はなかった。
 殺人を犯してお咎め無し、ということはありえない。
 だが、償いを強要するのは、自分たちの仕事ではない。
 彼女をどうするのか。今後の対応は、学園に任せるのが一番いいだろう。

 エマが、セルカの手をとった。

「今度は、一緒に遊ぼうね!」
「……うん!」

 たくさんの約束を抱えて。
 はぐれ悪魔の少女は、六人と共に久遠ヶ原へ向かった。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 幻想聖歌・五十鈴 響(ja6602)
 混迷の霧を晴らすモノ・エマ・シェフィールド(jb6754)
重体: −
面白かった!:5人

ヘヴンリー・デイドリーム・
瑠璃堂 藍(ja0632)

大学部5年27組 女 ナイトウォーカー
金焔刀士・
陽波 飛鳥(ja3599)

卒業 女 阿修羅
幻想聖歌・
五十鈴 響(ja6602)

大学部1年66組 女 ダアト
断魂に潰えぬ心・
インレ(jb3056)

大学部1年6組 男 阿修羅
災禍塞ぐ白銀の騎士・
キイ・ローランド(jb5908)

高等部3年30組 男 ディバインナイト
混迷の霧を晴らすモノ・
エマ・シェフィールド(jb6754)

大学部1年260組 女 アカシックレコーダー:タイプA