●リア充がもたらす思想
リア充撲滅隊。
愛についての独特の思想を持つ人間。
カップルを襲う5人組。
その者達を殲滅する為に集まった8人の撃退士たち。
「…まあ、紳士にすらなれない愚か者には消えてもらいますか」
「ですとろいで御座る!おーだーはさーち・あんど・ですとろい(見敵必殺)!で御座る!」
同類の非リアを討伐する事になった鳥海 月花 (
ja1538)は邪笑し、カップルを守るだけではいけないと静馬 源一(
jb2368)はお仕置きをを成し遂げようとする。
「自分たちもつらくないんでしょうか、こんな無意味なことをして(´・ω・)?」
「リア充を憎むのはいい。恨み言を言うのも個人的には許容範囲」
レグルス・グラウシード(
ja8064)はリア充を襲う事は価値無しと考え、君田 夢野(
ja0561)は物言いまでは許されると。
「だが、武力行使に出れば、そこからは戦争だ
俺らも全力でボコる。容赦なくボコる。無慈悲にボコる。
まぁ、死なない程度にね」
しかし、言は許すも行動に対してはボコると意志を固める。
「人の恋路を邪魔するとは…無粋なお方で御座る!見つけ次第お仕置きで御座るぞ
りあじゅう、りあじゅう言うで御座るなら自分がりあじゅう(野生を取り戻した獣)になって成敗してやろうではないで御座ろうか!
鬼道忍軍の機動力を舐めたらいかんで御座るよ!
わおわおーんで御座る! 」
叫びと共に静馬は、けものへ化ける。獣というのが相応しいのか怪しい者だ。小っちゃいワンコになるのであった。
「メンバーの顔写真はこれね」
月丘 結希(
jb1914)は早期に解決できるようにと、調査結果を報告する。
そして計画を立てる。
偽カップルを演じると。スナイパーに注意すると決めていった。
●誘い寄せるカップルへと
週末の公園。
人で溢れかえり喧騒が絶えない。そこは遊びや癒し、憩いの場であった。
「えっと、今ちょっと事件の犯人を追ってて…危ないから、帰ってください」
無実なカップルが被害にあわないようにと、レグルスは声を掛けて回る。
万が一にも巻き込まれないように注意を促して行く。
恋人同士を避難させると、皆が配置につく。
ポーカーフェイスで表情を崩さず、辺りに溶け込むレイヴン・ゴースト(
ja6986)。
獅童 絃也 (
ja0694)はベンチで呑んだくれを装っていた。
「さてェ、残念な連中ならァ…叩き潰してもだいじょうぶよねェ…あはァ♪」
黒百合(
ja0422)は敵を完膚無きまでに負かすとテンションを上げる。
レグルスに月丘、静馬は物陰、草陰に隠れ待機し、鳥海と君田がカップルを装う。
時間が過ぎる。
リア充撲滅隊は意気込み盛んにやってくる。
「よし、やってやろうぜ」
「男をズタボロに。女には失望を」
「愛なんて妄言を嘯く者へ真実を」
隊士達は語る。
リア充とは何者であるか。
リア充の本質に愛なんてないと。
噴水の付近へと足を進める。
しかし、そこは閑散としていた。
噴水の近くにカップルが1組。加えてベンチに呑んだくれ。
5時を回るかどうかの時間に、酔っぱらいがいることが不自然に感じる。しかしそんな事よりも、カップルがいなすぎる。
あまりに不自然な状況に相談し合う。
「この公園で会ってるのか?」
「カップルが1組しかいないのか。ここは有名なスポットだろ」
「そもそもあれはカップルか?男の方が小っさいぞ」
わざとらしい空間に疑問を抱く。
「こちら鴉、敵の行動並びに位置情報を報告する。スナイパーを除く4人が共に歩いている模様。
しかし、カップルに疑問を抱いています」
会話を聞き、敵を知る、重要な役割を持ったレイブンは告げる。作戦は成功しているか。はたまた、敵が不審に思っているかを。
「了解です。これから全力でいちゃつきます」
鳥海は知らせを受けて、弁当を出す。
「今日はお弁当を作ってみたのですが…食べていただけますか?」
君田のことを、顔を伏せて上目遣いに見やる。
弁当。女子の手作り弁当。男子にとって夢のような品物を抱えながら君田のことをじっと見る。
「もちろん。きみの作った手作り弁当は世界一おいしいに決まってるよ」
2人はいちゃついている。撲滅隊を引きつけられるようにと全力でたわむれ合う。
「ここの噴水も素敵だなぁ。だが、レスピーギも交響詩として讃えたローマの噴水はもっと素敵だ。ローマ帝国の治水技術は素晴らしいと聞くが、何時か一緒に見に行きたいものだ」
「そうだな、新婚旅行でローマに行くというのはどうだろうか?」
ふざけるな。
非リアの面々は即座に思った。
弁当に留まらず結婚の話まで持ち出したカップル。
生涯のパートナーが決まっている2人を見て、気が荒立つ。
「さっさとやろうぜ」
「そうだそうだ」
メンバー達は、怪しいと思っていたことも何処吹く風。
怒りに激して動き出した。
●始まった戦
カップルへ近づいて行く勇輝。
罠にかかったと、皆が集中して、成り行きを見る。
勇輝は女を捕まえる。
そして、取り押さえた女を男の様子をじっくり見えるようにと後ろに下がる。
怯える女。声を出せずにぶるぶる身体を震わす。
勇輝はこれから起こる行為に満足そうに笑みをこぼす。
君田が動いた。捕らえられた鳥海へと全力で跳躍する。
「滅びろーー」
「キザやろうに鉄槌を」
「女に真実をー」
太郎、雅人、透の3人が君田に剣を振りかざす。
「これで失望だ」
3人は既に終わったような顔つきだ。手加減するも剣を振るった。男のだらしない様を彼女に見せつけられたと確信していた。
しかし、違った。
君田を即座にアウルを纏い、剣戟を防ぐ。
レグルスが鎧を形成し君田へと纏わせたのだった。
「…いつまで触ってるですか駄犬が」
「目がっ。何だー」
勇輝はのたうち回る。
即座には何が起こったのか分からなかった。
女がスプレーに料理を顔面にぶちまけたのだ。
君田が斬り込まれるを見るや否や、直ぐ様、鳥海が放ったのだった。
捕らえていたはずの女からの突然の攻撃。
不意を突かれて顔面へと直撃した。
視覚をようやく取り戻すと、辺りは撃退士たちが散在している。
つい先程まで、カップルを思っていた者達が、魔装を展開していた。
「罠だーー」
仲間に伝える。リーダーとして、騙されたことを皆に伝える。顔を真っ赤に相当な怒りを露わに伝えるのであった。
しかし、遅かった。
月丘が術を放っていた。デバイスから顕現したアウルの五芒星が雅人へと直撃する。
そして雅人は、石化して動きを封じられた。
仲間の雅人を見ると、春樹がライフルを構えた。石化をさせた危険な敵の月丘へと一直線に弾丸が進んで直撃する。
ライフルの弾丸により、スナイパーの位置が割れる。
春樹の位置が分かると3人が動き出した。
「わおわおーんで御座る! 」
けものへと化けた静馬がワイヤーを絡める。
その隙にレイブンが後ろ手に回り、銃撃し、瞬時遅れて、獅童が間合いを詰めて、闘争心のままに拳撃を放った。
春樹が襲われている間に、近接型の4人は動いた。
敵と間を取り態勢を整える。
「はいィ、こんにちわァ…じゃあァ、お休みなさいねェ♪」
黒百合は太郎へと狙いを定め武器を振り下ろした。身の丈を遥かに超える大鎌を。この小さい少女の身体の何処にそんな力が内在するのか凄まじい威力であった。
そしてそのまま連撃する。
闇を纏った大鎌を太郎へ払った。
吹っ飛ばされる太郎。
バンッ。
木に当たると共に地に落ちる。
太郎は地に伏すままであった。
リア充撲滅隊の面々とて、並の撃退士の強さはあった。
しかし、黒百合は並を遥かに超えていた、熟練撃退士であり、攻撃に至ってはエリートさえ凌ぐ物であった。
一方、スナイパーこと春樹と対峙する、静馬、レイブン、獅童の3人。
「妬むより先に己を磨け腑抜け」
拳撃に続いて放った重い1撃。獅童が春樹に肘撃を放った。
即刻、春樹は銃をぶっ放す。武器を持たずに素手戦う獅童へと。
「あなた方、小悪党には人権はないので御座る!食らうで御座る!奥義!ごーるでんぼんばー!」
静馬は春樹へと急所を狙ってパイオンを展開する。
惜しくも急所には当たらず。
「…これが、やせいに戻ったけものの力で御座る!
しかしそこは身体の中心。確実に当てていく。
続いてレイブンは銃を放った。
見つかってしまったスナイパーに為す術はなかった。
そこに、春樹は弾丸を静馬に放つも避けられ、獅童の踏み抜きの3撃目を食らい倒れていった。
近接型では太郎があっさりやられ、雅人は石化していた。
黒百合が雅人へと大鎌を振り下ろす。
「愛とか幽霊とかと同様に天魔もアウルも非科学的だが存在してる、つまり愛の不在は証明不可!はい論破ァ!」
君田は透へ木刀を打ち付ける。
刀による打撃。非殺傷武器を振り回す。
「いや、違う。できないことを証明不可だからとある訳じゃない。それは結論できないという仮定がある」
透は君田の意見を論破し斬り込んだ。
透の言った事は『愛=幽霊』である。愛は非科学、幽霊は非科学。故に愛と幽霊は同一。故にの部分が間違っている。
君田へとアウルを送るレグルス。既に何度も攻撃を受けた君田を回復させる。
勇輝が回復手へと斬り込んだ。
「先ほどまでの不快感分きっちり清算して下さい」
続いて鳥海は後方へと引き援護射撃をする。
雅人は石化が直るも、風前の灯火。
月丘へと雅人は大剣を振り下ろす。
直後、月丘は再度、雅人へと五芒星を投影させる。石化は成らず、しかし雅人は気絶した。
残るは、透と勇輝の2人のみ。
春樹を倒し終わり皆が合流する。
勇輝へと攻撃続く。
静馬が意図を展開し、レイブンが弾丸を放つ。黒百合が大鎌を振りかざしトドメを刺した。
透は君田へ攻撃する。
直後には月丘が術を発現させて、獅童が靠撃を叩き込む。
瞬時遅れて、君田が木刀を払い、鳥海が銃を放ち、レグルスが鎖を展開した。
そして、全ての敵が捕まった。
●非リアの改善。何処まで可能か?
捕縛されたリア充撲滅隊。
5人全てがお縄についた。
「ん、ごめんなさいねェ…もうこんな事しないわよねェ?やらないわよねェ?止めてもらわないと困るわァ…あまりにも困り過ぎて、困り事の原因を綺麗に駆除しちゃうわァ…」
刃を露わにした大鎌を弄り回しながら、黒百合はニコニコ笑顔で話す。
だが、先程の戦闘で、狂気じみた強さの後では、嗜虐的に見える笑顔に、恐怖に震える非リア達。
逃げるという発想を根こそぎ奪い、話を聞く以外考えられなくなるのであった。
「…さぁ、オハナシの時間です。貴方達は分かっていますか。自分たちのした事を。嫉妬の醜さを解いて差し上げます」
レイブンは話す。自らの度重なる失敗談に、それでも諦めめていないことを。
愛を得ることの難しさから、嫉妬の見え方まで延々説くのであった。
続いて、レグルスは隊の5人に優しく話した。
「やけにならないでください…ただ、その時が来てないだけ、なんだと思います。
その時が来れば、きっと幸せになれます」
「おまえはどうなんだよ」
いつか幸せになれる。そんな言葉で変わる程、簡単な気持ちではないと主張する。
「だって、僕の兄さんだって…あんなに格好良くて強くって頼りがいがあるけど、それにふさわしい女性があらわれていないんですから(`・ω・)-3」
実例を出して話すレグルス。その兄に対しては共感する5人であった。
月丘は持論を話す。
「恋だなんだより、あたしは研究の方が興味あるんだけどね」
恋以上に必死になれる物があればよいと説得していく。
「リア充に攻撃するってあんた達の考えはダサいわよ。少なくとも、モテる行動じゃないわ」
そして、リア充撲滅隊の行動は野暮だと意見を述べる。
「何がカッコ良いかは相手によるんだけど……あたしだったら、自分には無い視点から魔術理論を提起出来る人かしら?」
自分を例に、女子にモテる要素を挙げるのであった。
「私も貴方方と同じリア充爆破推奨型ですがね?カップル滅びろとか考えてますがね!?ぶっちゃけ女性に危害加えてる時点でリア充だとか非リア充だとか以前に人として駄目でしょう」
人として問題に言及する鳥海。
男として見られる以前に人として無益と説き伏せる。
「…だからモテナインデスヨ」
本音も漏れる。同情するも、それ以上に酷いことをしていたと説教した。
女2人に撲滅隊の行動を悪いと説かれた。
それは、男にとって厳しい事だ。モテたい女子からの否定であるから。
そして鳥海は写真を撮った。鮮明に写った像は、5人の悪事をばらし有名にするだろう。
静馬は5人を正座させて説き始める。
「まったく何を考えているで御座るか!あなた方は!人の幸せを踏みにじるとは言語道断!不届き至極で御座るぞ!そんな事だから…ネチネチ…そこっ!聞いているで御座るか!」
静馬は説教する。話を聞いてないように思うと、応える間もなく即座に、無慈悲に急所を狙って技を放つ。
足がしびれて動こうとしても構わず急所へ手を出すのであった。
「……しっ、しっ」
何かを言い掛けるもそれを遮り、静馬は話し出す。
「え?お前の『しっと団員』という称号ははどうなんだよ?と言ったで御座るか?」
何を言ってるんだと顔をする。
「…称号は気にするなで御座るよ!」
「わうーーーー!!」
そして、けもの化して、説教が長々と続くのであった。
「努力を怠り自身を非リア充?とか言う型に押し込め、可能性を潰すなど阿呆のする事だ、擦り切れるまで自身を磨き、努力を怠るな、諦めぬ限り道は開く」
獅童は自身の精進が大事と説き、目標実現の為に労すれば、道が開かれると説得するのであった。
「分からんだろうね。誰かを本気で好きに成った事の無い奴には、愛なんて分かるまい」
君田は現状では、非リアの5人に愛を判明させるのは不可能だと考える。
「まずは命懸けで誰かを好きになってみろ、そうすれば何かが分かる筈だ。愛だのリア充だの語るのはそれからだ」
そのために、自分から動くように指し示す。
「妬む前に、自分がそこに辿り着いてみせろよ――――リア充に!」
5人へと、ありったけの情熱をぶつけるのであった。
延々と続いた説教は終わりを告げた。
隊の5人全てが反省したかは分からない。愛を認めるかも曖昧だ。
心の全てを読み解くとこは不可能に近い。時間の解決もあるかも知れない。
しかし、自分から動くという事を説き伏せた。
そして、5人の姿は有名になった。
リア充撲滅隊は誰にも知られる有名人となった。
以降の襲撃はできないだろう。