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マスター:守崎 志野
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2013/10/03


みんなの思い出



オープニング


 あの時初夏の気配を漂わせていた朝の風は、既に秋のそれになっている。事件の際にボロボロになった駐在所の壁や扉も、何事もなかったように綺麗になっていた。
「駐在さん、おはよー!」
「お早う。気をつけてね」
 登校する子供達に応えながら、茶木司の想いは過去へ向かう。
(美幸……)
 子供の頃、余所者を嫌うこの村で家族ごと村八分になっていた中でたった一人、自分とこだわりなく遊んでくれた少女。
 司がここを離れた二十年の間にどこでどうなったのか、二人だけの思い出のある洞窟を根城にして人を天魔の餌食にしていた。
 村人がそれを司の仕業と誤解して暴動騒ぎになったのは夏の初め。
 久遠ヶ原学園から派遣された撃退士達によってサーバントは退治されたが、村には蟠りが残された。事が司のせいだとして村人を煽った村長と小学校の校長は解任され、美幸は逮捕拘束された。
『どうして?私は約束を守っただけなのに』
 連行される時まで美幸はそう言っていた。
(約束か……)
 二十年前のあの日、確かにあの洞窟で二人で司の誕生会をしようと約束した。しかし、当日は十年に一度の大雨だったので司は行かなかったし、美幸も行かないだろうと思っていたのだ。それなのに美幸は前日から誕生会の準備をするために洞窟に行っており、車で美幸を迎えに行った司の母は崖崩れに巻き込まれてそれっきり。
 美幸は何であんなにこだわっていたのだろう?自分のせいで司の母が死んだと思っていたのだろうか。その罪悪感を天魔につけ込まれたのだとしたら……
 司の物思いを携帯の音が絶ち切った。


「間違いありません……母です」
 役場の地下にしつらえられた遺体安置所に横たわる遺体の前で、司はそれだけ言って黙り込んだ。
 事件をきっかけにかつて崖崩れで埋まった道の復旧作業が始まったのだが、その現場から埋もれた車が見つかったのだ。運転席には長い間行方不明だった司の母と思しき遺体があった。
「それにしても」
 傍にいた役場職員が呟く。
「まるで今し方亡くなったような……」
 そう。こびり付いた泥を落とした顔は腐敗の兆しすら無く、司の記憶や昔の写真と全く変わっていない。見ていると、まるで二十年の月日が無かったかのように思えてくる。しかし、あの頃に生きていた父は既にこの世に亡く、司も八才の子供ではない。
「因果な事だねぇ。恨んでた相手があんな事になってから見つかるなんて」
「恨んでいた?」
「決まってるだろ。美幸だよ」
 確かに村の有力者だった美幸の家は余所者の司一家にいい顔はしなかったが、美幸自身を恨むことなどある筈はないのに。
「もういいんだよ、駐在さん」
 年配の職員が同情したように言う。
「本当はみんな知ってたんだ。美幸が他の子にあんたと仲良くしないようにさせてたことも、村長達が美幸を溺愛してるのをいいことにあんたの家を奴隷扱いしてたことも、全部ね」
 司は答えなかった。そんな記憶は司の中にはない。
「皮肉なもんさね。この前の事がなけりゃあ、みんな口を噤んだままだったと思うよ」

 

 いつしか人々がいなくなった安置所で、司は一人、遺体の傍に佇んでいた。
周囲から溺愛された美幸の傲慢な気質、司や両親への横柄な態度。皆が堰を切ったようにそれを口にし、司が当然それを知っているものとして同情や謝罪の言葉を口にした。
 だが、司の記憶にある美幸は勝ち気ではあっても横柄な子ではない。いつも自分を守ろうとしてくれた……
 問うように母を見る司に、当然ながら返る答えはない。
 やがて、安置所の灯りは消えた。


『命令』されて仕方なく行った場所。
 そこは暗い洞窟だった筈なのに、地面が輝いて色とりどりの花が咲き乱れていた。花に囲まれて立っていたのは綺麗なお姉さん。
 話を聞いてくれて、慰めてくれて、花を一輪くれた。辛かったらいつでもここに来ていいと言ってくれた。ただ、この場所の事は誰にも言わないでと。
 不思議な事に、お姉さんのくれた花は萎れる事も枯れる事もなく、その香りは嫌な事や辛い事を何でもないような気分にさせてくれた。
 だが、それを怪しまれた。

「やくそく」「おもいだした?」


 駐在所の扉がそこだけ灯りに照らされて、闇の中に浮かび上がっている。
「駐在さん、大変だ!」
 司と同年代の男が扉を叩くが、返答はない。
「いないのか?!お母さんの遺体が消えたんだよ!開けてくれ!」
 その背後に、ゆらりと動く影が一つ。


 花が枯れた。
 あの子が踏み荒らし、お姉さんがいない間に花を枯らしてしまった。
 自分は悪くないとあの子は喚いた。怒って帰るとあの子は言ったけど、外は大雨で帰れない。
 迎えを呼んで来なさいよと怒鳴ったあの子に追い出されて土砂降りの雨の中。目の前でお母さんの乗った車と道路が崩れてきた土に埋まった。
 嘘のように、ゆっくりと。


「何だか今ひとつ要領を得ない依頼なんですよねぇ」
 斡旋所の係員は首を傾げながら説明を始めた。
 山間にある小さな村で、二十年前の崖崩れ現場から埋まっていた遺体が発見された。それがまるで最近亡くなったような生々しい状態で、おまけに一夜のうちに消えてしまったという。
「しかも、駐在所の警官と連絡が取れない為に確認に行った警官によれば、村人は遺体の事など知らないと言ったそうです」
 暴動紛いの事まで起こった前回と違って、村は至って平穏な様子だという。
「とはいえ、事態の不自然さを懸念した警察から依頼がありました。行方不明になっている警官と遺体を探してください」


 お姉さんは優しく笑った。枯れてしまった筈なのに花の匂いがする。
 いいの、今は忘れて眠りなさい。お母さんとも、きっとまた会えるから。
 お母さんと会える時、ここは花で一杯になって、きっとみんな優しくなっているから。
 お姉さんはそう言った。
 どうして忘れていたのだろう……

「あの子は、約束を間違えたの。でも、あなたは?」


リプレイ本文


 何も知らなければ絵に描いたように平和な村だと思えただろうか。
 昼下がりの村役場の一角でやや型の古いパソコンと書類を前に鈴代 征治(ja1305)はふと思った。昼食後の怠惰な時間を楽しむ者もいれば、電話を掛けたり来る人に対応したりする者もありと普通の日常が広がっている。
 けれど、事態はいつもそんな普通の陰で日常を侵食しているものだ。
(一人しかいない駐在さんが消えれば不安がると思うんだけど)
 遺体発見を報告したのは司。その後別の村人が遺体の消失を通報しているが、この時既に、司は駐在所にいなかったという。
 そして、別の警官が村に確認に来た際には誰も遺体の事を知らなかった。それ以上に不可解なのは司の姿が消えたのを誰も気にしていない事だ。
 この分では、村で聞き込みをするだけでは成果が得られないかもしれない。
(記憶は消えても記録は残るものだよね)
 そして、事件の足下には公のそれから零れた事実が残っていたりするものだ。
 考えながら資料を繰っていた征治の手が微妙な違和感にふと、止まる。画面には以前の事件直後に撮られた写真が映っていた。
「おや、これは……」
 窓の外で揺れる白い花。それが写真の中には咲いていなかった。

「こんにちわ!」
 普段は年配か子供の客が殆どの村営商店に若々しい娘の声が響く。レジの向こうで驚いたような目をした初老の女性に、ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)は快活な笑顔を見せた。
「あら、ごめんなさい。こんな時間に若い人が来るなんて珍しいもんだから」
 ソフィアの笑顔につられたように女性も顔を綻ばせる。その様子に不自然なところは見られない。ソフィアは自分が久遠ヶ原学園の撃退士だと告げた上で、以前の事件後に何か変わった事がなかったかと聞いた。
「変わった事?そうねぇ……」
 女性はしばらく考えて首を横に振った。
「特にないわねぇ」
「道路の復旧現場で遺体が見つかったって聞いたんだよね」
「えぇ!?そんな事が?」
 驚いた様子に嘘は無いようだ。
(嘘はついていない、でも事実じゃない。どういうことなのかな?)


 群れて咲く白い花が風に揺れ、甘い香りが漂う。
 心和む筈の光景に、九鬼 紫乃(jb6923)は苛立ったように地面を蹴った。
「聞き込みよりはましだけど、イライラするわね」
 他人に対しては丁寧な口調の紫乃だが、今は傍にいるのが親しい間柄の黒瀬 蓮(jb7351)だけな為か砕けた口調になっている。
「いきなり広がった謎の花か。どんなものか楽しみだよ」
 村の何ヶ所かに当たり前のように咲き、村人も日常の一風景として何の疑問も持っていないかのような花。しかし、征治が調べていた前の事件の際の写真には映っていなかった。時期の問題かもしれないと村の年鑑なども調べたが、この季節のどの画像にも、この花が映ったものはなかった。それどころか、二週間前の画像にすら存在しなかったのだ。
「普通なら、それまでなかった植物が二週間掛けずにここまで増える事はないだろうね」
 言いながら花を一輪摘んだ蓮だが、それを見て紫乃の目が尖った。
「それ、変じゃない?」
 他の雑草に紛れて気がつかなかったが、こうして摘み取って見るとその茎には葉が出ていない。その上、花の大きさに対して茎が細すぎる。殆ど糸のようだ。それなのに、真っ直ぐ立つ形で咲いているのはどういうことだろうか。
「気に入らないわね。何で誰も気がつかないのよ」


「いやぁ、お時間を割いていただいてありがとうございます」
 小学校の応接室で、エイルズレトラ マステリオ(ja2224)が慇懃な物腰で教頭に礼を述べた。正面から身分を明かし、天魔に関わる事件が起こっている可能性があるので調査に協力して欲しいと申し入れたら快諾されたのだ。どうやら以前の事件で、教師や子供の親達は久遠ヶ原学園の撃退士に好感を持っているらしい。
 とはいえ、今までの様子から聞き込みは望み薄だ。意図的に嘘をついているならやりようもあるが、そうではないのだから原因がわかるまで如何ともしがたい。ならば、事実から足りない情報を埋めていくしかないだろう。
「それで、何をお聞きになりたいのでしょうか?」
「そうですね、まず、前の事件で被害を受けた三人の子供さんに聞きたい事があるんですが、会う事は出来ますか?」
 エイズレトラの言葉に、教頭は顔を曇らせた。事件直後は特にどうと言う事はなかったが、最近になって三人とも学校に来なくなったという。
「親御さんの話ですと何故だか怖がっていて、部屋に閉じこもってしまったとかで」
 食事も親が部屋の前に置いていく状態だという。
「最近……というと、いつ頃の事ですか?」
 教頭が口にした日付は遺体が消えたという通報があった日に近い。何か、三人の恐怖心を刺激するような事があったのだろうか。
「差し支えなければ、僕達で話を聞きたいのですが」
「それは……いいかもしれませんね。助けて下さったのと同じ撃退士の方ならあの子達も安心して話せるかもしれません」
 子供達の保護者に話をしておきますねと教頭が携帯を取り出した時、部屋の外で何やら騒ぐ声が聞こえてきた。

 昇降口に程近い当たりはちょっとした恐慌状態になっていた。校舎の奥に駆け戻る子、大声で教師を呼ぶ子、更には泣き出す子と収拾がつかない状態を前にしてジェラルド&ブラックパレード(ja9284)は苦笑するしかなかった。
 ジェラルドはただ子供達から話を聞こうとしただけだったのだが、日頃知らない人には気をつけなさいと言われていた子供達にとって、いきなり入ってきた見知らぬ大人はそれだけで警戒の対象になる。加えて挨拶抜きで話しかけたり、へらへらした調子で突っ込もうとするジェラルドの癖がそれに拍車を掛ける。こうなると何か言おうとしただけで騒ぎが大きくなるのだから、相手が悪かったとしか言いようがない。
「みんな落ち着いて。大丈夫だから」
 教師らしい女性が出てきて声を掛けると、よく知っている大人に安心したのか子供達はその周囲に集まり、騒ぎはいくらか収まった。
 撃退士の方ですねと教師に念を押され、へらりと笑ってジェラルドは頷いた。が、なぜか教師が申し訳なさそうな顔になる。
「済みません、ちょっと誤解があったらしくて、その、駐在さんに通報してしまいまして……」
「駐在さんに連絡が取れるんですか?!」
 顔を出したエイルズレトラが反応した。司は姿が見えないと聞いていたし、少し前に駐在所に寄ってここ数日人がいた形跡がなかった事を確認もした。
 この教師はどこに通報したと言うのだろうか。
「駐在所に人がいない事もよくありますから、学校や役場にはスマホの番号が知らされていますけど」
 単身赴任の駐在にはある事らしい。
「本当に済みません。すぐに間違いだと伝えないと」
「いや、そのままでいいよ。どうせその駐在さんにも用があるんだし」
 ジェラルドはへらへらと手を振った。
「不案内なボク達が探し回るより、向こうから来てくれるならその方が早いからね」


「あたし達で最後かな?」
 小学校の会議室に、三人の子供から手分けして話を聞いていたソフィアとグリムロック・ハーヴェイ(jb5532)や御神島 夜羽(jb5977)が入ってきた。
「それでは、司さんが来る前に改めて情報を整理しておきましょうか」
 まず、不審な花はこの小学校付近に群生し、村内のあちこちで見られる事。
 村の住人はその殆どが一種の認識障害にあり、遺体やそれに関連するとは全くわかっていない状態である事。
 ただ、前回の被害者である三人は認識障害の例外であり、学校近くで動く遺体を目撃している。
 三人に例の洞窟への道を教えたのは逮捕された相沢美幸。その道は洞窟奥の隙間から小学校の裏山に続いていた。
 前の事件で洞窟の中に咲いていた花と、今村内に咲いている花とは違っている。ただ、大元は同じではないか。
 名簿と比較して見たところ、所在のわからない子供や教職員が数人いる。
 駐在の茶木司は姿を消しているが、村人から見ると普通に仕事をし、連絡も取れるという。
「ほぼこの学校が中心と言えるな」
 グリムロックがポツリと言った。それは確かだ。そして、消えた遺体も学校かその近くにある可能性が高い。
「やはり、司さんが何らかの鍵なんでしょうか?」
 前回、今回、そして二十年前の事件と全てに関わっているのは司だ。征治は予め調べてきた報告書の内容を思い出していた。
 二十年前、洞窟には司もいたのではないか?だとすると母親が無理を押してでも迎えに行った事も頷ける。
「だけど、気に入らねぇよなぁ。何でこうも子供が絡むんだよ?」
 口調は冷ややかだが、夜羽は心から忌々しそうだった。
 もちろん子供が利用された天魔事件は多い。その多くが人質であったりサーバントやディアボロの材料であったりなのだが、今回はどこか違っている気がする。司、美幸、そして三人の子供。彼らは皆生き残り、そして。
「美幸さんが言っていた約束って、本当は何だったんでしょうか?」
 征治がその疑問を口にした時、会議室の扉が開いた。
「失礼します」
 その声と共に入ってきた制服姿の警官に、ごめんねと呟いてソフィアがその額に掌を当てる。シンパシ−によってソフィアの頭に流れ込んできたもの、それは。
 乾涸らびていく遺体と、そこから伸びていく根……否、菌糸に近いイメージだろうか。そこから更に分かれて伸びる菌糸の先に咲く、白い花。
「あなたはわかってるんだよね、茶木司さん。他の人とは違って」
 ソフィアに問われ、司はゆっくりと頷いた。
「天魔が取り付いた母の遺体は、この近く、体験学習用の小屋に……」
 裏山にある小さな小屋。遺体はそこにあるという。
「あれは日のある内だと殆ど動けない……いえ、今となっては全く動けないで
しょうね。ただ、既に他の人間に胞子を飛ばしてるでしょうから、本体から伸びた菌糸を先に切っておかなければ意味が無くなりますが」
 窓から差し込む、傾き掛けた陽に目をやって司は呟いた。暗に早く行けと言っているようにも見える。
「いきなりどういうことかな?」
 チャラついた笑顔に隠れて、ジェラルドが探るような目を向ける。
「終わりにしたいんです。あの日の約束を」
 司が重い口を開いた。


 ミイラ化した皮膚から伸びた無数の糸。それがいわば発信器である花に力を供給するパイプであり、それを断てば花も人に取り付いた胞子も枯れて消える。それから本体を倒せばいい。司の言葉を信じればそういうことになる。
「カオスレートは天界寄り……サーバントですか」
 何でこんなものを作ったのかと征治は首を捻った。感情を搾取するなら、もっと直接にやれる方法が幾らでもあるだろうに。
「それでは、速やかに終わらせるとしますか」
 エイルズレトラがそう言ったのが合図となった。

 あの日、目の前で起こった事故と美幸の罵倒に押し潰されそうだった司の前にお姉さんは現れた。枯れた筈の花が蔓となって美幸を締め上げ、最初は罵っていた美幸も命乞いを始めた。
 お姉さんは美幸の命を助け、司に大人になるまでの間優しい記憶をくれる代わりに、言ったのだ。
『その時が来たら、ここに一面の花を咲かせて』
『そうしたら、皆幸せになれるから』
 お姉さんの言う『幸せ』が何なのかを考える事もなく、司と美幸はそれぞれ約束した。ここに一面の花を咲かせてたくさんの人をあげる、と。

 とどめの瞬間、どこかで悲鳴が聞こえたような気がしたが、あり得ない。
 そのサーバントに、声を出す機能など既に無かったのだから。


 退治と言うより始末と言うのが相応しいほど呆気なく、それは終わった。終わらなかったのは人間の方だった。
「あのおばさん、大丈夫かな」
 車の中で、ソフィアはふと聞き込みをした女性を思った。
 認識障害が解けた後には、当然その反動が来る。人は様々な事を知りたがり、知りたくなかった事も引きずり出される。
「それでも知りたいですよ、僕は」
 征治は遠くなっていく村を見た。司が会ったお姉さんー正体は天使、もしくはシュトラッサーと思われるが、その目的はわからない。
 けれど、彼女の言った『幸せ』は本当に幸せだろうかと思う。
「幸せでしょうね」
 紫乃が冷ややかに言った。閉ざされた中で、何の疑問も持たずに生きていれば、それはそれで幸せかもしれない。
 でも、私は嫌い。
 声にならない言葉をすくい取るように蓮が話を変える。
「司さん、警察を辞めるそうだね」
 事情はどうあれ一度は天魔に手を貸した形になるのだからそれも仕方がないだろう。
 夢の終わりに待っているのは、いつだって冷たい現実だ。
「いいんじゃないの、それで」
 いくら優しくても、終わらない夢はいつか腐り果てる。必要なのはハッピーエンドを夢見て動く事だよとジェラルドは笑う。
「いずれにせよ、幕は下りたんです。また、始めるだけですよ」
  エイルズレトラはもう、振り向く気は無いようだった。

 少なくとも、司の中で永いあの雨の日は終わった。
 彼は一人で歩いて行けるのだ。




依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 最強の『普通』・鈴代 征治(ja1305)
 奇術士・エイルズレトラ マステリオ(ja2224)
重体: −
面白かった!:5人

太陽の魔女・
ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)

大学部4年230組 女 ダアト
最強の『普通』・
鈴代 征治(ja1305)

大学部4年5組 男 ルインズブレイド
奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

卒業 男 鬼道忍軍
ドS白狐・
ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)

卒業 男 阿修羅
心重ねて奇蹟を祈る・
グリムロック・ハーヴェイ(jb5532)

大学部7年171組 男 ディバインナイト
能力者・
御神島 夜羽(jb5977)

大学部8年18組 男 アカシックレコーダー:タイプB
撃退士・
九鬼 紫乃(jb6923)

大学部6年39組 女 陰陽師
撃退士・
黒瀬 蓮(jb7351)

大学部2年62組 男 阿修羅