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マスター:一条もえる
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2014/12/01


みんなの思い出



オープニング

「頼む、手伝ってくれ! 彼女に、格好いいところ見せたいんだよ!」
 撃退士たちがこの部屋に集まったのは、サーバント討伐の打ち合わせのためであった。
 ところがそこで、ともに依頼を受けた撃退士・シンジは拝むように両手を合わせ、仲間たちに懇願する。
 彼女というのは、すでに退出した撃退士・マユのことであろう。
 どうやらシンジは、マユに一目惚れしてしまったらしい。
「だからさ。この依頼で格好いいところみせて、印象良くしておきたいんだよ。
 腕っ節には自信がある。でも、女の子が惚れるところって、そんなところじゃないんじゃないの?」
 たとえばリーダーシップ。たとえば下準備の抜かりのなさ。たとえば行動中の臨機応変。
 そういう姿こそが、魅力的に映るんではないかと。一理ある。
 しかしそういった知性的なアレコレが、
「俺には物足りてないんだよぅ!」
「いやぁ、そんなことないですよ」
「本当にそう思うか? 彼女に『わぁ頼もしい!』って思ってもらえるくらい、俺が手際よく、あれこれ仕切って、依頼を成功に導けると思うかぁッ?」
 そう言われると……視線をそらす。
 そういえば、さっき依頼の説明を受けてあれこれ話していたときも、黙って腕組みしていたっけ。
 シンジは、いかにもさわやかなスポーツマンだった。大学部の18歳。短く刈った髪と焼けた肌が印象的で、朗らかで人当たりもよい。友人も多そうな男だ。
 鬼道忍軍というだけあって、身のこなしには大いに自信がある。幾度も依頼をこなしてきた経験があるらしく、頼もしく思えたもんだが。
 どうやら単にいっぱいいっぱいで、建設的な意見が思いつかなかっただけらしい。
「だろ? だから頼む。別に彼女を騙そうってわけでも、みんなの手柄を横取りしようってわけじゃないんだ。
 ちょっとだけ上手く演出してくれというか、アドバイスしてくれというか……。
 とにかく頼むッ!」
 部屋に残っていた撃退士たちは困惑して、顔を見合わせた。


 確かに、マユは可愛い部類の少女だろう。
 高等部の16歳。
「どうかよろしくお願いします」
 頭を垂れると揺れる長い黒髪が清楚な印象を与え、いかにも真面目そうな彼女だったが、いや真面目な娘なのは本当だが、話してみると意外とよく笑う。取っつきにくそうに思えたのが申し訳ないくらいだ。
 彼女はルインズブレイド。剣道の有段者でもあるらしく、剣の冴えを見せてくれることだろう。
「いえ、それは学園に来る前の話ですから……実戦の経験はさほど多くないので」
 と、謙遜するところも奥ゆかしい。
「私、山地の戦いは初めてです」
 サーバントが出現したのは、某山中。
 時刻はすでに夕刻で、日没後の行動を避けるため、出発は明朝と決まった。現地に一般人の姿はなく、緊急性よりも安全性を重視したのだ。
「何度か参加した依頼は、市街地に緊急出動という形が多かったので。
 こんなに作戦までの時間も、作戦時間も長いのは初めてです」
 と、緊張を隠せぬ様子で語っていた。


 拝んでまで頼まれた以上、むげにもできまい。
「だったらとりあえず、明日の準備を綿密にやり直しましょう」
 と、ひとりが言う。
 普段は個人個人がおこなう下準備も、一緒にやったほうが頼れるところを見せられるかもしれない。幸い、彼女は山地での活動に不慣れなようだし。
「マユさんに戻ってきてもらいましょう。メルアド聞きました?」
「ちょ、簡単に言うなお前! そんな簡単に聞けたら苦労はしないよ!」
 などと言い出して、もじもじもじもじ。
 これはまた、見かけによらずずいぶんと奥手なようで。
 撃退士たちの協力がなければ、100年経っても前進できそうにない。


リプレイ本文

 ぴんぽーん、と玄関のチャイムが鳴る。
 時刻は午前5時より、少し前。12月ともなれば、辺りはまだ真っ暗だ。
 ふたたびチャイムを鳴らすと、寝ぼけ眼のシンジが顔を出した。
「なんだよ、まだ寝てたのかシンジにーちゃん! 起きろーッ!」
 花菱 彪臥(ja4610)憤慨したように腰に両手を当てると、ずかずかと中に入っていく。
「いや、寝てたわけじゃないよ。大丈夫」
 確かに、寝ぼけ眼ではあるが着替えは済ませている。
 待ち合わせ場所まで行くと、すでに数人の仲間たちと、マユがそろっていた。
 その顔を見るなり、あくびをしていたシンジの背筋が伸びる。
「や、やぁ! 今日は頑張ろうな!」
「こちらこそ、よろしくお願いしますシンジ先輩」
 名前を呼ばれたシンジの顔が、にへら、と緩む。
「まったく、真面目にお仕事しましょうよ……」
 と、雫(ja1894)はシンジの現金な姿にあきれ顔だったのだが。
「まぁ、いいじゃないか。恋はいつだって、人を迷わせてくれる素敵なものだよ」
「わぁ、ジェラルドさん、それ今まで何人の女の子に言ったのかなぁ?」
「んー、……秘密、だな」
「悪い人だなぁ」
 などと、ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)や藤井 雪彦(jb4731)は、ずいぶんと乗り気になっているようだ。
「頑張る気になってるんなら、手助けくらいはしてあげようと思うじゃない?」
 と、雪彦は余裕を持ったことを言う。
「そう言ったところで、相手の好みも様々だろうに。俺たちがシンジを持ち上げたって、相手に好かれるかどうかはわからないぞ」
 と、翡翠 龍斗(ja7594)。
「そこは、ぬかりなしや」
 見得を切ったのは亀山 淳紅(ja2261)。
「ほう、なにか妙案でもあるのか?」
「バッチリ、マユちゃんの好みをリサーチ中や! ……レフニーが」
「自分じゃないのか」
「いやだってホラ、こういうのは女同士の方が話が弾むもんやん?」
「まぁ、そうなんですけどね」
 傍らのRehni Nam(ja5283)は苦笑い。
「不自然になってもいけませんし、そこは慎重に」
「ま、これも仲間の悩みだからね」
 四国の現状を憂う龍崎海(ja0565)だったが、仲間に力を貸すのもよいではないか。
 一行は荷物を詰め込んだリュックサックを背に、登山道へと足を踏み入れる。
 ちょうど紅葉が目に鮮やかで、マユはそれに目を奪われていた。
「綺麗ですね……あ、ごめんなさい。そんなこと言ってる場合じゃないですよね」
「い、いや。そんなことはないよ! 綺麗だし。うん綺麗だなー!」
「もっと近づけばいいのに」
 雪彦は肩をすくめたが、
「それができるなら苦労はしないか。電話番号ひとつに一苦労なんだから」
 買い出しに行くことになった昨日だって、けっきょく雪彦がマユを呼び戻した。
 いかにマユがあまり携帯電話を使わないタイプだからといって、番号の交換さえできていなかったのはシンジくらいのものだった。
「これでもし依頼中にはぐれたりしても、シンジさんに助けを呼べますね〜♪」
 わざわざ二人に念押ししてまで、交換したことを確認したのだ。
 道のりはまだ遠い。
 サーバントまでも、マユの心までも。


 歩く途中で、ジェラルドがススス、とシンジの方に近寄っていって耳打ちする。
「貸した本、読んでおいてくれた?」
 ジェラルドが昨日のうちに渡していたのは、『子供にも分かる時事問題』とかいう本、などなど。
「でも、いくらなんでも『子供にもわかる』って……」
「もっと本格的な本の方がよかった?」
「勘弁してください」
 シンジはぶるぶるぶる、と頭を振る。なにせふだん小難しい本など読まないのだ。授業? それは出席率と先輩のノートが頼みである。
 そんなわけで、読み終わるのに夕べ遅くまでかかってしまったのだ。彪臥が来たときに寝ぼけ眼だったのも、そのせいである。
「いやぁそれにしても、今年は野菜が高くて困るねぇ! やっぱり冷夏だったせいかなぁ! 為替とかねぇ!」
 と、付け焼き刃きわまりない知識を披露してみる。慌てたせいか、フリもオチも全部自分でしゃべっている。
 ジェラルドが眉間を押さえつつ、「よく知ってるね」といちおう褒めてみせた。かなり駄目な気がする。
 それでも、
「そうですね。料理してると、ときどきすご〜く野菜をいっぱい使いたくなるときがあるんです! ありません、そういうの? それなのに……」
 と、方向性が多少違ったとはいえ、マユの会話のきっかけにはなったようだ。
 やれやれ、とジェラルドは胸をなで下ろした。
 さて。
 山の天気は変わりやすいと言うが。
 歩き始めた頃はさわやかな晴天で、まさに小春日和といった感じだったのだが。だんだんと空は暗くなり、嫌な雲行きになってきた。
「雨具を持ってきて正解だったね」
「早めに身につけておいた方がいい……んだったよな、シンジ?」
 海と龍斗に促されたシンジは我に返ったように、
「そうだそうだ! 濡れると消耗するからね。普段なら『これくらいなら平気』と思ってもね」
 と、マユの方を振り返った。
「なるほど、平地とは違いますもんね。標高が上がって、けっこう寒くなってもきてますし」
 両手をポンと合わせるマユ。シンジは照れくさそうに笑ったのち、海と龍斗の方を振り返った。「どやぁ」とばかりに。
 うんうん、よくできました。
 海は子供を褒めるように、小さく頷いた。何やら成し遂げたような顔のシンジが、少しばかり鬱陶しいが。
「スパイクも装着しておこうよ」
 と、雪彦はシンジにだけ聞こえる『霞声』で助け船を出した。
 雨具に雫がつき始めた。粒は小さいが、まるで霧のように身体にまとわりついてくる。音もしないほどだが、いつの間にか雨具はぐっしょりと濡れていた。足下も滑りやすい。
 『シンジの言うとおり』に装備を調えておいて正解だった。
 先頭を行くのは……押しつけられたのは、シンジだ。
 だんだん山深くなってきたため、茂る草を払いながら進むのだ。
「さすがだね、頼りになるなぁ」
 と、雪彦が押しつけつつ、持ち上げてもみせる。
 実のところ、甘え上手に好意を持つ女性も意外と多いのだが。
「マユちゃんは、そういうタイプじゃないかな」
 だったら、まだまだ頑張ってもらおうかシンジさん。


「そこの石、踏んだらあかんで。グラグラしとる」
「ありがとうジュンちゃん」
 レフニーは微笑んで、淳紅の伸ばした手を握りながら坂道を登る。せっかくなので、指と指とを絡めなおしてみる。淳紅が「うおッ」という顔をしたが、レフニーは逃がさない。
 これも作戦のうち。彼らが仲のいい様子を見せていれば、マユに対してもそういう空気が作りやすくなるはず。
 これ、思った以上に恥ずかしいやんけ! 悶え死ぬでしかし!
 マユには気づかれないところで、ジタバタともだえる淳紅。
 昨日の買い出しの時も、ふたりはラブラブッぷりを見せつけまくっていた。ふたりで一つの買い物袋を持ったり。
 淳紅だってレフニーの買った荷物を持ってやったり、いかにも女子女子した色の雨具を褒めてみたり……。頑張った。頑張って甲斐性を見せてみた。
 一方で、肝心のシンジも、
「マユちゃん、疲れてない? もし足が痛くなったりしたら、早めに教えてくれよ? 無理は良くないから」
 そう言って、マユの歩調を気遣ってみせる。淳紅や雫から耳にたこができるくらい言われたのだから。たぶん、ぐんぐん進んでいたさっきまでは忘れていたんだろうが。
「大丈夫です。これでも、体力には自信あるんですから」
 マユはそう言ったが、そろそろ昼休憩にもちょうどいい。
「シンジにーちゃん、腹減ったー!」
 と、彪臥が大声を出す。
「じゃあみんな、休憩しようか。……いいよな?」
「そうしよう。これ以上敵地に近づけば、それどころじゃないしね」
 と、海はその発案を尊重してみせる。悪くないリーダーシップだ。
 そこでマユが取り出したのは、なんと色とりどりの重箱だった。
「すいません、ハイキング気分みたいで。でも、お昼ご飯で元気が出たらと」
「うわー、すごいねマユねーちゃん! 俺も食べていいの? ありがとー!」
 彪臥も皆も軽食程度は持ってきていたが、そんなものは家まで持って帰ればいい。
 そういえばさっき、料理の話をしていたっけ。その通り、見事なできばえだった。
 ごちそうさま。風は冷たいが、心が芯から温まった。
 食事を終え、ぬかりなく準備していた雨よけのタープや防水シートをシンジたち男連中が片付けている間に、雫はマユの傍らに歩み寄る。
「マユさん、シンジさんとは初めての依頼ですよね? マユさんから見て、どう感じますか?
 ちょっと不器用ですけど、とてもいい人だと私は、思うのですが」
 すこしきょとんとした顔をしたマユだったが、
「あ、さては雫ちゃん。シンジ先輩の事が気になってきたとか?」
 と、興味津々といったまなざしを向けてきた。
「ないですそれは」
「ほんとうかな?」
「ないですったら! ……これでも、思い人はちゃんと別にいますので」
「あら。そこのところ、詳しく聞いてみたいですね。どんな人なんです?」
「レフニーさん!」
 雫ににらまれたレフニーは小さく舌を出して笑うと、当初の目標へと矛先を転じる。
「一緒に戦っていて安心できますし、触れ合ったり、笑ったり……うぅん、ただそこにいてくれるだけで、嬉しいものですよ?」
「そうですね……」
 マユが何か言おうとしたとき。
「おーい、そろそろ出発しよう! もう敵地は近いから、気をつけて!」
 と、シンジの(空気を読まない)声が聞こえた。
 話をよく聞けなかったのは残念だが、表情を引き締めたシンジに「はい!」と返事したマユが向ける視線は、悪くはないように思えた。


 ヒリュウの視界が、蠢く「それ」を捉える。レフニーが警告の声を上げると、捜索していた撃退士一行に緊張がはしった。
「あれか!」
「あ、わかった!」
 海が樹木の彼方を見やる。彪臥もそちらに視線を向ける。確かにそこに、尋常ならざる創造物の気配がある。
「シンジさん、迂闊に飛び込まないように」
「了解。慎重にいきますよ」
 と、海の言葉に頷いて相手の出方をうかがう。
 たしかに、ペン立てのような姿。撃退士全員がその姿を認めた、その瞬間。
 サーバントの姿が大きく膨らんだように見えたかと思うと、何かが撃退士たちに向けて打ち出される。
 狙いは逸れて近くの岩を直撃したが、それだけで大岩は砕け無数の破片が飛散した。
「く……」
 海が纏ったアウルの鎧にも、それは降り注ぐ。
「いてててて! なにこれ、ヤベーじゃん」
 盾で顔を覆った彪臥が思わず悪態をついた。直撃したときは砲弾のようだったはずのそれが、今はシュウシュウと煙を上げる液体になっていた。
 うかつに受け止めようと思わない方が、賢明かもしれない。
「次、来るで!」
 さきほどまでは「疲れたから」といって召喚したケセランに乗っかっていた淳紅が、急いでそれを引っ込め、代わってストレイシオンを呼び出した。
 翼を広げたストレイシオンが、砲弾を受け止める。
 レフニーが霊符で応戦するが、あちらの方が射程が長い。
「うわッ……!」
 雪彦が体勢を崩した。砲弾が、傍らの巨木をなぎ倒したのだ。それを避け、隙が生まれた。
 すぐに次弾が飛来する。マユは「危ない!」と雪彦の前に立ちはだかり……。
「マユさん!」
 シンジが飛び込んでくる。マユを横抱きにし、砲弾をかわす。雪彦はついでに蹴倒されたようなものだが、苦笑して立ち上がる。
 やれやれ、気を引く作戦でならともかく、本当に庇われたのでは情けない。
「距離を詰めないとまずいね」
「敵は言ってみれば、大砲みたいなものだから」
「なるほど、左右に揺さぶりながら接近ですね」
 ジェラルドの言葉に頷いたシンジは跳躍、さすがの身軽さと果敢さで、先頭を切って距離を詰める。
 いちいちシンジの発案にしている暇はない。シンジもその方が動きやすいのか、すっかりそのことを忘れているようだ。
「シンジにーちゃん、負けるな−!」
 彪臥が、シンジにアウルの鎧を纏わせる。
「援護します」
 雫が、その幼さにはおおよそ似つかわしくない妖艶な笑みを浮かべた。サーバントにさえそれは届いたようで、シンジにつけていた狙いが、逸れる。
 サーバントの背に、龍斗が飛び乗る。相手の動きは、そう速くない。大上段から振り下ろした刀で、サーバントの背の突起……すなわち砲身に切りつけた。
 しかし、そこはサーバントにとっての生命線でもある。思ったほどの手応えは得られず、相手がそれを振り回してくるのを避けるため、いったん飛び下がろうとした。
「龍斗ッ!」
「!」
 シンジの声に、反射的に身をよじる。ほとんど密着した状態から、敵が砲弾を放ったのだ。伸ばされた手をつかみ樹の幹を蹴った龍斗は、シンジとくるりと身体を入れ替えて着地した。
「忍び顔負けだな」
「忘れるな、俺は阿修羅だ」
 ニヤリと笑みを交わす。
「さて、ボクも格好悪いところ見せるだけなのはシャクだからね」
 雪彦は傍らに鳳凰を従え、その力で威力を増した炎の剣がサーバントを襲う。サーバントは身をよじり、雄叫びを上げた。
「ジュンちゃん、今がチャンス」
「え、ホンマにやるのん?」
「そうですよ。石破ブラブなんちゃら拳〜ッ!」
 淳紅とレフニーはタイミングをはかり、サーバントを同時に攻撃する。
「さぁ、シンジもマユも、一緒にやったって!」
 恥ずかしいのは一蓮托生やんか!
「お膳立てはしましたよ」
 雫が大剣を振り回し、サーバントを吹き飛ばす。近づいてさえしまえば動きはさほど速くない、与しやすい相手だ。
「いくぞマユちゃん!」
「は、はい。いきますシンジ先輩!」
 恥ずかしい技名を叫んだりはしないが。跳躍したシンジが刀で切りつけると、その陰から懐に飛び込んだマユが、深々と長刀を突き立てた。


「ほら、せっかく悪くない雰囲気なんだから、デートの約束でも取り付けてきなよ」
 ジェラルドがそう言ってけしかけた。
「じゃあ、このチケットをあげよう。なかなか予約も取れない、人気のカフェなんだけど。……あいにくと、約束した娘にはふられちゃったみたいだからね」
 ほんとうかどうかは知らないが。
「うっす、いただきます」
 覚悟を決めたように、シンジはその手からチケットを奪い取った。
 こちらでは、女子だけの秘密の会話。
 マユは雫とレフニーとだけに、そっと囁いた。
「私、シンジ先輩のこと、嫌いじゃないですよ?」
「……もしかして、気づいてましたか?」
 レフニーに問われたマユは「だって」と笑った。
「でも、私からの口からは言いません。言ってあげません。先輩の口から、聞かせてくれないと……」
 シンジが3人のところに近づいてくる。
「なぁ、マユちゃん……!」


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:6人

歴戦勇士・
龍崎海(ja0565)

大学部9年1組 男 アストラルヴァンガード
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
歌謡い・
亀山 淳紅(ja2261)

卒業 男 ダアト
いつでも元気印!・
花菱 彪臥(ja4610)

高等部3年12組 男 ディバインナイト
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
盾と歩む修羅・
翡翠 龍斗(ja7594)

卒業 男 阿修羅
ドS白狐・
ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)

卒業 男 阿修羅
君との消えない思い出を・
藤井 雪彦(jb4731)

卒業 男 陰陽師