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マスター:望月誠司
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:25人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2015/12/13


みんなの思い出



オープニング

 2015年12月。
 貴方は執行部の書記長・大塔寺源九郎が妙なミッションを執り行おうとしているという噂を聞いた。
 斡旋所の隅に詳細が記されているとの事で、噂を思い出した貴方は、もののついでに目を通してみる。
 どうやら、クリスマスでない日にクリスマスパーティを開く、という事らしい。
 それがミッション? と思いつつも読み進めてゆくと――

●ことの発端
 時は少し遡る。
 11月の末、久遠ヶ原学園。
 空には冬の蒼白い月が輝いている。
 時の経過と共に徐々に帰宅する人数も増えてゆき、すっかり閑散とした生徒会室。
「ジングルベール〜♪ ジングルベール〜♪ もおーじっき楽しいクリスマス〜HEYっ!」
 ミニスカサンタ姿の黒髪娘がくるっとターンし、腰に手をあてて軽く膝曲げ、片目をパチリと瞑ってウインクして小首かしげてみせた。
「……神楽坂は一体全体どうしたんだい?」
 湯気立つ湯呑み片手に、休憩室から生徒会室に戻ってきた大塔寺源九郎は"ついに気でも狂ったか"という目で女を見やった。見事な脚線美であると感心はする所だったが、ここは執行部の牙城・生徒会室であって、ミニスカサンタが歌い踊るのに相応しい場所ではない。どちらかというなら、冷えピ○を額に張って、やさぐれたOLのような死んだ目をしてカタカタとキーボードを叩いている姿のほうが馴染みのある光景だろう。
「あぁおかえり源九郎。あたしら執行部役員、イヴ、クリスマスと両方仕事が入るのが決定したので自棄やな。格好だけでもクリスマスを味わっておこうって事らしいで」
 んーと腕を伸ばして椅子に背を反らせ大鳥南。
「折角衣装いただいたのに着ないと勿体無いですからね!」
 あはははははは! と笑い声をあげてミニスカサンタ。何かサンタらしからぬ黒いオーラが立ち昇っているように源九郎には見えた。
「なるほどねぇ。しかし、クリスマスといっても、君はキリスト教徒じゃあないだろう? かといって日本の現代的風習としても、年頃の娘さんよろしく恋人がいる訳でもない。クリスマスの予定が埋まる事になんの支障があるというんだい?」
「クリスマスパーティ楽しいじゃないですか! 皆で騒いで美味しいもの食べたい!」
「子供かね君は」
 ずずっと湯呑みを啜りつつ自分の席につく源九郎。ただの緑茶だが、身体は温まる。
 神楽坂茜ももう二十歳の筈だが、身長が低いので相変わらず十代っぽく見える事と、気合入れてない時の言動はこの有様なので、とても良い大人には見えない。
 そういう自分も今月の十九日で二十一歳になるのだが、昔に自分が思っていた二十一歳の姿ほどに今の自分が大人かといえば、そうは思えなかった。
「君が言うクリスマスパーティというのは、要は飲み会みたいなものだよな。騒いで飲み食いできれば良い訳だ」
「ひ、ひどい言い方ですねぇ。聖夜というロマンをプラスしてくださいよっ。まぁそういう要素がある事も否定しませんが」
「ロマンねぇ…………ぼかぁ思うのだけど、聖人に云々などの宗教的意義も冬至が云々の時節的意義も、特には求めないのならば、別にクリスマス当日にクリスマスパーティを行なわなくても良いんじゃないかい? そんなにクリスマスパーティに参加したいのならば、都合が良い日にクリスマスパーティを開けばよろしい」
「クリスマスでないのに開くパーティは、はたしてクリスマスパーティと呼べるのでしょうか」
「だったらクリスマスだと思い込みたまえ。自分を騙せ、世界を騙せ、今日がクリスマス、今日がクリスマス、今日がクリスマスと世界のすべてが思い込めば、その日はきっとクリスマスさ」
「世界のすべてがそう思っても、それはクリスマスではないのですから、クリスマスではないと思います」
「君は相変わらずだね」
「そういう源九郎さんも相変わらずですよ」
 茜の言葉に源九郎は、はは、と苦笑する。
「まぁしかし世の中、そういう事にしておいた方が良い事、というのも往々にしてある。どうだね、クリスマスに集まれない者達の為に、その日がクリスマスだという設定でパーティを行なう、というのは。気分だけでも味わえるなら悪い事ではないだろう」
「はぁ」
「ロールプレイングゲームみたいなものさ。そうだな、さしずめ勝利条件は『クリスマスの夜を演出しクリスマス気分を味わう事』といったところか」
 と源九郎。
「誰が判定をするのです?」
「そりゃあ勿論、勝敗の判定は個々人でやりたまえよ。楽しんだもの勝ち、という部類の事において、価値があるのは主観であって、他人の視線に意味はない。まぁ一人一人にとっての結果はともかく、パーティ全体を俯瞰して一応の客観的判定結果を出してみるっていうのも、ゲーム感覚で面白いかもしれないけどね。そうそう、パーティを演出するには人数が必要だから、クリスマス当日に別口でクリスマスパーティに参加できる人でも参加は歓迎する、としよう、もしかしたら年に何度もクリスマスパーティをやりたいイベント好きな人もいるかもしれない」
「えぇと、源九郎さん、すっかりパーティやる前提で話してません? もしかしてほんとにやるんですか?」
「パーティ、やらないのかい? やるというなら、年に一度のことだし必要経費は僕が負担するけども」
「やります」
「よし、じゃあ、ミッション『イマージナリィ・クリスマス』発令だ」
 かくて、斡旋所の片隅に源九郎からのミッションが張り出される事になる。

●張り紙
・ミッション『イマージナリィ・クリスマス』
 やぁこんにちは、久遠ヶ原の学園生諸君、こちら執行部書記長の大塔寺源九郎だよ。
 唐突だけど、12月×日の夜に仮想聖夜演出作戦をとりおこなう。よってこのミッションの参加者を募集する。
 作戦目標は『クリスマスの夜を演出しクリスマス気分を味わう事』だ。
 なに? ×日はクリスマスじゃないだろう? って?
 その通りだ。
 我々仮想聖夜演出ミッション参加者は、平日に行なわれるパーティを、クリスマスパーティとして演出する。
 そして自己へは『今夜はクリスマス!』と暗示をかけ、参加者にも『今夜はクリスマスなのだ!』と錯覚させる。
 そうやってクリスマス気分を味わいつつ、楽しめればミッション成功だ。
 参加費用は0久遠。
 必要経費は常識の範囲内で、と制限はつくがこちらもち。
 成功失敗報酬は思い出プレイスレス、だ。
 執行部からは僕と会長と会計長が参加する。
 多くの学園生の作戦参加を期待する。
 なお詳細は以下の項目に記す――


リプレイ本文

 日暮れ前、会場。
 電飾がテストに煌き、パーティの準備が忙しなく進められてゆく。笑いが混じった声が響いていて、どこか人々は弾んだ調子だった。
「相変わらず、生徒の為に骨を折って下さってるんですね」
 黒髪の青年が柔らかく微笑した。黒井 明斗(jb0525)だ。
「有難うございます。でも今回は実は、私に慰労の意識が最初からあった訳ではないのですよ」
「そうなんですか?」
「きっかけとしては『クリスマスパーティしたい!』と私が言ったら、源九郎さんがその為にパーティを企画してくださったんです。ですから、私が、というより今回は源九郎さんですね」
「なるほど」
「ただ、やっぱり私としても皆さんにも楽しんでいただいたほうが嬉しいです。ですから、黒井さんも是非楽しんでいってくださいね」
「有難うございます。でも、僕は今回もやはりお手伝いさせていただきますよ。パーティ中はウエイターをやらせていただこうかと」
「……なんていうか、通常営業ですね」
 むーと何故かどこか怨みがましいような表情で茜は明斗を軽く睨んだ。
「偶には黒井さんもハメを外されてぱーっとやれば宜しいでしょうに?」
 その視線に明斗は微苦笑を返す、
「会長に言われたくはないですね」
「私は外す所では全開で外してますから! この前も海いってきましたしっ?」
 と胸を張って見せて黒髪娘。多分、事実なのだろう。
「性分なんです」
「……なるほど、でも黒井さんも何処かで遊ぶと良いですよ。多少なら、その方が周囲の為だと思って」
「ご忠告には感謝を。それで、ウエイターの制服ってお借りできますか?」
「……頑固ですねぇ」
 処置無し、といった態で会長が首を振り嘆息する。
「人の役に立つ事が好きなのです。ご心配には、及びませんよ」
 にこっと明斗は笑うのだった。


 かくて夕陽が海に沈み、月と星が煌く冬の夜。
「……クリスマスパーティ?」
 構内で道に迷った谷崎結唯(jb5786)は灯りに惹かれて会場前までやってきていた。
「そうよ」
 ライトアップされてた受付席に座っているミニスカサンタ服姿の童女――ナナシ(jb3008)が笑顔で右手を差し出してくる。
「だから、スマホを出して。今日はここからクリスマスよ」
「……何をする気だ?」
「今日は24日なのよ。そのスマホ、日付が狂っているでしょ? 正しい日付に直さなきゃ」
「ああ……今日はイヴ、ね。なるほど」
 受付で氏名の記入を終え、日付の変更確認が取れた所で、スマホが返って来ると、結唯はナナシの隣の椅子に座っている、もう一人の娘へと視線をやった。
「……お前、確か、神楽坂茜、だったか? 生徒会の会長だったよな」
「はい、そうですよ」
 ナナシと揃いのミニスカサンタ服姿の黒髪娘はにこっと微笑した。
「谷崎さん、ようこそ、クリスマスパーティ会へ」
「お前、とりあえず写メ撮らせろ」
「えっ?」
「問答無用だ」
 目を丸くしている茜を枠内に納めると、パシャッとフラッシュを焚いて一枚撮影する。
「え、えぇと、私はスタッフなので構いませんが、イベント会場内では、他の一般の参加者の皆さんのお姿を、許可なくみだりに撮影はしないようお願いいたしますね。特にアップで撮影する場合、問答無用は駄目ですよ」
「わかってるよ」
 結唯は背を向けると片手をあげて答えつつ会場内へと入ってゆく。
 まず結唯が初めに目についたのは――ツリーのように電飾されたパンダだった。
「……」
 パンダ・ツリー、動いている。
 その電飾パンダ、何を隠そう下妻笹緒(ja0544)その人であった。
 日暮れ前、笹緒は打ち合わせの際に、神楽坂茜らのスタッフに対して問いかけていた。
「クリスマスと言えば何か」
 と。
「クリスマスケーキ? もちろんそれもあるだろう。
 いちごも良し。
 チョコも良し。
 心浮き立つのがケーキだ」
 だがしかし、と白黒二色の存在は語る。
「ケーキは誕生日やその他の記念日でも食べるだろう――ではクリスマスソングか?
 もちろん、それもあるだろう。
 今は懐かしのあの名曲から、新たに作られた新曲まで、冬を彩るのが歌だ。
 だがしかし、クリスマスならずとも歌をうたうのもまた確か」
 故に彼は結論をこのように導き出した。

「であればこそ私はクリスマスツリーになろう」

"いや、その発想はおかしい"と主に南と茜がつっこんだが、源九郎は頷いていた。
 かくて会場内に"ででんっ"と完成したのが、頭に星を乗せ、赤や緑に輝く電飾を全身に施したパンダちゃんツリーである。
 笹緒曰く、

「ただでさえ光り輝く存在であるパンダちゃんが、眩いばかりの波動を放つ。これはもうクリスマス以外のなにものでもない!」

 との事だが、はたして賛同者はいかばかりか。
 …………が、しかし、である。
 人間、同じ顔が世界に三人はいるというが、世の中、似たような発想をする人間というのもまた等しく存在するらしい。
「クリスマスになりきる依頼……?」
 笹緒が準備に去り、入れ替わりのように打ち合わせにやってきた銀髪の少女Robin redbreast(jb2203)は、トナカイ姿の源九郎と、サンタ姿の茜を交互にじっと見つめてから、こくりと頷いた。

「うん、わかったよ。あたしはクリスマスツリーになりきって、舞台装置として役目を全うするよ」

"ブルータス、お前もか"と会長・神楽坂茜はRobinに言ったという。
 かくて電飾パンダちゃんツリーと頭部にパトランプを搭載したRobinちゃんツリーが並ぶ事になる。
「下妻さん、輝いてるね」
「レッドブレスト君もなかなか光っている」
 電飾ツリー達が互いに評価をかわしあい、その間を結唯はスタスタと歩いてゆく。とりあえず食べて飲もう。
「きゃはァ、楽しそうなパーティねェ……楽しませてもらうわァ……♪」
 ばさりと黒マントを広げ、14歳程度に見える娘が会場に姿を現していた。
 124cmのミニマムな身をタキシードに包み、夜色のマントを羽織って、唇には艶やかに血のような紅。
 そう、"聖夜に吸血鬼なんて背徳的で面白いかなー"とドラキュラの仮装に扮した黒百合(ja0422)である。
 他方、
「ふっ、"仮想"なら任せてほしい。イメトレは常に欠かさないぜ?」
 キランと歯を光らせニヒルな笑みを浮かべて姿を現したのは若杉 英斗(ja4230)だ。
「人の想いに……不可能などないッ!!」
"ゴゴゴ……"と擬音でも鳴らしそうな調子で青年は気を集中させる。

――見える。
 確かに見える。
 俺の隣で微笑む、可愛らしい彼女の姿がっ!

 青年は『カッ!』と目を見開いた。
 次の刹那、そこには、

「――今夜はパーティーの誘いを受けてくれて、ありがとう」
「なんだい、照れているのかい? 今夜の君も、とっても綺麗だよ」
「さぁ、一緒に楽しもう」

 ハハハと笑いながらエア彼女に向かって話しかけ、身振り手振りする英斗の姿があった。

「……あれは……ステージ外でも芸やってるのかしらァ?」

 往来のど真ん中で一人動作を始めた青年を見やって黒百合は小首を傾げた。
 が、
(熟練の業だわ)
 ほぅ、と思わず女吸血鬼は感嘆の息を洩らす。
 英斗が手を伸ばす先には確かに空気しかないのだが、しかし黒百合の目には確かに彼の恋人がそこに存在しているかのように見える。
 パントマイムに似ている。
 英斗の動作によって、その空間に何かがある、居るように見えているのだ。
(きっと何百、何千回と練習したのねェ)
 と黒百合は若き演者が積んだであろう研鑽に感心しつつ、料理のテーブルへと向かうのだった。
 やがて出席者は全員会場入りしたようで、東口と西口で受け付けをしていたスタッフ達も野外から会場内へと入って来る。
「会長」
 青白い顔をしている茜を発見した明斗は、用意しておいたホットココアを茜含むスタッフ達に差し出した。
「あぁぁぁありがとうございます、正直寒いっ!」
 受付サンタとして気合一発で耐えていたらしい茜が小柄な身を震わせつつ、ホットココアに口つけ、生き返ります、とほっとしたように笑って明斗に礼を言った。
「暖房、上げてきましょうか?」
「いえ、会場内はこのままで、大丈夫です」
 明斗と茜がそんな言葉をかわしていると、
「あっ、神楽坂さん!」
 ソプラノの声が響いた。
 茜達を発見した陽波 飛鳥(ja3599)は破顔して、その傍らへと向かう。
「今晩は、メリークリスマスっ。神楽坂さんのサンタコス、凄く可愛い!」
 飛鳥は茜のサンタ姿を見てそう称賛した。
 すると茜は嬉しそうに笑って、
「有難うございますっ。飛鳥さんもメリークリスマスですっ」
 しかし、
「確かに似合ってはいるがなぁ……」
 苦々しそうな声が響いた。
 鬼無里 鴉鳥(ja7179)がなんとも微妙な表情をして傍らに立っていた。
 いつもの黒セーラー服にマフラー姿の少女は、白いモフモフで縁取られた赤いミニスカートから覗いている、茜の白い太腿へと視線をやる。
「な……なんでしょう?」
「似合ってはいるが……その、肌の露出的に」
 よろしくないのでは、と言いたかった。言いたかった。
 だって、ちらちら動いて角度によっては見えそうではないか。
 けしからん、と親御さん達が言う気持ちがちょっと解るような気がする鴉鳥である。
「た、確かにそうかもですけど、でもクリスマスっていったらこういう格好じゃないです?」
 茜は鴉鳥からの視線と指摘を受けて、ちょっと恥ずかしくなってきたのか、少し赤面しつつスカートの端を抑え始める。
「まあ確かに今更ではある。しかし――」
 うむむ、と唸りつつ鴉鳥。
(――その格好は誰かの格好の餌食にしか見えん……自覚あるのだろうか)
 天風 静流(ja0373)の胸中の呟きと鴉鳥の思いが大体シンクロした。
「皆さんメリークリスマスですよーっ♪」
 次の刹那、誰かことファティナ・V・アイゼンブルク(ja0454)は、明るい声で挨拶をかわしつつ1ターン目からデジカメで全力撮影を開始していた。
「前回やり過ぎたので普通に接する、と考えてましたけどミニスカサンタ見て気が変わりました! そんな格好されたらもう撮るしかないじゃないですか!! 360度全方位で!!!!」
 カシャシャシャシャシャシャッ!! とフラッシュ猛連写なファティナさんである。
「ティ、ティナさん、ちょっと撮られるような気はしてましたけど、360度ッ?!」
「そうです! 普通のから際どいの丸見えのそれいj」
「それはほんと止めてぇっ!」
 低い姿勢で迫る銀髪娘とその魔眼から逃れるべく後退する黒髪娘の攻防を眺めつつ、
(ああ、既に"いつもの"になりつつある光景だな)
 と天風静流は胸中で呟き、うん、と頷く。
 さらに、
「あっ! あれはまさか、神楽坂会長のミニスカサンタ!!」
 幻想彼女は素晴らしかったがしかし、それは現実の女の子には負ける事もあるらしい――という訳で若杉英斗は会長への挨拶(?)に猛ダッシュしていた。
「会長! 会長! ミニスカサンタ素敵です! サイコーです!! メリークリスマス!」
 と青年が駆け寄ると、
「あ、有難うございますっ?! 若杉さんもメリークリスマスですよっ」
 静流を中心軸にくるくるとファティナ・カメラから必死に逃げ回っていたミニスカサンタ姿の黒髪娘は、英斗へと振り向き、片目を瞑ってキラッ☆ とした笑顔を向けてきた。
「――こうも早く部数UPのチャンスが再到来するとはな。今度こそはモノにしてみせるぜ……っ!!」
 時同じくして、さらに小田切ルビィ(ja0841)がデジカメを構えて向かい、
「会長! 撮影許可を――」
「うおおお! クリスマス万歳! ミニスカサンタ万歳!!」
 英斗が歓声をあげ、
「もうっ、逃げないでくださいよー!」
 ファティナがデジカメを手に追いかける。
「きゃー!」
 さすがの茜も対応に目が回ってきたようだった。
「皆、少し落ち着いた方が良い」
 すっと長い黒髪の長身の娘――天風静流が手を伸ばした。
 進退窮まってきた茜を庇うように抱きつつ静流は言って、視線を向ける。
「ティナ」
「うっ……! でもなにしれっとどさくさに紛れてさりげなくハグしてるんですか静流さん……!」
「いや、心配は杞憂だったみたいなのでね」
 そんな訳で遠慮なく茜をハグハグする静流である。黒髪サンタ娘は静流の腕の中で固まっている。
 他方、
(……神楽坂さんのサンタ姿、女神様だ……)
 陽波 透次(ja0280)は遠目から黒髪娘を眺めつつ胸中で呟いていた。曰く"ファンです"との事。
 本日はピシッとしたスーツ姿の青年は、ミニスカサンタな茜の姿を見るだけで幸せな気分になった。まるで一年分の元気を貰ったかのようだ。
(姉さん、神楽坂さんと仲良くなったのかな……羨ましい)
 凄く信頼されてそうである。
(姉さん、失礼とかしてないかな、大丈夫かな……)
 飛鳥はこの前"天使……"と感動されてたくらいなのだが、弟としては姉の振る舞いが心配になるところなのである。ザ・家族あるある現象かもしれない。
 しばし様子を見守りつつ、
(……姉さんは、仲の良い友達が出来たのかな)
 楽しそうなら、何より――青年はそんな事を思いつつ、会場を後にし家庭科室へと向かうのだった。


(ふむ……変わった趣だが書記長なりの茜への一足早いクリスマスプレゼント、といったところか?)
 久遠 仁刀(ja2464)は今回の催しについてそのように考察を巡らせていた。
「ならばそのプレゼントが良いものになるように全力を尽くすだけだな」
 という訳で赤毛の青年はトナカイの衣装に全身を包んでいた。重りつきのソリには車輪をつけて、体育館と家庭科室間の往来も対応可能仕様となっている。
 出来上がった料理から次々にソリに積み込み、会場へと運んで行く。
 今も家庭科室では調理担当の撃退士達が忙しく手を動かしていた。
 が、
『キュゥ?』
「何やってんスか鳳さん」
 思わず口調まで変えて突っ込みを入れる大塔寺源九郎である。こちらも仁刀と同じくトナカイ姿だ。
『キュッ?』
 鳳 静矢(ja3856)――が中身と思われし、コックの格好をしたラッコの着ぐるみは、源九郎の突っ込みに鳴き声と共に小首を傾げて見せた。
 ラッコでコックな彼は、携帯式のホワイトボードを取り出しキュッキュッとマジックで文字を書き綴り、源九郎に示して見せた。
【鳳? いえ、私はラッコックです】
「家庭科室で料理するのになんでわざわざ全身きぐるみ着込んでんです? パンダちゃんじゃないんですから、大丈夫なんですか?」
【料理しないラッコはただのラッコだ】
 シャキ! と包丁を構え、どっかの長靴半島の飛行艇乗りみたいなことを髭長生物はおっしゃった。ラッコックはアドリア海の出身なのかもしれない。ラッコの棲息分布的にはアラスカあたりかもしれなかったが。
「料理したところでラッコはラッコだぜ……」
 映画館でポップコーンでも奪いそうな台詞を青年はのたまった。生憎、彼は少佐ではなく書記長であるが。
【まぁ見ているが良い戦友】
 静矢もといラッコックが調理を開始する。
 他方、同じく家庭科室内、陽波透次は昼のうちに入れたおいた七面鳥をオーブンから取り出し、被せていたアルミ箔を剥がした。
 軽く焦げ目がついた琥珀色の表面は、見た目カリッと問題なく焼き上げられていそうだった。なかなか良い塩梅だろう。
 良い香りの漂う七面鳥を大皿に移し、周囲に色鮮やかな野菜を盛り付け彩ってゆく。
 それが終わればとろ火にかけていた圧力鍋の蓋をあけた。湯気が立ち昇ると共に香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。赤茶のシチューの中に良く煮込まれた牛肉や野菜が浮いている。ビーフシチューである。
 お玉で小皿に移して味見をする。
「……うん、結構、上手く出来たかな……」
 他にもオーブンレンジから焼けたパンを取り出して切り、サラダロールも作る。
「よし……出来ました!」
 透次は運送スタッフに声をかける。
「解った。それじゃあ運ぶぞ」
 ちょうど他の料理を運び終えて帰ってきたトナカイ仁刀が答える。
「景守、そっちを」
「了解」
 透次は仁刀と景守と共に家庭科室から皿や鍋ごとソリに載せ完成した料理を会場へと運んで行く。
 会場内に辿り着くと、いつものポニテにセーターカーディガン姿の飛鳥がやってきて、
「パーティでまであんたの料理を口にするのか」
 なんて憎まれ口を叩きつつも配膳を手伝ってくれる。
「……嫌なら姉さんは食べなくても良いけど?」
「た、食べないとは言って無いわよ」
 と赤毛の娘。ツンデレである。今更ながらこの姉、実にツンデレである。
「神楽坂さん達に勧めてみようかしら……」
 ふと飛鳥はそんな事を呟いて、
「――透次は神楽坂さんに食べて貰えると嬉しいんじゃないの?」
 とジト目を向けてくる。
 それに透次は真顔で、
「そだね……誰に限らず食べて貰えたら幸せ者だと思う」
 と答えた。
 そんな訳で会長達に勧めてみると、
「飛鳥さんから伺っていましたけれど、透次さんはお料理お上手なのですね。とっても美味しいです」
 と笑顔と共に好評を貰った。
 その傍ら、
(やっぱり透次の料理が一番美味しい……)
 スライスされた七面鳥をフォークでもぐもぐ食べつつ胸中で呟いている飛鳥である。でも口に出しては言わないのである。
 他方、家庭科室、
『キュゥ ! キュゥ !(トナカイさん、追加出来たよー!)』
 ラッコックが料理の完成を源九郎へと告げていた。
 トナカイは並べられた料理を見やり、
「――良い料理じゃないか」
 と答えた。さりげなくまだ紅ってるらしい。
「四十秒で運んでこよう」
 ちょっと違うのが混ざった。
 なお実際は四十秒以上かけた模様。
 他方、長身の黒髪娘、天風静流はエプロンつけてローストビーフを作っていた。オーブンを用いて大塔寺家提供の高級肉を強火で焼き上げてゆく。何気に結構お料理上手である。
 同じくエプロン姿の銀髪娘、ファティナは懐かしの『黒い森のサクランボ酒ケーキ』を作っていた。
 ふふと諸々を思い出して微笑を浮かべつつファティナはケーキを焼き上げると、ケーキナイフでクリームを塗ってゆく。クリスマスなので二段重ねだ。
 生徒会メンバーのメレンゲドールを作ってケーキの上に載せてゆく。今の衣装に合わせて作る。鬼島のも作った。こちらは髭をつけてサンタ衣装着せてみる。
(……本物サンタに見える)
 くすり、と笑う銀髪娘である。
「完成した」
「こちらも出来ました」
「ん、ローストビーフにケーキだな。これは……メレンゲドールか、精巧だな。良く出来てる」
 静流とファティナが完成の報をあげると仁刀がやってきて、ケーキを覗き込み感心したように言った。
 褒められたファティナは胸を張ると、
「ふふ、サンタ茜さんは特に気合いれて下着も再現しています。さっき見ましたからね!」
「そうか(ひょいぱくガリゴリ)うん、甘いな」
「あ、茜さんがあッ?! り、力作でしたのに! レースも再現しましたのに! 仁刀さん酷いっ!」
「さて運ぶぞ」
「スルー?!」
「いや、ちょっと人前には出せなかっただろうそれは」
 最近ネタキャラ化が著しいファティナお姉様の明日はどっちだ。


「なあ、良いだろう?」
 小田切ルビィは渋る茜に対して説得を重ねていた。
 今回は隠し撮りではなく、正々堂々と撮影許可をGETするつもりであった。目指すはミニスカサンタ姿の会長の写真集発行である。
「個人で撮るくらいなら良いですけど、でも写真集というのは……」
 茜が困惑した表情でルビィを見上げて来る。
「聞いてくれ、俺達は撃退士だ」
 青年はルビー色の瞳で、真剣な眼差しで茜を見つめた。
「俺達は、いつ肉片になるとも知れない戦いの日々を生きている。そんな荒んだ心を明るく照らす会長の明るく朗らかな姿を、写真という媒体に記録し、いつでも眺める事が出来るなら――それは、戦いに赴こうとする多くの撃退士にとって、心の支えとなるだろう」
 真正面から見つめつつ、身振り手振りを加え、熱弁を振るう。善良な会長を丸め込もとい、説得するならこれしかない、とルビィは結論したのである。
 会長は眉根を寄せて唸り、数秒間の沈黙の末、
「…………解りました」
 と頷いた。
「私の姿を支えとなされるかたが一人でもいらっしゃるのでしたら……そのかたの為に、私はレンズの前で微笑みましょう」
「おおっ、さんきゅー! そうこなくっちゃな!」
 ルビィは破顔して歓声をあげる。
「で、でも、あんまり変な格好は撮らないでくださいよっ?」
「わかってるって!」
 ポンポンと会長の肩を叩き、それじゃ笑ってー、とカメラを構えるルビィ。
「頑張ってくださいね」
 とカメラの彼方の誰かに向けてにこっと茜が笑い、その様をルビィはレンズに納める。
 戦いに赴く者達に届けるメリークリスマス。
 写真家はレンズの中の女の笑顔を見つめつつ、シャッターを切った。


 パシャパシャというフラッシュ音が響く傍ら、ナナシはケーキを食べつつ談笑していた。
「良く出来てる仮装ね」
「御望みなら吸血鬼らしく喉元から生き血を吸って上げようかしらァ、至高の快楽を得られるわよォ♪」
 黒百合が冗談めかして微笑する。
「あら、快楽は良いものだけれど何が残されるのだろうって何処かのRockerも歌ってたわよ? 黒百合さんに吸われたら一撃でこの世から昇天してしまいそうね、ぞっとしないわ」
 と紫髪の娘は肩をすくめてみせる。
「ふふっ、ナナちゃん、何も残らないから、イーんじゃない?」
 半人半魔の女は妖しい色の光を瞳に燻らせながら、ナナシの顔を覗き込んで微笑し、小柄な吸血鬼は友人の悪魔に抱きつく。
「私も貴方も葡萄酒色の夜の夢、炎の舌で欠片も残さず燃え上がれば良いのよぉ、きゃはァ!」
「飲み過ぎ、ね」
 悪魔は奔放な吸血鬼をたしなめるようにその側頭部を指先で軽くこづいた。
 他方。
 幕の降りている壇上の脇、白い肩出しの黒ドレス姿の染井 桜花(ja4386)がマイクを手に司会をしている。
「……次は劇団ドリーマーズさんの"恋人がサンダーフォース"です。……雷雲を追い越して響く歌声をお聞きください」
 桜花の鈴を転がしたかのような声が響き終わると共に幕が上がり、黒のゴスロリドレス姿のヴォーカル娘を中心にしたバンドが歪みの効いたサウンドを掻き鳴らし始める。
 そのステージの脇、次の出番を待つ控え場所で、
「……ラル、私は今どんな顔をして過ごせばいい?」
 川内 日菜子(jb7813)は椅子に座って俯いていた。
「おいおい、こういう馬鹿騒ぎするパーティにやってきてまで暗い顔するのはナシだぜ?」
 ラファル A ユーティライネン(jb4620)は呆れ顔でガリガリと頭を掻いた。
 けれどパーティに参加したは良いものの、やっぱり日菜子は日本各地の天魔との戦いの状況が気がかりで、モヤモヤして楽しむどころではなかったのである。
 そんな様子の少女にラファルは嘆息すると、日菜子の頬を指でそっと撫でた。
 頬に沿って指を滑らせると、形の良い顎へとあてて、くいっと上を向かせ――おもむろに口付けた。
 唇が離れるとラファルは日菜子の瞳を見つめ笑った。瞳の奥で光が揺れている。
「今夜くらいはすべて忘れて俺と聖夜の夢を見れば良いんだよ。それがパーティと他の参加者に対する礼儀ってもんだぜ?」
「……そういうものか?」
 少し赤い顔をしながら半眼で日菜子はラファルを睨む。
「そーいうもんだよ。暗い顔してるヤツがいたらまわりだって気を遣って楽しめないだろ? 蕩けた顔でもしてた方がまだマシってもんだ。はは!」
「……うっ、そ、そうか、すまん、なるほど……」
 ステージの方から"こぉいびとがサァアアアアンダフォオオオ!"とシャウトしている女の歌声が響いて来る。最後のサビの部分だ。
「さ、そろそろ出番だな……踊ろうぜ!」
「でも、私、踊った事とかないのだが……」
「だあーいじょーぶっ! これ系のはノリと勢いでなんとかなる! 俺についてこいっ!!」
「わわっ!!」
 勢い良く腕を引っ張られて日菜子は椅子から立ち上がり、ラファルと共にステージへと出てゆく。
「……次はラファル A ユーティライネンさんと川内 日菜子さんによる"ダンスパーティ!"です。……まだ生まれてなかった人が大半かもしれません?」
 照明の大多数が落ちて、会場内が暗くなる。
 幕が上がり、バッ! と光がラファルと日菜子が立つステージに差した。
「さあ、みんな踊ろうぜ。レッツダンス!」
 派手な羽扇子を持ったラファルの掛け声と共に、大音量でオーケストラヒットが連続して鳴り響き、場内に蒼、赤、黄、紫、多数の色のフラッシュが連続して瞬いた。ビームライトが無数に伸びて入り乱れ闇を切り裂いてゆく。
 光の中でラファルはリズムに合わせて小刻みにステップを踏んで跳び跳ねながら扇子を左右に大きく振り、日菜子はラファルのそれを見よう見真似で同じく扇子を振りながら踊る。
『ホウッ! ホウッ! ホウッ!』
 会場内ではサンタ服姿になった静矢が曲の掛け声に合わせて華麗なステップを踏んでいた。壇上のラファルも負けじとダンススキルを発動してキレッキレの動きを見せる。静矢はさらにロボットダンスまで披露し始める。
 結構な数の会場内の撃退士達がラファルの扇子の動きに合わせて左右に身体を振り、さながら波打つように踊り始めていた。
「ああ、これは、いやあ、日本が景気の良かった頃を思い出すねえ」
 スーツ姿の狩野 峰雪(ja0345)はウエイター姿の明斗から渡された磨かれた硝子のグラスに口つけ、注がれた真っ赤なワインで喉を潤す。昔、日本が泡ってた頃に見ていた光景だ。
 重低音が身体を芯から叩く様に一定のビートを刻み、ライトが入り乱れ、影がはね跳びながら乱れている。
 昔日に想いを巡らせながら男が料理をつまんでいると、ふと、入り口の方から人影が一つ会場内に飛び込んで来るのが見えた。
 白いモフモフとした立派な髭を持つ赤服サンタの足取りはよろけており、相当に疲弊している様子なのが見て取れる。
 天羽 伊都(jb2199)である。
 ケーキの箱を手にしているサンタ少年は、轟音と光と影の波が揺れる会場内を忙しなく見渡し、運よく目当ての人物を発見すると再びダッシュする。
「み、南、さん!」
 伊都が声をかけると、ナナシらの傍でワインを飲んでいたドレス姿の赤毛の女が振り向いた。
「んっ? あいにくフィンランドに知り合いはおらへんで」
「僕、です、よ、僕!」
 髭をずらして伊都。
「なんや伊都君かい、てっきりホンマもんのサンタかと――っていうのはおいといて、大丈夫なん?」
 挨拶代わりにボケていた南だったが途中で伊都の様子に気付いて、眉を顰めた。
 実は伊都は先程まで天魔と激闘を繰り広げていた。
 全身にその疲労とダメージがまるごと残っていた。
 しかし、普段学生を謳歌していないので、こういったイベントを楽しみたいが為に、伊都は疲弊しきった身で強行してやってきたのである。
「だい、じょう、ぶ、です! 鍛えて、ます、ので!」
「いや、どー見ても……駄目やん。顔真っ青やん。変な汗にじんでるやん。駄目やで。帰って寝とき」
「たいした、ことじゃ、ない、です! それより、僕と、踊りません――」
 か? と問いかけた所で、伊都は目の前が真っ暗になっているのに気づいた。
 どん、どん、どん、どん、と喧しく響いていたドラムの音、人々の喧騒が遠ざかってゆく。
 南の叫び声が聞こえたような気がしたが、次の瞬間、伊都はすべての音が聞こえなくなっていて、意識がぶっつりと途絶えた。


「君は、あれやな、大馬鹿者やな」
 伊都が目を覚ますと、南の顔が見えて、頬に痛みを感じた。どうやら抓られているらしい。
「――暗黒に落ちた魂がこの少年の身に再臨しリザレクションの序章はオールライト。これぞ千年天使のセフィロト・バッドの顕現というもの。けれども、太陽が最も燃える日の夕焼けの雨が通り過ぎる程には、運命の導くままに静寂を愛していた方がモアベター」
 黒いゴシックドレス姿の少女がほっと安心したような顔で伊都の瞳を覗き込んで呟いた。
「ありがとなジャンヌ、でも日本語で頼むわ」
「しばらくは安静にしていてください」
「解った」
「ではお大事に」
 と一礼してゴスロリ娘が去ってゆく。
 まだダンス曲が聞こえている。
 意識を失っていた時間はそう長い間ではなかったようだ。
 ビームライトが暗闇を裂いて天井を照らしている。
 床に寝かされているようなのだが、後頭部に柔らかい感触を感じる。どうやら南から膝枕されているようだ。
 そして、現在位置は会場である体育館内のキャットウォークであるようだった。
 一階では踊っている人が多いので、上に移されたのだろう。
 顔を横に動かすと、会場内の様子がよく見えた。
「……伊都君、そんなにクリスマスパーティでたかったん?」
「……はい」
「そーか……でもしばらくは安静やからな、無念やろうけど、こっから眺めるだけで我慢しとき」
「く……」
「それとも完全退場して保健室に放り込まれた方がええ? 容赦なくブチ込むで」
「ここで良いです」
「よろしい」
 その返答に伊都の額を撫で、うん、と赤毛の娘は頷いたのだった。
 その後、北海道の料理名だったり、どっかのウラー! な国の首都を目指す曲に合わせてラファルが魔王の舞いを披露し、ラファルと日菜子のステージは締めとなった。
 そしてステージに幕が降り、会場内の照明が元に戻る――と思いきや、しばらく経っても暗闇のまま戻らなかった。
 徐々に会場内の生徒達がざわつき出した頃に、ツリーらのイルミネーションだけがバッと点等し、スピーカーから声が響き渡った。

「聖夜も身を粉にして働く者達にワシからの……いや……良い子達からのプレゼントじゃよ♪」

 物陰に身を隠しながらマイクを握り台詞を発した藤井 雪彦(jb4731)は、密かにスマホで音響室へと合図を送る。
 雪彦からの合図を受け取った駿河 紗雪(ja7147)は、スイッチを入れてスピーカーから会場内へとメッセージを流した。

『撃退士のお兄ちゃん、お姉ちゃん、有難う!』

 それは、久遠ヶ原の学園生達に救われたと思っている人々からの一言コメント集だった。
 雪彦と紗雪が電話やネット等を駆使して一件一件ボイスレコーダーで集めたものである。
 これを、サプライズプレゼントとして会場内に流したのだった。
 中には自分が直接関わった、というものもあるのだろう、会場内の撃退士達がざわめいてゆく――


「――次は、染井桜花さんによる歌唱です! その美声から紡がれる旋律をどうぞお楽しみください!」
 桜花本人が出るので司会の代打が巡ってきたシェリー・アルマス(jc1667)がマイク片手に声を張り上げる。
 幕が開くと、先程サンダーしていた連中がバックバンドとして並ぶそのステージ中央、ヴォーカルとして染井桜花が立っていた。
 一見では歳の頃は15歳程度だろうか、黒髪赤眼、豊な曲線を描く148cmの小柄な肢体をドレスに包み手にマイクを持っている。
 その佇まい、外見は際立っている、されど、彼女は見目が麗しいだけの歌い手ではなかった。
「……それでは。……お聴きください」
 澄んだギターのコードとキーボードのアルペジオによる静かなイントロダクション、そこからベースが入り、ドラムが入り、オーケストラヒットによって盛り上がり、彩花は息を吸うとマイクを手に桃色の唇を開いた。
 高音で澄んだ、しかし力強く伸びやかな女声が会場内へと響いてゆく。一瞬、場が静まり返り――驚愕によって――その後に興奮に沸きかえった程の歌唱力。
「――とても、奇麗な歌声ですね」
 濃紺のイブニングドレス姿の紗雪は、気崩したタキシード姿の雪彦に抱かれながら腕を取り合い踊っていた。
「そうだね、でも悲しい曲だ。でも、だからこそ思うよ、ボクは幸運だって。紗雪がいるから」
「ふふ、私もなのです。雪彦と会えたのは、きっととても運が良い事なのですよね」
 恋人達は互いを離すまいと互いを抱く腕にぎゅっと力を込める。
「雪彦、さっきのサプライズプレゼントですけど――」
 紗雪の声に雪彦は執行部役員達の様子を思い出していた。
 例のコメント集に対し書記長の源九郎は、
『別にぼかぁ他人から礼を言われる為に戦ってる訳じゃないからねぇ。まぁ学園としては支持を集めている方が今後も有利だから、一定数の感謝があるというのが証明されたというのは良い事だね』
 などとコメントしていたらしい。ただ、静矢が言うには「あれは満更でも無い時の顔だった」との事だった。
 逆に、会計長の大鳥南は、
『まぁ源九郎の言う通りやね。活動が感謝されてるってのは良いことやね』
 と言いつつも、こちらはしかし何処か冷めた表情をしていたらしい。
 そして、生徒会長の神楽坂茜は、
『か、感動しました……ッ!!』
 と言って、ダバダバと滝の如く涙を流していたという。
 マジ泣きである。
『これだけ、これだけ多くのかたにこんなにも喜んでいただけたのですね! 私達のやってきた事は、私達のやってきた事は、無駄ではなかった……! 流されてきた血と涙と汗は、無駄ではなかった……ッ!! サンタさんありがとう! 皆さん! これからも世の為人の為! 頑張ってゆきましょうッ!!』
 などと目端の涙を拭いながら言っていたらしい。
 また会場内の学園生達にも概ね好評だったらしい。
「ん〜〜〜まぁ、成功って言って良いんじゃないかな〜? 半数以上は感動してたよねっ☆」
 雪彦は集まった結果を思い返してそう評した。
 紗雪は微笑んだ。
「良かったですね♪ 雪彦、雪彦、私、良い子だったと思うのです。私にも私だけのサンタさん来てくれますかね?」
「そうだね、それじゃ――良い子だった紗雪にも、ご褒美……ちゅっ☆」
 雪彦と紗雪は足を止めると、口付けをかわした。
 やがて唇が離れると雪彦は紗雪へと笑いかけた。
「メリークリスマス♪」


 澄んだ歌声が会場内に響いている。
 桜花が定番のクリスマスソングから、懐かしのクリスマスナンバー等までを熱唱していた。その様、まさに歌姫。
「そういえば茜、はい、これ。クリスマスプレゼント」
 美声をBGMに談笑していたナナシは包装された小箱を茜へと差し出した。
「開けても良いですか?」
 黒髪娘が嬉しそうに小箱を受け取る。
 どうぞ、と許可を出すと茜は包装を解いて中身を取り出してみせた。
 出て来たのは――水晶で出来た兎の置物だった。
 会場の光を浴びてキラキラと輝いている。
「わぁ可愛い! とっても奇麗ですねっ」
「クリスタルラビットっていうの。幸運を呼ぶらしいわ」
 ナナシは解説した。
「最近、茜もついてない気がするから。来年は茜にも良い事がありますようにって」
 すると、ピタッと黒髪娘が止まった。
「……茜?」
 訝しんで見つめると、茜の黒瞳に大粒の涙がみるみる盛り上がりぶわっと溢れ出た。
「ど。どうしたの?!」
「……有難うございますッ! 大切にします! ナナちゃん愛してるッ!! 素敵っ!」
 がばりとナナシに抱きついてきた。
「ちょっと、貴方も飲み過ぎなの?!」
「私はシラフです!」
 茜がナナシをぎゅうと抱きしめて頬ずりしながら言う。
「強いて言うならナナちゃんという美酒に酔ってます! 私は今、幸せです! 市役所にいきましょう!!」
「市役所って茜って偶に壊れるわよねっ?! 静岡の時も暴走してたし! パーティになると壊れる持病でもあるのっ?!」
 わたわたとナナシ。
『警報、警報、警報』
 わんわんわんとパトランプを回転させて警備ツリー――もとい、Robinがやってきた。
『まさか、会長相手に、出動するとは、思わなかったよ』
 ていっとRobinは茜の背中にスタンガンを押し当てて放電する。
 バチッという音と共に茜の動きが一瞬止まり、ナナシはハグから抜け出す。
「は、私は一体……」
「正気に戻ってくれて良かったわ」
 襟元を直しつつやれやれとナナシは嘆息したのだった。


 ちなみに茜からも「メリークリスマス! あとお誕生日おめでとうございます!」とナナシにプレゼントが贈られた。
 中身は十二月の誕生石――タンザナイトだった。
 細微な装飾がなされた白金のリングに台座がつくられ、青い光を湛える宝石が嵌めこまれて、煌いていた。


 桜花の歌がフィニッシュした後、狩野峰雪は壇上、薄暗い幕の裏で待機していた。
「ビンゴ大会とかがあると楽しいかもしれないね」
 と源九郎に経費を申請したのは良いものの「受理しますので、司会やってください」と壇上に上がるハメになってしまったのである。
「……続きまして」
 幕の表の壇上の脇、再び司会に復帰した染井桜花がマイクを手にしている。
「……狩野峰雪さんプレゼンツ……ビンゴゲームです」
 鈴の音を転がしたかのような桜花の声が響き終えると共に幕がさっと横に広がり、派手に陽気なBGMがかかってゆく。
「やあ、皆メリークリスマス、お世話になってるね、狩野峰雪です」
 にこやかな笑みを浮かべつつ峰雪はマイク片手にゲーム開始前の盛り上げの為のトークを開始した。
 結唯はケーキを食べつつ、配られたカードへと視線を落とした。それぞれランダムに配置された数字に穴をあけてゆき、縦横斜め何処か一列穴が空いたらビンゴなようだ。
 学園生達は雑談や飲食しつつ配られたカードを手に壇上を見上げる。
「えーまず賞品の説明をしようか。一等は遊園地のペアチケットだね。本当の、もとい、次のクリスマスまでに恋人できるといいね。
 二等は図書カード、先日の進級試験に落第した子は勉強をしよう。
 三等は食堂の食券、育ち盛りだものね。
 四等は入浴剤、寒いので風邪をひかないように。
 五等は生徒会メンバーのブロマイド――じゃなくて僕の? ええっ? やってくれたね大塔寺くん。ちょっと手違いが発生してるけど、とりあえず始めましょうか、まず一つ目――」
 BGMが切り替わり、忙しない曲調のものに変化する、豪華絢爛な巨大ビンゴマシーンの取っ手をトナカイ源九郎が回すと、巨大な球状網がグルグルと周り、中に入っている無数のボールもまた跳ねながらグルグルと回る。
 曲が最高潮を迎えると網に穴がぱかりと空いて、デデンというSEと共にレーンの上にボールが一つ転がり落ちてきた。
 ミニスカサンタな黒髪娘――神楽坂茜がボールを拾い上げると、両手で頭上に高々とあげて前に進み出た。
「えー、最初は7だね。ラッキーセブン、これは運が良いという事になるのか。7といえば思い出すのはうちの娘が七つの時――」
 峰雪が数字を読み上げつつ、適当な事をその場のノリでのたまってゆく。数字が出る度に会場がざわついてゆく。
 そんな調子が繰り返されてゆき、
「現在の数字を確認しましょう。7、36、72、55、99、87、以上六つが空いてるね。もう既にリーチになった人はいるかな? もうリーチになったよ、という人は前に出てきてね〜――」
 数字が増えリーチ者が増え、次々に賞品があてられてゆく。五等のブロマイドはルビィ、四等の入浴剤は雪彦、三等の食堂食券は笹緒、二等の図書カードはナナシの手にそれぞれ渡った。
 そして次のビンゴこそが本命の一等である。さらに数字が出され、会場のボルテージが最高潮に達した時、
「ビンゴです!」
 カード片手に若杉英斗が名乗り出た。
「おめでとう一等だね! ……ペアチケットなんだけども」
 壇上にあがった英斗へと峰雪がマイクを向けると、
「彼女か友達誘って一緒に行ってきます!」
 と英斗は会場のノリに合わせて若者らしくマイクに勢い良く答えた。
 彼女(脳内)か、彼女(実在)が出来て微笑んでくれるかは未来だけが知っている。
「有難う、有効活用されて何よりだよ」
 そんな峰雪の声と共に、トナカイ姿のシェリーからチケットが英斗へと贈呈され、会場から拍手が沸きあがったのだった。


(どうしてこうなったのかしら)
 陽波飛鳥は己の身を見下ろしてそんな思いを抱いていた。
 ミニスカサンタである。
 ミニスカサンタである。
 話の流れから鴉鳥も茜と同じ格好をする事になったのだが、マフラー付きミニスカサンタとなった鴉鳥が「ええい、自棄だ!」とファティナと静流にも着せると言い始めて、最終的に飛鳥まで巻き込まれた形だった。
「はい、それじゃ動きをおさらいしますねー」
 そして何故かシェリーと茜らと共に壇上にあがりパフォーマンスする事になっていた。
「こう、音楽が始まったらですね、ワン、ツー、スリー、フォー! ファイブ、シックス、セブン、エイッ! で中央へ集まって――」
 茜が身振り手振りで踊りを実演して見せながら動きを一同に説明してゆく、総勢八名を巻き込んだ突発的ダンスである。
「こ、こんな即興で上手くいくんでしょうか?」
 シェリーが不安そうに茜に問いかける。
「大丈夫、女は度胸です。皆さん撃退士で運動神経良いですから、問題ないですよ♪」
 あはっと茜が笑顔を見せて言った。
「……一応、覚えられたかな。いけそうかい?」
「なんとか。でもこの格好で人前で踊るのか……」
「晴れ舞台ですねー、くっ、撮る側に回りたい……」
「撮るのは小田切さんあたりに頼めば良いんじゃないかしら」
「まさか私が踊る事になるなんて思ってなかったわ。そっち、大丈夫?」
「ふふ、これくらい余裕よォ」
 一同そんな事を言い合って動作を確認している。
(皆、とても綺麗ね)
 目の保養になるわ、とそんな事を思う飛鳥である。
 やがて本番が始まった。
 幕が上がった時、壇上には六人のサンタ娘達と一人の吸血伯爵、一人のトナカイが前四人、後ろ四人でポーズを決めて並んで立っていた。
 BGMが鳴ると同時、一斉に八人は身を捻り、大きく弧を描きながら右腕を左から右へと払うように背後へと振るい、伸ばし、次の瞬間、反動をつけて逆側に身を捻りながら腕を切り返して振るい左胸に当てる。
 膝を曲げて身を沈めると左手を腰に当ててウインクして見せ、次の刹那、中央へと集まり身長順に一列を作って、リズムに合わせて、片足を残して、黒百合が左へ、ナナシが右へ、茜が左へ、鴉鳥が右へ、飛鳥が左へ、ファティナが右へ、静流左へ、と交互に身を傾けてゆく。
 中央が開き、最奥から姿を現したシェリーがポーズを取って叫んだ。
「メリークリスマス!」
 シェリーが言うと壇上の娘達は一斉に手にしていた袋から個包装されたキャンディ等を取り出すと会場へと向かってバラ撒いた。
 菓子が雨のように会場へと広がってゆく。
 うち一つが放物線を描いてアヴニール(jb8821)の方へと飛んできて、リアン(jb8788)がさりげなく前に出て手を伸ばし、宙で菓子を掴み取った。
「なんじゃ?」
「これは飴玉ですね、お嬢」
「折角じゃ、一つ貰えるかの」
「かしこまりました」
 一礼するリアンから飴玉を受け取ったアヴニールは口の中に飴玉を放り込む。
「……甘いのう」
 舌の上で飴玉を転がしつつぼんやりとステージ上からサンタと吸血鬼とトナカイ達が降り注がせる菓子の雨を眺める。アブニールにとってそれは非日常的な光景だった。
「……のう、リアン」
 ふと、問いかける。
「お父様とお母様と最後まで一緒だったのかの?」
 青髪の執事はその問いに目を伏せる事を以って答えた。
 肯定。
 それは肯定の仕草だった。
「……我も、せめて最後まで一緒に居たかった…………もう会えぬと言うのは……不思議な事じゃな…………」
 しばしの沈黙の後、
「もう御目に掛かれない……けれど。きっと。御主人様方は風となり星となり……そして光となり。お嬢を見守ってらっしゃいましょう」
 青年は視線を合わせなかった。
 彼は、許せていなかった。
 御前にいながら、主人達を、そしてその令嬢であるアヴニールを護る事が出来なかった――己を。
「そうか……」
 アヴニールは表情を歪めた。
 遠くからパーティの喧騒が響いている。
「……リアン」
 ブロンドの童女は傍らの青年を見上げた。
「然しの、リアン。我はリアンとだけでも、もう一度会えて嬉しいのじゃ……本当に、本当に、じゃ」
 赤い瞳が涙を湛えて揺れている。
「もう、誰かと離れるのは嫌じゃ……」
 その声にはっとしたリアンが視線を向けるとアヴニールは言った。
「我自身も、リアンも、これからは我が護るのじゃ。もう、誰とも離れ離れにならない様に、の……」
「このような私めにもう一度……有難き御言葉を」
 リアンは半ば呆然としたように言って、膝をついた。
「お嬢。私めも貴方様だけは御守致します」
 童女へと目線を合わせるようにしてリアンは言う。
「貴女様だけは……何が在っても。永遠に。御側で」
 クリスマスキャロルが遠くで響いていた。
 パーティが、終わる。


 静流は夜風にあたっていた。
 前回ハグした時に口ごもっていたのは嫌がっていたとかそういう事ではなく、
『静流さんてほんと格好良いですね! 宝ヅ○っぽい!』
 とかあのシーンで言うと雰囲気ブチ壊しクラッシャーだった気がして黙っていただけらしい。
 解ってしまえば、物凄くあれである。
 他方、
(クリスマスも仕事なんて……何か力になれると良いのだけど)
 飛鳥は透次と共にパーティの後片付けを手伝いながらそう思っていた。
「茜」
 仁刀が言った。
「クリスマスは仕事らしいが、忙しいなら遠慮なく声をかけろ。手伝うから」
「いやぁ、それは不味いでしょう。その日は独り者が頑張る日だと相場が決まってるんですよ、フフリ、リア充に仕事はあげません! 家や街でいちゃこらして経済効果に貢献したり少子化日本の未来を救っているが良い!」
「あのなぁ」
 そんな事を言い合いつつ後片付けが終わり、茜達が生徒会室に戻った時、部屋の扉の前に、

『メリークリスマス お体を大切に』

 と記されたクリスマスカードと花束と胃薬が籠に入れられて置かれていた。
「まあ、花束!」
 茜が喜んでいる。
「誰からやろ?」
「サンタクロースって奴さ。メガラーとしては解るね、きっと彼は眼鏡をかけている」
「……メガラー?」
「うん、メガラー」
「ふふ、これからも頑張っていきませんとね!」

 かくて夜が明け仮想の聖夜は終わり、撃退士達はまた現実の日常へと帰ってゆく。

(――茜ちゃんといつかは戦えるかしらねェ)

 去り行く際に黒百合は一度、執行部棟の方を振り返った。
 黒百合はサリエルの件は蟠りは残っているものの自己解決済みだったが、刃を交える事を楽しみにしていた。
 他の誰でも断るだろうが、黒百合になら、こういうイベントで終わった後になど、やっても支障がなさそうな時に一手、と言えば立ち合ってくれそうではある。
 気が向いたら仕掛けてみるのも良いかもしれない。
 吸血鬼は黒いマントをばさりと翻すと、冬の夜道の闇に溶けるように消えて行ったのだった。


 了


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:15人

未来へ・
陽波 透次(ja0280)

卒業 男 鬼道忍軍
Mr.Goombah・
狩野 峰雪(ja0345)

大学部7年5組 男 インフィルトレイター
撃退士・
天風 静流(ja0373)

卒業 女 阿修羅
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
Silver fairy・
ファティナ・V・アイゼンブルク(ja0454)

卒業 女 ダアト
パンダヶ原学園長・
下妻笹緒(ja0544)

卒業 男 ダアト
戦場ジャーナリスト・
小田切ルビィ(ja0841)

卒業 男 ルインズブレイド
撃退士・
久遠 仁刀(ja2464)

卒業 男 ルインズブレイド
金焔刀士・
陽波 飛鳥(ja3599)

卒業 女 阿修羅
撃退士・
鳳 静矢(ja3856)

卒業 男 ルインズブレイド
ブレイブハート・
若杉 英斗(ja4230)

大学部4年4組 男 ディバインナイト
花々に勝る華やかさ・
染井 桜花(ja4386)

大学部4年6組 女 ルインズブレイド
君との消えない思い出を・
駿河 紗雪(ja7147)

卒業 女 アストラルヴァンガード
斬天の剣士・
鬼無里 鴉鳥(ja7179)

大学部2年4組 女 ルインズブレイド
鉄壁の守護者達・
黒井 明斗(jb0525)

高等部3年1組 男 アストラルヴァンガード
黒焔の牙爪・
天羽 伊都(jb2199)

大学部1年128組 男 ルインズブレイド
籠の扉のその先へ・
Robin redbreast(jb2203)

大学部1年3組 女 ナイトウォーカー
誓いを胸に・
ナナシ(jb3008)

卒業 女 鬼道忍軍
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
君との消えない思い出を・
藤井 雪彦(jb4731)

卒業 男 陰陽師
天使を堕とす救いの魔・
谷崎結唯(jb5786)

大学部8年275組 女 インフィルトレイター
烈火の拳を振るう・
川内 日菜子(jb7813)

大学部2年2組 女 阿修羅
明けの六芒星・
リアン(jb8788)

大学部7年36組 男 アカシックレコーダー:タイプB
家族と共に在る命・
アヴニール(jb8821)

中等部3年9組 女 インフィルトレイター
もふもふコレクター・
シェリー・アルマス(jc1667)

大学部1年197組 女 アストラルヴァンガード