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マスター:水音 流
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:21人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2017/01/10


みんなの思い出



オープニング

 12月24日の朝。
 局長が出勤してくると、斡旋所のロビーで謎の儀式が執り行なわれていた。

 クリスマスツリーの飾りに使う金のモールで床に五芒星を描き、星の頂点にそれぞれ苺のホールケーキを設置。
 中央に生贄の七面鳥(丸焼き)を捧げ、陣の隣に狩人の象徴――獲物を捕まえておく為の――として小次郎を配置しつつ、夏の大三角(アステリズム)の方角に向けてクラッカーを鳴らs

「何をしとるんだお前は」
「おや局長。おはようございます」

 紐を引く寸前で声を掛けられたオペ子は、いつも通りの眠たげな半目で振り向いた。

「オペ子は今サンタクロースを召喚しているのです」
「七面鳥が既に“生”贄じゃなくなっているぞ」

 こんがり丸焼き(小次郎があぐあぐ

「あと、冬に夏の大三角とはどういう事だ」
「サンタが南半球に居るかもしれないので」

 時差の補正。
 ちなみに日本でも冬の昼間に夏の大三角は見える。らしい。

「こんな儀式どこで覚えた」
「リーゼさんが教えてくれました」
「そもそも召喚してどうするつもりだ」
「プレゼントを貰うのです。局長も預金通帳を生贄にすればイケメンのサンタが結婚してくれるかもしれないです」
「そんな現金な男はいらん」

 アホな事やってないでさっさとパーティーの準備しろ、と屋内の飾りつけを始める局長。
 昼からは毎年恒例のクリスマスパーティー。サボっている暇はないのだ。

 対してオペ子は七面鳥を齧っている小次郎を眺めながら、鳴らし損ねていたクラッカーの紐をクイッ(パーン!

 直後、


 ドカーン!!


 なんと天井をぶち破って三田(堕天した天使)が落ちてきた。
 しかし不満そうなオペ子。

「サンタ違いです」
「何の話だ」
「なになに? クリスマスパーティーするの?」

 そこへ、天井の穴を通ってセト――三田の嫁(はぐれ悪魔)――と愛犬(人狼ディアボロ)も登場。

「せっかくなのでセトさん達も遊んでいくとよいです」

 そして準備を手伝っていくとよいです。
 崩れた天井を直させつつ、オペ子は小次郎と一緒に七面鳥を頬張りながら、のんびりとパーティーの飾りつけを始めた――



 その頃、ヘヴホラ勢。

「戸締りよし、っと」

 ドアの鍵をチェックして、同僚達と共に歩き出すエリス。
 いつもの黒いゴスロリ服ではなく、赤と白のクリスマス仕様でおめかし。足元ではトナカイの角を付けたうさぬいが、白い袋を乗せたミニソリを引いている。
 袋の中身はお店のキッチンスタッフ達に作り方を習って自作した、こんがりふっくらとしたうさぬいパン。チョコレートで目と口が描いてある。

 一方でリーゼも、サンタ服にサンタ帽を被って、犬や猫、熊、ペンギン、ワニ、タコなどの動物クッキーが詰まった白袋を担いでいた。
 この後、炊き出しにもスタッフとして参加する予定である。

 ほどよく積もった真新しい雪をグッグッと踏みしめながら、ヘヴホラメンバーはパーティー会場である斡旋所へと向かった――




リプレイ本文

 真っ白な雪景色の中に、黒い点が1つ。ゼロ=シュバイツァー(jb7501)だ。
 その手にはなんとプラスチック爆薬が!

「発破しないと…!(使命感」

 爆薬に信管ぶっすぅ刺して起爆スイッチをぽちり――

「…と思ったけど、なんや身内でワイワイって感じやし遠慮するか」

 カラスのキグルミに着替えて2頭身に縮みつつ、カー!っと羽ばたいてお空の上へ。
 やって来たのは水音ハウス。

「みーずーねー! あーそーぼー!(召喚の呪文」

 玄関の扉に爆薬貼ってスイッチぽちっとな(ちゅどーん!

\おいおい、あわてんぼうなパーティークラッカーだな/

 ぽよんぽよんと跳ねながら出てくる(水ω音)。
 たこ焼き神であるゼロは羽の下からたこ焼きと酒と、あとMの文字のお店でドライブスルーしてきたハンバーガーセットを取り出しつつ、

「今年の振り返りトークしようぜ!(ばっさばっさ」
「よかろう(ぽよんぽよん」

 カラスと水饅頭は連れ立ってハウスの中に入っていった。



 真っ白な雪景色の街中を、儚げに歩く佐藤 としお(ja2489)。
 その手には湯気の立つラーメンどんぶりが。

「寒い夜には温かいラーメンが良く似合うぜ……(歩き食いずぞぞー」

 そこは、ラーメンに愛された者達だけが幸せに暮らすと言う世界。

 ラーメン界。

 クリスマスとは、すなわち王の誕生日。
 各地から持ち寄られた最高の食材が一斉に首都に集められ、至高の1杯が作られて王に献上される日。
 その後皆でラーメンを食し、王の生誕を祝うのである。

「そんな世界に私も召喚されたひ……」

 ただの妄想だった模様。

 シャンパンの代わりにラーメンのスープを呷りながら、としおはまだ陽の高い街中をずぞぞーと渡り歩いた。



 自宅の台所に立つ深森 木葉(jb1711)。

「今年も斡旋所でパーティーですねぇ〜。あれ? 去年のパーティーも1年生だったよう……」

 ほう。そこに気がつくとは、やはり幼女。

「まっ、いっか〜。きっと気のせいなのです〜」

\永遠のょぅι゛ょ……あると思います!/
 (極めて限られた範囲の)世間の声。

 それはさておき、

「今年のお土産は何を持って行こうかなぁ〜。去年は三色団子だったし…。う〜ん…」

 三色…。
 赤、白、緑…。
 あっ、菱餅にしましょ……

「…ひしもち?(きょと〜ん)。ひなまつりになっちゃう……」

 でも作って持っていく。

「冬祭も雛祭もお祭りの文字がついてるから、きっと大丈夫なのです〜」

 とてとてぱたぱた準備を進めて、菱餅完成。数が多いので重箱に詰めて風呂敷で包む。
 クリスマスをイメージして雪柄の着物に赤の道行を重ね、柊の簪でおめかししたらいざお出かけ。

 玄関を開けると、雪景色。
 吐いた息が風景と同じ色になって溶けていった。



「……こんにちは、ですよぉ……」

 パーティー料理と猫用のおやつを持った月乃宮 恋音(jb1221)が、とある住処を訪れる。
 すると大次郎が顔を出し、いつものようにその頭にフェルミも乗っていた。

「おー、恋音。クリスマスパーティーの件かー? オペ子からお知らせが来てたなー」
「……はい、よろしければ、御一緒に如何でしょうかぁ……?」

 大次郎におやつをあげつつ、荷物の中からサンタガールの服を取り出す。
 自分用とフェルミ用。それと、

「……大次郎さんの分も、あるのですよぉ……」

 何重にも折りたたんであった巨大サンタ帽をふぁさぁ広げて、大次郎の頭に装着。
 上に乗っていたフェルミが、帽子の縁からひょこりと顔を出す。

「よかったな大次郎ー。私もあったかだぞー」
「(猫鼻ぴすぴす)」

 恋音も頭に乗せてもらってもふもふ。

「……それでは、着替えて出発すると致しましょう……」
「帽子の中なら外から見えないから着替えも安心だなー」

 巨大サンタ帽の中に引っ込んで見えなくなる恋音とフェルミ。
 お着替えごそごそ。

※DVD/BD版ではカメラアングルが追加されて中の様子が見えますん。



 手の平を立てて気さくな感じで斡旋所の入口をくぐる、歌音 テンペスト(jb5186)。

「オッス! オラ、悟(この発言は蔵倫により削除されました」

 登場して2行で検閲。
 それにもめげず、歌音はオペ子の行なった三田召喚儀式を見物しながら、サ●ヤ人キャラを押し通す。

「成程…こうすればサンタが召喚できるんだな。おめえ、すげーな! オラ、わくわくしてきたぞ!」

 すると別方向からも、感嘆の声が。

「サンタを召喚! その発想はなかった!」

 雪室 チルル(ja0220)。

「あたいがやれば成功間違いなしね!」

 さいきょーのサンタを召喚するのだ。

「オラもいっちょやってみっか!」

 先に歌音が、見様見真似で儀式を始める。

 五芒星の上に、某食品メーカーのCMを思い出させそうなホールコーンを7つ。
 夏の三角木(検閲検閲ぅ!)や、生贄代わりの三面鏡も配置。
 そして最後に、あらぬ方向に歌音砲(段ボール)を乱射しながら、

「いでよ! 神●!」

 すると、なんとまだ真昼間であるに関わらず斡旋所の上空が暗くなり、五芒星の中心から緑色の龍が現れたではないか!
 天高く伸び…ようとした龍は、天井に阻まれてロビーにみっちり詰まりつつ、∞の形にうねりながら歌音を見下ろす。

\さあ、願いを言え/

 コノ光景ドコカデ見タナー。

 対して歌音は、

「クリスマスプレゼントに、ザンダ●ロスをおくれ!」

 土木作業用ロボット、ザ●ダクロスをねだる。
 おいそれ違う出版社。

\よかろう/

 でも叶えてくれる。
 唐突に床に水面鏡のような水溜りが浮かび上がり、中からニョキッと出てくる巨大ロボ。
 でもあまりに大きかったので、パーツ毎に分割してちょっとずつ出――

 ちゅどーん!

 突如、謎の爆発。
 どうやら蔵倫の検閲フィルターを通り抜けられず圧壊したようだ。

 ●龍もろとも吹き飛び、爆心地にいた歌音も黒焦げに。
 歌音は虫の息で横たわりながら、

「今度生まれ変わったら…天然のようなロボットに…(ぱたっ」

 お正月は
 ド●ゴンボールもいいけど
 鉄人●団もね

「次はあたいの番よ!」

 しんうちとーじょーってやつね!

 ここに儀式を執り行なう。
 コーラと長靴とプレゼント箱(空っぽ)と白い袋、更にはトナカイのぬいぐるみやソリの模型といった、いかにもサンタが使ってそうなアイテム一式を生贄に捧げるチルル。
 陣の前に仁王立ちして、

「ジングルベル!(召喚の呪文」

 なお何が呼ばれるかは知らない模様――



 少し巻き戻って、ヘヴホラ勢。

 サンタガールな格好でお店の皆にプレゼントを渡す、樒 和紗(jb6970)。
 プレゼントは手編みのコースター(草木染)。
 更にエリスには、防寒着のセットも。

 そしてリーゼには、雪の結晶が3つあしらわれたブレスレットを。

「ありがとう(ぺこり)」
「はい……ですが、その、できれば返礼は、俺の20歳の誕生日にカクテルを作る…という形で貰いたいなと、思う…のですが……」

 我ながら図々しくないかな、ともじもじ。
 だがそんな心配は必要なく、

「約束する(こくり」

 快諾。
 そして返礼とは別に、リーゼからも和紗へクリスマスプレゼント。
 スノードーム。かまくらや雪だるまが置かれた雪景色の中で、和紗によく似た犬耳尻尾なデフォルメ幼女が一番星を抱えながら空を見上げている。

「力作だ」
「綺麗です。ありがとうございます」

 すると、それまで2人の様子を歯軋りしながら見ていた砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)が、

「渡し終わったし、もう割り込んでもいいよね!?」

 ぐいーっと間に体をねじ込みながらクリスマスプレゼントを渡す。
 和紗に画材、エリスに進級祝いも兼ねたダルマ、お店の皆には花束を。
 そしてリーゼには、

「ほらこれあげるから使えばいいと思うよ!」

 可愛らしいフリフリエプロンをぐいぐい押しつけ。
 それと、『竜胆と呼べる券(権)』もべしぃ投擲。

「別に特別って訳じゃないんだからね…!」

 ツンデレか。

「…なので竜胆でいいよ、リーゼ」

 ちゃんではなく、呼び捨て。認めた証。
 ツンデレか。

 リーゼはこくりと頷き、

「ありがとう、竜胆」

 そしてお返しのプレゼント。
 特殊な防弾・防刃繊維が編みこまれた靴下。普段着としても違和感の無いオシャレかつ軽量な履き心地。下肢を狙った不意の襲撃に備えたいアナタへ。

「わー、弁慶も喜びそう(しろめ」

 一方、一緒にプレゼントを貰っていた皆も笑顔で礼を言いつつ、しかしその中で、お嬢命コス(正装)のディザイア・シーカー(jb5989)は、

「…のんびりとはいかないんだろうな」

 苦笑しつつ、エリスとうさぬいに向き直ってプレゼント。
 エリスには真珠のネックレスと真っ赤なマフラー。うさぬいにはミニマフラー。

「ありがとう! でもなんか、また高級そうなの貰っちゃったわね…」
「誕生石らしい、俺だと思って大事にしてくれ(儚い笑顔」

 他にも、リーゼにはトリミングセット、キャシー達には美容の大敵である足の冷え対策に靴下を進呈。

「セットは無理だったが他は手作りだぞ」
「「ぃやぁ〜ん! ディっちゃんも、あ・り・が・たぁ〜!(雪崩のような声」」

 リーゼもぺこりと受け取り、

「ありがとう。早速今日から使わせてもらう」

 誰にかな?(

 その流れで、エリスやリーゼからも他の皆へのプレゼントが渡される。

「えっと、私からはねー…(ごそごそ」

 ディザイアとトナカイコスの白くまー(中身はRehni Nam(ja5283)だがその正体は誰も知らない!)には、専用料理包丁のセット。
 柄の部分に、小さくうさぬいマークが掘られている。

「ありがとうお嬢!」
\がおーん!/

 高々とプレゼントを天に掲げるディザイア&トナくまー。

 和紗には、写真を収める為のアルバム。
 それを渡しつつエリスは、以前に和紗から譲り受けたデジカメを取り出し、自撮り風に腕を伸ばして皆と一緒にパシャリ。
 撮れた画像を確認。自分はほとんど右下に見切れてしまっているが、皆(うさぬい含む)はしっかり画面内に収められており、これはこれでかわいい画が撮れていた。

「あとで印刷するわね!(にぱー」

 そしてジェンティアンには、うさぬいの頭型スリッパ。
 ぬーんとした様相で、足先をもっふり包んでくれる。

 華宵(jc2265)には雪柳の扇子。

「あら私にも? ふふ、ありがとう」

 続いてリーゼから、華宵には湯呑み茶碗を。

 ディザイアには、ジェンティアンにあげた靴下と同じ材質の防刃Tシャツ…にしようと思ったが、トナくまーの鋭いベアクローには耐えられなさそうだったので、切り傷刺し傷によく効く特製塗り薬にしてみた。植物(シエりじを)由来でお肌に優しい。

 トナくまーには、特殊漂白剤の詰め合わせ。こびり付いた返り血も一滴で根こそぎ漂白。
 植物(シエりじを)由来で毛皮にも優しい。

\がう/

 ぺっこり受け取るトナくまー。
 直後、ディザイア目掛けてベアクローしゃきーん!

 ザッ!

「フッ。やはり、か…(とさぁ」

 ディザる。
 そしてトナくまーはエリスとうさぬいをソリに乗せて引き、パーティー会場へと向――

 その時、突如足下に謎の魔方陣が浮かび上がり、ソリごと光に包まれるトナくまー&エリス(+うさぬい)!

\がお!?/
「ふお!?」

 そのまま光と共にパッと消える。

 気がつくと斡旋所に居た。

「さすがあたいね! 何か出てきたわ!」

 どうやらチルルに召喚された模様。

「プレゼントちょーだい!」
\がおー/
「えっと、じゃあこれ…」

 担いでいた白袋から、シュトレンやブッシュドノエル、七面鳥等々の食べ物を取り出すトナくまー。
 エリスもうさぬいパンを差し出す。

「栄養はさいきょーへの第一歩ってことね!」

 納得してガツガツむしゃむしゃ。

 そこへ新たなパーティー参加者が到着。

「ホーリーナイト(流暢)に拙者惨状デース☆」

 アメリカが生んだ奇跡のおバカ、マイケル=アンジェルズ(jb2200)。
 使用済みの召喚陣を発見。

「What's?」

 首を傾げるマイケルに、チルルが頑張って英語で説明。

「です、いず、あ、ぱーてーおぶさーもん!(これは鮭のお祭りです)」

 それをロペ子が翻訳して、こっそりフリップに書き起こす。

『This is a party of “summon”.』
「OH! エキセントリックな祭りデース! ジャパニーズ流石デース!」
「通じたわ! あたいもいよいよ海外でびゅーね!」

 はしゃぐチルルと、盛り上がるマイケル。
 拙者も早速レッツトライ☆

「サンタクロース(流暢)を召喚するナーラー、トナカイになればプレゼンツを運ぶ為にメイビーやってくるデース☆」

 パーリーグッズをごそごそ漁る。

「今宵の拙者は赤い鼻のルドルフデース☆」

 茶色の全身タイツを着込み、光る赤い玉を鼻にすちゃっと装着。
 だがツノは無い。

「トナカイの雄の角はこの時期もう落ちてるデース」

 こいつ、おバカのくせにリアルな知識を…!
 そしてマイケルが「ヘイカマン!」と叫びながら指を鳴らすと、輝く召喚陣が床に浮かび上がり――

 サンタコスのリーゼと和紗が現れた!

 見事サンタの召喚に成功したマイケルは、電飾で飾りつけたソリを自らの腰に括り付け、

「今宵は拙者とエレクトリカルHoly Night☆」

 神の翼(股間にアヒルさん)ばさぁ!
 和紗が矢をぐさぁ!

「(おでこに矢ぶっすー)OH! 拙者のあまりにパーフェクツなルドルフコスチュームに、リアルなトナカイと間違えられてしまったようデース☆ バット、トナカイハンティングはノンノン☆」
「変態が居ます。誰か通報を(弓キリキリ)」

 ピカピカ光りながら低空飛行で翔け回るルドルフと、それを射るサンタガール。
 よい子はマネするなよ!(どっちを



 その頃、歩道で行き倒れて、1人雪に積もられていたディザイア。
 いつの間にか皆に置いていかれた模様。

 そこに、としおが通り掛かった。

「やや!? 大丈夫ですか!」

 あったか〜いラーメンスープを飲ませる。
 すると……

「おのれトナくまー…!」

 ディザイア復活。
 こうしてはいられない。お嬢を取り戻すのだ。

 としおと一緒にラーメンのおかわりを啜りながら、ディザイアはだばだばと斡旋所へ向かった。



 斡旋所に到着した木葉。
 中に入ると、歌音が黒こげアフロになっていたり、トナカイが狩られてたり。

「賑やかですねぇ〜」

 ほっこり眺めつつ、持参した菱餅をオペ子の所へ。

「みなさんで、食べてくださいねぇ〜」
「ありがとうございます。オペ子が責任を持って預かります(もぐもぐ」

 大丈夫ちゃんと皆にも配るから。

 そんなこんなで一息ついて会場を見渡していた木葉は、トナくまーと一緒に食べ物を配り歩いていたエリスを発見。
 腕をブンブン振って挨拶。

「エリスちゃ〜ん。めりーくりすますですぅ〜」
「あ、木葉! メリクリー!」

 互いに駆け寄る。

「プレゼントですよぉ〜」

 そう言って木葉が手渡したのは、トナカイのぬいぐるみ(但し、名状しがたい手作りもの)。
 それをエリスは、しかし心底嬉しげに抱きかかえる。

「ありがとー!」

 木葉が一所懸命に作ってくれたプレゼントが嬉しくないはずがないのだ。
 それに、この仄かに邪神オーラが漂いそうな造形には、えも言われぬ可愛さを感じる。

「あ、そうそう。私からも木葉にプレゼントあるんだー」

 うさぬいの頭を模した防寒用の耳あて。裏生地には見た目では分からない程度の小さな穴が無数に空いており、後ろから近づいてくる自転車や車の音にも気づき易い構造であると同時に、高い通気性で蒸れ難い。勿論、もふもふな肌触りで保温性も抜群だ!

「あったかほわほわですねぇ〜。エリスちゃん、ありがとうなのですぅ〜」

 その後、木葉はエリスとトナくまーを手伝って、一緒に皆へお菓子を配り歩いた。



 斉凛(ja6571)と春都(jb2291)が会場入り。
 更にその後ろを、黒田 紫音(jb0864)…によく似た不思議生物うしゃぎが、サンタ服姿でぴょこぴょこ付いて来る。

 オペ子が菱餅をお裾分けしながら斯々然々。

「まあ。変わったクリスマスですの」
「凛さん私達もやりましょう!」

 頷いた2人は、瞬間、己が神格を解放。
 紅茶神と付喪神。チームゴッド。

 紅茶神のオーラを吹き上げた凛は、神ぱぅわーで自らのミニ分身・凛ぱっぱを生成。
 対する春都はティーカップに8610個のお砂糖を奉納して、付喪神ハルトを召喚。
 が、特に用事は無い。

「りんぴゃっぴゃっ! はりゅと! はりゅと!(きゃっきゃっ」

 しかしうしゃぎは大喜びだ。

 ハルトのティーカップ(本体)に収まろうと頭をぎゅうぎゅうねじ込むうしゃぎ。
 でもうしゃぎの方が大きくて入らない。ので、代わりに凛ぱっぱとハルトをカップに入れて、頭に乗せる方向に落ち着いた模様。

 一方で凛と春都は、不思議生物達が戯れている後ろで召喚の儀式を開始。

「春ちゃんは、呼び出したいモノの希望とかあるのかしら?」
「そうですね〜…」

 問われて考える。
 サンタ(本物)に会ってみたいなぁ…。

「そうだ! サンタさん召喚しましょう! ソリを強奪してオーロラ見に行くのですっ」

 すると凛はニタァと黒い笑みで、

「サンタさんは良い子の所に来てくれるの」

 巨大靴下ばばーん!

「り、凛さん? その靴下は一体…ああっ、ナニヲスルデスカー!?」

 靴下に春都詰め詰め。良い子と書いてイケニエと読む。
 鬼か。

 しかし義姉の良心を信じて疑わない春都は、詰められた靴下からひょこりと頭を出してわくわく待機。

 靴下(春都)をツリーにぶら下げた凛は、会場中の鳥肉を回収。
 素手で鳥肉を引きちぎりながら、呪文を唱えて回る。

「エロイムエッサイム エロイムエッサイム」

 これぜったい悪魔とか呼び出すやつ。

「…凛さーん、お腹空いたのですー」

 そう訴えてくる春都の口めがけ、凛がチキンを投擲。
 お口でキャッチもぐもぐ。
 うしゃぎも、おやつのニンジンを投擲。
 お口でキャッチぽりぽり。

 更に春都は、見学しに近くを通り掛かったチルルにも食べ物を要求。

「お腹空いたですー(お口ぴよぴよ」
「かるしうむを摂るといいわよ!」

 食べ終わって残ったチキンの骨を投擲。
 お口でキャッチがじがじ。

 そしてその直後、春都のぶら下がっていたツリーがカッ!と光り――

 しんだ魚のような目をしてヨダレを垂らしているトナカイが現れた。

「召喚成功ですの」

 せやろか。

 凛は、虚空を見上げながら微動だにしないトナカイへと近づきなでなで。

「至高のチーズケーキレシピとその材料をくださいですの」

 学園に来てから究極のチーズケーキを追い求め続けていた。
 さらなる高みを目指すのだ。

 すると、ゆっくり首を動かして凛の耳元に顔を寄せるトナカイ。
 耳打ちもそもそ。

「なるほどですの…!(ぴこーん!」

 何かを得たらしい凛。満足気に頷きながら、靴下から春都をずるぅり引っ張り出してソリに乗せてあげる。
 手綱を結んでトナカイなでなで。

「生贄はお持ち帰りくださいですわ。春ちゃん、いってらっしゃい」
「凛さんありがとうございます! いってきます!(とびっきりの笑顔でオーロラ見にれっつごー」

 これぜったい帰ってこれなくなるやつ。
 虚ろなトナカイはのそのそと歩き出し、徐々に高度を上げて空の彼方へ。

 笑顔で手を振り見送る凛。
 うしゃぎも、お空の星になった春都を見送った後は、頭にハルト&凛ぱっぱ入りのカップを乗せたまま会場をうろつきに「うしゃー!」と駆けていった。



 ジェンティアンや華宵らが斡旋所に着くと、先に炊き出しを始めていたリーゼと和紗の所で猛者が荒ぶっていた。

「兄様、大盛りで!」

 蓮城 真緋呂(jb6120)。料理を待つ間、皆に酢昆布Xmax ver.を配布。

 それに保護者?の米田 一機(jb7387)も随伴。
 数年前からの真緋呂の逮捕歴()とかは、一機も耳にしている。今日はそのお礼参り?のお手伝い。

 やがて出来上がった料理を、華宵が配膳。

「お待たせ。真緋呂ちゃんには、義兄さんからのクリスマスプレゼントみたいよ」

 ご飯が乗っているその器には、大きな筆文字で『うな重』と書かれていた。
 大盛り茶碗とお箸のセット。精神を集中させると、おかず無しのご飯だけでもうなぎのタレの味と香りが楽しめる一品。但しその域に達するには、それなりの実力が必要。

 真緋呂ならきっと使いこなせる。by 義兄

「ありがとう兄様! いただきます!(気合」

 でも今日はちゃんとおかずもあるからね。
 一機と一緒にもりもりもぐもぐ。

 すると一機が遠目に何かを発見。

「真緋呂。あれってもしかして例の…」
「あっ、三田さん…!」

 真緋呂も気づく。

「一機君、お願い!(もぐもぐ」
「合点承知」

 立ち上がり、屋内に居る三田&セトに接触。
 よおよお、と近づき、

「旦那、ちょっといいっですかぃ? うちの連れが話があるっていうんだぁ。ちぃとつらぁ貸してくれヤァ(よい子の為の字幕:すいません、どうも連れがお話したい事があるので良ければお時間を頂戴できないでしょうか)」

 くいっと親指で示した先から、真緋呂が大盛りご飯で頬をぱんぱんにしながら歩いてくる。
 さあ、A5霜降回収の時間だ。

 真緋呂はオペ子が使った魔法陣の上に三田を立たせ、

「三田さんをベット――」

 生贄。
 別名、人質。

「A5ランク霜降和牛を召喚――!」

 要求。
 別名、脅迫。

「――したいのだけど、セトさん」

 でもちゃんと奥さんには断りを入れておかないとね。ヒトとしてね。
 対してセトは、

「そんな! せっかくの彼との初クリスマスなのに…!」

 がるるる!と真緋呂達を威嚇。

「分かったわ。ここはクリパらしくゲームで勝負よ!」

 真緋呂は天に手を翳し、

「出でよツ●スター!」

 カッ!

 …
 ……
 ………(10分経過

 空気を読んで取りに行っていた一機が走って戻ってくる。

「持ってきた…!(ぜぇぜぇ」
「さぁ勝負よ! 私達が勝ったら三田さんにはA5霜降の生贄になってもらうわ!」

 負けたら次回まで我慢します。
 あれ? これ三田側にメリットなくね?



 1人隅っこで会場の様子を眺めていた鬼塚 刀夜(jc2355)。
 目に付くのは、初対面のヒト達ばかり。

「フッ、僕には刀があるからボッチでも全然寂しくないさ(遠い目」

 召喚がどうのと聞いたので、前に拾った怪しげな魔道書…

「…ネ、ネ、ネクラロリコン?」

 …という本を持ってきたものの、どうやら趣旨が違うようだ。
 でも折角なので、隅っこで試してみる。

 念じながら、モザイク必須で冒涜的なナニカを召喚。
 大丈夫、呪文なら本に書いてある(読めないけど

 たぶんそれっぽい詠唱をしながら願いを告げる。

「一生分の飴が欲しい…」

 でも本当はSランクの刀が欲しい(ガチ
 ダメ? うーん…ならネタ称号が欲しいな(メタ
 最高に痛カッコいい中二病的なのとか。

「その為ならどんな無茶振りにでも答えるよ!」

 アドリブになんか負けないんだから///
 でもえっちなのはいけないと思います!

 一方、そんな邪神召喚の儀式を遠巻きに見ていた雫(ja1894)。

「化学で無理なら魔術で如何にかするしか…」

 自らも黒魔術に手を出す。
 床に魔方陣を描き、今まで手に入れて効果が無かった豊胸剤を生贄に乳神様を召喚する。いつぞや飲んだ秘宝で因子が改善されたとかいう話もあったが、自然成長など待ってはいられないのだ。

 全ては胸を大きくしてもらう為に。

「今夜は世話になっているレフニーにおっぱいをプレゼントしてやるよ」

 そこへ現れたラファル A ユーティライネン(jb4620)。
 メカ撃退士なラファルはしかして、人からの恩義には敏感である。妖怪化するほど胸が無い事に悩んでいると言うレフニーに対しておっぱいをプレゼントしてやろうと言う、まことにおせっかいな親切心で儀式を企画。

「おっぱいが目的なら一緒にやろーぜ」
「お願いします」

 その名も『おっぱい召喚』。
 ふと、会場をうろちょろしているトナくまーの姿がラファルの目に止まる。

「おまえ生贄な」
\がお!?/

 分身奥義で取り囲んで拉致拘束。
 だが、

「あばばば…!」
「たすけてぇ〜!」
「さいきょーのあたいにケンカ売るなんて、いーどきょーじゃない!(じたばた」

 トナくまーと一緒にいたエリスと木葉とチルルまで縛り上げてしまっていた。

「まーいいや。一緒にぶち込むぜー」
「(私の)胸を大きくする為です。我慢してください」

 迷わず4人を陣に放り込むラファルと雫。
 巨大な乳を得ようとしているのだ、生贄は多いに越した事はない。

 雫が詠唱を開始。

「いあ! いあ! ちちかみ! ちちかみ くふあやくぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ あい! あい! ちちかみ!」

 寸前、会場に到着してその光景を目撃するディザイアととしお。

「お嬢!?」
「やぁ、これは大変!」

 だが時既に遅し、陣へと消える生贄達。
 直後、どかーん!と現界する乳神様。

「……お、おぉ……?」
「おー、なんかワープしたなー」

 悪魔と共に巨大な黒猫に乗ってご降臨。
 雫がじーっと見上げながら、

「…月乃宮さんですよね? こんな所で何をしているんですか?」
「……い、いえ、私にも、その、何が何やら……?(ふるふる」

 その時、異変が起きた。
 召喚が終わって効力が消えたはずの陣から、再び黒い光が溢れ始める。

 儀式の完成に必要なのは、大きく分けて『術者』と『生贄』と『召喚対象』の3つ。
 ここで言う術者とは、大抵の場合『願いを叶えてもらいたい本人』である。この場合は雫とレフニーの2人。
 だが今ここには雫しか居ない。

 おっぱいが召喚され、場に『レフニー』が存在しない為、デッキから『妖怪・乳置いてけ』が特殊召喚!!

\乳置いてけよぉぉぉ!!(包丁ぶんぶこ/

「…………お、おぉぉ…………?(ふるふるふるふる」
「なんかやべーのが出てきたな」

 さっと避難するラファル。
 トナくまーを生贄に乳神を召喚してレフニーにおっぱいをプレゼントしてやろうと言うスーパーナイスな企画。それがこんなひどい事になるなんて誰も想像しなかったわけで。

「これは危ないなー。逃げるぞ大次郎ー」

 フェルミの指示で、恋音も乗せたまま大次郎が猫ダッシュ。
 追う妖怪。

 その乱闘騒ぎを他所に、エリスを呼び戻そうと試みるディザイア。
 未だぼんやり光っている魔方陣で召喚儀式。
 俺の想い(想い手紙)と歴史(黒歴史ノート)と願い(学業成就のお守り)とお嬢の成長(牛乳)と可愛さ(うさみみカチューシャ&フリフリエプロン)をアイテムに込めて陣に叩き込む!

「お嬢は返してもらう!」

 一緒にのんびり過ごすのだ、写真も逃せん。
 そこへ、もふもふな援軍が登場。

「うしゃ!」

 凛ぱっぱとハルトを乗せたうしゃぎ。木葉が作った菱餅の欠片を陣にぽいちょ。
 ハルトと凛ぱっぱも、落ちていたチキンの骨をぽいちょ。

 そしてディザイアがパンッと合わせた両掌を陣に押し当てると、光の中からひゅぽんっとエリス、木葉、チルルの3人が戻ってきた。
 …あれ? トナくまーは?

「ふぅ、危ない所だったなお嬢!(良い笑顔」

 トナくまーなんていなかった。いいね?



 どったんばったんしている会場の中で、一際精神を集中させる召喚者が居た。

「出ませい……出ませい……!」

 一年の総決算ッ……!
 チーズ教の全力をココにッ……!

 チーズ教徒、シエル・ウェスト(jb6351)。

 シエりじをで囲った魔法陣に貢物(チーズonチーズ)を捧げ、ボンゴを叩きながらシエりじをと合唱。

「あ゛ー!」
\ま゛ー!/

 目指せチーズ神召喚。
 ちょこちょこ貢物を貪りつつ。
 無くなり次第また注文。そして貪る(以降ループ

 しかし一向に現れる気配のないチーズ神。

\崇めよ/
\崇めよ/
\崇めよ/

 シエりじをのお告げ。
 深刻な教徒不足。

「増やさないと(使命感」

 ボンゴを叩きながら会場をうろつき、手当たり次第にチーズを配って回るシエル。
 チルルが食べていたケーキにチーズonチーズをぶちまけたり、チーズでフォンデュしたシエりじをうしゃぎに食べさせたり、凛ぱっぱとハルトが入っているカップに溶かしたチーズを注いだり。

 体験加入で付いてきた一同と共に、再召喚に挑む。
 うしゃぎもぽこぽこ大量分裂。
 大合唱。

「我らに恵みをッ……恵みをッ……!!」

 直後、陣からボコボコと沸騰したチーズが涌き出てくる。
 中央部分が徐々に盛り上がり、そして遂にチーズ神がその姿を見せた!

 全身がチーズでドロッドロになった辛うじて人と思われるナニカ。
 何処と無くイケメンオーラが出ている(シエル視点

「チーズぶるぁぁ!!」

 瞬間、狂ったように飛びついて、チーズ神の表面のチーズをヘラでこそぎ落とすシエル。むしゃむしゃ。
 うめえ!

「あ、もう帰ってどうぞー」

 チーズを剥がした中身に用は無い。
 シエルは、湯船に入れた猫のように痩せ細った“チーズ神だったモノ”を、再び召喚陣の中にねじ込んだ。



 炊き出しの手伝いの合間に、自分も召喚儀式で遊んで見る事にした華宵。

「儀式と言えばこれよね」

 藁人形と五寸釘ばばぁん!
 生贄として、道端で拾った誰かの髪の毛をぐいっとねじ込み、その辺の木にカコーン。

「誰が召喚されるかしら」

 召したけど喚んでない可能性。
 かくして、謎ワープで現れたのは、

 藁人形にセットされた金色の髪の持ち主、ラファル。

「尊い犠牲をありがとう…(ほろり」
「なんだイキナリ」
「…さて、お願いは(けろり」

 ラファルの疑問符をぶっちぎってお願いを考える華宵。

「そうねえ…皆の笑顔が見たいわ。だから、どっかーんと笑えるネタを披露してくれないかしら?(にこにこ」
「無茶振りってレベルじゃねー」

 そんなプレ用意してねー。

「芸人の頂点取れるくらいのネタを期待するわ(ハードル上げ」

 E-1グランプリ。
 だがそこはエンターテイナーラファルさん。日頃目にした面白おかしいネタを提供してくれるに違いない。

「仕方ねーなー。実はこの前、ヒn…」

 だがしかし!

「あ、そうそうキャシーちゃん。この前話してた春物(服)の事だけど――」

 自分から振ったにも関わらず、オカマさん達と来春のファッショントレンドについてお喋りを始めた華宵。
 なんというフリーダム。

「上等だおらー!」

 ラファルさんおこ。
 あらあらうふふと逃げる華宵を、フィンガランチャーでズドドドド!と追いかける。

 そんな騒ぎを傍目に、和紗も召喚儀式に興味を示す。

「オペ子はリーゼに教えて貰ったのですよね?」

 自分にもkwsk。
 頷いたリーゼは、例として新しい召喚陣を作ってみせる。

 基本はオペ子に教えたものと同じ。
 しかし生贄は『七面鳥の丸焼き』から『ほかほかご飯』に変更。そして狩人の象徴として使用するのは『ほねっこクッキー』。目印に使う星は『こいぬ座』。そして最後に、クラッカーではなく犬笛をぷひゅー。

 が、陣は輝きを帯びて確かに起動しているのに、何も現れず。

 後1つ足りないもの:PLさんの許可(
 仕方がないので、光ったままの陣はとりあえず放って置く事にして……

 まずは横で見ていたジェンティアンが実践。
 死のソースで早上召喚。

 成功。
 底辺キャラ()は呼ぶのも容易いらしい。

「何の用だ」
「クリぼっち(決めつけ)は可哀想だから呼んであげたんだよ」

 いいから遊んで行けよ!
 というか史実でもペンギンに格付けされろ!

「そうか。では私も召喚させてもらおう」

 ジェンティアンを陣の上に立たせる早上。
 瞬間、光の中から大量のペンギンが現れた!

 ペンギン達はジェンティアンと早上を交互に見比べた後……
 ジェンティアンの下肢を嘴ズガガガ!

 早上>ジェンティアン

 だがしかし!
 特殊繊維靴下による防御!

 だがだがしかし!!
 徐に組体操を始めるペンギン達。仲間の上によじ登り、更にその上によじ登り。
 トーテムポールように積み重なり、やがてジェンティアンの背と同じ高さまで上がってきて……

 嘴でおでこをどっすぅ!!

「(魂ふわ〜)」
「ふん、愚かな」

 勝ち誇る早上。
 よくやったなと労いながら、タワーペンギンを撫でようと――

 ぺっ
 掌にツバ吐かれ。

 ×:早上>ジェンティアン
 ○:早上≧ジェンティアン

 そのままペンギン達は、ゆらゆらぺたぺたと会場のご飯を漁りにいった。

「次は俺の番ですね」

 邪魔なので動かなくなったはとこと早上を斡旋所のロビーにぽいちょする和紗。
 斡旋所の建物を囲むように、教わった魔法陣を黙々描く。範囲が広いのでリーゼもお手伝い。

 生贄:建物内全員――



 ツイ●ター勝負中のこちらのグループ。三田&セトvs一機&真緋呂。
 なんかもうすっごい体勢にねじれてた。

 何が何でも負けられない(負けたくない)真緋呂。

「今回こそ…食べる…っ!」

 全てはA5霜降の為に!

 そしてとうとう三田の肘がゴキッとおかしな方向に。
 べしゃり。三田、あうとー。

 瞬間、光に消える三田。
 代わりに現れるA5霜降。

 真緋呂が「とったどー!」と歓喜の声で肉を掲げる。
 そこへ、

\動くな警察だ!/

 (マイケルの件で)通報を受けた警官隊が到着。
 「旦那がとられたー」としくしくしているセトの横で肉を掲げる真緋呂を発見。

\またお前か!/
「ひどい! 冤罪よ!」

 せやろか。

「待ってくださいこれには訳が!」

 一機が割って入り、警官と押し合いにな…りかけたまさにその時!


 カッ!!


 和紗の大魔術によって、建物ごと生贄にされて何処かへと飛ばされた一同。
 外に出てみると、穏やかな風に乗ったスープの香りがふわりと鼻腔をくすぐり、鍋の煮立つ音が小鳥のさえずりの様に耳に歌う。
 いったいここはどこなんだ……。

「こ、ここはまさか…!」

 気づいたのはとしお。
 そう、ここはラーメン界。
 ラーメンに愛された者達だけが幸せに暮らすと言う世界。

 どうやらラーメン王であるとしおの願いに反応して、引き寄せられたらしい。

「皆さん、もう争わなくて良いんですよ!」

 感涙のとしお。
 争う必要はない。ここは皆が平和に暮らせるラーメンの楽園。

 …の、はずだった。

\乳置いてけ!/

 楽園に来て尚、乳狩りの呪縛から解放されない妖怪・乳置いてけ。

\もげ!/
\もげ!/

 そしていつの間にか、雫とエリスまでもが妖怪化していた。

「…………お、おぉぉ…………。…………ま、まずは、その、落ち着いていただきたいのですよぉ…………(ふるふるふるふる」

 持ってきた料理の中から、ある物を取り出す恋音。
 飲むと巨人化する牛乳『BIG MILK』を解析し、有効性の高そうな成分を混ぜて調整した特製豆乳。クリスマスプレゼントにと用意しておいたそれを、そっと差し出し――

 超反応する妖怪達。
 更には、巨大化してさいきょーを極めたいチルルも。

「「チチー!」」
「ずるい! あたいも飲むわ!」

 だが、次の瞬間、雫が他のメンツを出し抜こうとした事で、みにくい奪い合いに発展。

「「もげ!?」」
「もげげ!」
「さてはひとりじめする気ね!」
\もげー!/

 もうチルル以外わけわかんねえなこれ。

 そこへ、自力で組み立てたザ●ダクロスに乗って歌音が颯爽と現れ、

「争いはやめて! パンツは皆で仲良く被ればいいじゃない…!」

 いやらしい奪い合いに変換。

 他方で、食べてばかりで喉が渇いていたうしゃぎも、豆乳へまっしぐら。
 パックに齧りついて、開いた穴からちゅーちゅー吸引。

 ずどーん!と全身が巨大化するうしゃぎ。
 手乗りサイズからゴ●ラサイズへ。元のBIG MILKよりも巨大化率が上がっていた。
 それでも乳だけを大きくするのは無理だった模様。

 大怪獣うしゃぎを見て、マイケルも目をキラキラ。

「こんな光景、ジャパニーズムービーのハリウッドリメイクでも見たデース☆」

 巨大化したうしゃぎに対抗して、ぺたーずを差し置いて豆乳ぐびぐび。ハリウッドサイズに。

「スターダスト・ファントム・ザ・ムービーデース☆」

 そんな学園生達の破壊的な抗争を目の当たりにした警官隊は、

\逮捕しないと!(マジの使命感/

 一同をまとめて逮捕s(ちゅどーん
 消し飛ぶ国家権力。

 真緋呂が叫ぶ。

「ラッキー…じゃなかった、よくもお巡りさん達を! ゆるせない!」

 一機と一緒にうおおお!と戦火に飛び込む。
 戦火でお肉を焼くのだ!



 その頃、お空の上では。

「…振り返るようなネタあったっけ?」

 首を捻るカラス。

「加加阿祭の時に局長の名前が判明したりしたのぜ」

 答える(水ω音)。
 以上、振り返り終了(

 しょうがない、とゼロが立ち上がる。

「野球でもするか」
「ちょっと何言ってるかわかんない」
「え? 宴会って言ったら野球でしょ? どうしたの頭大丈夫?」
「見た目的にはゼロぽんの方が鳥頭なのに(ぎりぃ」

 するとゼロの懐からひょこっと顔を出すミニうしゃぎ。

「やきゅっ!」

 いつの間にか1匹くっついていたらしい。
 うしゃぎをやさしく投げてキャッチボールしながら、まったりトーク。

 時折、ゼロが下界(ラーメン界)にたこ焼きを降らせる。
 たこ焼きメテオでアルマゲドン。
 阿鼻叫喚。

「ま、色々とお世話になりましたよ。来年でもう出会えないかもしれないしね…」

 いっつも色々遊んでくれてありがとう。あと風呂も(夢で)貸してくれてありがとう。

「もっといっぱい遊びたかった…元気でな」
「おいばかやめろ泣いちゃうだろ」
「んじゃ今年の笑いジメに一つ面白い話をどうぞ!!」
「その前に哀しいお知らせがあるんだゼロぽん」
「ん?」
「このリプレイ読んでる頃にはとっくに新年なんだぜ」

 メタの方の年末に間に合わなくてごめんね。

「そうか……じゃあ俺らの年末特番も次の12月に持ち越しやな」
「来年も再来年もそのまた翌年も、ずっと遊ぼうぜ」

 エリュシオンは終わっても、久遠ヶ原は終わらないはず。

「「繋いだ絆は永遠だから!(イイハナシダナー」」

 なお下界は現在、地獄絵図の模様。



 しんだ魚のようなトナカイに連れられ、オーロラを旅行を堪能した春都。
 そろそろ帰るとしよう。

「トナカイさん、ありがとうございました。そろそろ戻ってもらえます?」
\……/
「あ、あれ?」

 応答なし。
 トナカイは虚ろな目でひたすら同じ場所をぐるぐると飛び続けている。

「どうしよう帰れない…!」

 春都ぴんち――



 1人ロビーの隅っこで、一向に何も出てくる気配のない自分の陣と睨めっこしていた刀夜。
 外では何やら戦いの音が聞こえている。

「バトル展開かー…それもありだね」

 生きているのなら、神様だって斬ってみせる(キリッ
 とその時、

 カッ!

 陣が作動。
 ネクラロリコン?に導かれて、しんだ魚のような目をしたトナカイ型の悪魔が、春都にチョークスリーパーされながら現れた!

「はっ! ここは斡旋所!?」

 よかった帰ってこれた(但しラーメン界
 トナカイの首を解放する春都。

 するとトナカイは、魚目でヨダレをだらーんしながら刀夜の方へ近づいてきて耳打ちもそもそ。

「何々? 字数が残り少ないから? 事態を収拾? ちぇー、プレゼントくれるんじゃないのかー」

 まあいいけどねー、と。
 刀を握って外へ出る刀夜。

 世界を創った神の理。
 すなわち神が世界の理。
 だがそれでも。生きているのなら、神様だって斬ってみせる。

 刀夜の視界に映る、神々の姿。紅茶神、乳神、チーズ神(のチーズを食べたシエル)、あとついでにラーメン王。
 一刀両断バッサァ!

\あばー!?/

 そしてトドメは、たこ焼き神の居る遥か天空へ向けて居合い一閃――



「なんやさっきから下が静かやな?(覗き込む」

 なんと、一閃された斬撃が雲を裂いて一直線に迫ってきていた。

「あかん! こんな時は慌てず騒がず水音神シールド!」
「うわなにをするー!」

 ゼロが(水ω音)をむんずと掴んで盾のように引き伸ばす。
 マスタリングを司るMSが、PCの斬撃如きに耐えられないはずがn

 スンッ

 まとめて真っ二つ。神はしんだ――






 ――その頃、斡旋所跡地。

 建物を贄にして、ルディの召喚に成功していた和紗。

「お礼の絵をそろそろ選んで欲しいのですが…」

 1年経ったので描き過ぎて困る。
 その数30枚。

「貴方への連絡は竜胆兄に頼まねばならず…癪なんですよ(逆ギレ」

 ジェンティアンの携帯→栄一→涼介の経由。
 ぶっちゃけメンドイ。

「…ちっ、じゃああれだ。なんかでっけぇ木の絵とかあったら、それd…」


 カッ!!


 ずどーん!!
 ぷちっ


 霊的な力と共に唐突に戻ってきた斡旋所の建物。

「おや? ルディ?(きょろきょろ」

 見当たらない。

「いってしまいましたか。せっかちですね」

 やれやれと小さく息を吐く。
 そしてリーゼと一緒に、和紗は還ってきた斡旋所へと入っていった。


●儀式の後はParty Night☆
 クリスマス料理を提供する恋音。

「……おかわりも、御座いますよぉ……」

 ちなみにラーメン界の消失と同時に刀傷も消えた模様。

 凛も早速、トナカイから教えてもらったレシピでチーズケーキを作成提供。
 決め手は、ミントの葉の代わりに添えたシエりじをの葉(久遠ヶ原原産)。
 チーズケーキの一つの到達点。

「チーズケーキの女王ですわ!」
\チーズうめぇ/
「うまうしゃ!」

 うしゃぎも大喜びである。



 正気に戻ったレフニーもパーティーを堪能。
 エリスを愛でたり、甲斐甲斐しく料理や飲み物を取ったり。

 一方、ディザイアも……

「お嬢!」
「ん?」
「俺と結婚を前提に付き合ってくれないか!」

\!!?/

 おお、とざわめく会場。

 もう時間はない、ここで勝負だ!
 今日の本当のプレゼントである寒椿の腕輪を渡すディザイア。

 ぷるぷるしながらそれを受け取ったエリスは、


 しかし!


「――ごめんやっぱりまだむりーーーーーー!」

 脱兎。
 特別な誰かとの恋とか、まだ整理がつかないお年頃。

 大丈夫
 機会は必ず
 用意する
       by (水ω音)

 それよりも今は背中に気をつけて…!

「ディザるといいのです」

 レフニーの刀がぶっすー。
 ぐわー。



 役目を終えて帰ろうとする魚目のトナカイ。
 しかし春都が呼び止める。

「木葉ちゃんにプレゼント配り忘れてましたよ?(真っ黒笑顔」

 しかしトナカイは、

\……/

 ぱたりと倒れてしんだフリ。
 でろーんとしたまま、ぶくぶくと召喚陣の中に還っていった。



 式葉兄弟に面会しに行くと言うジェンティアン。
 リーゼに差し入れ料理を詰めて貰いつつ、

「何か伝言とかある?」
「…いつでも待っている」
「竜胆兄、これも渡して貰えますか?」

 自作ミニツリーを託す和紗。

「ん。了解」

 2人に頷き、そしてケーキも持ってジェンティアンは式葉兄弟の所へ。

「久しぶり、元気してた? クリスマス楽しもっか(微笑」

 看守に断ってから、クラッカーも鳴らし。

「…とこんな伝言預かったんだけど…何か倒すプラン思いつかない?(真顔(」
「廊下で足を引っ掛けて」
「接着剤の上に」

 2度と立てなくする(真剣(






 ――真夜中。
 騒ぎ疲れてロビーで眠る一同の寝息を掻き分けて、そろりそろりと歩くとある影。

 サンタコスの白くまー。
 スキルのボディペイントを使い、エリスにゴスサンタのプレゼント。
 そしてよい子達に気づかれぬようそっと立ち去ろうとして……

 もう1人、起きている人影がある事に気がついた。

 赤白衣装に真っ白な髭を生やした恰幅の良い老人。
 白くまーに「しー」と目配せしながら、刀夜の枕元に立って何かを付与。

 神を斬った証、『神殺しの赫刀』の称号。
 ちなみにルビは“ワールドリセット”だ(異論は認める!

 そして最後に全員の枕元にプレゼント。
 みんな大好き、学園長のブロマイド。

\Ho-Ho-Ho!/

 トナカイが引くソリに乗り、シャンシャンと夜の空へ消えていく謎の老人。

\がう…/

 あれは一体何だったのか。
 もしかすると、ラーメン界とかも夢だったのでは…。

 ちょっぴり不思議な、聖夜の出来事。

 白くまーは空を見上げながら、遠くに聞こえる鈴の音に耳を澄ませていた。






























 気がつくと、何故か斡旋所ではなく警察署にいた真緋呂と一機とお巡りさん達。
 流れるように手錠カッシャン檻ガララ。

 やっぱり留置所クリスマス。

「でも今年は独りじゃないし…!」

 一機道連れ。

「うん…そうだね…」

 隅っこで体育座りする一機。
 何だかとっても喪失感。
 でも泣かない。
 男の子だもん。

 しかしせっかく手に入れたA5霜降りは、戦火の火力が強すぎて齧る間もなく消し炭になってしまった。

「食べてないからノーカンよね。また三田さんに貰いに行かないと」
「解った、じゃあ僕がお肉食べさせてあげるから」
「ホント!?」

 真緋呂テンション↑
 あ、でもゲーセン資金食い潰すのは悪いので控えめにしておこう。

 控えめ(本人比)。

 ダメだ、真緋呂をこのまま野に放ってはいけない。
 今年の一機のクリスマスは、そう痛感させられる1日だった。



                                    ――Happy Merry Xmas☆


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 歴戦の戦姫・不破 雫(ja1894)
 前を向いて、未来へ・Rehni Nam(ja5283)
 紅茶神・斉凛(ja6571)
 久遠ヶ原から愛をこめて・春都(jb2291)
 ペンギン帽子の・ラファル A ユーティライネン(jb4620)
 主食は脱ぎたての生パンツ・歌音 テンペスト(jb5186)
 久遠ヶ原から愛をこめて・シエル・ウェスト(jb6351)
重体: −
面白かった!:18人

伝説の撃退士・
雪室 チルル(ja0220)

大学部1年4組 女 ルインズブレイド
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
紅茶神・
斉凛(ja6571)

卒業 女 インフィルトレイター
ご注文はうしゃぎですか?・
黒田 紫音(jb0864)

大学部3年2組 女 陰陽師
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ねこのは・
深森 木葉(jb1711)

小等部1年1組 女 陰陽師
アメリカン☆ドリーム・
マイケル=アンジェルズ(jb2200)

大学部2年257組 男 ディバインナイト
久遠ヶ原から愛をこめて・
春都(jb2291)

卒業 女 陰陽師
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
主食は脱ぎたての生パンツ・
歌音 テンペスト(jb5186)

大学部3年1組 女 バハムートテイマー
護黒連翼・
ディザイア・シーカー(jb5989)

卒業 男 アカシックレコーダー:タイプA
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
久遠ヶ原から愛をこめて・
シエル・ウェスト(jb6351)

卒業 女 ナイトウォーカー
光至ル瑞獣・
和紗・S・ルフトハイト(jb6970)

大学部3年4組 女 インフィルトレイター
ついに本気出した・
砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)

卒業 男 アストラルヴァンガード
あなたへの絆・
米田 一機(jb7387)

大学部3年5組 男 アストラルヴァンガード
縛られない風へ・
ゼロ=シュバイツァー(jb7501)

卒業 男 阿修羅
来し方抱き、行く末見つめ・
華宵(jc2265)

大学部2年4組 男 鬼道忍軍
戦場の紅鬼・
鬼塚 刀夜(jc2355)

卒業 女 阿修羅