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マスター:水音 流
シナリオ形態:イベント
難易度:難しい
形態:
参加人数:18人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2016/11/14


みんなの思い出



オープニング

 早朝。須賀部邸、リョウコの私室。
 仕事着であるミニスカメイド服に着替えるべく、リョウコはパジャマのボタンをぷちぷちと外し――

 ドアばぁん!

「リョウコ、ハロウィンパーティーをやるぞ」
「ノックぐらいしやがれこのカボチャ野郎」

 突然部屋に乱入してきた須賀部 京埜の顔面に、リョウコの足裏がみしりとめり込む。

「で、ハロウィンが何だって?」
「子供達を招いて劇をやろうと思う」

 須賀部グループが経営している児童養護施設の子供達に、ハロウィンにちなんだ劇を見せてあげたい。
 そこで、斡旋所に協力してもらって撃退士…学園生達による演劇でも出来れば、と考えたのだ。

「今ミコトがその手続きに行っている」
「ふーん……。まあ良いんじゃねえの」
「そうか、では劇の脚本は任せたぞ」
「は?」
「ハロウィンだからな。お化けを主役にしたストーリーが良い」

 丁度、子供達もトリックオアトリートでお化けに仮装する予定だ。
 劇を通じて、元気や勇気を共感してもらいたい。

「書けるわけねーだろ。あたしを何だと思ってんだ」
「明日までに頼む」
「おい聞けよ」

 言うだけ言って、京埜はすたすたと部屋を出ていってしまった。



 翌日、斡旋所。
 飾りに使う大量のカボチャをくり抜いていたオペ子。中身はロペ子で煮込んでもぐもぐ。

 そこへリョウコがいつものミニスカメイド服姿でやって来た。
 脚本をしたためた原稿用紙をオペ子に差し出す。そこに書かれていたのは、

『良いお化けが悪いお化けをぶっ飛ばして世界を救う。』

 一行。

「わかりやすいです」
「後はほらアレだ、リレー小説?みたいな感じで、アドリブで何とかしろ」
「なるほろ」
「じゃ、よろしく」

 あたしもカボチャくり抜かねーといけねーんだよ、と戻っていくリョウコ。
 その背を見送りつつ、オペ子は彼女が作った一行の台本を依頼参加者達に送信した――




リプレイ本文

 劇の準備期間。
 ハロウィンというものについて考えてみる意識高い系JC、玉置 雪子(jb8344)。

「どいつもこいつもメディアに踊らされすぎなんですわ? お? ここは一発、雪子が目を覚まさせてやらないといけないンゴねぇ」

 フヒヒ、とぶつぶつ言いながら街道をうろうろ。
 そんな彼女に対し、“ラーメンの屋台を引いた男”が不意に声を掛けてきた。

「お嬢さん考え事かい? ラーメンでも食べながら座ってじっくり考えていきねえ!」
「おっ、そうだな」

 促されるまま屋台の椅子に着席。
 にんにくラーメンチャーシュー抜き、ずぞぞー。美味い!

『この辺にィ、美味いラーメン屋の屋台、来てるらしいっすよ』

 ネットで呟きつつ、スープを啜って「ハフハフコポォwww」と声を漏らしながら計画を練る雪子。
 一方、屋台の店主は背を向けて鍋を弄りながら、

「……」

 密かに雪子の様子を観察していた……



 フェルミ&大次郎のもとを訪れる月乃宮 恋音(jb1221)。

「恋音かー。どうしたー?」
「……はい、実は……」

 斯々然々。
 劇をやるので、大次郎に手伝って欲しい。

「……同様に、オペ子さんの所でも、小次郎さんをお借りする予定ですぅ……」
「なるほどなー。いいぞー」

 フェルミが頷くと、大次郎も鼻をぴすぴすさせながら快諾。
 するとそこへ、通りすがりのラーメン屋台が。

「何か相談事ですか? ラーメンでも食べながら如何ですか!」
「いい匂いだなー」
「……おぉ……。……それでは、1杯だけ……(ふるふる」

 ジューシーなチャーシュー麺。
 大次郎には鍋ごと提供。

 新しい鍋の仕込みをしながら、店主はこっそりと恋音達の話に聞き耳を立てていた……



 ヘヴホラ店内。メンバーらと共に劇の準備を進める砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)。
 ちなみに彼は悪いお化け担当で、役柄はミイラ男。包帯ぐるぐる。

「怪我しても安心でしょ(自虐的笑み」

 それを見て涙するエリス。

「ジェンティアン…(ほろり」

 一方、自虐的な男子はもう1人居た。

「やられ役なら慣れてる、任せて貰おう!」

 ディザイア・シーカー(jb5989)。
 エリスを誘い、吸血鬼な格好で悪いお化け側に参戦。

「ククク、今宵こそ俺のものになって貰うぜ(牙キラリ」

 意訳:一緒にお化け役やろうねせやね。
 エリスの顎をくいっと持ち上げようと手を伸ばs

 べしっ

 瞬間、手首をベアチョップされるディザイア。

\がお! がお!/

 ヘヴホラキッチン担当兼エリスちゃんを保護し隊筆頭の白くまー。
 しっしっと言わんばかりにディザイアをエリスから遠ざける。

「おのれ白くまー…!(手首ぷらーん」
(仲いいわね)

 などと考えながらエリスが見守っていると、

「ややっ、ケンカはダメですよ!? ラーメンでも食べて仲良く準備しましょう!」

 いつの間にかラーメン屋台が立っていた。店の中に。

「どうやって入ったのか…」

 でもせっかくだからいただく。
 ヘルシーな野菜ラーメン。

 もやしをマシマシにサービスしつつ、店主は一同の衣装をじーっとチェックしていた……


●劇本番
 お化けの仮装をした子供達も揃って席に着き、開幕のブザーが鳴る。

「チャラらーらら……♪」

 ブザー(チャルメラ)。
 ラーメン屋台を引いて、舞台袖からゆっくりと現れる佐藤 としお(ja2489)。この物語の語り部である。
 その正体は、善悪両方のお化けを監視して霊界のバランスを管理する調律者的お化け……という設定だ。

 そしてその屋台の椅子に座っている、もう1人の語り部――華宵(jc2265)。
 醤油ラーメンずぞぞー。

「柔らかくそれでいて張りのある麺と、出汁の効いたコク深いスープ。一見無秩序にも思える大盛りの具材だけど、厳選された材料を完璧なタイミングで盛り付ける事で、麺とスープの調和をより高い次元へと押し上げている……。計算し尽くしたプロの仕事ね」
「あざっす!」

 観客席に居る子供達の為に、(恐らくは)カオスに紡がれていくであろう物語を分かり易く丁寧に、且つ要点を纏めて面白おかしく解説。
 例えどれだけ話が逸れようとも、強引に大筋通りの流れに戻していく。

 そう、このラーメンのように!(ばばーん!(既に脱線

 言うだけ言って、そして食べるだけ食べて、屋台ごと舞台袖へと戻っていく語り部2人。
 一旦照明が消え、再び照らされた舞台中央に新しいお化けが姿を見せる。

「良い子のお化けの皆さん、最後までたくさん楽しんでいってくださいね」

 物質透過でセットをすり抜けて現れたのはユウ(jb5639)。飛行スキルを活用し、ふわりふわりと浮遊する事で、ワイヤー吊りでは成し得ない絶妙な幽霊感を醸し出していた。
 また、その動きに合わせて、スピーカーからエレキギターによる明るく軽やかな雰囲気のBGMが流れてくる。

 音楽:ローニア レグルス(jc1480)
 舞台端にスポットライトが向けられ、そこにギターを弾きながら透過と飛行スキルで現れる。真っ黒な服装にガスマスク姿の不審sy…もといお化け。アウルによる闇の霧も身に纏い、お化け感増量。

 ローニアとのタッグで見事なファンタジーを演出しながら、ユウが踊るように浮かb
 ごちんっ
 高度を上げすぎて、天井の照明につむじを強打。

「ドジッ子だー!」
「あのお化けドジッ子だー!」

 楽しげな笑い声を上げる子供達。

 その時、新たなお化けの声が響いた。

「ユウさん…聞こえますかユウさん」

 天井からスゥっと降りてくるアーシュ・カメリアリア(jc2425)。白い布で飾り付けたヒリュウのリリと一緒に登場。
 更に、後ろからライトを受けて後光を演出。ローニアによるBGMも、なんかそれっぽい荘厳な感じに移り変わる。

「各地で悪いお化け達が暴れています」

 元は同じお化けだったのに、いつの間にか悪に染められたお化けが人々を困らせている。

「心が痛む事ですわ…しかしこれ以上、放っておくこともできません。悪いお化け達を止める為に、良いお化けの仲間と共に旅立つのですユウさん(ぴかー!」

 良いお化けを送り出す天使的なサムシング。

「皆さんお気をつけて…。なるべく怪我はしないように…帰還までが遠足ですのよ…!(ハンカチ振り」
「わかりました…おやつは300久遠までですね!」

 別途バナナ。
 ユウは旅のしおり片手に、観客席の子供達へと笑顔で振り返る。

「良いお化け達が頑張れるように、皆さんも一緒に応援をお願いします」

 だがその時、

「ハロウィンそのものをぶち壊しにきますた」

 会場の扉をばぁん!して雪子乱入。
 客席の中を歩き回りながら子供達に…いや、社会に物申す。

「ハロウィンは元々は秋の収穫を祝って悪霊を追い出す為の行事ですしおすし」

 お前らは本当に秋の収穫を祝いたいのかと問いたい。
 問い詰めたい。
 小1時間問い詰めたい。
 お前ら、トリックオアトリートって言いたいだけちゃうんかと。

「無許可で渋谷の道路占拠しては騒ぐだけ騒いでゴミ散らしてく奴ら絶対忍者だろ・・」

 汚いなさすが忍者きたない。

「迷惑かけないよう使用許可とっては汚さないようルール設けてやってるヲタ連中は犯罪者予備軍だって喜々と叩くクセに、こっちはやけにポジティブに報道しますよね。何がDJポリスじゃあい!」

 罪の無い子供達に絡みながら、偏向的に情報化された現代の社会悪を説いて回るアウトサイダー雪子。
 いかん、このお化けは(情操教育的に)悪いお化けだ!

 (まじで)予想外の悪者の登場に、早くも劣勢に立たされる良いお化けユウ。
 ローニアのギターが荒々しい物に変わり、スピーカーからはヒーローショーのおねえさんっぽい…いや、オネェさんっぽい華宵のナレーションが。

『大変ー! みんなで良いお化けを応援してあげて。せぇのー』

\がんばれー!/

 するとその声援に呼応するかのように、ユウの足元へ舞台袖から1杯のラーメンどんぶりが床を滑って投げ入れられる。
 どんぶりの中には、ラーメンの代わりに1枚のカンペが。
 拾って文面を読み上げるユウ。

「こんな事もあろうかと」

 瞬間、その言葉を合図に、会場のあちこちから警察機動隊が飛び出してきた。
 ガチポリス。

「ファッ!?」

 雪子連行。

「雪のおねーちゃんつれてかれたー」
「なんでー?」

 あっという間の逮捕劇(ノンフィクション)に首を傾げる子供達。
 対して、としおが舞台袖からひょこっと顔を出し、

「……その辺りは、大人の事情だ。飲み込んでくれ!」

 だが事件はこれで終わりではなかった。

『「チーズ美味え!」』

 シエル・ウェスト(jb6351)乱入。
 悪いお化け役…なのだが、お前なんか意味わからない黄色いオーラ放ってんな?(チーズ色

 なんと、何時ぞやのチーズ霊(元チョコ霊)とソウルユニ●ンしていた。

 シエルマンエグゼ、チーズに向かって一直線。
 だが舞台の上にチーズが無いと分かると、今度は観客席に躍り出て子供達を襲い始めた。

 悪霊パゥワーで触れる物全てをチーズ狂いにしようとするシエル。

『「チーズ美味え!」』

\チーズ美味え!!(復唱/

 チーズの感染――チーズハザード!
 直に触られると割とよくうつる。

「チビ共に何しやがる」

 直後、保護者メイド(リョウコ)のケンカキックが炸裂。
 シエルは靴底で顔をドゴォ!されてどこかへと飛んでいった。

 珍入者が排除され、ユウは今度こそ悪いお化け退治の旅へと出発。
 舞台袖に下がり、照明が暗転。

「……どうやら、始まったようですねぇ……」

 すると舞台端にひっそりと、ミニスカ魔女の恋音が登場。
 魔女っ子帽子を被り、使い魔の黒猫(小次郎)を連れて背中にも小次郎リュックを背負ったその姿は、これでもかというほど魔女だった。

「……煽り甲斐があるのですよぉ……」

 良いお化けと悪いお化けの双方に色々と吹き込み、対立を促していく黒幕感。
 どうやら悪い魔女のようだ。

 一方、反対側の舞台端では、

「ふっ、今はせいぜい争うがいい。疲弊したところで両方とも片付けてやる」

 どこからともなく瞬間移動で現れたミハイル・エッカート(jb0544)。お供にフェンリルを従え、空間を歪ませる能力を持った謎のお化け。
 ちなみにイケメンという設定だ。

「おい、設定じゃなくて俺は元もイケメンだろ!」

 元もらしい。

 とにかく、両勢力の同士討ちと、あわよくばその乗っ取りを目論んでいるミハイル(イケメン)。
 ニヒルな笑みを浮かべ、ペイントスキルによる光迷彩でスゥッと姿を消す。

「……此方も、利用できそうですねぇ……」

 反対側に居た恋音も、悪そうな言葉を残して一旦退場した。
 第一幕終了。

 そのタイミングを見計らい、リョウコが席を立つ。

「チーズうつされたやつ、今の内に手ぇ洗いにいくぞー」

 風邪とチーズの予防は手洗いとうがいから。
 リョウコは子供達を連れて手洗い場へと歩いていった。


●第二幕
 ユウは旅先でお化けの集団を発見。
 赤い米田 一機(jb7387)、青チャイナドレスの樒 和紗(jb6970)、桃色ムキムキドレスのオカマさんキャシー、白ナースの蓮城 真緋呂(jb6120)、黒バーテン服のリーゼ。全員、猫耳と尻尾が生えていた。

 近づいて、声を掛けてみる。

「皆さんは、良いお化けですか?」

 瞬間、5人はきゅぴーんと振り返り、

「バケネコジャーレッド!(にゃん!」
「バケネコジャーブルー(真顔でにゃん」
「バケネコジャーピンクぅ〜!!(ムキッとにゃん」
「バケネコジャーホワイト!(にゃん) …ほら、兄様も“にゃん”って(小声」
「バケネコジャーブラック(仏頂面でにゃん」

「「ハロウィン戦隊バケネコジャー!」」

 にゃんこポーズどかーん!(発破の演出

 どうやらスーパーヒーローなお化け達のようだ。それに合わせてローニアも、ヒーローショー風にアレンジしたBGMをギターでギュイーン。
 きっと悪いお化け退治の心強い味方となってくれるに違いない。そう思い、ユウは早速5人に協力をお願いしてみる。

「是非、皆さんの力を貸してくだs」
「お兄さん、妹さんを僕にください!」

 突然、レッドがブラックにジャンピング土下座。

「間違えました! まずは妹さんとの交際をお許しください!」

 ここで解説のとしお店主と華宵オネェさんにスポットライトが点灯。

「よい子の皆! 実はレッドとホワイトは恋人同士で、ブラックはホワイトのお兄ちゃんという設定だ!(ラーメンずぞぞー」
「お化けの世界でも、相手の実家へ挨拶に行くのは大切よ(ラーメンずぞぞー」

 スポットライト消灯。

 床に額を連打するレッド。
 はらはらと見守るホワイト。
 対してブラックは、

「……」

 ブラックは……

「…………」

 いかん! 台詞を忘れている…!
 舞台脇のラーメン屋台から、サッと投げ込まれる台本。拾って読み読み……

「俺を倒せたら許す(こくり」
「分かりました! 全力で行きます!」

 レッドが立ち上がり、「うおおお!」と拳を振り上――

 バキューン!!

「ぐわー!?」

 ――上げる前にブラックの先制攻撃! しかも銃で!

 とさぁと倒れ伏すレッド。
 全力の勝負だからね仕方ないね。

 その頃ブルーはと言えば、少し離れた場所で正座して石臼をごりごりしながら傍観していた。

 手も足も出なかったレッドが、倒れたまま悔しさに歯噛みする。
 と、その時、

「力が欲しいか?」

 舞台袖から、謎のミイラ男ジェンティアンが登場。
 レッドに近づき、彼を闇の道へと唆す。

「力が欲しいか? 誰にも、あの兄にも負けない力を…」
「…欲しい! それでブラックに勝てるのなら!」

 それを聞いたミイラ男は、

「アンケートご協力ありがとうございました(事務口調」

 あげるとは言ってない。

\!?/

 まさに外道!

「だましたー!」
「わるいお化けだー!」

 これには子供達もプンプンである。
 するとレッドがゆらりと立ち上がり、

「これが大人のやり方かあああ!」

 キレた。
 ミイラ男とこの世の不条理(八つ当たり)への憎悪で悪に覚醒。瞬間、鮮やかだったレッドの色が、どす黒い暗色に。
 掛けていた質素な眼鏡をオシャレ眼鏡へと付け替え、自己暗示でパワーアップ。

 闇堕ち、ダークレッド!(どかーん!

「ふっ、計画通りだな(ニヤリ」

 汚いなさすがジェンティアンきたない。
 悪いお化けとなった恋人を見て、ホワイトもショックを受ける。

「そんな…っ!?」

 よよよ、と泣き崩れ。
 それを横目に、ミイラ男はそそくさと逃げ支度を始める。

「さてと…。後はダークレッドに任せて、僕は楽屋でテレビでも見r」
「させません」

 その時、遂にブルーが動いた!

「ペンギンのお散歩行列アタック!」

 特別出演:須賀部邸のペンギン達。
 グワッグワッと荒ぶる鳴き声を上げながらミイラ男を踏み倒し、舞台を横切る。かと思ったら、舞台端でUターンして再度ミイラ男を襲撃。嘴で容赦なく啄ばむ。

「イタイッ! 表面だけちみっと噛まれるのホント痛いっ!」
「竜胆兄なんて齧ったら虫歯になりますよ。後でちゃんと歯磨きしなければ」
「自分から嗾けといてヒドくない!? っていうかヒドくない!?」

 更にピンクも参戦。

「ジェンちゃんごめんねぇん。おいたした悪いお化けは〜…んめっ!(マッチョボイス」

 キャメルクラッチめきめきっ。
 口から魂ふわ〜するミイラ男。しかしそれを何とかごっくん飲み込みつつ、

「ちょ!? 何で僕ばっか…! 一機ちゃんにも攻撃してよ!?」

 ていうか同じ悪いお化け側なんだからちょっとくらい助けてよ!?
 それに対し一機…もといダークレッドは、

「……ぺっ」

 ダークレッドは悪いお化けである。他の誰か(特にジェンティアン)に手を貸したりはしないのだ!

「レッドのばかぁぁ!!(涙目」

 瞬間、ホワイトの猫パンチ(グー)がダークレッドの顔面にクリーンヒット。
 なんかすげえ音がして、舞台の壁や天井をピンボールのようにぶっ飛ぶダークレッド。勢みでオシャレ眼鏡が床に落ちる。

「Σご、ごめんね!(汗」

 我に帰ってダークレッドを抱き起こし、彼の頭をぎゅっと胸に抱く。
 ぽにゅんとした感触。

「この感触は……ホワイト?」

 直後、なんとダークレッドの色が再び鮮やかなレッドへと変わり、闇堕ちした意識が正気に戻っていく。この方法が既に正気の沙汰ではない気もするが。
 もしかしたら流血して色が上書きされてるだけかもしれない。

 ともあれ復活、バケネコジャーレッド!(らきすけー!(専用SE

「くそっ…愛の力か…っ!」

 ボコボコにされて地面に転がっていたミイラ男が、それを見て焦る。

「……僕も愛が欲しいな(めそめそ、のの字」

 いや、いじける。

 対して、ホワイトの怒り。

「全ての元凶はあの包帯男…(ごごご」

 元に戻ったレッドも加わり、ミイラ男を取り囲むバケネコジャー。

 皆で攻撃。
 殴る。
 蹴る。
 踏む。

 げしげしげしげしげしっ!

 複数で1人を囲んで蹴り回す。
 これ絶対子供に見せちゃいけない画だよ。

 最後はレッドがミイラ男の体を引き起こし、背後にまわってがっちりホールド。
 ブルーが合図。

「トドメです、揃えますよ!」
「分かった! 『南瓜ボンバー!』(白」「石臼ストラッシュ!(青」「ギブソンビーム(黒」「ヘヴホラ宜しくぅ!(桃」

 そして、

「これが俺の怒りだー!(赤」

 ジャーマンスープレックスずどーん!
 頭から床に刺さるミイラ男。

「全然揃ってない…し…(パタリ」

 直後、ミイラ男がどかーん!と爆散。

「あれ? 火薬なんて仕込んでたっけ…?」

 まあいいか。

「平和は今日も護られた」

 レッドがキレイに〆る。
 手を振りながら舞台袖へと退場するバケネコジャー。

 一方、それまでずっと端っこで見守っていたユウは、

「あの、皆さんの力を貸して…いえ、何でもありません」

 諦めて次の仲間を探しに向かった。

 暗転。



「ミイラ男がやられたか」

 瞬間移動で現れるミハイル。
 実は最後の爆発は、彼の仕業(演出)である。

「だがアイツは俺たち金髪男子の中でも一番の眼鏡。悪いお化けはまだまだいるんだぜ」

 星やハートの形をしたカラフルな花火をシュパッと散らせながら、透明化して再び退場。
 一方、その様子を恋音の使い魔である小次郎が、物陰からじーっと眺めていた。


●第三幕
 今は去る事、江戸中期の日本。優しいお父さんとお母さんと毎日幸せに暮らしている少女がいた。
 その日も、一日の仕事を終えて帰ってきたお父さんを、お母さんと一緒に出迎える少女。少女自身もほんのちょっぴりお手伝いしたお母さんの美味しいごはんを囲み、温かい団らんの一時……になるはずだった。

\きゃああぁぁぁぁ!(ガシャーン!!/(SE

 照明が赤く切り替わる。

 突然押し入ってきた強盗に深々と斬りつけられる父。
 娘を守ろうと、彼女を抱きかかえたまま背中をズタズタにされる母。
 そして強盗は最後に、息絶えた母に抱えられたままの少女へと近づき……

 ビシャッ

\きゃああぁぁぁぁ!(ガシャーン!!/(SE

 飛び散った夥しい量の血が、部屋に置かれていた日本人形を真っ赤に染める。
 惨殺された一家。

 それからしばらくして、町ではとある噂が囁かれるようになった。
 少女の血を浴びた人形が夜な夜なひとりでに歩き回るというのだ。まるであの時の強盗犯を探すかのように、伸びた髪の毛で悪い大人を縊り殺す呪いの人形。

「但し、このお化けは子供を傷つける事は出来ません」

 パッと白に戻ったスポットライトが、舞台中央でトマトケチャップ片手に立つユウを照らす。

 時は流れ、現代。
 いつしか噂話と共に事件の記録も忘れ去られ……

 コツッ、コツッ、と靴音を鳴らしながらユウが舞台端へと歩いていく。
 そこには、血濡れの痕もなく綺麗にケースに飾られた日本人形――演者:深森 木葉(jb1711)――が置かれていた。

「だから安心してくださいね」

 ケースに手を添え、客席の子供達へにこりと微笑むユウ。
 一方、綺麗だったはずの人形の衣装が、じわりと赤く染まり――

 暗転。
 トマトケチャップでは誤魔化しきれないホラー感。

 かくしてシーンは変わり、現れたのは吸血鬼な格好のディザイア。

「せっかくだから楽しまないとな、ちょいと派手に遊ぼうぜ?」

 そう言った彼の隣には、吸血鬼の眷属――ワンコのキグルミを着たエリス――の姿が。

「こういうのって普通、コウモリとかじゃないの?」
「もふもふが、もふもふが必要なのだ!」

 壁共がどう動くかわからんが、お嬢と遊べりゃそれでよい! お嬢と一緒に、世界中にカボチャの洗礼を浴びせるのだ!
 (たぶん)悪いお化け。

 ワンコエリスを高い高いしてキャッキャウフフと幸せそうな笑みを浮かべるディザイア。
 その様子を舞台袖から眺めていたアーシュは金髪碧眼のエリスを見て、生き別れた双子の兄を幻視。

(でもそんなはずないですわね。外見が違いますし…)

 そうだねまず性別だね。

 密かに残念がるアーシュを他所に、舞台では悪いお化け?のディザイア&エリスと良いお化けのユウが邂逅。
 悪いお化け2人に対し、良いお化けは1人。数的不利。

 ナレーションの華宵オネェさんが叫ぶ。

『大変、良いお化けがピンチよ! 皆、大きな声で助けを呼んであげて! せぇのー』

\たすけてー!/

 するとその声援に応えるかのように、斉凛(ja6571)登場。
 その姿は紅茶のお化け…ではなく、薔薇の頭飾りに棘の鞭を装備した、薔薇のお化け。

「紅茶押しばかりでは飽きられますわ」

 握りしめた鞭で床をばしーん!
 劣勢である良いお化け側に加勢。

「鶏口となるも牛後となるなかれ。解らない子は辞書を引いてね」

 MSも辞書を引きました。

「援軍か。さては俺からお嬢を奪うつもりだな…!」

 やらせはせんぞー!と宙に舞うディザイア。

「さぁ、このカボチャを食らうが良い!」

 カボチャを鷲掴み、ぽいぽいと投げつける。

 対する凛も舞台を飛び出し、劇場内を飛び回りながらカボチャを投げ返し、歌い、踊り、派手なパフォーマンスで客席を魅了。
 それは空に咲く華の如し。

 カボチャの攻防。一応ディザイアの眷属という事になっているエリスも、ディザイアの手元にカボチャ弾をせっせと運ぶ。
 このままでは埒があかないと考えた凛は、狙いをエリスへ。

「弱い相手から狙って敵の数を減らすのは戦いの基本ですの」

 棘鞭しゅぱぁ!してエリスを拘束。

「いたたた!? 痛いっ、これトゲ痛い…!」

 そのままブゥン!振り回して場外へぽいちょ。
 どさくさに紛れてユウもぽいちょ。

「お嬢(とユウ)が特殊なプレイの餌食に…!」

 SでM的な。

「SMプレイ? 薔薇が絡んだだけよ」

 同じ陣営もいた気もするけど無問題。

「獅子身中の虫。解らない子は辞書を(以下略」
「待ってろお嬢!」

 リングアウトしたエリスを追って急降下するディザイア。
 だがその時、

 しゅるるる…ぱしぃ!

 突然、ディザイアの全身に黒い髪の毛が絡みついた。
 視線を向けた先には、真っ赤に濡れた日本人形…木葉の姿。

「エリスちゃんを攫う大人……悪い大人……」
「むぅ…!」

 巻きついた髪が、ぎりぎりと首を締め上げてくる(※現在ディザイアさんは『髪芝居』による幻影を見ています
 劣勢に追い込まれるディザイア。
 更に、

「私は退魔士…この世に、良いお化けも悪いお化けもいない」

 言いながら現れたのは、Rehni Nam(ja5283)。

「強いて言うなら、死んだお化けだけが良いお化けなのです」

 おばけスレイヤー。
 お化け死すべし慈悲はない。

 というのは建前で、

「さあ喰らいなさい、祝福されし銀の弾丸を…!」

 ディザイアにエクレールばきゅーん!

「ぐわー!?」

 ばきゅーん!

「ぐわー!?」

 ばきゅばきゅーん!

「ぐわわー!?」

 執拗にディザイアだけを攻撃するレフニー。
 お化けではなく退魔士。良いとか悪いとかじゃなく退魔士。これなら例えディザイアがどちらの側のお化けだろうと、合法?的に始末できるのだ!
 強いて言うなら、エリスちゃんに手を出さないディザイアさんだけが良いディザイアさんなのです。

 ディザイアスレイヤー。
 ディザイア=サン死すべし慈悲はない。

 ちなみに今エリスは、そのディザイアの眷属という設定な訳だが……

「エリスちゃん? エリスちゃんがお化けだとしたら、こう……あれです」

 とりあえずディザイアさんをぶっ飛ばしてから考える!

「トドメです! 天使の名を持つ槍を喰らうが良いのです…!!」

 オキョウを読めー!と槍を振り翳して全力刺突!
 哀れディザイアは爆発四散した…かに思われたが!

 ギュイィィィン!!

 突如、大気を震わせるエレキギターの咆哮。
 それまでBGMの演奏に徹していたローニアが、Turbinoso G4を掻き鳴らしながら飛び出してきた。

「ただのミュージシャンとでも思ったか」

 ギュララララ、ジャジャーン!
 一際強くピックで弾いた後、ギターを逆さまにしてネックを鷲掴みに持つ。
 ギターは鈍器。バットのように振り回しながら、劣勢の悪いお化け側に加勢――

 すると思ったか! 残念だったな!

「良いも悪いも知った事か。俺の演奏(破壊音)を聞け」

 真の力を出す時が来たようだ…とガスマスクを脱ぎ捨てるローニア。

「これを外す事により俺は肩こりと頭痛が解消され速さが増す…」

 高速ブンブン。
 千本ノックばっちこい。

 まじフリーダム。

 すると、その一部始終を舞台袖から見ていたアーシュが、

「あれはまさかお兄様!?」

 生き別れた双子の。
 見守り役を忘れて舞台に飛び込み猛突進。
 そしてそんな彼女の様子と言葉から、事情を察する語り部のとしお。同じくナレーション役の華宵へ耳打ち。

(兄と妹が偶然の再会ごにょごにょ)
(あらあら、大変ねぇ)

 華宵は一度コホンと小さく咳払いした後マイクを握り、

「おおっと、ここで妹の乱入だぁ! どうする!? どうする兄!」

 ×:ナレーション
 ○:実況

「兄…? 何の事だ」

 しかし首を傾げるローニア。過去の記憶が無い彼には、当然アーシュの事も覚えてはいないのだ。
 よく分からないが物凄い勢いで突進してくるアーシュに身構える。

「立ち塞がるなら消えてもらおう」
「悪に染められてしまいましたのね。今すぐ私がお救いしますわ…!(迫真」

 構わずドドドド!と猪突るアーシュ。
 ローニアもぐっとギターを振りかぶり……

 が、その時。
 つんっ、とアーシュが躓いた。

 ――消えたと思われていた兄の記憶がそうさせたのか。咄嗟に体が動いたローニア。

 ギターを放り捨て、アーシュに駆け寄り彼女を受け止め…きれずに下敷きドシャア!。体と床の間に変な角度で腕が挟まれ、肘をもっていかれる。ぽっきり。

「はーい下がってー、急患通りまーす」

 救急車で運ばれていくローニア。
 兄と妹、再会ならず。また今度会おうね。

 だがローニアの乱入により、ディザイアは一命を取り留める事が出来――

「ぐふっ…」

 きっちりお腹に槍が刺さってた。
 ダイヤモンドダストで自らの散り際をきらきらと飾りつけるディザイア。

「俺はただ、皆にカボチャを…(ガクリ」

 大地の恵みでカボチャの花をポトリ。
 実はコミュ障だからカボチャでアピールしようとしてただけの善良なお化けだった説。

 ディザイアは消え逝くお化けを演出するべく、力を振り絞って蜃気楼で姿を消そうと…

「だが滅ぼす(ザクッ」

 レフニーによるトドメ。
 これもうどっちが悪者かわかんねえな。

 そこへ華宵オネェさんの補足が入る。

「実はレフニーちゃんの正体は良い退魔士だったのです(反論は許さないオーラ」

 善良なディザイアなんていなかった。いいね?

 その説明の裏で、早速ワンコエリスを抱っこ・救出するレフニー。
 退魔士の術的なアレやソレでエリスを式神化(という設定に上書き)。

「計画通りなのです(にやぁ」
「え、えーっと、よろしくお願いします…?」

 式神エリスぺこり。

 一方、呪い人形の木葉は、いつの間にかアーシュの転倒に巻き込まれて潰されていた。
 倒されると元の日本人形に戻る…という設定に基づき、雫衣で血糊を隠して綺麗な姿でケースに収まる。

 苦難の末、良いお化け?の仲間を得たユウ。
 舞台へ上がり、悪いお化け退治の旅を再開。

 その姿を、遠巻きに見つめる黒猫と魔女。

「……うぅん、此処まで来てしまいましたかぁ……。……そろそろ、次の手を打つと致しましょう……」


●第四幕
 劇もいよいよ佳境。
 だがその前に、エネルギー補給に楽屋へ戻ってきたミハイル。

「クライマックスを全力でやりきる為にも栄養補給は大事なんだぜ」

 冷やしておいたプリンを食うのだ。
 冷蔵庫をパカリ。しかし…!

「無い!?」

 代わりに落ちていたのは、銀色の長い髪の毛が1本。
 それを握りしめて、ミハイルはギリギリと歯軋りしながら楽屋を飛び出した――



 その頃舞台では、倒したはずのヤツラが帰ってきていた!
 ソウルユニゾンしたチーザーシエルと、脱獄したアウトサイダー雪子。

『「チーズ美味え!」』
「チーズ美味え!!(洗脳」

 チーズソウル。
 雪子にもうつってた。

『「こちとらガチモンの元悪霊が居るんじゃ舐めんなぁ!!」』
「ドスケベ礼装を寄越せーっ!! さもなくば雪子の諭吉たちを返せーーっ!! ハロウィンのバカヤローーっ!!!」

 舞台の床板を剥がして代わりにスライスチーズを敷き詰めたり、尚も追加の諭吉を石に買えてガチャを回し続けているスマホ画面を子供達に見せつけたり。

「石ってなにー?」
「宝石ー?」
「あれはやっちまった例だから絶対真似すんじゃねーぞ」

 首を傾げる子供達を雪子から遠ざけるリョウコ。

 その時、舞台袖から目を血走らせたミハイルが登場。
 劇場内で暴れ回る雪子を視界に捉える。

 雪子=銀髪≒

「あいつは俺の冷蔵庫のプリンを勝手に食べたやつ! 許さん!」

 遺留品の銀髪を握り締めた拳をぎりぃと震わせ、

「ちゃんと名前が書いてあっただろー!」

 飛びかかる。

「言いがかりktkr! プリン集めのイベントはとっくに終わってるんですわ? お?」

 ボコスカボコスカ!

 そしてそれを舞台端で静観する構えの退魔士レフニー。

「潰し合いで弱った所を叩けばラクチンなのです」

 漁夫の利。
 むしろその事態に頭を抱えていたのは、黒猫魔女の恋音だった。

「……う、うぅん……。……これは、少々予定外ですねぇ……(ふるふる」

 銀髪を発見するミハイル。
   ↓
 犯人はオペ子と推定。
   ↓
 怒りに支配されたミハイルが、一般人であるオペ子を襲撃する悪いお化けとなる。

 という流れのはずだった。
 しかし雪子がシエルと共に戻ってきた上にオペ子よりも先にミハイルの視界に入ってしまった事で、彼の怒りの矛先が悪いお化け?である雪子へと向いてしまった。
 これでは、良いお化け側の優勢となった勢力図を拮抗状態に戻す事が出来ない。

 …いや、雪子とシエルが再び現れたのなら、少なくとも頭数では悪いお化けが増えた事には違いない。
 となれば、後は雪子&シエルがミハイルを倒してくれれば……

 だが時既に時間切れ。
 いつの間にか雪子は、盛り付けに失敗して崩れたプ●チンプリンのように、無残な姿で床に転がっていた。

『「チーズ美味え!!」』

 仇討ちとばかりにシエルがミハイルに飛びかかr

「プリンブロー!(容赦のない腹パン」

 どっふぅ!とチーズを噴いてシエル轟沈。
 闇歩の装甲は脆いのだ。

 一方、その一部始終を舞台袖で観戦していたオペ子。
 カップに『みはいる』と書かれたプリンもぐもぐ。

 銀髪=オペ子=犯人(うん知ってた)。

 実は第四幕が始まる少し前、オペ子は恋音に呼ばれていた。
 劇の進行に必要なので協力して欲しい。冷蔵庫に入っているミハイルのプリンを食べるだけの簡単なお仕事。危なくなったら助けるから大丈夫。

「オペ子は月乃宮さんの言う通りちゃんとエッカートさんのプリンを食べました。オペ子は悪くないです(もぐもぐ」
「…………お、おぉぉ…………。…………そ、それを今この場で、声に出して言ってはいけないのですよぉ…………(ふるふるふるふる」

 自分の仕業だってバレちゃう!

 案の定、レフニーが反応。

「え? 黒幕? お化けかもしれないし人間かもしれない? どっちでも良いのでぶっ飛ばしておきましょう」

 天槍しゃきーん!
 更に、

「何々?」
「あの黒猫魔女を倒せばハッピーエンド?」
「では石臼の錆にするとしますか」

 楽屋でだべっていたバケネコジャー達も再登場。
 ちなみにオペ子の姿は既になく(逃げた

 残る巨悪は恋音のみ。

「……こうなっては、仕方ありませんねぇ……」

 そう言うと恋音は、傍らに居た小次郎に魔法を掛けた。光球が小次郎の全身を包み込む(トワイライトによる演出
 そして光が解けた時、そこに立っていたのはなんと10m超えに巨大化した小次郎だった!(演:大次郎

 巨大もふもふの頭によじ登り、一同を見下ろす恋音。

「……猫パンチで、一網打尽なのですよぉ……」

 だがレフニー達は怯まない!

「あの悪のきょぬー魔女を倒せば世界は平和に! やぁーってやるです!」

 その時だった――


「へいへい山姥様のお通りじゃーん」


 専用BGMと共に煽情的な髭ダンスで舞台に躍り出てきたのは、ラファル A ユーティライネン(jb4620)。
 が、いつもと様子が…というか見た目が違う。

 BGMは舞台備え付けのスピーカーではなく、床に置いたラジカセから。
 そしてそのスタイルは、ちゃらちゃらアクセにルーズソックスのヘソ出しガングロ山姥。オワコンJKだった。

「まじちょべりばー」

 謎の呪文を唱えながら髭ダンスでぐいぐいと大次郎の足を押し退けて、舞台中央に陣取るラファル。
 オワコンのお化け。既に流行遅れとなったマルチメディアミックスなデカルチャー復活を目論む悪いお化けである。
 ここに来ての新規参戦。つまりラスボス枠。恋音には負けられないのだ。

 まさかのラスボス2体同時戦闘。
 だが当然、ここで負ければ世界はゲームオーバー。強制敗北イベントではないガチバトル。

 それを見ていた子供達は、

「にゃんこ魔女の方が大きいからつよそう!」
「にゃんこ魔女おっぱい大きい!」
「つよい!(確信」
「うるせーガキどもー」

 客席めがけて雪子を投げるラファル。

「別に乳なんかなくても死にやしねー。一切合切ぶっ飛ばしてやるぜおらー」

 そしてラジカセから8bit風味な戦闘BGMが流れ始める。

「さあ、俺さまを倒して世界を救おうぜきゃんぺーんの開示たぜー」

 最終決戦、開幕。

 ミハイルが飛び出す。

「もふもふの相手は任せろ! 頭の上の魔女にはまだプリンの礼が残t」

 巨大猫パンチずどーん!

 ミハイルがやられた!

「仇は取るのです!」

 うおー!と向かっていくレフニー&式神エリス。

 一方、ユウとバケネコジャー達の前にはラファルが立ちはだかった。
 フラフ●プ大回転でバケネコジャーをなぎ倒しつつ、ユウの腕にだ●こちゃんを巻きつけて子泣き爺のように圧し潰し、トドメは舞台に突き立てた太陽●塔で芸術じゃない物まで大 爆 発 !
 平成っ子達をぶっちぎって悪の限りを尽くすその様は、まさに世界の敵そのもの。よく見ておくがいい現代人、これが昭和の重みだ!

 そしてレフニー&エリスの方も、大次郎の音速猫パンチと恋音の魔力の前に大苦戦。
 このままでは負ける…!

 だがその時、1つの奇跡が舞い降りた。

 こつんっ
 エリスのつま先が、何かに当たる。
 視線を下げると、床に丸々としたカボチャが転がっていた。

 直後、ゴトゴトと大量のカボチャが出現。

\使ってくれお嬢!(きらーん!/

 ディザイアの遺産。

 ありがたく再利用。
 すかさず客席の子供達にもカボチャを配るユウとエリス。
 ここぞとばかりに息を吹き返すミハイル。
 としおと華宵の語り部コンビもユニゾンで子供達へ呼び掛ける。

「「さあそのカボチャで悪いお化けをやっつけて!」」

 良いお化けと子供達がカボチャを振りかぶり、恋音&ラファルめがけて一斉に投げつける。

\必殺、カボチャビッグバン!/

 超 爆 発 !!(ミハイルの自在花火

 滅びる悪。
 良いお化けが勝ったのだ。

 そう思われたまさにその時!

「良い子の皆様に教育的指導ですわ」

 なんと、薔薇のお化け…凛が棘鞭ばしーん!しながら悪の側に現れた。
 薔薇のお化けは、例えそれが悪いお化け側であったとしても、最も劣勢な側に加勢するのだ!

 有無を言わさず凛は棘鞭を横薙ぎ一閃。
 だが咄嗟に身を屈めた良いお化け達に避けられ、ぐいーんと一周した鞭はびしぃ!と自らの体へと巻きつく。

 鮮血という名の薔薇を散らせて美しく終わらせる予定が、自分の鞭で縛られ拘束プレイ。
 トゲが刺さって超イタイ。

「画竜点睛を欠く。解らn……あぁ」

 ドMに開花。
 R-15指定。

「まだ子供が見てるでしょうがぁ!?」

 ガタァ!と立ち上がるとしお。
 せっかく世界が善の気に包まれようとしていたのに、このままでは再び悪いお化けが生まれてしまう!(条例的な意味で

 屋台の鍋を引っ掴み、死ソースたっぷりのラーメンスープを凛にバシャア!(とても熱い

「あばばば…!?」

 ごろごろびたんびたんと舞台袖へ消える凛。
 ばしゃーん!と冷水プールに飛び込む音だけが漏れ聞こえる。

 滅びる悪(確認
 すると、大次郎と一緒に死んだフリをしていた恋音がむくりと起き上がり、

「……それでは、また来年お会いしましょう……(ぺこり」

 ハロウィンの謝辞を述べ、大次郎と共にお化けの世界(舞台袖)へ帰っていった。

 それを受けて、慌てて自分の役を思い出すアーシュ。
 良いお化けを送り出した天使として一同を労うべく、ストレイシオンのアスタと一緒に天井から降臨しようと――

 ウィーン
 それを遮って、不意に床下の装置から誰かがせり上がってきた。

 華宵。
 某大晦日歌番組の大トリを髣髴とさせる派手派手衣装で、中央にばーん!

「どの勢力が勝とうが、私が良いお化けのラスボスで〆るわ(キラキラ衣装ばばぁん!」

 美味しいところはもらった!

「ず、ずるいですわ!?」

 それを尻目に、最後はユウが客席を振り返ってにこり。

「こうして悪いお化け達は改心し、世界は平和な日常を取り戻すことが出来ました」
「めでたしめでたし(衣装きらきらー!」
「で、ですわ!(ハンカチふりふりー!」


●終幕
「くそー! オペ子が見つからない」

 オペ子を探して走り回っていたミハイル。

 プリンの恨み。
 仕方が無いのでロペ子を捕まえてボコボコどつき回す。

 他方では、劇で使ったカボチャを料理してハロウィンパーティーを楽しむ一同の姿。
 その輪の中に、ある人物の誕生日祝いをしているグループがあった。

「誕生日おめでとうございます、リーゼ」
「おめでとー!」

 和紗が赤いリボンの少女――伊里野 風香――と一緒に、手作りケーキを運んでくる。
 本当はリーゼの誕生日は11月11日。まだほんの少し先ではあるのだが、

「(メタな)タイミング的に風香と一緒に祝えそうになかったので、前倒しで」
「なるほど(こくり)」

 全部(水ω音)ってやつのせいなんだ。

 ケーキに刺さったロウソクの火を、リーゼが静かに吹き消す。その様子を、和紗はドキドキしながら見守っていた。
 風香にきちんと笑顔で礼を言えるかどうか。毎晩の練習成果を、学芸会の子を見守る母の如くドキドキと。

 そっと風香の前で屈むリーゼ。
 目線の高さを合わせ、

「ありがとう」

 にこり、と。
 浮かべた笑みは、口元に薄っすらと――しかし柔らかい――心からの笑み。
 お礼を言われた風香も、にぱりと嬉しげな笑みを見せた。

 それを待ってから、真緋呂や一機も祝いの言葉を投げかける。

「兄様、誕生日おめでとう♪」
「おめでとう」

 そして嫉妬お化け()のジェンティアンお兄ちゃんも、

「ケーキ手作りなんてしてもらっちゃって! でも一応おめでとうって言ってあげるよ…!(ハンカチぎりぃ」
「皆もおめありだ(ぺこり」

 リア充な誕生日まじうらやま。

 一方、少し離れた場所では。
 メイド達に引率され、子供達が川辺で何かやっていた。

 気づいたエリスが近づいて覗き込む。

「悪い気を吸った人形は、川に流すと浄化されるんだってよ」
「流し雛って言うんですって〜。なんだか島流しみたいよね〜」

 リョウコとミコトに促されるまま、子供達が人形を水に浮かべる。
 川に流される人形(木葉)。

「どんぶらこ〜…」
「こ、木葉ー!?」

 慌てて追いかけるエリス。

 この後、木葉ちゃんは海に流れ着く前に無事に救助されました まる


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 前を向いて、未来へ・Rehni Nam(ja5283)
 護黒連翼・ディザイア・シーカー(jb5989)
 久遠ヶ原から愛をこめて・シエル・ウェスト(jb6351)
 氷結系の意地・玉置 雪子(jb8344)
 来し方抱き、行く末見つめ・華宵(jc2265)
重体: −
面白かった!:16人

ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
紅茶神・
斉凛(ja6571)

卒業 女 インフィルトレイター
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ねこのは・
深森 木葉(jb1711)

小等部1年1組 女 陰陽師
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
優しき強さを抱く・
ユウ(jb5639)

大学部5年7組 女 阿修羅
護黒連翼・
ディザイア・シーカー(jb5989)

卒業 男 アカシックレコーダー:タイプA
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
久遠ヶ原から愛をこめて・
シエル・ウェスト(jb6351)

卒業 女 ナイトウォーカー
光至ル瑞獣・
和紗・S・ルフトハイト(jb6970)

大学部3年4組 女 インフィルトレイター
ついに本気出した・
砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)

卒業 男 アストラルヴァンガード
あなたへの絆・
米田 一機(jb7387)

大学部3年5組 男 アストラルヴァンガード
氷結系の意地・
玉置 雪子(jb8344)

中等部1年2組 女 アカシックレコーダー:タイプB
オリーブオイル寄こせ・
ローニア レグルス(jc1480)

高等部3年1組 男 ナイトウォーカー
来し方抱き、行く末見つめ・
華宵(jc2265)

大学部2年4組 男 鬼道忍軍
『楽園』MVP・
アーシュ・カメリアリア(jc2425)

高等部3年1組 女 バハムートテイマー