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マスター:水音 流
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:25人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2016/06/18


みんなの思い出



オープニング

「おのれ……何故この私がこんな事をしなければならんのだ」

 求人情報誌を読み漁りながら歩く天使の男――三田@現役天使。

 去年のクリスマスに悪質な撃退士の男に強請られて多額の借金を抱えてしまい、日雇いのバイトに明け暮れる日々。
 恨み言を呟きつつ角を曲がろうとした時、

 ドンッ。

 角の向こうから出てきた女とぶつかってしまった。

「おっと、すまんな」

 三田は求人誌から視線を外して、女を見る。
 すると彼女が散歩していたと思しきペットの犬?が、主を心配してハフハフと駆け寄ってきた。

\ぐる…/

 2m近い体躯で二足歩行する、人型の狼。
 どう見てもディアボロです本当にありがとうございました。

 それを見た三田はしかし、

「良い犬だな」
「え?」

 愛犬を褒められた悪魔の女――セトは、顔を上げてじっと三田と見つめ合い……



『私達、結婚します』

 そう書かれた葉書には、ウェディング衣装を着たセトと三田の写真が印刷されていた。

「おー、あいつら結婚するのかー」

 フェルミは大次郎の鼻を撫でながら「お祝いしてやらないとなー」とごちる。
 とは言えセトも三田も天魔陣営だ。人間の結婚式のように、時間を掛けてプランナーに相談して街中の施設を借りて…という訳にはいかない。ウェディングケーキや料理の手配は大丈夫なのだろうか。

 ふと、フェルミは思いつく。

「あいつらなら手伝ってくれそうだなー」

 早速、彼女は大次郎に乗ってのしのしお出かけ。
 向かった先は、オカマバー『Heaven's Horizon』。

 店の前に大次郎を駐車してリーゼに事情を話すと、彼はこくりと頷いて快諾してくれた。

「ところで、エリスは居ないのかー?」
「宝探しに行くと言っていた」

 いつぞやの迷宮探索の時に貰った地図を持って、仲間と共に出かけたらしい。

「そうかー。じゃあ邪魔しちゃ悪いなー」

 後は、せっかくなので猫鍋亭の絵美あたりにも声をかけていこう。
 そう言ってフェルミは再び大次郎に乗り、リーゼ達をセト&三田の所へ案内した。



『私達、結婚します』

 看守が持ってきた自分宛の葉書を見て、ゲインは独房の中で「ふむ」と呟く。まあ、収監中の身である自分には関係の無い話だ…いや待てよ。
 彼は黙考した後、看守に声を掛けた。

「バックを呼べ。重要な話がある」

 しばらくして、撃退庁の捜査官――バック・ジャウアーがやってくる。

「話とは何だー!」
「俺をここから出せ」
「ふざけるな俺が頷くとでも思っているのかー!」
「まあ聞け。もうすぐテロリスト達の集会がある」
「何だとそれは本当かー!」
「俺を出せば、そこへ案内してやる。交換条件だ」
「……」

 考え込むバック。
 それを横で見ていた看守が慌てて口を挟む。

「ダメですよバックさん、罠に決まってます。本部の許可だって下りるわけない」
「良いのかバック? 連中を野放しにすればどんな恐ろしい事が起きるか分からんぞ」

 2人の声に挟まれたバックは、やがてゆっくりと看守の方を向き、

「……君の言う通りだ、本部が許可するはずがない」

 次の瞬間、拳銃の銃口を看守に突きつけていた。

「馬鹿な事を…!」
「良いから黙って鍵を開けるんだー!」

 扉を開け、ゲインを解放。直後、彼の代わりに看守を独房内へと押しこんで扉を閉める。
 ニヤリと笑うゲイン。

「賢明な判断だぞバック」
「勘違いするなー! 集会を潰した後で貴様はもう一度収容所送りにしてやるー!」

 バックは両手を拘束されたままのゲインの背を押し、歩き出す。

「集会に来るテロリストは何人だー!」
「多いぞ。どうするつもりだ?」
「本部の支援は期待できないー! 頼みの綱は彼女達だけだー!」

 バックは携帯を取り出すと、久遠ヶ原――オペ子の番号を呼び出した。



 人里離れた森の中にある洞窟。
 洞窟の丁度中央に位置する大広間では、突貫作業で式の準備が進められていた。
 リサイクル業をやっているというとある悪魔の提供によりテーブルや椅子が並べられ、カーテンで仕切った裏側には控え室や簡易厨房を設置。

 そこへ続々と訪れる、結婚を祝いに来た天魔達。陣営間の争いを持ち込まぬよう、各々変装して顔を隠している。

 そんな中、主である女を乗せた車椅子を押しながら黒髪のヴァニタスがやって来た。顔には、ひょっとこのお面。
 しかし不注意からそのヴァニタスは、近くに居た別の参列者と肩をぶつけてしまう。

「おっと、わりぃな」
「いや、こちらこそ気づかず申し訳ない」

 振り向いて返事をする、ファントムマスクで目の周りを覆った金髪のシュトラッサー。
 傍らには、彼の主と思しき天使の男の姿も。しかしその顔は絶妙なアングルで物陰に隠れていて、窺い知る事はできない。

 互いに正体不明の4人。
 一体何者なんだ…!



 一方、厨房では。
 サングラスと風邪マスクを装着した青肌の悪魔少女が物陰からこそっと顔を出す。その足元にはペットの仔犬が1匹。
 どうやら愛犬にあげるミルクを探しに来たらしい。

 調理班に気づかれぬよう、食材の中からミルクのパックを選び取り……

「?」

 ふと、1本だけパッケージの違うミルクがあった。
 『BIG MILK』と印刷された紙パック。なんか体に良さそう。
 彼女はそれをぴゃっとを引っ掴んで、足早に厨房を後にする。

「よーしポチー、ミルクだよー」

 地面に置いた皿にミルクを少し注ぐ青肌少女。
 それを美味しそうに舐めていた仔犬は――

 ずうぅぅぅん。

 ――突如、全長が10m級に巨大化。

「ふぁ!?」
「おー、大次郎みたいだなー」

 そこへ通り掛かる、犬のお面を付けた大次郎とフェルミ。

「びっぐぽち…」

 とりあえず青肌少女も、フェルミを真似して愛犬の頭によじ登ってみる。

「こ、これは…!」

 びっぐもふもふ。
 実際たまらん。
 フェルミと青肌少女はそれぞれのもふもふの上で、はふーとため息を吐いた。

 その時、不意に鳴り響く何かのブザー。

 式場の一角で、トイレットペーパーで顔をぐるぐる巻きにして正体を隠しているリサイクル悪魔が振り向く。

「これは私が入口に仕掛けた防犯ブザーの音でしょうが!?」

 紐を引くと鳴るアレ。
 万が一何者かが襲撃してきた場合に備えてセットしておいたらしい。

「アァ!? どこの鉄砲玉だよ!」

 上等だコラと飛び出していく、ひょっとこ面の黒髪ヴァニタス。

「手を貸そう」

 それに肩を並べて迎撃に向かう、ファントムマスクの金髪シュトラッサー。
 更に、リサイクル悪魔も出動。

「きっと私の持ってきた家具やチリ紙を狙った強盗団でしょうが!?」



 先陣きって突入するや否や、何かの紐に足を引っ掛けたバック。
 鳴り響くブザー。

「くそー! なんて巧妙なトラップだー!」

 そこへ洞窟の奥から飛び出してくる3つの影。

「覆面を付けた怪しい3人組、間違いないテロリストだー!」

 顔を隠してる奴はテロリスト。間違いない。

「やんのかコラ!!」
「祝言を邪魔するとは、無粋極まりないヤンキー共め」
「タダでトイレットペーパーは渡せないでしょうがぁ!?」

 戦闘開始――



 その頃。バック達が突入したのとは反対側にある、もう一つの入口。
 洞窟の前に立つ、エリスと仲間達。

 大きくなる秘宝リベンジ。
 前回手に入れた秘宝は消費期限がおそろしい事になっていて酷い目に遭ったが、今回の地図には『品質保証』という頼もしい四字熟語が記されている。
 今度こそ大きくなるのだ。

 地図と睨めっこしながら、エリス達はいざ洞窟の中へと足を踏み入れた。


リプレイ本文

「天使と悪魔の結婚式。素敵ですぅ〜」

 フェルミから話を聞き、喜びと気合を顕にする深森 木葉(jb1711)。
 例え陣営が違っても、個人同士なら仲良くできる。その輪が広がれば、いずれ争いもなくなるはず!! なんとしても、この祝言、成功させねば!

「ベールガールを務めるのです。おふたりの幸せを祝福するために、全力で頑張りますよぉ〜」

 花嫁への配慮も忘れず、ドレスは地味めな白で。

「おー、いいなー。でも大丈夫かー? 木葉はドジッ娘のレベルが3桁に届きそうだって聞いたぞー」
「だ、大丈夫なのです。今日はドジッ娘は封印ですよ。称号も返上なのです」

 称号を『ドジっ娘LV99』から『ねこのは』へ換装。
 これで安心。

 一方で、報酬に釣られた者もいた。玉置 雪子(jb8344)だ。

「不本意ですがバイト代出ますからね。しょうがねぇなあ(悟k「料理の味見は任せて!」

 突然の乱入。
 蓮城 真緋呂(jb6120)だ。

\ちょっ、雪子の台詞に被ってる件/
「だってご飯いっぱい食べられr」

 バイト代(賄い付き)。
 式場料理って豪華だしな。

 それを横目に、1人黙考していたのは黄昏ひりょ(jb3452)。

(ん〜…両陣営からの妨害とかもありえる…のかなぁ)

 天使と悪魔のカップリング。こいつは一波乱ありそうだ。

(念の為用心しておこう)



 斡旋所。
 夜桜 奏音(jc0588)は、だらけていた。
 サボりスポットであるオペ子の隣で一緒に煎餅ぱりぱり。

 しかしそこへ、バックから緊急連絡。

「夜桜さん残念なお知らせです」
「えーと、行かなきゃダメですかね」
「残りのお煎餅の処理はオペ子が引き受けます」

 奏音はやれやれと立ち上がり、

「もう少しだらけたっかたのですが、仕事でしたら仕方ありませんから行きましょうかオペ子さん」

 後ろ襟掴み。

「危なそうなのでオペ子は後方支援に立候補したいです」

 机にしがみ付いて抵抗。

「分かりました、後衛ですね」

 前衛、中衛、後衛(前線)。

「オペ子は今、夜桜さんとの意思の疎通に失敗している気がします」

 通信障害かな?

 そこへ依頼を受けて続々と集まってくる血気盛んな学園生達。

「テロリストか。殺っちまってもいいんだな?」

 ミハイル・エッカート(jb0544)。
 バックに電話を掛け直して問う。

「情報の裏は取れているんだろうな?」
『時間がないー! それを確かめるのも我々の仕事だー!』

 その声を聞きながら、黒百合(ja0422)がニタァと口端を上げる。

「対テロリスト戦かァ…つまり対人戦ねェ、久しぶりに色んな子達を虐める事が出来そうだわァ♪」

 kill them all! kill them all!

 対して、ミハイルもニヒルな笑みを浮かべる。
 ここ最近、水音MSの依頼ではハードボイル度下がりまくりな自分。ここで一発上げておくか。

「俺は本当は渋イケメンキャラなんだぜ!」
「「え?」」
「え?」



 エリスの呼びかけに応じて集まった仲間達。

「大きくなる秘宝なんて凄いじゃない! 絶対手に入れるんだから!」

 ふんすと張り切る雪室 チルル(ja0220)。
 その横で、雫(ja1894)やRehni Nam(ja5283)も握り拳ぐっ。

「諦めたらそこで成長終了です」
「今度こそ大きく!」

 しかし、集まったのは女子だけではなかった。
 目を輝かせながらエリスの手を力強く握る推定百歳↑の合法ショタ、ヒスイ(jb6437)。

「お供してもいいかな? いいよね!」
「…? も、もちろんいいけど…?」

 豊胸の秘宝を探しに行くのに、なぜこんなにやる気なのだろう。
 女装願望? いや、まあ趣味はヒトそれぞれよね。

「お嬢の為だ、なんとしても手に入れる!」

 そう言ったのはディザイア・シーカー(jb5989)。
 自分用ではなくエリス用。全てはお嬢の為に。

 こうして一同は確固たる決意で、大きくなる秘宝探しへ。
 だがその前に、

「薬には臨床試験が必要なのです」

 レフニーが言う。

「あたいそれ知ってる! じっけんだいってやつね!」
「化学と私達の成長の為には避けては通れない道ですね」

 チルルと雫もこくりと同意。
 すると彼女達は、徐に1人の学園生の家へと向かい――

 ドアばぁん!

「…………お、おおぉ…………?(ふるふる」

 そこに居たのは久遠ヶ原の乳神様、月乃宮 恋音(jb1221)。

「薬の影響を受けやすい体質のチチノミヤ(略)知識魔神は適任なのです」

 つまり誘拐しに来た。

 しかし相手は胸に巨大な魔力袋を2つも備えた魔神だ。迂闊に飛び込むのは危ない。
 そこでレフニーが考えた手段は、

「出番ですよディザイアさん」
「俺がやるのか(ごくり」
「全てはエリスちゃんの為です」

 唆す。
 エリスちゃんが喜ぶ。エリスちゃんに格好良いトコ見せられる。

「お嬢の為だ、なんとしても手に入れる!」
「…………お、お話が見えないのですよぉ…………?」

 慎重に距離を詰めるディザイア。
 レフニーはそれを安全な距離から眺めつつ、

「なんだか犯罪か浮気の現場に見えるのです」

 焚き付けておいてあんまりな言い草である。

 一方、チルルが部屋の中で良い物を発見。
 恋音が普段から自身の巨乳を支える為に着用している、特殊なサラシ。

 乳魔神を封印できるのは乳魔神が持っているサラシだけ!

「悪いな。しばらく大人しくしていてくれ」
「(ふるふるふるふる)」

 女子達も、よもや命まで取ろうとは考えていないだろう。
 サラシで恋音をぐるぐる巻きにするディザイア。

 捕縛完了。


 その後ろで…

「被験体の確保は完了。後は、秘宝の量を考慮して間引きをしないと…」

 誰に聞こえる事もなく、雫がぽつりと呟いていた――




 洞窟奥の式場にマイクロミニスカート仕様の巫女さんが居た。
 その巫女――加賀崎 アンジュ(jc1276)は、紙袋片手に新郎新婦の控え室に顔を出して挨拶。

「はいこれ、御祝儀」

 中身は、自身が運営している部活兼商店『満月堂』から持ってきた商品の詰め合わせ。強力な護符やら御守やら、霊験あらたかな縁起物である。

「ほう、殊勝な心がけだな」

 尊大な態度で受け取る三田。
 一方のセトは、ニッコニコな笑顔。

「ありがとう♪」

 ウェディングオーラ全開で、見るからに幸せそうである。
 そこへ別の巫女さんがやって来る。真緋呂だ。

「結婚おめでとう♪ …ところで」

 徐に話を切り出す真緋呂。

「実はあなたの旦那さん、つまり三田さんは、私に借金?っていうか借肉?があるの」
「「え」」

 クリスマスの夜。三田のせいで警察に連行され、霜降肉を食べ損ねた悲しい思い出。
 その貸しをまだ返してもらっていないのだ。

「この国では奥さんは財産相続権があるの。同時に債務も相続される…つまりセトさんにもA5霜降を請求出来るの!(ババーン」
「な、なんですってー!?」
「いやその理屈はおかしい」

 取調べ中にふと食べたくなっただけで、そもそも霜降を食べる予定など無かったはず。

 だがそんな事実は真緋呂の記憶に残っていない。残っていない記憶など真実足り得ない。
 借金絶対取り立てるウーマン。

「でも今日はせっかくのお祝いだから、取り立てはまた後日にしてあげる。改めて、結婚おめでとう!」
「「あ、ありがとうございます…?」」

 ゲセヌー。

 また、広間の方ではせっせと営業に精を出している者も居た。

「あ、わたくし、美少女プロレスという女子プロレスの興行をしていまして」

 深々とお辞儀しながら名刺を差し出す桜庭愛(jc1977)。ポニーテールに青色のドレスと編み上げブーツ。淑女らしい嫋やかな所作と営業スマイル…なのだが、小脇には何故か大きなタッパーを抱えていた。
 ここぞとばかりに、魔界の有力者(っぽい雰囲気の相手)を狙って自分の活動を売り込む。いつか魔界公演とか出来たら、いとうれし。

「ふむ? これは御丁寧に」

 ぺこりとお辞儀を返して受け取る、仮面悪魔。

「ところで、私の部下とその飼い犬を見かけなかっただろうか。青肌の少女と、このくらいの大きさの仔犬なのだが」
「いえ、見てませんね」
「そうか。まあ、腹が減れば戻ってくるか」



 その頃、厨房では。
 せっせと調理班の手伝いをしていた半ズボン姿のメイド少年――藍那湊(jc0170)。

 ふと、視界の端に何かが映った気がして顔を向ける。
 サングラスと風邪マスクを装着した青肌の悪魔少女が、物陰からはみ出ていた。

(なにか見覚えがあるような…)

 直後、ぴゃっと食材の中からBIG MILKを持っていく青肌の…あー、字数食うからもう本名でいいか…ぴゃっと持ち去って行くナナコ。

 家政婦、いやメイド少年は見た! 湊はこっそり後をつける。
 すると、MILKを飲んだポチが巨大化したではないか!

(わぅ…な、なんてうらやま…仕事を忘れてもふりた…)

 いや惑わされている場合ではない。
 湊は我に帰って飛び出す。

「こらー食材どろぼー!」
「!!」

 べ、別に、注意するフリして自分もモフらせて貰おうとか、そういうつもりじゃないんだからねっ。

「しかしもふもふにまぜてくれるなら、今回だけは見逃s」
「逃げるぞポチー!」

 瞬間、びびってビッグポチに命じるナナコ。MILKをその場に放り出して逃走を図る。
 もふもふ超ダッシュ。

「こ、こらー!?」

 追う湊。

「おー、見事な逃げ足だなー」

 居合わせたフェルミ&大次郎は彼らの背を見送った後、のしのしと見回りへ向かった。



 鳴り響くブザー。
 飛び出していくひょっとこ、ファントム、リサイクル。

「嫌な予感が当たってしまった…」

 ひりょは呟きながら、急ぎ新郎新婦の元へ。

「安全が確認できるまで俺から離れないで!」

 セトと三田の護衛に付く。
 そこへ、リーゼと共に様子を見に来た樒 和紗(jb6970)が顔を出す。

「こんな事もあろうかと衣装は準備してあります」

 タキシードとウェディングドレスふぁさぁ。
 影武者作戦。和紗はくるりとリーゼに向き直り、

「何方が良いですか?(真顔」

 当然のように新婦役が選択肢に入っている恐怖。

「できれば新郎役だと助かる」
「では此方を」

 タキシードを渡し、それぞれカーテンの裏でお着替えごそごそ。和紗はヴェールで、リーゼはグルグルレンズの鼻眼鏡で顔も隠しつつ。
 影武者2人が着替え終わった後、少し送れてベールガールの準備を終えた木葉もやって来る。

 何も知らない木葉は2人の新郎新婦を見て、式を強行するのだと勘違い。

「愛のちからで、困難に立ち向かうのですねぇ〜。応援するのですぅ〜」

 一方、それまで料理をつまみ食いしてサボっていた雪子は、バイト代の上乗せを期待して迎撃に向かう事に。
 とりあえず阻霊符を発動。

「敵の透過対策を忘れない雪子は撃退士の鑑」

 さっき真っ先に飛び出していった天魔ニキ達も透過できなくなりますけど、雪子は元々透過できないので関係ないですしおすし。
 それよりも敵の透過を邪魔してやる方が効果テキメンなんですわ? お?

 invisible-file.exeで姿を消し、extension.exeでスイーと飛んで行く。
 そして天魔3人衆と睨み合っている襲撃者の集団の中に、あの男を発見。

(ゲインキタ――( ゜∀ ゜)――!!)

 あっ、そうだ(唐突)。
 どさくさに紛れて式場ごとやっちゃいましょうよ!
 その為の右手? あとあとその為の拳?

 姿は隠したまま、本性を現し始めるYKK(ユキコ)。
 透明で誰にも気づかれる事なく接近に成功し、ゲインのポケットをスリ。

(捕まってたそうですけど、どーせどっかで爆発物を調達とかしてたに違いない罠)

 匠の手つきでさわさわごそごそ。
 すると何という事でしょう、ゲインのポケットには財布一つ見当たらず。

 雪子は深い悲しみに包まれた。



 突入組 vs 覆面天魔3人衆。

 面妖な3人のテロリストを前に、即座に武器を構えるユウ(jb5639)。

(天魔達の会合は何としても阻止しなくては…しかし、何故覆面をしているのでしょうか?)

 いや、考えるのは後にしよう。今は全力で目の前の3人を排除しなくては。
 一気に距離を詰め、3人の中心に飛び込む。
 瞬間、スキルを発動。冷気を帯びた淡い闇が広がり、敵を常夜の眠りへと誘う。

 対して、リサイクル悪魔が叫ぶ。

「そんな攻撃が通用するはずないでしょうがぁ!?(zzZ」

 落。
 既に寝言である。

 しかしひょっとことファントムは睡魔に耐え、すぐさま反撃に転じようとするが、

「挨拶はまだ終わってないぜ」

 ミハイルの声。
 振り向くより早く、クロスグラビティの重圧が全身に落ちる。

 更に、足元に1つの細筒が転がってきた。間髪容れずに噴き出す煙幕。ルーカス・クラネルト(jb6689)の投げた発煙筒だ。
 テロリストを1人でも逃がすと街に居る民間人に被害が及びかねない。迅速且つ正確に。ルーカスは索敵スキルを駆使し、僅かな視界の中でひょっとこの位置を把握。携行していたショットガンを撃ち込み、鎮圧を図る。

 散弾による、殴りつけるような衝撃。
 それでもひょっとこは相当に喧嘩慣れしているらしく、尚も足を止める気配はない。

 だがそれを見越したかのように死角から放たれる別の一射。
 ひょっとことファントムを直線状に捉え、黒百合の封砲が充満した煙に大きなトンネルを穿つ。
 ファントムは重力に抵抗して咄嗟に飛び退き、代わりにひょっとこが紫電を纏った右腕を力任せに薙いで封砲の一撃を打ち消す。

 しかし次の瞬間、ひょっとこの眼前――互いの鼻先が触れそうなほどの距離――に黒百合のニタァッとした笑みがあった。

 漆黒の巨槍に備えられたスラスターが吼え、強引な加速と超重量による剛撃。
 ひょっとこも負けじと紫電の左拳を突き出し、閃光を散らして正面からぶつかり合う。

 ファントムが援護に入ろうとするも、ラファル A ユーティライネン(jb4620)がそれを遮る。

「おい、大人なしくお縄につけば痛くしねーからよ」

 などと恫喝しつつ、ファントム目掛けて針状ミサイルを一斉射。躱し損ねた敵の肩に深々と針が突き刺さり、瞬間、内側から爆ぜて血肉の花が咲く。

 だが、命中した針の数が少ない。致命傷には至らず、ファントムは痛みを無視して、強引に黒百合とひょっとこの間に割って入る。
 黒百合はすぐさま距離を取り、再び煙や戦闘音に紛れて気配を断った。


 おかしい。今回の依頼ジャンルはコメディだったはず(困惑


「コメディだしィ? もっと強くシても大丈夫よねェ…♪」

 死角から死角へ。すぅっと移動してきた黒百合は、未だ眠っているリサイクルの後頭部に巨槍をフルスイング。
 ゴ〜ン!!と目を飛び出させたリサイクルは、眠りから気絶へ。

「ぶっ飛べおらー!」

 ラファルの追撃。
 グラップラーモードで格闘戦へ移行し、動かないリサイクルを容赦なくかち上げた。

 ここ最近、大人し目のギャグ依頼が続いていたので、天魔をブッチする成分が不足気味なのである。
 不足するとどうなるか? すごいぞ。やたらと好戦的になった上に、過剰欠乏すると0.1秒で周囲を巻き込んで 大 爆 発 。だからバックの依頼に参加したのだ。まあ今日は自爆スキルがないので爆発はなしだ。
 よって、こうして直接叩く。

 天井にぶち当たって落ちてきたリサイクルの足首を掴み、そのまま地面にビターン!
 そしてズガーン!と踏みつけて、全力全開足ドラムドドド!

「おのれヤンキー共め、いつまでも調子に…!」
「余所見をしている暇はありませんよ」

 ファントムの背後から、闘衣に変化したユウが渾身の力を込めて徹しを放つ。

「ぬぅ…!」

 剣で受けるファントム。柄を握る手が、ビリビリと衝撃に揺れる。

「遠慮しなくていいぞ、こいつも取っておけ!」

 バレットストームを叩き込むミハイル。彼はそのまま喧騒の霧に紛れて、洞窟の奥へと潜入した――



 洞窟裏口に到着した秘宝組。
 道中、何やら面白そうな気配を察知したオネェ言葉の美青年――華宵(jc2265)――も仲間に加わっていた。

 エリスの持つ地図を横から覗き込みながら、華宵はふと疑問を口にする。

「ねえ、この『品質保証』って誰が保証してくれるの?」
「それはやっぱり、これを作った古代文明人じゃない?」
「保証はあるけど『品質管理』はされてるのかしら…(首傾げ」
「「……(ごくり」」

 不安煽り(無自覚

「ひ、品質保証って言うくらいだし? なんかこう、超科学的な? 魔法的な? そういうのがあるのよ絶対…」
「大丈夫です。その為に危険を冒してチチノミヤ(略)生贄臨床魔神を拉致してきたんですから」
「…………な、なにやら名前が、不穏になっているのですよぉ…………?」

 他方で、ディザイアの頭には別の疑問がよぎっていた。

(しかし、大きくなる秘宝…どこが、とは明言されてないよな?)

 もしかすると、胸の事ではない可能性も……。

(…いや、よそう、俺の勝手な推測で皆を混乱させたくない)

 お嬢が欲しているのなら、自分はそれを全力でサポートするまで。

「お嬢の為ならたとえ火の中水の中、だぜ。守り切ってみせよう、ついでに他の人らもな」

 という訳で出発。
 地図と睨めっこしているエリスについて行きながら、天宮 葉月(jb7258)が希望に胸躍らせる。

「飲めばたちどころに大きくなる秘宝…前回は酷い目にあったけど、今度こそ私もお姉ちゃんみたいな熟れ頃バインバインに!」
「もう充分熟れてるでしょう」

 じー、と葉月の胸(E)を凝視する雫。

「それ以上熟れたら腐りますよ」
「……そう言えば、まだ何の為の探索なのか、窺っておりませんでしたねぇ……」

 そう尋ねたのは恋音。
 斯々然々。

「……なるほど、そういう事でしたかぁ……」

 納得。
 しかしそれとは逆に、何故か愕然とするヒスイ。

「大きく…って、え? 身長が、じゃなくて…?」

 ずっと身長が伸びる宝だと思っていた模様。
 一向に成長する気配のないお子様体型――本人は気づいていないが単に精神的な要因である――と漸くオサラバできると思っていたのに。

 ヒスイは早くも心を折られた…かと思ったが、

「…体の一部が成長つまり身長も伸びるはず!」

 前向き。
 思いの外、強メンタル。

 対してチルルも頷く。

「そうよ! あたいは物理的に大きくなって、もっと強くなるんだから!」
「しかし女性は大変だ…そのままでも十分魅力的、いやまぁ、悩みの感じ方は人それぞれか」

 『大きくなる』の言葉を信じて、真っ直ぐ進んでいく。

 それとは対照的に、きょろきょろうろうろと蛇行しながら歩いていたのはレフニー。
 時折、壁や床の岩肌をぺたぺた触りつつ、何かを積極的に探している。無論、秘宝ではない。

(どこかに背の高き贄(ディザイアさん)を捧げるべき祭壇はないですかねぇ)

 贄の人シールドにできるような罠でも可。

 その様子を見たディザイアは、

「どうせ俺を盾にするんだろう? わかってるんだからね!」

 すっかり疑心暗鬼になって…(ほろり

「だからこんな事もあろうかと、陸ロペ子に改造を施しておきました!(キリリ」

 言うや否や、同行していた陸子のスイッチをぽちっとな。
 瞬間、なんと陸子が全身をパージ。ロボットアニメの変形・合体シーンのようにパーツが宙を駆け巡り、ディザイアの体にジャキーンと固着。

 パワードスーツのように頭からつま先まで陸子を纏い、陸戦型フルアーマーディザイア爆誕!

『何が来ても耐えてみせよう! ただしフレンドリーファイアは勘弁な!』
「そういえば、前回の探検はワニとかトラとか出たよね」

 思い出した葉月はパサランを召喚。

「何か出たらお願いね」

 飲みこませる。
 毛玉を引きつれ、所々で生命探知を使いながらずんずん進む。

 その時、葉月の生命探知に反応。
 見ると、奥からビッグポチに乗ったナナコ、そしてそれを追いかける謎のメイド少年がドドドッと走ってきていた。

 ダンプカーばりのビッグモフモフ。

 いかん! このままでは先頭を歩いているエリスがモフモフに轢かれる!

「あ、ここ右だわ」

 寸前、カクッと右折するエリス@地図しか見てない。
 また、エリスにぴったり付いて歩いていた華宵も、一緒に右折して華麗に回避。その奇跡的なスルー能力にあやかるという完璧な作戦!

 いかん! このままでは残されたメンバーがモフモフに潰される!

 だがこの時、ヒスイは冷静に思考を巡らせていた。
 あんなでかい犬が存在する訳がない。

「きっと秘宝を守る幻覚トラップだ…つまりお宝はこの先に!」

 幻覚など恐るるに足らず!
 ヒスイはそのまま正面きってずんずん進mプチッ(潰され

 幻覚じゃなかった。

「今こそコレを使う時!」

 叫んだのはレフニー。切り札の乳シールド(恋音)を展開。

「…………お、おおぉ…………? …………さ、流石に無理があるのですよぉ…………」

 直後、乳に突っ込んだビッグポチが、ばいーんと跳ね返る。

「わぶっ!?」

 そのまま後ろから追いかけて来ていた湊をペシャンコにしつつ、ビッグポチは元来た道をゴロゴロと転がっていった。

「ふぅ、危ない所でした…」
「……は、はい、意外と何とかなりましたねぇ……。……う、うぅん……?」

 だがよく見ると、モフモフに轢かれたメイド少年が起き上がろうとしていた。

「さては秘宝探しをボーガイするつもりね!」

 怒ったチルルはエストックを握り、メイド少年のアホ毛の付け根部分をガスガス殴打。

「手伝います」

 雫も大剣を取り出し、一緒になって何度も振り下ろす。ザシュザシュ!
 ついでに、近くに埋まっていたヒスイの上にもさり気なく振り下ろす。ザシュザシュ!

(今の内に間引きをしないと…)

 それでも尚、ピクピクと蠢く青いアホ毛。

\もふ…どろぼ…(虫の息/

 すかさず葉月が対応。

「危ない生き物かも! パサランお願い!」

 コマンド:のみこむ。
 ぐもっ。

 これで安全。

 かに思われたその時、頭上の岩盤が大きく軋んだ。
 先程の巨大なモフモフが転がる振動でヒビが入ったらしい。逃げる間もなく、天井が落ちてきて――

 ズガァ!!

 ――それは一際身長の高い人物の頭にぶつかって停止していた。

『ぐおおおお!?』

 フルアーマーディザイア。陸子の装甲が功を奏し、超重量の岩盤をなんと首1つで支えていた。
 背の高き贄(偶然)。

 だがそれも長くは持たない。

「ここはディザイアさんに任せて先に行きましょう!」

 レフニーの提案。
 反対0、賛成いっぱい。ちなみに贄本人に発言権は無い模様。

 大急ぎでその場を離れる一行。
 しかしその際、雫の持っていた大剣が、隣にいた葉月の足を偶然?払う。

 転倒する葉月。

「私ピンチ!」
(悪く思わないでください。秘宝は私の物です)

 背や胸を大きくする事に目が眩んだ雫。完全に悪役である。
 そしてディザイアも力尽き、葉月はパサラン諸共、崩落の中へと消えた。

「不幸な事故でした…でも、安心して下さい貴方達の志は私が引き継ぎますから」

 合掌。
 仲間達の尊い犠牲を背に、雫達は先行しているエリス&華宵を追って走り出した。



 シエル・ウェスト(jb6351)は、人質がいる可能性も考慮して他の突入組とは別行動を取っていた。

 ハイドアンドシークで潜行るんるん。そのまま物質透過で壁抜けチートプレイ――
 ごちん。
 当。

「阻霊符ちぇー」

 仕方ないので回り道てくてく。
 すると、大次郎に乗って見回りしていたフェルミと遭遇。

「人質なんです?」
「んー? 何の事かわからないけど、結婚式の最中だぞー。でも誰かが襲ってきてなー」

 あれこれうんぬん。
 把握。

 状況を理解したシエルは、バックに報告するべく意思疎通スキルを起動。
 壁越しで姿は見えないが、バックが居るであろう方向に思考電波ゆんゆん。

『結婚式ですってよ!』

 送信完了。
 届いたかは知らない。

 一仕事終えたシエルは満足気な顔でフェルミと別れ、再び歩き出す。
 向かった先は、式場裏の厨房。

 ふとその道中、地面に放置されていたBIG MILKを発見。
 とりあえず拾って、その後辿り着いた厨房に置いておく。チーズになっていない乳製品に用は無いのだ。

 床に座って一服。食材の山には目もくれず、持参したチーズを取り出す。

「わぁいチーズ シエルチーズ大好き」

 え? 今日のお前は突入組だろって? 突入しましたよ? 厨房にですけど()
 決して、ゆるいゆりっぽいタイトルの漫画の第7巻のように電車に乗り遅れてココに居る訳ではないのだ。

 とは言え、一応バックに連絡しておくか。
 意思疎通ゆんゆん。

『チューボーですよ!!(事後確認』

 届いたかは分からない。
 たぶん届いてないだろう。
 チーズうめぇ。



 砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)はサボっていた。

「敵性天魔がいっぱいとか無理ゲーでしょ」

 1体でも苦労するのに3体同時とかやってらんない、と。
 皆が戦っている陰で、早々に奇門遁甲からのボディペイントで潜行トンズラコンボ。
 一応は撃退士なので偶には仕事も受けるけど、真面目にやるかどうかは別なのだ。

 誰も来なさそう場所を求めて奥へ進む。
 そこへ、同様に戦火に紛れて進んできたミハイルが追いついてくる。

 しかし彼はそのまま「ヒャッハー! ぶっころしてやるぜー!」とジェンティアンを追い抜いていった――



 殺気立って近づいてくる足音に気づいた式場組。

「来たわね。作戦開始よ」

 小声で新郎新婦(影武者)に告げる真緋呂@進行役。

「丁度巫女服だし任せて!」
「ベールガールはお任せなのですぅ〜」

 木葉もベールの端を持ってお手伝い。
 おバカなので、新郎新婦が影武者である事に気がつかない。

 バージンロードてくてく。
 そして真緋呂が待つ祭壇前に到着。

「それじゃ誓いのキスを。え? 巫女服なのに西洋式とか気にしない」

 神前結婚でもウェディングドレス着たりするらしいしな!
 厳かな様子で新婦のベールが捲られ……

 ここに来て漸く、木葉は新婦の中身が和紗である事を知った。
 よく見ると新郎も、三田ではなくリーゼだ。

「リーゼちゃんと和紗ちゃんも結婚するのですねぇ〜、おめでとうなのですぅ〜」

 やっぱりまだよく分かってなかった。

 まあそれはそれとして、影武者続行。
 誓いのキスを。

「俺は唇に直接でも構いませんが」

 そう答える和紗。

 とは言え、どうしたものか。悩むリーゼ。
 嫁入り前の女子に本当にキスしてよいものだろうか。人工呼吸とは訳が違うのだ。

 そんな彼に、真緋呂が小声で耳打ち。

「リアルにしないと偽物だってバレちゃうわよ」
「むぅ……」

 だがその時、

「ヒャッハー! テロリストはMI☆NA☆GO☆RO☆SHIだー!」

 銃を乱射しながらミハイルが突っ込んできた。

「いけない!」

 新郎新婦を庇って飛び出す真緋呂。

「ここは私が護るからっ!

 光纏。
 冷凍マグロを構えて予測防御しつつ、アイビーウィップでミハイルを拘束。眉間を狙って冷凍マグロフルスイング。

 ミハイルの意識は黒潮に乗って大海原へと旅立った。



 マイペースにのんびりこそこそ歩いていたジェンティアン。
 しかし、

「はっ!? これは和紗の気配!」

 はとコンレーダーぴこーん。

「まさかテロリストに囚われてあんなことやこんn…テロリストころす(ギロッ」

 全力移動。
 大広間へ突入するとそこでは、

「あー、健やかなるときもー、そーでもないときもー、富める時もー、そーでもない時もー、その他いろんな時も常に貴方は夫としてー、ヨメさん愛し続けますかー?」

 神父代行:アンジュ。

「嫁さんー、以下めんどいから略ー、貴女は妻としてー、旦那を尻に、じゃなかった愛し続けますかー?」

 神職だが本職ではないので、てきとーである。
 てきとーなので、新郎新婦の返事も待たずにぐいぐい進めるアンジュさん。

「はい、じゃあキスしてー」
「…!(はっ」

 刹那、和紗が何かに思い至って狼狽えだした。

「俺がどうのではなくリーゼが構いますよね。恋人がいるのですから。恋人がいるのですから」

 大事なことなので(以下略

「? いや、恋人などいないが(首傾げ」

 バレンタインの時の問答が原因で誤解されているとは夢にも思わず。
 しかし自己嫌悪スイッチがONになった和紗の耳には、その否定はもはや届いていなかった。

 嫌ですよね。
 俺如きが身の程を弁えず。
 何て事を。
 底辺の分際で。
 恥ずかしい。
 申し訳ない。

「お詫びに討たれてきます…!」
「Σ」

 戦闘区域へ向かおうとする和紗。それを止めようと、リーゼが後ろからガシィ!
 対して、その瞬間を目撃したジェンティアンが飛び出して猛抗議。

「リーゼちゃんってば何て扱いしてんの!(激怒」

 和紗を羽交い絞めにするなんt…

 リーゼずるずるずるー!(止まらない和紗

「…リーゼちゃんを何て扱いしてんの(真顔」

 僕のはとこがめっちゃつよい件。

 その時、岩壁をぶち破って戦闘組が雪崩れ込んできた。
 式場を転げ回るようにドッタンバッタン。

 新郎新婦に気づくラファル。

「なんだこいつら、テロリストの癖にリア充かよ」

 ミサイルぶっぱ。
 躱せない。咄嗟に和紗を庇って、リーゼ爆散。
 それを見た和紗は、

 俺のせいでリーゼが。
 何て事を。
 申し訳ない。

「お詫びに俺も撃たれてきます…!」

 ミサイル飛来。
 危ない。咄嗟に和紗を庇って、ジェンティアン爆散。

「ひどいのですぅ〜! そんな事したら、めっ、ですよぉ〜!」

 木葉がぷんぷん。
 そして爆散。

 大惨事である。

 流れ弾はアンジュの方にも。

「なにしとんじゃワレェ!!!」

 アンジュは手近なテーブルをひっくり返して盾にしつつ、ハジキで反撃。気の向くままに暴れ回る。

 一方、戦闘の余波で控え室の衝立も崩壊。
 隠れていたセト&三田が現れる。

 特に三田の姿を確認した奏音は、薙刀を持って彼へと迫った。

「前回されていたお仕置きでは足りなかったようですね」

 天誅。
 しかしそこに立ちはだかる、護衛のひりょ。奏音の攻撃を防壁陣で受け止めつつ、されど内心で小首を傾げる。

(あ、あれ? …見知った顔がいるような気がするんだけど…)

 ともあれまずはセト&三田の安全確保が第一だ。ひりょがフォースで奏音を吹き飛ばす。
 押し返された奏音が、気絶していたミハイルにぶつかる。
 そのはずみで、気絶から覚めるミハイル。周囲を見渡した彼は、式場の隅に居た面子に目を丸くした。

 おつかい型の人狼。

「お前は、遊び人戦士(女)兼ク●パ!」

 堕天(自称)したはずの三田も居る。
 他にも見覚えのある者達がいっぱい。

「どういう事だ」

 一方、その疑問はひりょの中にもあって、

(お互いに勘違いならどこかで手打ちにしないと収集がつかないだろうが…)

 そう結論付け、ミハイルに話しかけようと――

「天誅です」

 瞬間、奏音がガラあきになっていた三田を薙刀でズバァ!

「あばー!?」
「安心してください、峰打ちですよ」

 峰打ち(痛くないとは言ってない)。

 その後、三田の胸倉を引き起こして事情聴取。
 合点がいく奏音とひりょとミハイル。

「誰じゃァ、誤報流したのはっ」
「心当たりがあります」

 憤るひりょに、奏音が言う。
 それはバック…を焚き付けたゲイン。

 ミハイルもすぐにその答えに至る。

「なんてことだ、俺は相棒(ク●パ)を敵に回すところだった!」

 怒った3人はゲインを探すべく、混沌とする式場を走り回った――



 混乱に乗じてバックを撒いたゲインは、厨房にある材料で即席爆弾の作成に勤しんでいた。
 透明化の効果時間が切れた雪子も何食わぬ顔で作業を手伝う。

「こういうの映画で見た事あるんですわ? お?」

 キッチンはボーナスステージ。

「完成したら雪子にも分けてください」
「何に使うつもりだ?」
「説明しよう!」

 第1目標は天井。屋内でも天井を壊せばもはや屋外、この手に限る(筋肉式解決法)。
 第2目標は新郎新婦。屋内では使えないsnow-noise.exeも、屋外なら使用可能。吹雪に紛れて雪子の犯行隠蔽! ウェディングを吹っ飛ばしてやります。

「フヒヒ、リア充爆発しろ」

 吹雪が発生してる時点で雪子の犯行だと明言してるようなものなんですがそれは。

「が、学園には氷のアウル使う撃退士とか他にもいますし(雪室先輩とか藍那先輩とか」

 おっ、そうだな。

「できたぞ」
「よし爆破」

 翼で飛んで天井にセットする雪子。ポチッとな。
 吹き飛ぶ岩盤。射し込む太陽。

 だがその爆音を聞きつけ、ミハイル、奏音、ひりょ、そしてバックまでもがやって来る。

「ゲイン、騙したな!」

 バレットパレードを展開するミハイル。神話の神々や魔獣の姿を模った幻影が一斉にゲインを貫く。
 ついでにバックも巻き込み。情報の裏を取らなかったのは同罪なんだぜ。

 追撃に、ひりょがハリセン(魔具)でホームラン。

「往生せいやぁ!」

 ずばーん!

「フフフ、あなただったんですねゲインさん。私の休息を奪った原因は…潰します」

 黒い笑みを浮かべながら薙刀に太陽光を集める奏音。近くにいた雪子やひりょやミハイル諸共ゲインとバックを丸焼きにしようと。

「「え、ちょっ」」

 天照ビームつぴー!
 ジュワッ。

 更に、話を聞いた黒百合とラファルも駆けつける。

「おいたした子には御仕置が必要だわァ…」

 しかし黒焦げになったゲインとバックとミハイルとひりょと雪子の見分けが付かず。

「まァ、どれももヤっちゃえば同じよねェ♪」

 巨槍で急所突きズドォ!

 トドメは爆砕ラファルさん。
 偽情報とか真相とかメンドクセー。

「何もかもをぶっぱするぜ」

 転がっていたゲイン作の爆弾をくくりつける。
 今日は爆発はなしと言ったな、あれは嘘だ。

 着火、大 爆 発 !

 こうして、悪は滅びた。
 だが会場では、未だ混乱の戦闘が続いている。

 事情に気づいたユウが必死に停戦を呼びかけるも、爆音に掻き消されて届かず。
 その時――

 どっかん!

 壁に開いていた穴から1台のオープンカーが突っ込んできて、ひょっとことファントムを撥ねた。

「遅くなって申し訳ありませんですの」

 乗っていたのは斉凛(ja6571)。

 結婚式と言えばウェディングカー。
 ウェディングカーと言えばリアバンパーの空き缶からんころん。
 これがテンプレ。

 凛はセトと三田を手招きしつつ、

「さあ、早く乗って。お二人をハネムーンにご招待ですわ」

 自分は車から降り、バンパーには空き缶の代わりにひょっとことファントムをぶら下げる。

「からんころん」

 口で言いながら車を見送る凛。

「いってらっしゃいませ」

 ちなみに運転手は凛ぱっぱ。
 新郎新婦を乗せ、天魔2人を引きずりながらブオーッと穴から出て行く。

 その平和?な光景を見て、漸く戦いは収まった。



 落ち着きを取り戻した会場で、凛は見覚えのある雰囲気の天魔を発見。
 どうやっても顔が見えない男天使と、車椅子の女悪魔。

 隠し持ったカメラ片手に近づく凛。

「カップルになっちゃいなよ、YOU達」

 主同士が仲良くなれば、あの2人も仲良くなるはず。

「そういうものなのですか」
「ははっ、いやいや。私程度が彼女の相手などとは恐れ多いよ」
「そうかしら? きっとお似合いだと思いますですの」

 会話しながら、主組のツーショット写真を盗撮ぱしゃぱしゃ。
 しかし何故かどの写真も射光が被り、やはり男天使の顔を見る事は出来なかった。



 一方その頃。誰も居なくなった厨房に、とある一団が辿り着いていた。
 秘宝組。
 そこに置かれていたBIG MILK。

 ねんがんの 大きくなる秘宝を てにいれたぞ!

「エリス達も来てたのかー」

 呼ばれて振り返ると、フェルミ&大次郎が居た。
 大次郎は口に何か咥えている。

「洞窟で見つけたから拾ってきたぞー」

 ぺっと吐き出されたそれは、ディザイアとヒスイと葉月とパサランだった。
 直後、パサランがぶるぶると震えだす。

 ぺっ。
 湊が出てきた。

 雫がじとっとした目付きになる。

「せっかく間引いたのに…」
「間引?」
「いえ何でもないです」

 ともあれ、秘宝は手に入れた。

 目を覚ました葉月が、MILKを凝視。
 道中は意気揚々だったが、いざ目の前にすると不意に迷いが。

「これを飲んだら私もお姉ちゃんみたいに…! …あれ? でも、今よりも肩こり酷くなる? それに、どれぐらい大きくなるんだろ?(軽く寄せてみたりしつつ悩む」
「「おい何を寄せてやがるんです?(ぎりぃ」」

 浴びせられる殺気をものともせず、MILKの注ぎ口を少し開けて匂いをすんすん。
 本当に腐ってない? 大丈夫?

「こんな時のために、ゆーかいしてきたのよ!」

 チルルが、サラシで縛ったままの恋音を前へ。
 雫も、大剣の腹で恋音の胸をぺちぺちしながら言う。

「さあ飲んでください」
「……は、はい……。……ただ、試飲するのは構わないのですけれどぉ、それとは別に、後で私にも少し、分け前を頂きたいのですよぉ……」
「これ以上どこを大きくするつもりですか(ぺちぺち」
「……い、いえ、そのぉ、研究が目的であって、決して大きくしたい訳では……(ふるふる」

 とりあえず、グラスにちびっと注いで恋音の口元へ持っていき、ぐびっと飲ませる。

 が、変化なし。

 まさかガセネタだったというのか。
 絶望に打ちひしがれる、スットン共和国民。

 ――だがこの時、彼女達は気づいていなかった。恋音の拘束している特殊サラシが、MILKを飲んだ恋音の変化を抑えつけているのだという事に。
 そしてその無理な抑制の裏で身体は間違いなく悲鳴を上げ、軋みに耐えるのに精一杯で声も出せぬまま恋音がふるふると震えていた事に。

「まあまあ、せっかくここまで来たんだもの。ダメ元で飲んでみたらどうかしら」

 華宵の提案に、雫達が頷く。

 そこへ、式場で振る舞う為の紅茶を淹れに来た凛が登場。
 事情把握。

「なら皆さんの分は、ミルクティーにして差し上げますですの」

 MILKと紅茶の特性ブレンド。
 丁度ヒスイも目を覚まし、カップを受け取る。

 気合を入れる雫。

「これで…私に将来が無いと言う考察が間違っていると証明して見せます」

 一方で葉月は、やっぱりちょっと怖いので先にパサランに飲ませてみる事に。
 そして一斉にぐびっと――

 その時、恋音を縛っていたサラシがぶちぃ!

 抑えるものがなくなり、一瞬にして巨大化。
 薬物の影響を受け易い体質と肥大化しやすい特性が相乗効果を生み、身長60m強、バスト420m強という驚異的なサイズになった。胸囲だけにな!(ドヤァ

 洞窟ごと全てを押し潰す恋音(の乳)。
 全員圧死…かに思われたが。

 直後、巨大化した他の秘宝組が乳を持ち上げて這い出てきた。
 意識を取り戻したディザイアも乳下から退避しつつ、ビッグエリスを見上げる。

「お嬢が、大きくなっちまった………………ちと抱き抱えて欲しいかもしれない」

 代わりにレフニー辺りに握り潰される未来しか見えない。

「まあ、秘宝は本物でしたのね」

 巨人を仰ぐ凛。
 自分の胸も大きくなる期待を持ち、残っていたミルクティーをぐびぐび。
 ビッグ凛。

「でも胸だけじゃなくて他の部分も一緒におっきくなってるから、それって結局胸は小さいままだよね」

 ビッグパサランを見上げていた葉月がぽつり。

 瞬間、絶望と嫉妬にブチ切れた巨人達が暴れだした。しまいには、MILKの残りを巡って仲間割れを始める(主に雫が

 いかん。このまま彼女達が怒りに任せて人里へ降りていけば大変な事に!

 動いたのはルーカス。
 テロリストを1人でも逃がすと民間人に被害が及びかねない。迅速且つ正確に鎮圧を図rぷちっ(踏

「相手にとって不足なし!」

 飛び出したのは愛。
 ビッグエリスの踵に掴みかかり、スープレックスを仕掛けrぷちっ(潰

 特撮映画ばりのビッグバトル。

『やっぱり、あたいの考えは正しかったのね!』

 ビッグチルルが叫ぶ。
 この勇姿をカメラにとって、ネットにアップするのだ。

 空撮担当:量産型ロペ子(空)

 他方で、暴れていない巨人も居た。
 大人っぽい緑髪の美青年…え、これ誰?

 瞬間、ボンッと巨大化が解ける緑の人物。
 元に戻ったその姿は、ヒスイだった。

「あ…あ…」

 いつもの子供体型に茫然とするヒスイ。
 一時的な秘薬だからね仕方ないね。

 また、自乳に乗った様な状態で動けずにいた恋音は、大次郎を呼んで胸に乗せてもふもふ。
 ついでに少しMILKを飲ませてみると、10m級だった大次郎が100m級に。それでも恋音の乳に楽々収まっていた。

「……摂取量によっても、変わるかもしれませんねぇ……」
「わぅ…いいなぁ」

 もふもふが羨ましくなった湊も、ケセランのモワルーくんを召喚してMILKを飲ませる。
 ビッグモワルーくん。パサランかな?
 ちな、自分の身長を伸ばすという発想はもふもふの前に芽生えず。

「あれ何しに来たんだっけ僕…もふりにかな!」

 駄メイド仕事しろ。

 ふと、地面に冷蔵庫が転がっていた。乳の下敷きになって歪んだのか、開かない。

「了解した。任せてもらおう」

 答えたのは、生きていたルーカス。しかしペランペランである。
 ショットガンを使って、扉の蝶番を破壊。

 すると中に入っていたのは、ビール瓶片手にチーズを貪るシエル。
 彼女は、くるぅり振り向き、

 そっ閉じ。



 元に戻った秘宝組。
 華宵やディザイアが、すっかり落ち込んでしまった一行を慰めていた。

「愚痴ならいくらでも聞くわよ?(微笑」
「また次の秘宝に期待しよう、な(エリスの頭ポンポン」
「うん…今度はディザイアを肩に乗せてあげるわ(もう“胸が”大きくなる秘宝なんて無いと思ってる」

 すっかり荒んで…(ほろり

「ところで」

 華宵がエリスを見る。

「何処か働けるとこ知らないかしら? 出来れば住込みで」
「あ、じゃあママに聞いてみる? オカマバーだけど」
「あらホント? 助かるわ」

 接客(オカマ)希望。
 これまでの入居順に倣うと、たぶん部屋は和紗の隣になるだろう。

 そんなやり取りの後ろでは、レフニーがえぐえぐと恋音に泣きついていた。MILKの残りを差し出して、研究を依頼。
 もういっその事、宿命改変薬とか開発した方が手っ取り早いかもしれない。

 その時、セトと三田を乗せたウェディングカーがブオーッと戻ってきた。
 出迎えるラファル。

「結婚式ならそうと言ってくれれば実包で祝砲ぶっぱしてやったのによー」

 実包(雪子)。
 ついでにゲインも筒に詰める。

 対して泣き止んだレフニーが、じーっとディザイアを凝視。

「贄の人花火…(不穏」
「俺を打ち上げようとするのはやめるんだ!(逃走」

 かくして、実包発射。祝いの音が鳴り響く。

 学園勢と仮面天魔達が祝福を注ぎ、シエルがフラワーシャワーの中にシエりじをの種を混ぜて投げる。
 愛もお祝いしながら、淑女らしく静々と会場の料理をタッパーに詰めて回っていた。だがふと中身に目を向けると、

\ことぶき/

 シエル顔の喋る草がにょきっと生えていた。

「ひえっ」

 青い顔をしてタッパーを放る愛。
 すると奏音とオペ子がやってきて、それをブチッと千切ってもぐもぐ。

「大丈夫です食用です」

 サラダでどうぞ。

 一方、フラワーガールに飽きたシエルは、酒瓶をラッパ飲みしていた。
 そしてべろんべろんに場酔い。息をするようにチーズを貪りだし、調子に乗って沸騰したチーズパイをゲイン(と思しき燃え滓)に振る舞う。

「おぉっと手がすべったぁ!!(ベショォ」

 ジュワー。
 美味しい。

 そんな賑やかな光景の隅で、1人ぶつぶつと体育座りしていた和紗。
 自己嫌悪から抜け出せず、ケセランをもふりながら猫図鑑で心の平穏を求める。

「和紗」

 その背に声を掛けるリーゼ。

「上手く言えないが、もっと自信を持っても大丈夫だ」

 独りで抱え込もうとするな、もっと他人を頼っても良い。そう教えてくれたのは和紗だ。
 だからあの時、自分は和紗や皆を頼れた。そんな和紗が“如き”などという事があるはずがない。
 あと自分に恋人はいない、と。

 それにそろそろ元気な姿を見せてやらないと、あそこにストレスと過呼吸で倒れそうなハンカチお兄ちゃんがいるしな!(ジェンティアンひっひっふー


 そうしてそれぞれの想いを鐘の音に乗せ、お忍びの結婚式は最後まで華やかに執り行なわれた――……



●後日
 MILKの後遺症でまた一回り成長してしまった胸に頭を悩ませながら散歩していた恋音。

 ちなみに式が終わった後、気が付けばゲインは姿を消していた。
 ついでに雪子も居なかった。
 一体、どこへ行ってしまったのか。

 と思ったら、道路脇のゴミ捨て場に2人が頭から突っ込んだ状態で捨てられているのを発見。

『流石にこれはリサイクル不可でしょうが? by ミスターTR』

 通報すべきか、見なかった事にすべきか。
 恋音が考えていると、

「探してんの?」

 不意に『あの男』が現れた。

「あるよ」
「……おぉ……。……今度は、5000年前の豆乳の地図、などでしょうかぁ……?」
「3ヶ月前に滅んだ古代文明の秘宝さ」
「…………う、うぅん…………? ……そ、それは滅んだと言うよりも、所謂、倒産というものでは……?」
「その地図、俺が買おう」

 そう言ったのは、偶然通り掛かったディザイア。
 エリスにあげるつもりの豆乳が入った袋を抱えている。

「お代は結構だよ」

 そして気がつくと男はおらず、ディザイアが抱えていたはずの豆乳も忽然と消え失せていた。
 残ったのは秘宝の地図。

 とりあえず、またエリスに渡してみるとしよう――




依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 伝説の撃退士・雪室 チルル(ja0220)
 歴戦の戦姫・不破 雫(ja1894)
 護黒連翼・ディザイア・シーカー(jb5989)
 あなたへの絆・蓮城 真緋呂(jb6120)
 久遠ヶ原から愛をこめて・シエル・ウェスト(jb6351)
 この想いいつまでも・天宮 葉月(jb7258)
 来し方抱き、行く末見つめ・華宵(jc2265)
重体: −
面白かった!:15人

伝説の撃退士・
雪室 チルル(ja0220)

大学部1年4組 女 ルインズブレイド
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
紅茶神・
斉凛(ja6571)

卒業 女 インフィルトレイター
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ねこのは・
深森 木葉(jb1711)

小等部1年1組 女 陰陽師
来し方抱き、行く末見つめ・
黄昏ひりょ(jb3452)

卒業 男 陰陽師
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
優しき強さを抱く・
ユウ(jb5639)

大学部5年7組 女 阿修羅
護黒連翼・
ディザイア・シーカー(jb5989)

卒業 男 アカシックレコーダー:タイプA
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
久遠ヶ原から愛をこめて・
シエル・ウェスト(jb6351)

卒業 女 ナイトウォーカー
久遠ヶ原の魔法使い(黒)・
ヒスイ(jb6437)

中等部3年1組 男 ナイトウォーカー
暁光の富士・
ルーカス・クラネルト(jb6689)

大学部6年200組 男 インフィルトレイター
光至ル瑞獣・
和紗・S・ルフトハイト(jb6970)

大学部3年4組 女 インフィルトレイター
ついに本気出した・
砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)

卒業 男 アストラルヴァンガード
この想いいつまでも・
天宮 葉月(jb7258)

大学部3年2組 女 アストラルヴァンガード
氷結系の意地・
玉置 雪子(jb8344)

中等部1年2組 女 アカシックレコーダー:タイプB
蒼色の情熱・
大空 湊(jc0170)

大学部2年5組 男 アカシックレコーダー:タイプA
空の真ん中でお茶を・
夜桜 奏音(jc0588)

大学部5年286組 女 アカシックレコーダー:タイプB
ドS巫女・
加賀崎 アンジュ(jc1276)

大学部2年4組 女 陰陽師
天真爛漫!美少女レスラー・
桜庭愛(jc1977)

卒業 女 阿修羅
来し方抱き、行く末見つめ・
華宵(jc2265)

大学部2年4組 男 鬼道忍軍