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マスター:水音 流
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:23人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2016/01/10


みんなの思い出



オープニング

 12月24日、朝。

 ――久遠ヶ原島の、とある防波堤。

 海面からぬっと誰かの手が伸びて、陸地を掴む。
 現れたのは、男の天使。

「ふ、ふははっ、ついにやったぞ!」

 海から揚がり、天使はきょろきょろと周囲を見渡して確信。

 脱獄に成功した。

 去年の12月24日の夜、謎の強化人類達にボコボコにされてから1年。屈辱的な投獄生活に耐えながらスプーンでコツコツと穴を掘った甲斐があった。
 少々掘りすぎて海に出てしまったが、この際それも良しとしよう。

「しかし、ここはどこだ? かなり泳いだ気がするが……」

 飛んでは目立つと考え、天使は地に足をつけて街を探す。1年もの間、精神エネルギーを摂取していない。何はともあれまずは補給だ。
 煌びやかなイルミネーションと人々の波を追うように彷徨う。
 頭に浮かんだのは、去年の24日に遭遇した恐ろしい少女の言。

『……こういう危険な目に合うこともあるのですから、人間達の習慣等を、きちんと調べてからおいで下さい……』

 その言葉と、炭にされた経験から学んだ事――
 すなわち、この時期のカップル…の周辺に居る“ぼっち”に近づくと危ない。どうやら“クリスマス”や“サンタ”という単語が重要な意味を持つらしい。

(また邪魔をされては堪らんからな)

 獲物を探すならカップルが行き交う街中ではなく、且つ、荒んだぼっちの少なそうな場所が良い。

 そうして見つけたのは、とある建物。
 入口には『斡旋所』の文字。何の事かは分からなかったが、そこに在ったのはパーティー仕様に彩られたロビーと、サンタ衣装で宴に興じる大勢の賑やかな姿。
 カップルもぼっちも関係無い。当パーティーは誰でもウェルカム。そんな雰囲気だった。

 ちょうど良い。ここを狩場にしよう。
 天使は自動ドアをくぐって中に入るや否や、天井に向かってバァン!と魔法を撃って高らかに宣言。

「今から貴様達の精神エネルギーをいただく。抵抗する者は見せしめにする」
「うおっ、びっくりしたー」
「おい誰だよ、ふざけてスキルぶっぱしたやつ」

 対して、「何々?」と集まってくる人々。
 彼らは穴の開いた天井を見上げながら、

「あ〜あ〜、何やってだよおまえ〜」
「イブだからってハシャギすぎだろ」
「局長さんに怒られるわよコレ」
「……」

 なんだこいつら全然動じてねえ。

「おい貴様達、私の話を聞k…」

 瞬間、どっかん!と壁をブチ破って入ってくる10m超えの巨大な黒猫。

「誰か阻霊符張ってたなー。壊しちゃったぞ大次郎ー」

 その巨猫の頭上で、ぽにっと垂れている悪魔の女。サンタ帽を被り、白い袋を担いでいる。
 次いで、

「俺のほうが早かったっつってんだろ!」
「寝言は生き返ってから言え」

 ドドドド!と爆走してくる、黒いヴァニタスと白いシュトラッサー。
 肩を押し合いながら壁に開いた穴から飛び込んできて、瞬間、目の前で動く物体にうずっとした巨猫の肉球にびたーん叩き潰される。

 それを見て爆笑する若人達。

「ぺしゃんこwwww」
「まじうけるwwww」
「あはは、ふひっ、ヒヒヒ、イヒ、イヒハハハハハハハハ!!」

 狂笑。
 なにこいつらやべえ。

 そこへ奥の部屋から別の人物が登場。

「何の騒ぎだ」

 眼鏡を掛けたスーツ姿の女と、頭に黒い仔猫を乗せた銀髪ツインテールの女子。
 スーツの女は崩れた壁を見て眉を顰める。

「樫崎、直しておけ」
「オペ子です。了解です」

 銀髪ツインテが答えると、彼女によく似た?ドラム缶がブオーっとやって来て修復作業を開始。
 更にそのロボに似た別の3体も登場し、作業を手伝う。

 ふと、天使はオペ子の衣服に目がいく。
 コートのような、黒い儀礼服。
 先程まではサンタ服の赤ばかりが目立っていて気付かなかったが、よく見るとオペ子と同じデザインの服を着ている者もちらほら。

(この服装、どこかで……)

 ぽくぽくぽく、と考えること数秒。
 チーン、と思い出す。

 撃退士の制服だ。

「つかおまえ誰よ?」
「えっ」

 その時、学園生の1人が天使を見やった。
 それにつられるようにして、1人、また1人と、天使に目を向ける。

「さっき見せしめがどうとか」

 じー、と一同の視線が刺さる。

 能力者だらけ。
 なにこれぜったい勝てない。

 滝のような汗を流し始めた天使は――

「さ、三田(さんた)です。堕天してます。本当です」



 ――須賀部グループが経営している、児童養護施設。

 サンタ服と白髭を身に付けて現れた須賀部 京埜を見て、子供達が集まってくる。
 あっという間に囲まれて、追い剥ぎのようにお菓子や玩具を毟り取られた。

 やんちゃ盛りな男の子は、京埜と一緒に来ていたメイド――リョウコとミコト――にもちょっかいを掛けに行く。
 サンタ仕様のメイド服。特にリョウコの衣装は普段のメイド服と同じく、京埜が用意したミニスカバージョンである。

 男の子の1人が、ふざけてリョウコのスカートを捲る。

「あ、テメーこら!」
「やーい白ぱんt…」

 瞬間、がしぃ!と男の子の顔面を鷲掴むリョウコ。
 めきめき、ぷらーん。

「他になんか言う事あるだろ?」
「ごめんなさい…」

 一方、それとは別の男の子がミコトの背後から、そろ〜りそろり。
 足首まですっぽり覆ったロングスカートの裾を掴もうと、匍匐しながら手を伸ば――

 ヒュンッ ザクザクザクッ

 寸前、大量のナイフが降り注ぎ、指の間で地面に刺さる。

「あら〜、落としちゃったわ〜。うっかり〜(うふふ」
「…!!(ガタガタガタ」

「うむ。よきかな」

 一同の元気な姿に満足気に頷く京埜。
 付け髭や袖を引っ張られながら、彼は子供達にお出かけの準備を促す。

「何かあるのー?」
「斡旋所でクリスマスパーティーだ」



 ――オカマバー『Heaven's Horizon』。

 サンタコスで、肩には手作りのお菓子が詰まった白袋。
 ちなみにリーゼとうさぬいは、サンタ帽の代わりに大きな角を付けてトナカイ役だ。

「忘れ物ない?」
「(こくり)」

 エリスの問いに無言で頷くリーゼ。
 店の入口に『クリスマスパーティー。斡旋所にて』と書いた紙を張り付け、戸締りを確認してママやキャシー達共々いざ出発。



 続々と増える参加者達。

 ――その頃、三田は。
 ビビったままなのが悔しいのとエネルギーが欲しいのとで、隙あらば襲ってやろうと様子を窺いながらまだ会場に居た。

 でも真正面から挑むと生き残れる気がしないので、こっそり仕返ししよう。
 例えばケーキの苺ソースの上からタバスコを掛けておいたり、炭酸飲料のペットボトルを盛大にシェイクしておいたり。
 フヒヒと口端を歪めながら、チャンスを窺ってきょろきょろキョドる。

「私をコケにした報いを受けさせてやるぞ」

 さあ、パーティーの始まりだ――




リプレイ本文

「お土産になんか作っていきましょう〜」

 台所に立つ深森 木葉(jb1711)。
 何を作ろう。

「ん…。よ〜し、三色団子を作るのです。赤、白、緑でクリスマスっぽいのです」

 ボウルの中に上新粉と砂糖を入れ、お湯を足しながらこねこね。
 蒸した後、水で溶いたヨモギの緑や紅花の赤を混ぜて更にこねこね。
 まんまるに整えたら、緑、白、赤の順に串に刺して完成。

「みんな食べてくれるかな〜」



「クリスマスパーティーですか。差し入れが必要ですね」

 台所に立つ夜桜 奏音(jc0588)。
 何を作るかは既に決まっている。

 サバイバルナイフで食材を刻み、直火で炙り、飯盒で煮込む。
 数品目をちゃかちゃかと仕上げつつ、内1品は3分の1ほどハズレを仕込む。
 勿論それも捨てる事無くしっかり箱に詰めて持っていく。

「パーティと言ったらロシアン料理ですよね(黒笑」



 出発前のヘヴホラ店内。

\がお(こくり/

 厨房の火元を確認して頷く、超リアル白くまー(のキグルミを着たRehni Nam(ja5283))。ヘヴホラの黒エプロン+トナカイの角を装着。
 するとエリスがやってきて、プレゼントを差し出す。

「メリークリスマス!」

 端っこにくまーの肉球マークが刺繍された黒エプロンが入っていた。
 洗濯中でも足りなくならないよう、7枚セット。それぞれ肉球マークの色が違う。

\がおー、がおー/

 喜びのくまー踊り。
 早速、着けていた黒エプロンと交換して装着。

 やがて2階から下りてくる樒 和紗(jb6970)とリーゼ。

\がお(ぺこり/

 お疲れ様くまー、と先輩2人に会釈。
 対してエリスは、和紗にもプレゼントを渡す。

 ストラップ型のスマホ用液晶クリーナー。
 たゆたうケセランにうさぬいがぶら下がっている。

「ありがとうございます。では俺からも…」

 どさどさ。
 問題集の山と、手作りの栞セット。

「来年こそ進級を」

 ちーん。

 次いで和紗は、リーゼにもプレゼント。
 黒羽をモチーフにしたチャーム。よければ携帯のストラップにでも、と。

「ありがとう」

 携帯に結び、大事そうにポケットへ。
 その後、彼は和紗へ向き直り、

「俺も用意した」

 少し大きめの箱を取り出し、手渡す。
 そっと蓋を開けてみると――

 中は空っぽだった。

「??」
「カクテル道具一式を贈ろうと思った」

 が、仕事でも使うなら自分の手に馴染む物を選んだほうが良い。
 という訳で、

「一緒に選びに行こう」

 支払いは任せろー(バリバリー ※イメージ音です

「なるほど、ありがとうございます。ではその時は、アドバイスも宜しくお願いしますね?」
「(こくり)」

 一同は戸締りをしていざ会場へ。
 “何時かの誰かの様に”エリスを肩に載せて移動する白くまー。

 そしてその“何時かの誰か”はと言うと――



「…時間が過ぎるのは本当早いな」

 ヘヴホラへの道を歩くディザイア・シーカー(jb5989)。
 お嬢と七面鳥齧りつつ白くまーらの妨害を警戒…のつもりだったのだが、

\がおー/
「あ、ディザイア。メリクリー」

 白くまーは、既にお嬢を肩に乗せていた。

 しまった出遅れたか…!
 時間が過ぎるのは本当早いな。

 ベアクローを剥き出しにしてザッザッと素振りしてみせる白くまー。

 しゃきーん
 ざしゅっ(示威

 これでは迂闊にお嬢に近づけない。
 じりじりと間合いを測り合いつつ、

「まあ、とりあえずメリークリスマスだ」

 一緒に会場へ向かう事に。

「そういえばお嬢、進級できなかったんだよな?」
「うぐ」

 暴動に巻き込まれたのが原因らしいが、そもそもギリギリだったとも聞いた。

「…家庭教師とか、要らないか?」

 じっと見て、あっぴる。
 この機会を逃すまいと、ママを交えて3者面談風に。

「こういうのは日々積み重ね、ちょっとずつやってくもんだしな」

 それと……

「まだ従業員枠は開いてるかね? キッチンなら手伝えるがどうだろう?」

 そろそろ定職につきたくもある。
 あわよくば住込み、もしくは通いで入り浸れる口実に…!(悪い顔

「…ま、心配なのは本当だしな」

 来年こそは無事進級できるよう守ってみせよう!

 するとエリスがママのほうを見やる。
 ママのほうも、「ふふっ」なんて笑みを浮かべていたり。

「どうしたお嬢」
「ママの予想が当たったなって思って」

 言いながらポケットから鍵を取り出す。
 バーの2階…エリスの隣の部屋の鍵。

 ――ディー君へのクリスマスプレゼント? コレなんてどうかしら。丁度良いタイミングだと思うわ。

「ありがたい!」

 ねんがんの となりのかぎを てにいれたぞ!
 ディザイアは差し出された鍵を受け取ろうと手を伸ばs

 ばしっ
 べあちょっぷ。

「……」
\……/

 手を伸ばs
 ばしっ

 手をn
 ばしっ

 伸伸伸伸
 ばしばしばしばしっ

 ズオアアァァァァ!(無数の手が唸る音

 直後、ざっしゃあ!やられるディザイア。
 どさぁ。

\がおー/

 勝利のポーズ。
 直後、白くまーは思い立ったように一旦エリスを降ろしてどこかへと去って行く。

 すると白くまーが消えた角の向こうから、(白くまーを脱いだ)レフニーがやってきて、

「メリークリスマスですエリスちゃん!」

 アーティストの創造スキルを発動。匠心という名のアウルを発揮し、実体化した手の平サイズの『エリス+白くまー像』をディザイアの頭にご〜〜〜んと落ちた。

 だがこのスキルで作った物は24時間後に消滅してしまう。
 消える前にデジカメで撮っておくエリス。その後そっと手に取りながら、礼を言おうとレフニーを振り返ると…既に彼女の姿はなかった。

 程なくして白くまーが戻ってくる。
 改めてエリスを肩に乗せ、会場へ。

 ちなみにディザイアはリーゼがソリに乗せて運んだ。



 のんびり会場へ向かうジェラルド&ブラックパレード(ja9284)。
 道中、バックとその愛犬レジーことプレジデントに遭遇。暇潰しにと、歩幅を合わせながら彼に声を掛ける。

「おはようございます☆」
「おはようー! 良い朝だなー!」
「バックさんは相変わらず、世界の危機を救ったりしてるんでしょ?」
「テロリストの要求には応じないー! これは国際常識だー!」
「ボク、ファンなんですよー♪」
「なにー!」

 瞬間、油性ペンを抜くバック。

「俺のファンだとー! さては貴様テロリストの一味だなー! 言えー! どこの所属だー! 仕方ないサインしてやるー!(ジェラルドのシャツに書き込もうと」
「や☆ それはちょっと♪」

 レジーが、ワンと一鳴きしながらバックの膝にお手して窘める。
 冷静になるバック。

「君の服に危害を加えようとして……(タメ)……本当にすまないと思うー!」

 その時、

「ワンコおるやんけワンコぉ!!」

 ぺっこりした舌出し顔のシエル・ウェスト(jb6351)が走ってきた。

「ワンコおるやんけワンコワンコおるやんけぇ!」

 ワンコワンコわああああ!(連れ去り

 あっという間に見えなくなるシエルとレジー。
 バックはすぐさま携帯を取り出し、

「俺だー! プレジデント(犬)が攫われたー! なにー! 政府施設に爆破予告だとー! ふざけるな今はそれどころじゃないー! ワンコが誘拐されたんだー! 特殊部隊を出動させろ今すぐだー!」



 その頃、斡旋所では――

 下拵え済みの食材を持って訪れる木嶋香里(jb7748)。炊き出しテントで仕上げに取り掛かる。
 ジビエ肉の陶板焼き、ローストビーフ、エビの生春巻き、海鮮手巻き寿司 etc. 自身が女将を務めている和風サロン『椿』自慢のメニュー。
 ノンアルコールカクテルに使う材料も一通り持ってきた。

「あら? お料理のお手伝いも歓迎なのね」

 その様子を見ていた地堂 灯(jb5198)。

「せっかくだもの、私が手伝うわ!」
\おいばかやめろ/

 灯の背後から背後さん的な声がする。

\お前は料理をするんじゃない/

 だが無視。

「芸術は爆発するものだというし、料理も似たようなものよねっ!」

 油火災かな?

「ケーキを作ってるはずなのに美味しいつみれ汁が出来た私だけど…今日は何が出来るのかしら?」
\美味しい別物? それとも劇物? ひょっとすると未知の生ぶt…/

 むんずと背後さんを掴んで鉄板代わりに設置する灯。着火。
 油を敷いて肉を投げ入れ、麺をほぐしてキャベツをぶち込み、ソースを絡めてひたすら混ぜる。
 たぶん焼きそば。

「何故かしらね、レシピ通りに作ってるはずなのに、完成例の料理の写真みたいになった事なんてないのだけど」

 などと言ってる傍から、出来上がったのはナポリタン。ケチャップどこから出た。

「楽しく盛り上がって欲しいですね♪」

 香里はそれを止める事無く、にっこりと応援していた。

「…………う、うぅん…………?」

 一方、その光景を香里とは反対隣から見ていた月乃宮 恋音(jb1221)@小次郎&大次郎を意識して黒猫コス。
 ふるふると微震しながら見守りつつ、洋風中心に料理供給のお手伝い。ピザやローストチキン、サンドイッチなどをせっせと皿に盛っていく。
 猫用の魚料理や猫まんまも忘れずに。

 そして彼女にぴったり付き添うは、変人…(二重線)…恋人である袋井 雅人(jb1469)。
 恋音のお手伝い兼ボディガード兼エスコート役。

「恋音、この料理こんな味付けでどうでしょう?」

 左手で一口差し出しつつ、右手でピザの生地を捏ねる…つもりがうっかり恋音の胸をこねこね。

「…………お、おぉ…………? …………は、はい、大丈夫だと思いますぅ…………(ふるふるふるふる」
「おっと、ボディガードとして装備のチェックもしておかないといけませんね」

 思い出したように自身のV兵器を整理。

「えっと、この魔具はココにしまって……」

 無くさないよう股間にごそごそ。

「ややっ、エスコート役なのに衣装に着替えるのを忘れていましたよ」

 猫コスの恋音に合わせて自分も猫になろう。
 服を全て脱ぎ去り、猫耳だけ装着。
 股間にしまった魔具でギリギリセーフ!

「うん、衣装はこんな感じですかね」

 安心しないでください、穿いてませんよ。



 完成した料理を順次ロビーへ運ぶ香里。

「皆さん、楽しんで行ってくださいね♪」

 参加者達に配り歩きながら、オペ子や局長の所にも挨拶がてら差し入れ。

「まだまだありますから、おかわりは遠慮なく仰ってください♪」
「いただきます(ぺこむしゃあ」
「いつもすまんな」

 そこへ青鹿 うみ(ja1298)もやって来る。

「お招きありがとうございます、オペ子さんっ」
「くるしゅうないです(もぐもぐ」
「青鹿さんもよろしければどうぞ♪」
「これはこれはご丁寧にっ」

 料理を取り分けて貰ううみ。でも小食なのでちょっとだけ。
 気に入った物は後でまた食べに来ようと、場所を記憶しながら少しずつ色んな物を抓んで回る。
 ふと、

「む、なんか変なにおい…?」

 一部の料理から、本来の味とは関係なさそうなにおいがしている…ような気がする。

「料理下手だけど、味はわかりますよっ!」
「食べて確かめてみるとよいです」

 ついてきていたオペ子が言う。
 おう毒見しろよ。

「お取りしますね♪」

 それを香里が皿に盛ろうと――

「おはようございます」

 その時、後ろから声を掛けられて3人は振り返る。
 奏音が立っていた。

「差し入れを持ってきました」

 重箱を開け、1段ずつ並べる。
 綺麗な見た目と良い匂い…だったのだが、最後の1段を見て再びうみが鼻をすんすん。

「こっちはロシアン料理です」

 ハズレが3分の1。パッと見では分からないものばかりだが、内何個か明らかに危ない色が混ざっていた。
 紫。極彩色。

「オペ子さん、これとかどうです」

 紫を指す奏音。

「せっかくなのでオペ子はこの普通の色を選びます」

 もぐもぐ。

「うましです」
「残念です」

 おい今残念と言ったか。

 奏音はうみと奏音にも料理を勧める。

「これはお近づきのしるしです。1個どうぞ」

 紫がオススメです。

「ありがとうとうございますっ」
「頂きますね♪」

 と言いつつ普通の色を選ぶうみと香里。もぐもぐ。
 美味だった。

 ちっ。
 と奏音が言ったかは定かではないが、ふと彼女は物陰からこちらを窺っていた三田に気づく。
 ロシアン料理を持って彼の元へ。

「楽しんでいますか。これを1つどうぞ」

 三田の口に極彩色ねじ込み。
 瞬間、鼻からプピッ!とマーブル色の汁を噴く三田。

「ハズレですね。おめでとうございます」
「お、おのれ娘。私を誰だと思っt…」

 ハッ、いかん。正体がバレたらボコボコにされる。

「そういえば誰なんでしょう」
「さ、三田です…。よろしくおねがいします…」
「初めて本物を見たのですっ!」

 食いついたのはうみ。
 しかし、

「衣装…着忘れです?」

 首傾げ。

 三田とは言ったけどサンタとは言ってない。

 するとオペ子が言う。

「サンタ服ならあります」
「あ、どこかで衣装、貸し出しているのです?」

 案内され、うみと奏音は三田を引きずって更衣室へと向かった。



「クリスマスパーティ、か」

 ぽつりと呟くルーカス・クラネルト(jb6689)。

 いくら久遠ヶ原とはいえ流石に大荒れにはならない、はず。
 だってクリスマスだし。
 全世界的に事件が激減する時期だし。

 故に俺はゆるりと過ごす。

「クリストシュトレンの2つや3つ、お土産にしてな」

 という訳で、ドイツの名産を持って斡旋所に到着なう。

「オペ子。差し入れを持ってきた」
「樫崎ならさっきどこかへ遊びに行ったぞ」

 代わりに返事をしたのは局長。

「入れ違いか…」

 ルーカスは受付の椅子に座りながら菓子の包みを広げる。
 中身はシュトレンともう1つ、クレッツェンブロート。
 フルーツがぎっしり詰まった黒く重いドイツのクリスマス菓子。乾燥洋ナシ、レーズン、ナッツ類、シナモンなどの香辛料が入っており、甘味とフルーツの酸味が両方楽しめる濃厚なパンだ。
 とてもしっとりしていて、美味い。

「どうせすぐに食べ物目当てに帰ってくる。それまで待っていればどうだ」
「そうさせてもらうか」

 1人静かにパンを齧り始めるルーカス。

 初めてオペ子と過ごすクリスマス(意味深
 もしもオペ子が戻ってこなかったその時は、モブ男ルート待ったなし――



 備品として保管されていたパーティーグッズのサンタ服。
 うみは男用を三田に着せた後、次はオペ子へと迫っていた。

「儀礼服以外のオペ子はオペ子じゃないです」
「別にオペ子さんと認識されなくてもいいじゃないですか。むしろ化かしちゃいましょうっ」

 オペ子から小次郎を降ろして、儀礼服を引っ剥がしt…引っ剥がし…引っ剥……あれ?

「脱げないのですよっ?」

 服は掴めるのに、その掴んだ布地がオペ子の体から離れない。

「オペ子何もしてないです」

 棒立ちして無抵抗。
 仕方無いので儀礼服の上から着せる事に。

 が、オペ子の体にサンタ服を被せようとすると、まるで磁石の同極のようにぐぐっと押し戻される謎現象が発生。

「気合で何とかなるのですっ」

 撃退士の腕力で無理矢理押し込む。
 サンタコス装着っ!

 瞬間、

「あれ? オペ子さん?」

 オペ子が居なくなっていた。
 床に落ちるサンタ服。

 オペ子の霊圧が消えた…?

「殺ってしまいましたね」

 奏音がぼそり。

 2015年12月24日。
 青鹿 うみ、オペ子を滅す。



 ジャンクフードを確保し、BrOチームと共にノーパソを広げる玉置 雪子(jb8344)。

「このメンツならイベントのレイドボスも余裕なんですわ? お?」

 だがその時、ゲームの外にもレイドボスが発生。
 綾子と栄治。お互いの口にピザをあーんとかしちゃったりするやつ。
 oi みす おいなんか今年もカップル混じってんぞ紀伊店のか。

 お冠の雪子は、運営関係者である所の2人にぐいぐいとつっかかる。

「こないだの不具合の問い合わせまだ返ってきてないんですがそれは」

 弊社にて同様の症状が発生するか検証し、弊社側環境に起因する問題と確認できるのはいつなんですかコノヤロウ。
 いいそ雪子もっと言ってやれ。

「公式の配信、ユーストじゃ見辛いんですよ」

 カクカクだし画質悪いしちょくちょくCM挟まるし。ニコ生にでもしてくだしあ。
 いいぞ雪子もっと言…ん?

「くず鉄化した雪子の闇のレ・クロシュかえして」

 運営違い。
 やめてください(MSが)消されてしまいます。



 恋音は駐車場で大次郎に乗ってもふもふしながら、フェルミと歓談。
 そこへ雫(ja1894)がやって来る。

「今日こそはモフらせて貰います」

 恋音作の魚料理や猫まんまをかき集め、大次郎の前に置く。

「この料理を奉納しますから、暫くの間モフらせて貰えませんか?」

 匂いを追って小次郎も近づいてくる。
 更に、

「猫ちゃんならここにも居ますよ!」

 恋音のボディーガードとして大次郎の足元をうろうろしていた雅人が、全裸猫耳姿で雫へ飛びつk
 大剣でズバァ!

「あれ恋音の彼氏かー?」
「……はい……。……その、お付き合いさせていただいておりますぅ……」
「なんかすごいやつだなー」
「……は、はい……。……とても、素敵なお方なのですよぉ……」

 一方、雫は雅人をゴミ箱にポイして、再び大小次郎にごはんを奉げる。

「え〜っと、10分、いえ5分間でも構いませんから」

 2匹がお皿をすんすん。
 これは、上手くいきそうだ…!
 遂に自分にも、もふもふをもふもふ出来る時がやって来――

「ワンコおるやんけワンコワンコワンコおるやんけぇ!」

 ドドドド!
 レジーを抱えたシエルとそれを追うバックが、駐車場に突っ込んで来た。
 驚いて猫ジャンプで飛び退くW次郎。

 もふもふ失敗。

「……」

 雫は徐に大剣を振りかぶり、すれ違いざまシエルに横薙ぎ。
 画面が白黒のシルエット映像に切り替わり、スンッという音と共にシエルの首がスローモーションで胴から離れた。



 三田を発見したミハイル・エッカート(jb0544)。
 聞けば、堕天したてだと言うではないか。

「感情エネルギーではなく、ちゃんと食事を取るんだぞ」

 言いながら、乾杯しようと近くにあった炭酸ボトルを手に取る。
 妙に膨らんでいるような気がしたが、深く考えずキャップを捩――

 ブシャア!
 三田に直撃。

「うぉっ! こんな悪戯したのは誰だ!?」

 ハンカチで三田を拭いてやる。

「悪いな。まあ気を取り直してケーキでも食おうぜ」

 近くにあった苺ソース?たっぷりのケーキを三田に差し出す。

「あ、そのケーキはちょっと…」
「どうした甘い物は苦手か」
「むしろ辛すぎるというか…」
「苺ケーキが辛い訳ないだろう、おかしな奴だ」

 ミハイルは笑いながら三田の背中をばしばし叩く。
 そこへ灯が通り掛かる。

「料理をお探しかしら? ちょうど良かったわ」

 ナポリタンを差し出す灯。
 食べてくれるのを期待して、目をキラキラうるうる。

「さあ新人、レディの手料理はありがたく頂くのが礼儀だぜ」

 さりげなく全て三田へ逸らすミハイル。
 対して三田は、

(助かった…。これでタバスコケーキを食さずに済む)

 フォークで巻いてもぐもぐ。
 が、見た目はナポリタンであるのに、味は完全に焼きそばだった。しかも何だか舌がビリビリする。
 次第に顔、手、足と痺れが広がっていく。

「デス料理か。危ないところだったぜ」

 ミハイルがごちる。

「久遠ヶ原はデス職人の巣窟だからな」

 まあこれもまたこの学園の個性だ。

「久遠ヶ原へようこそ。手荒い歓迎だと思えばいいさ!」

 背中ばしばし。

「お、おのれ……」

 三田は小声でぷるぷる震えながら、その場を後にする。
 それを偶々近くを通って見ていたジェラルドは、

(…ん? この学校の生徒じゃないね、彼☆)

 遊び甲斐のある子…もとい可愛い子チェックで、全ての生徒の顔を覚えているらしいジェラルド。
 三田の動向をこっそり監視する事にした。 



 会場中の料理を皿にタワー盛りして回っていた蓮城 真緋呂(jb6120)。そろそろ天井に当たりそうだったので、一旦食べる事に。
 何気なく会場を見渡しながら立ち食いもぎゅもぎゅ。
 すると、すぐ近くの物陰でキョドっている三田が目に付いた。
 ガン見。
 食べながらガン見。

 そうとは知らず三田は、醤油とソースの中身を入れ替えたり炭酸をシェイクしたり。
 そして真緋呂は気づいた。

「あー! 去年の!」

 取調室でイヴを過ごし、霜降りを食べられなかった怨み、忘れはしない。

 いや、霜降りは元々食べられなかったんじゃん? それに取調べのおかげでぼっちなイヴにならなくて済んだっていう噂も…。
 だがそこは忘れた模様。

 よって霜降りを請求するのは当然の権利。

「A5ランクしか許さない」

 すると向こうも気づいたようで、明らかに狼狽。
 正体をばらされる前に逃…

「逃げるな」

 捕縛。
 食べ物への悪戯を目撃していた真緋呂さんは激おこです。

「そこに正座」
「おのれ、私に命令すr…」
「…聞えなかった? 正座と言ったの」
「はい…」

 食べ物を作る農家さんの苦労等を延々語って聞かせる真緋呂。

「またやるなら鋤き起こす」

 去年のようにな。



「本部、こちらαチーム。テロリストを確保した」
『了解αチーム。連行して帰投しろ』

 バックが呼んだ特殊部隊。 
 手錠されて護送車に乗せられたのは、

「リアル話してたら捕まった罠」

 シエルではなく雪子だった。
 過激派の思想犯と間違われた模様。

『逮捕されたなう^o^』

 スマホでツイートぽちぽちしてから、抗議してみる。

「いま雪子が連れて行かれたら、ヒメネキや豚侍ニキ達が困るんですわ? お?」

 レイドボスの攻略が途中です。
 そう言ってロビー内を見やると、

「ヒメちゃん、おかわりは大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫、です。あ、ありがとうございます」
「香里殿、拙者エビが食べたいでござる」
「はい、どうぞ♪」

 既に誰も見向きもしていなかった。

「/(^o^)\」



 受付に座ってオペ子の帰りを待つルーカス。
 先程は気が付かなかったが、カウンターの上に宅配ピザが置かれていた。どうやら誰かが電話注文した物のようだ。
 すると、

 しゅるるる…

 向こう側のカウンター下から緑色の蔓…いや髪が伸びてきて、ピザの箱を引きずり込んだ。
 咀嚼する音。

 ルーカスが身を乗り出して覗いて見ると、

「7だけが孤独なんです」

 首と胴が繋がったシエルが居た。
 特注ピザ『全てがチーズになる』を貪りながら立ち上がる。

 レジーちゃん愛でてたらいつの間にか会場入りして首と胴が分離してた系悪魔女子。
 一升瓶の酒をラッパ飲みしながら、チーズもっちゃもっちゃ。
 そしてすぐに酔いが回る。

「撃退士は酔わない? 知ら菅」

 シエルの視界に、バックとその愛犬レジーが映る。
 ワンコワンコわああああ!(連れ去り

 酔う前と変わらない? 知ら管。

 レジーを抱えたシエルは陸ロペ子を発見し、融合(乗っただけ
 残像を残しながら高速で逃げ回る。

 それを見たロボ研の部長は、

(どうして陸子と合体しないんだ……)

 もう何が何やら。 
 シエルは服に付着していた何かの種を撒き散らしながら尚も逃げ回る。
 弾みで、床に正座してた三田轢き。

「交通法違反? 陸子は車じゃありませんし?」

 だがその時――

 ド ッ カ ン !!

 修繕された壁をブチ破って4tトラックが突っ込んできた。
 飛散した瓦礫がシエルの眉間にゴッ!と刺さる。

 倒。
 レジー解放。

 更にトラックの片輪が、床にへばりついたままだったハルアリの内、ハルだけをぶぎゅり。
 トラック停止。

 運転席から出てきたのは、斉凛(ja6571)。

「わたくし、気づきましたの」

 ハルアリを2人一緒にしてしまうから喧嘩になるのだ。

「個別にお茶会をすれば、きっと新しい発見がありますの」

 そこに気づくとはやはりMVP。
 凛はアーリィをべりべりと床から剥がし、空気入れを刺してしゅこしゅこ。

 膨らんで復活。

「今日はアーリィさんをお茶会にご招待しに参りました」

 1:分かった→お茶会へ出発
 2:断る→簀巻にしてお茶会へ出発

 確定お茶会ルート。
 選択肢ェ…。

 凛はハルを縛ってトラックの後ろに結び、アーリィを乗せてブロロロと去って行った。



 会場の片隅に居た早上。
 その肩へ後ろから手が置かれる。

「見つけた」

 砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)。
 目的:早上を捕獲し、キャシー達の所へ連行する。

 そこへ丁度ヘヴホラ勢が到着。

「皆、今日も綺麗だね」
「ありがとぉ〜!」
「そういうジェンちゃんこそ、今日もバリイケェ〜!」
「紹介するね、お店襲撃犯の早上ちゃん。“おもてなし”してあげて、超持成してあげて(輝笑顔」
「んまぁ〜!」
「おいたしたわねぇ〜!」
「でもアタシちょっとタイプぅ〜!」

 囲まれて揉みくちゃにされる早上。
 大人気な様子にジェンティアンは「にま〜」っと笑いながら、その隙に1枚の紙を彼の上着に捻じ込む。

 お店の修理代請求書(3割増し)。
 滞納した分、利子も増えるよね。

「借金とは恐ろしいものだな」

 遠巻きに眺めていたルーカスは、しみじみと呟く。
 ところで、オペ子はまだか。



 斡旋所前でしばらく立ち止まる木葉。
 知っているヒト、知らないヒト、どちらと話すのにも少し勇気が必要だった。

 深呼吸。
 怯え、を心の奥底に閉じ込めて、中へ入る。
 金髪ツインテの後ろ頭を見つけ、近づいて挨拶。

「エリスちゃ〜ん、メリークリスマスですよ〜。サンタさん、かわいいのです〜」
「ありがとう! 木葉もメリークリスマス!」

 同時に、エリスを肩に乗せている白くまーも振り向く。

「おおぉ、白くまさんがいるのです〜。もふもふしたいのです」
\がおー/

 白くまーは木葉を抱え上げ、もう一方の肩に乗せてくれた。

「ありがとなのです〜。白くまさんも、メリークリスマスですよ〜。ホワイトクリスマスですね〜」

 白くまー的な意味で。
 なでなでもふもふ。

 そういえば、あの事件の孤児達も来ているのだろうか? みんな、幸せに暮らせているだろうか?

(どうか、あの子たちの未来が、幸せでありますように…)

 そっと心の中で祈る木葉。
 するとその様子に気づいた和紗が、

「せっかくなので会って行きましょう」

 視線を促した先には、須賀部邸の面々と共に燥いでいる孤児達。

 和紗はリーゼも連れて、赤いリボンの少女…伊里野 風香の元へ。

『ケンカしてるの?』

 あの時、風香にそう思わせてしまった事がずっと気に掛かっていた和紗。
 誤解を解くべく風香の前でリーゼを抱締め、

「安心して下さい。好いてますよ」

 仲良しアピール。

「ほらリーゼも(小声で催促」
「(こくり)仲良しだ」

 ハグ返し。
 すると風香は、

「つきあってるの?」
「付き合ってません!」

 ジェンティアンが全力否定。
 ハンカチをぎりぎり言わせながら走ってきて、リーゼにつっかかる。

「先輩なのを笠に着て和紗にミニスカ着せて!(言いがかり」

 そして走ってきた勢いのまま、

「望み通り射落してあげるよ、金烏!」

 跳び蹴り。
 和紗が密着したままだったがどうせリーゼが庇うはず、と遠慮なく――

 スカッ
 避けられた。

 ×:庇う。
 ○:一緒に躱す。

「うん、知ってた…」

 ガシャーン!
 テーブルに突っ込むジェンティアン。

 そしてそこに居たのは、食事中だった荒ぶるペンギンの群れ@須賀部邸所属。

 だが抜かりはない。こんな事もあろうかと懐柔用の餌を用意しておいた。
 ばばーんと掲げてみせる。
 一斉にジェンティアンの手元を見上げるペンギン達。

 餌やり。

 がつがつ、ぐぇっぷ。
 あっという間に食べ終わり、再度ジェンティアンを見上げる。

「ん。もうないよ」

 両掌を開きつつ、大人しくなったペンギン達を撫でようと手を伸ばs

 がぶり
 手噛。

 げし
 蹴倒。

 ツンツンツンッ
 啄。

「痛い! ホント痛い!」

 ペンギン達はぶみっと彼を踏んづけて、ぺたぺた去って行った。



 栄一に涼介の携帯へ電話してもらう和紗。
 そうして、涼介…が見張っていたルディを屋上で発見。

「改めて宍間の件ありがとうございました」

 深々お辞儀。
 一方で白くまーも、木葉とエリスを乗せたまま挨拶。

 再度、和紗が口を開く。

「15枚程お礼を描いたので…店に選びに来て貰えませんか?」
「あぁ? 行くかよ、面倒くせぇ」
「そうですか…」

 和紗がぺしょっと犬耳を下げる(幻視

「…チッ、あぁ面倒くせぇ……気が向いたらな」

 それはそうと、悪態を吐く割に何故か会場から去ろうとはしないルディ。
 ひょっとして、

「ルディさん、何か食べたいものでもあるのです?」

 うみが尋ねる。
 試しに白くまーが、持っていた肉まんを差し出してみる。
 ルディはむすっとした顔でむしゃむしゃ平らげた。

 それを見て和紗は、

「肉まんも用意します(真顔」

 次いで彼女は、リーゼにもルディへの礼を促す。
 だがそれを遮るルディ。

「仲良しこよしやってるつもりはねぇ。特にテメェとはな」

 しかしせっかくなので、和紗は後ろからリーゼの両口端をにっと上げて笑顔にさせてみたり。

「?」
「あぁ?」
「レア顔です」
「SAN値下がりそうなモン見せんじゃねぇ」

 ひどい言われよう。
 すると和紗はリーゼに対し、

「人を幸せにする機会減らしてると思いませんか?」

 笑顔は人を幸せにする、と手鏡でリーゼを映す。

「勿体ないです。ですから毎晩一緒に笑顔の練習をしましょう」
「ん…むぅ…」

 苦手だと言わんばかりの返事。

「お待たせしたのですよっ」

 その時、大量の肉まんを持ったうみが戻ってきた。
 気づかぬ間に、下へ取りに行っていたらしい。

 頼んでねぇぞ、というルディの目。
 でも食べる。

 温泉饅頭のストラップが、ポケットの中でこっそり転がった。



 肉とケーキを求めて彷徨う雫。
 が、誰かが料理にイタズラして回っているという噂がちらほら。
 感知を最大限に働かせ、悪戯されてそうな物は避けてお箸とお皿を持ってうろうろ。

 すると香里が、作りたての肉料理とケーキを持ってきてくれた。

「雫さん、よろしければこれを♪」
「ありがとうございます」

 肉とケーキ確保。

 その裏で、諦めずに彷徨っていた三田。
 肉やケーキを頬張っている雫を発見し、息を潜めて死角から近づき、その皿に暴力的な量のタバスコを――

 ブオンッ

 三田の脳天スレスレに大剣が振り下ろされる。

「…何か私の料理に用ですか?」

 バレてた。

「無いとは思いますが…私から肉を奪おうと言うならそれ相応の覚悟はして貰いますよ」

 ケーキも然り。
 やばいこの幼女やばい。

 三田はしな〜っと回れ右。
 もっと安全そうな獲物を探す。

 ケーキを取ろうとしているジェンティアンを発見。

(しめた! あのケーキは…!)

 先程こっそりタバスコ塗れにしておいたケーキ。
 しかしジェンティアンは、不意にそのタバスコ部分だけをケーキナイフで皿に刮ぎ落とし始める。

「やっぱりね。タバスコのオーラが出てると思った」

 ふふん、と得意気に独り言。

 おのれまた失敗か。
 と思ったその時、なんとジェンティアンが皿に盛ったタバスコをガフガフ食べていた。

「僕でも食べられるケーキがあるなんて、やるじゃないこのパーティー」

 タバスコうめぇ。
 やばいあの金髪おかしい。

 それにしても、他人の食べるシーンばかり見ていたら、何となく自分も腹が空いているような気がしてきた。
 試しに自分も何か食べてみるか。

 最初に目に付いたのはシエりじを。
 いつの間にか会場中に生えていた。

\ヘルシー/

 何か喋ってるけどもうこれでいいや。
 ぶちぶちぃとテーブルから引き抜いてむしゃむしゃ。

「ドレッシングほしい…」



 街中を爆走する4tトラック。

「先日はハルさんと一緒にお呼びして失礼致しました」

 コンテナ内に用意したお茶会スペースでアーリィをもてなす凛。

「うおおおぉぉぉ!?」

 対してハルは、簀巻でトラックの後ろにぶら下げられて市中引き回し。
 カーブを曲がる度に遠心力でぶぉん!して、電柱やガードレールにドガァ!

 和やかにお茶会。

「主様にお聞きしましたわ。自覚と誇りを重んじる…素晴らしい心がけですわね」
「主に出逢えたおかげだ」
「シュトラッサーになる前はどんな事をしてらしたんですか?」
「やっていた…いや、やろうとしていた事は今とあまり変わらん」

 卑劣な輩が許せなかった。
 卑屈な生き方はしたくなかった。
 欺瞞を是とする社会にただただ抵抗していた。
 だがある時、邪魔された事に腹を立てて一時的に結託した連中から報復を受けた。ここが自分の限界かと思った時、主が現れて……

 要するに:コメディ向きじゃねぇなコレ

 それはそうと、

「私もずっと気になっている事がある」
「なんですの?」
「今このトラックは誰が運転している」

 凛は紅茶を淹れている。自分はそれを飲んでいる。ハルは簀巻で引き回し。

 運転席に居たのは、凛を更に幼くして小型にしたような姿の謎生物――凛ぱっぱ。
 アクセル役、ブレーキ役、クラッチ役、ギア役、ハンドル役、前を見る役。わらわら。
 でもミニサイズすぎて上手く操作出来ず、偶に歩道へ乗り上げたり。

\ぐわぁー!/
\きゃー!?/
\いやー!!/

「外から悲鳴が聞こえるが…」
「きっとどこかのお店のBGMですわ」

 クリスマスソングかな?



 大次郎の前に大盛り料理を運んでくる香里。

「ローストビーフはいかがですか?」

 すんすん。がつむしゃ。

「手巻き寿司もありますよ。フェルミさんと恋音さんも、よろしければ召し上がってください♪」
「おー、いただくぞー」
「……はい……。……ありがとうございますぅ……」

 そこへ、三色団子を食べながらエリスや木葉、白くまーが通りすがる。
 フェルミ&大次郎を見て、丁寧にお辞儀する白くまー。

 一方、恋音は白くまーの肩に乗っているエリスを横目に、さりげなくフェルミとの雑談を装って口を開く。

「……ローストビーフを見て思い出したのですけれど、お肉と言えば、鶏肉は胸の成長に良いらしいですねぇ……」
「そうかー。じゃあ恋音はいっぱいニワトリ食ったんだなー」
「……い、いえ、そういう訳では……?(ふるふる」

「……」

 エリスの耳がぴくり。
 更に、気絶から復活してエリスを探していたディザイアが、偶然このタイミングで合流。

「お嬢、炊き出しのテントにチキンと七面鳥があったぞ!」

 お嬢と七面鳥を食うのだ!

「行く」

 白くまーから降りて早足で向かうエリス。白くまー&木葉も追いかけていく。

 恋音がそれを大次郎の上から見送っていると、今度は三田が空の皿片手にロビーから出て来た。
 その彼に、食べ歩きをしていたミハイルが再び声を掛ける。

「どうした新人、折角のパーティーなのに食べてないのか。よし俺の分をわけてやる」

 言いながら手に持っていた肉詰めピーマンのピーマン部分や、チャーハンに入っていた微塵切りのピーマンを三田の皿に除ける。
 おいピーマンも食え。

「……うぅん……?」

 そんな三田を見て、恋音は「見覚えのある顔だ」と気づく。
 向こうも気づいたようで、恋音(の胸)を見た瞬間、去年のトラウマがフラッシュバック。

「アイエエエエ!」

 重篤な恋音リアリティショックを発症。

 そんな三田を心配したのは、雫に真っ二つにされたはずだった雅人。
 全裸で駆け寄る。

「大丈夫ですか!」

 お前が大丈夫か。

「おっと申し遅れました! 私は恋音の恋人の袋井といいます! 趣味は天使狩りですっ!!」

 さらっと狩りとか言っちゃってるけど。
 なにこのひとこわい。

 大次郎の頭上から三田を覗き込みつつ尋ねる恋音。

「……堕天されたのですかぁ……?」
「だ、堕天してます。本当です」

 ふるふるじーと三田を見つめ、

「…………悪い事をしたら、御仕置ですよぉ…………?」

 微笑。
 おかしい、死刑宣告に聞こえる。



 移動中の護送車。

「誰か手錠外してくだしあ」

 部隊員に話しかける雪子。
 一緒に爆弾事件を解決した仲ジャマイカ。

「犯人の名前なんでしたっけ」
「ゲインの事か」
「ゲイン? 黒いサザンクロスかな?」

 すっとぼけ。

「ときめくお名前です(鼻ホジ」



 ――その頃、収監では。
 ヘヴホラを襲った爆弾魔や強盗トリオに、真緋呂からチキンの差し入れが届いていた。

『Merry Christmas! 代金は借金につけとくわね☆』

 また、デパート火災を起こした双子の兄弟――式葉 陸と式葉 海――宛にも、ジェンティアンからケーキとプレゼントが。

『Merry Christmas! 出てきたら遊ぼうね、待ってるよ。そして リ 一 セ゛ ち や ん 倒 ソ ぅ(鬼気迫る文字』

 イイハナシダナー。
 ゲインに差し入れ? ねえよ。



 再び護送車内。

「ところで質問卓で聞きそびれたんですがイケメンですか?」

 金持ってますか?
 甘やかしてくれますか?
 一生ATMしてくれますか?

「手数料は高そうだ(保釈金的な意味で」
「チッ(遠慮のない舌打ち」

 その時――

 ドゴシャア!

 突然、4tトラックが信号無視で突っ込んできた。
 横転する護送車。弾みで後部ドアが開く。
 チャンスだ。

「乗るしかない、このビッグウェーブに」

 雪子は迷わずエクソダスした。



 肉を取りに来たエリス。
 そこには真緋呂が居た。

「取立ての時間よ」

 ヘヴホラ爆破を阻止した件。
 おうごはん奢れ。

「ちゃんと自分で作ってね」
「し、仕方ないわね…」

 あまり自信は無いが、この前シチューを習った。
 エリスは猫鍋亭から具材を分けてもらって、大鍋コトコト。
 白くまーと木葉、ディザイアも手は出さずに、隣で見守り。

 だがそこへ、恋音の目を盗んで悪戯しに来る三田。
 懲りていないどころか、度重なる失敗で逆恨みましまし。

 更に、

「ワンコおらんやんけワンコワンコワンコワンコおらんやんけぇ!」
「シチューは雪子のものです! 雪子だけのものです!」

 陸子にライディングしたシエルと、面倒(自炊)が嫌いな雪子が乱入。
 加えて、

「せっかくだもの、私も手伝うわ!」

 自信満々に灯が参戦。
 エリスの鍋に好き勝手に食材を放り込もうと――

 ゴゴゴと威圧するディザイア&白くまー。
 お嬢(エリスちゃん)の邪魔はさせん(くまー)!

 鍋の周りで大乱闘。
 ドサクサに紛れてディザイアもザッシャアする白くまー。

 それらの騒ぎに真緋呂がおこ。
 だって料理に埃が。

「暴れないでちょうだい」

 氷の夜想曲を撒く。

 恋音も騒ぎに気づき、

「……御仕置と言ったはずですよぉ……」

 三田をライトニングでピシャーン!
 巻き添えで近くに居たミハイルもピシャーン!
 一切合切ピシャーン!

 正座させてお説教。
 大人しくなった三田の背をばんばん叩くミハイル@黒焦げアフロ。

「ははは、このパーティーを生き残らないと学園で生活できないぞ。頑張れ、新人!」

 もうやだおうち帰る。
 その時、三田は物陰で携帯のカメラを回しているジェラルドの姿に気づく。

「あっはっは☆ もうばれちゃったか♪」

 彼は保存ボタンを押しながら、

「ねぇ、この動画…買う?」

 小声で三田に耳打ち。
 本当は堕天してないんでしょ? 人類とクリスマスお祝いしてるなんて天界に知られたら大変だよね。

「最近は動画サイトで儲けることもできそうだし…天魔の間でも見てる人多そうだし♪ …ボクは、どっちでもいいよ☆」

 強請られ。
 おうち帰れなくなっちゃうじゃないですかやだー。

 そしてその動画はコピーにすぎない。
 2つある臓器を2つとも持っていかれそうになっている三田の後ろでは、無事完成したシチューを鍋から直接おたまでずずーする真緋呂の姿。

「これでエリスさんは返済完了、と」

 返済名簿カキカキ。
 このヒト達こわい。



「大次郎〜小次郎〜!」

 にゃーん×2。
 という子連れなんちゃら的な返事は無かったものの、えれにゃん…もとい支倉 英蓮(jb7524)に呼ばれて振り向くW次郎。

「私達猫組は邪魔にならないようにこっちでマタタビ先生夜君と一緒にごろ〜んしときましょ〜\(^o^)/」

 駐車場に敷いた茣蓙をぽむぽむ。
 一緒に居たマタタビ先生こと樹月 夜(jb4609)は適当に見繕った食べ物をもぐもぐしながら、寄ってきた黒猫ズと英蓮にマタタビ団子を投入。

 ふと団子のきな粉が鼻に入って、くしゃみが出るえれにゃん。

「へ、へ、へっちょぃっ」

 鼻水の代わりにアウルがズビッ。
 その弾みで巨大なアウルの獅子神様…獅子蓮牙がずずーんと顕現してしまった。

 大次郎に匹敵するサイズの獅子蓮牙。
 夜はその鼻先によじ登りつつ、

「獅子神様、お久しぶりですねぇ」

 言いつつマタタビあーん。

『うむ。壮健にしておったか?』

 団子もぐもぐ、手あぐあぐ。

 一方、別の座敷では川澄文歌(jb7507)が笠木家の面々と歓談していた。

「皆さん、元気にしてました?」
「おかげ様で」

 初めて会ったのは1年前の春。丁度“普通の”桜が咲き乱れる季節だったが…

「あの桜ってあの後どうなりました?」
「相変わらずだよ」

 花は咲かぬまま。

「そうですか…。でも桜の種類には、11月から12月に咲く冬桜というものもあるらしいですよ?」

 だからあの桜を今一度咲かせるには、悪くない時期だと思う。

「あの丘の桜の枝、持ってきてくれましたか?」
「ちょうど剪定したばかりで良かったよ」

 修造は頷きながら、束ねた枝を差し出す。

「しかしこれで何を?」

 答える代わりに、枝を手に取る文歌。記憶を辿り、あの時見た満開の桜を鮮明に思い浮かべる。
 アーティストの創造スキル。
 集中し、アウルを…心を吹き込む。

 刹那――


 咲かぬはずの桜が、薄桃色の風を吹かせた。


 この桜は、文歌の記憶。
 厳密には、あの時咲いた喜代とその想い人が見た夢の花ではない。

 それでも、その心の色はとても柔らかで温かく――

(これで喜代さん達もここに来てくれるといいんですが…)

 近々結婚の予定を控えている文歌。
 その報告がしたかった。
 自分も彼と、喜代達の様な末永く互いを想える関係になりたい。

 願わくば、どうか――

(見守っていて、くださいますか?)

 薄桃色の花びらが2枚、彼女の手にふわりとおりた。

 そんな光景の中、すっかり花見気分でほろ酔い(マタタビ)した獅子蓮牙。
 ごろ〜んしながら自らの腹の上に小次郎を乗せ、更に大次郎も乗せようとして……

 ずしーん!
 うぼぁ。

 もしかして:大次郎と獅子蓮牙はほぼ同サイズ。

 その時、近くを恋音(黒猫衣装)が通りかかる。
 無茶しないでこっちの猫にしとこねせやね。
 れんねこをむんずと捕まえて腹の上でぽよんぽよん。

「……お、おぉ……(体の一部もぽよんぽよん」

 そこへもう1人の猫…全裸猫耳姿の雅人が飛び込んでくる。

「猫ちゃんならここにも(ry」

 瞬間、獅子蓮牙のごるでぃおん獅子ぱんちドゴォ!
 光になる雅人。

 その際、自身の夏毛の残りが飛び散り、獅子蓮牙は仰向けのまま反射的に1本1本四肢でほぁ〜たたたt…!
 舞い上がった抜け毛が無数の光となって、イルミナージュな幻想時空を発生させた。

 光と桜のクリスマス。
 超絶感動冬景色。

「……超絶、寒いですが綺麗なので良し、ですね!」

 夜は頷きながらマタタビ団子を猫達の口に投げ入れ続けた。



 すっかりしぼんで元に戻ったえれにゃん。
 ロビーでふと見かけたバックに何かをインスピして、いきなり襲い掛かる。

「両手を上げろ〜! ケーキをどこに隠した〜!」

 恫喝。ボディチェックぽむぽむ。

「さてはキサマ、(飯)テロリストの一味だな〜! うちの拷問は厳しいぞ覚悟しておけ〜!」

 拷問=48時間耐久鬼ごっこ。
 唐突に始まる罰ゲーム企画。
 なに? 宴会の後片付けが出来ない? クリスマスは25日の夜まであるからまだ片付けなくてもいいよね!

 それに同調した夜は、鬼監督を担当。
 サボったり寝そうなヒトが居れば、スナイパーライフルで容赦なく狙撃。
 また、新しい強請りネt…もとい思い出を作ろうとカメラを回していたジェラルドを見つけて、カメラマン役に抜擢した。

「よーい、初め!」

 夜の合図。

「うんうん、頑張ってね☆」

 早速カメラを固定して1人先に寝ようとするジェラルド。

 ジェラルド、アウトー(ででーん!

「……ジェラルドさん、寝てはいけません、よ」

 スナイパーライフルをフルスイングしてケツバット(狙撃

 スタッフすら寝る事は許されないのだ。



 ――ちなみに、鬼ごっこを免れた者も居た。

 カクテル道具を買いに行った和紗とリーゼ。
 ついて行ってハンカチぎりぃしていたジェンティアン。

 そしてロビー外に居たおかげで巻き込まれずに済んだディザイア。
 騒ぎに乗じて無事に鍵をゲット。

 翌朝。
 ヘヴホラ2階の新居から出て来た彼は、隣のエリス宅へ。
 ドアばぁん。

「良い朝だなお嬢!」

\がおー/

 白くまーが居た。
 通いである白くまーの朝は早い。

 ベアクローしゃきーん
 ざしゅっ(行使

 おはようございます。おやすみなさい。


●更に翌日、斡旋所。

「……終了、です。思う存分寝て下さい」

 夜監督のお許し。
 すると何やら早上が、這い蹲りながらぷるぷるとロペ子へ手を伸ばす。

「倒れる前に、これだけは…」

 いつの間にか上着に入っていた請求書。それをロペ子の口に差込。
 シュカー(シュレッダー音
 その後、早上はぱたりと燃え尽きた。















 無数の寝息が聞こえるロビーの中、1人受付で座リ続けるルーカス。

「オペ子はまだか」


 ――Long Merry Xmas.




依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 星に刻む過去と今・青鹿 うみ(ja1298)
 歴戦の戦姫・不破 雫(ja1894)
 紅茶神・斉凛(ja6571)
 Eternal Wing・ミハイル・エッカート(jb0544)
 大祭神乳神様・月乃宮 恋音(jb1221)
 あなたへの絆・蓮城 真緋呂(jb6120)
 久遠ヶ原から愛をこめて・シエル・ウェスト(jb6351)
 氷結系の意地・玉置 雪子(jb8344)
重体: −
面白かった!:13人

星に刻む過去と今・
青鹿 うみ(ja1298)

大学部2年7組 女 鬼道忍軍
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
紅茶神・
斉凛(ja6571)

卒業 女 インフィルトレイター
ドS白狐・
ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)

卒業 男 阿修羅
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ラブコメ仮面・
袋井 雅人(jb1469)

大学部4年2組 男 ナイトウォーカー
ねこのは・
深森 木葉(jb1711)

小等部1年1組 女 陰陽師
桜花の一片(ひとひら)・
樹月 夜(jb4609)

卒業 男 インフィルトレイター
海のもずく・
地堂 灯(jb5198)

大学部4年1組 女 ダアト
優しき強さを抱く・
ユウ(jb5639)

大学部5年7組 女 阿修羅
護黒連翼・
ディザイア・シーカー(jb5989)

卒業 男 アカシックレコーダー:タイプA
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
久遠ヶ原から愛をこめて・
シエル・ウェスト(jb6351)

卒業 女 ナイトウォーカー
暁光の富士・
ルーカス・クラネルト(jb6689)

大学部6年200組 男 インフィルトレイター
光至ル瑞獣・
和紗・S・ルフトハイト(jb6970)

大学部3年4組 女 インフィルトレイター
ついに本気出した・
砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)

卒業 男 アストラルヴァンガード
外交官ママドル・
水無瀬 文歌(jb7507)

卒業 女 陰陽師
雷閃白鳳・
支倉 英蓮(jb7524)

高等部2年11組 女 阿修羅
和風サロン『椿』女将・
木嶋香里(jb7748)

大学部2年5組 女 ルインズブレイド
氷結系の意地・
玉置 雪子(jb8344)

中等部1年2組 女 アカシックレコーダー:タイプB
空の真ん中でお茶を・
夜桜 奏音(jc0588)

大学部5年286組 女 アカシックレコーダー:タイプB