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マスター:水音 流
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:25人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2015/06/20


みんなの思い出



オープニング

 ある日の斡旋所。

 屋根や壁を叩く雨音がノイズのように響く屋内。
 水のカーテンがだくだくと流れ落ちる窓を見ながら、オペ子が口を開く。

「お仕事億劫です」
「いつもだろう」

 雨のせいだとでも言いたげな部下に、局長が呆れたように言葉を返す。かく言う自分も、止む気配のない大雨に普段よりも少々気抜けしていた。
 もうすぐ昼休憩の時間だが、こうも土砂降りではランチしに外へ出ようという気にもならない。
 ロビーを見渡せば、同じく濡れるのを嫌がった学園生達が、何をするでもなくごろごろだらだらと雨宿りしている光景。

 その一角には、BrO運営会社で働くヒメにゲームを教わっているエリスとリーゼの姿などもあった。

「え、えっと、それでですね、デフォルトの設定ではWASDキーで移動して、同時にShiftキーを押すと走れます。あ、緊急回避する時は、回避したい方向の移動キーを、素早く二度押し、ですっ」
「……(こくり。カチャカチャ」
「あら? ねえヒメ、何だか急に画面に変な文字が出てきたんだけど」
「あ、そ、それはですね、不正対策のオートプログラムで、一定時間ログインしてると、不定期に出てくるんです。ひょ、表示されてる文字を入力すれば消えて、か、代わりに、軽いバフが掛かるようになってます」

 2人の間に座りながらオドオドと、しかし一所懸命に説明するヒメ。
 テーブルの反対側には、自前のゲーミングノートで遊ぶ豚侍達も居る。

「ふお!? ようじょがPKに襲われているでござる!」
「何たる不遜!」
「何たる不敬!」
「捕らえて打ち首にするでござる!」

 やんややんや。
 まあ、平和なのはよい事だ。

「ピザを取りましょう」

 唐突に、オペ子が言った。悪天候の日はデリバリーに限る。
 瞬間、ロビーに居た学園生達が俺も私もと挙手。

「ふむ、そうするか」

 頷いた局長は机の端に手を伸ばし、しまってあった宅配ピザのチラシをどっこいしょと引っ張り出した――



 ピザ屋の厨房。
 ロボ研――ロボは人類のロマン研究部――の部長が、店の制服とエプロンを身に着け、生地の上にトッピングを施す作業をひたすら繰り返していた。

「もどかしい……」

 どうせ焼くならピザではなくロペ子の新しい金型を焼きたい。こんな小麦粉とチーズの塊を作ったところで腹の足しにしかならないではないか。
 いらいら。

 それもこれも全て予算が足りないのが悪いのだ。
 数ヶ月前、爆弾魔との決戦だと言って量産型3機を無理矢理ラボから掻っ攫って行った緑頭の悪魔の学園生……

 ――用が済んだらちゃんと返すであります。

 戻って来たのは、見るも無残な鉄屑と喋る怪草だけだった。

 搾り滓のような部費にへそくりのブタさん貯金を足して、何とか3機の修理は出来た。
 そしてそこで資金が尽きた。
 組みあがった機体は素体を復元するのが精一杯で、オプション的な装備は全てオミット。

 故に資金繰り。
 故にアルバイト。
 だが自分が押したいのはオーブンのスイッチなどではなく、ロボのスイッチだ。
 いらいらいら。

 ちなみに副部長は「スマホと喋るのに忙しい」と言って手伝ってくれなかった。
 新装備が完成した暁には、奴のスマホを試し撃ちの的にしてくれよう。

「ジャーマンポテトLサイズ2枚あがったぞ」

 配達担当のバイトに、出来立てほやほやを渡す。
 外は大雨。滅入るような雨音がより一層強く鼓膜を叩いた。

 悪天候の時のピザ屋は忙しい。外へ出るの嫌がって、デリバリーに頼る客が増えるからだ。
 おかげで今日は焼いても焼いても注文が入ってくる。

 雨だからピザでも頼もう。
 雪がすごいからピザを持ってきてもらおう。
 天気悪いし、外出るのしんどいよね。

 店員はしんどくないとでも思っているのだろうか。

 まあ、仕方ない。それが仕事だ。
 だがこうも延々と同じものを焼かされていると流石に我慢ならなくなってくる。
 機械油がオリーブ油に変わるだけで、こうも楽しくないとは。

「オリジナルのロペ子を量産する予算さえあれば、ピザを焼くなど造作も無いというのに……」

 そもそもそんな予算があったらピザ屋でバイトなどしていないわけだが。
 いらいらいらいら。

 その時、聞き飽きるほど耳にした店の電話がまたも音を立てた。
 部長の代わりに店長が応対し、注文と住所を書き留めて受話器を戻すが、すぐに配達担当が全員出払っている事に気がつく。

「悪いんだけど、配達もお願いできる? バイト代、色付けるからさ」
「引き受けよう」
「あっ、でもバイクも無いんだった。うーん、困ったねえ……」
「不要だ」

 そう言うと、部長は車庫へのドアを開ける。そこには待機モードで鎮座していた陸海空の量産型ロペ子が3機。

「これに乗っていく」

 空型と陸型の機動力は原付よりも上。
 海型もこれだけの雨の中ならば決して遅れは取るまい。

 異様な量の注文分をちゃかちゃかと焼き上げ、大量の箱を3機の中に押し込み、自身は雨合羽を羽織って空型の背にしがみ付く。

「機体が万全ならば雨雲の上を飛べると言うのに、嘆かわしい」

 ぶつぶつと不満を洩らしながら店を出る部長とロペ子シリーズ。
 配達先は、オリジナルロペ子やオペ子が居る斡旋所。

 雨にも負けず、到着。

「注文のピザを持ってきたぞ」

 しかしロビーに入ると、そこには見事にだらけきった学園生と職員達の姿。
 トランプを広げ、携帯ゲーム機を弄り、ノートパソコンでネトゲにインしてマウスぽちぽち。中には、じーっと炭酸ジュースの気泡を数えたり、ぼーっと天井の染みを追いながらソファーで寝転がっているだけの者も居た。

 私がこんなにも大変な思いをしていると言うのに……

 いらいらいらいらいら――ぷちっ

 ナニカのキレる音。

「キエエエェェェエエエ!!」

 奇声を発して学園生達に飛び掛かる部長。
 どったんばったん引っくり返るロビーを尻目に、オペ子は量産型ロペ子の中から熱々のピザを引っ張り出した。


リプレイ本文

 久遠ヶ原に降った、ある日の大雨。

「ラーメンでも食べいこっと……」

 こんな大雨だからこそ、いつも混んでて入れないお店に行くのが通ってものさ☆
 外へと繰り出す佐藤 としお(ja2489)。瞬間、風で傘が手からすっぽ抜ける。
 しまった、と飛ばされた傘を追って首を振った瞬間、濡れたマンホールに足を滑らせて盛大にサマーソルトキック。
 後頭部から着地して、ごちぃぃぃんと大きな音がした――

 だが、めげない。

 風で傘が飛ばされても、降雪したかの様に足元を滑らせて後頭部を打ち付けても、暑く燃え上がるラーメン魂は消えない。
 撃退士として鍛え上げた身体を奮い起こし、立ち上がって辿り着いたラーメン店……まさかの入店待ちの長蛇の列。

 雨に耐え、空腹に耐え、ようやく席に着けても次の客の為におかわりはせず。
 そして注文の品がやけに遅い。

 それでも平常心を保ち
 微笑すら浮かべて
 全てをスープに流す
 そういう客に
 私はなりたい――……



 雨の街中に、熊が居た。
 所々綻び、お腹にチャックの付いた着ぐるみの熊。中身は齢85の爺撃退士――上野定吉(jc1230)。
 葉っぱの傘を差し、いつものように登校。

 しかし今日の雨は強すぎた。

 全身に付けた撥水スプレーはみるみるうちに剥がれ落ち、滑って転んであっという間にずぶ濡れに。
 水を吸った着ぐるみの足がどっしゃどっしゃと重たげな音を立て、ほつれた布地から水を滴らせる熊の頭は、まるで涎を垂らすモンスターのような風貌と化していた――



「雨か……」

 窓の外を見て呟くディザイア・シーカー(jb5989)。
 そういえば昔、潰されたカエルが死なずにシャツに張り付いて喋れるようになる漫画があったな。
 お嬢(エリス)も押し潰したら、服に同化したりしないだろうか。

「お嬢がシャツに張り付くのか……胸が厚くなるな」



\え、エリスちゃんの悪口はそこまでです!/

 ぺたーん、というエフェクト音と共に何かを感じ取ったRehni Nam(ja5283)が叫ぶ。

(よく分りませんが、そんな事を言わなくちゃいけない気がしました)

 と言うわけで、雨でお休みなのでエリスちゃんと遊びに行きましょう。もしお出かけしていても、私の体に内臓されたエリスちゃんレーダーがあれば大丈夫です。

 傘を差し、大雨の中へと繰り出すレフニー。

(うーん、流石に凄い雨ですねぇ)

 後ろで、傘を飛ばされて引っくり返ったとしおが後頭部を強打。
 だがレフニーはそれに気がつかない。

(でも、日本の梅雨、これも風情と言うものなのでしょう)

 ぱしゃぱしゃてくてくと足を進めて、道端に咲く野花に目をとめる。

(紫陽花が綺麗ですねぇ……)

 背後で、登校中の熊が派手に転倒。
 しかしレフニーはそれに全く気がつかない。

(あ、葉っぱにカタツムリ発見です)

 そしてその視界の奥に、目的のツインテールを捕捉。肩にはうさぬいを乗せて、リーゼと並んで歩いていた。

「エリスちゃん発見ー♪」

 レフニーは振り返ったエリスにいつも通りだぎゅーっと飛びつこうとして、はたと思いとどまる。
 この大雨では、2人共びしょ濡れになってしまう……。

 と、思ったのだがよく見ればエリスも自分も、服の裾は既にぐしょぐしょだった。
 もう大分濡れてるから関係ないかな?

「よし、濡れちゃいましたし、一緒にお風呂入りましょう、そうしましょう!」

 自分の傘を畳み、だぎゅーっとくっついてエリスの傘に入れてもらう。

「お嬢と風呂か、悪くない」

 声がした方を振り向くと、ディザイアの姿。

「背中流しっこしようぜお嬢!(けがれのない笑顔」
「できるかー!」
「ディザイアさんがセクハラです!?」

 更にそこへ、

「じゃあ、あたしリーゼくんの背中ながすー♪」

 マリス・レイ(jb8465)が、樒 和紗(jb6970)の傘に入れてもらいながら登場。すぐ横には、自分の傘を持った砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)も居る。

「バレンタインの時はリーゼくんしんでたし! 和紗ちゃんもリベンジしよー?」
「ふむ……やり掛けたままにしておくのは良くありませんね」
「いや、それは――」
「ダメに決まってるでしょ!?」

 リーゼの言葉に被せるように、ずしゃあっと地面を滑って割り込むジェンティアン。

「何なのリーゼちゃんってば!? はっ! まさかわざと雨に濡れて和紗とお風呂しようって魂胆!?」
「いや、俺は――」
「竜胆兄、うるさいです」

 瞬間、ジェンティアンの傘をぐいっと閉じさせて、その頭ごと傘の中に封じ込める和紗。
 紐でグルグル縛って、開かないように。

 前が見えずにびたーんと転んだジェンティアンを放置して、とりあえず一同は雨宿りできる場所を探して歩き出す。
 そういえば、オペ子のところの斡旋所にはシャワールームもあったかもしれない――



「暇ですね…」

 オペ子の隣で机にだらしなく寄りかかっていた雫(ja1894)が、ぐて〜っと呟く。
 受けていた依頼が、この雨天により急遽中止。その経緯の説明やら手続きやらを受けに斡旋所へ来たまでは良かったが、担当職員の長い説明と湿気のせいで雫は完全にやる気を無くしていた。

 それとは対照的に、事務仕事をせっせと手伝っていたのは月乃宮 恋音(jb1221)。
 卓越した処理能力を遺憾なく発揮し、テキパキと書類の山を片付けていく。

「月乃宮さんは働き者ですね」
「……えと、早めに片付ける事が出来れば、その分、大手を振ってのんびり出来るのですよぉ……」

 とは言え、効率的な作業の為には適度な休憩も必要だろう。恋音はホットミルクを用意すると、各自に配って一度休憩する事に。
 恋音のミルクと聞くとアレでソレなけしからん響きに聞こえるかもしれないが、これは普通のミルクなのでどうか安心して欲しい。

 雨音に耳を傾けながら、飲みつつまったり。
 その時、雨音に混じって車のエンジン音が聞こえてきた。恋音が窓から駐車場を見やると、この大雨にも関わらず、吹きさらし同然で走る車が1台。

 運転していたのはルチア・ミラーリア(jc0579)。
 ポンチョを着用して旧式の軍用車両でドライブしていたは良いが、その愛車にはドアが無かった。いかにも軍用といった作りで幌は付いているものの、どしどし吹き込んでくる雨に耐えかねて雨宿り場所を探していたらしい。

 車から降りて駆け込んできたルチアに、恋音とロペ子がホットミルクやタオルを持ってくる。
 ルチアはぺこりとお辞儀してそれを受け取り、オペ子や局長らにも挨拶してからロビーのすみっこに座って一息。ついさきほどまで自身を打っていた雨の様子を他人事のように窓から眺めていると、次から次へと似たような境遇の者達が斡旋所を訪れ始めた。

「お風呂貸して欲しいのですー」

 レフニー達ご一行。ぞろぞろと入口をくぐり、ロペ子に案内されて奥へと歩いていく。
 それに少し遅れて、

「参ったな、急な雨だ」

 やって来たのはルーカス・クラネルト(jb6689)。ルチアと同じように隅のほうに身を寄せ、窓の外を見ながらやれやれと息を吐く。
 元軍人同士という嗅覚が働いたのか、ルチアはどことなく馴染みのある匂いを纏った彼に声を掛けてみる事に。

「大変でしたね」
「ああ、こうも降られるとな。暇をつぶすものもないし…」

 元軍人同士の、とある休日の閑談風景。
 耳に触れるは、鉄ではなく雨の音。



(こんな雨の日は依頼が舞い込むと相場が決まっているものだが…)

 滴を払い落とし、ロビーへとやってきた牙撃鉄鳴(jb5667)。
 今日もお金を求めてオペ子の元へと足を運ぶ。

「報酬が高額で面倒な人質とかいなくてすぐ終わりそうな依頼は来てないか? できれば雑魚数体を相手するようなものだと有り難い…ないか。そうか。仕方ない、依頼が来るまで本でも読んで待ってるか」
「オペ子まだ何も言ってませんが」

 振り向かず、すたすたとソファーのほうへ歩いていく鉄鳴。腰掛け、読みかけだった本を取り出す。
 その時だった、

 ずしゃり

 重たげな足音と共に、ずぶ濡れの熊が入ってきた。爺…もとい定吉だ。
 だが、ぼたぼたと涎のように滴を垂らし、所々綻びたぼろめかしいその風体はまさにディアボロ。

 反射的に武器を構えるルチアとルーカス。
 鉄鳴も「討伐依頼か? 報酬だな?」と銃に手を伸ばす。

 爺ピンチ。
 あわや狩られて剥製にされ掛けた熊はしかし、その腹に明らかなチャックが付いていた事で討伐を免れる。

 なんだ着ぐるみか。
 武器を収める軍人コンビ。鉄鳴も、「タダ働きは御免被る」と再びソファーにもたれ掛かり、手元の本に視線を戻す。

「よくわからんが、助かったのじゃ……」

 定吉はお腹のチャックを開け、着ぐるみの中に溜まっていた雨水じょばー。
 身軽になったところで再びチャックを戻し、モノホンの熊を装ってロビーの一角に陣取った。

 そんな未遂に終わった熊狩りを、やはり机に突っ伏したまま眺めていた雫。
 首を持ち上げて反対側を向き、オペ子を見る。

「何か面白そうな依頼って出て来てませんか?」
「世は事も無しです」
「もうあれです。贅沢は言いません依頼で無くても良いので、やる気が出て面白い事ってありませんか?」

 いかん、このままでは雫嬢にカビが生えてしまう。
 するとそこへ、家庭用ゲーム機を抱えたジェラルド&ブラックパレード(ja9284)が現れた。

「うむ、このだらだら、学生らしくて良いね☆」

 職員用のモニターを適当に引っ張ってきて、ゲーム機接続。
 のんびり皆とゲーム。どうやら彼も暇らしい。

「こら、やるならせめて談話室のモニターにしろ」
「局長さんもご一緒に如何☆」

 怒気のかけらも無いだらっとした調子で叱る局長に、ジェラルドがコントローラーを差し出す。
 ジャンルは格ゲー。

「……仕方ない。1回だけだぞ」

 何だかんだで局長も退屈していたようだ。とは言え、格闘ゲームなど触った事が無い。
 対してジェラルドは、どこでやりこんだのかやたらと強い。昇●拳はおろか波●拳コマンドすら覚束無い局長を、1ラウンド目からフルボッコ。

 流石に大人気ないと思ったのか、2ラウンド目は局長が使っているキャラの解説を交えながら接待プレイをしてみたり。

「ああ、そのキャラは中パンチに大体カプセルついてるから垂直ジャンプで振ってるだけでかなり強いよ☆」
「か、カプセル…?」

 だが局長は、ジェラルドが操る未知の言語が分からず四苦八苦。
 2ラウンド目は勝ちを譲ってもらったものの、3ラウンド目で結局ボコボコにされた。

「難しいものだな……」
「私もやります」

 局長の代わりにコントローラーを手にしたのは雫。
 実力不明の乱入者。

「全力で潰すのが基本だよね♪」

 ジェラルドは容赦なく勝ちを取りに行く。前進しながら小ジャンプ入力。からの空中弱キック。
 咄嗟に立ちガードを入れる雫。だが次の瞬間、着地したジェラルドがガードの解けた雫を投げ技でポイ。弱キックはフェイク。

 コントローラーを握る雫の目が細くなる。

「当て投げは嫌いですかお嬢さん♪」

 勢いのまま、ジェラルドが2ラウンド先取。
 次の挑戦者はオペ子。

「オペちゃんは流石にゲーム慣れしてそう☆」
「オペ子このソフトはやった事ないです」

 ラウン、ワン! ファイッ!
 ドカカカッと正確にコンボを繋いでくるオペ子。当て投げにも釣られず、ジェラルドのキャラをぐいぐい押し込んでくる。
 だがコンボの一瞬の途切れ目――時間にして、コンマ2秒足らず――に、それは起きた。

 蹴り上げた脚を引く相手のモーションに合わせ、威力は低いが極めて出の早い小技を重ねるジェラルド。
 オペ子のキャラが仰け反り、コンボ中断。

 そのまま押し返すように、ジェラルドの猛打。

「このゲームのフレーム計算は既に出揃ってるからねー☆ 差し合いがry」

 ジェラルドの逆転勝利。
 入力は完璧でも、今日初めてこのソフトに触れたオペ子に、差し合いで競えるほどの経験値などあるはずも無く……

 ゲームはジェラルドの1人勝ちとなった。
 するとオペ子が、

「次はこのゲームで勝負です」

 徐に、目が据わったままの雫へとコントローラーを向ける。

「オペ子の操作キャラは雫さんです」

 格ゲー(リアルファイト)。
 頷いた雫が大剣じゃきぃ。

 もちろんジェラルドの操作キャラはジェラルド。

「キャラ格差がひどいよね☆」
「私、今はメインジョブじゃないのでイーブンです」
「幼女を殴る絵面。バトルで勝てても社会的にパーフェクト負けするんじゃないかな☆」

 負け確イベントバトル。
 コントローラーを握ったまま逃げ出したジェラルドを、雫が大剣をぶんぶこしながら追いかけて行く。
 良い子の皆、ゲームは仲良く遊ぼうな!

 一方、窓越しに雨を眺めるのに飽きたルーカスは散歩に出かける事に。職員に頼んで、備品の雨合羽を拝借。手が塞がる傘を避けて合羽を選ぶ辺り、兵役時代の癖が芯まで染み込んでいる。

 そうして外へ出たところで、ルーカスは新たに2人の学園生とすれ違う。

 1人は、ヒメが遊びに来ていると聞いて差し入れを持ってきた木嶋香里(jb7748)。もう1人は、シエル・ウェスト(jb6351)。粗大ゴミを捨てに行く途中で、雨宿りしに来たらしい。濡れたゴミから生えたシエりじをが、ゆらゆらと揺れていた。

「お出掛けですか?」
「ああ。賑やかな雰囲気にはまだ慣れんし、な」

 そう言って彼は、降雨の中を1人ぶらぶらと歩いて行った。



 ロビーの一角でBrO勢を発見した香里。
 シャワーを浴び終えたエリスらにゲームをレクチャーしているヒメの姿もある。

「皆さん、楽しんでおられますか?」
「あ、か、香里さんっ。お、お久しぶりです」

 顔を上げたヒメは、相変わらずな様子である。

「落ち着いて遊んでくださいね♪」

 遊びながらでも食べられるようにと作ってきたサンドイッチを広げる香里。
 するとヒメの隣に座っていたリーゼが、1つ横にずれて香里に場所を譲ってくれた。

「ありがとうございます♪ 皆さんも、よろしければサンドイッチをどうぞ♪」
「いただきます」

 真っ先に手を伸ばしたのは、いつの間にか一団に加わってノートPCを起動していたオペ子。
 そのオペ子のゲーム画面を、ルチアが後ろから覗き込む。

「これがネトゲというものですか」

 どうやら興味があるようだ。

「よければオペ子が教えてあげます」
「お願いします」

 ヒメが用意した布教用のノートPCを借りて、オペ子の隣に座るルチア。

「面白そうなゲームもあるデスネー。拙者もやってみたいデース☆」

 それに釣られるように現れたのは、アメリカが生んだ奇跡のおバカ――マイケル=アンジェルズ(jb2200)。
 教えられながらアカウントを作ってキャラメイク。

「ヒメちゃん、私にも教えてもらえますか?」
「は、はいっ、も、もちろんです!」

 香里が尋ねると、ヒメは嬉しそうに頷きながら丁寧に説明してくれた。
 その頃、操作に慣れてきたエリスとリーゼは、一足先に玉置 雪子(jb8344)のパーティーに合流。

「歓迎しよう、盛大にな!」

 雪子がノートPCの前で両腕を広げる。
 ゲーム内でのキャラネームは『たまゆき』。一部では(いろんな意味で)有名プレイヤー。雪子自身も、自分こそBrO最強プレイヤーの一角だと自負している。
 当然、始めたばかりのエリス達とは比較にならないほどの高レベルキャラクターである。というか、とうにレベルカンスト済みである。

 普通、始めたばかりのエリス達とパーティーを組んでも、雪子やオペ子、ヒメや豚侍達のようなカンストプレイヤーには何の旨味も無いのだが、

「初心者に優しくするのは当然なんですわ? お?」

 ネトゲプレイヤーの鑑! 充実したネトゲライフ!
 ただしリアルの充実度は反比例していく。

「あ、知ってる。そういうのネトゲ廃人って言うのよね」
「雪子にとっては褒め言葉ですしおすし」

 悪気のないエリスの言葉にも全く動じない雪子団長。
 これはゲームであっても、遊びではない。

「おー、コレがお嬢とリーゼのキャラか」

 ディザイアが、エリスの後ろから中腰で覗き込む。

「BrOだったか? 面白いのかね?」

 よく知らないが、お嬢がやっているというので興味が湧いて後ろで観戦。だがしかし、

「この体勢は腰がいてぇ…お嬢、ちっと失礼するぜ」
「へ!?」

 唐突に、ディザイアはエリスを抱え上げて膝の上に乗せて座り直す。キョドりつつもプレイ中でキーボードとマウスから手が離せない彼女で遊…もとい世話をする。
 髪を梳かしたり、頭を撫でたり、香里がくれたサンドイッチを二人羽織で食べさせてやったり、頭を撫でたり。
 ゲームの説明書や画面にも目を通しつつ、お嬢のBrOデビューを特等席で応援。

「じゃあ私はエリスちゃんの膝の上をいただきますね」
「ちょっ、いま戦闘中…!」

 レフニーが、にょきっと下から生えてエリスの膝にどっこいしょ。
 視界が遮られて画面が見えなくなった代わりに、音声ガイドするレフニー。モンスターの位置を逐一報告。
 エリスは半分やけくそでマウスをクリックしている内に、なんとか撃退できた…かに思われたが!

「あ、なんか来たのです」
『ヒャッハー! ブッコロシテやるぜぇー!』

 ナムアミダブツ! PKだ!
 だがその時、ツムジカゼめいた速度で助けに入るたまゆき! 気づいていたのだ!

『アイエエエ!? タマユキ!? タマユキナンデ!?』
『初心者狩りコロスべし。慈悲は無い』

 重篤なタマユキ・リアリティ・ショックを発症したPKは、光剣めいた一撃を受けて憐れ爆発四散した。

 やがて他のメンバーもパーティーに合流した頃、

「やほー☆ 何して遊んでるの? まぜてー☆」

 雫を撒いたジェラルドが、一同の元へとやってきた。
 彼はエリスの画面を覗き込むと、大凡の状況を把握。

「うむうむ☆ 皆でコツコツやるのも楽しいよね♪ でもレベルアップの方法なら、他にもあるよ☆」
「どんな?」
「ヒメちゃんのGM権限使ってデバックモードでログインすれば、その場でレベルマックs――」

 だがその時、戻ってきた雫がジェラルドを再度捕捉! 大剣めいた得物を容赦なく振りかざす!
 走れジェラルド! 実際危ない!

 それを他所に、せっせとレベルアップに勤しんでいたのはシエル。画面に映るモンスターを片っ端から狩っていく。
 最近始めたゾンビゲーの影響で、頭を踏み潰すのが快感な模様。
 故にダウンとって潰す。

「爆発する敵が居ないだけゾンビよりマシですね」

 タックルで押し倒してグシャア。
 脚を払ってグシャア。
 薙ぎ払ってグシャア。

 グシャアグシャアグシャアグシャアグシャアグシャアグsyボンッ!!

 刹那、なんとシエルのノート端末が爆発! 熱暴走だ!
 飛び散る破片がシエルの頭を容赦なく撃ち貫く!
 緑髪の彼女の頭がトマトめいて潰れるとは、いったい誰が予想できただろうか!

 シエルログアウト。
 救護の為、ヒメと香里も慌ててログアウト。

「Oh☆ 拙者好みの黒髪美少女イッパイデース☆」

 画面を見て燥ぐマイケル@ネカマに引っ掛かる。
 ほいほい尻を追いかけていき、パーティーから離脱。

 一方、黙々と狩りを続けるリーゼ。そしてそんな彼の横では、芋ジャージ姿の和紗がスマホを覗いて暇を潰していた。ネットで気になるページを見つけたらしく、「なるほど」と1人でぶつぶつ。
 和紗が構ってくれないので、ジェンティアンは斡旋所内を散歩してくる事に。

 やがて和紗はスマホをしまうと、

「ゲームで腕凝りましたよね。いつも緊張気味ですし体凝ってますよね」

 リーゼの体をぺたぺた。

「ほぐしましょう(真顔」

 直後、ノートPCを操作していた彼の両腕を取ると、ぐいっと後ろ手に。
 そのまま後ろから彼の腰に自分の膝を押し当てて固定し、両腕を引っ張ってエビ反りめきぃ。

「待て和紗、これは……(ぐぐぐ」
「(今覚えた)タイ古式マッサージです(めきめき」

 まじまじと見学するマリス。

「おお…リーゼくんきもちいい?」

 リーゼは答え(られ)ない。
 返事も出来ないほどきもちいいのかな?

「じゃああたしはエリスちゃんの肩揉んであげるね!」

 女の子相手だからちゃんとソフトタッチで揉むよ!

「なら私はエリスちゃんの腕をほぐしてあげるのですー♪」
「よし、俺はお嬢のツインテールを三つ編みにしてやろう」

 マリスとレフニーに揉み解され、ディザイアにヘアメイクされ始めるエリス。ノートPCから手が離れる。
 リーゼとエリス、パーティー離脱。

 次々と減っていく雪子のパーティーメンバー。
 だがまだだ。まだ雪子にはオペ子と豚侍という廃人仲間、そして新メンバーのルチアが居――

「「ぬぅ!? この霊圧…!」」

 瞬間、豚侍達が揃って顔を上げる。
 視線の先は画面ではなく、ロビー入口。ずぶ濡れの斉凛(ja6571)が立っていた。
 身に纏った純白のメイド服はぐっしょりと肌に張り付き、エプロンが重なっている箇所以外は透けてしまうほどの濡れ具合。

「「BMP画質で保存するでござるぅ!!」」

 豚侍@Alt+F4。

 それでもまだパーティーにはオペ子とルチアが居る。この2人が居る限り、雪子は決してぼっちなどではn――

「こら、樫崎。お前はまだ仕事が残ってるだろう」

 唐突に、局長の手が銀髪オペレーターの襟首をむんずと掴む。
 「オペ子です」と食い下がりながらズルズル連れて行かれるオペ子。大変そうですね、とルチアも何となくついて行く。

 たまゆき、ぼっち確定。

 仕方ない。今日から本気出す。
 雪子は一度キーボードから手を離すと、ごそごそと予備のPC2台を設置。そしてヒヒイロカネから、1つの魔装を取り出した。

 背部に稼働する服腕が付いた特殊鎧『SAメイル F-9』。

 確実に雪子はSAメイル F-9を手に入れたら高確率で一番最強になる。
 両手両足副腕でPC3台同時起動して3人チームを自己完結すればリアル世界よりも充実したBrO生活が認可される。
 本当につよいやつは強さを口で説明したりはしないからな。口で説明するくらいなら雪子は牙をむくだろうな。
 雪子INIで21.4とか普通に出すし。自慢じゃないがPT組んでる時に「BrOのイチローですね」と言われた事もある。

 手持ちのキャラは、いずれもレベルカンスト全身廃課金廃装備。

「撃退士の本気を見せてやるんですわ? お?」



 一方、ログアウトした豚侍達に囲まれた凛。
 いつもなら燥ぐ豚の群れを釘バットで調教するはずだが、今日は違った。

 何故か、わたわたと豚の群れを見渡すのみ。
 様子がおかしい。

 それにいち早く気づいたのは草摩 京(jb9670)。
 豚の包囲を外側から八極拳でぶち抜き、拳風で道をこじ開けて颯爽と凛を救出。
 お姫様抱っこしながら、その顔を覗きこむ。

「一体どうしたの?」

 落とさないよう注意しながら、凛の額に手を当てる。熱い。
 どうやら雨に濡れて風邪を引いてしまったようだ。

「とにかく急がなきゃ」

 オペ子に事情を話し、更衣室にある着替え用の儀礼服を貸してもらって手取り足取り着替えさせた。袖が余ってだぼだぼしているのが、何とも可愛い。
 などと言っている場合ではなかった。再び抱え上げて、医務室へと続く廊下を移動。

「やや、凛殿風邪でござるか」
「安静にするでござる」

 道中、心配して集まってくる豚侍達。
 すると凛は、京の腕からもぞもぞと降り立ち、

「暑いの…」

 せっかく着替えた儀礼服を脱ぎ始めた。
 京の肘が豚侍の眼窩に突き刺さる。

「冤罪でござるぅ!?」

 のたうち回る豚を踏みながら、凛を止める京。しかし、

「嫌なの…」

 よろよろと釘バットを抜き、意味もなく正面の豚侍を殴打しようとする凛。
 だがその瞬間、握りの弱かった釘バットがすっぽ抜けて、釘バットメイド砲に。

「消えたの……」

 ぼーっとした顔で、空になった手をぐーぱー。周囲をきょろきょろ。
 仕方が無いので別の釘バットを抜いて振りかぶる。

 すぽっ ずどんっ ぶひぃ!
 すぽっ ずどんっ ぴぎぃ!
 16本もあれば投げるのに困らないよね。

 それを、汗をかいて熱を発散するのも必要として見守っていた京だったが、体力の消耗も考慮してやはり止める事に。
 いやいや、と首を振る凛。

「脱いじゃ…だめ?」

 京としてはその様子が愛おしくて仕方がなくもあったが、

「凛が風邪で倒れたら、私は心配で死んじゃうわよ。ね?」

 返り血を浴びた体で抱きとめて、よしよしと頭を撫でてあやす京。
 鮮血に濡れた頬で、安心して泣き止んだ子供のように頷く凛。
 猟奇。

 点々と床に転がる豚の塊に背を向けて、京は凛を医務室へと運んでいった。



 散歩から戻ってきたジェンティアン。

「何か廊下に真っ赤なハムがいっぱい落ちてたんだけど。この斡旋所こわい」

 言いながら和紗達のほうに目を向けると、リーゼが凄い形に固められていた。

「少し目を離した隙に何始めたの、和紗」

 このはとここわい。

「竜胆兄もしましょうか?(リーゼめきめき」
「え、あ、いや。僕は遠慮しておくよ」

 あれ絶対付け焼刃でしょ…。
 さっきスマホ見てたのがそうでしょ…。

「ならデザート買って来て下さい(ぐぐ」
「アッハイ。買出しね…この大雨の中!(涙」
「限定スイーツが良いです(ばきばき」
「は? 限定スイーツ!?」
「何か?(ごきごき」
「分かったよ、並びに行くよ!」

 がんばれお兄ちゃん。



「ピザを取りましょう」

 そのオペ子の言葉に真っ先に同意したのは、ごろごろしていた天険 突破(jb0947)。

「雨の日は何もしないに限るピザ。雨だから大人しくピザ食べてるピザ」

 ごろごろしすぎて語尾がピザに変化してしまっている。
 すっかり休日ピザモードだ。

 マイケルも、ピッツァパーリィと聞いてBrOをほっぽり出して立ち上がる。

「拙者の大好物デース☆ でもジャパンの宅配ピッツァはベリー高いデース」
「たぶん経費で落とせます」
「ふむ、そうするか」

 局長のお許しが出た。

「ピッツァ代の徴収がないとはワンダフォーデスネー☆ 今日は食べまくるデース☆」
「わーい♪ あたしフルーツピザがいいなー♪」

 メニュー表に飛びつくマリス。
 カスタード、林檎、シナモン、クリチに苺にバナナにオレンジ。何でもござい。

「……私は、マルゲリータにしましょうかぁ……」

 恋音もメニューを眺めつつ、各自の希望を聞いて回る。自分1人ではSでも大きすぎるくらいだが、皆の分と纏めて大きいサイズで注文すれば丁度良いだろう。
 彼女は電話を手にし、店員にオーダーを告げ――

「メニューにあるピザ全部頼むピザ」

 ――ようとした寸前、横から首を伸ばした突破が丸ごと注文してしまった。

「…………お、おぉ…………?」

 既に電話は切れている。
 まあ、いいか。

 対して、ある重大な事に気づいてしまった熊…もとい定吉。

(いかん、この着ぐるみはかぶりつき型の食べ物には適してないのじゃ。しかも、ちーずが毛に絡む。いつも持ち歩いている煎餅は転倒のせいで粉じゃし)

 仕方ない、ここは脱ぐしかあるまい。
 お腹のチャックを下ろし、いそいそと丸首シャツ、腹巻き、ステテコ姿になる。

 誰も得しない爺の生着替え。しぇくしー。

 一方、コーラを飲み干した突破は新たな炭酸を求めてきょろきょろ。
 すると、自販機の前に未開封のソーダが落ちていた。近くには誰も居ない。

「いただきますピザ」

 彼はそれを迷わず全部飲んだ――……



 ジェンティアンがスイーツ店に着くと、店内に水も滴る良いオカマ…キャシー達が居た。

「あらジェンちゃん、こんにちぃ〜!(豪雨のような声」

 その手には限定スイーツの箱。なんとキャシー達の分で最後だと言う。

「あ、そうなの? なら仕方ないよね」
「じゃあこうしましょぉよぉ。私達の分は1つで良いから、その代わりジェンちゃんが1口ずつあ〜んして食べさせてぇ〜?」

 それは助かる、と有り難く提案を受け入れるジェンティアン。
 とりあえず斡旋所へ戻るべく、連れだって店を出る。するとキャシーが、

「ぬんっ!」

 唐突に、自分の傘を止め具をへし折った。

「いやぁあん! 傘壊れちゃったわぁ! ジェンちゃんの傘、い・れ・てぇん!」
「「ずぅるぅいぃ! 私もぉ!」」
「女の子を濡れさせるとか、ありえないよね」

 笑顔で受け入れるジェンティアン。
 ぎゅうぎゅう。
 でもこれ、多少は濡れるよね。

 そして帰還。
 ロビーでは、ちょうど和紗がマッサージを終えたところだった。

「仕上げです」

 言いながら、左胸にリーゼの頭をむぎゅっと抱え込む和紗。

「心音聞くと熟睡出来るとか(頭撫で」
「そうか」

 意外と体がほぐされていたリーゼは、大人しく抱かれたまま目を閉じる。

「…良い音だ」
「リーゼちゃん、音なら雨音でも良いと思うよ!?」

 引き剥がそうとしてジェンティアンが手を伸ばs――

 殺気丸出しの和紗の冷視線。

 ――土下座。

(…でもこれで熟睡出来たら成人男子としてどうなの)

 ちらっ、とジェンティアンが顔を上げる。
 リーゼはロビーの騒がしさに目を覚ます事もなく、小さく寝息を立てていた。

 熟睡…というほどでは無かったが、和紗の腕の中に居て、すぐ傍にはジェンティアンも居る。
 そしてその更に周りには、多くの見知った顔の学園撃退士や職員達の声。
 眠るには充分すぎる安堵感だった。

「寛げて良かった」

 満足げな様子で、和紗は呟いた。



 ピザが来た!
 定吉がステテコ姿で立ち上がる。が、

(む? 店員の様子がおかしい)

 立ち尽くし、小刻みに震えているロボ研部長。
 しかしそんな事には構いもせず、ピザに群がる若者達。

「母国ではキャットなロボットもピッツァ食べるデース」

 向こうの国では某猫型ロボットの好物がどら焼きじゃないという、驚愕の事実。
 食文化が違うからねどら焼きじゃなくても仕方ないね。

「ロペ子サンもピッツァ食べるデース?」

 部長ではなく、ピザを搭載してきた量産型ロペ子達を労うマイケル。
 だがオペ子が量産型の中からピザの箱を引きずり出したのを見て、

「Oh! 既に沢山食べてたデース! 人間が更にこれを食べるデスネー? 実にエコデース☆ 素晴らしいデース☆」
「雨の中ご苦労ピザ」

 突破も労いの言葉を掛けながら、箱を開けてむしゃむしゃ。

「届いたのを一切れずつ食べていくだけだから気にするなピザ」

 いや労ってねえなこれ。さては早く食いたいだけだなこれ。

「チーズ in チーズ on theチーズ注文したの私ですー」

 チーズの気配を察知して、トマトヘッドと化していたシエルがむくりと起き上がる。手に取ったのは、生地も具も全てがチーズなシエルスペシャル、チーズ3。
 捕食。
 チーズ3を取り込んだシエルの頭は、みるみるうちに元通りになった。

 ルチアも、オペ子と一緒にピザをつまんでもぐもぐ。
 他の味も食べてみようと思い、ドラム缶ロボの胴に手をかける。が、開かない。

 試しに他のロペ子の胴を見てみるルチア。
 陸型、海型、空型。どの量産型もちゃんと開いた。

 実はこの4体目のドラム缶。中身はロボではなく静馬 源一(jb2368)だった。
 その辺に転がっていたドラム缶を被って、ロペ子に擬態。幻の4体目としていつの間にか混ざっていたのだ。

 スキルなど不要で御座る。己の工作一つで正々堂々、完璧にロペ子になりすましてみせるで御座る。

「ワフ。ジブン、ろぺ子殿。ろぺ子殿。ニセモノ、チガウ。ニセモノ、チガウ。デ御座ルヨ」

 この完成度! まさに忍者の所業!

 だがそうとは知らぬルチア。
 何とかしてこじ開けようと、徐にサーベルを抜剣。

「ワフ!?」

 そのままドラム缶に刃を突き立てr――

「キエエエェェェエエエ!!」

 突如、部長がキレた。
 魔具を持って暴れ出す。

「落ち着くのじゃ若いの!」

 素手で飛び掛かる爺。
 主を守る為、戦闘モードに移行する量産型ロペ子。
 乱闘。

 それを他所に、オリジナルロペ子にピザを食わせていたマイケル。

「熱々 デス」
「もっと食べたいデスカー? 更に注文したら食べれるデスネー?」

 卓上の電話に手を伸ばし、ピザ屋に掛ける。

「アゲイン、メニューの全部お願いするデース☆」

 刹那、流れ弾で受話器がバキューン。

「Oh, shit!」

 ハリウッド映画ばりのダイナミックダイブで、カウンターの中へと身を隠す。

 対して、銃弾を意にも介さずその場でひたすらピザを食していたのは突破。
 俺が食べてる間に通り過ぎるのは無理に追わないピザ。

 だがその時、彼の体に異変が起こった。
 むくむくと全身が膨れ始めたのだ。

「なーんーかー、こーとーばーがー、ゆーっくりー、かーらーだーもー、まーるいー」
「…………お、おぉ…………。…………もしかして、アレを飲んでしまわれたのですかぁ…………?(ふるふる」

 ナムサン! 先刻彼が拾って飲んだソーダは、恋音の落とした超肥満化薬入りソーダだったのだ!



 これと言って意味も無く、ふらふらと街中を歩いていたルーカス。流石の大雨で、すれ違う人影もなく。
 雨音に隠れて、つい鼻歌を口ずさんでみたりする。
 ぴっちぴっちちゃぷちゃぷ、なんてそんな可愛らしいものでもなく。
 元となる歌は特に無く、音に任せて適当に。

 だがそんな時でも、周囲を警戒する癖は取れず。
 ピリピリしてはいるが、誰かに敵意を向けている訳でもない。
 これと言って意味も無く、ふらふらと……。

 ふと、雨の街中で仰向けに倒れているとしおを発見した。どうやら気絶しているようだ。
 近づいて、頬をぺちぺち。

「大丈夫か」
「…ハッ!? ラーメン!?」

 起きた。

「あれ? 行列ラーメン店はどこに?」

 寝ぼけるとしお。

 ――実は最初にすっ転んで後頭部を強打した時、既に気絶していた。

 行列ラーメンは夢だった。
 現実を取り戻したとしおは、せっかくだからとルーカスを誘って今度こそラーメン屋へ。しかし、

『大雨の為、臨時休業致します。店主』

 無慈悲な張り紙を前に、傘も差さずにずぶ濡れで立ち尽くすラーメン王。

「……さ、帰ってカップ麺でも食べるか……」

 切替早。

「俺もそろそろ戻るか」

 再び斡旋所へ。
 ロビーに入ると――

 そこは戦場だった。

 某有名ステルスゲームの4作目に出てきそうな全高30cmの小型ロボが豆ミサイルを吐き出し、空型ロペ子と板●サーカスばりの空中戦。

 鉄鳴は時折自分に向かって飛んでくる流れ弾を撃ち落としつつ、本のページを捲って見て見ぬフリ。
 そんな彼に、オペ子が声を掛ける。

「あのチビロボですが、オペ子の記憶が確かなら牙撃さんのお家のロボだった気がします」

 学園を闊歩しているのを見たことがある気がする。
 瞬間、豆ミサイルが直撃して自販機にヒビが。

「…あのロボは俺とは関係ないので建物の修理代とかの請求は他にしてくれ」
「そうですか」
(雨でおかしくなったか? 防水は完璧のはずだが…)

 やっぱりお前のなんじゃねえか。

「ワフ! ジブンニ、任セロ、デ御座ルヨ!」

 飛び出したのは源一。
 自らゴロンと横倒しになり、鉄鳴のチビロボ目掛けて『偽ロペ子殿ろーりんぐすぺしゃる』で襲い掛かる!

「おせんべいにしてやるで御座る!」

 ロボ口調も忘れてゴロゴロゴロ!
 だが迂闊! この技は一度転がると方向転換する術が無い!

 ヒョイッと躱すチビロボ。
 そのまま源一は入口の自動ドアに激突するかと思われたが、タイミングよく陽波 透次(ja0280)が入ってきた事で、華麗にドアをスルー。

「こ、これはいったい!?」

 屋外へと転がっていった源一を他所に、ロビーの惨状に困惑する透次。
 そしてそんな騒ぎの一部始終を、陰からじっと観察する夜桜 奏音(jc0588)の姿があった――



 ラファル A ユーティライネン(jb4620)はイライラしていた。

 雨は嫌いだ。体の一部を機械化していて金属部分が多い自分にとって、雨は面倒が多い。具体的に言うと、錆びやすい。
 一応、生活防水加工はされているので小雨程度なら問題無いが、こうも大雨に降られ続けると恒常的な活動には難がある。勿論、学園の技術陣もアウルと魔装技術を駆使した水陸両用の義体を用意してくれてはいる。

 が、ダサい。

 任務以外では絶対に着たくないほどダサい。

 だってアッGAYだぜ?
 ありえねーだろアッGAY。

 よって大雨の今日、ラファルさんは斡旋所ロビーのソファーに寝転がって静かにイライラしていた。

「あー、うるせえなー……」

 乱闘騒ぎに背を向けるように、ごろんと寝返りを打つ。
 後ろのテーブルでは、雪子が3PC同時操作で1人BrO祭り。

「oi misu おい ピザまだですか」
「あ、ピザ来てんだったか。取ってくるか?」

 ディザイアが立ち上がる。

「ついでに飲み物の補充にも行くかね」

 適当に見繕いながら、ロビー眺め。

「何時ものことながら、皆元気だよなぁ」

 保護者感。
 そしてチーズ3を抱えたシエルと一緒にテーブルへ戻る。

「好きなのを食うといい」
「というかいま両手両足副腕全部埋まってるので食べさせてくだしあ」
「チーズ食え」

 シエルが、ピザの形をした火傷するレベルのチーズを雪子の口にお裾分け。

 ジュッ

 悶え転がった雪子がラファルのソファーに激突。
 瞬間、尻が3つになりそうなくらい蹴たぐられた。



 何とか場を収めようと、隠密スキルを駆使して部長へと近づく透次。
 ケセランを囮にして陸型を遠ざけ、その隙に後ろから部長を羽交い絞め。

「な、何があったんですか?! 落ち着いてください! だ、誰か、マインドケアを!」
「これ食べ終わるまで待って欲しいのですー(ピザもぎゅもぎゅ」

 返事をしたのは、マリスや和紗らとピザパ満喫中のレフニー。

「和紗ちゃんかずさちゃん、これ美味しいよ…!(あーん」
「あ、ありがとうございます(照れながら小さく一口もぐもぐ」

 ダメだこのヒト達は頼りにならない。

「任せてください!」

 別方向からの声に振り返ると、香里が立っていた。レフニー以外で唯一のマインドケア持ち。
 彼女は部長の前まで行こうとして――

 直後、散乱したトランプで足を滑らせて転倒。
 おかしい、先程までこんなものは無かったはずだが……。

 近くに居たルチアが助け起こそうと手を伸ばすが、

「誰か止めて欲しいで御座るー!」

 どっかん!
 何者かによって向きを変えられた源一が、ゴロゴロと戻ってきてルチアをおせんべいにしてしまった!

 壁にぶつかって停止した源一の耳に、“誰か”の囁きが聞こえる。

「どうせなので、もっと暴れてください。その方が見てて面白いので」

 そして“誰か”に手によって、再び転がされる源一。

「……駄目ですよぉ……」

 不意に後ろから声をかけられて、“誰か――奏音――”は振り返る。
 恋音がふるふるとこちらを見ていた。

「あら、見つかりましたか」

 ばれては仕方が無いと、開き直る奏音。

「面白そうですし、私もやって見ましょうか」

 堂々と暴徒側に加わろうと――とさぁ。
 刹那、奏音が前のめりに倒れた。

 恋音のスリープミスト。
 部長も眠らせ、睡眠が効かないロペ子達には容赦なくライトニングで鎮圧。

 やがて目を覚ました部長に、香里が改めてマインドケア。
 ついでに手製の紅茶やサンドイッチを振る舞いつつ、キレた理由を尋ねる。

 赫々然々。

「なるほど大変ですね…」

 事情が分かって頷く透次。
 暴力は良く無いが気持ちは分かる、と周りを見渡す。

 だらけっぷりが半端ねえ。

 ともあれ、恋音によるお説教タイム。部長と奏音と源一を正座させ、更に反省文を書かせる。

「やほー☆ 何して遊んでるの? まぜてー☆(2回目」

 そこへ、頭に大剣が刺さったジェラルドがやってきた。剣の柄には、雫がぶら下がっている。
 源一の手元を覗き込み、

『暇だったところに面白そうなことが起きそうだったのでチョーシに乗ってみた。反省はしてる。後悔はしてない』

 説教されているのだと気づくジェラルド。
 おう混ざれよ。

 しかしまあ、こんな日のピザ屋バイトは悪態も吐きたくなるのが人情だと思う。「仕事が無くて暇ですし手伝いましょうか?」と透次が申し出る。

「本当か!?」
「ボランティアでも別に構いませんし」

 暴れられるのを防止出来るなら撃退士的には意味もある。ピザ屋のバイトなら経験があるので出来るはず。配達でも焼くのでも。

「では是非とも私の代わりに頼んだぞ」
「え? あの、代わりじゃなくて、あくまで手伝いのつもりだったんです…けど…」

 小汗を浮かべる透次。
 それを他所に、雫は大剣にぶら下がったままオペ子に顔を向ける。

「オペ子さん、私にも一片貰えますか?」



 篠突く雨の中、傘もささずに濡れ鼠……。深森 木葉(jb1711)は1人で歩いていた。

 公園で仲の良い親子を眺めていたら、ふと淋しさに囚われ、とぼとぼ歩いていたところに振り出した雨。
 濡れた髪が頬に張り付き、水を含んだ着物は重く、塞ぎ込んだ心はあの日の記憶を思い出す……。

「お父さん、お母さん…」

 見上げた空は鈍色で、天の涙は頬を流れる涙を隠す。
 あてもなく彷徨っている内に辿り着いたのは斡旋所。窓から中を覗くと、そこには見知った顔が。

「あっ、エリスちゃんだぁ」

 中に入ろうとして、すぐに思い止まる。

(こんな格好で入ったら、心配をかけちゃう…)

 髪や服はずぶ濡れで、目だって赤く腫れているかもしれない。
 今思うと、自分はいつも誰かに心配をかけてしまっている。

「帰ろっかぁ…」

 力なく肩を落とし、踵を返す。

 しかしその時、何故か和紗達が外へ出てきた。
 つい物陰に隠れる木葉。

「やってみたかったのです」

 そう言って、和紗は傘も差さず大雨の中に進み出る。
 TでMでRな、雷鳥ごっこ。

「時々和紗って分からなくなるよね…」

 ジェンティアンは遠い目をしつつ、無駄にあるその歌唱力で雨音を彩り始める。
 曲の盛り上がりに合わせ、リーゼもアカレコスキルで雷バリバリ。

 歌:ジェンティアン
 雷演出:リーゼ&ジェンティアン
 観客:マリス、オカマ、エリス、レフニー、ディザイア、シエル…つまり大勢

 孤独な羽根を曝すイメージで両手を空に向け拡げ、全身で雨の恵みを感じるヽ( '◇')ノ
 無心で雨に集中。

「きゃー! 和紗ちゃん素敵ー!」

 ジャージ姿がシュールだなおい。
 とは声には出さず歌い続けるジェンティアン。

 だがその時、スキルの雷光に引き寄せられて本物の落雷が!

 より身長の高い方(つまりジェンティアン)へピシャーン。
 黒焦げになったジェンティアンからシエりじをがにょきにょき。まるで緑色のサイリウムのように揺れ踊っていた。

「くしゅん」

 和紗のくしゃみ。

「リーゼくん、和紗ちゃんの髪拭いてあげてね…!」
「(こくり)」

 皆ずぶ濡れ。ぞろぞろと戻っていく一同。
 隠れていた木葉も、羨ましさに蓋をして皆とは反対方向へ帰ろうとして――

「どうしたの? そんな所で」

 声がした。
 振り返ると、目の前にエリス。見つかってしまった。

「あうぅ……」

 バツが悪そうに俯く木葉だったが、

「濡れちゃったの? 私もみんなもずぶ濡れだし、お揃いねっ」

 にぱっと笑うエリス。

「風邪引かないうちに中に戻りましょ」

 木葉の手を引いて歩き出す。
 入口ではレフニーやディザイア、ジェラルド達も、中に入らず2人を待っていてくれた。



 あったかい紅茶を淹れた後、後ろからリーゼの髪を拭くマリス。

「髪が短いと乾くの早くていいよねー(ぽふぽふ」

 同じように、リーゼは和紗の髪を。
 それにしても、とマリスは外を見やり。

「雨やまないねー」
「夕飯もピザでいいんジャマイカ?」

 そうしようそうするべき。スマホで注文する雪子。

「そーれーがーいーいーぴーざー」

 そろそろ超肥満化薬の効力が無くなっても良い頃合の突破だったが、何故かまんまるのままだった。
 あ、ピザの食いすぎか。まあそのうち元に戻るだろう。

 その頃、隅っこで量産ロペ達に手伝ってもらいながら、何やらガチャガチャギュイーンとやっていたシエル。
 なんと粗大ゴミで宇宙型指揮官専用ロペ子を建造。

 フレームは出来た。あとは動力炉にコレを入れれば完成だ。
 粗大ゴミに生えていたシエりじをを引っこ抜き、部長に手渡す。

「弁償ではありませんけど」

 ゲインとの戦いで量産型を大破させてごめんなさいのプレゼント。
 部長は有り難く受け取り、動力炉にシエりじをを入れr 爆 発 !

 炭化して横たわる部長と粗大ゴミ。
 やはり材料に無理があったか。
 せめてデータだけでもと、シエルはアフロになった部長の髪にUSBメモリーをそっと捻じ込んでおいた。

 やがて、ピザ屋の制服を来た透次が新しいピザと共に到着。
 ドアをくぐってロビーに入り――

 床に奏音の撒いたトランプが出しっぱなし

 ――踏む。

 転倒し、そして大量のピザが宙を舞った先にはソファーで眠るラファルが…!
 熱々ピザべちゃあ。

「……………………」

 無言でむくりと起き上がるラファルさん。
 立ち上がり、すたすた逃げる鉄鳴。
 直後、

 ぶちぃ

 機械化ぼでーの砲門展開。一斉掃射 大 爆 発――……






























 斡旋所跡地。
 屋根を失い、大雨に打たれる皆の衆。

「…………えと、銭湯にでも、行きましょうかぁ…………」

 恋音の言葉に、一同はふるふると震えながら頷いた。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 未来へ・陽波 透次(ja0280)
 ラーメン王・佐藤 としお(ja2489)
 大祭神乳神様・月乃宮 恋音(jb1221)
 正義の忍者・静馬 源一(jb2368)
 久遠ヶ原から愛をこめて・シエル・ウェスト(jb6351)
 氷結系の意地・玉置 雪子(jb8344)
 空の真ん中でお茶を・夜桜 奏音(jc0588)
 大好きマヤカどの・上野定吉(jc1230)
重体: −
面白かった!:20人

未来へ・
陽波 透次(ja0280)

卒業 男 鬼道忍軍
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
紅茶神・
斉凛(ja6571)

卒業 女 インフィルトレイター
ドS白狐・
ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)

卒業 男 阿修羅
久遠ヶ原から愛をこめて・
天険 突破(jb0947)

卒業 男 阿修羅
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ねこのは・
深森 木葉(jb1711)

小等部1年1組 女 陰陽師
アメリカン☆ドリーム・
マイケル=アンジェルズ(jb2200)

大学部2年257組 男 ディバインナイト
正義の忍者・
静馬 源一(jb2368)

高等部2年30組 男 鬼道忍軍
ペンギン帽子の・
ラファル A ユーティライネン(jb4620)

卒業 女 鬼道忍軍
総てを焼き尽くす、黒・
牙撃鉄鳴(jb5667)

卒業 男 インフィルトレイター
護黒連翼・
ディザイア・シーカー(jb5989)

卒業 男 アカシックレコーダー:タイプA
久遠ヶ原から愛をこめて・
シエル・ウェスト(jb6351)

卒業 女 ナイトウォーカー
暁光の富士・
ルーカス・クラネルト(jb6689)

大学部6年200組 男 インフィルトレイター
光至ル瑞獣・
和紗・S・ルフトハイト(jb6970)

大学部3年4組 女 インフィルトレイター
ついに本気出した・
砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)

卒業 男 アストラルヴァンガード
和風サロン『椿』女将・
木嶋香里(jb7748)

大学部2年5組 女 ルインズブレイド
氷結系の意地・
玉置 雪子(jb8344)

中等部1年2組 女 アカシックレコーダー:タイプB
撃退士・
マリス・レイ(jb8465)

大学部5年7組 女 アストラルヴァンガード
『楽園』華茶会・
草摩 京(jb9670)

大学部5年144組 女 阿修羅
悠遠の翼と矛・
ルチア・ミラーリア(jc0579)

大学部4年7組 女 ルインズブレイド
空の真ん中でお茶を・
夜桜 奏音(jc0588)

大学部5年286組 女 アカシックレコーダー:タイプB
大好きマヤカどの・
上野定吉(jc1230)

大学部2年7組 男 ディバインナイト