.


マスター:水音 流
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:25人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/05/31


みんなの思い出



オープニング

 ――とある田舎の山奥。管理放棄されたキャンプ場のコテージ。

「大次郎、パトロールに行くぞー」

 若い女悪魔フェルミは車庫へと続く扉を開け、車両の代わりに庫内を占有している10m超えの巨大黒猫に声を掛けた。
 もふもふの黒毛をよじ登って大次郎の頭に乗り、車庫を出て、木々を傷つけないよう透過しながら緑が生い茂る山道をのしのし進む。

 すると林の中で、筍を採りに来ていた麓の村のお婆ちゃんと遭遇。

「おやまぁ、山神様じゃないかい」
「おー。ばあちゃん、今日も元気そうだなー」
「おかげさまでねぇ」

 まるで崇めるように手をすり合わせて大次郎とフェルミを拝むお婆ちゃん。

「この辺りは熊や猪が出るから、気をつけないとダメだぞー」
「えぇ、えぇ。心配してくれてありがとうねぇ。そうだ、せっかくだからちょっと持っておいきよ」

 採れたばかりの筍をお裾分け。

「お口に合うと良いんだけどねぇ」
「いつも悪いなー。あとで美味しくいただくぞー」

 手近な蔓で筍を縛り、巨大な携帯電話がぶら下がっている大次郎の首輪に吊るすフェルミ。
 そのまま麓の村までお婆ちゃんを送り届けてやると、通りすがった他の村人からもたくさん声を掛けられた。

「山神様は今日も大きかなぁ」
「ありがたやありがたや」
「うちの畑で採れた野菜も持っていきなせぇ」

 何だか色々お供えされて、フェルミ&大次郎は村人達に手やら尻尾を振りながら踵を返してのっしのっし。

「そういえば最近、村にも撃退士の斡旋所が出来たらしいなー」

 村人達が口にしていた世間話。
 頭上の主の言葉に、大次郎が耳をぱたぱた揺らす。

「人間も頑張ってるんだなー」

 しみじみ。
 その時、ろくに舗装もされていない田舎道で見覚えのある後姿を発見。

 銀髪ツインテールの頭に黒い仔猫を乗せた斡旋所支部のオペレーター、オペ子。隣にエリスとリーゼを引き連れ、てくてくと歩いていた。

「おーいオペ子ー」
「おや。奇遇ですね」
「こんな所で何してるんだー?」
「真面目なオペ子は斡旋所のおつかいに来ていたのです」

 曰く、村に新設されたばかりの斡旋所で、先任オペレーターとして事務の手伝いをしていたらしい。
 エリスとリーゼは、その護衛(という名目のお目付け役)。

「なるほどなー。天魔が出たら危ないからなー」
「いま目の前に居るけどね」

 エリスがぽつり。
 すると大次郎がすんすんと鼻をひくつかせながら、その巨大な顔をエリスに近づけ――

 がぶり

「!!?」

 頭からあぐあぐ。

「あー、バナナみたいな色してるからなー。お腹空いたのか大次郎ー」

 あぐあぐ。
 じたばた。

「オペ子もお腹が空きました」

 言いながらオペ子とその頭上の小次郎が、大次郎の首輪に吊るされている野菜やら肉やらを見上げる。

「山まで来ればご馳走してやるぞー?」
「知らないヒトについて行ってはいけないと言われましたが知らないヒトではないのでオペ子はホイホイついて行く所存です。護衛もいるから安心です」

 その内の1人は今まさに食われてるけどな。

 動かなくなったエリスを咥えてぷらーんしたまま大次郎が歩き出し、オペ子とリーゼもすたすたとその後を追った――



「あああぁぁぁ、大変だぁ!」

 その光景を物陰から見ていた新設斡旋所の男性事務官は、あわあわと震えた声を上げる。
 オペ子達にお土産の筍を渡し忘れていたのを思い出して慌てて追いかけて来てみれば、とんでもないものを目撃してしまった。

「オペ子さん達が天魔に攫われちまったぁ…!」

 ヒトの役に立ちたいと、斡旋所に就職する事を夢見て幾数年。村を離れて必死で勉強し、ついにその夢が現実になった勤務初日にまさかこんな大事件が起こるとは。
 事務官は急いで斡旋所へと戻り、電話で久遠ヶ原へ救援要請。

「でっけぇ黒猫の天魔に、ヒトが攫われちまっただよ! すぐさ増援の撃退士さん派遣してくれぇ!」



 要請を受けてやってきた数名の学園生達。巨大天魔が棲み処にしているというコテージに近づき、草陰からそっと様子を窺う。

 フェルミ&大次郎とオペ子&小次郎が、リーゼの作ったバーベキューを貪っていた。

 何故か1人だけベトベトになったエリスが地面に倒れているが、平和な光景そのもの。
 姿を見せた学園生達は、フェルミに声を掛けてみる。

「んー? 一緒に食べるかー?」

 と思ったが、村人達から貰った食材は既に無し。

「新しく採ってこないとだめだなー」


●山へ行った撃退士が戻ってこない
「でっけぇ黒猫さ見たって、それ山神様じゃないのかい?」
「山神様は悪さするような天魔じゃねえよぉ?」

 首を傾げる村の老人達を他所に、1人頭を悩ませる若い事務官。
 みんなあの天魔に騙されているに違いない。現に、増援として送られてきた撃退士も帰ってこない。

(オラがしっかりしねぇと…!)

 あれほど巨大な天魔だ。きっととてつもなく強いのだ。
 事務官は報酬を上乗せし、再度増援を要請した。



 新たに駆けつけた学園生達が見たもの。それは、菜園を耕す学友達の姿だった。

「働かざるもの食うべからずだからなー」

 巨大な麦藁帽を被った大次郎の頭上で、同じく麦藁帽を被ったフェルミが言う。
 自然の中では、待っていてもごはんは出てこない。食材が欲しければ自らの力で採らなければならないのだ。

 既に育っていた野菜を収穫し、新しく種を植える。
 魚が欲しければ川へ。肉が欲しければ森へ。

 駆けつけた学園生達は互いに顔を見合わせてこくりと点頭すると、そっと“道具”を手にした――


●やっぱり撃退士が戻ってこn(ry
「もうおしめぇだぁ…!」

 みんなあの巨大天魔に食べられてしまったに違いない。

「まぁまぁ、落ちついて煎餅でも食いねぇ」

 床を転げ回る事務官を尻目に、老人達はロビーのテーブルでのほほんとお茶を啜っていた。


リプレイ本文

「標的を発見した。発見した、が……」

 インカムを付けて双眼鏡を覗いていたルーカス・クラネルト(jb6689)の頭に、大量の『?』が飛ぶ。
 先行撃退士達がフェルミの指示を受けて大地人と化した光景。

『ああ、なるほど。ま、こういうこともあるだろうな』

 別のポイントからライフルのスコープを覗いていたミハイル・エッカート(jb0544)も頷き、一同は武装を解除してぞろぞろとフェルミの前に姿を見せた。

「ここに座って」

 徐に、鴉乃宮 歌音(ja0427)はコテージの庭にあった木製テーブルと椅子を引っ張ってきて着席。対面を指しながらフェルミ&大次郎に声を掛ける。
 頭に主を乗せた巨猫は、大人しく伏せをして応じる。

「名前は? 普段からここに住んでるのかな? 悪さをするようには見えないけど、人界に来た動機を聞いても良いかな?」

 職質…いや面接か。
 経歴を尋ねつつ、折角だから学園で正式な承認を得てみないかと提案を持ちかける鴉乃宮。

「何、協力的な天魔とのコミュは有用だからね」
「でも大次郎が居るからなー。ガッコーはディアボロを連れてたら怒られるって、オペ子が言ってたぞー」

 人間を食べるつもりはないが、大次郎は大切な家族である。
 別れなければならないのなら、学園へは行きたくない。

「今のまま山でのんびり暮らすぞー」
「そうか。了解した」

 本人が現状を望むなら騒ぐ必要なし。
 鴉乃宮は、面接内容を記した書類をトントンと纏めて頷く。

「それよりひと狩り行こうぜ」

 待ちくたびれたと言わんばかりに口を開いたのは、天険 突破(jb0947)。
 天魔? 学園? まあいいじゃないかそんなことは。

「いいな、山の空気。俺も山育ちだけど所詮人里だからな、ここまで大自然だと元気になるぜ」

 細かい事は気にしないスタイル。
 が、そんな突破とは逆に、気にしまくりな現代っ子が1人――

「圏外とかちょとsYレならんしょそれは…?」

 玉置 雪子(jb8344)。
 スマホの電波マークに付いた×印を見て、明らかに動揺。

 雪子がやらなきゃ誰があのスレを保守するんですか!?
 今日は夜までに帰らないと主催してるユーザーイベントgくぁwせdrftgyふじこlp

 玉置 雪子を倒すのに武器は要らぬ。ただ1本、ネットプロバイダに解約の電話を入れれば良い。
 まあ今はその電話すら無いわけだが、彼女がこの先生きのこれない未来に変わりはなかった。

「あたししってる! これサバイバルっていうやつ…!」

 その時、雪子とは別の人物が慌てた声を出した。
 マリス・レイ(jb8465)。お茶淹れ以外に特技がないので、このままだと飢える。

 一方、そんな頭を抱える女子2人を尻目に、なにやら真剣な表情を浮かべている者も居た。
 樒 和紗(jb6970)はバーベキューの世話をしていたリーゼを発見するや否や、すたすたと真顔で彼の所へ歩いていき……

「脱いで下さい」

 どよっ

「見たいので」

 周囲の目も気にせずリーゼに迫り――

「この服を着たところを」

 ――プレゼントしようと思って持ち歩いていた青のカットソーを広げて見せた。

 あ、なんだそういうこと。

「和紗、それ言葉の順番逆だから…」

 突然の大胆発言に白目を剥きかけていた砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)が、安堵混じりの溜息を吐く。
 倒置法にしたらキケンな言葉ってあるよね。

「でもその服選ぶの僕も手伝ったから、リーゼちゃんはいっぱい感謝するといいよ…! いっぱい感謝するといいよ…!」

 だいじなことなので。

「ふむ」

 たぶんテストには出ないであろうジェンティアンの言葉にリーゼは真面目に頷きながらカットソーを受け取り、コテージの裏へと引っ込んでお着替えごそごそ。
 しばらくして、白黒のバーテンシャツから青のカットソーへとフォームチェンジして戻ってきた。

「歩いてターンしてポーズを」

 和紗プロデューサーからの要求。
 リーゼはバーで働く同僚達が読んでいたファッション誌の男性モデル写真を思い浮かべながら、見よう見まねでクルッとポーズ。
 いつもの仏頂面のまま。
 愛想の欠片もねえ。

「似合います(こくり」
「恐縮だ(ぺこり」

 次いで和紗は、エリスにも緑のミニショルダーバッグ贈呈…しようと思ったが、本体は何やらベットリしていたので、とりあえずその隣に転がっていたうさぬいにそっと担がせる事に。

 更にそこへ、続々と増援の撃退士達が駆けつける。

「黒猫さんがお相手ですかぁ! あたしも『ねこのは』で対抗ですぅ。にゃん♪」

 現れたのは和風ねこ幼女、深森 木葉(jb1711)。黒の小袖と黒の袴、猫耳カチューシャと尻尾アクセサリーも黒で統一。
 小次郎と大次郎に続く、第3の黒猫枠。

「オペ子ちゃんとエリスちゃんがピンチと聞いて! …ってあれ? 楽しそう?」

 天宮 葉月(jb7258)もズザーッ勢いよく滑り込んでくるが、農耕具や狩猟具片手に佇む学友達を見て、はてと首傾げる。

「……!」

 それを見たRehni Nam(ja5283)の頭に、閃きのLED電球がピカリ。
 文字を書いた即席の看板をばばーんと掲げる。

\カメラは山奥に謎の部族を見た!(題字:れふにー)/

「これ後でテロップで入れるのです」

 録画ボタンを押し、一部始終をカメラで撮り始めるレフニー。うつ伏せのまま伸びているエリスを、ずいーっとズーム。
 ふと、画面の端に花柄の着物が見切れていた。
 レフニーが真っ直ぐカメラを向けると、そこに居たのは華愛(jb6708)。『エリスちゃん観察日記』と書かれたノートを広げ、せっせと何かを書き込んでいる。

『エリスちゃんを、発見。なにか、ベタベタ?』

 カキカキ。

「なあ、早く狩り行こうぜ」

 突破がうずうずと急かす。
 何人かの撃退士は、既に畑仕事を始めているようだった。

「あ、こういう番組見た事ある。面白いよねアレ」

 葉月の声。

「ぼたん鍋の準備しといてくれよ」
「え、やるの? よし、料理なら任せなさい! ところで、エリスちゃんはどうしてベトベトに?(つんつん」
「大次郎がバナナと間違えちゃったからなー」
「お嬢は犠牲になったのだ…空腹の犠牲にな(まがお」

 フェルミの言葉にディザイア・シーカー(jb5989)が頷く。

「なるほど、なのです」

『エリスちゃん、バナナにされる。おいしそう』

 カキカキ。
 エリスの身に起こった事を全力で書き記す華愛。
 発した言葉も書き記す。
 ついて回る。
 宝物にする。
 えりすらぶ。

 そしてカメラに気づいた華愛はキリッとしながら振り向き、

「詳細は、追って報告、なのです」

 こくり。
 ともあれこのまま放っておく訳にはいかん、とディザイアがエリスとうさぬいを担ぎ上げる。

「お嬢洗いついでに魚でも獲るか」

 レフニー、ねこのは、華愛も同意。

「あ、洗ってきます? じゃあ、後で色々持って行きますね」

 歩き出したメンバーを見送る葉月。
 一方、細々とした荷物はコテージに預けて最低限の装備と道具を持って後を追うルーカス。

「川行くのかー? 麓村のじいちゃんばあちゃん達が『滝壺近くはヌシが出るらしい』ってよく言ってるから、気をつけたほうがいいぞー」

 フェルミの助言に手を上げて返事をしながら山道を抜け、やがてディザイア達は水辺へと到着。
 さらさらと流れる透明な帯。上流では、垂直に伸びる滝が結構な水飛沫を上げている。
 草木に混じる清冷とした水の匂いは、それだけで一同を清々しい気持ちにさせてくれるようだった。

 流れていかないように気をつけながら、そっとエリスを下流に浮かべる。
 レフニーとねこのはが岸から手を伸ばし、ベトベトのエリスをゴスロリ服ごと綺麗綺麗。

『エリスちゃん、洗濯される。じゃぶじゃぶ』

 カキカキ。

「詳細は、追って報告、なのです」

 やがてピカピカになったエリスを引き揚げるも、未だその意識が戻らない。
 「戻ってこーい」と、ねこのはとレフニーが川水の滴るエリスをだぎゅーっ。

 これ、洗濯されて溺れたんじゃ……。

 直後、レフニーがある事を思いつく。
 ソラ――金狐の姿をした、レフニーのスレイプニル――でモフったら、エリスちゃん帰って来るかな…?
 早速召喚。
 ソラがふさふさの金毛九尾でエリスを包み込む。もふもふ!

 すると……

「ハッ!? 三途の涎!」

 エリス帰還。

『エリスちゃん、帰還。三途の涎』

 カキカキ。
 これで心置きなく遊べる。

「エリスちゃんと川でキャッキャウフフなのですぅ〜」
「折角ですし、スナオや大佐も呼んであげましょう」

 玄武を連想させる甲羅姿のストレイシオンと、葉巻が似合うふてぶてしいヒリュウも召喚するレフニー。
 え? 同時召喚数? それはほらアレだよ、戦闘召喚じゃなくて日常召喚的ななんやかんやがコメディ補正してる感じなんだよきっと。
 それを受けて、華愛も自身の召喚獣達を呼び出す。

 竜達がばしゃばしゃと水浴びするのを見て、ねこのはもつられるように川へ入――ろうとして、しかし水着が無い事に気がついた。

「全裸でもいいかなぁ〜?」

 お巡りさんが来ちゃうからねやめようね。
 どこからともなく投げ入れられる厚手の襦袢。それを受け取りつつ、ねこのはの頭には次なる疑問が。

「エリスちゃんの水着は…どうしましょう?」

 「持ってる?」というねこのは達の視線に、エリスはふるふると首を左右に動かす。
 それに応えたのはディザイア。

「なら…作るか」

 ダークスーツの上着を脱ぎ、ソーイングセットしゃきーん。
 ジョキジョキちくちく。

 ほどなくして完成したのは、なんとワンピースの水着。ダークスーツ色なのでスク水に見えなくもない。
 だがこれなら、ペタ(げふげふっ)なお嬢も安心! まるで測ったかのようにサイズもぴったり!

 持てる裁縫スキルを余す事無く発揮したディザイア。が、心なしかレフニー達の視線が少し冷たかった。

「すごいですけど、すごすぎて逆にちょっと引くのです」
「おかしい、俺は完璧な仕事をしたはず……」

 ともあれ、エリスは完成したスクみz…もといワンピースタイプを(若干奥歯ぎりぃしつつ)受け取り、レフニーも水着型の魔装を活性化して川へ。

「あっ、ディザイアさんはあっち向いててですよ」

 チョキで目潰しぶしゃー。
 黒い天使は両目を押さえてゴロゴロと川原を転げ回った。



 その頃コテージでは――

「一度、山を下りようと思う」

 そう口にしたのは、礼野 智美(ja3600)。
 事務官への事情説明。フェルミ&大次郎に害意が無い事と、撃退士達の安否を伝えておいたほうが良いだろう。
 既に森へ狩りに出かけた鴉乃宮から、面接書類も預かっている。

「……おぉ……。……そういう事でしたら、その、私もご一緒させていただいても、よろしいでしょうかぁ……?」

 月乃宮 恋音(jb1221)が、ふるふると小さく震えながら挙手。
 下山ついでに、麓の店で買い出し。自給自足が基本とはいえ、一部の調味料や日用品はどうしても不足するものが出てくるだろう。フェルミの今後の備蓄分も合わせて、補充しておくに越した事はない。
 念の為、役所に寄って山中での狩猟許可も貰っておいたほうが良いかもしれない。

『よし、俺も行こう』

 妙にくぐもった声に振り返ると、そこには熊が居た。
 正確には、熊のきぐるみを着たミハイルが居た。

『事務官に会うなら、ついでに奴も誘って焼肉だ。天魔案件を扱う職員として丁度いい経験になる』

 それより何で熊だよお前。

『少しでも野生気分を味わうためだ。間違っても俺を撃つんじゃねーぞ』

 いいか撃つなよ。絶対撃つなよ。絶対だぞ。

「……フェルミさんと大次郎さんも、ご一緒しませんかぁ……?」

 できれば大次郎に乗せて欲しい恋音が、ふるふるしながら誘う。

「大次郎、もふもふでラクチンだからなー。いいぞー」

 頷くフェルミ。
 とその時、大次郎が何かに気づいて少し離れた位置の木を見上げる。
 その視線を追って恋音達も木を見やるが……

 何もない。

 虫でも飛んでいたのだろうと、さして気に留めずに巨猫を撫でて出発する4人。
 フェルミと恋音は大次郎の頭上に、ミハ熊は『もふもふを食後の楽しみにとっておくべく』今は徒歩で、智美は『一応、人も居る』という事を判り易くする為に先頭を歩いて山を下った。

 村唯一のスーパー(と呼んでいいのかどうか微妙なラインの店)で買い物を済ませる。
 補充品以外にも、自分で食べる分の精肉パックを購入した熊。

『狩りにいったら間違えられそうだからな』

 これで撃たれる危険も飢える心配も無し。
 役所で狩猟許可も貰い、一同はそのままのしのしと真新しい斡旋所へ。

 のほほんと出迎えてくれた老人達とは違い、白目を剥いて引っくり返る事務官。
 それを尻目に、智美は備え付けの固定電話を借りて学園と連絡を取る。過去の目撃情報等を照会してフェルミ&大次郎に危険性がない事を再度確認。
 その後、転げまわっている事務官を引っ張り起こした。

 事務所のお茶を飲みながら、鴉乃宮作の面接書類も渡して事情説明。

『まだ経験の浅い事務官には受け入れがたいだろうが、昔から人間と仲良くする天魔はいたというじゃないか。今だって敵陣営にいながらも人間に友好的な者もいるぞ』

 語る熊。
 無害なら無問題。

「オラ、まだまだ勉強が足りんかったんだなぁ……」
『折角だ、一緒に焼肉食おうぜ』

 言いながら熊は、荷物の中から怪獣のきぐるみを取り出した――



「和紗ちゃんーおなかすいたー…」

 和紗の腰にしがみつきながら、マリスがぺこぎゅーとお腹を鳴らす。

「働かざる者、食うべからずです」

 己の食材は己で賄う生活。
 サラダが食べたければ野菜を育て、パンが食べたければ麦から挽く。

 もしかして:日常茶飯事

「あ、うん。これ和紗いつも通りだよね」

 ジェンティアンが何とも言えない表情でついていく。
 一同は今、緑生い茂る森の中を歩きながら野草採取の最中だった。

 指導:鴉乃宮、リーゼ
 採取:突破、葉月、和紗、マリス
 荷物持ち:ジェンティアン

「さっき木苺見つけたんだけど、食べる?」
「わーい、ありがとー♪」
「ありがとうございます」

 もぐもぐしながら葉月が赤い木の実を差し出し、マリスと和紗はぺこりといただいた。

「キノコはやめておこう」

 歩きながら、猟友会的な服装に着替えた鴉乃宮が言い、やけにサバイバル慣れしているリーゼもこくりと頷く。
 注意すれば毒キノコの判別も可能だろうが、わざわざ危険な端を渡る必要は無い。危うきに近寄らずというのも立派な技術だ。

 一般的にも馴染みのある山菜を探して、和紗と葉月がきょろきょろ。

「たらの芽などがあれば良いのですが」
「あ、天ぷらにすると美味しいよね」
「ヤマウルシと間違えないようにな」

 すぐ後ろを歩きながらリーゼが注意喚起。
 触るとかぶれる。

 すると2人が芽の付いた木を発見。振り返ってリーゼのほうを見ると、彼は無言で頷いた。
 採取。

 次いで見つけたのはウルイ。これもおひたしや天ぷらにすると美味しい。
 採取。

 ふと、和紗が見覚えのある草を見つけて足を止める。
 生えていたのは、てへぺろ顔のシエル・ウェスト(jb6351)によく似た喋る怪草“シエりじを”。食用。
 何故こんな所に群生しているのかは分からないが、とりあえず採取ぶちぶちぃ。

「…生き生きしてるね、和紗」

 嬉しいような、何かが間違っているような、そんな感覚のジェンティアンお兄ちゃん。
 さて、山菜はそこそこ集まった。後は肉か。

「竜胆兄、出番です」
「もうちょっと労わってくれてもいいのよ…?」

 「はよ」と冷淡に扱われつつも愛しいはとこには逆らえず、ジェンティアンは山菜でずっしりと重くなった籠を背負いながら生命探知スキル発動。
 むむむ、と鳥獣の反応を探るが――

「わあさすが大自然。生命に溢れてる…!」

 虫やら何やら、無数の探知結果でのっぺり塗り潰されるレーダー。
 役立たず感ぱねえ。

 ならばと前に立ったのは、鴉乃宮。
 地面や草木に残る野生動物の痕跡を注意深く観察し、行動を推測。息を殺し、藪に身を潜め、現れたところを狙い撃つ。
 鹿、野兎、雉。御馳走と呼ぶに相応しい食材の数々。
 命をいただく事に手を合わせ、仕留めた獲物はその場で解体。

「ジビエ! ふふふ、解体にガタブルしてた昔とはもう違うよ…」

 ここぞとばかりに葉月も腕捲りでお手伝い。
 魔具なら洗うのも簡単♪ 調理道具も『偶然』持ってるし問題無いね!

 血を抜き、クーラーボックスに肉を詰め、骨や皮は加工品として使えそうな部分があれば残さず回収。それ以外の部位は、野犬等に荒らされないよう深く地面に埋めて供養した。

 人数が多いので、できればもう1〜2匹ほど猪でも獲れれば良いのだが……

「こんなときこそ鍛えた真っ赤なマフラーが活きるはず」

 猪って赤いものに飛びつくんだっけ?
 言いつつ、妙に風になびく長いマフラーを首に巻く突破。

 それ猪じゃなくて牛じゃないですかね。しかもヤツラ、色は識別できてないらしいぜ。
 だがそんな事は気にせず、木々の間を縫うように揺れる赤印。
 直後、大猪の群れが地響きを轟かせて突っ込んできた。釣れた。

「天険、そのまま動かないでください」

 弓を手にした和紗が、猪を射抜く。ぼたん鍋、ゲットだぜ。
 が、少々猪の数が多すぎた。

「まだか!? まだ動いちゃダメなのかっ!?」

 次の瞬間、和紗や鴉乃宮の弾幕を抜けてきた大猪が突破に激突。
 赤マフラーごと突き飛ばされ、突破は猪の群れと一緒にあっという間に見えなくなってしまった。

「「……」」

 まあ、撃退士なら死にはすまい。
 一同は何事も無かったかのように狩りを続けた。

 そんな時、足元に先程見たウルイと同じものが生えているのに気づいたジェンティアンは、ちょっとした好奇心に駆られる。

(ひょっとしたら、生でも結構美味しかったり?)

 手を伸ばす。
 だがそれに気づいたリーゼが、制止しようと声を掛k――

「リーゼくん見て見てー! つちのこー! 和紗ちゃんと獲ったのー!」

 UMAを握り締めたマリスが走ってきた。

「獲りました(こくり」
「すごいな(こくり」

 鴉乃宮と葉月にも見せるべく、和紗を引っ張って「わはー!」と走り去っていくマリス。
 改めてリーゼがジェンティアンのほうを振り返ると、

 ぴくぴく

 ウルイそっくりの毒草(バイケイソウ。すげぇあぶない)を咥えたまま、白目を剥いていた。

「……」

 その目をそっと閉じさせてやるリーゼ。
 まあしばらく放っておけば復活するだろう。ほら、撃退士って一般人より毒物耐性あるっぽいし?



 川縁に程近い物陰。
 斉凛(ja6571)と草摩 京(jb9670)が何やらごそごそやっていた。

「あら、凛? その格好……」
「お色気作戦ですわ、お京さん」

 旧スク水(白)に着替えた親友の言葉に、京は小さく首を傾げる。

「お色気って……私のほうは褌がハイレグになってるけど、それでいいの?」

 自分の体に巻いたサラシと褌を見下ろす。
 川辺なので濡れても良い格好をしようと言うのは分かるが、魚相手に色気を強調する事に一体どんな意味が――

「見るでござる同志!」
「白スクようじょにござる!」

 瞬間、森の中から刀を携えた萌え豚の群れ――豚侍――が現れた!

「しかもこれは幻の旧型でござるぅ!」
「褌姿の妖艶なおなごも居るでござるぅ!」

 ぶひぶひパシャパシャとカメラのシャッターを切る豚の集団。

「釣れましたわ」
「豚侍? へぇ、面白い人達がいるのね」
「貴方達…一緒に遊びにいきませんこと? たっぷり可愛がってさしあげますわ」
「なんと! ようじょから直々に禊の誘い!」
「カメラの記憶容量が足りなくなること請け合い!」

 是非もない、と着物を脱ぎ捨てて褌一丁になる豚侍。

「あらあら、燥ぐわね」

 新しい玩具を見つけた京は、ふふっと笑みを溢した。
 川の水を少し手に取り、自身のサラシにぴちょり。張り付いた白布が、薄っすらと肌色を透かす。

「「ふおおお! 子供には見せられないよでござる!」」

 ブヒブヒ パシャパシャ ハァハァ

「あらあら」

 パシャパシャ ハァハァ

「あらあら……」

 ハァハァ
 ハァハァハァハァ

「……」

 ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ――メキャア!!

 キモさに耐えられなくなった京の肘が、豚の人中を貫いた。



「おーいクソ姉貴ー、どこだぁー?」

 桜花(jb0392)を探してコテージを訪れた、秋水 橘花(jc0935)。
 出発前にちょっとナンパやらアレやらソレやらしていたらすっかり出遅れてしまった。

「おーい……ん?」

 きょろきょろしながらコテージの裏側へ回ってみると、森の入口に何か落ちていた。
 近づいてみると、なんとそれは桜花のものと思しき服。上着どころか下着まで全て脱ぎ散らかされている。
 つまりあの変態な姉は今、全r

 パキッ

「!」

 森の中で物音がして橘花が顔を上げる。
 見えたのは、全身黒い泥塗れで要所を葉っぱで隠し、木と石で出来た武器を背負った桜花の姿――



 ――少し前。

「最近、成績落ちたしなー……」

 洗濯や狩りや買い出しへ向かう仲間達を見送り、日差しに目を細めながらぼんやりと山の空を仰ぐ桜花。
 鉄とコンクリートに囲まれた物質文明にも少し嫌気がさしていたところだ、丁度良い。のんびり畑でも耕そう。

(でもさ、山奥で色々やると汗かくじゃん、におっちゃうじゃん、仮にも女の子としてそれは勘弁したい…。でも、お風呂とか簡単に用意できないよね…火は起こせても湯船とか無いし、あ、そうだ)

 野生に戻るのだ…!

 ――……
 ―…
 …



 そして現在――

 泥塗れの顔でぎょろりと目を光らせ、戦慄している妹を見やる桜花。

「なんでそんな格好してんだ、クソ姉k――」

 ヒュン ドスッ

「危なっ!?」

 いきなり石矢が足元に刺さり、抗議の目を向ける妹。
 対する姉は、石槍を構えてじりじりと近づいてくる。

 狩猟民族として生き、狩りが終われば獲物を捌いて皆に振る舞い、一日の終わりには川や泉であの子やその子と共にドゥフフと汗を流す。
 社会通念から解放されるのって…きもちいい…。

 だが妹、てめーはダメだ。

「物質文明の犬め」

 石槍で一突きぐさぁ!
 動かなくなった橘花を、唯一泥が塗られていない白い目玉で冷たく見下ろs…おっと義眼が整備不良でぽろり。つめつめ。

 桜花は橘花の足を掴み、ズルズルとどこかへ引きずっていった。



 一方もう1人…いや1匹、野に還った撃退士が居た。

 歌音 テンペスト(jb5186)。
 大自然に感化されて野生の記憶が蘇り、山の昆となる。
 正直意味が分からない。

 服などという人工のものは野生には要らぬ。くらりんを脱ぎ捨て、生まれたままの姿で四足歩行。
 草木が絶妙なアングルでモザイクの役割を果たす中、月に遠吠えし、火を恐れ、人を恐れるその姿はまさに獣そのもの。まだ月出てないけど。

 肉など狩らずとも、自然の中にはいくらでも食物がある。
 草を食み、木のウロや土中を探れば成虫幼虫蛇たくさん。栄養価に優れ、外はパリパリ中身はジューシー。でもちょっとねっとりするのが玉に瑕。

 勿論、隙さえあれば人里の食物だって漁る。
 ふすふすと鼻をひくつかせながら覗き込んだ先には、川辺で戯れる撃退士達の姿。

 ナイフで削った針金にテグスを結び、即席の釣竿を作ったルーカス。
 ミミズを刺し、浮き代わりの小枝を付けて水面にぽちゃり。脇に置いたバケツには、既にそこそこな数の魚が入っている。
 ついでに噂のヌシとやらでも狙ってみるか。そう考えていた時、視界の端に隠れていた青毛の獣?と偶然目が合った。

「……」
「…! ふしゃー!」

 全身の毛を逆立てて威嚇するテンペスト。
 野生にとって一番怖いのは人間なのだ。

「おやつの差し入れです!」

 その時、別方向の森から木苺を抱えた葉月が現れた。森組と別れ、採れたてデザートを持ってきてくれたらしい。
 ルーカスも数粒貰い、もぐもぐしながら視線を戻す。既にそこにテンペストの姿は無かった。

 木苺を配り終えた葉月は川で遊んでいるメンバーを見て、自分もケセランを連れて一緒に遊ぶ事に。

「巫女服にしとこ」

 魔装活性早着替え。
 白い毛玉も呼び出して、レフニーやねこのは、華愛、エリスらと川水ぱしゃぱしゃ。

 その光景を眺めつつ、ディザイアはコテージの納屋から拝借した銛を持って川魚との戦争に挑む。

「ククク、我らの糧になるがいい!」

 狙いを定め、一突き、二突き、三突き。怒涛のコンボ。
 銛を持ち上げると、見事三段重ねになったニジマスが刺さっていた。

 対してレフニーが、

「ガチンコ漁法って素敵ですよね!」

 水上にせり出した岩の前で、アウルの力でお玉に変化した魔具を振り下ろす。

 カコォォォォン!!

 ぷかー

 大漁。これで魚料理には困るまい。
 だがその前に、ちょっと抓み食い。ルーカスの釣った分や葉月が持ってきてくれた木苺と合わせて、おやつ代わりにいただく事に。
 焚き火で焼けば、濡れた身体も温められて一石二鳥。

「俺の出番だな!」

 ここぞとばかりに、ディザイアがアカレコスキル『炎焼』を使――

「アカレコ? 別に必要ないですね」

 レフニーがライターとマッチを取り出した。
 そのままルーカスの用意した枯れ木に点k

「火は任せろー!」

 割り込んで炎焼ぼぼー。
 アカレコの意地である。

 華愛もエリスの隣に座り、こんがり焼けた魚を小さくかじる。

「美味しいハナ?」
「詳細は、追って報告、なのです」

 はむはむ。
 グルメレポートかな?

 そして同じく魚をかじりながらのんびりぐて〜っと一休みしていたねこのはが、木陰に隠れてこちらを窺っているテンペストに気づく。

「お腹空いてるの〜? お魚、食べますかぁ〜?」

 そっと差し出し。
 テンペストは恐る恐る近づくと、魚をかぷっと咥えて走り去る。だがすぐに貰った魚を地面に埋め、代わりに別の何かを咥えて戻ってきた。
 ねこのはの前に、ぽとりとそれを置く。

 真新しい蛇の死骸。
 まるでネズミの死骸を差し出す猫のように。

 食物を与えてくれる人は良い人。
 なつく。
 スリスリとノミを擦り付ける。

「たすけてぇ〜!」

 思わず傍に居たエリスを掴むねこのは。そしてそのエリスは華愛を、華愛はレフニーを、それぞれ咄嗟に掴んで助けを求めた。



 お玉で殴られてぷかりと川を流れていったテンペスト。
 腹ごなしに再び川遊びを始めたディザイア達。

 そんな仲間達を他所に、滝壺付近で静かに釣りを続けていたのは凛と京。
 赤い水玉模様の白スク、あるいはいつの間にか薔薇の模様があしらわれたサラシ姿で、ぴくりとも動かない豚侍を椅子にして滝壺のヌシとやらを狙う。

 思い出されるのは、光纏大会の水辺にいた白いヌシとの一幕。

「前に食べられた分、リベンジね」

 だが、一向に掛かる気配は無い。

「釣れませんわね…」
「そもそもヌシがいるかすらわからんしな」

 すぐ横で同じく釣糸を垂らしていたルーカスが言う。
 ヌシの話は、麓の老人達が話していた噂に過ぎない。

 状況を打開すべく、凛は一度竿を上げた。

「餌を変えましょう」
「ああ、血が好みでしょうからね♪」

 凛の提案に躊躇なく喜色満面で頷く京。
 椅子にしていた豚侍をロープで縛って水の中へ突き落とす。

 待つこと数分……。

 突然、川の水が大きく揺れ動いた。

 ロープが跳ね上げられ、滝壺の水面を下から突き破って巨大な白ワニが姿を見せる。
 歯の隙間から豚侍をはみ出させたまま空中で身を捻り、飛び掛かった先には川遊びをしてたエリス達。

「あぶない!」

 瞬間、レフニーは傍に居たディザイアをぐいっと引っ張り、つっかえ棒のようにワニの口へ差し込む。

「うおおおお!?」

 必死にワニの口を押さえるディザイア。
 水の中に潜り、閉じようとするワニ。
 ナイフを抜いて助けに飛び込むルーカス。

 激しい水飛沫が3つの姿を覆い隠し――

 ばきばきぐしゃあ

「エリスちゃんを助ける為に自分を生贄に…感動したのです!」
「む、無駄死にではないぞー…?」
「ディザイアちゃんとルーカスちゃん、大丈夫かなぁ〜?」
「詳細は、追って報告、なのです」

 だがまだだ。まだロープは切れていない。
 凛と京は、別の豚侍を滑り止め代わりに川原に敷き詰め、ぎゅむっと踏みつけて一本釣り。

 どっぱーんと水の重みを突き破って再び顔を出したヌシを、一気に陸へと引っ張り揚げる。
 着地の瞬間、がら空きになったヌシのどてっ腹に釘バットと八極拳の一撃ドゴォ!

 でろりと舌をはみ出させ、ヌシは仰向けになって動かなくなった。

 早速、ガチ巫女さんである京の指導の下、山の神にマタギ式の感謝を捧げる事に。

「マタギならケボカイかしら」

 モロビの葉で香を立て、祝詞を唱えながら解体……は、流石にディザイア達を吐き出させてからでないと危ないか。
 とりあえず枝を積んで火を起こし、神聖な焚き火の上で豚侍を供物に捧げて儀式完了。

 豪華な昼食になりそうだ。



「働きたくないでござる!」

 コテージのリビングで1人体育座りしながらごろごろしていた雪子。
 でもお腹は空くんですわ? お?

「こんなところで自給自足しなくともピザでも頼めばいいジャマイカ。じゃあこれから注文の電話するのでこ↑こ↓の住所教えてくだしあ」

 圏外だっつってんだろ。

「ちょ、ちょうど絶食ダイエットしたかったところですしおすし」

 食べられなくても大丈夫だ、問題ない。

 ぶつぶつと壁に向かって話しかけ、1人遊びに興じる。
 そんなぼっち姿を俯瞰している者が居るとも知らずに……



 赤や白、黄色や青で塗り潰された、サーモグラフィーによる視界。
 天窓越しに見える雪子という熱源を木の上から品定めするように観察していたソレは、しかし突如割り込んできた別の物音に反応して首を振った。
 熱源センサーから音響センサーへと視界を切り替え、音の出所を探る。

 捉えたのは、スーパーの袋を抱えて山中を登ってくる熊と怪獣の姿。
 肉が肉を背負ってやってきた。

 狩猟本能を掻き立てられ、ソレは手にした刃を音も無く投擲した――



 メンバーを迎えに川へと寄った後、大次郎に乗ってコテージへの山道を進んでいた恋音。
 今頃は、先に戻ったミハイルや事務官が焼肉の準備を始めてくれているはずである。

 ぴちょり

「……?」

 不意に、大次郎や恋音の頬に生温かい雫が落ちてきた。
 はて、雨だろうか?
 足を止めて上を見る。

 なんと熊と怪獣が、血を滴らせながら高木の上から逆さ吊りにされていた。

「…………お、おぉ…………?(ふるふるふるふるふるふる」

 熊と怪獣を木から降ろしてやると、彼らは虫の息でこう言った。

『気がついたら狩られていた。何を言ってるか分からねえと思うが俺も(中略)それより早く焼肉食おうぜ』

 命の危機より、肉への渇望。
 だが肝心の買ってきた肉は、スーパーの袋ごと忽然と消失。

「牛は無いが、鹿や兎ならあるよ」

 鴉乃宮が答える。
 腹ペコの撃退士達は何事も無かったかのようにコテージへと戻り、昼食の準備に取り掛かった。

 恋音所有の強化済みキャンプ調理セットを中心に、石を積んで作った釜等も駆使して、入手した食材に手を加えていく。

「調味料、ありがとうですよ♪」

 レフニーが、恋音の買ってきた塩胡椒をぱっぱと鍋に振る。
 一方、その調味料すらも自作しようとしていたのは和紗。

 ジェンティアン(復活)に水の入った瓶を持ってこさせ、それをどぼどぼと鍋に注いで火にくべる。
 森の中で見つけた、塩泉の水。それを煮詰めて、山塩を精製しようというのだ。
 まさに匠の所業。

「でも和紗、これ煮るのに半日くらい掛かるんじゃない?」
「はい。火の番は任せましたよ竜胆兄」
「うん……うん?」

 おう、寝ないで見張ってろよ。

 その頃、別の鍋に使う火を起こそうとしていた華愛。
 引火すると危ないので、一同から少し離れた場所へ移動する。するとそこには、生け捕られて縄で縛られたままの白ワニ(中身救出済み)と、見張り番を任せれた豚侍達が居た。

「華愛殿、火でござるか?」
「火傷せぬよう気をつけるでござるよ」
「なのです(こく」

 ヒリュウのヒーさんを呼び出し、火種のブレスをお願いする。

「ヒーさん、威力を抑えて、お願いします、なのです(こく」
「(こく)」

 スゥゥゥ……

 ボンッ!

 瞬間、焚き木を消し飛ばして豚侍達に引火。

「「ふおおおおおお!?」」
「……ぉ?」

 丸焼きになって転げ回る豚。チャーシューの香ばしい匂い。
 更に気がつけば、傍に繋いであったロープが焼き切れ、白ワニが居なくなっていた。

「……(にへら」

 笑って誤魔化し、華愛はそそくさとその場から立ち去る。

「うるさいですわ。何を騒いでるんですの?」

 入れ替わりにやってきた凛と京は白ワニが逃げたと知って、ばきばきと指を鳴らしながら豚侍達を問いただす。

「見張りもできないなんて躾が必要ですわね」

 どかどかめきぃ。
 振り回した釘バットや拳から、べちゃっとした赤い果肉が飛び散る。イチゴジャムかな?(すっとぼけ



 食後。
 備蓄の米を少し分けて貰い、石臼でごりごりと米粉を挽いていた和紗。
 それを横で眺めながらマリスは感嘆の息を吐く。

「さすが和紗ちゃん…(粉から…!)」

 石臼がヒヒイロカネから出てきた気がするけど、きっと特注の魔具に違いない。
 ごりごり。

「和紗ちゃんって段々女子力(物理)が上がってるよね…」
「そ、そうでしょうか……」

 少し頬を赤くして照れる。
 ごりごりごりごり。

「和紗」

 そこへ、何やらもじもじしたエリスがやって来た。
 顔の前で、緑のミニショルダーバッグを掲げている。

「こ、これ、和紗がくれたってハナ達から聞いたから。あ、ありがとう。だいじにするわねっ」
「気に入ってもらえたなら良かったです(こくり」

 ごりごり。

「じゃ、じゃあ、私も片付け手伝ってくるから、また後でねっ」
「はい」

 照れ隠しに駆け足で去っていくエリスを見送り、やがて米を挽く作業も一段落。
 これで夕食の下拵えは出来た。

 撃退士達は、食後の眠気に誘われてのんびりお昼寝する事に。

「キャンプっていったら川の字で寝るんだよね…!」

 言いながら、マリスがリーゼにむぎゅっとしがみ付く。
 腕枕をしてもらう算段だ。

「和紗ちゃんかずさんちゃん、スキンシップはだいじなんだよ…!」

 一緒に腕枕してもらおうよと、和紗を探してきょろきょろ。

「両親が子供を挟むより、母親(リ)中央の方が子供(マ)が情緒安定、自立するそうで」

 と思ったら、既に反対側に居た。

 右:マリス
 中央:リーゼ
 左:和紗

 リーゼの腕をぐいーっと伸ばして頭を乗せながら「えへへー♪」とタオルケットを被るマリス。
 和紗は、微動だにせず空を見上げてされるがままになっているリーゼの横顔を見やり、

「迷惑でしょうか?」
「俺は構わないが……」
「迷惑だよね!? 本当は迷惑なんでしょリーゼちゃんうんじゃあ今すぐ離れ――」

 げしっ、と和紗に蹴り飛ばされるジェンティアン。

「ではお言葉に甘えて」

 ありがとうございま…zzZ。寝相のままに抱きつきぐっすや。
 別の木陰では、丸まった大次郎に集まってもふもふ眠るグループも。

 すよすよとした光景を背に、ジェンティアンは独りしくしくと塩泉の煮番をしていた。



 穏やかな日差しの中、鍬を担いで立つ男が居た。

《咲魔 聡一(jb9491)のたのしいアカレコ式開墾作業》

 1:大次郎ベッドのすぐ横の広場に、『野菜王国』と書いた看板ぐさり。
 2:大次郎の脚に寄りかかって木の実をもぐもぐしていたオペ子へと近づき、その頭上で丸まっている小次郎をモフモフ撫で回す。

『樫崎様、木の実、もぐもぐ』

 カキカキ。
 眠そうな目を擦りながら、『樫崎様観察日記』と書かれた別ノートを広げる華愛。

(後で、局長様に提出、なのです)

 3:オリジナルスキル『邪悪の鉄輪』をぶっぱして障害物をなぎ倒す。

\ロードローラーだッ!/

 ゴガガガガ ドゴォ!!

 4:大次郎くんをモフモフ。
 5:『炎焼』で残っている草木を焼き払う。

\最高に「灰!」ってヤツだ!/

 ゴオオォォォ!!

 6:小次郎くんをモフモf

「「うるせえ!」」

 お昼寝組から怒られてしまった。

 7:ペコペコと謝り、我に帰って普通に耕す。
 するとその姿を見たディザイアが、大切な事を思い出したようにガバッと立ち上がる。

「そうだ、食料の安定供給は古代からの悲願! 畑を…畑を耕すのだ!(使命感」

 鋤を担ぎ、聡一と共にえんやこら。ざっくざっく。

《聡一とディザイアの静かなアカレコ式開墾作業》

 8:大次郎くんを(略
 9:苗を植える。茄子や胡瓜などの実野菜がおすすめです。

「ふむ…胸の大きさを気にしてるお嬢の為に、大豆とキャベツを厳選して採取するか」
「なるほど、粋な計らいですね」

 それ君達がやるとセクハラにならない? 大丈夫?

 10:小次(略
 11:聡一の『ボタニカルリカバリー』とディザイアの『大地の恵み』で一気に収穫。
 12:大(ry
 13:小(ry
 14:大小大小大小モフモフモフモフモフ――ばちぃん!

 寝ぼけた大次郎の豪速ねこぱんちが、アカレコーズを耕した。

「詳細は…追って報告…なのです…zzZ」

 寝言かな?



 その頃、森の中では――

 褌ベルトを締めた真黒悪魔Unknown(jb7615)が、散歩していた。
 障害物の有無などお構い無しにひたすら直進。木があれば引っこ抜いてもぐもぐ。岩があれば持ち上げてもぐもぐ。
 味覚も無ければ限度も無い。物質さえあれば食うに困らぬ大食漢。

 何処でも生きていける気がした。

 よく分からないキノコ的なナニカをぶちもぐしながら、さばいばるとやらについて考えてみる。

(こういう時、ヒトは火を確保するのに困るらしいなー)

 火をおこすのは摩擦ないし火花。という事は誰かと何かを摩擦すれば何か出来そう。瘡蓋とか。
 火どこいった。

(ともあれそこらへんのもの食べるし、我輩食糧の心配無し)

 やがてアンノウンは、滝壺に到達。
 滝と言えば、滝の裏の洞窟ダンジョンがRPGのお約束。

 アンノウンは水をじゃぶじゃぶ掻き分け、尻尾をぴこぴこさせながら滝の裏側を覗き込む。
 が、そこにはただの岩壁があるだけだった。

 その時、水の中で何かが蠢いた。
 襲い掛かってきたのは、白いワニ。
 ぐばーっと開けた大口はしかし、がしぃっと真黒悪魔に掴まれて水中に投げ戻される。

 踏む。
 踏む。
 すごい踏む。
 ヘルゴートでブーストしてダークブローでぐーぱんち。

 引っくり返ってぷかーした白ワニを脇に抱えたアンノウンは、ふと思いつく。
 ダンジョンが無いなら作れば良い。丁度モンスターを1匹捕まえた。

 アンノウンは滝の裏に入り、拳でどっかんどっかん岩を掘り始める。
 そこそこの深さになってくると、流石に視界が暗くなってきた。

「神を燃やせば良く燃えるかもしれない」

 神? 紙かな? 誤字だよね? 誤字だと言ってよばーにぃ。
 アンノウンは虚空に居たMS的な塊をむんずと掴み、岩肌にごりごり擦って着火。光源を確保して、ずんずんと掘り進んだ――


●夕刻
 一足先に目が覚めたマリスは、ビリビリしているリーゼの腕をつついて遊んでいた。

 つんつん

「(びくっ)」

 つんつんつん

「(びくびくっ)」

 満面の笑みでつつき続ける。
 やがて他のメンバーも起きてくると、一同は夕食を川原で過ごすべく移動開始。
 そして気づく。

\滝の裏にダンジョンが!/

 中を覗き込むと、入口に人数分の『木の板』と『棒』が置かれていた。
 各自がそれを手に取ると、

「木の板と棒。つまりそれを装備した貴様は勇者!!!」

 あんのうんが あらわれた!

「あ、因みにそれ勇者の最強装備な」

 勇者、ハードモード過ぎやしませんかね?

「非常食(ペット)を太らすのにもってこいの家(ダンジョン)だろう? ささ、どんどん遊んでいくといい」

 そう言って、奥へと消えるアンノウン。
 折角なので一同は中を探検する事に。

 が、そこは想像した以上に魔境と化していた。

 迷い込んだ鳥や狼やテンペストが頭から“シエりじを”を生やして暴れ回り、謎の力で魔具が活性化できず、板と棒しか持たぬ撃退士達は太刀打ち出来ずに1人また1人と迷宮で散り散りになっていった――……



(はぐれてしまいました、なのです……)

 迷子の華愛。辛うじて発動できた『霞声』でエリスに助けを求めるも、返る言葉は無し。
 だが、ふと背後に気配を感じて振り返ると、

 プレ●ターが居た。

「ぴっ!?」

 その手には槍。
 矛先がゆらりと持ち上がり――

 その時、どこからか飛来した別の槍がプ●デターの槍を弾いていた。

 そこに居たのは泥装束の桜花。
 泥により表面温度が壁や地面と同じになっている彼女を発見できず、一方的に矢で撃たれるプレ●ター。
 しかし動いている内に次第と桜花の泥が剥がれてきて……

 捕捉。

 槍を拾い、桜花へ飛び掛かr

 ドゴォォン!

 刹那、壁をぶち破って現れたのは白ワニ。肥え太り、大次郎並のサイズになっていた。
 顔を見合わせるプレ●ターと桜花。やがて2人の戦士はこくりと頷き……

 槍を手に、巨大なワニへと飛び掛かった。

「ハナー!」

 そこへ、開いた穴からエリスが駆け込んでくる。
 華愛の手を引いて穴から脱出しようとするも、瓦礫が崩れてきてそれを阻む。
 だがその直後、閉塞を向こう側から突き破る者が居た。

「猪狩ったどー!」

 突破だ。
 大猪に跨り、瓦礫の蓋に大穴を穿って登場。

 華愛とエリスを乗せ、突破は戦闘の余波で崩れゆくダンジョンを猪ダッシュで脱出した――……



「良い出来だ…待たせたなお嬢、一杯食べると良い」

 きらっきらの笑顔で大豆とキャベツのサラダを差し出すディザイア。

「たまに不安になるんだけど、嫌がらせじゃないわよね…?」

 エリスは「ぐぬぬ」とした顔で、しかし美味しそうにもしゃもしゃ。
 また、そのキャベツを分けてもらってお好み焼きを作っていたのは和紗。

 リーゼに火を頼み、塩と粉に拘った本場のお好み焼き。

「ソースは常備です(mgmg」
「さすが大阪人…」

 和紗の体が粉物で出来ていると確信するジェンティアン。
 自身も神戸で関西人ではあるものの、MYピック&ソース常備のこのはとこには到底敵わない。
 一方、マリスもそれをいただきながら、しかし何もしないのも申し訳ないので昼間摘んだミントでハーブティーを淹れる。
 すると小次郎と大次郎がすんすんと寄って来た。

 使ったミントはキャットニップ。マタタビに似た香りがあるので、そのせいだろうか?

「ほしいのー?」

 マリスは小次郎の喉をうりうりしつつ、大次郎のほうも見上げ――

 がぶり

「!!?」

 頭からもぐもぐされるマリス。
 あれ? デジャヴ?

 そしてミントの香りにやられた黒猫はもう1匹居た。

「にゃんにゃん♪」

 ねこのは。
 エリスにすり寄り、ごろごろと膝上で丸くなる。

「よ、よしよし…?」

 なでなで。

『エリスちゃん、ねこのは様を、「よ、よしよし…?」となでなでする』

 それを少し羨ましそうに眺めつつ、カキカキと観察日記に書き足す華愛。
 レフニーのカメラを振り返り、

「詳細は、追って報告、なのです(こくり」

 さて、メインディッシュ?として和紗のお好み焼きが振舞われているわけだが、勿論、肉料理もちゃんとある。
 突破の乗っていた大猪でぼたん鍋。ルーカスや鴉乃宮らに捌き方を教えて貰い、命に感謝してしっかりいただく。
 ついでに鴉乃宮は、こっそり解体しておいた蛇肉も投入。

(何、解体してあるから分からないさ。味そのものは美味しいのだから)

 他にも、プレ●ターと桜花が引きずってきた白ワニの肉。
 今度こそジビエ料理にするべく、凛と京が豪快に包丁を振るう。

 更にプレ●ターは、無言のまま肉鍋を差し出していた。
 足元には、空になったスーパーの袋。

 もしかして:ミハイルが買った肉

 当のミハイルはと言えば、熊姿のまま夜の渓流釣りを楽しんでいる。隣には、同じように釣竿を握る怪獣姿の事務官。
 彼の肩にポンッと手を置き、

『ほら見ろ、皆楽しそうじゃないか。これもまた撃退士ライフだ、いい勉強になったな。腹いっぱいになったら大次郎に乗せてもらおうぜ』
『……(こくり』

 やがて白ワニのジビエ料理も完成し、全員に振舞われる。 
 だがその前に、最初の一口は京にあげると決めていた凛。

「はい、お京さん。あーん」
「あら、悪いわね。あーん♪」

 もぐもぐ。

「ふふ、凛は良いお嫁さんになれるわね」
「そんな、照れますの」

 解体したワニの返り血塗れで、ほっこり笑う京。
 同じく真っ赤に濡れたまま、京の頬を拭いて照れ笑う凛。
 狂気。

 おや? そういえば1人忘れているような……



 ――コテージ。

 真っ暗な部屋の中、ごそごそとマッチ箱を取り出す雪子。

 マッチを一本擦り付けると、そこにはあたたかいごはんが…
 更に一本擦り付けると光回線が、更に一本でないすばでぃ、更に一本、更に一本、一本、いっぽん、いっぽん、いpp――――ザザッ ブツン


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 紅茶神・斉凛(ja6571)
 Eternal Wing・ミハイル・エッカート(jb0544)
 主食は脱ぎたての生パンツ・歌音 テンペスト(jb5186)
 護黒連翼・ディザイア・シーカー(jb5989)
 久遠ヶ原から愛をこめて・シエル・ウェスト(jb6351)
 久遠ヶ原学園初代大食い王・Unknown(jb7615)
 氷結系の意地・玉置 雪子(jb8344)
 そして時は動き出す・咲魔 聡一(jb9491)
 『楽園』華茶会・草摩 京(jb9670)
重体: −
面白かった!:19人

ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
ラーメン王・
佐藤 としお(ja2489)

卒業 男 インフィルトレイター
凛刃の戦巫女・
礼野 智美(ja3600)

大学部2年7組 女 阿修羅
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
紅茶神・
斉凛(ja6571)

卒業 女 インフィルトレイター
肉欲の虜・
桜花(jb0392)

大学部2年129組 女 インフィルトレイター
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
久遠ヶ原から愛をこめて・
天険 突破(jb0947)

卒業 男 阿修羅
大祭神乳神様・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部2年2組 女 ダアト
ねこのは・
深森 木葉(jb1711)

小等部1年1組 女 陰陽師
久遠ヶ原のお洒落白鈴蘭・
東風谷映姫(jb4067)

大学部1年5組 女 陰陽師
主食は脱ぎたての生パンツ・
歌音 テンペスト(jb5186)

大学部3年1組 女 バハムートテイマー
護黒連翼・
ディザイア・シーカー(jb5989)

卒業 男 アカシックレコーダー:タイプA
久遠ヶ原から愛をこめて・
シエル・ウェスト(jb6351)

卒業 女 ナイトウォーカー
暁光の富士・
ルーカス・クラネルト(jb6689)

大学部6年200組 男 インフィルトレイター
竜言の花・
華愛(jb6708)

大学部3年7組 女 バハムートテイマー
光至ル瑞獣・
和紗・S・ルフトハイト(jb6970)

大学部3年4組 女 インフィルトレイター
ついに本気出した・
砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)

卒業 男 アストラルヴァンガード
この想いいつまでも・
天宮 葉月(jb7258)

大学部3年2組 女 アストラルヴァンガード
久遠ヶ原学園初代大食い王・
Unknown(jb7615)

卒業 男 ナイトウォーカー
氷結系の意地・
玉置 雪子(jb8344)

中等部1年2組 女 アカシックレコーダー:タイプB
撃退士・
マリス・レイ(jb8465)

大学部5年7組 女 アストラルヴァンガード
そして時は動き出す・
咲魔 聡一(jb9491)

大学部2年4組 男 アカシックレコーダー:タイプB
『楽園』華茶会・
草摩 京(jb9670)

大学部5年144組 女 阿修羅
撃退士・
秋水 橘花(jc0935)

高等部2年18組 女 阿修羅