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マスター:水音 流
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2015/04/16


みんなの思い出



オープニング

※このシナリオはエイプリルフール・シナリオです。
 オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。



 ――人類が無尽光(アウル)に目覚めなかった別の未来。

 西暦2015年。
 人間と天使と悪魔による戦争が終結してから10年。だが戦いを終わらせたのは、3種族のいずれでもなかった。

 褌。

 正確にはそれを身に付けた、ヒトの形をしたナニカ。
 体格に個体差はあるものの、共通しているのは皆一様にのっぺらぼうである事。そして、腰に褌を巻いている事。

 その超生命体達は、たった1体で天魔1個小隊を容易く捻り潰すほどの戦闘力を有し、世界で初めて目撃されたその1ヶ月後には天魔両陣営を完全に殲滅。
 天魔に対し防戦一方だった人類に、ようやくの静穏が訪れるかと思われたが……

 褌の標的には、他ならぬ人間も含まれていた。



 上空。
 国連軍所属、輸送ヘリの機内。

「軍曹、褌共を狩(や)るのは初めてかぁ?!」

 エンジンの音が轟く機内で声を張りながら、中尉は隣に座っている部下の肩を叩いた。

「心配するな! 俺はもう8年、褌を狩ってる!」

 ヤツラは強い。
 だが弱点もちゃんとある。

 それは人間や天魔と違って、武器を持っていない事だ。

 初めて目撃された10年前の戦いでは、その分析が済むよりも前に、混乱した天魔陣営を勢いのままに駆逐した褌共。
 亜音速を叩き出すほどの瞬発力を持ち、素手で岩を粉微塵に変えるほどの怪力でもあるが、それでも所詮は生身の生き物。貫通力の高い弾を使えば通常の火器でもダメージを与えられるし、距離を置いて包囲すれば、決して倒せない敵ではない。
 生態が解明されて冷静に対処する余地ができた今では、褌共は地上を跋扈する原生生物…獣と同じだ。

「それにヤツラは空を飛べないからなぁ! ヘリに乗ってる間は気楽なもんだぜぇ!」

 緊張した様子の軍曹をHAHAHAと笑い飛ばして元気づける。他の隊員達も口端を上げながら、彼のヘルメットを小突いた。

『間もなく現場上空。降下準備』

 耳に付けた小型無線機から、パイロットの声が告げる。
 中尉達は操縦席を振り返って頷き、それぞれの武器を持って席を立――

 ドンッ

 ヘリが揺れた。

 直後、轟音。
 大きく傾き、急激に高度を下げる機体。

「おいどうした?!」
『撃たれた!!』
「撃たれただぁ!? 味方の誤射か! どこの馬鹿だ!!」
『ち、違う! あれは――』

 制御を失って暴れまわるヘリの中から、窓越しに兵士達が見たもの。
 それは、超射程の対物ライフルを構えた1匹の褌。

 それまで何度も戦ってきた褌共とは違い、全身に薄っすらと銀色のオーラを帯びながら、無骨な得物をこちらへと向けている。

「おい、褌が銃持ってるなんざ聞――」

 瞬間、2発目のマズルフラッシュが閃き、空にオレンジの炎が散った――



「新種か……」

 薄暗い室内。
 円卓に座る一同の中で、軍服姿の1人が重々しく口を開く。

 武器を持った銀色の褌。
 そして報告書によれば、従来種や銀の群れの中に、1体だけ金の褌が居たという。恐らくはそれが指揮官。

「もはや通常の軍では対処できまい」

 別の男が、両肘をついて顔の前で手を組みながら言う。

 褌に対する人類のアドバンテージは、武器とそれを扱う知能。だが今やそれは覆された。
 生物として比べた場合、人間の脆弱さは語るまでも無い。

「こうなっては、対抗できるのは彼らしかおりますまい」

 そう言ったのは、背広姿の別の男。

 久遠ヶ原学園。
 10年前……世界に褌共が出現してからしばらくして、人間の中に超常的な力に目覚める者達の存在が確認された。褌共が持つ固有の力…俗に“褌力(アウル)”と呼称される波長と同じ力を持ち、通常の人間を凌駕した身体能力を有した異能者――撃退士――。
 その撃退士を養成・管理する為、異例の早さで考案および設立された国際的且つ独立国家的な特殊組織。それが、久遠ヶ原学園と呼ばれる場所。

 とは言え、異能に目覚めた撃退士を以てしても、単純な戦闘力では尚も褌共が上。その差を埋める為に開発されたのが、通称『F兵器』。
 持ち主の褌力を原動力とする強力な武具である。
 F兵器とスキルを駆使した撃退士の強さは、決して褌共にも引けを取らない。

 だが、銀とそれを束ねる金の褌共の強さは未知数。

「完成したばかりの新型兵器が役に立つかもしれん」

 パワードーツ『FUNDOSHI』。
 捕獲した褌共の組成を分析して造られた、腰巻型の強化鎧。外見は衣類の褌そのものだが、1枚付けるだけで肉体の限界を超えて超人化できる軍の切り札である。
 但しそのあまりの効力から、深刻な副作用もあった。

 超人化の負荷に、体が耐えられない。
 ヒトによってはキャライメージも耐えられない。

「よろしいのですか?」
「構わん。試すには丁度良い機会だ」
「撃退士の頑丈さならば、普通の兵士が使用するよりも劇的な効果が見込めるでしょうなぁ」
「では学園には、撃退庁を介してそのように通達するとしよう」
「使わずに済めばそれに越した事はないが」
「ご冗談を」
「使って貰わねば意味があるまいよ」
「銀も金も、パワードスーツもな」
「制御できない力に価値は無い」
「はてさて、上手くいきますかな?」
「期待しましょう。現場の撃退士達に」

 やがて、ぼうっと点っていた僅かな照明が消え、円卓の室内は無音と暗闇に包まれた。


リプレイ本文

 白の迎撃に当たっていた国連軍。そこへギメ=ルサー=ダイ(jb2663)が到着。

「ふはははは! 余興とばかり思っておったが、中々の褌ではないか……!」

 フロント・リラックスポーズでムキ!

「狙うは剛の者よ。我が筋肉と褌を交えるならばそれしかあるまい」

 未だFUNDOSHIは使わず、のしのしと歩み出て国連軍を下がらせる。

「では、参る――主らは回りと相対して来るがよい……なに、別に倒してしまっても、構わんのだろう?」

 サイドチェストでムキキ!

「我は無敵なり。我が筋肉に敵うものなし。我が一撃は無敵なり……!」

 最も褌力が濃い地点へ単身駆けるギメ=ルサー。金を発見。
 だが金の速度は光にも匹敵し――

「よもや貴様……ガッ!?」

 ギメ=ルサーの意識はそこでプツリと途切れた。



「これが、パワードスーツ……?」

 FUNDOSHIを手にする華子=マーヴェリック(jc0898)。
 着たくない、いえ穿きたくない。

「でも、このままでは私達の力を持ってしても対抗できないのよね?」

 …でもやっぱりいや!
 華子はFUNDOSHIを畳んでポケットに押し込んだ。

「拙者が惨状仕ったからには勝利は約束されてるのデース☆」

 ニカッ☆と告げたのはマイケル=アンジェルズ(jb2200)。パワードスーツではない褌姿で、逞しく引き締まった尻を晒して戦場IN。
 これぞジャパニーズ伝統スタイル。

「鍛え上げたマッスル☆ボディーのミセドコロデース☆」

 そこへ、白の群れが迫ってくる。

「どちらが神の☆FUNDOSHI☆か勝負デース☆」

 褌で覆われたマイケルの股間に翼を広げた鶴が具現化。バサァと羽ばたいて飛翔し、機動力とF兵器のPOWERで白共をHAHAHA☆と駆逐して回る。
 ひでぇ絵面だな。

「ドロワーズは褌に負けませんわ」

 一方で、華子同様に褌を拒む斉凛(ja6571)。純白メイド服の下は、拘りのドロワーズ。

「褌など滅ぼしてさしあげますわ」

 狙撃しつつ敵の群れへ突貫して、ナイトアンセム発動。
 混乱する白共に容赦の無い零距離射撃をぶち込んでボロ布へと変えていく。

 また、東風谷映姫(jb4067)は凛とは別の群れを前にして孤独に呟く。

「褌ってのはこう…救われてなきゃダメなんだ…」

 着物を脱ぎ捨てたその下は、さらしとFUNDOSHIのみ。
 彼女の全身から褌力が爆発的に噴き上がる。

「(着物を脱いだから)体が軽い、こんな気持ちで戦うなんて初めて…」

 もう何も恐くない。
 カツラも吹っ飛んでいった気がするが構わずFUNDOSHIから(?)火炎瓶を取り出して、ヒャッハー!と投げ散らかす。

「太陽に代わってOSIOKIよ♪」

 その光景に、マイケルのやる気が↑↑↑。

「黒髪美少女(カツラだったけど)は世界の宝デース☆」

 でもレディーがそんな姿ではノンノンノン☆ ドレスをプレゼントデース☆
 マイケルは褌から(??)ドレスを取り出し、映姫の元へと飛んでいく。

「ティームメンヴァーとの共同作業なのデース☆」

 が、ドレスを着せようと近づいたその時、無差別に投げられた火炎瓶がマイケルにHIT。
 鶴に着火。

「Oh, shit!」

 彼はごろごろ地面を転げ回った。



(古今東西、大群を制するにはそれを指揮する個体を抑えるのが定石のはずよ)

 仲間達が奮起する中、華子は冷静に戦場の分析に務めていた。
 全ての褌は同一なのか? 何か違いは?
 違いがあった場合、個々の特徴は? 連携の有無は?

 得られた答えを逐一仲間達へと伝えていく。

 重要なのは、情報と結束。
 そして狙うべくは、この大群を指揮する上位種。

「どこかにきっと居るはずなの……」

 そんな時、華子はふと思う。
 褌は、何故この地に現れたのか。
 もしかしたら対話が可能かもしれない。

「そうすればお互い犠牲を払わずに共存共栄が出来るかもしれないわ!」

 その時、戦場の空気が変わった。
 銀共を引き連れて姿を現す金。

 肌を刺す、圧倒的な力の差。

 それまで生身で凌いでいた砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)も、覚悟を決めてFUNDOSHIを手にする。

「…とりあえず身につければ良いんだよね? ならこうやって――」

 バンダナ風に頭に巻くも、効果出ず。

「あ、腰じゃないとダメなの、そうなの…」

 ていうか頭に褌巻いた男子もどうかと思う。

 とりあえず既に現地だから生着替えするしかないな!
 彼は物陰へ行きつつ、ちらりと振り返り、

「こっち見ないでね!」

 と言うまでもなく、誰も見向きすらしていなかった。褌共すら。

「…もうちょっと見てくれても良いのよ?」

 べ、別に寂しいとかそういうんじゃないんだからね!

 一方、マイケルも変身TIME。
 普通の褌を脱ぎ捨てすっぽんぽん。視覚化した黄金の褌力が絶妙な角度で画面を隠す!
 FUNDOSHIをシメ、スターダスト・ファントムF〜褌〜惨状!

「ゴールドがヤツラのリーダーデスネー? ゴールドは拙者のカラーでもあるデース☆ 拙者の黄金色に輝く褌力を見るデース☆」

 黄金の光を纏いタウント発動。
 亜音速で追いかけてくる銀共を引き連れるように、戦場を走り回る。

 金?と銀の人智を超えた鬼ごっこ。

「今日から拙者がリーダーデース☆」

 銀共の先頭をHAHAHA☆と走r――とさぁ。

 唐突に倒れて動かなくなるマイケル。

 笑顔で固まったまま、白目を剥いてピクピク。
 体が悲鳴を上げているのにも気づかずFUNDOSHIで全力疾走し続けた末路。

 アホは風邪を引かないのではない。風邪を引いた事に気づかないのである。

 迫ってくる銀共。
 だがそこへ颯爽と現れる、華麗な仲間が1人――

「褌は己の心の如くまっさらな白であるべき。金や銀の褌などありえません」

 マシュー・ゴールドマン(jb5294)。
 優雅な姿勢で、無数の褌共の前に立ちはだかる。

「しかし、銀の武器はF兵器とよく似ていますねぇ。誰が作ったんでしょうかねぇ……ああ、失礼。細かいことが気になってしまうのが私の悪いク・セ☆(ウインクばちーん)」

 瞬間、マイケル諸共タコ殴りにされた。

 などとアホな事をやっている間に金に統率された褌共が、意地を張って未だ生身のままな凛を襲う。
 大ピンチ。

 その時――

「右に避けろ。別に左でも構わぬが」

 ヒュン ドスッ!
 誰かの声がして、銀の眉間に投擲された杖が刺さる。

 現れたのはギメ=ルサー=ダイ。
 え、冒頭で死んだはずだって? そっくりさんだったんじゃないですかね(すっとぼけ

 徐に詠唱を始めるギメ=ルサー。

 ――――――――身体は筋肉で出来ている。
 血潮は汗で、心は笑顔。
 幾度の舞台を越えて不敗。
 ただの一度も泣かず、
 ただの一度も理解されない。
 彼の者は常に独り 筋肉の丘でポージングに酔う。
 故に、生涯に意味は無く。
 その体は、きっと筋肉で出来ていた。

「Unlimited Muscle Works.」

 FUNDOSHI装着、モストマスキュラー。
 刹那、辺り一帯に灼熱の褌力が走りぬけた。

 それは自らの体を鍛えすぎ、羽根を失った漢の夢。
 輝く舞台で人を魅了し、人を救う。
 あまりに不遜な夢は、誰にも理解されることなく最期の時を迎えた。
 最期のポージングは、モストマスキュラーであったと言う。

 1人の天使が夢描いた筋肉の楽園が、世界を塗り潰す。(※現在、意思疎通によるイメージ映像でお送りしております)

 金の前に立ち、サイドトライセップス。

「ゆくぞ褌王。布の貯蔵は充b――」

 金の先制、天地乖離パンチドゴォ!

 瞬 殺 。

 天使ギメ=ルサー=ダイ、プロテインを抱いて溺死。



 筋肉がやられたので、凛のピンチ変わらず。
 観念した凛は、

「あ、貴方達のために穿くわけじゃないんですからね!」

 翼で飛んでメイド服の裾をひらめかせ、悔しそうに恥じらいながらFUNDOSHI装着。溢れ出た褌力が光り輝き、魔法少女のように変身メイクアップ。
 なんと6歳児の頃の姿――リーン――に。

 左手にうさぬいを握り締めた金髪碧眼のツインテール幼女が、褌とキャミソール1枚で降臨。色々ギリギリ。

「ふ、ふぇ…ん! い、いじめるの、やーなの…!」

 瞬間、泣き声が衝撃波となって、ビルごと白共を吹き飛ばした。
 駄々をこねるように振り回したうさぬいから褌ビームを撒き散らし、右手から繰り出される猫球パンチが銀共を釘のように地面に叩き込む。
 あかん、街が更地になる。



 キュピィィンというSEと共に、幼女の気配を察知した映姫。

「これは…リーンちゃんが危ない! 私が助け…ぐへへへ助けないと!」

 リーンの元へと駆けつけるその手には、カメラ。
 あかん、倫理的に危ない。

「かわええなぁ…私のものにしたいなぁ…」

 邪な気持ち150%でリーンの無差別攻撃を躱しながら、膝が歪な音を立て始めたのにも構わず残像と共にシャッター連打。

「ハァハァ…褌姿のリーンちゃん可愛すぎる…♪」

 鼻血だぱぁ。
 直後、映姫の膝がおかしな方向にメキョリ。動きが止まり、リーンのビームが両目を貫通。

「グハッァ…前が見えねえ…だがまだだ…やらせはせん! やらせはせんぞーー!!」

 リーンの猫球パンチぼこぉ!
 地面に首まで埋められる。

「幼女の責め…ご褒美です…」

 映姫永眠。

 悪は滅び幼女という宝は守られた、だが幼女がいる限り変態は滅びない。
 明日、君の背後に変態はいるだろう…。

 〜fin〜

















 いやまだ終わってねえし。
 寝ぼけるな、と映姫の頭を囲んで蹴り回す褌共。

 それを助けたのはリーン。

「悪い子は…めっ!なの」

 白と銀をちぎっては投げ、ちぎっては投げ。そして勢いのまま一気に金の前に到ちゃk――とさぁ。
 エネルギー切れ。

「ねむねむなの…おやすみなの…」

 すやぁ。
 幼女だからね仕方ないね。

 その頃、袋叩きにされ続けていたマシュー。

「褌共…これ以上好きにさせるわけにはいきません!」

 立ち上がり、FUNDOSHIを装着してビシリと右手を突き出す。
 握り締めた拳を解き放ち、両腕を大きく振り回しながら、

「…変ッ…身…!」

 ――そのとき、ふしぎなことがおこった。
 倒れていった仲間達のF兵器が彼の身体を覆い、オーバーロード。彼を力ある姿へと変貌させる。

 クロスした両腕を高々と開き、建物の上へジャンプ。
 着地と同時に褌共を振り返り、

「仮面ブレイカー…ブラァック!!」

 漆黒の戦士、爆誕。

「皮肉なものですねぇ…私が黒い褌を纏うことになろうとは。ですが、不思議と悪い気分ではないのですよ。さあ、終幕といたしましょう!」

 金を見下ろしながら言い放つ。

「ブレイカァァァ!」

 高々と飛び上がり、

「キィィィッk――」

 ヒュッ ドゴォ!
 寸前、ジャンプ中のマシューを光速で殴り落とす金。

 変身ヒーローの決め技を最後まで待たない。まさにチート。



 次々と倒れていく撃退士達。
 もはやこれまでかと思われたその時、

「遅れて申し訳ありません」

 ビルの屋上に、樒 和紗(jb6970)とリーゼが立っていた。

 さらしにFUNDOSHI、祭法被を羽織って足袋に草履を履き、捻り鉢巻な格好に神輿を担いだ姿で。
 
「遅いと思ったら何を…って、Σヤバイ! そのアングルはヤバイから!?」

 仰ぎ見たジェンティアンが「いやあぁぁ!?」と叫ぶ。
 法被でギリ見えない安心設計。但しチラ尻はあるかも!

 ビル壁面を垂直に駆け下りてくる和紗とリーゼと神輿。

「わっしょい!(キリッ」
「わ、わっしょい……(ごふっ」

 おや? リーゼが既に死にそうだが?
 もしかして:キャライメージが耐えられない

 見かねたジェンティアンがそっと白短パンを差し出す。

「2人共嫁(←)入り前なんだから、これ着なさい…」

 祭法被なら白短パンも正装でしょ、と。

(…何か拙かったのでしょうか)

 和紗は首を傾げながら、FUNDOSHIの上から短パンごそごそ。
 同じくリーゼも短パン着用。途端、

「負ける気がしないな」

 急に元気。
 その時、数体の銀が飛び掛ってきた。

 だがFUNDOSHIでブーストした3人の前では、もはや脅威に非ず。
 ジェンティアンがコメットを撒き散らし、動きが鈍ったところを和紗とリーゼが神輿で殴打。

「武器(神輿)の扱いならば、人類に1日の長があります」
「いや、神輿で戦う長はないと思う…」

 はとこのツッコミなど何処吹く風か、2人は褌共を神輿で轢き逃げ。

「「わっしょい!(キリッ」」

 だが褌共も、金の指揮を受けてすぐに陣形を立て直してくる。

 やはり、褌共には意志がある。
 それを確信した華子は、胸の前で手を組んで呟いた。

「思いはきっと届く……」

 過去に褌共との戦いで最愛の人を失い、その最愛の人が願っていた『全ての種族との共存共栄』という夢を胸に。
 意を決して突撃華子。

 一直線に金へと向かう彼女の前に、無数の白や銀が立ちはだかるが――

「邪魔はさせないよ?」

 ジェンティアン達が、華子の進む道をこじ開ける。

 不意に、積み上がった褌共の骸の陰から銀が飛び出してきた。
 咄嗟にドロップティアーズでシールド防御する和紗。間髪容れず、ジェンティアンがF札で迎撃。しかし――

「リーゼを組敷いた褌はその手を彼の褌に伸ばすがそれを弾く魔法弾と駆け寄る竜胆『僕の物に手を出すな』そっと助け起こし見つめ合う2人やがて顔が近づk(ry」

 おや? 和紗の様子が。

\ホモォ……/

 新世界の呟きを発する落涙剣。
 いかん、取り込まれる。

「Σやめて!?」

 ジェンティアンが剣ぺしぃ。
 我に返る和紗。

「俺は何を?」
「汚された…(涙」
「……(ごふっ」

 蹲って膝を抱えるジェンティアンと、吐血するリーゼ。
 戦闘継続不能。

 一方、金の元へと辿り着いた華子。
 だがその力量差に為す術もなく膝を折る。

 やはり使うしかないのか。
 身を切るような思いで、FUNDOSHIを装着華子。
 刹那、噴き上がった彼女の褌力が金の意識と共鳴現象を引き起こした(ような気がした)。

 そして、彼女は気づく。

「まさか…あの人なの!?」

 金の正体。それは、死んだハズの彼が軍に改造された姿。
 金を抱きしめながら涙する華子。

 いや気のせいじゃないですかね? 金、めっちゃ嫌がってますけど。

 ジタバタ暴れる金をメキィと締め上げ…もとい抱きしめる華子の涙が、荒れた大地に落ちる。
 瞬間、褌力が世界を包んだ。

 亜光速で圏外へと飛び出していく華子と金。
 眩い光が晴れた後、空には巨大なハートマークの刻まれた月が浮かんでいた。

「これからですよ。褌が全滅したわけではない」

 月を見上げながら呟いたのは、マシュー。
 生きていたのかブラック。

「そう、私達の戦いはこれからです!」

 生き残った戦士達に、どうか一時の休息があらん事を――……


●円卓
「1人で複数のFUNDOSHIを装着したらどうなるか興味があったが……」
「ともあれ、褌共もパワードスーツも改良の余地多々ですな」

 その時、轟音と共に部屋の壁に穴が開く。現れたのは、なんと褌共を引き連れた黄金マイケル。
 笑顔で白目を剥いたまま。

「ヒトのライフを弄ぶ悪投は成敗DEATH☆」

 突き抜けたアホは、自分が死んだ事にも気づかない!

「衛兵はどうした!? おい衛――」



 ――その日、数名の連合軍幹部が消えた事を、人々はまだ知らない。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: その愛は確かなもの・華子=マーヴェリック(jc0898)
重体: −
面白かった!:10人

紅茶神・
斉凛(ja6571)

卒業 女 インフィルトレイター
アメリカン☆ドリーム・
マイケル=アンジェルズ(jb2200)

大学部2年257組 男 ディバインナイト
我こそ肉体言語体現者・
ギメ=ルサー=ダイ(jb2663)

大学部4年215組 男 アストラルヴァンガード
久遠ヶ原のお洒落白鈴蘭・
東風谷映姫(jb4067)

大学部1年5組 女 陰陽師
撃退士・
マシュー・ゴールドマン(jb5294)

大学部8年204組 男 陰陽師
光至ル瑞獣・
和紗・S・ルフトハイト(jb6970)

大学部3年4組 女 インフィルトレイター
ついに本気出した・
砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)

卒業 男 アストラルヴァンガード
その愛は確かなもの・
華子=マーヴェリック(jc0898)

卒業 女 アストラルヴァンガード