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マスター:水音 流
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:6人
リプレイ完成日時:2014/06/24


みんなの思い出



オープニング

「あー……パンツになりてえ」

 昼休みの教室。男3人で何をするでもなくダベっていると、窓際の1人――杉下――が唐突に呟いた。

「そうか頑張れよ」

 顔を向ける事も無く、眼鏡の友人――坂下――がテキトーな相槌を返す。

「いや違うんだって。別にやらしい気持ちとかじゃなくて、こう、か弱い女子の柔肌を、全身で包んで守ってやりたい的な?」
「逆に引くわ」
「へーへー、どうせ分かってもらえませんよー。彼女持ちの坂下君は毎日女子のパンツも見放題でしょうからねー」
「そんなわけあるか。つーかパンツになりたいのかパンツを見たいのかどっちだよ」
「どっちもだ」

 バカとメガネがダラダラ言い合っていると、それまで机に両肘をついて顔の前で手を組んでいたもう1人の友人――古坂――が、すっと瞼を開いて徐に口を開く。

「坂下」
「んー?」

「お前の彼女の下着を見せてくれないか」

 拳を握る。
  ↓
 振りかぶる。
  ↓
 めり込む。
  ↓
 鼻血ぶぱぁ。

「待て。俺はただ女子という生態を理解する為に女物の下着を観察したいだけだ」
「お前殺すぞ」
「駄目か……。仕方が無い。ならば他をあたるとしよう」

 いや他をあたるのも駄目だろ。
 友人の言葉にも気づかず、古坂は立ち上がって教室から出て行った。



 デパートのランジェリーショップで下着を物色する古坂。
 顎に手を当てて、マネキンが穿いている商品を至極真剣な表情で眺めていた。

「意匠を凝らしたレース、肌が透けないギリギリの薄手生地、そしてこのシルクの手触り。なるほど、良い仕事だ。だがこれはあくまでも下着の出来であって、女子という存在そのものの出来では無い」

 杉下が熱く語っていた『女物の下着』を観察すれば、女子という存在について少しは理解できるかと思ったのだが……

「やはり二つ三つ見た程度では駄目か……」

 店員や他の女性客達がざわざわヒソヒソと奇異の視線を向けているのにも気づかず、彼は難しい顔をしながら店を出た。



 古坂が思案に暮れながら歩道を進んでいると、少し前を歩いていた女が肩に下げたトートバッグから小さな紙袋を落とす。
 それに気づいた古坂は、彼女の背中に声をかけた。

「そこの女子。落し物だ」
「へ? あっ、その、す、すみません、ありがとうございます……」

 振り返り、オドオドした様子で頭を下げる女――ヒメ――。
 紙袋を拾い上げた古坂は、ふと、それがさきほど見て回っていたショップの紙袋である事に気がついた。

「下着か」

 極々自然に袋を開け、中身を取り出す古坂。

「ふぇ!?」
「ふむ。凝ったデザインだな」

 手に持って広げ、まじまじと眺めながら素直な感想を口にする。先ほど店で見ていた物とは、また違った趣がある。
 涙目で狼狽えるヒメ。
 そこへ偶然、彼女の知り合い――豚侍達――が通りがかる。

 ヒメと古坂の様子を見て、刀を抜く豚侍達。

「ぬぅ、怪しい輩め! ヒメに何の用でござる!」
「待て。俺はただ、彼女が落とした下着を拾って眺めていただけだ」
「なにィ!?」
「ヒメの下着でござるか!?」
「けしからん! 拙者らにも見せるでござる!」

 無駄にひらひらスケスケしていて、スベスベ柔らかでせくしーな色合いのパンツ。

「ぬあぁぁぁ!」
「こ、これはもしや勝負下着ぃ!」
「一体誰に見せる為の下着でござるかぁ!」
「いかんでござる! このような破廉恥な下着はまだヒメには早いでござる!」
「お、大きな声で下着下着言わないでくださいぃぃぃ……! み、見せる相手が居なくても、可愛い下着買ったって良いじゃないですかぁ……!」

 ワーキャーと大騒ぎのヒメと豚侍達。

(忙しそうだな)

 邪魔をするのも悪い、と。古坂は紙袋をそっと地面に置き、再び女子について頭を悩ませながら1人その場を後にした。



 特に行くあてもなく住宅地をウロウロしていると――

「ハフ……ハフ……」

 塀に隠れて死角になっていたアパートのベランダ。そこに干されていた女物の下着に手を伸ばしている『人狼型のディアボロ』が居た。頭には、既に取り終えた白いパンツを被っている。

 あの狼もまた、女子について日々悩んでいるのだろうか。
 古坂は共感めいたものを感じつつも――

「それは流石に犯罪ではないのか」

 いかに探求の為とは言え、人の物を盗むのはよくない。
 声を掛けられて古坂の存在に気づいた瞬間、人狼は掴みかけていた方の下着を手放して、白パンを被ったまま大慌てで走り去っていった。

 一方、白地に青縞模様の質素な下着が、ぽつりと歩道に取り残される。

「ふむ」

 元に戻しておいてやるか。
 古坂は塀によじ登り、洗濯バサミに下着をぶら下げようと手を伸ばすが、

 ガラッ

 ベランダの戸が開き、住民の女性が現れた。
 縞パン片手に洗濯バサミを掴んでいる古坂と目が合う。直後――

「きぃやあぁぁぁぁぁ!」
「待て。俺はただ、落ちていた下着を元に戻そうと――」

 悲鳴。ビンタ。物投げ。バット。
 古坂は頭からだくだくと血を流しながらも、持っていた縞パンをちゃんと洗濯バサミに戻してからその場を離れた。


リプレイ本文

 斡旋所受付を訪れる、1つの影。

「にオペ子ちゃん、依頼を口実にあなたの生パンを脱がしたいんだけど」

 ブラも付けずに褌一丁。それでもリボンは外さない。
 現れたのは、主食は脱ぎたての生パンツ・歌音 テンペs――

「あー、キミ。ちょっとその称号と服装について、指導室のほうでお話聞かせてもらえるかな?」

 始まって5行しか経ってないのに、風紀委員に連行されていく歌音 テンペスト(jb5186)。
 代わりに、おどおどとした様子でオペ子に話しかけたのは指宿 瑠璃(jb5401)。

「下着ください……」

※注:依頼に使う支給品受領の話です。

 瑠璃は魔装コスト20という特注品のパンツ(未使用新品)を受け取ると、同行者である歌音の釈放をお願いするべく生徒指導室へと歩いて行った。


●住宅地1
「犯人は必ず捕まえる!」

 ご近所さんの目も気にせず気合の雄叫びを上げる歌音。
 手に持っていた反省文用の原稿用紙をポイッと放り捨て、指導室で羽織らされた上着もバサァと脱ぎ捨てたその姿はやっぱり褌一丁リボン付き――いや違う。
 今度は更に、股間に白鳥…ではなくバズーカ砲が付いていた。

 段ボールで作った、お手製のハリボテバズーカ。

「怪しい奴を見つけたら歌音砲発射! 股間のバズーカから発射!」

 トドメは脱いだ褌で縛り上げて御用。完璧ですね。
 歌音はぐいんぐいんとバズーカを振り回しながらヒリュウを召喚。

 住宅地には危険が一杯。下校中のスカート短め女子高生とか、無防備に干されたパンツとかとかとか。
 そんなハニートラップに引っ掛からない為にも、召喚獣スキルのホーリーヴェールで特殊耐性を上げて任務に挑まなければ。

「ついでに上空に飛ばしたヒリュウの視覚を借りて、囮役の瑠璃ちゃんを見張るよん」

 自分は陰からこっそり支援――おっとあんなところに干しパンツが!
 ガバッと塀によじ登って手を伸ばす歌音。ホーリーヴェールなんてなかった。

「わが流派の忍法の一端で何とかなりそうですね…」

 一方、少し前を歩いていた瑠璃。
 髪染めスプレーで茶髪に変え、ヒラヒラファッションでおめかしして『遊んでいる女の子』を演出しながら道を進む。

 ――示弱忍法『囮方』。あえて『チョロそう』な子を演じることで、犯人を呼び寄せるという極めて高度な頭脳戦。

 捕縛はテンちゃん(歌音)がやってくれるはず。
 瑠璃は斡旋所で借りた特注品の下着を握りしめ、おどおどナヨナヨと住宅地を練り歩く。
 普段から下着は着用しない主義(←)なので、穿かずに手持ち。生パンじゃないとダメだとかって意見もあるかもしれないが、これだけガッチリ握りしめてれば体臭の1つや2つ染み付くはずだから大丈夫。

 かどうかはMSには分からなかったが、

「ぱんつちょうだい」

 瑠璃の下着を狙って、突然白い幼女――柘榴姫(jb7286)――が襲い掛かってきた!

 出会い頭一発、柘榴姫はワイヤー、髪芝居、呪縛陣、あらゆる手段をブッパして生パン(と見せかけた手持ちパンツ)を取りにくる。
 対して瑠璃は、空蝉を発動してこれを回避。わざわざコスト20の品を指定したのは、この為だった。

 身代わり人形の如くパサッと地面に落ちる瑠璃のパンツと、それに飛びつく柘榴姫。

「今ですテンちゃn――」

 振り返る。
  ↓
 お巡りさんに肩ぽむされてる歌音。
  ↓
 御用。

 赤く回るランプが遠ざかっていくのを見送ってから、瑠璃はスーっと視線を戻す。
 なんと柘榴姫は、手に入れた瑠璃のパンツをあぐあぐと食べていた。しかし、

「よくわからないわ」

 パンツの味は、幼女にはまだはやかったようです。

 しかしこんなフリーダムな生き物を放っておくわけにもいかない。
 取り押さえるべく、瑠璃は迅雷の如きアウルの風を両脚に纏った。スカートふわり――瑠璃ちゃんはパンツを穿いてません――。

「アブナイ!」

 蔵倫スタッフが叫ぶ。謎の光線照射。
 映像修正でターンエンド! 柘榴姫のターン!

 ――借りたものはちゃんと返さないといけませんよ? by ししょー@弟子の教育は完璧です

 教えに従い、柘榴姫は瑠璃へと近づいて、穿いてない彼女にマエバリ的なガムテープを貼――だからそういうのダメだって言ってるでしょうがぁ!?

 映像が山の風景に切り替わる中、トテトテとどこかへ走り去る幼女の足音だけが聞こえていた。


●商店街
 被害報告があった住宅地から程近い、とある商店街。
 屋台や露店商が立ち並ぶ通りの中に、少し…いやかなり変わった店があった。

 フリーマーケットのように広げた座敷の上で多種多様の女性用下着を並べ、視線の分からない真っ黒なサングラスを顔に掛けた女店主――凪澤 小紅(ja0266)――。

 下着ドロの捕縛。その為に彼女は、不自然に下着に興味を示す不審人物を炙り出す作戦に出た。

 故の見本市。
 故のサングラス。

 断じて、下着露店などという珍妙な行動で奇異の視線を向けられる事に悦びを感じるだとか、そういう性的な動機からではない。
 怪しさ倍増のサングラスにしても、容疑者に視線を読まれない為であって、決して恥ずかしいから顔を隠したいだとかそんな理由ではごにょごにょ。

 値札のついた商品(下着)を手に取りながら、道行く女性達に声をかける。

「ヒップラインを美しく見せたいならOバックですよ」
「い、いえ、遠慮しておきます……」

「ベージュ色だと薄着でもラインが見えにくいですよ」
「え、ええ、そうですねごめんなさい……」

「寝る時は専用の下着をつけましょう。形が崩れません」
「すいません勘弁してください……」

 そそくさと逃げていく女性達。

(……私、なにしてるんだろうな)

 ふと自らを省みてしまった小紅。
 気にしたら負けだと思います。

 一方、すぐ隣で同じように座敷を広げていた少女がもう1人――

 地堂 灯(jb5198)。
 見本市の為に斡旋所から下着を支給してもらっていた小紅とは違い、彼女は自宅のタンスから持ってきた自前の下着を陳列していた。
 大丈夫かそれ。乙女的に考えて。

「結構あるわね」

 我ながら少し持ってきすぎたかもしれない。
 並べた下着を確認していると、トランクスやらブリーフやらの明らかな男物が混ざっている事に気づく。

「あら? 男物の下着も一緒に持って来ちゃったわ。弟のかしら?」

 まぁ……ついでに並べちゃえ!
 「何故男物が?」とか聞かれたら、「男物の下着を穿かれる方もいらっしゃるんです」とでも答えておけば良いわよね!

 本人の知らない所で下着衆目に晒すとか、まじおにちく。
 そんなこんなで、小紅と灯が見本市という名の囮捜査を続けていると……

「下着の露店販売か。あまり見ない手法だな」

 真剣な顔で顎に手を当てて下着を眺める、久遠ヶ原の男子学生が現れた。
 灯に肩をつつかれた小紅が、顔を上げる。

「店主。女子の下着というものについて詳しく聞かせてもらえないか」

 コイツ、ヤベエ。

 小紅はそっと携帯を取り出し、他の場所で捜査している筈の仲間達へメールを打つ。
 その間、時間稼ぎの為に男子学生――古坂――の注意を引こうとする灯。

 何か…何か時間稼ぎになるものは……そうだ!
 徐に、手作り弁当を取り出す。本当は犯人捕縛後に使おうと思っていたのだが、この際仕方がない。

「まぁお弁当でも食べながらゆっくりしていってください」

 テキトーに誘いつつ、蓋を開けた弁当箱の中には――

 レインボーな物体X。
 明らかにヒトが口に入れて良い見た目から外れている。が、

「手作り弁当か……なるほど。確かに女子の手作り弁当を直に食せば、その存在を理解する為の糸口が掴めるかもしれない。頂こう」

 ぱくり

「前衛的な味付けだな」

 言いつつ、しかし予想に反して平然とした様子でパクパクと平らげる古坂。が、その鼻からは血がたらり。
 大丈夫かコレ……。

 一方、連絡を終えた小紅が携帯をしまって立ち上がる。不審者臭ぷんぷんの古坂をふん縛る為に、まずは裏道に連れ込んで――

 とその時、

「ぱんつがいっぱいだわ」

 ざくろひめが あらわれた!

 不意にエンカウントした、穿いてないフリーダム幼女。彼女はパンツの山の中に縞パンを見つけると、ひょいと拾い上げて頭に被る。
 ごめんね。この前、『縞』と『紐』見間違えてごめんね。

 突然現れて被ったり伸ばしたり振り回したりと大暴れな柘榴姫に気を取られた小紅と灯だったが、すぐに古坂の事を思い出して視線を戻す。

 ――居ない。

 座敷の上には、綺麗に包み直された空の弁当箱のみ。辺りを見回すが、彼の姿は見当たらない。
 そして気がつけば、いつの間にか柘榴姫の姿も無い。

 2人は慌てて立ち上がり、見失った古坂を追って走り出した――


●住宅地2
(泥棒は…犯罪です)

 物陰に身を潜めながら、仁良井 叶伊(ja0618)が内心でごちる。
 ヒトとしての常識。信頼を維持する為の最低条件。その事を知らしめる為にも、毅然とした態度で取り組まねば。

 …とは言え今回、野郎は自分1人だけ。依頼の内容的にも、何とも微妙な立場である。

「中々男には辛い現場ですのでバックアップもお願いします」

 事前に協力を仰いでおいた地元警察へと、無線機で呼びかける。が、

『連行中のバズーカが逃走! 繰り返す、バズーカが逃走!』

 ノイズ混じりに返ってきたのは、警官同士の錯綜した怒号。何やらそれどころではないようだった。



 とあるアパートの1階ベランダ。菫、菖蒲、白百合、彼岸花の描かれた褌を干す東風谷映姫(jb4067)。

「ふふ〜ん、これで完璧ですね」

 『小学六年生こちやえいき』と書かれたそれら4種の神器を眺めながら、身に着けたサラシと褌・獅子を締め直す。
 餌の仕込みはバッチリだ。後は下着ドロが食いつくのを待つのみ。

「褌で犯人達を更生してあげましょう、ムフフフ」
「パンツがなんですの。由緒正しき貴婦人の下着といえば、ドロワーズですわ!」

 一方、道路を挟んで向かいのアパートから斉凛(ja6571)の声。
 スウィート、シスター、魔女っ子、シルク。多種多様のドロワーズを並べて干し、『中学一年生 こちやりん』と書かれた名札をぺたり。

 カボチャパンツとは違うんですの。カボチャパンツとは違うんですの。
 2回言った。あとは分かるな?

「映姫さんには負けません。褌とドロワーズどちらがより魅力的な下着か勝負!」

 目的:ドロワーズの地位向上。
 ん? あの、犯人捕縛は……

「褌とは只の下着にあらず! 己の身を清め己を昇華させるものです! 褌は人類が行き着くべき真理です!」

 先手、東風谷映姫。
 一瞬沈黙した後、彼女は神妙な顔で、

「想像してください! はだけた着物姿の赤面した美少女から見えるチラッと見える褌を! 私だったらそれだけでご飯三杯はいけます! ショタもそそるものがありますけどやはり女性の方がいいですね! しかも幼女!」

 幼女が締めてくれるなら一ヶ月は食事いりませんドゥフフ。
 後手、斉凛。

「ドロワーズの由緒正しさは、18世紀から始まりそれ以前は下着というものがなかったのですわ。つまり下着の元祖で本家ですの」

 最近の萌えメイドはミニスカでふざけている。メイド服のスカートと言えば丈は長めで、下着はドロワーズ。

「翻るスカートから僅かに見えるレースとフリル。これこそ究極のちらリズムですわ!」

 ヒートアップした褌族とドロワーズ族はそれぞれベランダから飛び出すと、道路の真ん中で大激論。
 と、その論争はいつしか武力抗争へと発展。悲しきヒトの歴史。

「今夜のお味噌汁の調味料にしてさし上げますの」

 釘バットを手にした凛が、映姫の頭部をめきょり。
 地に伏し、頭から味噌的なナニカをはみ出させてピクピクと悦び…じゃなくて、痛みに震える褌族。だが彼女は驚異的な再生力で以て、空気を注入された風船のようにむくむくと幾度となく起き上がってくる。

※大変危険ですので、東風谷映姫(jb4067)さん以外のヒトの頭部を釘バットで殴るのは、絶対にお止めください。

 するとそこへ、

「ハフ…ハフ…」

 頭に女性用下着を被った人狼登場。
 彼(?)は、争いに取り憑かれた2人の淑女の肩にポンと手を置きながら、左右のベランダを交互に見比べ……

 フンッ、と鼻で嗤った。

 めこり

 獣の両頬に食い込む釘バットと鞭。

「なんですの、今の『フンッ』は」
「褌で締め上げて腰砕きますよ」

 げきオコスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム。
 持ち替えた凛のアサルトライフルが火を噴き、一瞬にして蜂の巣にされる。

 パンツを被ったままハフハフと悲鳴を上げて地面を這う人狼。それを鞭で縛り上げる映姫。

「さあ、美(?)少女に鞭で拘束されて嬉しいでしょう、フフフ変態さん♪」

 褌さらし姿の女子が、頭にパンツ被った人狼を罵る光景。
 そうだ、ここに病院を建てよう。

 飛び出すタイミングを逸して呆気に取られる叶伊。だがまさにその時、

「撃たれ縛られても尚、下着を被り続ける。やはり女子の下着にはそれほどの価値があるのか」

 古坂エンカウント。

 さきほど小紅から届いたメールの添付画像と完全に容姿が一致。
 今度こそ飛び出した叶伊は、問答無用で彼の両手をロープで縛り上げた。

「さて、人生にフィナーレを打つ覚悟は出来てますね」
「待て。俺は――」
「苦情は裁判所にてどうぞ…」

 よし、事件解けt

「パンツは被るものじゃないのよ!」

 と思ったら、バズーカ娘エンカウント。

 パンツの理想は限りない一体感。『穿く』『被る』は一体に近付くようで一体に成り切れてない。
 所詮は衣類と体、所詮別物。真の一体となるには補食し取り込む必要がある。

「つまりパンツの真の用法とは食べること!」

 ないわー。

「あげるわ」

 直後、雪崩れ込むように三度現れた幼女こと柘榴姫。
 それまでずっと口に含み続けていた瑠璃のパンツを、でろっと口から出して歌音の口へIN。

 もぐもぐ ごっくん

「む。瑠璃ちゃんの風味はするけど、穿いてないパンツねこれは」

 利き酒ならぬ、利きパンツ。

「ちなみに初心者は生ではなくタルタルソースをかけるのがオススメよ」

 タルタルは何にでも合う。タルタルまじ万能。
 だが次の瞬間――

「ここにも変態がいたか」

 小紅到着。
 彼女はパンツソムリエを視界に収めるや否や、赤い残像を散らしながら歌音のボディに全力ブロー。
 「おぅふ」と頽れながらも、歌音は狙ったように小紅のふくよかな胸元に顔を埋めて、ダメージによるものではない鼻血を流しながら白目を剥いた。


●警察署
 歌音は対面に座る刑事に卓上のライトを当て、隠し持っていたタルタルパンツを取り出す。

「パンツでも食うか? 田舎の母ちゃんが泣いてるぞ」
「いま取り調べ受けてるのキミの方だからね?」
「ごめんなさい」

 しゅんと肩を下げ、

「刑事さんはゴマドレッシング派だったんですね」
「うんそういう事じゃなくてね?」

 すぐに釈放された古坂と違って、歌音はしばらく檻から出してもらえなかった。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 紅茶神・斉凛(ja6571)
 久遠ヶ原のお洒落白鈴蘭・東風谷映姫(jb4067)
 主食は脱ぎたての生パンツ・歌音 テンペスト(jb5186)
重体: −
面白かった!:12人

繋いだ手にぬくもりを・
凪澤 小紅(ja0266)

大学部4年6組 女 阿修羅
撃退士・
仁良井 叶伊(ja0618)

大学部4年5組 男 ルインズブレイド
紅茶神・
斉凛(ja6571)

卒業 女 インフィルトレイター
久遠ヶ原のお洒落白鈴蘭・
東風谷映姫(jb4067)

大学部1年5組 女 陰陽師
主食は脱ぎたての生パンツ・
歌音 テンペスト(jb5186)

大学部3年1組 女 バハムートテイマー
海のもずく・
地堂 灯(jb5198)

大学部4年1組 女 ダアト
夢見る歌姫・
指宿 瑠璃(jb5401)

大学部3年195組 女 鬼道忍軍
ふわふわおねぇちゃん・
柘榴姫(jb7286)

大学部2年278組 女 陰陽師