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マスター:瑞木雫
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:7人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/11/08


みんなの思い出



オープニング

●神秘の乙女が宿る大樹
 少女はまるで眠っているかのように眸を閉じていた。
 ただ静かに、穏やかに。

 神秘と静謐を抱き合わせている、優しい彩の静寂な山の森林。
 そよぐ風の声も流るる水の音も涼しげで心地良い、この場所で。
 葉の隙間から覗く青碧の空から、陽光を浴びる毎日。
 けれど、そんな日々はもう、終わりのよう。

 ―――ギギギギギギギギギ!!!
 鳥達が一斉に飛び立ち、避難した。と、同時に少女も開眼する。静寂を破ったのは人間達が山の森林をチェーンソーで伐採する音。人間達は仕事として、依頼された通りに伐り倒しているのだ。
『……』
 少女は怒ることも悲しむこともせず、感情が無い人形のように真顔で――けれど一切瞬きせずに音のする方を見つめていた。樹木が切られ、倒れた音がした。
 すると今度は人間達が近付く足音が聞こえてくるのだが、それでも微動だにせずじっとしたままだった。
「おい、見ろよ。あれ……」
「な、なんだ……あの子は…………」
 ようやく人間達は、自分達が伐採していた付近に少女が居た事に気付き息を呑む。
 何故なら長く伸ばされている翠を帯びた髪に小花が咲き乱れている小柄な少女が、大樹と一体化していたからだ。少女は美しかった。心優しげで、純朴そうで。そして少女と共存する大樹もまた素晴らしく、幻想的で、今迄に見た事が無い神秘を感じられた。思わず見惚れてしまっている人間達だったが、とはいえ悠長にしているべきではなかっただろう。
 こちらをじっと見据えていたリーフグリーンの眸の瞳孔が開くと樹の枝がミシミシと軋む音を響かせて。宝石のような木の実が生る葉を揺らし、縮こまったかとおもえば盛大に粉を排出した。それはキラキラと輝いて、その景観はなんと神々しいことか。だがその粉は、人を暫し朦朧とさせる。
「おい、山田! 何やってんだ、おいったら!」
「……」
 膝から落ちて呆然としている山田と呼ばれた男は強く揺らされても、何の反応も返さない。彼らは少女から離れていたが、唯一山田だけが煌めく粉を浴びてしまっていた。
 運よく粉を浴びなかった正常である者達は瞬時にヤバイ……と察知する。
「佐藤、手を貸せ!」
 此処から逃げなければ―――、と。
 意識が朦朧として虚ろだった山田の両腕を確り支えつつ首に回させ、その場から走って立ち去る者達。その判断は、正しかった。
 揺れて涼やかな音を奏でているかと思えばナイフのように鋭く尖った葉が、恐ろしいスピードで彼らを追いかけていった――しかし走りだしていた彼らには届かず、地面に突き刺さる。命中していれば切り裂かれていたことだろう。無傷を幸運に想い、無我夢中に走りながら、彼らは振り返る。少女が追いかけてくる様子は無かった。樹木と一体化しているから、その場から動く事はないのだろう。だが、少女の視線はずっと感じていた。少女は無表情だった。なのに、リーフグリーンの眸が睨んでいるように思えた。


●久遠ヶ原学園の教室
「依頼です。山の森林にて、天魔が発生しました」
 凛々しめの女性職員は早速その詳細を話し始める。
「山の森林で女の子と一体化している大樹を目撃したようです。そう話しているのはお仕事をなされていた男性数名。彼らは仕事中に襲われ、その内一人が粉のようなものを掛けられ意識が朦朧としていましたが暫くすると回復なされたようなので、深刻な被害はゼロ、との事です。ですがこのまま放っておけません。伝承神話の『ドライアド』の特徴に似ている事から、サーバントの可能性が高いです。被害を出さない為にも、皆様の力で撃退をお願いします」



リプレイ本文




(綺麗な所ですね。荒事すんのはちいと気が引けます程……)
 大樹の少女が居る場所へ向かう道中の、優しい翠をした森の中。百目鬼 揺籠(jb8361)は自然豊かな景観を見渡しながら、この森が辿ろうとしている悲しい軌跡を知った。




 此処は美しい森
 だが人の手により刈られて、失われようとしている――




「被害が出る前に、か。運が良かったのな、サーバントにかち合ったヤツら」
 黒夜(jb0668)が部隊長として信頼を置いている影野 恭弥(ja0018)に話していた。恭弥は沈黙を守りながらも、内心同意するだろう――黒夜の言う通りだ。天魔に襲われながら、そのまま殺されずに生き残った。それがどれだけ幸運であるかを恭弥はよく知っている。
 鋭く射通すような金色の眸は前だけを見据えていた。
 黒夜も、そんな彼の横顔を一瞬見遣ってから前を見据えるだろう。



 放っておけば誰かを殺すサーバントであるなら、自分は敵を討つのみだ。







 彼らは森の奥深くで、例の大樹の少女と対面した。



 アヴニール(jb8821)が息を飲んで呟く。



「美しい天魔じゃな……」


 サーバントは美しい少女の形をしていた。


「わあ、 こんなかわいらしい木霊が、本当にいたなら…」


 五十鈴 響(ja6602)も思わず目を輝かせる。
 ――でもこの子はサーバントだから本当の精霊ではないもの。
 そう理解する上でも、少女の可愛らしさに見惚れていた。


(人か? いや……)


 恭弥が、人間が取り込まれた可能性を疑ったのは最初だけ。


 大樹の少女は彼らを視界に居れた途端、目尻を険しく吊り上げた。


 剥き出しの敵意。
 ……のようなものを瞬時に感知した恭弥は、瞬時に黒夜の前に立ち塞がる。


 そして――


「……!」

 黒夜は、恭弥の背を見つめていた。
 大樹が撒き散らした葉の刃から身を挺して守る背を――。


 葉は鋭く、軽く、遠方にまで広範囲に届く。
 ただ命中は出鱈目だ。
 それでも降りかかった分を恭弥は盾で受け止めたのだ。


 恭弥は黒夜を庇うや否や――……
「さて、反撃しようか」
 とだけ残して、返事をさせる隙もなく既に始まった戦いの中へと赴いて行ってしまうだろう。


 庇われた黒夜はというと、光纏が溢れて漏れ出していた。
 基本消したままであるそれが、喉元を中心に黒い糸の幻影が全身に絡みつきながら。

「おたくが敵でよかった。敵を倒すってだけならまだ面倒じゃねーし」

 闇夜を意味する文字を上書きした黒夜の閃火霊符が炎を生成。
 間髪入れず、大樹の少女を狙って爆発を起こす。

「アウルだから焼けねーが……爆ぜろ」
『ッッッ!』

 大樹の少女は黒夜の撒き散らす炎に悶えた。
 そして、葉を闇雲に飛ばしながら唇を噛み締めていただろう。
 その様子は、まるで――



(『――私が護らなくちゃ。人間からこの場所を……!』)



 雫(ja1894)には大樹の少女がそんなふうに悲痛に叫んでいるようにしか、想えてならなくて――


「……っ」


 少女を倒す事は正しい事なのか、一瞬迷いが生じる。
 でも――


「貴方を説得する手段が無い以上は、私に出来るのは倒す事のみ」


 悪事を働いている訳でもなく、被害者も居なければ、少女は誰かを傷付けた訳でもない。
 だからこそ一撃を与える度に、少女が苦しむ度に、胸が締め付けられていた。
 例えサーバントだと分かっていても、いつもとは違う、やり辛い戦いだ。

 それでも、倒さねばならない事を分かっているから――
 莫大な力を秘める破壊姫は、数多の天魔との戦いを共に駆け抜けた白銀の太陽剣を振るった。紅い光は、少女に安らかな眠りを与える為に……。





 砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)は大樹の少女と酷似する伝承を知っていた。


 ドライアド――ドリュアス、木の精霊
 敬意を払う事なく木を傷つけた者をこらしめる……但しイケメンは誘惑な!
 とかいう精霊だったっけ?


 砂原が生み出した蛇の幻影は、大樹に噛みついた。
 そうしてじわじわと痛みに蝕まれ続ける少女が振り返るならば、砂原はひらひらと手を振る。少しでも気を逸らさせる為に。

「こっちだよ」

『っ、』

 耳を傾けた少女は誘われるように砂原を狙った。


(神話の神様や精霊って俗っぽくて好きだわ。ま、この子は天魔だしそんな俗っぽさは無いんだろうけどね)

 砂原の緑と青紫のオッドアイ――そして少女のリーフグリーンの双眸の視線がぶつかり合い、交わった。
 少女にあるのは恐らく、刻まれた命令に基づく殺戮衝動。
 感情搾取も碌に出来無さそうなこんな森でぽつんと居たのは、天使が半端放置していたのか。それとも……。

「とは言え、姿形が女の子を傷つけるのは気が引けるねぇ。
 ドライアドは木が枯れると死ぬらしいんで、同じだといいなと期待ー」


 砂原は飄々と葉を避けながら想い巡らす。
 大樹と少女は共存している。
 どちらを攻撃してもダメージとなるのならば……標的は大樹を選ぶのだった。


 響は森のサウンドが頭の中で流れていた。
 まるでトリップしそうになって鼻歌を唄い、風の障壁を発生させながら。
 だから鋭い葉が飛んで来たって風のように軽やかに、かわしていく。

『……!』

 そして人へ一心不乱に攻撃する少女を見つめていた。
 大樹の少女が本当に木霊だったら良かったのにと改めて想いながら……。
 今迄被害が無かったのは偶々なのだ。

(見とれている暇はないですね。悪さをされては精霊に対して余計な恐怖を煽ることになってしまうかも――)

 被害が起きてからでは遅い。
 気の毒だとは心の何処かで思いながらも、少女に妖精の書から生まれた羽根の光の玉を放つ。


 揺籠は襲い来る葉を退くように下がりつつ、口に含んだ煙管の紫煙を吹き付ける。それは紅い炎のような様相に化け、大樹の少女へと命中した。
 すると鮮やかに燃え広がって、少女は痛がるように背をそらすだろう。

 木霊の知り合いを見知っている揺籠にとって少女は……、
(どうにもこう、他人の気ぃがしませんねぇ)

 その隙に距離を詰め少女の顔を拝むなら、揺籠の眸によく焼き付いた。

「ああ、これは別嬪だ」

 少女は無表情なのに、儚げで、心優しげで。
 間近で見たからこそ気付くだろう。憂いを帯びる瞳を――


「こんなところに1人は寂しいでしょう」

『……?』

 少女は近くだから確かに届いた声の、言葉の意味は分からないけれど……
 揺籠の声が優しい音のように聞こえて、僅かにだけ戸惑うような仕草を見せていた。


 しかし――。


「……!」


 木の枝が軋む音。

 宝石のような木の実が生る葉が揺れる音。

 何かが起こる前触れのような、異変。


(来るか――)

 恭弥が身構える。
 大樹の少女はやはり動くことが不可能である事は戦闘をする中で確かめる事が出来た。
 つまり、拠点は今少女の居る場所から――……その読み通り、煌めく粉を輩出する。


「綺麗……」


 響は雪のように神秘的に降るそれを見て口から零れるが、同時に仲間の心配を。


 粉の届く範囲には揺籠が居た。


 事前情報として伝えられていた話では、この粉は人を朦朧させる効果があるのだという。


 黒夜は咄嗟に朦朧解除の為に備えた。
 無防備な状態で少女にとっての最も威力の高い攻撃をされる位なら、仲間に合わせて調整できる自分が動く方が良い。


 助けようと範囲の中に足を踏み入れた。
 ――が。


「!」


 黒夜は揺籠が対策を練っていた事に気付く。


(なるほどな……)


 血が滴り落ちる揺籠の手には、拾っていたらしい大樹の少女が撒き散らしていた鋭利な葉を握り込んでいた。
 それなりに痛みは伴うが、おかげで朦朧には耐えられる。
 黒夜は安心すると共に、揺籠の機転の良さに感心するだろう。


 まともに喰らえば吹き飛ばされてしまいそうな程の太い大樹の枝は揺籠を襲ったが――
 彼は力強く、その場に踏みとどまっていた。

 そして……

 ――百目ノ鬼ガ視セル夢――

『!!!』

 大樹の少女を左手で掴むと膨大な視覚情報を流す。

 少女が視た夢はどんな夢だっただろう。

 鬼術に掛かった少女は意識を刈り取られたかのように脱力しきって、戦意を一瞬喪失している。


 この隙は大きい。
 全員が一斉に攻撃を繰り出した。


「これではまるで……――」

 こうなる事は仕方の無いこと。
 だが雫は少女への一方的な攻撃に複雑な思いを抱く。

 アヴニールも闇の翼で空を飛びながら、ショットガンを手にロングレンジショットで撃ち放つ中で、抱いていた想いがあった。

(美しい大木に、消え入りそうな、然し、確たる意志を感じる人型のモノ……)

 空から眺めているからこそ、よく分かる。
 この森の、失われつつあるものが。

(同胞を屠る……伐採されるのは……悲しいやも知れんの)

 大樹の少女は本物の植物では無いけれど、よく似ている。
 確信を得る事が出来ないが、もし、この少女が――刈られてしまった樹木達を想い、戦い襲うのだとしたら……。
 アヴニールには少女の悲しみが分かるような気がした。
 自分も大切な両親が、先に逝ってしまったから。
 然しアヴニールは心から強く思う。
 まだ追掛ける気にはならぬ、と。

(我は、大切な家族、一人だけでも会えたのじゃ)

 今も待ってくれている家族の事を想い浮かべると、両親を追い掛けて逝く道を行く事は出来ないから――……。
 家族と共に在る命を抱きながら、アヴニールは少女を想い、共感し、悲しくなっていた。



 満身創痍となった大樹の少女は自棄になって再び輝く粉を振りまいた。
 しかし何度やっても同じこと。

「ええ、ええ、これで終わりにしましょうか」
 少女に届く、揺籠の声。

 そして炎と共に浄化されるように、と――
 響は優しく紡ぎながら、Samhnagの炎を天へと激しく舞い上がらせ、

「ここで枯れてもらう」
 黒夜が黒炎の刃を飛ばしながら、別れの言葉を告げた。

『っっっ!!!』

 更には、恭弥が樹の枝の付け根を銃で狙い続けた結果、へし折れてしまって――

『―――ッッ!!!』

 少女は激痛に悶える。
 必死に最期の力を振り絞ろうとするが、それもそうは行かない――。

 砂原が一気に迫って、にこっと微笑みを浮かべた。
「壁ドンならぬ木ドン?」
『っっ』
 電気によるダメージを与えられ、そのまま、意識を刈り取られた少女は。
 抵抗が無いまま、雫の一撃を許すだろう。

「眠り逝きなさい……」

 まるで粉雪のように舞うアウルは美しく、刀身を蒼く冷たい月の様に輝かせて。
 雫は花を舞い散らせるが如く、大樹の少女を切り裂いた。

『!!!!!!!』


 その瞬間から、
 大樹の少女は抗う事を辞めた。


 いや、
 既に抵抗する手段を無くしていたと言ってもいいだろう。


 丈夫だった枝もへし折れて、
 美しい葉も今や全て散ってしまった――

 少女は虚ろな顔をして、俯いていた。


 その折、近付いて声を掛けたのはアヴニールだった。

「決して忘れぬ」
 ――何時までも焼き付けよう。少女の美しさも、悲しみも。

「我の両親も、もうこの世に居らぬ。先に逝ってしもうた……。
 然し我が想えば、何時でも両親は此処に……心におる。
 悲しいのなら先に逝った樹木たちを心に浮かべるといいのじゃ……。
 そうすればきっと、少しは穏やかな気持ちになれる……」

『……』
 少女がアヴニールの喋った言葉の意味を知る事は無い。
 でも、ただ、
 とても優しい音だったから。


 ……安らかに眠るように、目を瞑る。
 風や、水の音と共に、優しい音を奏でていた樹木達を思い浮かべながら……。



「時代に取り残されたみてぇにこんなとこにいて、なかなか難儀なもんですぜ」
 少女は揺籠の言葉の音に耳を傾けていた。
「今暫く、おやすみなせぇ」
 ずっと話しかけてくれていた、聞き心地の良い音。


「おやすみ、お嬢さん」
 砂原の言葉の音は、世界の現実を見つめるような音だった。
(綺麗な場所だし、伐採天誅精霊激おことも思えるけど……
 人間は勝手なんだよ
 そこは人間世界で勝手しようとしてるんだから同罪
 お互い『シカタナイ』ってことで)
 しかし、
(……ま、失われるだろうこの森林と君に、鎮魂歌を贈ろう)
 彼の音は決して、非情な音ではない。


 まるで少女にとっての自然の音のように、優しい音達に包まれながら。


「……」
『……』

 少女は、額に冷たい感触を覚える。
 恭弥に銃口を当てられているのだ。


 ――そして。


「おやすみ」


 静寂な森林に銃声音が響いた。


「……」


 黒夜は何も紡ぐことなく、微かに目を伏せる。
 戦いは終わった。
 もうこの森に、人を脅かすものは居ない。


 眠りから醒めた大樹は、再び、静かな眠りへとついた。
 温かい陽光を浴びながら、永遠に。ほんの少し微笑んでいるかのような……そんな表情を最期に浮かべながら―――。




「人が怖がって寄り付かなくなれば、この森は守られたかもしれないけれど難しいですね……」
 響がぽつりと呟いた。
 大樹の少女を生かして居れば誰も立ち寄れなくて、この森の宿命を変える事が出来たかもしれない。
 ……そうも考えられるものの、やはりサーバントを野放しのままにしている事は危険な事で。
 遠かれ早かれ、倒さなければならなかっただろう。
 だがこの森を守る事は、少女ではなくても出来る事かもしれない。
「ある程度人の手が入っちまうのはわかりまさ。でもここは綺麗でさ。
 少し自然を残す形で、彼女がいた場所を残してやって欲しいですねぇ」
 揺籠が零すと、同意するように雫が頷く。
「そうですね……。出来る事なら残してあげたいと思います。……彼女が自然を守ろうとしていたかは定かではありませんが、その様に感じて倒す事しか出来なかった私のせめてもの偽善です」
 雫の言葉を聞いたアヴニールも叶うなら、と。
 少女が残した家族のような存在を守ってあげたいと感じていた。

 とはいえ森林伐採の件について、簡単には計画を中止させられないのだろう――。
 大人の事情ってヤツで、と、砂原は心の中で呟いていた。
 しかし行動するからこそ、運命は変えられる――決められたレールを受け容れるだけが未来じゃない。
(良かったね、お嬢さん)
 君が居た森はもしかしたら……未来に残していけるかもしれないよ。









 *









 樹木の少女が居た地域一帯の森林伐採の計画は中止する事に決定した。
 詳細は伏せられているが、撃退士達からの熱意ある説得があったこと。元々サーバントが居た場所という事で気味悪がっている者達も多かったことが、今回の決定に大きく関連しているようだ。








 自然豊かな山の森の深く。
 かつて大樹の少女が居た場所に植物の芽が出ていた。



 風の声、水のせせらぎ、優しく揺れる葉の音に温かく見守られながら。
 太陽の光を浴びて、植物の芽はすくすくと育っていくのだろう。



 ――もし。


 もしもこの先、少女を思い出して再びこの地へと足を運ぶ事があるのならば……。


 貴方を見つけた時、嬉しそうに微笑むのだろう。


 此処は貴方達が守った山の森――
 生まれたばかりの小さな命は素朴な可愛い花を、咲かせていた。




依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: ついに本気出した・砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)
 鳥目百瞳の妖・百目鬼 揺籠(jb8361)
 家族と共に在る命・アヴニール(jb8821)
重体: −
面白かった!:4人

God of Snipe・
影野 恭弥(ja0018)

卒業 男 インフィルトレイター
歴戦の戦姫・
不破 雫(ja1894)

中等部2年1組 女 阿修羅
幻想聖歌・
五十鈴 響(ja6602)

大学部1年66組 女 ダアト
撃退士・
黒夜(jb0668)

高等部1年1組 女 ナイトウォーカー
ついに本気出した・
砂原・ジェンティアン・竜胆(jb7192)

卒業 男 アストラルヴァンガード
鳥目百瞳の妖・
百目鬼 揺籠(jb8361)

卒業 男 阿修羅
家族と共に在る命・
アヴニール(jb8821)

中等部3年9組 女 インフィルトレイター