NO・ZO・KI☆
それは修羅道……
携帯電話とか、鏡ね〜とか思った人間はこっちに来なさい。
亀甲縛りで小一時間説教の上、「ZE・N・RAワロスw 世を制するは着衣よ!」と語れるHENTAI☆にしてあげよう。
そう、我らはNO・ZO・KI隊。
こっそりを布教する忍軍部隊。
●演劇部用 更衣室
「何て不埒なっ! 見るならば正面から、堂々と見なさいな! 」
桜井・L・瑞穂(
ja0027)は腰に手を当て、高笑いした。
「わぁ! 瑞穂ちゃんなのにゃっ」
猫野・宮子(
ja0024)は演劇部が使っている教室に入り、誰もいない教室で腰に手を当て出迎えな先輩兼友人に声を上げた。
「あら、宮子。矢張り、貴女も参加しましたのね」
去年もそうであったし、今年もこのような依頼に参加するのではないかと思っていたら案の定、居た。
「やっぱりって(苦笑)。瑞穂さんだってこういう依頼によく参加してるよねー」
「当然ですわ。絶対に逃さなくてよ、おーっほっほっほっ♪ 不埒な輩を矯正させるのですわ」
堂々と清々しいぐらいに言い切った。矯正であって、公正に非ず。しかし、突っ込んではいけない。
「参加者の中に、宮子の姿を見つけましたし。宮子なら……必ず来ると!」
「だから、どうしてそこが強調されるのにゃ?」
「自分達が囮役をやれば、相手はノコノコとやってくるはず。力を合わせて、不埒な者達に対抗するのです!」
そんな訳で、演劇部の更衣室を借り、去年の文化祭よろしく、瑞穂と宮子は今年も不埒者たちを一網打尽にすることにした。
●ある日のある朝
ほんの出来心でした……
本当に出来心だったんです。
同居中の同い年の女の子の服と下着が置いてあるのを見て。
僕……ロシールロンドニス(
jb3172)はちょっと悪魔の囁きに負けてしまったのです。あぁ……
元天魔なのにね。イケナイよね。でも、僕が着たらどんな感じかな、って。
だって、僕……女の子に変身できるかなって。だって、これぐらいの時って、変身願望あるじゃないですか。
普通ですよね? 普通ですよね? 僕、HEN☆TAIじゃないですよね?
「す……すきゃんてぃ……」
魅惑の三角、縞パンを、こう……朝日に晒してみたりとか。
「うん、ちょっとモッコリだけど、女の子だ」
パンツ着けて、ブラウス来て、スカート穿いて……姿見に写したら。
「はうっ……何だろう、この気持ち」
変な気持ちになって……。
「……僕」
スカートめくったら、とめどなく訪れる至福の瞬間。イケナイって思いながら、鏡の中の僕にキスをする媚薬。
カシャッ!
「……盗撮されたっ!」
戦慄が駆け抜けても、もう遅い。犯人は見えなくなってしまっていて。
真犯人はの真実を知ることもなく、僕はその場に座り込んだのでした。
●ある建物の上で
「今日は良き日であーーるッ!」
ビシッと腰に手を当て言ったのは、NO・ZO・KI隊☆ 隊長だった。隣には魔乳党幹部Aこと、田中がいた。
「我々は今までこっそりと覗いていた……」
「はいッ! 今年こそは堂々と覗こうと言うことですね」
「天誅!!」
途中まで言ったところで、隊長はそいつをハリセンでぶっ飛ばした。
「ぐぼァー!」
「甘い! 覗きはこっそりとが王道! こっそり、ひっそり、逃げるは空蝉、を布教する忍軍部隊なのである! エスカレーターは二歩下がるまでが限界値。目線を下げても上げてもイカン! 見えそうで見えない、ヲトメのギリギリラインを凝視しつつ、妄想で補うのが正義! 木の股、指の股で妄想できなくて何が人間か。想像力こそ、素晴らしいのだよ!!」
「ははっ☆ 覗きとは大層なご趣味だねぇ。変態? 袋とじも開ける前に覗いてそうだな!」
「誰だ!」
ケラケラと笑う声が聞こえ、隊長は振り返った。そこにはふわふわと飛んでいる 海城 恵神(
jb2536)。
「ぬぅ……天使」
「いかにもー♪」
「そっちじゃないッ! 服だ、服」
「え? ぶかぶかのワイシャツだが何か問題でも? ああ、ちゃんと下着は着けてるから安心するがいい!」
「貴様、彼Tシャツもとい、彼ワイシャツとは恐れ入る……やるな。なんだその……太もものライン、いいな(じゅるり」
「やっぱり変態」
「二度も漢字で発音するな! 心にクるだろうが。バレてしまったら仕方なかろう……それぐらい生徒さん元気でなくてどうする! 未発達の中学生は俺のオアシスなんだよ!(逆切れ」
己のロリコン気質をバラしつつ、隊長は力説した。どっちにしろ、ろくなもんじゃねえ。
「へい、そこの素敵なおにーさん! 私を抱いてドライブする気は無いかね?」
「構わん(あっさり」
恵神は最高の笑顔で言っていたのだが、スキル【天使の微笑】は必要なかったようだ。
「それは僥倖。ああ、無賃乗車はしないぜ! ちゃんとアシストはしてやるぜー」
「ふむ。では、俺に抱かれるがよい」
そう言って、隊長は恵神をお姫様抱っこした。
見えそうで見えないギリギリラインをNO・ZO・KI隊☆に披露し、恵神は「チラリ天使☆」と崇め奉られた。
●屋上で
「ふふふ、何やウチのおっぱいを呼んどる気がしましたもんでな♪ さぁ〜て、捕まえるとするかー」
ウルブライエ・メーベルナッハ(
ja0145)は、その大きなバスト、むしろ、すでにおっぱいミサイルとでもいうべきそれを、ブルンッと振るわせて言った。
狙うは覗き魔。
聞くところによると、前年の騒ぎの一端である魔乳党のメンバーもいるとのこと。現在、学園にあるいくつかの教室棟の屋上で待機していた。
「堂々と騒いでるみたいだから、見つけやすそうだねぇ 」
アッシュ・スードニム(
jb3145)はクスクスと笑って言った。
「乙女の敵が極まってるねぇ」
「こんな時期やからなあ。騒がないと、溜まった【ナニカ】が発散できんのやろ〜」
「オシオキがすごいことになりそー。自業自得だけどねー」
瑞穂の本気を思い出し、アッシュは苦笑する。
囮は宮子、瑞穂の二人。自分が居るのは、瑞穂と宮子のいる更衣室の上だ。
待機しつつ、上から外を眺めるフリして更衣室周辺を見張っていた。無論、ヒリュウのイヴァと視覚共有する準備も怠らない。
「ボクとしては進路妨害をしたいところだけど、怪しい人はどこかなー? ……居た!」
アッシュはィヴァを引っ込め、アディを召喚する。
「捕まえるで!」
そう言うと、ウルは駆け出した。
「うちも入れて―な」
「むぅ、爆・乳! パイ拓!」
きゅぴーん☆と反応したのは魔乳党幹部Aこと田中。ホッピングシューズで跳ねながらやってきていた。どうやったのか、急ブレーキで立ち止まり、ウルの様子を窺う。しかし、怪しいと踏んで逃げ始めた。
「怪しい! 餌をまくとは、許さん!」
ホッピングシューズは木々を縫って飛び、走り抜けられるほどの出来だった。
「わぁ、バレてしもうたわー。でも」
ウルは壁走り併用で校舎の壁を走り、近づいていく。
「うわっ!」
慌てた田中はとにかく逃げようと飛び跳ねた。
ほぼ並走するように、突騎竜召喚で【アディ】を呼び出したアッシュはサンダーボルトをぶちかます。
「喰らえ、サンダーボルトー!」
「うぎゃああ!」
如何なホッピングシューズを履こうとも、直線状の動きをしているところでは無理だった。
「アディ! ついでにハグだー!」
「や、やめれぇえ!!」
ハグと言う名の押しつぶし。可哀想としか言いようのない光景だった。
「(鬣が)モフモフしてるでしょー(クスッ」
「うぼァーー! 重いーー!」
「ついでに……サンダーボルト!」
ドーンと轟音が響き、電流が田中を襲う。
「ひィィッ!」
地面に貼りつけられた田中は麻痺して動けない。そこを、ウルがダイビングおっぱいアタックをかました。
「どーん! ウチの自慢のおっぱいで、がっちりホールドしちゃいますよー♪」
「はぶぶッ!」
吹き出す鼻血にウルのTシャツがパイ拓状態。実に羨ましい光景である。
「じゃぁ、お仕置きとしてっ……全力の顔面おっぱいホールドですよ! それはもう気絶するまで!」
「ウボッ! はぶッ! むぐぐッ! や、やめ……あ゛ぁッ!!」
生絞りが一番と教え込んであげるべく、ウルはお仕置きを止めなかった。
●他方では
一方、桜花(
jb0392)の方は。
「多分、ここだなー」
覗きを捕らえるには何処から来るかを知る必要がある。心を知る必要がある。桜花はそう考え、奴らと同じ行動をしようとした。
桜花は覗きに適した場所を探し、そこを監視できる大きな室外機に隠れる。これで完璧。手には携帯電話。
反対側ではAL(
jb4583)がいた。
「では、宮子様。犯人の捕縛は任せて下さい」
ALは宮子からの電話でそう言った。無論、男に二言はない。しかし、ALは移動力に自信がないため、張り込んで捕縛するつもりだった。
「ふむ、ウル様とアッシュ様はすでに敵に遭遇と……来ますね。では、僕はここで……」
囮のいる場所を予め下調べをしておいたところ、逃走ルートとなる可能性の高い場所は、人間に身幅しかない増築を繰り返した実験棟のスキマと選定。
しばらくすると、ローラー集団が「ひゃっはあーー!」と世紀末覇者(の雑魚)な声を上げてぴょんぴょんとやって来た
「追っ手を撒くために細い通路上の場所を使う。正解でした!」
ALは闇の翼で先回りし、薄紫色の光の矢――エナジーアローで狙い撃ちした。
「ぎゃぁ!」
\(残念避けますた)/
「俺は避けたぜ。見よ、この回避性能!」と、一人が叫ぶ。
「魔装の性能の違いが、戦力の決定的差でないということを教えてやる!」と、桜花。
「はははっ! 甘いんだよ!」
「ぎゃああ!!」
「弾があ!」
桜花はセミオートマティックの散弾銃でNO・ZO・KI隊☆を撃ちまくった。弾が跳弾し、それを避けて不埒者共が階下へと落ちていった。
「あぁ、人がゴミのようだ……」
桜花は実に楽しそうだった。
●再び更衣室
「やっぱり魔法少女服にゃね〜」
恥ずかしいのでなるべく見られないようにしてみるのだが、如何せん、短い魔法少女のスカートではちらちらと下着が覗いてたり。
「此のランジェリーは全て特注品ですの。付け心地は最高ですわね♪」
(「ン? あら……」)
「あぁ、宮子。そんなに焦ったら【誰かに見られて】しまいますわ」
数体の生命反応を感じた瑞穂は、宮子に注意を向けるよう促した。……そして、二人はロシールに覗かれているのに気付いたのだった。
「はう……」
女体の美しさに見惚れ、ロシールは覗き続行。
斡旋所で依頼を見た瞬間、この事件の犯人は盗撮の相手だと確信していた。捕まえるフリして犯人を逃がす。そんな作戦を立てていた。
(「もし捕まって、あの写真が所持品から見つかり、白日の下に晒されたら…逃がさなきゃ! 絶対に!」)
そう思っていたにもかかわらず、宮子と瑞穂のお着替えに夢中だった。
「あぁ……下着」
「なぁ〜にが、下着ですってぇ?!」
「ひィッ!」
黒きオーラを纏ったような瑞穂の姿に、ロシールは凍りついた。知らず知らずのうちに近づかれたようだった。
「僕は……み、見張りですよぅ! ……あ、アレッ!」
「え?」
瑞穂は振り返り、窓の外で恵神をお姫様抱っこした隊長を発見した。
「なっ?!」
「見つかったか。堪能させてもらったぞ、さらばだ!」
「さらばだ!」
隊長と恵神は言った。
隊長は言うなや、高速で走り去る。細い幅を滑り、忍軍の機動力を持って脱兎のごとく去って行く。しかも、高速回転するローラーブレードの性能は恐るべきもので、壁を滑りながら急降下できるというものだった。
「か、壁を?!」
「壁走りの応用にゃ。やっつけるのにゃ!」
「ええ!」
(「もう、やるしかないんだ……」)
ロシールは何かを捨てた。とても大切なものを。
自分のパンツを下ろし、皆の方にお尻を突きだし、かの壺悪魔――ゲイルの足止めに使った策を披露した。
「みなさぁん……こっちに来てくださぁい(´д`(⊃*⊂)」
あ゛?! ( ゜Д゜)Д`)
羞恥で顔を赤らめ、涙目でタウントするロシールを宮子と瑞穂は呆然と見つめた。
「な、な、な何やってるるるんですにゃにゃにゃ!!」
「逃げてしまったじゃないの!」
「あ……ぼ、僕も追いかけますからー」
そう言って、ロシールは立ち上がり……
(「ごめんなさいいいいいい!!!!」)
ロシールは瑞穂のスカートを指で引っ掛けた。
「何をするんですの!! 変態!」
「御免なさい!」
そう言いつつ、宮子のスカートにも手をかける。むんずと掴んで引き下ろした。
「い、いやにゃあああ!!」
思わず、宮子は猫ロケットパンチをゼロ距離で発射した 。
ドゴォォォォォォォォ!! ズギャァァァァン!!
「君が! 見たものを! 忘れるまで! パンチを止めない!(ぇー」
「お尻はらめぇ!」
腕にはめて振り抜くことで拳状のアウルを打ち出す、別名ロケットパンチ。それがマグナムナックル。
既存のモデルの改良型で高性能な照準機能を備えた能力が可愛そうなぐらいだ。
「もうっ! 行きますわよ!」
瑞穂は二人を置いて走り出した。スカートをずり上げ、必死に走る。
教室の外を飛び出し、ベランダ部分を越えて相手を追った。そこを恵神がバナナの皮や亀の甲羅を投げつける。
「何しますのよ!」
「わー! しっかし、危なっかしい運転だな! さーてと、飽きたから私は降りるぜ!」
「え? ……おわァ!」
隊長は恵神に眉間に軽く一撃食らい、仰け反った。恵神は光の翼を使い、さっさと離脱する。そして、武器を取り出した。
「では、私も皆と合流して戦おうではないか!」
「おいおいおい!」
「待った無し!」
恵神はアウルの力を足に込め、目にもとまらぬ速さで隊長の足を蹴り上げた。
「ぎゃあ!」
蹴られた瞬間にローラーブレードは粉砕され、すっ飛んでいった。
「よっしゃー凹るぜー!」
恵神はソニックブームを放つ。その後ろで駆け付けたALも、スタンエッジを放った。
「日頃の魔法少女の修行成果をお見せ致しましょうかっ。まじかるサンダースラッシュ!!」
「ぎゃあ!」
「まだまだですのよ!」
追いついた瑞穂はインパクトを活性化して撃ち込んだ。宮子も容赦なくロケットパンチを雨霰の様に浴びせる。そして、その背後で、桜花とロシールがもみ合っていた。
「ロシール君。そんなに覗きたいなら言ってくれたら覗く以上の事、してもいいんだよ?」
「あぁ、お尻はダメですぅ!」
「グリグリ♪」
「いやぁ!」
一方、ウルはと言うと。
「おぱっ、おぱぱっ☆」
「ほら、もっと溺れるといいわー」
「はぷぷっ!」
田中をウルのおっぱい海洋に沈めていた。
こうして、NOZOKI隊☆と魔乳党は取り押さえられ、シューズは分解された。
しかし、HEN☆TAIの炎は消えない。
NO・ZO・KI☆
それは修羅道……
ちょっとの実物と、妄想の芸術。
熱いパトスがエートス(倫理態度)を打ち抜くその日まで。
俺たちの――戦いは続く。