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マスター:舞傘 真紅染
シナリオ形態:ショート
難易度:難しい
参加人数:8人
サポート:4人
リプレイ完成日時:2012/09/13


みんなの思い出



オープニング

●海岸
 彼は急いでいた。

『今日の18時に、いつもの場所で』
『うん、約束ね』

 心を期待と不安に揺らしながら、彼は待ち合わせ場所へと急いでいた。いつもと同じ場所、時間、約束。だが、今日は特別で、だからいつもより早くにたどり着こうと急いでいた。
 息を乱しながらさあもう少しだと彼は手をぎゅっと握る。手の中には小さな箱。箱の感触で少し気持ちが落ち着いた彼は、顔を上げた。
 見えてきたのは穏やかに波うつ海。
 幼いころから浴びている風が、海のにおいを彼へと届け、髪や服を揺らす。
 彼は目を細めながら慣れ親しんだ海岸を見渡し。
 キキーッ!
 甲高い、まるで悲鳴のような音がして、彼の身体は宙を舞った。


●久遠ヶ原学園
「お願いします。助けてください!」
 勢いよく開いたドアから聞こえた声に、ざわついていた斡旋所が静まった。その場にいる全員の目が、悲痛な叫び声をあげた女性へと向けられる。
 女性はそんな視線など気にせず――というより気づいてすらいなさそうだ――斡旋所の職員へと駆け寄る。職員が一歩退いた。
 鬼気迫った顔、とはこの女性のような顔のことを言うに違いない。
 彼女はよほど急いできたのか。肩で息をし、滝のように汗を流しながら、もう一度叫んだ。

「彼を、助けてください!」

 女性、天宮京子(あまみや・きょうこ)の話はこうだ。
 京子と彼、石間礼(いしま・らい)はその日、海岸で待ち合わせをしていた。だが京子が海岸でいくら待てど『石間礼』はやってこなかった。携帯に連絡しても通じず、家にも帰っていない。
 京子はあちこち探し回り、彼は見つかった。

 しかし

「サーバントになってしまっていた、か」
 話を聞いていた1人がつぶやく。サーバントやディアボロには、材料とされた人間の姿がそのまま残る場合がある。そして彼、石間礼もまた……。
 京子が頭を下げた。
「お願いします。彼を助けて」


●海岸
 そこでソレは待っていた。
 2本から4本へと増えた立派な馬の脚で砂浜を踏みしめながら、打ち寄せる波を見下ろしている。
「ぁ……がぁあぎぉ?」
 ふいにソレは何かを言おうとしたが、人間の言葉にはならず、ただの音の羅列として風に運ばれて消えていく。
 海の匂いをかいだソレの表情は悲しみを表しているように見え、その手にある巨大な鎌とはあまりにも不釣り合いだった。
 何を待っているのか。自分が何者なのかもわからぬまま、ソレはただそこで『命令された通り』に待っていた。

「人間とは、不思議な生き物だね」
 ソレの前に降り立ちながら呟いたのは、白い翼をもつ存在。手には小さな箱を持っており、それを何度も開閉させている。
 開かれるたびに小さな石のついた輪――指輪が縮こまるように座っているのが見えた。
 偶然だった。
 彼が死にかけていたソレに出会い、手に持った箱に興味を抱いたのは。
『きょう、こに、コレを』
 最後の力を振り絞って差し出された箱。事切れたソレから受け取った箱の中には指輪があった。
「こういうのは、たしか給料三カ月分とかいうんだっけ?」
 箱へと向けられた深い青の瞳には、ただただ好奇心だけが浮かんでいた。どこまでも純粋な好奇心。
「これが愛というものなのかな?」
 彼がソレを見た。そして彼はソレに命令する。

「いいかい? この場所で待って君の待ち人が来たら……そいつを殺すんだ。邪魔するやつも殺すんだよ。
 さあ、僕に君の『愛』というものを見せて」

 サーバントが愛とやらの力で、主である自分の命令に抗えるのか。彼はただ、それが知りたかった。


リプレイ本文

●???
 そこでずっと待っていた。
 何度も打ち寄せては引いていく波を見下ろしながら、ただ『 』がここに来るのを待っていた。
 たとえどんな姿になろうとも。たとえもう心を失っていても。
 そこで『 』がここに来るのを待っていた。

 それがどんな意味を持っているか。それがどんな結果を生み出すのか。

 何一つ考えることすらできず、ただひたすらに待っていた。


●約束の場所で
 依頼人、天宮京子と討伐対象である石間礼の思い出が詰まったその場所で、戦いが起きようとしていた。
 案内をしていた京子の足が止まる。彼女の目が、海岸に立つ異形をとらえる。
 雨下 鄭理(ja4779)は視線を追いかけて礼の変わり果てた姿を確認すると、京子に向き直った。
「撃退士は一般人を助けるのも仕事だ。それは貴女にも当てはまる。……だから危険な目に合わせるわけにはいかない」
 京子の目が鄭理へ向けられる。
「自分たちは彼を敵として認識し、その上で倒す。貴女にはそれを見る覚悟はあるのか?」
 京子は無言で拳を握りしめている。
「あれはもう化け物。貴方の知っている人じゃない。……それをちゃんと分かってる?」
 やや厳しい口調で告げるのは高瀬 里桜(ja0394)。しかしその言葉を受けても、京子が顔を俯かせることはなく、できれば見せたくないと願う苧環 志津乃(ja7469)が言葉を引き継ぐ。
「どうしても見届けたいですか……?」
 見せたくないと願うのは、その場にいる全員の想いでもあった。
 京子は一瞬だけ瞳を揺るがせたものの、後ろに退くことも俯くこともなく、真っすぐに前を向いて言い切る。
「皆さんの迷惑になると分かっています。それでも私は見届けたい。見届けないと……私は前へ進めないんです。お願いします」
 少し涙の入り混じった声で頭を下げた京子に、もう誰も彼女を止めようとはしなかった。
「ま、言って聞くようなら此処までは来ぬよな」
 虎綱・ガーフィールド(ja3547)がそう肩をすくめるが、批判的な響きはない。
「分かりました。でもあなただけでなく街の人たちを守るためにも、私たちの指示に従ってくださいね」
 悲しげに、しかし温かな目で志津乃は京子に声をかけ、これ以上近寄らないようにと念を押す。
 その場に志津乃と鄭理が護衛として残り、他のメンバーが礼へ向かうその背を見送った。
(どうか皆さん、ご無事で)
 鄭理が、小さくつぶやく。

「天魔によって奪われたもの……いつか取り返すことができるのかな」

 その呟きは海から吹く風に飛ばされ、誰の耳に入ることはなく、答えもまた返ってはこなかった。


●それぞれの想いを武器に乗せて
「待ち人がサーバントに、か。もうどうする事も出来ない以上、やれる事も一つ……か」
 長く美しい黒髪を揺らしている天風 静流(ja0373)が、銃を握りながら言った。凛とした横顔はいつもと同じようでいて、その身を包む黒い光纏が昏く、深くなっていく。瞳から発せられるのは、相手を殺すという意思。
「『彼を助けて』か。ならば私はアレに死をくれてやろう」
 淡々として語るのは鬼無里 鴉鳥(ja7179)。その態度も普段と変わらず、銀髪と相まって冷たい印象を与えるが……紅い瞳だけは確かな嚇怒を宿していた。
「サーバントになってしまっては助けてあげられない、それがやる瀬ないですねー……」
「うん。そうだよね」
 悲しみの声を上げた櫟 諏訪(ja1215)に同意した里桜は、友を思い浮かべていた。先ほどの京子に向けた言葉。あれは彼女自身にも向けた言葉だった。
 割りきらなければ戦いに迷いが出て、その迷いは自分1人だけでなく仲間の命をも危険にさらす。
「仲間を失うのは絶対に嫌なの! 守る為なら、どんなことでもするって決めたんだ!」
 自分はヒーローにはなれないのだと、ヒーローを目指している友へ、心の中で謝罪をする。
「せめて礼さんの想いを伝えてあげたいのですよー……」
 そして諏訪の想いはただ一つ。身体を救うことができないのであれば、せめてその想いだけでも救いたい。
「誰も、殺させへん」
 横で呟く宇田川 千鶴(ja1613)の救いとは、その一言に尽きた。徐々にはっきりと見えてきたその姿をじっと見つめながら、迷いそうになる自身を叱咤する。
「救うことなど、某には出来ん。だからせめて、取り返しのつかないことをする前に、解放してやろう」
 虎綱の声が海岸に響き、全員が足を止めた。
 礼が初めて気づいたと言わんばかりに顔を虎綱たちへと向けてくる。
 どんよりとした、意思や心など皆目見えないその瞳に、誰かが唾を飲み込んだ。もう目の前にいるのは人間ではなかった。
 サーバントは1人1人の顔を確認するようにじっと見た後、ふいと顔を元に戻す。それきり動く気配はない。
 静流は外式「黄泉」を、里桜が仲間の身を守るためにアウルの鎧を静流、千鶴、虎綱にかけて戦いの準備を整える。
 そして静流がリボルバーを構えて慎重に狙いを定め……撃った。

 心臓を狙って放たれた銃弾は、サーバントが身をひねったことにより脇腹をかすっていった。
 しかし体勢を崩したことは間違いない。全員頷いて一気に攻め入ろうと。
「なっ?」
 礼の姿は静流の目の前にあった。予想以上の素早さだった。
 静流、里桜、千鶴に向かって巨大な鎌が振られ、砂浜に赤が飛び散る。急所に入ったその一撃は、里桜のかけたアウルの鎧がなければ、誰かの命が狩りとられていた可能性すらあった。
「ぐぅっ」
 膝をつく3人へ、再び振り降ろされる鎌。瞬きを忘れた礼の目から涙が溢れ
「させはせんっ」
 間に入りこんだ鴉鳥が鎌を受け止めた。しかし足場は砂浜。踏ん張ることができずに後ろへとさがっていく。
 弾かれそうになる前に虎綱が側面から、諏訪が後衛から援護射撃をして、礼は一端後ろへ下がった。
 すぐさま周囲を見渡した里桜は、一番傷が深い千鶴をアウルの輝きを持って癒す。
 出鼻がくじかれる形となってしまった。
「そう簡単にはいかない、か」
「のようですねー……お怪我の方は?」
「大丈夫だ」
 静流と諏訪の会話を聞きながら、鴉鳥が武器を構え直す。
「しかし奴がこちらを狙ってくるなら好都合だ」
 相変わらず涙を流したままの礼。それはただの生理的な涙であったが、彼の心が泣いているようにも思えた。
「でも……ううん。だからこそ彼女を、人を殺させるわけにはいかない」
 倒すしかない。倒すしか礼を救う方法はない。
 千鶴は何度も自分に言い聞かせ、忍刀を握り直す。そして足へとアウルを集中させる。
「絶対………誰も、殺させへん!」
 彼女に出せる最大速度での突きを、礼は跳んで避ける。忍刀は前の右足の一部を削るにとどまった。
 礼はうめくことも、痛みに顔をしかめることもなく、ただ涙をこぼしながら再び突撃してくる。
「痛みを感じぬのか。どこまでたちの悪い……しっかりせよ! 少なくとも貴様が強く生きたいと思うのは殺したいからではなかろう!」
 その上半身は人であるのに、痛みも感じ取ることのできないのを見て、虎綱は舌打ちをした。そして思いのたけを叫ぶ。
 礼は、鎌を振るう手を止めない。ただ一瞬、涙が止まったような気がした。
「ごめんっ。もしかしたらどこかに意識があるのかもしれないけど……私には仲間の方が大事なの。だから私は、迷わない」
 まるでまだどこかに希望があるのではないかと抱かせるその姿から、里桜は目を離さない。仲間が戦いやすいように、少しでも傷つかずにすむように。彼女はそれだけを思って武器を握る。
 各々の守りたいものを守るために、彼らは戦いを始めた。


●待っていたのは
「天宮さん、辛くなったら、私を頼ってください」
「はい、ありがとうございます」
 志津乃が優しく京子へと話しかける。近くで落ち着いてみると良く分かる。京子は随分とやつれていた。ろくろく眠れてもいないのだろう。目の下には隈もある。
「……聞いてもいいですか? どうしてそこまで……」
 志津乃は胸を押さえながら尋ねる。考えるだけでも胸が張り裂けそうなほど苦しくなるこの状況。2人の想いを考えると、悲しくて苦しくて、志津乃には礼を攻撃することができない。仲間に押し付けることを苦しく思いながらも、ただ京子に寄り添うしかできない。
 だからせめて、2人の絆を取り戻してあげたいと思っていた。
「あの人と最後に約束した次の日。近くの道路で大量の血痕とブレーキ痕が見つかりました」
 京子が静かに語りだした。鄭理もそれを無言で聞く。
「散らばった荷物から彼の血であることが判明して、その血の量から彼は死んでいると伝えられました。……どこにも彼の姿はないのに、死んだのだと」
 京子には信じられなかった。だから待った。
「たとえどんな姿でも、心がなくてもいいからってそんな馬鹿なことを考えながら待ってたら、本当に彼が来て……私、恐怖より先に喜んでしまって」
 だからこれは罪なのだと京子は言った。
「礼が一番苦しんでるのに、私は喜ぶばかりで……せめて楽にしてあげたいと思っても、私にはそれすらできなくて」
 彼が死ぬところを見届けるのが、罰なのだと。
 興奮していた京子の話は支離滅裂で分かりづらかった。だが鄭理も志津乃も、それを馬鹿にすることはなかった。
 鄭理は大切な人を失った自身の過去と重ね、志津乃は無言で京子の肩を抱きしめた。


●赤い海岸
 誰のものとも分からぬ血が、砂浜を、海を赤く染めていた。
 無傷の者はそこにおらず、撃退士たちが肩で息をする中、サーバントだけが平然と立っていた。その身もまた傷だらけであり、足からも大量の血が流れているが動きに変わりはない。
 まさしく化け物。
 一方で、撃退士たちは回復手段を使い果たし、傷や疲労が蓄積するばかり。
「だが確実にダメージは受けているはずだ」
 なんとか息を整えた静流が言う。その目に絶望はない。いや彼女だけでなく、全員。諦めてなどいなかった。
 目線が絡み合う。もはや言葉はいらない。
 突撃してきたサーバントの鎌を静流と里桜の2人がかりで受け止め、千鶴が影を操ってその身体をつなぎとめる。
 サーバントの左右から飛び出すのは、虎綱と鴉鳥。虎綱の土遁の忍術が足元を阻害して脱出を不可能にし、鴉鳥が抜いた刃が黒い闇を纏ってサーバントの前足を切り飛ばした。

 宙を舞うその細長いものが、彼の足だと見ていた京子にも分かった。
「礼!」
 思わず動いたのだろう。足が一歩、二歩……三歩を数えた時、志津乃がその肩に手を置いて止める。
「駄目ですっ天宮さん」
「礼っ礼っ礼!」
「落ち着いてください」
 京子の目に、もう礼以外の存在は見えていなかった。それも仕方がないだろう。戦いとは無縁の場所で生きてきたのだ。むしろ今までよく耐えたと言える。
(ここまでか……仕方ないな)
 鄭理はそっと目をふせ、京子を気絶させるために当て身を――。

「駄目だよ。それはよくない」

 聞こえた第三者の声に、肩を震わせて振り返る。
 立っていたのは淡い水色の髪を持つ少年。12歳ごろだろうか。あどけない顔をしている。
 だが普通の子供でないことは、背にある白い翼を見れば一目瞭然。
「天使っ!」
「礼っ」
 志津乃の手が緩んだすきをついて、京子が駆けだした。鄭理が叫ぶ。
「ここは自分が……京子を追って」
「は、はい」
 京子を追いかけて行った志津乃を、しかし天使は追いかけなかった。紺色の目は、ただ京子と礼へと向けられている。
「もうこれ以上、貴様に何も奪わせない!」
 鄭理の手もとに現れた紅い銃が天使へと向けられ、弾が放たれた。
「ほら、君の彼女はそこにいるよ」
 天使はそれを、見ることもなく避けて京子たちの方へと向かっていく。
「くっ行かせない!」


●愛する人へ
 足が3本になったサーバントの動きは、大分衰えていた。しかし迎え撃つ側もまた疲労が大きい。スピードは互角と言ったところか。
 サーバントが、突如動きを止めた。何を、と怪訝に思う間もなく
「――――っ!」
 喉から発せられる声。人の声でありながら、人のものではありえないその声に、誰もが寒気を覚えた。
 影から抜け出て前衛の横をすり抜け、サーバントが京子へと向かっていく。
 諏訪がなんとか止めようと銃を撃ちながら叫ぶ。
「彼女さんを傷つけちゃダメですよー! 止まってくださいなー!」
「も……い」
「え?」
 その時、サーバントの口が動いて何かを言った。諏訪が驚いて目を見開く。
「聞こえているなら、まだ愛があるなら一秒でも長く抗って見せろ!」
「行かせる訳にはいかんっ」
 虎綱と千鶴の声と共に伸ばされた影がサーバントに絡みつく。影が届く前に動きを止めたように見えたのは、幻か。
「どこへ行く、余所見をしている暇があるのか?」
 動きを取り戻した静流が斧槍で鎌を絡め取り、里桜がそれを遠くへ弾き飛ばす。静流がそっと呟く――もう終わりにしよう、と。
「死をもって、汝を解放しよう」
 深く深く。サーバントの胸に刺さったのは、鴉鳥の刀。抜き取ると同時に血が飛び散った。
「礼っ!」

 倒れたサーバ……礼の元へと駆け寄る京子。その前に天使が降り立った。鴉鳥がきっと天使を睨む。
「視たかった物は視られたか? 胸に何かを感じたか?」
「それで、貴様の望むものは見れたのかね」
 続いて虎綱が言葉を紡ぎ、鄭理もやってきて全員で天使を取り囲む。
 無傷とは言えない状況でさらに天使を相手にするのは無謀。誰もが分かっていたが、堪え切れない何かが全員の身体を動かす。
「うんうん。中々いいもの見させてもらったよ。はい、これ。ご褒美にあげる」
 天使の少年はそんな撃退士たちなど目に入らぬかのように、京子へと指輪の箱を渡した。京子はただ茫然とそれを受け取る。
「まあ贅沢を言えば君を殺す寸前に動きを止めるとか、そんな『キセキ』ってのを見て見たかったけど、しょうがないよね」
 言葉の途中で全員で斬りかかるも、するりと避けられて、逆に砂浜へ叩きつけられてしまう。
「楽しかったよ。じゃあねぇ」
「まっ」
 そうして天使は一度も撃退士へ目線を送ることなく、その場を去った。
 相手にすらされなかった。
 その悔しさを一端心に静め、諏訪は痛む身体を起こしながら京子に伝えた。もう意思などないはずの彼の身体が紡いだ言葉(想い)を。

『もう待たなくていい』

 他者には意味の分からぬ一言だったが京子には伝わった。
 いつも待ち合わせ時刻から遅れてくる礼と最後に会った日。彼は
「もうお前を待たせないから」
 と言った。そして手の中にある指輪と箱の内に書かれたメッセージ。
『ずっと一緒にいよう』
 それが意味するのは――京子が箱を抱きしめて泣き叫ぶのを、誰もが沈痛な目で見守った。

 全員死なずに依頼を成し遂げられたというのに、笑顔はどこにもなかった。 


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: 二月といえば海・櫟 諏訪(ja1215)
 黄金の愛娘・宇田川 千鶴(ja1613)
 完全にの幸せな日本語教師・苧環 志津乃(ja7469)
重体: −
面白かった!:7人

撃退士・
天風 静流(ja0373)

卒業 女 阿修羅
『三界』討伐紫・
高瀬 里桜(ja0394)

大学部4年1組 女 アストラルヴァンガード
二月といえば海・
櫟 諏訪(ja1215)

大学部5年4組 男 インフィルトレイター
黄金の愛娘・
宇田川 千鶴(ja1613)

卒業 女 鬼道忍軍
世紀末愚か者伝説・
虎綱・ガーフィールド(ja3547)

大学部4年193組 男 鬼道忍軍
撃退士・
桜雨 鄭理(ja4779)

大学部4年300組 男 鬼道忍軍
斬天の剣士・
鬼無里 鴉鳥(ja7179)

大学部2年4組 女 ルインズブレイド
完全にの幸せな日本語教師・
苧環 志津乃(ja7469)

大学部6年175組 女 アストラルヴァンガード