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マスター:楠原 日野
シナリオ形態:ショート
難易度:易しい
参加人数:6人
サポート:4人
リプレイ完成日時:2014/01/14


みんなの思い出



オープニング

※このシナリオは初夢シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。

 突如として現れた人類の敵、天魔。彼らは太陽の黒点をゲートとし、向こうの世界からこちらへ流れ込んできた。
 目的は地球という星の略奪――ではなく、地球にどこかにあるという古代神の遺産。それを手にいれんがためのついでで、地球の略奪を開始する。
 もちろん人類は抵抗したものの、彼らが生み出す大量の生物兵器、それと巨大にして強大な機動兵器によって窮地に立たされていた。
 だが人類とて指をくわえ略奪を傍観していたわけではない。機動兵器に対抗して造られた人型兵器『アウルブレイカー(AB)』、そしてそれを動かす事ができる撃退士の存在は人類にとって希望であった。
 そしていよいよ、反撃の時。煉獄艦『エリュシオン』壱番艦は太陽に向け、出発を開始。
 一方地球では、地上防衛の弐番艦、海洋防衛の参番艦、航空防衛の零番艦が撃退士達とともに、支配域を増やされつつある地球を奪還すべく、激戦を繰り広げるのであった――


●エリュシオン・格納庫
 やあ! メカニックのラッタだよ!
 マードックさんはどうしたって? 今日のためにほとんど寝ないで頑張ったから、今日は寝かせてあげてるんだ。
 前とシステムを変更したから、気をつけてね!
 ユニットの外観はあたしが責任もって変更するから、気兼ねなく言ってくださいね。それとスキルの名前は自分アレンジで呼んでくれてもいいですから。


AB1 特殊「瞬間加速装置(行動値1消費し1回、移動距離倍加)」

AB2 特殊「オーバーパワー(1回、火力を1段階or2段階、任意上昇。1段階は1T、2段階は2Tの間、再使用不可)」

AB3 特殊「予測処理(1回、ロックオンした攻撃全て必中。ただしスキルで回避される事も。1T、回避行動がとれなくなる。1T後再使用可)」

AB4 特殊「幻影(発動に5T必要だが、それ以降どんな攻撃も50%の確率で完全回避可能。スキルとの併用可)」

AB5 特殊「断絶フィールド(使用中、行動不能。かわりにほとんどの攻撃ダメージ0。高火力には貫かれる事も)」

AB6 特殊「広域ジャミング(使用中、回避2段階下降。戦闘フィールドにいる敵の回避、命中、探知に−補正)」


機体性能
攻撃C 防御C 回避C 命中C 加速C 探知C 耐久C(30)

 これに手持ちの5pを振り分け。最高でA、最低でE。どこかを削ってどこかを上げる事もできるよ?
※探知はレーダー性能。命中に補正、Aなら400m先もセンチ単位の精度で認識(A40sq B30sq C20sq D10sq E1sq)
※加速は移動距離。回避に補正、Aで10sq以降、2sq刻みでダウン。行動0・5消費ならその半分
※耐久は1段階で10ずつ増減。
※補正は1つの項目に3回かかる事でやっと1段階の変化。


 さてお次は特殊改造だね。 これも5pを自由に割り振るんだけど、改造でAより上のSやSSに踏み込むこともできるんだ! 
 でも重複取得は不可能だから、気をつけてね。


‐1p WC・武器改造(武器の火力を1段階アップ)

‐1p TS・ターゲットスコープ(モニターにスコープを映し、武器の命中を1段階アップ)

‐1p FC・フレームカスタム(フレームの反応速度を上げ、回避を1段階アップ)

‐1p PM・パノラマモニタ(映像モニターを全方位映し、回避、命中、探知に補正)

‐1p 脱・武装パージ(任意で主兵装以外の武装とほとんどの装甲を脱ぎ捨て、回避を3段階上昇。耐久は5になる)

‐1p 爆・自爆(自分を中心に半径範囲3sqにいる者すべてに、最大耐久値分のダメージ。使用後、死亡)

‐2p FF・飛行変形(行動消費0で飛行ユニットに変形・飛行可能・加速2段階上昇。飛行状態なら海と空を自由に行き来できる)

‐2p AR・自己修復(パッシブ・ターン終了時、耐久5回復)

‐2p SP・スペシャルウェポン(主兵装のリミットを解除し、10ターンの間全性能1段階上昇。効果が切れると5ターン再使用不可)

‐3p H・ハイパー化(一度だけ使用可能。発動から20ターン、全能力2段階上昇。効果が切れると3ターンの間、全能力1段階減)

‐3P 分・分身(自分の意思で操る同性能機を質ある残像として生み出す。残像は本体から4sqまでしか離れる事が出来ない。残像の攻撃も当たるが、残像はどんな攻撃でも一撃で消え去る。残像が残像を生み出す事も可能。残像は最大7機まで留まる事が出来る)

 それと今回から合体(合体したABの主兵装を保持。2体合体で全能力A。3体目以降、1体増えるごとに攻・防・耐が1段階ずつ上限なしに上昇、回・命・加に−補正。3体合体で一段階下がる。だが各機の特殊改造効果を重複できる。行動は一番高い人の数字を採用。メインパイロットはいつでも変更可。火・命S、幅3sq射程無限の超必殺技が1回撃てる。ただし合体する人間の意志がひとつにならねば合体不可。使用回数1回のみ。ターン解除はないが、任意で分離可)は通常機構として、とりいれたよ! やったね!
 ……ただちょっと、お金(500久遠)が必要なんだ。まあほら、ジゴクノサタモカネシダイって言うじゃん?

 武器の説明だけどこれもシステムが……あ、出撃要請だよ!
 武器説明はマニュアルにあるから、そっちを参考にして、すぐ着替えきなよ! ばっちり、仕上げてあげるから、みんながんばってね!
 オープニングテーマ? ごめんねーあたしカットしちゃう人なんだ。



……Now Loading……Now Loading……Now Loading……




●氷山漂う海
「陸部隊の動きに合わせてみれば、こんなところに来るはめになりましたか……厄介ですね」
 そびえたつ氷山の山々を見上げ、若い挑発の艦長がこめかみを押さえる。
 もともと寒い地域の海ではあるが、こんな氷山ができるほどではない。明らかに人工的に作られたものである。
「こういう所で狙われては、ひとたまりもない――とわかっていても、ここを抜けます。阻むための物であるなら、それを抜けられた時は比較的脆いものです。まあ、比較的、なのですが……」
 申し訳なさそうにクルーを見回す艦長。だが、異議を唱える者はいない。信頼のなせる業だ。
「危険を潜り抜けてこそ、人類の勝機はあるのです」
 言い終えると、大気を震わせる轟音が、艦内にも響く。
「ソン艦長! 氷山が次々に、落下してきます!」
 だが、来て当然と言わんばかりのソン艦長は落ち着き払い、静かな声で告げる。
「やはり来ましたか。参番艦、全速前進。全機出撃、テストブレイカー(TB)は甲板にて飛来物に備え待機、ABは敵主力が来る可能性の高い、海中の防衛をお願いします」


 海中に潜んでいた白き悪魔・生嶋凪が楽しげに笑う。
「まさかこんな所を突っ切るとはの。楽しい奴がいたもんじゃな――さて、今回も楽しませてもらうかいのう」
「前回撃墜された事を忘れないように、なー。あたしが回収してなかったら、あんた、捕まってたさー」
 やや小型だが、ずいぶんと鈍重そうな機体に乗っている女性が、唇の端を上げて笑う。
 言われた凪は少しだけ面白くなさそうな顔をすると、肩をすくめた。
「小言はもうたくさんじゃな、渚。今回は少しだけリミットを解除したし、ヌシもいる。それに主力を我らの対処にこさせ、艦を氷塊で押しつぶすのが目的じゃ。無理はせん――行くぞ!」
「やれやれ、若いとせっかちさねー。ま、行きますか。ゆるゆると、忍ぶように……」


リプレイ本文

●AB格納庫
「毎度おなじみ緊急出撃か……まあこちら、報酬があればたとえ火の中水の中のだがね」
 遠目で見るとゴリラか熊といった、ゴツイイメージのAB『ギガント』の中で、藤堂 猛流(jb7225)はGOサインを待っていた。
「まだ反抗作戦は始まったばかりなんだ――」
 日下部 司(jb5638)少尉の落ち着いた声。だが量産型アウルブレイカー(ただし細部を見れば所々手が加えられており『AB改修型』と呼ばれている)の中で、指の跡がつくのではというほど力強く手を組んでいる。
(俺の力が、少しでも役に立ってくれればいいんだけど……)
「日下部少尉、少し肩の力を抜きましょう」
 水中での格闘戦を想定した人型の機体『ヴォルテックス』の楯清十郎(ja2990)が、声をかける。
「力んだところで何もプラスにはならんぞ、日下部司少尉」
 格納庫を歩きながら水を一口含み、悠々としているファング・CEフィールド(ja7828)。
 ユニコーンをモチーフとした一本角が付いた頭部に、左肩にある牙のようなデザインで『F』と描かれたエンブレムが特徴的な、クロムコーティングされた蒼い機体カラーの『クロムナイツ・インペリアル』へと向かっていた。
 特務大佐だけあって、実に堂々としている。
「余裕は持っておくと、どんな物事にも対処できるからな」
 どんな時でも知識をえようと、ゴーグルをつけた黒い本体に紫のローブのような分厚い装甲人型機『ビショップ』の中にまで本を持ちこみ、ページをめくる鴉乃宮 歌音(ja0427)が、歳のわりに淡々と告げる。
「そうそう。常に余裕、これ大事よ☆」
 もっともこの場の雰囲気にそぐわぬ、明るい口調のジェラルド&ブラックパレード(ja9284)。
 それもそのはず、彼は軍人や傭兵ですらなく、それどころか本来はこう言った戦場にいる事すら不思議な、兵器開発民間企業の若社長、ジェラルド=ブライヤー氏であった。
 データを取る為だけに、美しさと禍々しさを兼ね備え、脈動する赤黒い光の線と茨の冠をつけた骸骨の様な頭部がアクセントの黒い自社最新機『ブラックパレード』と共に、参番艦に乗り込んでいるのである。
(それにしても実に良いタイミングです。良いデータが録れそうです☆)
「おっと出撃か。さて、仕事きっちりこなしてしまおうかね――アイア――じゃないな。ギガント、出るぜ」
「日下部司。出ます!」
「ヴォルテックス、楯清十郎。出撃します」
「……鴉乃宮、行きます」
「ボクちゃんも、出撃ー☆」
 最後に『蒼き閃光の死神』が、カタパルトへ。
「ファング・クロスエッジフィールド、クロムナイツ・インペリアル、出る!!」
 張りつめた空気を纏い、球状のコントロールスティックに手を重ねファングが叫ぶと、クロムナイツも勢いよく射出された――

 射出されたクロムナイツがマルチスラスターを駆使し、反転しながらも上を向くと腕を突き出した。
「行け! ウィスプ!! 一番質量の高い氷塊だ!!」
「こっちからも、行っとくぜ」
 背中のハンガーから翼状の物が射出されると、それがコの字に変形し、大きな氷塊へと向かって行く。それを追随し、ギガントの予め射出しておいた3基のビットが追いかけ、氷塊に攻撃を開始する。
 そしてクロムナイツは再び反転し、足から着水。
「すでに敵影の反応ありだ、油断するなよ!」
 見た目やその性格からは意外かもしれないが、周辺を警戒しながら前進する猛流のギガント。
 クロムナイツとヴォルテックスが前に、そして中衛として司の改修型、殿というよりは速度差があるため後ろから追いかける形のギガント達。まだ距離があるとはいえ、敵機を確認できた以上は上への警戒よりもそちらへ注意を払う。
 それに上では、歌音のビショップと、ジェラルドのブラックパレードが氷塊をメインに狙っている。
「少し、砕きやすくしておくか」
 ウィスプとビットによりだいぶ削られた氷塊へ、ビショップがアサルトライフルを放つ。
 黄土色の飛来物が氷塊に当たると、じわりじわりとその表面から溶かされて、そこへさらに続けて撃ちこんだ。
 まっすぐに伸びた弾丸は溶けた部分から潜りこみ貫通すると、その後ろの氷塊さえも打ち砕く。
「後の処理は任せた」
 ばらけた破片と、他の大きな氷塊をTB隊が狙いを定めたその直後、ミサイルの雨が地上から空へ降り注ぐ。そのこと如くがピンポイントで氷塊に当たり、爆散。
 ブラックパレードが30連装ミサイル・ウロボロスを空に向け、構えていた。この揺れる甲板の上でも全くもって揺るがず、堂々と。
「ボクがいる限りは、この戦艦は沈まない……あ、このコピー、いけるね♪」
 さらに砕け散った細かい破片すらも、ビショップのローブから射出されたビットが丁寧に砕いていく。
「沈められては困るからな。こちらでも敵機捕捉、これよりジャミングを展開する」
 ビショップが高音を発し、ローブの下からアウルが広がっていった――

「あれは以前報告にあった白き悪魔…それともう1体、あの機体は?」
「白い機体……あの動き、まさか生きていたのか!」
 清十郎が歯ぎしりをする。それと同時に、前腕と脚部についている円筒状の回転機構が、唸る。
「深追いしすぎるなよ、楯清十郎」
 再びウィスプを射出しながらも、アサルトライフルで凪機を狙う。撃った直後、クロムナイツの横にギガントがシールドを構え割り込み、回転する錐のような物を正面の角度からやや流す様にして受け止めた。
「おっかねーな。こいつを突き抜けてくるとか、どれだけの威力だよ」
(攻撃の瞬間を狙って、攻撃を被せてきた……そんな芸当が可能なのか!?)
 センサーで捉えてはいるものの、まだ目視できる距離ではない。何より見えていても、そうそうできる芸当ではないと司は驚愕していた。しかも今は、ジャミング下のはず。
 それだけではない。
 今さっきの攻撃は盾で防がなければ、ピンポイントで頭部に直撃していた。恐るべき命中性能に、予測能力である。
「全ジェネレーター、フルドライブ! 打ち砕け!!」
 清十郎が咆え、真っ直ぐに突き進む。
 その正面にはすでに白い悪魔、凪の『MOBY DICK』が二刀の幅広い剣・ディフェンダーを構え、迫っていた。
 全てを引き裂く渦を四肢に纏ったヴォルテックスに剣を振るう――と見せかけ、大型魚雷を目の前で放つ。それが渦により引き裂かれると、目の前で爆散し、凪機が急停止する。破片でヴォルテックスの全身に細かな損傷が。
 目の前に広がる、気泡のカーテン。
 凪機を見失い、動きを止めたヴォルテックスの片腕が斬り落され、その肩にも深々と錐が突き刺さる。
「そこまで!」
 凪がさらに追撃を駆ける前に、司の改修型は頭部バルカンで寸断を図る。ほんの少しだけ後退した凪にめがけ、全身淡い緑色に輝かせたギガントが一瞬で距離を詰め、ドリルを突き出した。
 それをディフェンダーで受け流そうとする。
 力技で強引にねじ伏せ、突き進むドリル。だがその腕が小さな球体により弾かれ、ギガントにショックが突き抜ける。
「ちぃ、システムエラーだと……?」
 動きを止め、自動でシステムの再起動が始まる。
「そんなんでもうちらのボスなのっさー。簡単にやらせるわけには、いかないのさね」
 間延びした女性の声。今の仕掛けが彼女の仕業なのだと、皆が察した。
 その隙を凪が見逃すはずもなくディフェンダーを振るおうとするが、ウィスプによる真後ろからの攻撃を察知し寸前で身をひるがえして攻撃を受け流す。
 それだけでなく、続けざまに潮流を利用した急激な下降で、クロムナイツのアサルトライフルをかわすのであった。
「悪いが2度はない。蒼き閃光の死神は、伊達ではないッ!!」
 クロムナイツも撃つと同時に身を捻り加速し、錐のような弾をシールドで受け流してみせた。
 ここで一旦、凪が距離を置く。
 思い思いに散らばっていたAB達も、まとまる。
「あっぶねーな。5秒も動けねーなんて、殺せって言ってるようなもんじゃねーかよ」
「次はないと、警戒しておくんだな」
「清十郎さん、大丈夫ですか」
「この程度のダメージでは落ちませんよ」
 赤い結晶を生み出しそれを取り込むと、細かな損傷がみるみるうちに塞がっていくヴォルテックス。
 距離を置き、緩やかな膠着状態――不意に司が口を開いた。
「ファング特務大佐、リミッター解除の許可を願います」
「許可する。存分にやれ、日下部司!」
「ありがとうございます――リミッター解除! オーバードライブ!」
 司の言葉に反応し、全ての計器が異常値を示し、カウントが始まる。
「道は任せろよ!」
 シールドを前に突きだして加速をかけるギガントを司の改修型が押し、凪機へと突進した。それをヴォルテックスも追いかけ、クロムナイツのアサルトライフルが凪を牽制。6基のウィスプが違う角度の死角からも攻撃を仕掛ける。
 見えないはずの角度から変則的なタイミングの攻撃にもかかわらず、ディフェンダーで捌く凪機。
 だが、その場から動けてはいない。
(これならどうだ!?)
 ギガントの背後から飛び出し、上からハルバードの痛烈な一撃――上に交差しただけのディフェンダーで受けた凪機はその衝撃までは流しきれずに、下へと吹き飛ばされる。
「まだ届く!」
 神速の突きを繰り出す。それが凪機の肩へと突き刺さり、右腕を一本切り落とした。
「もらった!」
 明らかに回転速度も落ちてパワーダウンしている残った右腕でヴォルテックスが下で待ち構えると、凪機は反転し、ディフェンダーを突き出す。
(かかった!)
 オーバーパワーで回転機構が再び唸りを上げ、ディフェンダーを弾くようにカウンターで右腕を被せる。防御も攻撃も兼ね備えたこの回転機構なら、という目論見だった。
 だが。
「かかりおったな」
 凪の楽しげな言葉。その場で全て魚雷を捨て、装甲が剥がれ落ちてスリムとなった凪機が水の中でもあり得ないほどの反応と速さで直角に切り替えし、横から凶刃を振り下ろすのであった。
「清十郎さん!」
 司が声を張り上げたその瞬間、闇を辺りを包む。三番艦が真上に来たのだ。
 ほんの一瞬だが、全ての意識が上に向いた――その刹那、闇に蒼い閃光が。
(今こそ狙う時!)
「だからこそ、クロムナイツ。俺に力を貸せ」
 インペリアルシステム作動というAIのアナウンスと共に、バックパックバーニアが4つに増設、各装甲がスライド。装甲基部が白銀色に輝き、強制排気が行われる。
 蒼き閃光は、今まさに閃光と化す。
 錐はなおも襲い掛かるが、それは金属片とCGによる残像に過ぎなかった。
「蒼き閃光の死神は、ここにいるッ」
 ファングの、クロムナイツの眼が、赤く輝く。
 鬼神と化したクロムナイツがアサルトライフルを撃ちながら錐もみ状に突き進み、凪機へと肉薄。
「確かにマシンはいい、だが!!」
 ディフェンダーを振りかぶるより早く、シールドを構えて強烈なタックル。その距離から顔面に拳を振るう。
「小癪な!」
 恐るべき反射速度で拳をかわす。だが、本命はそれではない。
「沈め――蒼の元に」
 光り輝く、もう一つの拳が、コックピットめがけ撃ち放たれる――が、その拳との間に球体が割り込み、一瞬で炸裂した。
「ぬうぅ!」
「があぁ!」
 どちらも悲鳴を上げ、引きはがされる。
「だから、やらせないっさー」
 再び距離が離れたかと思った時、動かなかったヴォルテックスが太陽の如き眩い輝きに包まれ、息を吹き返す。その両腕はビットで代用していた。
「……修復完了。後でマードックさんに怒られそうだし、このまま終われないなヴォルテックス!」
 再生したばかりだが、まだ体勢を立て直していない凪機のすぐそば。
(代用の腕では1回きりでしょうが、今こそ!)
 四肢の回転機構が渦を作り上げなおかつ、これまでにないハイパワーで巨大な渦を作り上げていた。
「フルメタル・スピン・インパクトォォォッ!」
 機体ごと高速回転させて凪機へと突進するヴォルテックス。
「邪魔はさせませんよ!」
 シールドを構えた司の改修型が渚機に近づき、バルカンでその動きを止めようとする。
 だが鈍重そうな見た目と違い、バルカンの軌道の先へ先へと逃げていく。
「く、装甲があるのに機動性能が高くて狙いを定め辛い……けど機体性能だけじゃない。パイロットの腕も俺より遥かに……」
 しかし役目は十分果たした。
 ヴォルテックス渾身の一撃に、凪機はかろうじて左腕が吹き飛ばされながらも肘を打ち、足を犠牲に直撃を避ける。
 だがもはや、かろうじて、だ。
 闇が晴れ、再び辺りに光が差し込んだところで歌音から通信が入る。
「氷山地帯、突破した。帰艦せよとの命令だ」
 時間切れ――凪機は再起不能にしたものの、まだ無傷の渚機が残っている以上、命令が優先である。そのためには渚機の横を通り抜けなければならない、という問題もあるが。
「装甲は抜けなくても妨害ぐらいなら!」
 脚部の回転機構にビットを結合、高速回転させたビットを撃ちだすヴォルテックス。それに渚機が魚雷を当て爆裂させた隙に、横を通り抜ける。
「早くしてくれ」
 甲板の上から歌音も、渚機の牽制を続ける。
「お前ら、早く行け。タフガイな俺が食い止めてやっからよ」
 殿を務める猛流が軽口を叩いた直後、8つの球体に囲まれ、正方形のフィールドに閉じ込められる。
 そこへ空間を渡ってきた大量の魚雷が、逃げ場のない狭いフィールドの中で大爆発を起こす――が、それでもギガントは耐えきっていた。自らの周囲にフィールドを築き、その威力のほとんどを防いでいたようだ。
「ふふふ……機体はいいけど……戦略は粗削りだねぇ――」
 甲板に足を完全固定し、ブラックパレードのウロボロスが一斉に火を噴き渚機を襲う。
 小型のミサイルで半数ほど相殺し、残り半分に対して、寸の動きでかわしてみせる――はずだった。
 避けた方向に、ミサイルは曲がりかわしようのないそれが、直撃。
「っく、誘導式さね。これは耐えるしかないっさ――って、システムダウンのおまけつきとは、なかなかやるさね」
「ふふ、またのご来場をお待ちしておりますよ☆」
 ウィンクを投げつけるジェラルドのモニターに、チカチカとデータの受信が。
「おや? 当てたご褒美さね?」
 開いてみると、天魔側の兵器データであった。それはまさしく、人類にとってのお宝に違いない。
「……目論見はどうあれこれは、素晴らしいデータを頂いたね☆」

 こうして参番艦は最速で無事、危機を乗り越えたのである。それに加え、敵である渚から新しき力の可能性を秘めたデータを受け取った一向。そして甲板でお母さんと呟く、津崎海。
 いったいこの先、何が待ち構えているのか。
「ふう……仕事後の一服が大事なんだ」
 紅茶を飲んでる場合ではないぞ、歌音!
「やかましいんです。これが嗜みなんだよ」
 とにかく、次回へと続く!



【初夢】煉獄艦エリュシオン2海   終


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: ドS白狐・ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)
 最高のタフガイ・藤堂 猛流(jb7225)
重体: −
面白かった!:6人

ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
道を切り開く者・
楯清十郎(ja2990)

大学部4年231組 男 ディバインナイト
特務大佐・
ファング・CEフィールド(ja7828)

大学部4年2組 男 阿修羅
ドS白狐・
ジェラルド&ブラックパレード(ja9284)

卒業 男 阿修羅
この命、仲間達のために・
日下部 司(jb5638)

大学部3年259組 男 ルインズブレイド
最高のタフガイ・
藤堂 猛流(jb7225)

大学部6年247組 男 バハムートテイマー