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マスター:楠原 日野
シナリオ形態:ショート
難易度:難しい
参加人数:6人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2017/03/19


みんなの思い出



オープニング

●それは火急を要する

 天王の侵攻から学園を守りきってから、数日。事前に備えていたとはいえ、それでも学園は様々な事後処理の対応に追われていた。

 その案件の一つが、水戸市東部に開かれたゲート。

 天王が自身の顕現に利用したと見られるゲートであり、また天王軍の退却にも利用されたゲートである。

 学園教師・太珀の話によれば、『ゲートは天王が開いたものではなく、力の弱い天使が開いたもの』であるが、学園から20キロと離れていない天王軍のゲートを消滅させるのは、事後処理の中でも重要事項であり、早くも討伐チームの募集が依頼所に張り出されていた。

 それにただ近いだけが問題ではなく、その護りが問題であった。

 ゲートそのものは太珀の言うように力の弱い天使が開いたもので、通路用のかなり小規模な今の撃退士達から見ればそれこそ落とすのが容易いものである。だが、それを護るのはゲートを作り弱りきってしまった天使よりも強いであろう、少し毛色の違う騎馬達。むろん、それだけで脅威とは言えず、それを指揮する者がいるという事実である。

 騎馬達を指揮する者――大規模作戦に置いてその存在を大きく知らしめた、崇寧真君、その人――いや、その大天使であった。

 大天使とはあるが明らかにその力量は大天使を越え、権天使、もしくは能天使に匹敵しているのではないだろうかと言う彼が、一個小隊を持って待ち構えているのだ。それもつい先日、あれだけの傷を負い左腕も斬りおとされたはずだが、そこにいる彼はそんな戦の傷跡をなにひとつ残さない、万全な状態だという。

 それを不思議がる者もいるが、ベリンガムの圧倒的とも言えるあの力を知った今、それくらい容易いのだろうという予測の声もある。
 それはとにもかくにも、水戸ゲートは早急に封鎖しなければならない。いつまたベリンガムが現れるかわからないモノを、学園の近くに置いておくわけにはいかないのだから。




●水戸ゲート前

「わたくしめ如きを、かのご高名な崇寧真君様が護ってくださるとは……恐悦至極でございます」

 恭しく首を垂れる天使に、「おっさんに護られて嬉しいってのも、どうかねぇ」と崇寧真君が肩をすくめた。

(階級を重要視する天界の習わしとして彼の姿勢は正しいのだろうけども、どうにもね……)

 もう少し覇気というものが欲しいと思うのだが無理な話かと頭を振り、短い間に随分刃を重ねてきた撃退士達の顔を思い浮かべ、少しの嫉妬を覚える。

 短く儚い生の中、必死にあがき続ける彼ら――だからこそ一人一人の輝きがとても眩しい。今の自分とまるで正反対だと、つながってしまって普通に動く左腕を見ながら目を細めた。

(昔はおっさんも、ああだったはずなのにねぇ。それもこれも、こんな身体になってしまったからか)

「さて。おっさんは外にいるから、君はずっと中にいるんだよ」

「ゲート内部で備えるわけではないのですか」

「君ねぇ……こんな狭い中であんな部隊が活かせるわけもなければ、ちょっと抜けられただけで目の前に君とコアがいるような状況じゃ、敵さんに入られた時点で詰みだよ?」

「人類風情が崇寧真君様の包囲を突破するなど、あるわけないではないですか」

 その人類風情に何度も負け戦を繰り返したのかと問いかけたいところだったが、その根底に『王さえいればどうなっても安泰だ』というものがあるのだろうから無駄な事だと問うのを止め、「ま、おっさんの好きにやらせなさいよ」と返事を聞く事もなくゲートの外へと出るのであった。

(次こそは、俺を武人として、戦場で殺してくれんもんかねぇ)

 そんな事を考えながら――……


リプレイ本文

●そこは小さく

「随分と厳重な警備を敷いてるもんだ。まぁ、それだけ俺らが評価されてるって事なんだろうが……」

 北側の道路から身を低くして水戸ゲートの様子を窺った向坂 玲治(ja6214)。

「なんだか今回のゲート展開はどうにも変な感じなんですよねえ……なにかの意図があるのか、それを隠すためなのか」

 表情の晴れない鈴代 征治(ja1305)だが、「ま、とにかくやるだけやってみましょうか」と膝についた砂埃を払い落として立ち上がる。

 コア周辺を見ていたミハイル・エッカート(jb0544)は、「お、本当に真君がいるな」と少しだけ楽しげな口調だったが、鳳 静矢(ja3856)の方は表情が硬い。

「真君相手……だが主目的を確実に果たすのが先だな」

「強行突破ってやつね! あたいが道を切り開くよ!」

 雪室 チルル(ja0220)は相変わらずである。

 チルルの明るさに場はやんわりと和むのだが、葛城 巴(jc1251)だけは思いつめた表情のまま、真君を見続けていた。

(貴方はきっと……)

 玲治がそんな巴の肩に手を置き、心配かけさせていると悟った巴が玲治の手にそっと触れ、大丈夫と言うように頷く。

「……髪、どうしたんだ」

 巴の後ろ髪の一部だけが少し短くなっているのに気づいた玲治が問いかけるも、巴は笑ってごまかすばかりであった。

 状況を全員が確認した頃合いを見計り静矢が阻霊符にアウルを流すと、天鳳刻翼緋晴を紫の鳳凰が描かれた鞘から抜き放つ。

「さて、時間ばかり使っても仕方ない――行こう」




●一直線に、ではなく

「とつげきー!」

 ゲートの北側から一気に騎兵の小隊めがけ、真っ直ぐに6人は突き進む――ように見せかけ、真君から逃げるようにわずかずつ、横にずれていた。

 しかし姿を見せてもすぐにサーバント達は動かず、ある程度距離が詰まり北北西の騎馬が動き始めると、東側から南側のサーバント達以外が動き出す。真君もまだ動きださない。

「別方向からの奇襲に備えて闇雲に兵を動かさずとは、ありがたい警戒心だ」
 
「――さあ! どっからでも掛かって来い!!」

 静矢に頷きながらも征治が声を張り上げると、誘われたかのように2騎の騎馬が盾を突きだし突進してくる。

 ワイヤーを巻いた腕で受け止めた征治だがその勢いは殺せず、ほんの数mとはいえ仲間から引き離されてしまう。征治を押し込んだ騎馬は左右へと駆け抜け、そこへさらに騎兵2騎が頭突きで征治をさらに押し込みつつも、槍を突きだしてくる。

 ワイヤー巻きの腕で下から上へ叩きつけ、槍は肩をかすめて通り過ぎていく。首筋にチリチリとした悪寒にも似た感覚を覚え振り返ると、首のあたりで構えた腕に剣の刃が食いこんできた。ワイヤーで受けていなければ、しばらく腕が使えないほどの深手になっていたかもしれないが、幸運に救われた部分もあれど流石の反応であった。

「シールドでチャージして、さらに逃げ道と意識を逸らすための突進、そして背後から強襲ですか。孤立させての各個撃破は僕らの常套手段ですけど――」

 剣を振るってきた騎兵の馬の脚をランスで貫き、「暑っ苦しいんでちょっとどいてもらえますか!?」と身体を反転させた勢いのままに、ランスの痛烈な2撃で槍持ちの騎兵達を弾き飛ばした。

 いつもより後退させられなかったが、それでも駆け抜けるには十分だと切り開いた道から包囲を抜けだした征治は、飛んでくるのが見えていた矢を叩き落とし仲間の元へと戻っていく。わずかな傷は巴によって癒されるのだった。

「戻りました」

「ああ、おかえり。今ので俺が攫われていたらと思うと、ぞっとする――ぜ!」

 ミハイルが腕を振るうと、赤青黄ピンクなど様々な色と音の火花と呼ぶよりは花火と呼ぶにふさわしいそれが、征治を取り囲んでいた小隊と騎馬を飲み込み、さらに「ご返済ですよ」と征治は作り上げた無数の彗星を、その花火の中へと落とすのだった。

 花火と彗星で巻き起こる粉塵の中から、騎馬が続々と突進してくる。

「後ろから離れるなよ。俺が守れなくなる――うぉ……!」

 巴に声をかけた玲治だが2騎の盾を盾で受け止めたが、やはり勢いだけは殺せずに後ろへと滑っていく――が、背中を支えられ突進を止めてみせた。

 押し留まった玲治は騎馬の盾を弾くように押し返し、背中の巴に目を向け視線で感謝を伝えると、巴の口が動いた。

「私も、玲治さんを守りたいんです」

「さいきょーなあたいを無視するなんて、いい度胸ね!」

 玲治をチャージした騎馬へ氷剣を振るおうとしたチルルだが、チルルめがけて別の騎馬達が突進してくる。しかし振るおうとした氷剣をそのまま盾に叩きつけ、逆にはねのけるのだった。

 4騎がまとまった瞬間、世界が氷結したかのように静止する。

 その中をチルルだけが動き、1騎、2騎、3騎と斬り捨てたところで世界は再び動き出した。同時に、斬りつけられた事をやっと認識した3騎は馬ごと地面へ叩きつけられ、そこに玲治の周囲から立ちこめる冷気が4騎を凍てつかせる。

(なるほど、2騎の突進は2人で受け止める事ができる、もしくは腕力で強引に押し返す事も可能か――私でも押し返せるだろうが)

「あいにくと狙いは貴様らではないのでね」

 後方で周囲に目を光らせていた巴の目線に気づいた静矢の刀に闇が纏わりつき、走り出す。

 巴が宝石の欠片を投げつけ、角を光らせていた一角馬の周囲に生み出された雷槍が一角馬を貫き、水平に振るわれた静矢の刀が焼ける臭いごと一撃で首を断ち切った。

 そんな孤立気味に突出した静矢を狙い、新たな騎兵が槍を構えて突進してくるが、それにこそ注意していた静矢は騎兵に対して真横へ滑るように移動すると、静矢の前を騎兵が通り抜けていく。

「レート技の代償は仕方ないが……当たってやるわけにもいかんのでな」

 突進をかわした静矢だが、痛みを感じて肩を見れば、矢が刺さっていた。その時、巴の「上です!」の声で、静矢はさらに真横へと移動する。

 その直後、静矢のいた場所へ騎兵が降ってきた。

 地面が抉られ、粉塵を巻き上げるほどの踏みつけ――喰らっていれば相当な痛手、地面に転がされてしまっていただろう。とはいえ、矢に当たってしまったのは不運だったとしか言えず、今の攻撃は予想の範疇だったため、そうそう食らうつもりはなかった。

「成程、実に訓練されているという印象を受ける。下手な天使や使徒を相手取るよりはずっと厄介かもしれないね――数が多いな、一気に潰すぞ!」

 騎馬達が突撃を間断なく繰り返してくる中、移動先を予測し、静矢の振り抜いた刀から飛び出す大きな鳥の形をした紫のアウルが一直線に薙ぎ払う。それを追うチルルが氷剣を振るい、間を置いていた征治がチルルを狙った騎馬の脚を狙って無数の光の爪を撃ち出すと一気に距離を詰めると、チルルの斬撃に合わせランスで突き刺すのだった。

 思うように数は減らないがそれでも確実に数を減らしながら西へと到達し、ミハイルがそろそろ突入の機を窺い始めていた頃――ゲートの中から斬撃が飛んできた。




●対峙、せず

 不意の斬撃にも静矢は刀で受けいくらかは威力を殺せたが、チルルと征治と玲治それにミハイルは咄嗟も間に合わず、直撃を受けてしまっていた。

 巴は玲治の後ろにいたので斬撃こそ当たらなかったが、そのタイミングに合わせて玲治の背中に飛んできた矢を身を挺して受けるのだった。

(まだだ……俺は俺の役割を果たしていないぞ!)

 自分を叱咤し、遠のきかけた意識を運よく残せたミハイル。神の兵士を活性化していた巴から離れすぎていなかったのも、運が良かったとしか言えない。

 そしてゲートから赤兎馬に跨った真君が現れた。

「や、また会いましたね。ええっと、もう『しん君』にしませんか?」

「陛下から受け賜ったものなんだけどねぇ」

 怒るでもなくもう一刀振るい斬撃を飛ばす。今度はしっかりと4人は正面に構えたが、リズムを読んでかわそうとしたミハイルはわずかに反応が遅れ、当たってしまう――そう思った瞬間、巴は「ミハイルさん!」と玲治の背中から離れ、ミハイルの前に飛びだしていた。

 だが巴の身体に傷1つつかず、その分、斬撃を受けていない方の腕から血を滴らせた玲治が「無茶をするぜ」と笑い、周囲に7人の幻影騎士を引き連れて真君へと向かっていく。

 無傷だった巴が「ごめんなさい、玲治さん」と一言詫びてから光あふれる柔らかな風で全員を包み込み、傷を癒していくのだった。

 構える真君へ注目しているうちに、南から回り込んできた騎兵が挟撃してくる――のが見えていた静矢が、「挟まれ囲まれるのは致し方ない状況だがな……そうそう好き勝手にはさせん」と突進してくる前に逆に距離を詰め、刀身が一瞬だけ紫に輝いたかと思うと、騎兵と馬の首が合わせて6つ、まとまって飛んでいた。

「こう多くては貴様とやり合うのも面倒でな」

「そういうことなんで、今回はちょっと忙しいんで後にしてもらえます?」

 征治が誘い出すかのように北側から回り込んできた騎兵に向かい、チルルはミハイルや巴の前で騎馬の突進を弾き返し、今の所、真君の相手は玲治1人だけということになる。

 憮然とした真君は冷艶鋸を横に構えたが、武器を収めた巴を見た瞬間、ハッキリと迷いを見せた。その迷いで間に合った玲治が盾で冷艶鋸を上に弾くと、我に返った真君が左拳で玲治の顔面をただ殴りつける。

 真君の意識がそれた一瞬にチルルが掲げた氷剣に冷気を集め、「いくわよ!」と宣言してゲートにいる真君めがけて振り下ろすと、全てを凍てつかせん吹雪が真っ直ぐに伸びていく。

 猛吹雪の道を横へとかわす真君へ、「腕動くのか。再生能力強すぎだ、チートすぎだぜ」とミハイルが軽口を叩きながらも、異界の何者かへ呼びかけるように踵で地面を蹴った。

 無数の腕が絡みついた真君のその横を、ミハイルは氷結晶を踏みしめながら駆け抜けていく。

 ゲート内部に侵入し、姿が掻き消えたミハイルは一瞬にしてコアの前に辿り着いていた。そして平坦で砂利だらけの空間に、コアと天使だけがいる様子にミハイルは失笑して、すぐ後ろの天使へと声をかけた。

「たかがあぜ道を作るために命削るのか、天使ってのは哀れなものだな――死にたくなければすぐにリンクを切れ。俺はお前の命を取るつもりはない」

 その手に炎を湛え警告するミハイル。天使は「やめてくれ!」と懇願するが、その場から動こうともしない。

 懇願に遠慮もせず、ミハイルの手から放たれた炎が一直線にコアを焼き尽くすのだった――




●願いは――

「うーんまあやはり防衛しきるのは無理かあ。陛下もこだわってなかったしねえ」

 無数の手に拘束されたままの真君の反応はさも当然というように、この事実を受け止めていた。そんな真君の前に巴が武器も持たずに歩み寄る。もちろん巴の前には、玲治がいる。

(春姫さん……)

 武器は振るえるはずだが、動こうとしない真君は苦笑するのだった。

 何から伝えればいいのか、何を聞けばいいのか、巴自身も迷っていた。もっとゆっくりと話が聞ける時間が欲しい――だからその言葉が口から出た。

「他でもない貴方に一緒に来てほしい……貴方が必要なんです。貴方は、誰を見ているんですか?」

 巴の真っ直ぐな視線――それから逃れるように真君は首を横に振って、「一緒にはいられないよ」と力なく笑う。

「これはおっさんが選んだ道だからね」

「私はこれまでよりこれからを大事にしたいし、もう誰も傷つくのを見たくないんです。ですから――ッ」

「後ろを見てみなよ」

 真君に言われ、振り返る巴。静矢が、征治が、チルルが、傷つきながらも戦っている。

 だがその姿は生命に満ち溢れていた。

「傷がつくのは悪い事かい? ここには死もあるけど、生もある。おっさんが唯一、生きていられる場所なんだよ」

「でも……!」

 言葉でどうにかしようとするのが、簡単ではないとわかっていた。

 わかっていたが、情熱的な想いの方が強すぎて思考が上手く働かない巴はそれ以外に言葉が出てこない。そんな自分がもどかしいのか、悔しいのか、玲治の服を握りしめた。

「どんな時でも、クールにだぜ――このゲートを守るのはベリンガムからの命令か? リンクを切って震えながら膝を抱えた天使を護るのが」

「おっさんは働き者だから、言われる前に動くんだよ。誰かの役に立てる事くらいが、おっさんの存在意義なんでねぇ」

 戻ってきたミハイルは「ほう」と漏らしていた。

 巴達の方へ集結しつつ、チルルが「逃げ道はあっちよ!」と猛吹雪と氷結晶の道を作り上げると発煙手榴弾を転がして、手を掲げた征治の姿を隠す。

「俺はミハイル。殺しあう前にお前とは一度は酒を飲み交わしたいぞ。女の趣味も似ているようだからな」

 それだけを言い残し、ミハイルはチルルの作りだした道へと走り出すと、玲治も動き出そうとしない巴の手を引いて走り出す。手を引かれながらも巴は黒い何かが入ったフィルムケースのようなものを真君へと投げつけていた。

「少しでも時間を稼げればいいんですけどね」

 煙の中で征治が腕を振り下ろせば無数の彗星が自分達と真君の間に降り注ぐのだが、それに怯まず騎馬達は追いかけるし、躊躇いがちに真君は冷艶鋸を振るって斬撃を飛ばす。

 煙を切り裂き、殿を務めていたチルルと、心残りと言わんばかりの巴を先に行かせて背中を押していた玲治が斬撃を受け止め、静矢も刀で下から上へと斬り弾く。

「――大勢は決した。退いてはどうだ真君」

 煙が晴れ渡り、立ち上がった静矢は真君を真っ直ぐに見つめていた。

「どうせ貴様ほどの武人とやり合うならばこんなついででは無く、真っ向から仕合たいのでな」

 まだ半数近く残っている状態に真君まで居る。。このまま追撃されてはきっと1人や2人倒れる者もいるからと、撤退を促すための詭弁――というわけでもなく、静矢自身の本心でもる。

 そしてその本心は、真君にも届いた。

「そうだねえ、どうせ落とされても仕方ない所だし……おっさんも君と同じような気持ちだからね」

 真君が静矢達に背を向けると、サーバント達も一斉に動きを止め、真君の後ろへと集結していく。縮こまって震えている天使には「君は助かりたければ彼らに保護される事だね」と。

 そして撤退を始めた真君は一度だけふり返り巴と目を合わせ、「それじゃあね、桜沢さん」と一言だけを送ると、もう振り返る事無くサーバントを引き連れて撤退するのであった。

 後に残されたのは人間よりも弱く見える、憐れな天使が1人だけ。

 誰1人とて倒れる事無く事態を終結させたのは間違いなく、静矢のおかげだろう。足を止め、撤退していく様子を見守っていたメンバーの中、母の面影を持った巴はある種の確信を抱いて、いつまでも真君を目で追いかけるのであった――




【三界】おっさんの願い1  終


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 撃退士・鳳 静矢(ja3856)
重体: −
面白かった!:5人

伝説の撃退士・
雪室 チルル(ja0220)

大学部1年4組 女 ルインズブレイド
最強の『普通』・
鈴代 征治(ja1305)

大学部4年5組 男 ルインズブレイド
撃退士・
鳳 静矢(ja3856)

卒業 男 ルインズブレイド
崩れずの光翼・
向坂 玲治(ja6214)

卒業 男 ディバインナイト
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
永遠の一瞬・
向坂 巴(jc1251)

卒業 女 アストラルヴァンガード