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マスター:楠原 日野
シナリオ形態:イベント
難易度:易しい
参加人数:25人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2013/08/03


みんなの思い出



オープニング

『●共に歩こう2013 広い北海道。たまには飛ばさずのんびりと、岬まで歩きましょう!』
 コンビニに貼られた、そんな見出しのポスターの前で中本 修平はたたずんでいた。
 ポスターの内容は端的に言えば、この町から目的の岬までのおよそ100キロを、乗り物を使わずにゆったりと景色を楽しみつつ自分の足で向かってみませんか――そんなものであった。
 それ自体は別に、珍しい物でもない。数年前から行われているイベントだった。
 だが修平は毎年これを見かけるにたびに、足を止めている。
(これまでは体力的に無理だったけど――今ならいける)
 そう。修平は、これに参加したくてたまらないのだ。今までは普通の小学生だったから、まず無理だった。そもそも参加資格が高校生以上だったので、早く大きくなりたいなどと昔、思ったりもした。
 今もまだ中学生ではあるが、参加資格の後ろに「撃退士達は年齢問わず」の項目が追加されていて、そこまでの参加資格はとりあえずクリアできた。
 だがまだ問題はある。
「2名様以上での申込みに限る、か……」
 1人での参加だと、何かあった時に誰も気がつかない恐れがあるためらしかった。
 各々が自由に自分のペース移動し、しかも100キロという長い道のり。ルートだって2つ用意されている。大会役員が参加者全員を把握でき無くて、当然である。
 何より、毎年参加者はそれなりなのだが岬に辿り着く者はごくわずかで、ほとんどの者がリタイヤするという。ほのぼのしたイベントのようでいて実かかなり過酷なため、そういう安全対策も必要だったりするのだ。
 そして修平にとってこの2名様以上が今一番、大きな壁であった。
(同級生は軒並みだめで、先生に頼むのも申し訳ないし。なによりも自分のペースに合わせて動けるのは、同じ撃退士くらいだからなぁ)
 この周辺にいる撃退士と言えば修平の従兄弟くらいだが、あいにく、この大会の役員をやっているので不可能である。
(せめて一緒に歩かないまでも、名簿登録だけでもしてもらえれば……)
 そこまで考えて、修平は「あ」と思わず声をもらす。
「そうだ。これ、コピーしてもらって、久遠ヶ原の方にも貼ってもらうかな。参加してくれる人がいるかもしれないし、その人達と連名で参加ってことにしてもらおう」
 そうして、修平はコンビニへと入っていくのであった。


●共に歩こう2013 広い北海道。たまには飛ばさずのんびりと、岬まで歩きましょう!

応募資格・高校生以上(撃退士は年齢問わず)であればどなたでも参加可能です。
     ただし2名様以上での申込みに限ります

  概要・朝6時この町からスタート、30キロ地点の町を経由、さらに40キロ地点の町を経由し、そこから
     海岸線沿いルートと内陸ルートのどちらかを通って、30キロ先の岬広場を目指す。
     締め切り時間は翌朝6時とし、その時点で岬から数台のバスがルートを逆走し、皆様を回収いたします。
     バスは期間中、常に往復しておりますので、リタイヤの際はそのバスでお帰り下さい。
     岬にたどり着いた順番は関係ありませんが、1位となった方(複数人での同着では全員)には、粗品が送られます。

  注意・飲食物等は用意いたしません。各自で途中の町でとるなりしてください。
     暑い時期です。熱中症対策もお願いいたします。ただし岬近辺の気温はこの時期ですら最高気温20℃になる
     こともほとんどなく、最低気温10℃前後となりますので、こちらの町との寒暖差にお気を付け下さい。
     また、外灯などまるでない地域のため、夜は真っ暗です。気をつけましょう。
     時折運悪く、熊が付近に出る場合もありますので、熊よけ対策を施していない方は参加できません。
     ご了承ください。

 必要な物・熱中症対策に水分。熊よけになる物(鈴、ラジオなど音の出る物)。懐中電灯等の明かり。

 撃退士・中本修平と連名で出てくれる方、募集中です。
 名簿さえ書いていただければ、一緒に歩いてもらわなくても大丈夫です。
 明日にはどうなるかわからない僕らです。共に歩いてくれる方と、共に歩む思い出を作り上げませんか?


リプレイ本文

●校内にて
 掲示板に張られた1枚のポスターに足を止めた、東城 夜刀彦(ja6047)。その目がキラキラしていた。
「なーに見てるの、ヤトちゃん! ……面白そうだね! 行こうよ行こうよ!」
「どうかしたのですか」
 夜刀彦を揺さぶっているレイラ・アスカロノフ(ja8389)に、抑揚のない声が向けられる。
 ファリス・メイヤー(ja8033)であった。その横にはツェツィーリア・エデルトルート(ja7717)もいる。
「なかなか楽しそうな試みですね――夜刀彦、参加するのですか?」
「は、はいー」
「夜刀彦は確か和服しか持っていませんでしたね」
「うん――あ、長距離動くのに難かもしれないね……」
 表情がやや沈む。だがファリスはそこで、ぽんと肩に手を置いてゆっくりと頷いた。
「大丈夫です。私が良いものを貸してあげます」
「本当? 嫌な予感がするけど、きっと気のせいだよね……?」
 不安丸出しの震える声でおずおずと問いかけるが、ファリスは肯定も否定もしない。不安は募るばかりである。
「任せたよ、ファリス! あたしだと悪ノリしそうだからね!」
 そんなやり取りをしている間、ツェツィーリアはじっと、ポスターを隅から隅まで読んでいた。そして荒いが風景の画像に、指を這わせるのであった。
(たまにはゆったりと、美しき自然を楽しみたいわねぇ……)
「他にも、声をかけてみようかしらね」

 楯清十郎(ja2990)がふらつき、壁に手を付く。ついた先にたまたまポスターが。
「おや……へえ、こんな催し物が。リハビリ兼ねて、行きましょうか」
 そしてよたよたと、その場を後にする
 だいたいの者が目を通し、ポスターの前がひっそりし始めた頃、それをまるで見計らったようにおずおずと水無月 ヒロ(jb5185
がポスターを確認しに行く。
(みんな見てたのはこれだよね。ただ歩くだけ――なのに、なんでこんなに参加してみたくなるんだろう)
「なになに? とくに目的もないのに100キロ歩く? とても正気とは思えないんだけど」
 横から割り込んできた並木坂・マオ(ja0317)がずばりと、多くの者が抱くが口にしない言葉を口にした。
「君もそう思うっしょ?」
「え、あ……一見意味のないことかもしれないけど、そこに意義や情熱を見いだせるのが、人間の素晴らしさかもしれないですよ」
 女性に免疫のないヒロは初対面のマオに少し緊張しながらも、今思いついた自分なりの答えを伝える。
「よし、参加してみよ」
「そ、即決、ですね……」
「君の言葉を聞いて、興味湧いちゃったし。実際に参加してる人はどんな気持ちなんだろって気になっちゃって、そーなると参加しちゃうのが手っ取り早いじゃん?」
 天真爛漫な彼女に後光が見えた気がして、ヒロは目を細める。
「ま、現地ではよろしく。一緒に歩くかまでは知らないけど」
「こちらこそ、よろしくです」


●イベント前日
「さて、そろそろか」
 歩くだけのイベント――それなのに黄昏ひりょ(jb3452)は口元をほころばせ、少し落ち着かない様子で靴紐を結んでいた。
 そんな背中を黒猫が見送りに。
「留守番しっかりな。いってきますっと」

 うっすらと目を開き、昨日見たポスターの事を思い浮かべインレ(jb3056)が窓の外をぼやける右目で、果てしなく遠い先を眺めていた。
(雄大な自然の中を歩く、か。悪くない……夜の散歩が好きだとか言っておったな。星空が綺麗だぞと誘ってみるか)
 そして再び、目を閉じるのであった。


●共に歩こう2013、開催
「うおー! 結構いるじゃねぇか。いいねぇ! こういうの好きだぜ、俺!」
 スタート地点で歓喜の声をあげているのは、ラウール・ペンドルミン(jb3166)だった。
「我……こういうのんびりした日々の方が好きである」
 歓喜している横で落ち着いた物腰の青年、バルドゥル・エンゲルブレヒト(jb4599)は大きく息を吸い込んだ。綺麗な空気もそうだが、今あるこの平穏で穏やかな空気を吸い込んだのだ。
 その2人を見つけ、ゆったりとした歩調でレイ・フェリウス(jb3036)が歩み寄る。
「ラウ、バル。先に来てたんだね――今回は誘ってくれてありがとう。ぜひ、人間界の景色を楽しませてもらうよ」
「礼を言うなら、夜刀彦に言うとよいであるな」
 あふれる人の中で騒いでいる一団に、バルドゥルはその顔を向ける。
「良く似合ってますよ、夜刀彦」
「だからってなんで女物なの……?」
 フリルというよりはもうフリフリ一杯の服に身を包んでいる夜刀彦。
「昔購入したのですが、流石に私は着れませんでしたから」
 クイッと夜刀彦のねじれた袖を直し、襟を正すと満足そうに頷く。
「さぁこれで完璧です。参りましょう」
「おおー! 完璧! 完璧すぎるよファリス!」
 拍手して賛同するレイラはどう見ても、悪ノリしている。味方らしい味方のいない夜刀彦は胸の前で腕を交差させたまま口を尖らせ、ますます可愛さが増していく。そこにレイ達が参加者をかき分け一団に加わると、会釈した。
「あの時はお世話になりました」
「このたびはお誘い、感謝であるな――夜刀彦は珍しい服だな。似合ってるぞ」
「つーか、なんでヤトの服ひらひらしてんだ? それ女物じゃねェのか? 違和感ねェけどよ」
 あえて聞かなかった事をズバリと尋ねるあたり、ラウールに容赦はない。 人目というよりは顔見知りの目に耐えかね、夜刀彦はレイの後ろへと隠れるのであった。
「あら、こんにちは♪」
 ツェツィーリアがつい最近、依頼でも一緒になったレイとバルバトゥルにお辞儀をすると、レイの後ろで縮こまっているヤトヒコに目を留め微笑んだ。
「なに、彼氏できたの?」
「違いますからね……!」

「キャンプの時はお世話になりましたねー?」
「川遊びに行ったねー!! あの時ぶり!!」
 修平を見かけた櫟 諏訪(ja1215)と藤咲千尋(ja8564)が声をかけると、修平は頭を下げた。
「ご参加ありがとうございます。お名前さえ貸していただければあとはご自由ですので、お2人でゆっくりとしてください」
「そうさせていただきますかねー、千尋ちゃん?」
「がんばって歩こうね!!」
「すみません、もしかして募集主の中本修平さんですか?」
 名前が聞こえたからか、ひりょが初対面である修平に声をかけた。そうですと聞くと、安堵した表情を浮かべる。
「ああよかった、あってたか……参加させていただく、黄昏ひりょです。今回は知り合いもいないので、ご一緒させてもらってもいいですか?」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「ねえ、歩くだけって楽しい?」
 不意に背後から声をかけられ振り向くと、ヴァローナ(jb6714)がいつの間にか立っていた。
「楽しい?」
「楽しいですよ。1秒前と違う姿を見せる景色を見るのは、本当に楽しいよ」
「じゃあ一緒に歩く。ヴァロ、楽しいことは好き」
 にこっと笑みを作るのであった。
「あ、え、えっと……ボクもご一緒して、いいでしょうか」
 機をうかがっていた様子のヒロが、思い切って修平達の輪の中へと飛びこんだ。すると清十郎までもが輪の中へと。
「初めまして、楯清十郎です。1位を狙いますのでどこまでご一緒できるかはわかりませんが、どうでしょう?」
「ヴァロもどうせなら一番乗りがいい。空も海も独り占め!」
 修平の周りに人が集まり始め、混沌としてきた。それを遠巻きに見ていたマオは、声をかけるでもなく一般人の中に紛れるのであった。

「澄んだ場所です……星もよく見えましょう。インレ様、お誘いいただきありがとうございます」
 Viena・S・Tola(jb2720)がインレへ頭を下げると、ふとその足元に気がついた。
 一本足の高下駄。天狗下駄というものだ。
「インレ様……その靴は……? 身長でお困りなのですか……?」
「いや、これも修行の一環じゃな」
 実を言えば半分正解だった。困っているわけではないが、とある人物より高くいたいがためだとは、さすがに言えるはずもない。


●道中の様子
 非常にざっくりした短い開会式の後、一斉に動き出した撃退士達。
 ある者はグループで。ある者は2人だけで。ある者は1人で、岬へと向かうのであった。
 出だしは早かった修平達。ヴァローナと清十郎に引っ張られる形で早かったのだが、すぐにヒロが行きがけに出会った農家の人へ挨拶、そしてどこから来ただとかを立ち止まって話し始める。
 ヒロに合わせ修平達も立ち止まるが、清十郎は「お先に失礼しますね」と早々に別れる事となった。
「少し早いペースで行こうかな。でも走ると景色を楽しめないから、早歩きくらいが良さそうですね」
 早歩きと言いつつ、その速度は一般人からすれば十分に走っているようなモノ。もちろん本人的には、まだ走っていない分類なのだが。
 この時点から、すでに清十郎は単独トップを独走中であった。

 スタートしてから1時間。そろそろ気温が上がり始めると、途端に顔色の悪くなる時入 雪人(jb5998)。ぐったりと、真っ青で透き通るような空を見上げていた。
「確かに健康だと思うけど、こう、非効率的というか。北海道なのに……暑い」
「雪人さん、帽子をどうぞ――のんびり歩きますか、優勝狙いでないので急ぐ理由もなし」
 安瀬地 治翠(jb5992)むしるように受け取り、かなり熱くなっている綺麗な黒髪に帽子を乗せる。だがもちろん、それですぐに涼しくなるわけでもない。
「優勝狙いじゃないけど、これは辛いよね。体力的には余裕あっても、この暑さじゃ全てが蒸発しそうだよ……」
「……ぶつくさ言うと無駄に体力使いますよ」
「文句でも言ってないと、気が収まらないんだよ」
 そしてまた、青空を見上げる。太陽の日差しは憎いが、青空が好きだから。
 なかなか文句が収まらない雪人の横で、治翠が「ふむ……」と口元に手を当てた。
「では気晴らしに少し話つつ歩きますか。学園に来て少し経ちましたがどうですか? 楽しく思える事、当主の件を抜きにしてやりたい事、少しは出来ましたか?」
 話を振られ、一旦、文句ばかりを吐いていた口を閉じ、視線を泳がせる。
「やりたい事か……元々この力の使い方を学びたくてここに来たわけだし、そうした事を探す目的じゃなかったんだけどね」
「探してほしいとは思ってますけれどね、私は」
「でも少しずつ、護る事の大切さは分かってきた気がするよ。時入家当主としても、俺個人としても、ね」
 その回答に、治翠はニコリと微笑んでいた。恥ずかしい事を言わされたと、少しだけ眉根を寄せた雪人が「ハルはどうなのさ?」と首を傾げて問いかける。
「ん? 私ですか? まぁ……私は目的があって此処に来たので、それを果たすのみです」
 はっきりとは答えず、かわりに雪人の目をまっすぐに見返す。強い意志の、篭った眼で。
 そしてすぐ、その視線はどこまでも続きそうな草原へと。
「本当に北海道は景色が良いですね。今度はゆっくり絵でも描きに来たい所です」
「いい景色なのは認める――また来よう」

 一方で清十郎。
「うん、やっぱり美味しいものが多いですね」
 誰よりも一足お先に街にたどり着き、皮ごと焼いたじゃがいもにバターを乗せただけのシンプルなものをほおばりながら、頷いていた。
 店先でホタテを殻ごと焼いているところもあったりと、今日のイベントに合わせた見事なトラップ群が軒を並べていた。
「色々と魅力的ですが、そろそろ通過しませんとね」
 最後にと、目に留まったアイスを食べながらもコースへと戻るのであった。

(ちゃんとご飯、食べてるかな)
 家に残してきた黒猫の事を思い浮かべ、修平と肩を並べるひりょ。
「中本さんはずいぶんご執着のようでしたが、何か意気込みとかあるんですか?」
「意気込みって言いますか……歩くのが好きなんですよ。この景色が好きだから、というのもあるかもしれませんけどね」
「すごくいい景色ですよね!」
 時折あるゴミを拾いながらも、あたりを見渡すヒロ。ヴァローナもマネをしてゴミを拾いながら、サンダルでペッタペッタと歩いている。
 とても歩くのに適しているとは言えないが、それでもペースを維持できるあたりはさすがの撃退士。
「あれ……?」
 見覚えのある後ろ姿にヒロは首を傾げ追い越そうと並んだ時に、やっと確信した。だいぶ歩くペースを落とし、ドリンクをあおっていたのはマオである。
「あれ、キミか――ランニング気分でいたんだけど、疲れちゃったしゆっくりとね。まだ意味とか見いだせないんだよねー……」
 ヒロとマオに合わせ、さらに速度を落としたひりょが横に並ぶと、前方の修平へと視線を送った。
「それなら、彼を見ているといいかもしれませんね。歩く事に意味があると、気づけるかもしれませんよ?」
「そうですよ。とにかくゴールしてみれば、何らかの思いが芽生えてるかもしれません。これから変化する景色もあるでしょうしね」
「そっか。道沿いに広がる海の景色とか、キレイなんだろうなー。星もハッキリ見えそうだし、そう考えるとテンション上がってくるかも!?」

 暮居 凪(ja0503)と君田 夢野(ja0561)は景色を見ながらただ黙々と歩いていたのだが、互いの近況を話し始めると、なんだか戦闘の話ばかりになり、凪は苦笑していた。
「しかし――団長。ほとんど初めてかしら? こう、のんびりとした依頼に共に参加するのは」
「そう、だな」
 少しだけ思い返し、頷く。こうして2人でのんびり歩くと、普段はそれほど気にも留めなかった事が少しだけ気になり始める。
「……そういえば、団長。もし答えられるのならで良いのだけれど――団長はなぜ久遠ヶ原に来たのかしら?」
「やぶからぼうだな。どうしたんだ?」
 問う理由を尋ねられ、それがどうしてかは自分にもわからない。だから、こう答える。
「あんまりにも平和だから、かしら」
「なんだい、それ。まあいいさ……元々は『義父さんの意志を継いで、人々に夢を与える』だった」
 目を瞑り、夢を取り戻してくれた養父のピアノの音を思い出す。しかしそれがいつしか、幼いころの最悪な体験で塗りつぶされる。
「けど、本当は肉親を奪った天魔を憎んでいただけだった。それに気づいたのは、何時だっか――ま、今では深い事考えてずに戦ってるけれどな。ついでに、次は将来の目標でも話すか」
 自分から振っておいて、少しの間考え込んでしまう。それから口を開いた。
「そうだな、まずは交響撃団を『学園に赤腕章の撃団あり』と言われる程に強くしたい。そうして戦い続けて、また平和な世の中を取り戻す。その平和な世界で‥‥」
 腕を組んで平和な世界を思い浮かべ、そこに居る自分を思い描くと1つしか思い浮かばない。
「やっぱ俺は音楽だな。戦いを抜いたら、俺は音楽が全てだ」
「団長らしいわけですね」
 はっきりと迷いのない彼に、凪が微笑んだ。
「で、そこんトコ凪ねぇはどうさ?」
「そうね。私の事は――またの機会に。他の人に追いつきそうよ」
 少しだけペースを上げ逃げる様に先へ進んだ凪の背中を、夢野は釈然としない表情のまま追かけた。

「広々として気持ちいいわねぇ……」
「どこまでいっても道が終わりそうにありませんね……」
 先が霞み、どこまで続くのであろうと言う直線に、ファリスがぼそりと呟く。
「日本も広いね……」
「人界にはいろんな景色があるんだね……」
 夜刀彦もレイも、嘆息交じりでその広さに感激していた。しばらく進むと、道路を塞ぐように横断している一団に出会う。
「あ、牛だ。牛がいる」
 牧草地から牧草地へと、人が多少誘導してはいるものの牛の一団は自らの足で歩いている。
「これが牛――肉じゃないやつ、初めて見た」
「牛……いや、狩猟本能は抑えるべきであるな。うむ」
「……美味しそうだな」
 夜刀彦のただならぬ殺気に反応したのであろう。横断していた牛が一斉にこちらに顔を向けた。
 吸い込まれそうなファリスの瞳と、牛のつぶらな瞳が交わる。緩やかに流れる時間――ファリスが頷くと、牛は何事もなかったかのように再び進行する。
「牧歌的な光景だよねー……」
 遠くの白黒の牛と茶色の牛、そして小さい白い生き物。風が草の匂いを運び、レイラが目を細め大きく息を吸い込む。
「遠くに見えるあの白いのとか、羊か山羊か? 長閑だよなぁ……世界中こうなりゃいいんだけどな」
「そうですね……でも今回、こうして皆さんとのんびり歩けたことは幸運でした」
「最近ばたばたしてたものね。それに、同じ依頼を一緒に受けることも、なかなか無いものね」
 レイがほのかに嬉しそうにしていると、ツェツィーリアが微笑む。その言葉に、どこか遠くを眺めるバルドゥル。
「皆がこんなふうにのんびりとした日々を過ごせるようになると良いであるな……」
「お、ソフトクリーム売ってる!」
 そう言ってレイラが農家の敷地へと入っていく。そこにはまぎれもなく「北海道ソフト」という看板を掲げた、店には見えない店が存在した。
「そふとくりぃむ、とやらを食すのであるな……」
 バルドゥルが腕を組んで首を傾げると、もちろんそれに激しく食いつくのは、夜刀彦。
「北海道のソフトクリームって、すごい美味しいって聞いたよ。俺は何にしよう……ハスカップ? って何? これにしようかな」
「北海道ならバニラよね〜♪」
「牛乳ソフトっしょ!」
 3人が頼めば、全員頼みたくなるもの。ファリスがさつまいもソフトを頼み、一口。
「これは……なんとも不思議な味ですね」
「あー、そっちも美味しそう。一口! 一口!」
 ファリスに詰め寄ると、ソフトを一口。その間にちゃっかり、ファリスもレイラの牛乳ソフトを一口頂いていた。
「私もその『ばにら』というのでお願いします――白いね……そっちの、色がつくのは材料が違うから?」
「そうですよ! あ、美味しい」
 ハスカップ味に『かじりついた』荒ぶるジャンガリアン。一瞬にして1本を完食し、その目がレイのバニラに注がれていた。微笑みながらレイが「一口どうぞ」と差し出すと、容赦のない一撃がソフトの半分以上もぎ取るのであった。
「東城さん鼻の上についてるよ」
「これがソフトクリームってやつか。へ〜……って、すっげ早く溶けんなこれ!?」
 ラベンダーという謎の味を注文したラウールが慌てると、その機を逃さずジャンガリアンが根こそぎ喰らい尽くす。
「ヤト、容赦なさすぎだぞ!?」
「我は何味にしようか……どれがどれか分からぬ、故店主殿のおすすめを食そう」
 そうして出されたのが薄いピンク色をした、コケモモ味。それを一口。
 頷いていると、リベンジにとラウールがまたラベンダー味に挑戦。今度はしっかりと自分の口へ。
「面白い味だな。そっちのどんなだ?」
「人界の食べ物は美味であるな……」
 ラウールとバルドゥルで、ソフトを交換。そして2人ともまた、満足げに頷くのであった。そこに再びジャンガリアンが強襲を仕掛け、どちらにもかじりつく。
「美味しいね! また来ようね♪」
「来ようね!」
 幸せそうな夜刀彦とレイラ。2人の言葉にファリスはコクコクと頷いている。
 皆が皆、同意見であろう。
「そうね、またのんびりしに来たいわね♪ たまにはこんな日も、いいわよね」
「こんな日が続くと良いな……」

 そろそろ日が傾きかけてきた頃。撃退士に触発され、無理をしてリタイヤする一般人がちらほら見える中、ヒロは懸命に手当をしながら歩いていた。もちろん、それにひりょ達も付き合っている。
 そこに1台のバスが到着。すると清十郎が救急箱を持って降りてきた。
「リタイヤしたんですか?」
「いえ、もうゴールしたのでバスで景色を楽しみつつ、リタイヤした方の手当てにまわっているんです。目線が高くなるから景色がまた、違って見えますね」
「それはおめでとうございます」
 ひりょが笑顔で祝辞を述べると、清十郎は頭を掻きながら「ありがとうございます」と返す。そしてヒロに代わって手当を。
「楽しみ方がひとつ、増えたかもしんない」
 バスを見上げ、そうマオは呟くのであった。

 手をつないで歩いている諏訪と千尋。2人ともピンキーリング、カボチャバッチを装着し、諏訪は誕生日に貰ったネクタイを。
 千尋は髪にはクリスマスに貰った髪飾りと誕生日に貰ったバレッタを。親友とお揃いのマスコットはポシェットに忍ばせてある。
 現状、2人とって最強無敵の装備だ。
「すわくん、カフェオレどう!!」
「まだ大丈夫ですよー? それより、手は疲れてませんかー? 朝から握りっぱなしでしたよねー?」
「全然!! 大丈夫!! むしろ離す方が非推奨!!」
 ぶんぶんとちぎれんばかりに腕を振り回す千尋に諏訪が微笑んでいると、ふと沈みかけの夕陽が目に留まった。
 もうほとんど夕陽は山の向こうへと姿を隠しており、空の色が赤から濃紺に変わろうとしている。気の早い星達がまばらにその姿を見せ、自分を主張していた。
 雰囲気のせいだろう。諏訪は考えずにはいられなかった。
(それぞれの都合で、お別れすることになった友達もいました。撃退士である以上、明日、今と同じでいられるとは限らないからこそ今この時を大事にしたいのですよ)
 不思議そうな顔をする千尋に、にこっと微笑みかける。だがやや寂しげな気配を感じ取ったのか、千尋も似たような事を考えていた。
(久遠ヶ原に来てから、大事に思っていた人が突然いなくなる経験を何度もした。1年後どころか3日後だって今と同じかどうかわからない。だから今は大好きな人と手を繋いで歩きたいと思う――モノも想いも、全部大事に持ち続けたい)
「一緒に歩けてよかった、ありがとうね!!」
「自分の方こそですよー? ありがとうございます、千尋ちゃん。これからも一緒ですよー?」
 赤と紺のコントラストが2人を静かに包み込み、2人はそっと口づけをかわす。
 その時、諏訪の視界に一筋の流れ星が。
(笑っていられる未来で、ありますように……)

 月明かりのみとなった海岸にサミュエル・クレマン(jb4042)は1人、石に腰を下ろし、足にテーピングを巻いていた。
「痛っ……暑い時間に走ったからかな。周りに誰も居なくて、1人で波の音を聞いてると心細いな……」
「何をしておる、サミュエル」
 不意に声をかけられ振り返ると、インレとVienaがそこに居た。
「あっ、インレさんっ! な、泣いてないですよ!」
 目をこすり、そこでやっとVienaに気がついた。
「あれ、寮監さんも一緒なんですね。お2人はお知り合いだったんですか?」
「はい。よくお話する方です――足を怪我していらっしゃいますね」
「え、いいえ、ちょっと休憩してたんです。まだまだ元気ですよっ……痛っ」
 立ち上がり、大丈夫をアピールしようとして失敗。再び石に腰を下ろすと、Vienaがその前に膝を折って何も言わず手当てを始める。
「無理する必要も無かろう。弱っておる時、素直に手を借りればよいのだ。そして弱った者に、手を差し伸べればよいだけの事」
「あ、ありがとうございます」
 差しのべられた手を取り立ち上がると、すぐさま空いてる手をVienaが握りしめる。
「片方だけというのもバランスが取り辛く思われますので……」
 インレは常に自分のペースで歩き続け、口を開いた。
「こうやってのんびり歩くのも悪くなかろう。走らずにはおられん時も、走らねばならん時もあるやもしれん。だが走っていては見過ごしてしまう景色もある」
「歩いてこそ見える景色ですか……そういえば、僕は急ぎすぎて周りを見てませんでした」
「それに、こうやって誰かと共に歩むこともできん。走れば誰かを置き去りにする事もあるだろう」
 サミュエル、そしてVienaの顔を順に見る。
「だから、わしはのんびり歩くのが好きだよ」
 ふと、孤高の月が孤高ではない事に目を奪われたVienaが足を止めた。
「申し訳ございませんが、少々お待ちいただけますか?」
「断る術もなかろう」
「感謝いたします――」
 道から逸れ、人気のない海岸に足を踏み入れたVienaは靴を脱ぎ、翼を広げると音もなく飛んだ。
 月の光をその身に受け、ほんのり金色に輝いて見えるViena。ふわりと海面に映るもう1つの月に、つま先でちょんと、まるでキスをするかのごとく触れる。
 海岸から、こちらを見ているであろう彼に目を向け、それから天にある月へと手を伸ばした。
(空と海に散らばる命燃やす、孤独な欠片……どこか自分と似ている)
 右目で凝視していたインレには、その姿が幻想的に霞んで見え、言葉がなかなか出てこない。それでも何とか、絞り出す。
「……ああ、綺麗だのう」
「あ、本当だ、きれいな月ですね」
 手をしっかり、ギュッと握られたインレは、いずれその手が離れ、先へ行く事を想うのであった――

 ここにも、手を繋いでいる2人がいた。星と月と海に心躍らせ歌い歩く、赤黒ジャージにスニーカーの歌謡い。
「専属の歌謡いがお供して、あなたの夜の散歩をより楽しいものに彩ってあげましょう! ……やで♪」
「もー、ジュンちゃんたらー」
 べしべしと亀山 淳紅(ja2261)頭を平手で叩くRehni Nam(ja5283)。白のサマードレスに薄い水色のカーディガン、四葉のタリスマンと青いサンダル姿で、お互い、引き立てあっている。
「でも、今だけはジュンちゃんの歌声、私が独り占めです」
 夜の海岸で手を繋ぎお散歩デート。波の音と彼の歌声が、彼女の全身に染みわたる。
「そう言えば、お付き合いを始めてからそろそろ1年になるんですね」
「ああ、もうそんなになるんやねぇ……長いようで短かった、かな。ここ1年色んなことがあったし」
 淳紅の言葉に耳をピクリとさせる。
「もうなのか、まだなのか……どっちなのでしょうね?」
「あっという間に『もう』1年やね。そして『まだ』まだこれからもよろしくやで」
 ニッと笑う彼に釣られ、彼女も微笑んだ。
「初めてお会いしてからお付き合いを始めるまでよりも、もう2倍近い時間が流れている……なんだか、とても不思議な気分です」
 立ち止まり月を見上げる彼女。
「ね、ジュンちゃん。今日も、とってもお月様が綺麗ですね。きっと100年経っても200年経っても、綺麗なままなのです」
 彼女の横顔に見惚れていた淳紅はパッと手を離し、一歩前へ。
「Ah se in ciel,
 benigne stelle,
 La pieta non e smarrita,
 O toglietemi la vita,
 o lasciatemi il mio ben」
 声高らかに歌い上げ振り返り、ほんの少しだけ背伸びをして口づけをかわす。
 そして淳紅の目には一粒の涙が。
「ほんま、綺麗やね」
 天に命を奪われなかった彼は、愛しすぎる目の前の彼女に微笑みかけるのであった。

 頭の後ろで手を組み、ぷらぷらと歩いているギィネシアヌ(ja5565)。その横で橋場 アトリアーナ(ja1403)は星空を見上げながら、歩調を合わせていた。
「……ん、こうやってのんびりするのも、たまにはいいですの。ネアも一緒らなおさらですの」
「お、満天の星とはよく言ったものであるな」
 ビシビシと指をさし、説明を始めた。
「あの赤い星を目にしてんのが狼男座に、十字架が刺さってるみたいに見えるのが吸血鬼座、それとあれはフランケン座って言うんだぜ、アトリねえさん!」
 もちろん、真っ赤なウソ。そんな魑魅魍魎に例えられた名も無き星達はえらいはた迷惑である。だがアトリアーナは感心しきりで、一切疑っていない。
「……むぅ、聞いたことないのばっかり知ってる。……物知りですの」
「おお、いくらでも言えるぜ。全部ウソだからな」
「嘘なんですの?」
「いや? ウソってのは嘘だ。というのもウソ、ってのが本当なのだ」
 わかりにくそうな言い回しをして、さらにアトリアーナをおちょくる。案の定、アトリアーナは言葉を何度も反芻し、首を捻り続けている。
 その様子がたまらなく可愛く愉快で、人の悪い笑みを浮かべて夜空を見上げていた。吸い込まれそうな、夜空。
 ギィネシアヌの表情が歩く速度に比例して、だんだんと暗くなっていく。ついには立ち止まり、俯いたままアトリアーナの袖を掴んでいた。
 不思議そうなするアトリアーナが振り返り首を傾げると、俯いたままギィネシアヌはポツリと言葉を口に。
「もし、俺が……いやなんでもないのだ」
(戦いの中では死と隣り合わせ。死んだら星になるなんて今時子供も信じない。でももし夜空に自分が居たら、義姉さんは見つけてくれるだろうか)
 そんな事を考えてしまう。だがそれを口に出してしまう事だけは、しなかった。
 けれどもアトリアーナはそんな義妹の心情を、表情と雰囲気から何となく察し、ぎゅーっと抱きしめる。
「……大丈夫ですの、そんな事にはならないの」
 微笑みながら、縮こまったその頭をなで続ける。
 そして夜空の星に、願いを込めた。
 平穏な毎日が続くように。大切な人達に間違いがないように、と――

(全然鍛えてないもんな……)
 ゴールはもう目と鼻の先だが、足は思うように動かない。ひりょも修平の限界を感じていたが、本人の気力を汲んで、あえて手を貸さないでいた。
 だがそんな事はお構いなしなのが、ヴァローナ。
「ん、ヴァロが背負う」
 修平の前に回り込むと、いともあっさりと背負いあげ、サンダルのまま駆け出す。そのあとをひりょ、ヒロ、マオは追いかけていった。

 到着時刻にはばらつきがあったものの、撃退士達は1人もかける事無く、ゴールへと。
 そして開会式同様に簡素な閉会式。1位の清十郎に木彫りの熊が贈与され、閉会の宣言で終わり。実にシンプルである。
 閉会宣言で手を叩いていたヒロ。今回で知り合えた人達を一通り、目で追った。
(いい人達、いい景色、いい巡りあい――この世界を何としても守らなきゃ!)
 ゆっくりと見てきたものを思い浮かべ、さらに決意を固める。恐らく、参加した多くの撃退士達が感じた事だろう。
 世界はこんなにもきれいなのだから――


 共に歩こう2013 終


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 道を切り開く者・楯清十郎(ja2990)
重体: −
面白かった!:18人

魔に諍う者・
並木坂・マオ(ja0317)

大学部1年286組 女 ナイトウォーカー
Wizard・
暮居 凪(ja0503)

大学部7年72組 女 ルインズブレイド
Blue Sphere Ballad・
君田 夢野(ja0561)

卒業 男 ルインズブレイド
二月といえば海・
櫟 諏訪(ja1215)

大学部5年4組 男 インフィルトレイター
無傷のドラゴンスレイヤー・
橋場・R・アトリアーナ(ja1403)

大学部4年163組 女 阿修羅
歌謡い・
亀山 淳紅(ja2261)

卒業 男 ダアト
道を切り開く者・
楯清十郎(ja2990)

大学部4年231組 男 ディバインナイト
前を向いて、未来へ・
Rehni Nam(ja5283)

卒業 女 アストラルヴァンガード
魔族(設定)・
ギィネシアヌ(ja5565)

大学部4年290組 女 インフィルトレイター
災禍祓いし常闇の明星・
東城 夜刀彦(ja6047)

大学部4年73組 男 鬼道忍軍
新世界への扉・
ツェツィーリア・エデルトルート(ja7717)

大学部7年149組 女 ダアト
天眼なりし戦場の守護者・
ファリス・メイヤー(ja8033)

大学部5年123組 女 アストラルヴァンガード
和の花は春陽に咲う・
レイラ・アスカロノフ(ja8389)

大学部5年66組 女 阿修羅
輝く未来の訪れ願う・
櫟 千尋(ja8564)

大学部4年228組 女 インフィルトレイター
守るべき明日の為に・
Viena・S・Tola(jb2720)

大学部5年16組 女 陰陽師
闇夜を照らせし清福の黒翼・
レイ・フェリウス(jb3036)

大学部5年206組 男 ナイトウォーカー
断魂に潰えぬ心・
インレ(jb3056)

大学部1年6組 男 阿修羅
俺達の戦いはここからだ!・
ラウール・ペンドルミン(jb3166)

大学部5年70組 男 陰陽師
来し方抱き、行く末見つめ・
黄昏ひりょ(jb3452)

卒業 男 陰陽師
守護の覚悟・
サミュエル・クレマン(jb4042)

大学部1年33組 男 ディバインナイト
祈り秘めたる透翼の天使・
バルドゥル・エンゲルブレヒト(jb4599)

大学部6年13組 男 アストラルヴァンガード
優しき心を胸に、その先へ・
水無月 ヒロ(jb5185)

大学部3年117組 男 ルインズブレイド
花咲ませし翠・
安瀬地 治翠(jb5992)

大学部7年183組 男 アカシックレコーダー:タイプA
撃退士・
時入 雪人(jb5998)

大学部4年50組 男 アカシックレコーダー:タイプB
小悪魔な遊び・
ヴァローナ(jb6714)

大学部3年278組 女 鬼道忍軍