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マスター:クロカミマヤ
シナリオ形態:ショート
難易度:易しい
参加人数:8人
サポート:5人
リプレイ完成日時:2012/01/20


みんなの思い出



オープニング

●新聞同好会って新聞作る所じゃなかったっけ
 中山寧々美(jz0020)は激怒した。必ず、かの 邪智暴虐の大食漢を除かなければならぬと決意した。
 寧々美には大食いはできぬ。寧々美は、新聞同好会の会長である。
 バーボンハウスを経営し、弟をこき使って暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
「学園内賭博、許さーん!」
 ざぱーん。背景に荒波が見えた。

●久遠ヶ原学園 フードファイツ部(通称FF部)
「う、臼田部長! 次のフードファイツに新聞同好会の取材申し込みがあったってマジ!?」
 金髪をメガ盛りした女が、慌てた様子で部室へ飛び込んでくる。
 社長のそれ風の、どっしりした椅子に腰掛けた巨漢が、静かに振り向く。
 蛍光灯の明かりを反射して、きらりと光る眼鏡。
「……ああ、曽野か。案ずるな、丁重にお断りしたよ」
「でも相手はあの中山寧々美だよ? 大人しく引き下がるはずがないというかー……」
「いや。大丈夫だ、曽野」
 臼田と呼ばれた男は、中指でくいっと眼鏡をあげた。
 浮き上がる鼻の皮脂に反逆するように。
 そして不安げに眉を寄せるキャバい女に向かい、にやりと微笑みを浮かべる。
「中山姉は十中八九、人の減る試合中に部室へやってくる。……そこでだ」
「……罠?」
「ご明察。抜かりはない。『向こう』から2名、腕利きの助っ人を借りてくることにした」
 悪役さながらにほくそ笑む、2人のフードファイターであった。

●フードファイツ開催
 寧々美がずいっとチラシを差し出した。
「ねえ、大食いに自身のある子、まわりにいない? 潜入取材のために協力してほしいんだけど……」
「……えーと……?」
 首を傾げる後輩の前で、寧々美は憤りをあらわにする。
「そうなの! 表向きはただの大食いイベント、でも裏で賭博の疑いが浮上してるのよ」
 ため息まじりに新聞同好会会長はぼやく。
「どうも勝負自体はガチンコ勝負みたいなんだけど……いかんせん、あたし大食い苦手なのよね。
 どう? 知り合いに、向いてそうな子はいないかしら?
 ついでにあたしのお手伝いしてくれる子も募集しちゃおっかなー♪」

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 久遠ヶ原学園Food - Fights
 〜君も食という名の地獄を見よ!〜

【ルール】
 制限時間内により多くの食品を平らげた方の勝ち。
 2チーム対抗戦で5番勝負。3本先取。

【報酬】
 勝利チームへは賞金5万久遠と、副賞の購買パンセットが贈られます
 チームの勝利に貢献したMVPには、記念の称号も……!?

【メニュー】
 第一試合:激盛★ホットドッグ(プリンセス古林)
 第二試合:激熱★あんかけラーメン使い魔添え(魔男・管原)
 第三試合:激甘☆天使のスイーツ(女王・乃木坂)
 第四試合:激辛☆悪魔のカレー(ファットマン臼田)
 第五試合:秘密のおかわりメニューディアボロ風(キャバ曽野)

※挑戦者の人数が集まらない場合、開催を中止することがあります。ご了承下さい。

☆対戦者募集中!☆
大食いに自身のある対戦希望者は下記までご連絡下さい。
XXX-XXXX-XXXX FF部代表:ファットマン臼田

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リプレイ本文

●激盛ホットドッグ
『さぁ、久遠ヶ原学園名物フードファイツのお時間です』
 実況部員が高らかに宣言する。
 ステージ上には大食いとは縁遠そうな美女と、島津・陸刀(ja0031)の姿があった。
『第一試合はお馴染み、ホットドッグ早食い対決です。挑戦者の島津君、意気込みをどうぞ!』
 マイクを向けられた陸刀は、目を泳がせ頬を掻く。
「食える時に食えるだけ、が信条なんでな。まァ、やれるだけやるぜ」
 豪気な陸刀も、流石に衆人環視の中で正直に「タダ飯食いにきた」とは言えない様子だ。

 持ち込む水を用意し、朝食は早め、適度に体を動かしてからやってきた陸刀。
 体調は万全。待ちきれないとばかりに、開始と同時に最初のパンに手を伸ばす。
 飢えた獣のような視線。目の前の食べ物だけに注がれる。
 対戦相手など気にも留めず、高く積まれたパンの山を黙々と処理していく。
『島津選手ここで水、水です! 水に漬けて押し潰す事で空洞を埋め、小さくして丸呑みする作戦だーッ』
 陸刀にとってはいつもの方法だが、観衆には物珍しいのか盛り上がりを見せる。
『だが王者も強い! 両者譲らず! プリンセス絵面が汚い、汚すぎるッ』

 ※しばらくお待ち下さい

『これは……前代未聞! プリンセス屈する!』
 観衆が沸く。王者がげっ歯類のような顔のまま頭を抱えた。
「姉ちゃん意外にやるなァ? まァ、アレだ。ごっそさん」
 勝敗には興味がない素振りを見せていた陸刀にも、やはり勝利の蜜は甘いようだ。
「あー食った、腹一杯だァ。……後ァ任せた」
 ステージから降りる際、入れ替わるように上がった君田 夢野(ja0561)の肩を叩く。
「覚悟はしてたけど……手強そうだな」
 残された夢野は壇上で一人、息をのむ。

●激熱あんかけラーメン
 部活で音楽をやっている夢野は、演奏や歌でスポーツ並みのエネルギー消費をする。
 それなりに食べる方だと自負していた。加えて麺類は大好物だ。
 しかし、激熱だ。あんかけだ。
 警戒した夢野は、胃袋の調整と並行して、事前にある対策を行っていた。
 沸かしたての白湯を飲み、口と食道を麻痺させるという文字通りの荒業。
「ここまでしたんだ、勝たねば元が取れない……!」
 言いながら胃薬をゴクリ。手元には温めの濃厚ヨーグルト飲料と氷水。火傷対策も万全だ。
 己を窮地に追い込み、ラーメンよりも熱い志と情熱で試合に臨む。
「――いただきます」
 言葉と同時に、夢野は箸を取る。器に突っ込み、一気にかき混ぜ空気を含ませる。
 定石通りフーフー息を吹きかけるが、そこは管楽器の演奏で鍛えた自慢の肺活量。
 一般人がするより遥かに早く、丼は急速に熱を失っていく。
 当然それでは終わらない。間髪いれず次の段階に移行。息を止め、まだ熱いスープと麺を一気にかき込む。
『出た! 君田選手、必殺の『ロングトーン食い』! ちなみにロングトーンとは、管楽器等で長く音を持続させ(ry』
 加熱する実況。麺を嚥下しつつ、手応えを感じた夢野は隣を盗み見――そこで箸が止まった。
(何だあれ!? 魔女……じゃなかった魔男って、そういうことか!)
 管原はまるで温度など存在しないかのように、ずるずる麺を啜っている。
 唯一アツアツ感があるのは、彼の眼鏡が曇っている点か。
 箸を取り落としそうになる夢野。だが、なんとか気を持ち直す。
「お、おかわり!」
 驚いている場合ではない。少しでも食べ進めなければ!
 2杯目、かき混ぜる。フーフー、麺を口へ運ぶ。
(まずい……舌の感覚もなくなってきた)
 それでも止まる訳にはいかない。火傷を恐れず残った麺をかき込む――が。
「むぐっ……!?」
『おーっと君田選手ここでまさかのリテヌート! 大きくむせているッ』
 詰まった! 目を白黒させて胸を叩く。ドリンクでなんとか胃に押し込むが、ロスは大きい。その間にも敵は皿をあけていた。
『挑戦者、張り切りすぎたのが裏目に出たかッ!』

「……死ぬかと思った。ごめん、皆」
 氷の塊を口に含み、げっそりと夢野が嘆く。
「強敵なのは分かっていた事です。仕方ありません」
 斐川幽夜(ja1965)が夢野をさりげなくフォローする。
 だが、ここまで1勝1敗。決して気は抜けない。……さて、次はどう出る?

●ひとつの疑念
 その頃、中山寧々美(jz0020)達はFF部室への潜入を試みていた。
「ガッシ! ボカ!」
「ぬわー」
 入口付近を警戒していた2人の撃退士は情けなく倒れた。
「まさか出会い頭の一発で倒せるとは……」
 不法侵入だとか野暮なことを言ってはいけない。公平公正だけでは真実は暴けない。……多分。
「というか影で怪しい事やってる方が悪いのよ、うん」
 などと呟き己を正当化する寧々美。その背後には、同じく証拠品の捜索にあたる男装の麗人――山本 詠美(ja3571)。
 しかし、何やら様子がおかしい。
(もふも……くっいや、お、おお落ち着け、に、任務中だっ)
 彼女が握っているのは兎のぬいぐるみ。
「……こ、この中、は流石に無い、かな」
(でもドラマだと、USBメモリやらが入ってる事も)
 いやいや、と首を振る。まさかそんなベタな。
(でも見落としたらアカン……仕方なくだ。そう、仕方なく)
 意を決し、兎の腹を押した――その時。
「ヤマさん、何か見つかった?」
 スパイさながらにコードネームを呼びながら、寧々美が突然振り向いた。
「!」
 すぽーん。ぬいぐるみ宙を舞う。詠美はあからさまに慌てた調子で答えた。
「と、と、特にないっ」
「ですよねー」
 言葉を交わしつつも、引き出しや戸棚、机の上など部室内をくまなく探していく。
 勿論、探索の痕跡を残さないよう気をつけながら。
(しかし……いくらツッキーとシロが見張っているとはいえ、静かすぎるな)
 手を動かしながらも、詠美は考える。
(……そもそも、この部屋自体が罠という可能性は? 考えすぎか?)
 手を止め声をかける。
「ミネネ、賭博というのはどこ情報だ?」
 湧いて出た素朴な疑問。ぶつけてみると、寧々美はあっけらかんと答えた。
「匿名のタレコミですよ。正義感に燃える学生が多くて感動するよねっ」
 その答えを聞いて、詠美は気づく。いくら探しても証拠などない。

 ――そもそも、本当に賭博は行われているのか?

●激甘と激辛
『次は天使のスイーツだ。さあ、この激甘地獄に耐えられるか!』
 女王が登壇する。同時に幽夜も壇上へ。
「激甘食べ放題……ふふふ」
 俄然やる気を見せていた。当然である。彼女は自他ともに認める驚異の甘味好きなのだ。
 本番に向けて数日前から食事量を調整する様は最早アスリート。
 水、OK。胃薬、OK。食後のデザート用に、大好物の鰻も用意してきた。
(さて、どの程度の甘さでしょうね。未体験の甘さなら嬉しいのですが)
 相手も人間だが、どれほどのポテンシャルを秘めているかは分からない。油断はせず戦いに臨む。
『それでは3回戦……レディ、ファイッ!』
 ホールケーキ出現。上にはアイスクリームやらプリンやら、様々なスイーツが乗っている。
 砂糖の塊を食しつつ、砂糖の沈殿した砂糖水で喉を潤す女王。
 だが幽夜も負けていない。ほぼ互角のまま、両者黙々と食べ進める。
(大食い用だからと手を抜いているかと思えば、これは意外にも……嬉しい誤算ですね)
 クリームやらプリンやらを作業的に口に放り込みながらも、実はしっかりと味わっているようだ。
(あぁ、早くケーキにたどり着きたい……ふふふふふ)
 妖しげな笑みが溢れる。観客が逆に引くほどの、凄まじい食べっぷりだ。
『斐川選手、甘いものお好きなんですね!』
 寄ってきた実況。マイクを向けられ、幽夜は不敵に笑った。
「ええ。アウルに目覚めてからは、何故か別腹が底無しになったようで……」
 ―――体は砂糖で出来ている。血潮は蜂蜜、心は樹液。その体は、きっと砂糖で出来ていた。
『勝者……斐川!』
 まさかあの女王が敗戦を喫するとは。会場がどよめく。
「この程度で女王ですか。それならば、私はさしずめ女帝でしょうか?」
 悔しげに膝を折る女王を尻目に、余裕の笑みさえ見せる幽夜だった。
「甘さの方は、なかなか素敵でした。さらに上を目指したくなりましたよ……ふふふ」

 これで戦績は2勝1敗。形勢は有利だが、まだ勝負は分からない。
『盛り上がってまいりました、前人未到の第4試合! 準備はいいか!? 我らが部長の登場だッ』
 臼田が現れる。満を持しての登場に、会場も一層の盛り上がりを見せている。
「大食い……得意じゃないけど……辛いのは、平気」
 ふとましい男の隣でたどたどしく話すのは月水鏡 那雨夜(ja0356)。こう見えて自他共に認める激辛好きだ。
『こちらはこれまた可愛い……そんな挑戦者で大丈夫かー!?』
 大丈夫だ、問題ない。
 それどころかこの少女、事前に料理担当のもとへ向かい、一番辛い唐辛子の増量を頼んでいた。
『それでは尋常に……レディ、ファイッ』
 掛け声と同時に、那雨夜はぺこりとお辞儀をしてカレーに手をつける。
 辛さなど微塵も感じさせない冷静さのまま、コーヒー牛乳片手に黙々と食べ進めていく。
「……おかわり……下さい」
 早くも2杯目に突入。
 皿が出されるまでの僅かな時間を利用して、箸休めに持参した自作カスタードシューを頬張る事も忘れない。
 だがどれだけ辛さに耐えられても、量を食べられない以上、対戦相手が自爆するのを願うしかない。
 盗み見るように、隣の男に視線を向ける。
 さすがに辛いのだろう、冬だというのに汗だくだ。
「カレーは、飲み物!」
 だが伊達に横幅を取っていない。おかわりの際に発するお決まりの言葉にさえ、FF部長の風格が漂っている。
「……もう、無理。おなか……一杯……」
 3杯目をひと口食べたあたりで、制限時間を待たずに那雨夜は白旗をあげた。心無しか目尻が潤んでいる。
 量を食べずに大食いを制することができるほど、甘くはなかった。

●ガセネタ?
 FF部室周辺の警戒にあたっていた月臣 朔羅(ja0820)へ、詠美からメールが届いた。
(何かしら)
 手早く開き、内容を確認する。
『プリントは部室には無いようだ。詳細は先輩を見つけて聞いて』
 一見何気ない日常のメール。だが事前にしておいた打ち合わせに照らし合わせ、解読すると――
(証拠は無い、部員を見つけて尾行しろ? どういうこと……?)
 しかし考えている暇はない。
 顔を覚えていて良かった。部員と思しき男なら今し方、朔羅の目の前を通り過ぎた。
(……とにかく、指示通り動いてみましょうか)
 隠密行動に切り替え、そのまま部員の背を追う。

 同じ頃、別の地点で待機していた若菜 白兎(ja2109)のもとにも同じメールが届いていた。
 内容を確認すると、目の前を行く女性を追いかけるように部室前を後にした。

「あれれ、ツッキー先輩」
 途中で鉢合わせする2人。それもその筈、追いかけていた部員2名が合流し、とある部屋へ消えていったのだ。
「シロ? ……というか此処、もしかして」
 顔をあげる朔羅。その視線を追うように、白兎も上を見た。
 部屋の入口。掲げられている看板――

(新聞同好会……!)

●おかわり!
 ケバい化粧の女が現れる。対する挑戦者は鳴神 裁(ja0578)。
 次のメニューは不明。秘密であり、同時に5試合目が開催された試しがなかったゆえ。
「ごにゃーぽ☆ どんな敵かなっ?」
 ディアボロ風と言われて何を想像する。某レストランのアレか? 否。
 久遠ヶ原の学生なら、ディアボロ風すなわち、何でもあり。
 目を輝かせつつ待機する裁の前に現れたのは……。
『おわかり? 総決算だせ! 今まで出てきたメニュー全てを混ぜた逸品ッ!』
 ででーん。
 完全に灰色……! 絶対的ゲテモノ……! 間違いない……食欲減退……ッ!
「棄権してもいいのよ?」
 腕を組む昇天メガ盛り女。あたかも始まる前から勝負はついていると言いたげだ。
 ――だが、そのしたり顔は一瞬にして凍りつく。
「なんだぁ。期待してたのに意外と普通だね」
 ざわ……。誰もが耳を疑った。ご心配なく、貴方の耳は正常です。
 驚き箸を取り落とすキャバ曽野を尻目に、裁は勢いよくソレに箸を突き立てた。
「ボク部活で鍛えてるし。この位じゃ驚かないよ」
 にっこり笑って、どう見ても食べ物とは思えないソレらを平気で掻き込んでいく。
 鳴神流美食格闘を継承する(と自称している)彼女相手に、この程度の奇策は意味を為さないのだ。
(ちゃんと大食いの準備もしてきたしね。バッチリ臨戦態勢なのさっ☆)
 合間に摂取する水も最低限。
 解説が解説を忘れるほどの徹底した戦士っぷり、お見逸れしました。

『しょ……勝者、鳴神』
 呆然と立ち尽くす部員達を嘲笑うかのように、裁はトドメの一言を放った。
「鍛え足りんね。さぁ、この『あじゅーる』で鍛え直すんだっ」
 取り出したるは彼女お手製の青いゲル……もとい『蒼汁』。
 彼女の周囲でも両極の意見が飛び交う、曰く付きの代物だ。元王者、文字通り裸足で逃走。
『み、見事3勝した挑戦者に賞金と副sブェッ』
 必死で任を遂行しようとする実況の口に、スライム……もとい蒼汁がIN。
 その光景を見た観衆は、蜘蛛の子を散らすように走り去っていくのだった。ザッツカオス。

●騒動の顛末は
 悪い予感は的中した。ブワッ状態な寧々美の腕を引き、詠美が廊下を疾走する。
「おかしいと思ったんだ。FF部は百戦百勝。それで賭博が成立するか?」
 寧々美はスクープと洋服に弱い。熟知していれば、ガセネタ掴ませて陽動することは容易だ。
 ――つまり、FF部の狙いは。

「ミネネ先輩、やっぱりピッキングですっ」
 開け放たれた扉の鍵を見て、白兎が電話口で叫ぶ。
 侵入者達の真の目的はまだ分からない。だが、それは捕まえて白状させればいい。
 目論見は外れたが、相手が悪事を働こうとしていた事実は同じだ。容赦はしない。
「不法侵入だめなのーっ!」
 白兎がばーんと扉を開け放ち、中で何かを探す男女に飛びかかる。
 自分達も同じ事をしていただろうとか、常識的なツッコミをしてはいけない。
「あべしっ」
 体当たりの衝撃で、体勢を崩した女が吹っ飛ぶ。
 写真が散らばる。賭博関係ではない。全く関係ない、曽野のプライベートショット。
「悪い人には、キツいお仕置きが必要よね? ……ふふ、覚悟なさい」
 妖艶に笑みを浮かべたまま、朔羅が男に告げる。さながら死刑宣告である。
「ひでぶ――」
 追いついた詠美が、遅れて同好会の部室に駆け込んできた瞬間……男の断末魔が久遠ヶ原にこだました。

 裏賭博なんて無かったんや……。
 情報は、個人的な弱みを握られた部長とキャバによる自作自演のガセネタだった。
 真実は時にひどく陳腐なものだ。
 その後、打ち上げと称して那雨夜のシュークリームの余りやら、
 幽夜が持ってきた鰻の蒲焼やら、思い思いの食品を皆がつつく中……

 平謝りで土下座しまくる寧々美の姿があったことは、言うまでもないだろう。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:2人

獅子焔拳・
島津・陸刀(ja0031)

卒業 男 阿修羅
託された約束・
月水鏡 那雨夜(ja0356)

大学部4年42組 女 インフィルトレイター
Blue Sphere Ballad・
君田 夢野(ja0561)

卒業 男 ルインズブレイド
蒼汁の伝道師・
鳴神 裁(ja0578)

大学部4年90組 女 アカシックレコーダー:タイプB
封影百手・
月臣 朔羅(ja0820)

卒業 女 鬼道忍軍
Le lien eternel・
斐川幽夜(ja1965)

大学部7年200組 女 インフィルトレイター
祈りの煌めき・
若菜 白兎(ja2109)

中等部1年8組 女 アストラルヴァンガード
赤目の麗人・
山本 詠美(ja3571)

大学部7年66組 女 鬼道忍軍