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マスター:黒川うみ
シナリオ形態:ショート
難易度:易しい
参加人数:6人
サポート:3人
リプレイ完成日時:2013/06/30


みんなの思い出



オープニング

「カズハちゃん先生ぇ! 保健室貸して下さいぃ!」

 開口一番、意味不明の要請に、山咲 一葉(jz0066)は目を丸くした。
 ちょうど傷を診てもらっていた半裸の生徒は顔を赤くした。


「……つまり、怪談をする場所を提供して欲しい、と?」
「はいぃ」
 怪談倶楽部部長・三美夢子(みみ ゆめこ)は笑顔で悠然と構えている。
 断られるとは露とも思っていないその様子に、一葉は渋い表情である。
「いつものぉ、百物語ではなくてぇ、夏の前哨戦ということでぇ、一人一話持ち寄る形にぃ、したいと思ってぇ」
「いつもの……百物語……?」

 ぶっちゃけ、一葉は幽霊や怪談の類が苦手である。
 天魔?
 うん、あれは倒せるから大丈夫。
 夜の学校? 病院?
 仕事だと割り切れるから大丈夫。
 お化け屋敷? ホラー特集? 映画?
 無理。絶対無理。
 趣味にはできない。楽しめない。
 生理的に受け付けないのだから、理由などない。

「別に保健室じゃなくても……」
「くじ引きでぇ、決定したんですぅ」
 くじの内容は学校のホラー定番がずらり。
 保健室の他、理科室、図書室、家庭科室、トイレ、廊下、校庭、等々。
 ついでに当日の怪談のテーマも『学校系怪談』らしい。

 ナニソレ。ナニコレ。
 暗に保健室の怪談を話そうとしているとしか思えない。

 保健室という仕事場で、保健室の恐い話。
(こ、断りたい……!)
 保健室なら他にもあるのだからと思いつつも、「カズハちゃん先生の保健室」と書かれた当たりくじを見せられて早くも挫けそうになった。
 しかし部活動に精を出す生徒を応援したいという気持ちはある。
 どんなことであれ同じ趣味を持つ仲間と語り合えるというのは、学生生活においては貴重なものだ。
(……よし、場所だけ貸して逃げるわ!)
 颯爽と逃げることを決意した一葉に、
「あぁ、当日はぁ、カズハちゃん先生にぃ、同席して欲しいんですけどぉ」
 その日に限って顧問の先生が都合つかないとかどんな罠。
 理科室ほどではないが、生徒に勝手にいじられると困る薬品や器具があるのは事実。
 夜の学校での部活動に教師が引率するのは当然のこと。

 一葉はがっくりと肩を落とした。
 どうやら逃げることはできないらしい。
 百物語でないのがせめてもの救い……かも?


 ・
 ・
 ・

「センパイっ! カズハちゃん捕まりました!?」
「もっちろんですぅ!」
 勝利のVサインに後輩も笑顔になる。

 怪談とは即ち、怖がるモノ。或いは、怖がらせるモノ。
 だが怪談を趣味とする自分達はちょっとやそっとでは驚かなくなってしまった。
 ここで心機一転、初心忘るべからずというコトワザに則って怖がる人の様子を見てみようということになったのだ。
 ゲスト、もといターゲットは怖い話が苦手ともっぱらの噂の保健室のあの先生。
 さすがに深夜の百物語は気の毒なので、一人一話でさくっと終わらせられるように計画を立てた。
 お茶やお菓子を用意して謝罪と叱責の覚悟もできている。

「さあ、先生にはぁ、めいいっぱい怖がってもらいますよぉ! あ、怖がりの人がいたら是非誘って下さいねぇ!」
 楽しげな笑顔が、なんとも残酷だった。


リプレイ本文

 陽が沈む。
 黄昏時は『誰そ彼れ時』とも書き、本来は夕暮れの暗がりで相手の顔が見えなくなった時間を指すものであると主催者の少女は語る。
 西日の赤味が消えていく教室で、ぽつぽつと途絶えていく現代的な明かりを数えるように一同は黙り込む。辺りが十分に暗くなったのを見計らって予め掛けてあった暗幕で教室を闇に閉ざす。
 ぽう、と。
 蝋燭の小さな火が驚くほど明るく一同の姿を照らし出した。
 ほっ
 誰かが溜息をつく。
 えっ
 誰もが驚きの声を上げる。

 輪になっているその中央に、蝋燭の下にロウィンのカボチャがいつの間にか置かれていた。もっと細い蝋燭が置かれていたはずなのに、いつの間に置き換えられたのだと一人の少年に視線が集まる。
「怪談には蝋燭がつきものだと聞いたので持ってきました」
 悪びれた様子もなくエイルズレトラマステリオ(ja2224)はしれっと言い放った。このカボチャ、実は中が空洞のマスクになっていて、先程まで彼がかぶっていたものだ。

 しかし、注目を集めるという点では並んで座る同じ顔の女性二人も引けを取らない。明石姉妹は同じ服装で、髪型と眼鏡でしか見分けがつかない双子…ではなく、実は三つ子らしいが今日は二人だけである。こう暗いと僅かな差異さえ見落としそうになって、同じ人が二人いるようで薄気味悪かった。

「夜の保健室とか、雰囲気ありますよねっ」
 青鹿うみ(ja1298)が実に楽しげに笑う。

 既に顔色の悪いゲストをスルーして、主催者は厳かに宣言した。
「それでは、コワバナ体験会を始めます。前もって説明した通りくじ順で、直前に山咲先生に肩を叩いてもらいます」
 現時点で順番を把握しているのは主催者と山咲一葉(jz0066)だけである。いつ自分の番が来るかわからないのも今回の余興のひとつである。一葉はペンライトでちらりとリストを確認してから、立ち上がった。


●明石暮子(jb6003)
(怖い話は苦手なのよおおおおお!)
 三つ子の長女は部員の語る怪談に既に涙目になりそうになっていた。
 妹の暁美に連れてこられた恐がりは、一葉もろともと保健室の四隅にグラスを置いて室温を下げるという演出を買って出たのだが、見事に墓穴を掘っていた。
 その肩がそっと叩かれる。悲鳴を上げそうになるが、後ろに立っているのは順番を報せに来た一葉だった。
「暗い保健室怖いです…ではなくて」
 うっかり本音がぽろり。
 誤魔化すようにコホンと咳をして、彼女は語り始めた。


 私は三つ子の長女なのですが…ええと、小学生の頃のことです。
 ある日学校へ行ったら、既に私の席にに私がいたのです。
 この通りうり二つの外見ですし、学年も同じなので間違えられることも少なくなくて、また弟か妹がいたずらしているのね、と思って。
 それで弟妹のクラスを覗きに行ったら、どういうことか…弟も妹も、自分のクラスに…ちゃんと存在していたのです…。
 私のクラスは廊下の一番端、私とすれ違わずに自分のクラスに帰る事も不可能でした。
 あれはどういう事だったのか、今でも謎に包まれたままです…。

 その後も存在しないはずの四人目が…学校にいる時だけ稀に周囲に現れるようになって…。
 笑い話にしないと堪えられないと思った私は、母に話題をふってみました。

『まさか私たちに四人目のきょうだいとかいないよね?』

と、私は聞かなければよかったのです。
母の答えは…

 輪から少し外れた場所で話を聞いている一葉を、否、一葉の背後を凝視して顔を蒼白にし、身震いした暮子はふるふると頭を振った。
「何でもありません…。私の話はここまでです」
 何だ何だと一同は一葉の方を見るが、そこには当たり前のように誰もいなかった。


●明石暁美(jb6020)
(姉さんと怖い話…ちょっと…いやすごーく楽しみ。しかも保健室なんてうってつけ!)
 暮子と同じ顔で、対照的にニコニコと笑みを浮かべて怪談を聞いていた暁美は、肩を叩かれて思わずうふふと微笑を浮かべた。話は複数用意してきた。その中でこの場にふさわしいのは。


 …そうね。
 昔通っていた小学校は、かつては病院だったともっぱらの噂だったの。
 特に保健室の場所は元霊安室と囁かれていました。
 そのせいかはわかりませんが、いつもひんやりしていた気がします。
 ある日一人で保健室にいったら、保健の先生でない人がぼんやり立っていて、よく来たねと言いました。

『ボクを迎えに来てくれたんだろう。
 …やっとここから出ていけるよ。
 さあ、さあ、――さあ!!』

 そう叫んで私の手を掴んだのです。
 凍えるほどに冷たい手でした。
 怖くて動くことができませんでした。
 その時人が入ってきて事なきを得ましたが…。


「あのままだと一体どうなっていたことか…うふふ」
 楽しんでるのがだだ漏れもとい怪しげな笑みで保健室をぐるりと見回して、首を傾げた。
「あら、随分ひんやりしていますね。その割には…随分人が増えたような?ほら、山咲先生の後ろにも、」
「え?」
「血まみれの…いえ、何でもないです」
 姉妹続けて一葉の後ろに何かいるような話に、再び視線が集まる。一葉は強ばった表情で、しかし生徒の前で取り乱すものかと無理に笑顔を浮かべて次の順番を告げる為に立ち上がったのだが。

 今まで話していた暁美が、隣に座る姉を見て軽く手を挙げた。
「すみません。姉さんの気分が悪いみたいなので、お手洗いに行ってきてもいいでしょうか?」
 軽いどよめきが走る。
「大丈夫? 一緒に行きましょうか?」
 保健室の先生らしい言葉に妹はしっかりとした口調で大丈夫ですと答えた。
 俯いた暮子が呟く。
「保健室…か…」
 一葉のみならず、耳聡い一同はその意味深な発言に薄ら寒いものを感じざるを得なかった。


●菊開すみれ(ja6392)
 一葉ちゃんが怖がると聞いて!
 大変潔い理由で参加したすみれは自分の肩を叩いた一葉をキラキラとした目で見た。
(怒られる覚悟はバッチリだ!でも可愛い女の子の悪戯だから許してくれるよね♪)
 ずぞぞ、と一葉が妙な悪寒を感じたのは決して気のせいではない、はず。


 これは、とある学校の保健室の先生のお話です。
 その日当直だった先生は、保健室で一人仕事をしていました。
 夕方から崩れた天気は夜になっても回復することなく、保健室の窓は雨と風で鳴り響いていました。

『窓の向こうに人がいそうな…』

 怖い話が苦手な先生はその考えを振りほどこうとしましたが、ペンの走る音は窓が鳴る度に途切れ、諦めた先生はヘッドフォンで音楽を聴き始めました。

 雑音が消え仕事に集中してしばらくすると
 コン、コン
 と窓を叩く音が聞こえました。

 最初は気のせいだと思いましたが
 コン、コン
 と再び音が聞こえました。

 絶対に窓を見ない!
 と、心に誓った先生ですが音は定期的に鳴り続けます。
 定期的になる音にも馴れ、落ち着きを取り戻し冷静になった先生は思いました。
『今夜は風が強いし、何か物が引っかかって窓に当たってるんだ』
 そう考えたら怯えていたのが馬鹿馬鹿しく感じられました。

 緊張感が解け先生が窓に目を向けようとした瞬間、ある事に気づきました。

『耳元で音楽がこんなに大きく鳴ってるのに…、何で窓を叩く音が聞こえるんだろう?』

 雨音は音楽に上書きされて聞こえないのに。
 雷音だって楽器のひとつのように聞こえるのに。
 どうして、窓を叩く音だけがこんなにもはっきりと。

 振り返った窓の所にはニヤニヤと笑みを浮かべた男が両手を窓に張り付けてこう…


「きゃああああ!」
「ひっ」
 タイミングよく聞こえた悲鳴に一葉が首を竦める。話をしていたすみれはきょとんと周囲を見回している。今まさに窓が大きく叩かれ悲鳴の演出をしようとしたのに、一体何が起きたのか理解していない表情だった。
「今の、保健室の外からですか?」
 せっかくいい所だったのに、と頬を膨らましかけるが声の主に覚えがあるような気がして首を傾げる。
 ここで慌てないのがやはり怪談好きな連中である。
 その時、控えめな音を立てて保健室の扉が開いた。
「すみません。今、戻りました」
 暮子と暁美の二人だった。
「皆さん、どうかされましたか?」
「いや、今悲鳴が…」
「悲鳴?」
 顔を見合わせる二人に釈然としないものを覚えながらも、部長は原因を確かめることなくコワバナの続行を宣言した。


●影野 恭弥(ja0018)
 悲鳴騒ぎにも全く動じた様子を見せず、自分の番が来たことを知ると彼は淡々と語り始めた。


 これは宿直の教師が学校内を見回っていた時の話だ。
 時間は夜遅く、クラブ活動をしていた学生達も皆既に下校していた。
 宿直室以外は明かりがついておらず、また物音一つ聞こえない…はずだった。

 見回りの時間になったので、懐中電灯を持って宿直室を出た。
 体育館の前を通ろうとした時に、教師は異変に気づいた。
 誰もいないはずの体育館から音が聞こえたんだ。
 一定のリズムで刻まれるその音は、バスケットボールのドリブルの音のように聞こえた。

 不審に思った教師は体育館のドアを開けようとする。
 しかし不思議なことに、ドアに手をかけた瞬間その音はピタリと止んだ。
 気のせいか?
 そう思ってその場を離れようとすると、再びボールをつくような音が聞こえ始めた。

 教師は息を殺してそっとドアに近づく。
 もしかしたら誰かが忍び込んでるのかもしれない。
 そう思って勢い良くドアを開け放った。

『誰かいるのか』

 体育館の中は暗く、窓から差す月明かりを除けば明かりは全くなかった。
 けれど教師は見た。
 体育館の中央、ひとりでに跳ねるボールを。
 ありえない、目の錯覚だと思いじっと目を凝らす。

 するとボールに触れる白い手が見えた。
 いや、手だけじゃない、腕、胴体、脚、段々と人の形が浮かび上がってくる…ただ一点、首から上がないことを除いて。

 あるはずのない顔がこちらを向いたような気がした。
 恐怖を感じがその場から逃げ去ったが結局あれが何だったのか、他の教師に聞いても知る者はいなかった。


 終わりだ、と恭弥は淡泊に締めた。


●エイルズレトラ マステリオ
「実はそれほど怖い話ではないんですが、不思議な体験をしたのでお話します」
 何とも当てにならない前置きに、逆に怪談倶楽部の面々は興味を惹かれたように耳をそばだてる。
「寮の、僕の部屋に後輩が遊びに来ていた時の話です」
 自室かよ! と何人かが胸中でツッコミを入れた。


 その時僕は携帯ゲームをしていたのですが、後輩がお腹がすいたと言い出したので顔を上げずに、
『冷蔵庫にプリンが入ってるから食べていいよ。僕の分も一緒に出して』
 と言いました。
 後輩がプリンを二つ取り出し、一つを僕の前の机に置き、スプーンを取に行くのを確認して僕はゲームに目を戻しました。
 しばらくすると、ゲーム画面を見ている視界の隅で、机にスプーンが置かれたのが見えました。
『あ、ありがと』
 と顔を上げて言うと、後輩はちょうどスプーンを二本持って戻ってくるところで、机の上のスプーンを見て不思議そうに言いました。
『あれ、先輩。スプーンはそっちにあったんですか?』
 心底驚いた声と表情でした。


「…後から思い返してみると、机の上にスプーンが置かれたとき、スプーンを置いた『手』は見えましたが、『腕』は見えなかったような…」
 あのスプーンは一体どこから出てきたんでしょうね、と首を傾げるエイルズレトラは、今もその部屋で暮らしているという。
 それどこの寮ですか、見に行ってもいいですか、プリン持っていってもいいですかと言い出す好奇心旺盛な部員を一葉は手を叩いてやめさせた。
「そういう話は、外でしてね?」
 疲れ果てたような表情の、なけなしの抵抗だった。


●青鹿 うみ
「えへへ、怖い話って大好きなんですよっ。するのも聞くのも!」
 ようやく自分の手番だとうみは笑った。しかも、
「あれ? 私で最後?」
 順繰りに輪を見やると何人かが頷いていた。
 楽しい時間はあっと言う間に終わってしまうらしい。もう少し暗くてひんやりとした不気味な保健室での怪談を味わいたかったなと思いつつ、気を張りすぎて机に突っ伏しそうになっている一葉に苦笑する。
(私も小さい頃、怪獣映画とか耳を塞ぎながら、でも柱の影から顔半分だけ出して見てたことがあるから、わからないでもないかなっ?)
 他の人と毛色の違う話にしようと、思った。
「これは、友達の友達にから聞いた話だけど…」


 その子の母方の父、つまりお祖父さんのお葬式の日。
 母は六人兄弟で、それはもうお葬式とは思えないくらい賑やかでした。久しぶりに顔を合わせて盛り上がっていたんですよ。思い出話なんかをしていました。

 でもその中に見慣れない女の人がいました。
 いや、その子のいとこのお嫁さんなんですけどね。

 さすがに旦那の祖父となるとよく知りもしない人ですし、そもそも義母の兄弟さえさっぱりです。
 馴染めなくて、話の輪に入れずに肩身の狭い思いをしていました。
 旦那が輪に入るよう露骨に促すわけにもいきません。上手く誘う方法が思い浮かばなくて困っていました。

 何のことはない、この話をしてくれた子が空いたグラスにお酒を注いで、輪に入れるようにさりげなく話題を変えただけのことなんですけど…。

 でも、その人は元々賑やかなのが嫌いな人で、今回もまさに帰ろうとしてたその矢先でした。
 いいえ、一度は外に出たんです。
 普段なら忘れるはずのない財布を忘れて戻ってきたところで。
 あまり好まない賑やかな輪に目を向けて。
 挨拶くらいしかしたことのない女の人に話しかけた。
 そうしてみんなで楽しく話をした。

 今でも、何故そんな行動に出たのかわからないって。
 やっぱり賑やかなのは苦手で。
 だけど。
 その時だけはとても楽しかったって。
『…お祖父ちゃん、賑やかなの大好きだったから』
 死人が場を整えてくれたのだと、そう語る。


「見えないけど、守られているんです」
 学校と関係ない話になっちゃいましたね、とうみは苦笑いする。しかし怪談の穏やかな締めくくりに異を訴える者はいなかった。
「一葉ちゃんにも、きっと見守ってくれている霊とか思いますよっ!」
「うみちゃん! ありがとう!」
 ほのぼのとした雰囲気に一葉はぎゅっと彼女を抱きしめた。色々怖かったけれど、どうにか今夜は眠れそうだった。




「それでは山咲先生。一番恐かったと思う話を選んで下さい」
「そうねえ、恭弥ちゃんの体育館の話かしらね。飾らない淡々とした感じが冷や汗ものだったわ」
 終わったのが嬉しくてるんるんと蛍光灯のスイッチを入れるが、暫く体育館へは行きたくないと心に誓った。体育の授業が仕事柄一番関わりが多い事からも今は目を反らす。
 そして、仕事柄だからこそ平気な事もある。
 そのままくるりと振り返むき、一葉は鋭い目を明石姉妹に向ける。
「暮子ちゃん、暁美ちゃん。入れ替わって脅かそうとしてもダメよ? あたしこれでも医者なんだから。姉妹だからって間違えたら訴えられちゃうわ」
 自信の微笑みに、同じ顔をした二人は怪談よりよほど驚いたという顔をした。

「もうちょっと派手に怖がってくれると思ったのに」
 少し不満そうに漏らしたのは、それが見たかったすみれ。同意するように部員含め複数名が頷く。
「じゅ、十分じゃない? とっても怖かったわよっ」
 嫌な流れになりそうな気配をいち早く察した、この部屋の主は慌ててそれを止めようとする。
 が、残念。逆効果だ。
「一葉ちゃんもそう言ってるし…」
「まだ、話してない話はあるのよね」
 妹の制止もどこ吹く風の姉。100%確信犯。
「だ、そうだ。諦めろ」
 本日のコワバナMVPの延長宣告に、一葉は崩れ落ちたのは言うまでも無かった。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: God of Snipe・影野 恭弥(ja0018)
 星に刻む過去と今・青鹿 うみ(ja1298)
重体: −
面白かった!:3人

God of Snipe・
影野 恭弥(ja0018)

卒業 男 インフィルトレイター
星に刻む過去と今・
青鹿 うみ(ja1298)

大学部2年7組 女 鬼道忍軍
奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

卒業 男 鬼道忍軍
リリカルヴァイオレット・
菊開 すみれ(ja6392)

大学部4年237組 女 インフィルトレイター
青春とはすばらしいものだな・
明石 暮子(jb6003)

大学部1年86組 女 アカシックレコーダー:タイプA
【流星】星を掴むもの・
明石 暁美(jb6020)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプB