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マスター:久遠 由純
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:7人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2016/12/02


みんなの思い出



オープニング

※このシナリオは【KOB】連動シナリオです。
 優秀な成績をおさめたキャラクターには「メダル」が配付され、
 その数が多いキャラクターには、オリジナルの魔具が与えられるチャンスが与えられます。
 詳しいルールについては【KOB】特設ページをご確認ください。


●みんな集まれ!
 ゴールの取り払われたサッカーコートの前で、お笑い芸人を目指す高等部2年の滝田雅斗と山本仁が、寄って来た生徒達を前に競技内容の説明をしていた。
 いつもは『ときめき40(フォーティ)』というコンビ名でコント動画を撮ってネットに上げたり、ストリートライブなどを行ったりしているが、今日は違う。

 今日は学園挙げての祭典、【KOB】に協力しているのだ!

「この種目は『鬼ごっこ』や! 俺が鬼役で」
 滝田が自分を指差し、
「俺は審判をする」
 山本が軽く手を挙げる。
「参加者にはこのサッカーコートの中を逃げ回ってもらう訳やが、見て分かるように、四隅にボックスがあるやろ?」
 滝田が指さす先には、確かに、中が見えないようにか木で出来た簡易の電話ボックスのような物が、コートの四隅に設置されていた。
 山本が説明を引き継ぎ続ける。
「参加時間は二時間。その間に、鬼役の滝田が四つのボックスのどれかから現れて30秒くらい参加者を追いかける。30秒くらいっていうのは、まあ誰か一人が捕まるまでって目安だけど。で、計五回鬼が現れるんだけど、時間は決まってない」
「つまり、さっき現れたと思ったらすぐまた現れるかもしれんし、何十分も待たされたりするかもっちゅー緊張感があるわけやな」
 滝田がニヤニヤして言ってから、
「かと言って、待ってる間にボックスに張り付いて見張ったり中開けてみたりとかすんのはナシやで! あんまりひどいと反則と見なすからな。スポーツマンシップに則って、常識の範囲内で頼むわ。俺の動きを見ててもダメやぞ。ボックスへの移動は、スキル『蜃気楼』で姿消してくからな。ま、皆はそんなセコイことせーへんと信じてるで!」
 真面目な顔で付け足す。
「そんで、捕まったら罰ゲームや! 肉体的ダメージってよりも、精神的にイラッとくるようなモンで叩かれるで。それが何かは俺が出て来るまで分からん。出て来てのお楽しみや。その方がスリルあるやろ?」
 『精神的にイラッとするもの』とはなんだろうか、と皆の顔が少し不安気になるのを、滝田は楽しそうに見渡した。
「反則には気をつけてくれ。さっき滝田が言ったボックスの過剰な見張りとかに加えて、あとはコートから出ないこと。飛ぶのもなし。武器の使用、スキルの使用も禁止。鬼への妨害も反則だ。だけど、他の参加者への妨害はアリ。だから、普通に脚力や瞬発力の他に、そういった方向の能力や作戦も重要になるかもな! そこは各自で予想して行動の作戦を立てて欲しい」
 山本が取りあえず説明を終える。
「鬼が参加者に攻撃とかしてくることはないのか?」
 一人の生徒が手を挙げながら質問した。
「それはない。捕まえたヤツにだけ罰ゲームする。鬼は純粋に己の力で走って追いかけるだけや!」
「ちゃんと見てるからな〜、反則するなよ〜!」
 鬼役の滝田が答え審判役の山本が念を押すと、皆はざわざわと周囲の友人らと相談し始めた。

「ほなら参加する人はこっち集まってくれや〜!」

 滝田の声が響き渡った。


リプレイ本文

●鬼ごっこ開始!
 サッカーコート内で参加者達が思い思いの場所に移動する。滝田の姿は既になく、どれかのボックスにスタンバイしているようだ。

「プライドに賭けて絶対に捕まる訳にはいかないな」
 咲村 氷雅(jb0731)が緊張を和らげるかのように、常に身に着けている青い蝶の髪飾りに手をやった。
 四隅のボックスを便宜上1〜4と番号を付け、咲村は1番と2番のボックスの間に位置を取る。

 2番と3番ボックスの間には、ラッコの着ぐるみを着た鳳 静矢(ja3856)がいた。さっと白いボードとマジックを取り出すと、
【シズラッコ、鬼ごっこの大地に立つ!】
 と書いて掲げた。
 今回はこういう趣向で行くらしい。
 任意で『キュゥ!』という鳴き声も出せます♪

 他の面々はコート中央に集まった。

 ジャイアントパンダ姿の下妻笹緒(ja0544)はどんな時でもパンダで、今も例外ではなかった。
「パンダを見に来たが、その姿を充分に見ることができない。たとえ鬼と呼ばれる存在であったとしても、そんな悲しい思いをさせる訳にはいかない。さあ、思う存分見るが良い! 見てそのラブリーさに癒されるのだ!」
 下妻はコートのど真ん中で踊りだした。どこからでも堪能できるように、全方位に正面を向くのを忘れない。まさにパンダの鑑。
「ほとんどが中央選択か、人のことを言えないが手堅いなぁ」
 パンダダンスを横目に見ながら、龍崎海(ja0565)がつぶやく。走りやすいジャージ着用で参加。
 まず最初は鬼の様子見ということで、皆中央を選んだのだろう。
 ブラブラと手足をほぐしつつ、エイルズレトラ マステリオ(ja2224)は自分以外の参加者を観察する。
(下妻さんは自分以外にあまり興味なさそうだけど、他の人は注意した方がいいな)
 自分なりに分析、逃げ方などを考えるのだった。
「俺は負けない! なぜなら幸せの絶頂だから! 俺の勝利を婚約者に見せるんだ!!」
 と誰よりもやる気を見せているのはミハイル・エッカート(jb0544)だ。
 こういう戦いの前に戦い後のリア充的な未来予定を語るのは死亡フラグというお約束だが、ミハイルの場合は吉と出るか凶と出るか。
 そんな男達の中に可憐な少女がポツンと佇んでいた。
 彼女はベアトリーチェ・ヴォルピ(jb9382)。
「予想以上に……年上……アンド……男性社会……紅一点……ガンバルゾー……。一番も……狙うけど……楽しめると……ハッピー……」
 うっかり紛れ込んだ迷子のようであるが、ベアトリーチェとしては頑張る気満々なのであった。

 審判役の山本が、皆が位置に着いたらしいのを見計らって、
「鬼ごっこ開始ー!!」

 ピリリリリー!

 笛が吹かれた途端、4番のボックスから鬼役の滝田が飛び出して来た!
 黒いジャージを着て、手にはハリセンを持っている。
 位置的に、中央に固まってる一団が一番近くなった。一番遠いのは鳳だ。当然鬼は中央に向かって猛然とダッシュする。
「行くでぇーーっ!!」
「ハリセン……大きい……痛そう……エスケープ……」
 ベアトリーチェは男性参加者に隠れながらジグザグに走り出す。
「早速来たか! 手始めとしては悪くない!」
 ミハイルも瞬発力を活かしてその場から一気に全力疾走。
 エイルズレトラはボックスが開く音がした途端、今向いている方向へすぐダッシュしていた。それからちらと鬼に振り返る。
「鬼はあっち行ったか。動きはそこまで素早くはないが……、脚力で勝負するタイプかな」
 『あっち』とは龍崎と下妻の方だ。
 龍崎は駆け出しが皆より一瞬遅れたため、滝田がロックオン。しかし、ダンスしていたせいでやはり初動が遅れた下妻がいた。
「ごめんね下妻さん」
 龍崎は謝りながらも、下妻に寄って行って鬼の狙いをパンダに移そうとする。
「パンダのマジ走りてなんやおかしな光景やなあ!」
 滝田鬼は下妻もターゲットに入れたようだ。
「むむ、ジャイアントパンダは心優しき動物ゆえ、争いは好まないが」
 かと言って大人しく捕まるわけにもいかない。
 可愛い仕草で、『あっちを狙ってね★』とばかりに龍崎を指差す。だが龍崎との脚力の差か、下妻が遅れてきた。
 ニヤリと滝田が笑う。下妻を捕まえることに決めたらしい。
「パンダはその黒い模様でカワイく思われとるが、ホンマの目は笑てへんのを俺は知っとんで!」
「ラブリーパンダちゃんたるこの私を捕まえたくなる気持ちはよく分かる。だがしかし、パンダはあくまで眺めて癒されるものであり、お触りは厳禁なのだ。これもまた非情なる現実。なので私を捕まえるのは諦めて欲しい」
「おまホンマモンちゃうやんけ!」
 鬼はだっと加速して、パンダの着ぐるみに飛びついた。
「下妻OUT〜!!」
 山本の声の後、ピーーッと一回戦終了の笛が鳴った。

「おかしい、私の計算上では捕まる可能性はほぼゼロだったのにィ!」
 仰向けになり両手足をじたばたさせ目一杯悔しがる下妻。それはそれで可愛いが、この鬼ごっこもまた非情な勝負なのだ。
「でも捕まってしもたんやからしゃーないなぁ。罰ゲームいくでぇ!」
 滝田は容赦なくパンダにハリセンを振り下ろし、スパーーン! と小気味いい音が辺りに響き渡った。

●二回戦
 いつ鬼が現れるか分からないため、皆は警戒しつつも何となくコート内をぶらつき、場所移動する。
 鳳のシズラッコは、1番と4番ボックスの中間に身を置いた。
 1と4のボックスを時折注意ししばらく鬼が出て来ないのを見ると、ごそごそと比翼鳳凰扇を取り出し舞い始める。
『キュゥキュゥー♪』
 ぼーっと待っているだけでは芸がない。ゆえにシズラッコは舞う。
 ラッコの割に中々優雅な舞だった。

 咲村とベアトリーチェは3、4番の間の場所に一緒になった。
 ストレッチをして体をほぐし準備に余念がない咲村。
「さっきはハリセンだったけど、今度は何かな。まぁ、何にせよ捕まったら精神的にくるだろうな」
「叩かれると……嫌な得物……多そう……ガッデム……。もし捕まったら……手加減……期待……ラッキー……」

 他の皆はやはり中央に固まった。
「待ってる間することないからなぁ」
 龍崎はチラチラと2番3番のボックスを視界に入れながら待機の姿勢。
「暇ならパンダを眺めていればいいぞ」
 下妻はでんぐり返ったりパンダ体操をして皆の目を楽しませる。
「俺はザッシィでも読むかな」
 幸せが溢れんばかりのミハイルは、いそいそと結婚情報誌を読み出した。
 そんな彼らのやり取りをエイルズレトラはさり気なく聞いていた。

 そんな待機状態で15分程経過すると。

 1番ボックスから鬼が現れた!
 皆は一斉にその持っている物をチェック。今度は柄杓だ。痛くはなさそうだがイラッとはしそうである。
「そこのラッコ、覚悟せぇや!」
 鬼が一番近い鳳に行くのは必然。
『キュキュゥー!?』
【やれそら逃げろー!】
 と書いたボードを持ち、シズラッコは脱兎のごとく逃げ出した!
 とにかく逃げるが、鳳は皆がいる方へは行かなかった。誰かを犠牲にするのは流儀に反する。
【ウィンウィンがラッコのスポーツマンシップ!】
 だがそのせいで滝田がしつこく追って来て、結局はコーナーに追い詰められて捕まってしまったのだった。

【仕方あるまい……】
 そっとシズラッコは滝田の前に正座した。
「潔ええやないか、ラッコ」
【潔く罰ゲームを受ける……これがラッコ流!】
 ボードに書かれた文を見た滝田は、
「その漢気や良し! 俺も遠慮はせぇへんで!」
 ココココココ!
 と連続でラッコの頭を柄杓叩き。
 大して痛くもないのにこの叩き方にイラッとくるのを、鳳はぐっと飲み込んだ。

●三回戦
 ベアトリーチェは1、2番ボックスの間辺りに座って、一人地面にお絵描きして暇つぶし。
 描いているのは学園長や担任の先生やらの似顔絵である。
「結構……上手く描けた……渋いチョイス……ジャスティス……」

 鳳は気分一新、2番と3番の中間地点でラッコの舞。
 コート中央では下妻がパンダダンスをしているので、何だか大道芸のようだ。

「なあなあ、俺の婚約者の写真見るか?」
 パンダの傍らで、ミハイルは龍崎や咲村、エイルズレトラに彼女の写真を見せる。
「美人だろう。美人なだけじゃないぞ、料理も美味いし、清楚で優しいし、まさに大和撫子だ。羨ましかろう」
「いや、僕に教えてくれなくて結構です」
 とそっけなく言ったのはエイルズレトラ。
「へー、すごいなー(棒読み)」
 咲村は全く心のない適当な相づちで聞き流して、
「そうですね、そんなに完璧な人はめったにいないですから、羨ましいです」
 なんて最初は真面目に相手をしていた龍崎も、そんな自慢話が30分も続けばだんだん面倒くさくもなってくる。
 ミハイルに悪気は無いのだろうが、聞かされている方は猛烈にウザイ。正直勘弁して欲しいと三人ともが思ってきた時。

 4番のボックスから鬼出現!
「悪い子はいねがー!!」

 特撮ヒーローもののオモチャの剣を振り回した鬼は、一番人が集まっている中央に走る。
 皆当然弾かれたように逃げ出すが、エイルズレトラにミハイルが併走していた。
「え、ちょ、何ですか? 付いて来ないでくださいよ!」
「そうはいかん、まだ話は終わってないぞ。彼女は俺には勿体無いほどのお嬢様でな、もっと彼女の素晴らしさをだな」
「充分解りましたから」
「そんなはずないだろう、俺はまだ彼女の良さを語り尽くしてない」
 完全にエイルズレトラの邪魔になっている。しかも、他の者達はミハイルに巻き込まれるのを嫌い違う方向に逃げていた。
「でな、彼女の優しさは北半球を駆け巡るほどでな」
「いやそれどころじゃないですって!」
 鬼が二人に迫る。
「待てやー!」
「おぉッ、鬼か! だが俺の愛は止められないッ! インフィの瞬発力は世界一ィィィィ!!」
 ミハイルがぐんとスピードを上げエイルズレトラを追い抜いて行く。
「しまった!」
 鬼がエイルズレトラに追い付き、
「捕まえたで!」
「エイルズレトラOUTー!!」
 山本の笛が三回戦終了を告げた。

「やられた……」
 エイルズレトラはゴキゲンな滝田を、若干恨めしそうに上目遣いで見る。
「必殺! ファイナルクラッシュ!!」
 滝田はエイルズレトラの背中にテレビの特撮ヒーローよろしく切りつけた。
「僕は悪役ですか。屈辱だ……」
 もう絶対にミハイルには近寄らないようにしよう、とエイルズレトラは心に誓った。

●四回戦
 今度も長く待たされている。

 咲村は3番と4番のボックスの間で、リラックスしつつも警戒を怠らない。
「だんだん叩く物がおかしなモノになってきたな」
 滝田の得物を予想したりしながら、待ち時間を過ごす。

 鳳は1番と4番の間で新たな動きを取り入れたりしての舞い踊り。
『キュゥーキュゥ』
 舞う度に精度が上がってきているようだった。

 中央では、下妻はもふもふとお菓子を頬張っていた。
「パンダ……カワイイ……ラブリー……」
 今回はベアトリーチェもこの位置で待機し、パンダのお絵描きを始める。
「中々上手いな! でも俺の婚約者の方が可愛いぞ!」
「婚約者も……着ぐるみ……?」
 ミハイルは今度はベアトリーチェにノロケ話を聞かせるのだった。
 エイルズレトラと龍崎は慎重にミハイルから少し距離を取っていた。

 一時間程経過し、そろそろ競技自体の制限時間が迫って来た頃。

 3のボックスから鬼登場!
「待たせたなあー!」
 分厚い辞書のような本を抱え、一番近い咲村へと駆けた。
「こっちへ来たか」
 咲村はすぐに中央にいたメンバー達の方へ逃げて行き、一人で逃げている龍崎に目をつけた。
「ここで……仕掛ける」
 円を描くように走っていた咲村は、龍崎の進行と交差するように逃げる。
「そっち行くのか、ほなら!」
 追いかけやすさから鬼の狙いが龍崎に移り、龍崎が捕まってしまったのだった。
「龍崎OUTー!!」

 龍崎は膝立ちさせられ、六法全書を高々と掲げた滝田が罰ゲームを宣告する。
「六法全書コーナーアタック!」
 重たい書物の角部分を、龍崎の頭に落とした。
 ごす!
「いったぁ〜……こんな使い方しちゃだめだろ」
「この本はもはや鈍器やからええんや。じゃ、最後お楽しみに!」
 そそくさと滝田がコートから出て行き、皆がまたそれぞれコートに散る。

●五回戦
 のも束の間、ついさっきの罰ゲームから一分も経たないうちに、2番のボックスから滝田が出て来た!

「呼ばれてへんけどジャジャジャジャーン!」
『キュキュゥ!?』
 すぐそこにいた鳳に向かって行く鬼。今回の得物は冷凍鰹丸々一尾です。
【二度も狙われてしまうとは!】
 逃げるシズラッコ! 追う滝田鬼!
 鳳は広く空いた所を選んで逃げる。そこにちょうど咲村がいた。
「これは予想外の展開だな」
 鳳と鬼の接近で咲村も逃げようとした時、その進行方向を塞ぐようにエイルズレトラが寄って来た。鬼の注意を引こうというつもりだったらしいが、それによって鳳が唐突に方向転換、咲村は反応が遅れた。
「その遅れが命取りやで!」
 スパートをかけた鬼にガッと腕を捕まれた。
「咲村OUTー!」

 ピッピッピーー!!
 一際大きく笛が鳴り、
「鬼ごっこ終了ーーっ!!」
 山本が五回全ての戦いが終わったことを宣言した。

「これは思った以上にヘコむな……」
 咲村はかなりがっかりしている様子だ。
「打っていいのは打たれる覚悟のある奴だけだ。お前にその覚悟はあるか?」
 意味深な咲村のセリフに首を傾げる滝田。
「? 何やよう分からんが。罰ゲーム、鰹のたたきや!」
 冷凍鰹で、咲村の頭を思い切り叩いた。痛そうな音がして、咲村は頭を押さえる。
「〜っ、『たたき』違いだろ」
「この鰹は後でスタッフが美味しく頂くんで、安心してな!」
「スタッフ……誰……?」
 ベアトリーチェが素朴な質問を発するが、エイルズレトラが聞くな、と首を振っていた。


●競技後のお楽しみ

 まずは山本が結果を発表した。
「一位、ベアトリーチェ・ヴォルピ!
 二位、ミハイル・エッカート!
 三位、鳳 静矢!
 おめでとう!」

 三人はメダルと共に皆から拍手を送られ、鳳は上位の二人を称えるダンスを踊るのだった。
 それから鳳はラッコの着ぐるみの上にコック服を着てラッコックになり、試合前に作っておいた豚汁を温め直して持って来た。
【競技が終われば鬼も逃走者もノーサイド!】
 という訳で、皆に豚汁を振舞うラッコック。
「気が利くなあ〜、鳳さん」
「美味そうや」
 豚汁をもらおうとした山本と滝田の肩を、誰かが叩く。
 二人が振り向くと、ゴリラの被り物を被ったゾンビ? が立っていた。手に何か持っている。これは実はゴリラに扮装し死霊粉を振りかけたミハイルなのだが――。
「ご、ゴリラの天魔?」
 戸惑う滝田へ、ゴリラはその手の物を投げ付けて来た。
「うわっ、やめぇや! これはまさか」
 よく見るとそれはウ○コ(模造品)で。
「うわああ、やめてくれぇーーっ!」
 必要以上にゴリラに恐怖したのは山本だった。
 二人は以前、ウ○コを投げてくるゴリラ天魔に遭遇したことがあったのだが、その時の記憶は山本の方に大きな傷を与えていたらしい。
「もうリズムネタはしたくないんだあーーーっ!!」
 逃げようとする山本に咲村が足をかけて転ばす。
「ヤマ!」
「うわあっ」
 焦る山本と滝田に、ミハイルはウ○コをバンバン投げる。
「やめろおー!」
「ごめん、ごめんて!」
「安心しろ、火葬して消毒してやる」
 咲村は満足そうに嫌がる二人を見下ろし。

 二人の叫び声と皆の笑い声がサッカーコートに響き、まさにノーサイドな幕引きとなった。


依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: Eternal Wing・ミハイル・エッカート(jb0544)
重体: −
面白かった!:5人

パンダヶ原学園長・
下妻笹緒(ja0544)

卒業 男 ダアト
歴戦勇士・
龍崎海(ja0565)

大学部9年1組 男 アストラルヴァンガード
奇術士・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

卒業 男 鬼道忍軍
撃退士・
鳳 静矢(ja3856)

卒業 男 ルインズブレイド
Eternal Wing・
ミハイル・エッカート(jb0544)

卒業 男 インフィルトレイター
新たなるエリュシオンへ・
咲村 氷雅(jb0731)

卒業 男 ナイトウォーカー
揺籃少女・
ベアトリーチェ・ヴォルピ(jb9382)

高等部1年1組 女 バハムートテイマー