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マスター:久遠 由純
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:7人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2014/05/23


みんなの思い出



オープニング

●花畑と風
 南房総ではこの時期花畑がとても綺麗だ。
 ポピーやストック、キンセンカなどが色とりどりの列を作り、春を感じさせる。そこにはバス旅行などの観光客が連日訪れ、景色を写真に収めたり好きな花を摘んだりして楽しんでいた。

 その日は快晴で、多少風が強かった。
「あらぁ〜、風がすごいわね〜!」
 なんて言いながら、日帰りバス旅行のバスから降りて来たオバサマ達が声を上げた。
 花がちぎれんばかりに横倒しになりつつ、強風と共に砂が吹き付け人々の視界を奪う。
 オバサマ達は目に砂が入らないよう手をかざし服を押さえながら、花畑の周囲の道を歩き出した。他にもせっかく来たのだからと風の切れ間を狙って懸命に携帯を構えて写真を撮ったり、手早く摘もうとしている人が何人かいた。
 やがていつの間にかみすぼらしい格好をしたお爺さんが、花畑にポツンと現れた。
「あらやだ! 花畑の真ん中で、何かしらあの人?」
 オバサマの一人がお爺さんの存在に気付いた。
 時代錯誤な着物を着て、痩せてしわくちゃで、腰も曲がった小柄な爺さんが、なぜこんな所に。見た限りこの花畑の関係者でも付近の住民でもなさそうだ。
 嫌な感じだな、と思ったら、その爺さんがおもむろに両手を突き出し、人に向かって砂を放出した!
 その砂の勢いは強烈で、まさに砂嵐。
「痛い痛い痛いっ!!」
 吹きつけられた観光客の婦人が叫んだ。体中マシンガンで撃たれているかのように痛い。
「キャアア!!」
 それを見たオバサマが驚愕する。
 婦人は全身から血を流して力なく倒れたのだ。
 砂は洋服を突き破り皮膚に穴を空けるほどの勢い。ショルダーバッグもオシャレサングラスも穴だらけ、花などは当然ボロボロだ。
「天魔だわ!!」
 叫んだオバサマにも砂嵐が襲い、彼女も全身血だらけになって倒れた。
「イヤアアア!!」
 その場は一気に混乱し、人々は逃げ惑う。
「皆さん、とにかく屋内へ!!」
 花農家の人が観光客をどうにか避難誘導しようとした。
 爺さんはその見た目とは裏腹に機敏な動きで観光客を追い、一人の中年男性の背に飛び掛かった。
 男性は中年でも体つきはがっしりしていて小柄な老人など軽く背負えそうに思えたが、男性は飛び掛かられた途端、その重さに耐え切れず倒れ込んだ。
「ぐあっ!」
 胸が圧迫されアバラが折れる。口から血を吐いて、男性は動かなくなった。

 爺さんは男性の背の上で歯の抜けた顔を歪めにいっと笑い、逃げて行く人々の後ろ姿を見やった。

●久遠ヶ原学園依頼斡旋所
「すでに被害が出ていて、凶暴なサーバントのようです。被害者にまだ息があるのかどうか、状況的に救急隊を派遣できておらず未確認です」
 受付バイトをしている九月沙那(くつきさな)が、深刻な様子で集まった撃退士達に言った。
「サーバントは砂嵐の攻撃だけでなく、動きも機敏で見た目よりずっと重いそうです。力もあると見ていいでしょう。外見に惑わされて油断しないようにしてください」
 撃退士らが彼女の注意を飲み込みうなずく。
「被害者以外の方は全員屋内へ避難中とのことです。今のところ周囲に人影はないようですが、急がないと新たな被害が出ないとも限りません」
 伝えるべきことを最後まで言い終え、
「それでは皆さんよろしくお願いします!」
 沙那は皆を送り出した。


リプレイ本文

●砂嵐の花畑
 新井司(ja6034)は現場に着くなり、屋内へ避難していた花農家の人を捕まえて今日の観光スケジュールを聞き、この後やって来るはずのツアーバス添乗員の連絡先を教えてもらった。
 何も知らないツアー客がうっかり戦闘中に鉢合わせることだけは避けねばならない。
 新井は事情を説明するため、すぐにその添乗員に連絡した。
「今そちらが立ち寄る予定の花畑に天魔が出現しています。私達の連絡があるまで、花畑には向かわず他の場所で待機してもらえませんか?」
『て、天魔が!? 待機って……、いつまで待てばいいんですか?』
「天魔との戦闘に確約はできません。ご理解ください、私達も絶対ではないんです。でなければ花畑はキャンセルした方がいいかもしれません」
 しばらくの沈黙。向こうも予定やら不測の事態のマニュアルやらと検討しているのだろう。
『わ、分かりました、今の場所で待機することにします。連絡をお待ちしています』
 新井が話を終えると、尼ケ辻 夏藍(jb4509)も携帯を切ったところだった。
「今救急車を呼んだよ。でも現場まで来るのは危ないから、あそこの曲がり角まで来て欲しいとお願いしておいた。救助者を確保したらあそこまで運んでおくれね」
「任せてください。迅速に救出して、保護しなければなりませんね」
 尼ケ辻の言葉に風道 奏音(jb8775)が力強くうなずく。
「うむ、まずは、人命優先、だ。砂かけじじい、は、その後、観察……相手を、しよう」
 仄(jb4785)も救急車が来るであろう位置を確認。
 彼女はいつもと変わらぬ無表情でありながらも、妖怪じみた『砂かけじじい』に興味津々だった。オカルト好きな彼女はついそういうものが気になってしまうのだ。
「今回も花愛でる心も知らぬ者相手か。何ぞ縁でもあるのかのぅ?」
 少々呆れ気味にひとりつぶやく白蛇(jb0889)。しかし気を取り直して、
「……今は速やかに被害者を救出するのみじゃな」
 『権能:千里翔翼』で、白蛇自身は『翼の司』と呼ぶ召喚獣スレイプニルを召喚した。
「救助が終わるまでバッチリ足止めしておきますから!」
 グラサージュ・ブリゼ(jb9587)が両の拳をグッと握り締めやる気を見せる。彼女は今回、とても珍しく怒っていたのだ。
「俺も、救助中に砂を撒き散らさないよう攻撃を仕掛けていきます」
 クールに意見を述べたのは、長身で切れ長の目を持つ東條 雅也(jb9625)だ。
「それじゃあ行きましょう」
 新井が砂嵐で目がやられないよう、風読のゴーグルを装着する。白蛇も召喚獣に騎乗した。

 皆は花畑に向かって突撃を開始する。

「花畑に砂嵐とはね。随分と無粋だこと」
 走りながら新井は光纏、真っ直ぐ敵へと向かって行く。
 砂かけじじいは避難が遅れている人を狙っていた。跳び上がりその背中に手をかけようとした時――、新井は横から『怯炎』を放った。
『ギョアア!』
 じじいは衝撃をまともに受け、突然炎に触れた獣のごとく数メートル押しやられた。
「今のうちに早く!」
 一般人とサーバントとの間に入り、避難を促す。
「は、はい!」
 観光客はオタオタしながら農家の方へと逃げて行った。
「花畑で砂嵐を吹き荒らすとか、無粋な爺様ですね」
 何より似合わない、と東條は思った。
 爺さんに接近、腕を引っ掻かれたが気に留めず、胸の前で交差させたシンメトリーソードを一気に払い、爺さんの胴に傷を付ける。
『ギャア!』
「こんなにキレイな花畑を砂まみれにしちゃうなんて……絶対許せないんだからー!」
 グラサージュは『陽光の翼』で舞い上がり、頭上からシャイニースピアを突き出した。
 じじいは連続で攻撃を受けるのはまずいと思ったのか、持ち前の機敏さを発揮し頭を低くして直撃を避けた。白銀の穂先はじじいの頭をかする。

 『闇の翼』で空を飛び要救助者の姿を探していた尼ケ辻は、倒れている三人を見つけた。
「白蛇君、そのまま直進! 仄君は左の黄色い花の列の向こうだ! 風道君少し右に進んで、その先だよ!」
 尼ケ辻の指示に従って白蛇は高速で移動、血まみれの婦人を発見した。
 『権能:神威』で『神威の司』なるティアマットを召喚し、自分達の壁になるよう立たせる。それから婦人の様子を診た。
「大丈夫、まだ息はあるようじゃ。尼ケ辻殿!」
 白蛇の呼びかけに、阻霊符を発動させながら駆けつける尼ケ辻。
 わざわざ言わなくとも尼ケ辻は己がすることを承知しており、すぐに『治癒膏』を使い婦人の傷を癒す。体中に傷を負っていたので二回使用しなければならなかったが、取り合えず出血は止めることができた。
「これで動かしても大丈夫だと思うよ」
 白蛇は女性を背負い再びスレイプニルに騎乗、ティアマットを護衛に引き連れ救急車まで運んだ。

 仄も全身血だらけで黄色い花に体半分を埋もれさせて倒れ伏しているオバサマの所に来た。
 仲間達が砂かけじじいの相手をしているが、万が一の盾になるよう自身の身を置く。
「一先ず、仄、が、護る」
 オバサマに息があることを確認し、すぐに『治癒膏』で回復を試みる。やはり二回使い、どうにか動かせると判断できる状態にまで回復させた。
 オバサマは仄より一回り大きな体をしていたが、仄は軽々とオバサマを抱き上げ、救急車の待つ場所へと全力移動した。

 風道もうつ伏せに倒れている男性の側に膝を付いた。
 男性の顔に耳を近づけると、微かに呼吸をしている音がする。そっと、だが素早く仰向けにさせ、
「大丈夫。すぐに治りますよ。……癒し手の出番です」
 安心させるように気を失っている男性に話しかけ、精神を集中する。
 『ライトヒール』の光が、男性の傷ついた肉体を癒していった。
 男性は咳込み、意識を取り戻した。
「良かった……! 私は撃退士です。今からあなたを救急車までお運びします。少し揺れますが我慢してくださいね」
 男性は了解の印に小さくうなずく。
 風道は男性を抱き上げ、救急車まで連れて行った。

●砂まみれの戦闘
 東條は砂かけじじいがジャンプして振り下ろした爪を、『シールド』をかけた双剣を交差し受け止めた。
 一瞬ズシッと体が沈むほど、重い攻撃だ。奴自身が重いことも影響している。
「くっ……なるほど、外見からは考えられない重さです」
 彼のアウルと同じボルドー色の光を帯びた刀身が震える。
 東條は足を蹴り上げた。しかしじじいはその重さのくせに身軽に、東條の蹴りをひらりと避ける。
「ひっさびさに本気で怒ってるんだからー!」
 グラサージュは背後からじじいに突きを入れ、反撃される前に離れる。また素早く移動、突く、というヒットアンドアウェイ攻撃をしていた。大きなダメージは与えられないものの、敵ををその場に釘付けにすることには成功しており、小さな傷をいくつも与えていた。
「断道絶氷、そこを動かないで……!」
 新井が『絶氷』を叩きつけるかのようにお見舞いした。全身に広がる痛みと衝撃がサーバントを責める。
 その体は氷漬けになったみたいに動かなくなった。
「同胞と似た者が人の地を無闇に荒らすとはいただけないね」
 被害者の回復を終え白蛇が女性を運んで行くのを見届けた尼ケ辻が、海龍霊符から水の龍を出現させた。
 水龍はうねりながら砂かけじじいを襲う。
『グガァッ!』
 頭部を負傷したじじいは、『スタン』が解けるなり尼ケ辻に向けて砂を放出した。
「!」
 東條が尼ケ辻の前に割って入り、再び『シールド』をかけた双剣でその砂を正面で受ける。
「すまないね」
「いえ」
 今まで両手を合わせて砂を出していたじじいが、手を離し、左手は東條へ砂を吹き付けたまま、右手でも他の者に砂を放出しだした。
「だが勢いも半減です」
 東條は砂を受けながらも敵に突進、駆け抜けざまに斬り付ける。
 際どいところで飛び退いたじじいの足にダメージを負わせた。
「動いたら花がかわいそうでしょ!? これ以上花をいじめないで!」
 グラサージュが槍を振り下ろす。じじいは槍をひっつかみ、自分の重さも加えて彼女を上空から引き下ろした。
「きゃあッ!」
 さらに天魔は倒れ込んだグラサージュの腹に飛び乗る。
「カハッ!」
 突き上げる吐き気と痛みに息が詰まるグラサージュ。
 まずい、と思った時スタッブシールドを構えた風道が砂かけじじいに体当たりし、じじいを撥ね飛ばした。
「遅くなりましたっ……! あちらは大丈夫です。私も戦います!」
「助かりました……!」
「私は守護する者ですから」
 腹を押さえて立ち上がるグラサージュに、風道は微笑んだ。
「わしも加わるぞ」
「仄、も、やるぞ」
 白蛇と仄も救助から戻り、皆はサーバントを取り囲んだ。

「神のご加護があらんことを……」
 風道は皆に『アウルの衣』をかけて回る。
 砂かけじじいは両手を広げて辺り構わず砂を撒き散らし始めた。砂が目隠しとなって近づきにくい。
 新井はゴーグル越しに敵の動きを注視しながら、攻撃のチャンスをうかがっていた。
「痛いっ! 痛いっ! ……どうせ砂かけるなら、枯れ木に花くらい咲かせなさいよー!!」
 グラサージュは素手で砂を受け止めつつじりじりと接近、無駄と分かっていながらも逆に砂を投げ付けた。
 そのまま間髪入れずに『サンダーブレード』を放つ。『麻痺』に成功した。
 チャンス。
 闘神の巻布で全身を武器とした尼ケ辻が間合いを詰め、鋭く拳を打ち込む。
 砂かけじじいは横っ面に食らったものの、怯まずに尼ケ辻に飛び付いた。
「なっ……!」
 急に伸し掛った重量に、尼ケ辻ががくりと体勢を崩す。その肩口にじじいの歯が突き立った!
「くあっ!」
 引き剥がそうとするが、サーバントはがっちり噛み付いたまま離れない。
「相手は、こちら、だ」
 仄がアヴォーリオでじじいの足を絡め取り引っ張った。
 『共感』でスレイプニルの集中力を高めた白蛇は、上空からスナイパーライフルで狙撃、風道も弦月の書から半月状の刃を出し攻撃した。
 立て続けの攻撃にようやくじじいは尼ケ辻から離れるが、今までのダメージの蓄積のせいか、動きが鈍ってきたのが皆の目にも分かった。
 砂を放出される前に新井が接敵すると、じじいは引っ掻こうとする。だが最初のような勢いがない。
 新井は天魔の腕を横に払った。
「これがあなたの末路よ」
 力を込めたアウルの衝撃『絶氷』を再度お見舞いする。
 仄は素早く装備を石のリングに替え、『スタン』した砂かけじじいに鈍色の玉を飛ばした。全弾じじいの体に食い込むように命中。
『グハッ……!!』
 歯が抜けた汚い口から血を吐き出すサーバント。
「随分、張り合いのない、じじい、だな」
 ふん、とつまらなそうに仄が鼻を鳴らした。
「不逞の輩は成敗されるのじゃ」
 白蛇の撃った弾丸が砂かけじじいの右手を撃ち抜く。
「花を綺麗だと思えないなんて、憐れですね」
 東條は憐憫の言葉と共に双剣を奮い、左腕を斬り飛ばした。
 これでもう得意の砂嵐を出すことはできない。
 最後に尼ケ辻が肩の傷もお構いなしに、先程のお返しも込めて右、左と拳で顔を殴りつけ、
「こんなんじゃ全然足りないけどね」
 回し蹴りを派手に決めると、じじいは吹っ飛んでいきボロ雑巾のようにクチャクチャになって地面に転がった。
 そしてもう動くことはなかった。

●花のお土産
 花畑はだいぶ砂だらけで荒れてしまった。
「……せっかくキレイに咲いてたのに、ゴメンね。ここから立ち直って最後まで咲き続けてね」
 グラサージュはできるだけ花に積もった砂を払い、踏みつけられてしまった花は真っ直ぐに整えていく。でも被害はその畑だけで済んだので、最小だったと言える。
 避難していたツアー客はバスに乗って早々に行ってしまい、先程次のツアーバスにももう大丈夫だと連絡した。
 怪我をした尼ケ辻とグラサージュと東條には風道が『ライトヒール』を使い回復させた。
「皆さんありがとうございました、本当に!」
 農家の方々がそろって皆に頭を下げる。
「お礼と言っては何ですが、良ければお好きな花を持って行ってください」
「わー、本当ですかー!」
 グラサージュが早速厚意に甘えて『どれにしよっかな〜』と言いながら花畑を歩き出すと、皆も顔をほころばせてそれぞれ花選びに入った。

 東條は紫、ピンク、白のスターチスを摘み、尼ケ辻も色鮮やかな黄色やオレンジのキンセンカをもらっていた。
「世話になっている旅館の女の子達のお土産にと思ってね」
 渡した時の彼女らの反応を想像し、ふふ、と笑う。

 白蛇は咲き乱れる花を見て香りを嗅ぎ、愛でるだけにしておいた。
「美しきものを愛でるのは良いのう!」
 全部がダメにならなくて良かった、と思う。
 仄は
「ブラックキャット、は、ある、か?」
 と農家の人に聞いてみたが、なかったらしい。それでもトケイソウを見つけて包んでもらい、満足そうだった。
「他にも、珍しい花、が、あれば、見せて、貰いたいところ、だ」
「あら、そうですか? こちらには黒いチューリップがありますよ」
「ほう」
 と仄が興味を持ってくれて嬉しそうな農家のおばさんに連れられて行ってみたり。

 風道もガーベラやかすみ草、チューリップ、百合を束にしてもらった。本当は紫のバラもあれば、と思っていたのだが、バラはなかったので仕方ない。
「色んなものをもらったのね」
 新井が風道に声をかける。
「はい、うちの猫達に見せたいと思って」
 ふと、風道は新井がまだ花を選んでないことに気付いた。
「司さんは貰わないんですか?」
「いえ……、花の種類なんて今まで全く意識したことがなかったから、何を貰えばいいのか分からなくて。何が良いかしら?」
 ちょっと照れくさそうに新井が言う。
 新井が今まで関心を注いでいたのは『英雄とは何か』ということだけだった。だけどたまにはこうして花に興味を持ってみてもいいだろう……。
 そんな新井の心の内を察したのか、穏やかに風道は笑った。
「そうですね、春はたくさん綺麗な花がありますよ」
「えへへ♪どう、似合ってるかな?」
 グラサージュがご機嫌な様子で二人の所に来て尋ねた。
 その薄い朱色の髪には大きな白いガーベラが飾られている。
「ええ、とっても似合ってるわ」
「可愛いですよ」
 新井と風道が褒めると、グラサージュはますます嬉しそうな顔になった。
「他にもピンクのチューリップと、ポピーをもらっちゃいました!」
 赤、橙、黄色のポピーとチューリップの小さな花束を見せた。
「ピンクのチューリップもいいですね。かすみ草との組み合わせとか、どうですか?」
 風道に勧められ、新井はうなずく。
「そうね、そうするわ。ありがとう」
 農家のおばさんにかすみ草とピンクのチューリップを花束にしてもらう。
 これは玄関に生けようか。
 花の明るさが自宅の玄関を彩るのも悪くない。

 花を愛でている皆の顔が優しくなっている気がする。
 心地よい春風が、さわやかに彼女らの間を吹き抜けていった。


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:5人

撃退士・
新井司(ja6034)

大学部4年282組 女 アカシックレコーダー:タイプA
慈し見守る白き母・
白蛇(jb0889)

大学部7年6組 女 バハムートテイマー
胡蝶の夢・
尼ケ辻 夏藍(jb4509)

卒業 男 陰陽師
静寂の魔女・
仄(jb4785)

大学部3年5組 女 陰陽師
『楽園』を創る英雄・
風道 奏音(jb8775)

大学部7年314組 女 アストラルヴァンガード
『楽園』華茶会・
グラサージュ・ブリゼ(jb9587)

大学部2年6組 女 アカシックレコーダー:タイプB
撃退士・
東條 雅也(jb9625)

大学部3年143組 男 ルインズブレイド