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マスター:九三壱八
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:25人
サポート:4人
リプレイ完成日時:2014/07/04


みんなの思い出



オープニング

●四国


「……晴れたな」
 久しぶりに見る澄んだ空に、大天使バルシークは呟いた。
 ここのところ何日も雨が降り続いたせいで、目下に広がる石鎚山は雲海の中にひっそりと沈んでいる。
 無数の水の粒子が上空から差し込む陽光を反射し、きらきらと輝いて見え。
「美しいものですね」
 かけられた声に振り向くと、そこには蒼き双眸がある。
「アセナスか」
「すみません、お呼び立てして」
 申し訳なさそうにするアセナスに対し、かぶりを振ってみせる。
「……それで、私に相談というのは?」
 バルシークの問いに、躊躇いがちに頷いて。
「その……ゴライアス殿の事なんですが。数ヶ月前から様子がおかしいと言うか……元気がないのが気になって」
 その言葉に瑠璃の瞳がアセナスを見返した。
「それで、バルシーク殿なら何かご存じかと」
 バルシークは一旦黙り込んだ後、山へと視線を移し微かに吐息を漏らす。
 かの黄金の大天使を失った朋を思う。
「……何度失っても、慣れないのだろう」
 どれほど長い年月戦いの中に身を置いたとしても。失う痛みには慣れることがない。
 死に頓着しない事と、痛みを忘れる事は違う。
 悲しむ時間は癒やすためのものだと思うから。
 視線を戻したバルシークは、アセナスと向き合う。


「少し、気晴らしにでも出るか」


 いつの間にか、霧は晴れてきていた。  


●そんなわけで


 やってきたのは徳島。周囲を埋め尽くす湯煙を見渡し、大天使ゴライアスは豪快に笑った。
「おう、これが温泉というものか。噂に違わずよき所よ」
 山奥にある秘湯中の秘湯。岩に囲まれた泉地は広大で、まるでプール程の広さがある。
「こんな所よく見つけられたな」
 感心するバルシークに、アセナスはちょっと得意げに。
「ええ。あらゆる力を駆使して調べましたから」
 秘湯を調べるために、こっそりネカフェに入ったとか入っていないとか。人里離れた場所であるため、人間と遭遇することもないだろうと目論んで来たのだ。
「ふいー生き返るわ」
 湯煙の合間から見えるのは、満天の星空。
 早速湯につかった三天使は、各々その心地よさを堪能していた。
 ふと、ゴライアスが唐突に語りだす。
「さて、体が温まったからにはクエストに挑まねばならん。男のクエストだ」
 何故か妙に厳かな声。
 ちょっと腰が逃げたバルシークと、何かの秘訣を感じ取り身を乗り出すアセナス。
 ゴライアスは予言を告げるかの如く神々しく告げた。

「今こそ告げよう。温泉とは!
 一に体の疲れを癒し、二にその開放感に浸って心を満たし、
 三に女湯を覗いて男度をあげるものである! と!!」

 シン、と近くの音が絶えた。どこか遠くでちゃぷちゃぷと音がする。 
「ゴライアス…それは一人でやれ」
「仕方あるまい。バルシークはリネリアを裏切れんらしい……さ、行こうかアセナス」
 無駄に夜風を全裸にあび、肩にバシーンしたタオルをはためかせてゴライアスが仁王立ち。隠さない男の背面が色んな意味で目に厳しい。
 注意しようとしたバルシークの前、すっくとアセナスが立ち上がった。
「お供します、先輩」

 あかん。

「いかんぞ、アセナス。それは罠だ」
「バルシーク。なぜにおぬしはそこまで枯れておるのか。…マムシドリンク、やろうか?」
 バルシークは聞こえないふりをした。
「儂はおまえさんの未来が心配でな?」
 バルシークは聞こえないふりをした。
「儂はおまry」
「わかったから、アセナスを洗脳するんじゃない! だいたい、誰も来ない秘境だからここを選んだのだろう。女湯そのものが存在しないと思うが?」
「うむ。盲点であったな」
 ちゃくせーき。
「そういえばそうですね」
 ちゃくすーい。
 仕方なく湯に戻った二人に、出番を終えた湯煙が持ち場を離れる。懲りないゴライアスが「探せば何かおるかもしれんな」といそいそ動くのに、バルシークがこめかみを揉んだ。
「まったく…」
 その時、アセナスがハッとなって顔を上げた。
「……あれ? なんか音が聞こえませんか?」
 アセナスの耳には、それは人の声であるようにも感じた。バルシークも怪訝な表情で。
「……人間か?」
「まさか。こんな山奥に」
 そう言って笑ってみせた後、アセナスは気になっていた事を聞いてみる。
「リネリアの怪我はどうですか」
「大事には至っていない。完治にはしばらく時間を要するだろうが」
 バルシークの返事に頷いた後、わずかに苦笑を漏らす。
 彼の脳裏には猛省するリネリアの姿が映っていた。自分の為に三人もの仲間に迷惑をかけた事が、たまらなかったのだろう。
(そりゃ、へこむよな)
 アセナスには彼女の気持ちが痛いほど分かった。
 思うように成果を出せない事への焦り。役に立ちたい想いの強さが、空回りするもどかしさ。
 それは自分も――同じだから。
「……アセナス、どうした?」
 バルシークの声に、はっと我に返る。
「い、いえ何でも……あれ、ゴライアス殿は?」
 いつの間にか姿が見えないことに気付く。探しに行こうと立ち上がる背にかけられる声。
「放っておいてやれ」
 振り向けば、バルシークがかぶりを振っている。一人にさせてやれと言われてるのだと気付き、何も言わず湯へと戻ろうとした時。
 彼の目に、遠くから近付いてくる人影が見えた。


●一方その頃


 大天使達から離れた温泉の一つで、湯を楽しむ面々がいた。
「閣下のお傍を離れている時でも、身嗜みは整えないといけませんものね」
 タオルできっちり髪を纏め、肩まで湯に浸かっているのはマリアンヌだ。
「休養の必要性は認めてもいいよね」
 同じく肩まで浸かりながらリロ・ロロイが防水仕様の真白き書を虚空に仕舞う。その前にぷかー、と浮いてくるのはヴィオレットだ。
「足つかない〜」
 ちゃぷちゃぷ。
「あたしだけ修行状態なのですよ!」
 ちゃぷちゃぷ。
「あらあら」
 大きなプール程もある温泉は、整地されていない為異様に深い場所がある。他二柱の悪魔はともかく、幼いヴィオレットには足がつかなかった。
 仕方なく目の前にある大きな袋に乗る。
「避難するのです」
「あらあら」
 胸の上に乗ってきた幼女にマリアンヌは微笑む。
「ん。何か騒がしくなってきたようだね」
 ふと聞こえだした集団の声に、リロが眼差しをそちらへ向ける。湯気が濃くて見えないが、かなりの数だ。
「のんびりしたいところですが…相手次第ですわね」
 にこにこしたままで、マリアンヌは移動を始める。
「大小の温泉があるみたいだし、向こうに行ってるよ」
「では、私達は向こうに」
 それぞれの好みの場所へと向かう為、一旦湯を出た。


 全裸だった。






 一人離れ、湯に浸かって空を見上げる。
 遥か彼方に真円の月。
 冴え冴えとしたそれを目に留めて苦笑を零す。

 二人が何故ここに連れてきてくれたのか知っている。
 だから「一人になってみたい」等とは口に出しにくい。
 たぶん見抜かれているだろうけれど。
 
「なぁ、黄金の」

 答えの無い相手に問いかける。


「おぬしの月は、本当に蘇るのか…?」






「集合十五分前にホイッスル鳴らすから、それまでは自由時間だ」
「湯気で周囲が見渡しにくいから、気を付けて」
 鎹雅と西橋旅人の声に生徒達から返事が返る。
 山深い巨大な秘湯。点在する大小様々な温泉とあわせて、一般には知られていない秘湯。
 清掃ボランティアで疲れた体を癒すべく、人々は足を踏み出す。
 湯気の向こうに何が待っているのか、今の彼ら彼女らが知るよしもなかった。




リプレイ本文



 その温泉に着いた瞬間、水枷ユウ(ja0591)はかつてない衝撃に襲われた。

 バナナオレの匂いがする!

 ならばここは、秘湯・バナナオレの湯! それは無限に湧き出すバナナオレ(あったか〜い)が満ちる魅惑の園(たぶん)。
(わたしの楽園<エリュシオン>はここにあった‥‥!)
 盛大な大冒険の終幕フラグを立てつつ、ユウはふらふらと導かれるように歩き出す。
 その後ろ、紫ノ宮莉音(ja6473)は楽しげに周囲を見渡した。
「野生の温泉!*(>w<*) 動物とか来ないかなー♪*」
 これだけ広大な温泉だと、もうお風呂というよりプールの感覚に近い。
(たまには秘湯の温泉でゆっくりと言うのも良いですね‥‥ああっ、湯気で眼鏡が曇ってしまった)
 珍しい情景を見やって後、即座に白くになった視界に黒井 明斗(jb0525)は慌てた。
(まあ、キケンは無さそうですし)
 視界は悪いが、シルエットで男女の区別程度は把握できる。のんびりと休暇を満喫するのなら、これぐらいでいいかもしれない。
「温泉なのだよー!」
 オレンジに白の水玉模様のセパレートタンキニを着用し、フィノシュトラ(jb2752)は湯を掻き分けるようにして巨大な温泉を楽しんでいた。
「これが自然のものだなんて、すごいのだよ?・わぷっ」
 不意の段差にその体が湯に沈没する。浮き上がり、フィノシュトラは目を輝かせた。
「これは、探検なのだよ!」
 少女が奥へ奥へ進む横、別方向へと進む者がいた。
『夢の中であった、ような…』
 何故かそんな気持ちを覚えつつ、矢野 古代(jb1679)は湯の中を歩く。腰まで浸かったその部分が、なにやらきわどい部分まで肌色な気がするのだが待て後頁!(同じ頁内です)。


 苔むした案内板の前、レディスAラインワンピ姿の御堂・玲獅(ja0388)は湯場の大きさに感嘆の声をあげる。
「広いだけでなく、色々秘湯があるのですね」
 簡易な図を覚え、お気に入りの場所探しに歩き出した。
「おいで、ヒリュウ。ふふ。温泉ははじめてだねぇ♪温まろうねぇ」
 呼び出したヒリュウを抱え、ジーナ・アンドレーエフ(ja7885)は母の自愛を滲ませた声で語りかける。「きゅぃ♪」と鳴くヒリュウが嬉しげにジーナに頬ずりした。
 先行く人々をその内に隠しながら、湯煙がふわふわと虚空を漂う。
「すごい湯気だ、な」
 アスハ・ロットハール(ja8432)の出で立ちは黒地に赤ラインのハーフパンツ。湯に向かうと、ちょうど前を見知った女性が歩いていた。
「流石の偽神も、ここでは水着、か」
 苦笑するアスハに、白のパレオ付きビキニのマキナ・ベルヴェルク(ja0067)も苦笑を零す。
「…裸体を晒せるほど無恥ではありませんからね」
 湯気が濃霧のようになっている場所ならばゆったり出来るだろう、と、二人でそちらを目指す。
(温泉なんていつ振りか。一般人の姿なしならゆっくりできそうだが)
 その後ろ、脱衣所から出てきたばかりの久遠 仁刀(ja2464)は、久遠印の水着姿で周囲を見渡した。奥の行くほど湯気に包まれ、確かに視界がかなり悪い。
(賑やかなのは得意じゃないからな…)
 人の多い所を避けるべく、仁刀はその奥へと向かって足を進めた。


 その頃、入場と同時に湯煙に突っ込み遠くへと走った人物は大岩の上にいた。
(ONSEN…)
 岩場に仁王立ちし、フレイヤ(ja0715)は湯気の塊を見据える。
(ただその湯に浸かるだけでも効果を発揮するONSENだけど、私は秘奥を知っているわ)

 ずばり!
 湯に浸かりつつ!
 月を見上げて!
 熱燗を飲む!

 これこそ私が求めた”聖地”!
 月を肴に酒を嗜むなんてマジ私超美女よヤバイ美女!
(…まぁ、一人ですけどね)
 ほろ、と崩れそうな涙腺のまま月を見上げ続ける。大丈夫。付近一帯に誰もいないことは念入りにサーチ済みだ!

 気配を殺した影が、そんなフレイヤをジーと見ていたのは秘密である。


 入口に戻ってこちらは湯煙前。立ち篭める湯気を前に、若杉 英斗(ja4230)は仁王立ちしていた。
(ふっふっふっ…この秘湯ツアー参加が決まってから、俺は秘密特訓を積んできた)

 ――毎晩寮の浴場で、湯気の向こうに桃源郷を視る訓練っ!

 ――『湯気でみえない部分を妄想r…、想像力でカバーする』能力!

 ――いまこそ、その力を解放する時!

 おまわりさん、こっちです!
 しかしカッと見開かれた両目には言語を絶する何かのぱぅわーに満ちている。その力を瞳に秘め、今、英斗は閉ざされし楽園への鍵を開く!(イメージ)

(美少女達とっ! 混浴っ!)
 ブシィッ!

 ――その言葉の響きだけで、生命力の半分を持って行かれた。
「衛生兵ーっ!誰かライトヒールをー!」
 危うく開幕重症者が出かかった。
「とりあえず輸血の準備だけはしておくな」
 鎹雅が温泉依頼に何故輸血セットを持ってきているのかは不明である。





 三々五々散った人々は、それぞれの目的地へと足を踏み入れていた。
「一番温度が高いのは…ここか」
 湯に浸けた手を引っ込め、影野 恭弥(ja0018)は友人を振り返った。てててて、と走って来た真野 縁(ja3294)が横にしゃがみ、湯に手を突っ込み即座に出す。
「熱いんだね!」
「決まりだな」
 二人が探していたのは最も温度の高い湯。湯気が沢山出てる所を一つ一つ確かめ、巡りあったのがここだ。
「温泉といえば!温泉たまごなんだね!」
 ててーん! と縁が取り出したのは卵。

 三十個。

 温泉に一番乗りして「さあ熱いとこどこかなー!」と恭弥の手を引いて走ったのは十分ほど前だ。ネットごと湯に入れる縁に恭弥は苦笑した。
「ちょっと作りすぎじゃないか…」
 五つぐらいが上限か、と冷静に自分の胃袋と相談し、恭弥はネットの紐を近くの岩で固定する。
「さて、今度は入る温泉を探すか」
「うにー! 半熟とろとろ…」
 すでに縁は卵の国に心が旅立っている。よだれをぬぐいつつ恭弥に続いた。


 賑やかな声も、厚い湯煙の層とエリアの広さで遠く感じる。
 深く息を吐いて、強羅 龍仁(ja8161)は湯に体を預けた。
(偶にはこうして命の洗濯も必要だな…)
 疲れて溶けていくようだ。
(こういうのんびりとした時間を…知ってほしいものだが…)
 月を見上げ、ふと思う。あの時からずっと、山に篭り続ける使徒の事が気がかりだった。
「月は欠けたり消えたりするが、最後はちゃんと姿を現す」
 消えてしまうわけではない。
(大丈夫…自分の足できちんと歩けるはずだ…ルスもそれを信じたのだから)
 生きているのは奇跡だと言われた。逆にそれは、生きようとしているということではないか。今は傷の痛みに動けなくとも。
(出てきたならその時はそっと手を貸してやれたら……な)
 見やる先、空の月はただ悠然と周囲を優しく照らしていた。


 賑やかな人々が去り、静けさが戻った脱衣所から星杜 藤花(ja0292)は温泉地へと足を踏み入れた。その身を包むのはワンピースタイプの水着だ。
「湯煙で薄着でも恥ずかしくないね〜」
 声に藤花は振り返る。二つの手桶に卵とイチゴオレを入れた星杜 焔(ja5378)がそこにいた。
「暖かそうですよね」
 ほっこりと心地よい気分になれるといい。大きな戦いが続きそうな気配がするから、尚更に。
「星空はよく見えるね〜」
「色もはっきり見えますね…月も」
「うん…。月も綺麗だね…」
 遥か頭上、夜空の色は濃い。
(月…月か…。今どうしてるかな…)
 湯の中に入り、焔はふと雪山で別れたきりの使徒を思い出した。
(四国…ゲート『月華』の戦いからもう三ヶ月近く)
 寄り添うようにして空を見上げる藤花もまた、同じ時を思い出す。
(情勢は少し落ち着いてるでしょうか)
 目の前で最期の時を迎えた大天使。見やる空の向こう、彼女が去った場所は、あまりにも遠かった。


 幾人かが見上げる月の下、湯気の中では人々がくつろいでいる。
 黒系のトランクス型水着を着用した石田 神楽(ja4485)と、貸し出し用水着を着用した宇田川 千鶴(ja1613)と雅が、一列に並んでタオルを頭に乗せていた。
「あ〜、いい湯ですね〜」
「疲れが取れるわぁ…」
「安らぐなぁ…」
 あまりの癒しに三者三様、のへ〜とした顔になって渕に背を預ける。
「ところで先生…。彼等は…まだ?」
 問われ、雅は頷いた。
「…うん」
 湯に落とした眼差しが翳っている。千鶴も視線を落とした。
 引篭る気持ちはよくわかる。
(私もまだ心の整理はつかんもんな……)
 彼等の経緯考えれば尚の事だ。
「月は…自ら輝けんのよな」
「そうですね、月は自ら輝く事は出来ません」
(でも…きっとルスさんはそれを望んでる)
 ぽす、と頭の乗せたタオルに重みが乗った。神楽の手だ。
「ですが、もしかしたら彼等は自らを『月』とは違った存在にする事も可能なのかもしれませんね」
「違う存在?」
「それこそ、新しい黄金の太陽として、自ら輝く事が出来るのかもしません。ルスさんとは違う光を放つ、生まれたての太陽に」
 常と同じ笑みの神楽の言葉に、千鶴は目を細めた。
 そうなったらいい。そう思う。
「……ん。そうやね」
 もし、可能なら――
 彼女がその運命に抗って勝って、その末に託されたのなら手助けしていきたい。
 これからも、その先へと向かって。

「生きてるんやから、生きていかんと」





(雅先生!と、千鶴さんは…なんだかお取り込み中…?)
 ふと見つけた姿に歩みかけ、そこにいる人々の表情に莉音は足を止めた。静かに話し合っているが、何かを悼むような雰囲気を壊したくはなかった。
(他にもお友達がいるはずだけどよく見えないし…)
 湯気は濃霧に近い。風が吹き込んでこないことも原因かもしれない、と思ったところで向こう側に知り合いの姿を見つけた。
(あれ? 菫さん?)
 あの凛とした気配は、大炊御門 菫(ja0436)に間違いないだろう。とりあえず菫さんについて行く!(OvO*)と、湯の中をまったり進んで行くのだった。


 すみれ色の小さなビキニ水着に魅惑の果実を包み、菊開 すみれ(ja6392)は大温泉を徘徊していた。
「すごい湯気……」
 すでに前の人の姿がシルエットになる有様だった。
(どうしようかな……)
 丁度その頃、野生の勘(美少女レーダー)ですみれを補足した男がいた。
「あっ、菊開さんも来てたんですね!」
 英斗である。
「こんにちはー。若杉さんも来てたんですね」
 すみれはパッと表情を明るくした。その表情と肢体の眩しさに英斗は怯む。
(なんという……輝き!)
 一緒に温泉で遊んでくれるという英斗に喜び、笑顔で祈るように両手を組んだ。
「ありがとう!」

 ――胸の谷間が二割増しになりました。

(この…破壊力……!)
 英斗の体力に多大なダメージが発生しているが、すみれは気づいていない。
(でも、お礼に何ができるかな。男の人って、何が嬉しいんだろ? 誘惑すれば喜ぶかな?)
 女であるすみれにとってはわりと永遠に謎である。とりあえず水着の肩紐とか直しながら……ちらっ?(上目使い)
「ううっ……!」
(違った? えいっじゃあ腕組もう!)
 すみれは英斗と腕組みした!

【ぱい〜ん腕組み<コメディ>】物攻:500・命中1000・特殊効果:錯乱

「えっ!?なななn…えっと…そういう事は順を追って…、まずはデートでひとつのジュースをふたり一緒にストローで飲んでからですね…」
 英斗は錯乱している!
「それより、前に進もう・きゃ!?」
 動いた瞬間、湯の中の段差に足を取られて危うく転びかけた!
(天上の、秘宝が……!)
 間近で大きく揺れたそれに、英斗の体力がギュゥンと半分以下になる。
「若杉さん!?」
(そんな露骨に反応されると恥ずかしいじゃないですかー!)
 湯の中に倒れた英斗に思わず驚きつつ、すみれは心の中でふと思う。
(これは良い武器になるかも…?)
 小悪魔の誕生だった。





 好奇心旺盛なヒリュウを追いかけ、ジーナは湯の中を歩いていく。
「湯煙が濃いから余り遠くに行くんじゃないよ?…っと、先客さんかい?」
「あら、こんにちは」
 にっこり微笑んだ先客にジーナも笑む。
「こんにちは♪ ジーナ・アンドレーエフだよ。こっちの子はヒリュウ」
「マリアンヌですわ。この子はヴィオレット」
「ヴィオレットなのです」
「おや、可愛いねぇ」
 胸に張り付いている幼女に、母性を刺激されたジーナが両手を差し出した。
「ちっちゃい子だねぇ。ほーらおねえちゃんの胸にもおいでー」
「行くのです!」
 泳いでジーナの胸に移動したヴィオレットが、柔らかく抱きしめられる。
「ジーナも胸おっきぃの」
「そっちの人みたいにはおっきくないけどね」
 てゆか何カップあるのかねぇ…、とマリアンヌの形崩れの無い巨乳に感嘆する。
「立派なものなのです」
「ありがとうねぇ」
「おっきすぎて垂れ気味なマリーより立派なのですよ」
 何故か湯が一瞬凍りかけた気がしたが、同時期に幼女にしがみつかれたジーナは別のことのほうが気になった。
(この子、なんだか……履いてない、ような?)
 首を傾げるジーナの前、マリアンヌの双丘は今は静かに湯の中に沈んでいた。


「ん。わたしのバナナオレセンサー(勘)がこっちだって言ってる」
 ふわふわとした足取りでユウは進む。途中、服のままだったことに気づいて着替えで時間をロストさせられたが、アイスブルーのタンキニを着用した今、彼女の行軍を阻む者はいない!
 だが、一層匂いが強い場所へ進むため、湯に入った所でその進みが止められた。
「あら。バナナオレ子さん」
「あれ。こないだのメイドさん?」
 互いの視線の順:バナナオレ→相手の顔。
「奇遇ですわね♪」
 にこりと笑むマリアンヌに、ユウは頷いた。
(ということはバナナオレの匂いは‥‥)
 マリアンヌの手に持つバナナオレ。がくー。
(楽園よさらば‥‥)
 がっかりしつつ、すすすとマリアンヌの方に向かう。表情は変わらないが、なんだか嬉しげだ。
「ん。乾杯」
「でしたらこちらを」
 渡されたひえっひえのバナナオレで二人して乾杯する。
「前回あげたお土産、どうだった?」
「どちらも楽しんでくださったようですわ」
 でも選んではくださらなかったのですよね、と溜息をつくマリアンヌに、ユウは「しょーがないよ味覚はそれぞれだから」と内心を殺して肩ぽんした。


「この辺りの湯が適温か」
 温泉卵制作地に近いポイントを探し歩き、恭弥と縁は湯の中に身を投じる。入った瞬間、恭弥は僅かに眉を寄せた。
「傷に染みるな…」
 戦い続きで生傷が耐えないゆえの結果。身に刻んだ傷が幾つあったのか、もはや数える気にもなれない。
「んー!労働後の温泉は気持ちいいんだよー!」
 そんな恭弥の横、のびのび浸かりながら、縁は大きく両腕を空へ伸ばした。次いでみかんを取り出す。
「温泉!みかん!これも大事なんだね!」
 何故か頭のてっぺんにみかんを乗せられた。
「なーにやってんだか」
 フッと軽く微笑んだ恭弥が、縁に痛くないでこぴんをしてみかんを下ろす。マジックを取り出しつつ縁が笑った。
「てへぺろ!」
「…それは?」
 何かを書かれたみかんが次々湯に投じられるのに、恭弥は首を傾げた。 
(ゆずじゃあるまいし意味はないだろうが…縁が楽しいならそれでいいか )
 浮いたそれが近くに流れてくる。
「来れなかった子の代わりなんだよー」

 新手のクリーチャーにしか見えない(絵が)

「そうか…」
 どれが誰かは聞かないことに決め、恭弥はゆったりと穏やかな温もりを堪能するのだった。





 湯煙の向こうにその悪魔を見つけた時、一瞬、状況が把握出来なかった。

 驚愕に目を見開く菫にマリアンヌはにっこりと笑った。
「今度は何だ」
「ふふ。身形を整えることもメイドの努めですもの。そちらは?」
「…休養、だ」
 問いには答えを。けれど始めの印象が抜けない為、胸の奥に焦りのようなものが生じる。
 丁度後ろからそれを見た莉音は二人の様子に首を傾げていた。
(菫さんのお友達? じゃない感じ…?)
 強い警戒が滲む菫の反応から察するに、油断ならない相手なのだろう。
(ヒヒイロカネはつけてるけど…どうしよ!)
 二人の間に戦いの気配があれば即座に反応したものだが、そういう気配は無さそうだ。ならば菫に任せよう、と意識を切り替える。
(難しいお話だけどよく聞いとこ…)
 その菫はといえば、かつて見聞した相手の言動を思い起こしながら、じっと出方を伺っていた。
(問答で済むはずがない)
 だが、近くにいるユウ達はのんびりしたものだ。
(風呂に浸かりながら思案を纏めようと思っていたのだが…それどころでなくなったぞ)
「何かを胸の奥に蹲らせているようなお顔ですわね」
「!」
 唐突に言われた言葉に、菫は息を飲んだ。マリアンヌはあの時と同じように穏やかに笑っている。
(この、悪魔…)
「戦場にありて剣たる者の何割かが踏み込む領域があります」
「なんの…話だ」

「懊悩」

「逡巡」

「猜疑」

「自失」

 ただの言葉が、この悪魔が喋ると妙な重さを持つ。
「自らの立ち位置を見失う者、在り方を見失う者、進み方が分からなくなる者、行いの是非を問う者、疑う者」
 白い手が白湯を掬う。
「何の為の力か。何を成したいのか。そのために進む道はどういうものなのか。……さて、明確に視覚化できている方はどれほどいますでしょうか?」
 あなたは? と微笑みの向こうで目が尋ねていた。
(答えなくては)
 力の伴わない信念は妄想でしかない。
(見せるしかない)
 意思と覚悟に満ちた力、答えを。
(しかしどうだ? 迷っているのであればその力は只の暴力ではないか)
「お悩みですね」
 微笑みが憎らしい。その唇が動いて言葉を紡ぐ。

「おめでとうございます。ならば、貴方は先へと進めますでしょう」

「…どういう、意味だ?」
「悩むということは、考えること。抗うこと。……悩むことのない生き物など、家畜も同然でございますもの」
 暴言に等しい言葉すら暖かな笑顔で。
 菫は相手を睨み据えた。
 今まで悩みを得る事無く、義憤と義務のままに進んできた。そのことを恥じたりはしない。悩み等不要だった。

 だが、それでは成長しない。

 ただの、道具だ。
「…そういう、ことか」
 不断の問いこそ自分を磨く。
「ええ。そういうことですわ」
「なぜそれを教える」
 菫の声に、マリアンヌはふと考える顔になり、そうですわね、と小さく呟いた。

「多分、私は皆様に、『期待』しているのですわ」

 あの子と同じように、と。





 湯煙の向こうから声がした。
「流石に喉が渇いてくるねぇ」
「なのです」
「飲むか? 放っておくと脱水症になりかねん」
 リョウ(ja0563)は近くを通りがてら、そう声をかけた。ヴィオレットを抱えたジーナが嬉しげに受け取り、二人で喉を潤す。
「ありがとうねぇ」
「なのです!」
 手を振って見送る二人と別れ、リョウは湯を楽しみながら進む。湯気の奥では女性達が笑いさざめく声。時々何かを飲んでいる音とバナナオレの匂いがした。
(何故か、女性ばかりに会うな……?)
 そんなことを思いながら通り過ぎる。
 同時刻、同じようにして傍らをそっと通っていく影があった。
 明斗だ。
「水着を着てるとは言え、女性と一緒は気が引けますからね」
 シルエットと声で、そこにいる集団が女性だということが分かる。そろそろと離れた。
(落ち着ける所を我しましょう)
 湯気に包まれながら、明斗は暖かな湯の恵みを味わうのだった。





 皆を見回ってくると言う雅と分かれて探検に出た先、神楽と千鶴は妙に見知った顔を見つけた。
「…何故でしょう、私は以前、貴方に全力で殴られたような記憶があります」
 人違いですよね? と笑む神楽に、ゴライアスも笑った。
「儂も攻撃を逸らされまくった記憶があるな。人違いだったか?」
「楽しそうやな二人とも…」
 千鶴が呆れたように二人を見て言う。
「そういえば、、私の脱ぎたてスクジャ持っていっ(語弊)…冗談です」
 瞬時に黒い何かが形成されそうなのを横から押さえ込み、千鶴は「お久しぶりです」とゴライアスに挨拶した。
「久しいな。ははぁ、あの残骸はおまえさんのジャケットだったか。身代わりのアレだな」
 まぁ飲め、と外側が凍った酒壺を渡される。
「と、ちょっと待っておれよ。儂のとっておきが流されてしもうたわい」
 湯に浮かべてあった手桶を探し、反対側にざばざば歩いていく巨漢の尻に二人は思わず酒を吹きかけた。

「タオルを巻けぇぇ!」

 嗚呼、なんということでしょう。
 丁度反対側にいた龍仁がばっちり真正面でした。
「いい歳したおっさんが粗品を晒すとは…」
「おう。おっ(まえ)さんも来ていたか!」
「言われたくない一言だな!?」
 龍仁のツッコミにゴライアスが笑う。前と後ろから放られたタオルで腰を撒くが、一枚では足りず、二枚だと下からコンニチワしそうだった。
「斬新な格好になりましたね」
 三枚のタオルでどうにか防御したゴライアスに、神楽が黒いにこにこ。
 龍仁が嘆息をついた。
「まったく。俺よりは小さ…何でも無い…」
「ほぅ。聞き捨てならんな? ならばここは男の勝負といこうではないか。これでも儂は」

「騎士団で、二番目のカノン砲よ」

 誰か止めろ。
「まて、水着を脱がそうとするな!」
「男なら潔く勝負せんか!」
「いらん勝負だ!やめんか!!」
 おっさん×おっさんのアツイ戦い。ゴライアスの腰布群が大変遺憾な感じで際どい。
「ぽろりときたら、撃ち抜きますよ?」
「「あ、はい」」
 黒い笑顔の殺意に男二人がスッと肩まで湯につかった。
「怒られただろうが」
「わっはっはっは! まぁ後で勝負すればよいだけのことよな」
「諦めろ」
 ざっぱざっぱ顔を洗うゴライアスに、龍仁は苦い表情だ。
「それにしても、おまえさん、前とちィ〜と雰囲気が違うな」
「雰囲気が前と違う…?」
 そっちも違っているが、と言うと笑われた。
「ははぁ、そうだな……」
「歳を取ると無駄に心配事が増えてしまうな」
 二人して苦笑する。
 日々を懸命に生きてきた。できる限り手を伸ばし、必死になって救おうと無理を重ねながら。
「いつも俺の手から零れ落ちてしまうんだな…」
 ゴライアスは注いだ酒を龍仁に渡して笑う。
「完璧などという者はおりゃあせん。儂も、妻子を亡くした。儂があの日家におれば、防げたはずの現実だ。小さなミスで友を窮地にたたせてしまったこともある……何程長く生きようと、戦を重ねようと、どれほど力を得ようと、な」
 太い腕が伸びて、龍仁の肩をがっしりと組む。
「恐れるべきは、失敗を恐れて動けなくなることよ。糧にすればよい。おぬしには頑強な腕があり、胴があり、足があり、考える頭がついておる。見る目と聞く耳もある。なら、あとは進むだけた」
 自分が自分に終りを告げるまでは。
 二人の様子に、苦笑して千鶴が言う。
「…前にある人と似てると思ったんです」
「ほぅ?」
 むきっ
「や、全裸は関係ない。その実直さと纏う空気が」
「ふむ」
 むきむきっ
「だから全裸は(ry」
「獅子公。楽しんでますね?」
「若い者とわいわいやるのも好きでな」
 大きな手が伸びて、二人の頭をワシワシ撫でた。
「生きておれば、色々あろうて。ま、抱え込まず、のんびりとな。おぬしらの先は長い」
「獅子公もですよ」
 ゴライアスはデカイ悪戯小僧のような顔で笑った。
「こいつぁやられたわい。ところで、そこの連中は混ざらんのか?」
 振り返るゴライアスの視線を三人が追う。
 アスハとマキナがそこにいた。


「いつかの騎士、か…彼女共々、先日は良き鉄火場に感謝を、だな」
「おう。おまえさん等も。まぁ、一杯やらんか」
 自然と酒盛りに誘われ、アスハはどこからともなく熱燗を取り出した。
「ならこちらの返杯も、だな」
「うはは、こりゃあ何より」
 ゴライアスは呵呵大笑する。
「しかしなんというか、このような所で会うと、おぬしが女性であることを痛感するわ」
 鋭い刃で自身に迫ったこともあるマキナをしみじみ見やり、ゴライアスは感に堪えないといった表情。
「…余り見ないでください。女の魅力などないでしょう?」
 僅かに羞恥を含んで言うマキナに、ゴライアスは不思議そうな顔になった。
「鍛えぬき完成されつつある体に、魅力が無いなどということがあろうか。自信を持つがよい。おぬしは儂が知る中でも極上の美人よ」
 不慣れな分野で大真面目に褒められるほど反応に困るものはないだろう。そそくさと湯の中に沈んだマキナをアスハが興味深そうに見ている。
「…それとは別に、リネリアさんの調子は如何でしょうか?」
 湯から頭を出したマキナが意識を切り替えて問うた。純粋に心配だった。決定打となったのはおそらく己だろうから。
「ははぁ、案じられた旨、伝えておこう。なに、あやつも武人。次に相対する時は先よりも強くなっておろう。……思い悩む時もあろうが、あやつらは強い。いずれ儂を超えていく者達よ」
「…何か悩み事か考え事、ですか?」
「…何かあったんです?」
 ふと仕草に僅かな違和感を覚え、マキナと千鶴がゴライアスに問いかけた。
 ゴライアスは笑ってぴしゃりと自分の顔を叩いた。
「おう。娘等に心配されるようでは、儂もまだまだよの」
 声にアスハは静かに口を開く。
「面白い場だな…魔と天が競い、その刹那を人が劫し、月の華まで咲いた」
「ああ」
「…月の華に関しては、そこのカップルが詳しいが、ね」
 チラと視線を千鶴と神楽に投じる。
「看取ってくれたのだったな……」
 ありがとう、と頭が湯を埋没するほど下げられた。
「今は騎士としてではなく、か?」
「裸で騎士もあるまいて。戦場ならばともかく」
 アスハの声にゴライアスは笑った。
「誰が勝つか分からない、が…二人とも、終焉はどう見る?」
 アスハの声にマキナは静かに告げる。
「叶うなら、誰もが認められる着地点があれば良いのですが…」
 視線を向けられ、ゴライアスはひょいと片眉を上げた。
「状況は刻一刻と変わろうが、儂がやることは常に一つよ」
 その瞳は、アスハのそれと同じ。
「またいつか、良き鉄火場で出会えることを…その時こそ、貫かせてもらおう」
 アスハの声に、ゴライアスは口の端を笑ませた。同じ戦場に在りし魂に杯を上げる。
「超えて行くがいい。おぬし等の武を認めさせる為に」
「何れ戦場で。…別に稽古でも、私は構いませんけど」
 同じく告げるマキナの声に、ゴライアスはその頭をわっしわっし撫でた。
「盗めるものがあれば持って行くがよい。何れ、儂の到達できなんだ先に行けたなら、そいつを教えてくれれば有り難い」
 その姿はどこか師弟のような、あるいは親子のようだと龍仁は思った。



「グループが三つ…四つ、ですか」
 生命探知で人が溜まっている場所を探しながら、玲獅は小さく首を傾げる。複数のグループが増えたり減ったりしているようだ。
 ばったり出会ったジーナは、四歳ぐらいの幼女の体を洗いながら「向こうにも沢山人がいたよ」と濃い湯気の先を教えてくれた。どうもそちらが秘湯らしい。礼を言って離れながら、玲獅はもう一度首を傾げた。
(あんなに小さな参加者、いましたでしょうか?)





 リョウが合流する頃には、すでに空の酒瓶が三つほど転がっていた。
「賑やかだと思ったら……こんな所で会うとはな」
「合縁奇縁というやつだろうて」
 見やるゴライアスの視線の先、黄金の羽根がチェーンの先で揺れている。
「彼女らがどんな人であったのか教えてくれないか」
「おぬしが一番聞きたいことは、どんなことだ?」
 逆に問われ、リョウは告げた。
「彼女の『一番』はレヴィで、彼女はそれを自らで勝ち取った。だから、俺はそれ以外を実現してみせたい」
「ほぅ」
 ゴライアスがリョウを見る。どこか父親のような目だ。
「…レヴィついては心配はしなくていいと思うが。今は喪った孔の大きさに戸惑っているのだろうが、その自分こそが『証』だと気付けば立つだろう。…何を求めるかは彼が決めればいい。もう彼女はいないのだからな」
 ああ、と落とす声は深い。その瞬間、背後の湯気がゆらりと揺れた。

「でもちょっとは話相手も欲しいというか何というか酔っ払いの相手しなさいよゴラア」

「いきなり!?」
 ゴツイ背中にぺたーん! と突如張り付いた(倒れ込んできた)金髪美女に、一同はぎょっとなった。
「大丈夫ですか?」
「駄目なんだよー!」
 その後ろから玲獅とフィノシュトラが湯をかき分けて来る。
「おぬしらも大変だな。にしても、若い娘がこんなにへべれけで、どうした。ちっと水でも飲んでおけい」
 合流した玲獅は周囲を見渡し、ゴライアスを見て困り顔になる。
「しかしそのお姿は……」
 とりあえず褌を着用してもらい、腰周りを一度解いたタオルで囲った。

 ――宗教画の人みたいになった。

 フレイヤがそんなゴライアスの裸(上半身)を見て目をカッぴらく。
「全裸なんてはしたない!貝殻ビキニ渡すからせめて大事なとこは隠しなさいおバカ!」
 渡されたゴライアスは愕然とした顔。
「なんだと!? だが紐が回らんぞ!」
 パツンパツンすぎて肩甲骨あたりに貝殻出てる。
「しょーがないゎねちょっと細工しt……ところで月がどうのこうのと聞こえちゃったんだけどさ」
「おぬし相当飲んできとるな……」
 ゴライアスの背中に仰向けに寝転がったフレイヤに、動けなくて中腰静止のゴライアス。腰のタオル群と相まってやはりどっかの宗教画のよう。
「陽が沈めば月が私達を照らす。これは必然よ。だから心配する必要なんてない」
 くるりと回転した体が、音をたてて湯の中に沈む。慌てて手を伸ばしたところで、湯から顔を出したフレイヤが笑った。
「大丈夫、黄昏を司る私が言うんだから間違いなしよ?」
 ゴライアスは苦笑した。。
「やれやれ…おまえさんらにこうまで心配されるほど、儂の様子はおかしかったわけか」
 そんな男を見上げて、フィノシュトラは首を傾げる。
「ゴライアスさんってゲートにルスさんに増援送っていたのだよね?」
「おう」
「ルスさんのこと…私は、見届けたから、色々お話したいのだよ?」
「そうか…」
 ぼすっ、と大きな手が頭に乗って、わしわしと撫でられた。
「私は皆が幸せで笑え手ほしかったけれど、命を助けることはできなかったのだよ…それはすごい悲しいけれど、でもきっとルスさんは幸せで、すごい満足して、逝ってしまったと思うのだよ?」
「……」
「皆に想いを残して自分の想いを貫いて、本当にすごい人だと思うのだよ?」
「……そうか」
「レヴィさんも、そんなすごいルスさんの息子なんだから、きっと大丈夫なのだよ!」
 大きな瞳に強い意思を漲らせ、フィノシュトラはゴライアスの目を真っ直ぐに覗き込む。
「それで、もしうじうじしてたらゴライアスさんがお尻蹴っ飛ばしてあげればいいのだよ!」
 背中を小さな手で叩かれて、ゴライアスは笑った。
「すごいことになってるね〜」
 声に導かれるように顔を覗かせ、焔と藤花は一同を見渡す。あの日、剣山に集ったメンバーがこれほど集まっていようとは。
「天・魔・冥・人。和平や停戦の目はあると思うか。将では無く個人としてどう思う?」
 リョウの声に、ゴライアスは片眉を上げた。
「さて。儂のような戦うことしか出来ぬ者にはとんと思いつかんが――」

「『均衡』が『抑制』を生む。ただし至るには血が流れよう。力は未だ届かず、時は足りず、実績を認めたる者も乏しい。だが、いずれ機会は来るだろう」

「――『黄金の』の言葉だ」
「ルスさんの……」
「機会を逃さぬことだ。それはいつ訪れるか分からぬ。見誤れば、消え失せよう」
 それは何か、未来を示唆するかのようで。
(お母さんと慕っていたんだよね…)
 焔はゴライアスを見る。
(家族を失う時に傍に居られなかったの、まだ…考えちゃうと駄目だな)
 両親喪った日の記憶がぶり返すのがわかった。咄嗟にこぼれ落ちた涙を湯気に隠す。
「あの方は種族を超えて尊敬できる方でした…」
 最期に立ち会い、そう告げる藤花にゴライアスはくしゃりと笑う。
「ありがとうよ」
「どんなお母さんだったのかな」
 焔の問いに一斉に視線を向けられ、ゴライアスは苦笑した。
「いつも微笑ってるような、そんな天使だった。歌が好きでな、よく歌を歌っておった。『あやつら』がおらん時は、悲しそうだったな」
 ふと口を噤んだ男の顔もまた、やはりどこか悲しげた。
(せめて)
 焔はゴライアスの前に手を差し出した。
「これ」
 黄金の羽根。
「お母さんのもの、だから…」
 ゴライアスがじっと羽根を見つめる。ごつごつとした大きな両手が焔の手ごと羽根を握った。
(あ)
「〜〜〜」
 ばしゃん、という湯音はゴライアスが面に顔をつけたから。
 焔は何も言わない。同じ男だ。泣き顔など、見られたくないことぐらい分かる。
 だが、ゴライアスは手を離した。顔を洗って笑う。
「おぬしらが持っておれ。……儂は別のものを沢山、貰ったからな」
 それに、と続ける顔は遠くを見るかのよう。
「儂も、渡すべきなのだろう。あやつに」
 一同が視線を向ける中、ゴライアスは低い声で告げる。

「儂をあの山に案内してくれんか。あやつには、渡さねばならんものがある」





「ここまで視界がきかなくなるのか…」
 濃霧状の湯気の中で仁刀は立ち止まった。
(これだけ奥なら人も… いや)
 ざぱぁ、と音がした。
「ああ、この体勢ですと肩が楽ですわ」
(同じような考えの者、か。お互い様だから勘弁願おう)
 声と人影から女性だと察する。近寄らず、仁刀は湯に身を沈めた。
「…いい湯だ」
「本当にいい湯ですわね」
「こちらは気分転換ついでだが、そっちはどうしてここに?」
「休養ですわ」
「なるほど」
 お互いにのんびりと声をかけあう。だが、ふと気づけばあちこちに人の声がした。どうやらこの辺りはわりと人がいるらしい。
(移動するか)
 仁刀は腰を上げた。
「取り留めもない会話に付き合ってくれて感謝すr」

 ――その時、湯気が僅かに流れた。

「ぶふぉお!?」

 双丘の空母(肌色)が見えた。

 しかも地上に組んだ両腕の上。何故、陸に上げたし。
 そんな空母の後ろに、サーフパンツ姿の月詠 神削(ja5265)が現れた。
「……久し振りだな」
「あら。あなたもいらっしゃってたのですね」
 返り見た空母がおっとり微笑む。
「ジャムたちを追った先で問答して以来か」
「ふふ。とても楽しゅうございましたわ」
「あの時、一つ気になった点があるんだがな?」
「まぁ、なんでしょう?」
 湯気先生が賢明に蔵倫している中、神削は雷雲を背負いそうな気配で告げる。
「他の連中はあんたの質問に回答した対価として、あんたに一つ質問して答えてもらってたが――俺は、あんたに何も質問していないと思ったんだが?」
「あらあら。うふふ」
 マリアンヌはなんだか楽しそうだ。
「今、あの時の対価として俺の質問に答えてもらいたい」
「いや…それよりも、だ」
 傍らにいる仁刀は気が気ではない。だがそれは神削も同じだった!

「――何故、隠さない!?」

 どこかから風が吹いて周囲の湯気が晴れかけた。
(あれ?この人たち水着きてない…? 注意書き読めなかったのかな…!?)
 あまりのことに莉音は唖然となる。すぐにハッとなって声を出した。
「菫さんタオル…!」
「どういう、ことだ?」
「ちょ…裸!?」
 今まで気付かなかったマリアンヌの現状(裸)に周囲は慌てた。普通着てるだろうと思っていたのだ。しかしタオルが用意されるよりもマリアンヌの動きのほうが早い!
「何故と問われましても…そう、私の体に」

「隠すべき所など、無いからですわ」

ざ「ヒリュウ!ガード!」
ぱ「だめーっ!男子もいるんだから!」
ぁ「……何のつもりかしらんがとにかく何か身に付けろ!?」
っ「というか、もう細かいことはいいから水着を着るかタオルを巻けぇぇ!! 」
 大騒動。
 投擲されたタオルと着物と褌を頭に乗せ、遺憾な場所をジーナのヒリュウに守られ、空母をすみれのハンドに守られたマリアンヌの真向かいで、すみれが「…あ、凄く、や、やーらかいです」と空母を揉んでいる。いろんな意味で手に余る。
「皆様こそ何故着衣でご入浴を? 温泉とは全裸で入るべき所のはずですが」
「…異性と入る場合は、湯着着用がマナーだ」
「まぁ」
 菫がため息をついて教える。先程からあまりのことに唖然としていたのだが、なんだか頭が痛くなってきた。
「さっきの借りは返したからな」
「ふふ。ありがとうございます」
「む。お湯が宿敵のような色に‥‥」
 ふと薄いピンクになった湯に全員がそちらを見た。英斗がうつ伏せで浮いていた。
「若杉さんが!」

 どうやら瀕死(貧血)の体に再追撃をくらったようだ。





 その惨劇()が起きる十分ほど前――

 撃退士達と別れ、淡くけぶる夜空を見上げてゴライアスはじんわりと笑った。
「いいものだな」
 一度に子が沢山出来たかのようだ。だがいずれ戦う時が来るだろう。そしてそれは、そう遠くない未来だ。
 小さく口元の笑みを浮かべる。
 その時、背にした岩の横から声が聞こえた。
「…久し振りだな、獅子のおっさん」
「おう。白の字」
 赤坂白秋(ja7030)と互いに杯を上げ、視線を交わし合って笑い――

「だあっはっはっはっは!」
「うはははは!」

 三分後、意気投合してばしばし叩き合っている二人がそこにいた。
「つーかさー、水着の混浴とか邪道じゃね!?騎士道に反してね!?」
「いっそ裸になれぬのならば混浴ならぬ男女別であればよかろうにな!」
 蔵倫に後ろから蹴倒されそうな勢いだが、止める者がいないどころか加速させる者がいる。
「オッサンいい体してんな。あっちのおねーさん方はおっさんのツレか?」
「おう、めんこいの。はて? 儂のツレは真面目なオッサンと真面目な若者だけだが?」
 呼び名もアレだが、例えも酷い。
 めんこいの、と呼ばれたケイ・フレイザー(jb6707)は名乗りながら相手の筋肉を観察し、

 助平会議に参加した。

「オレは大きさは気にしねえなー。あえて言うなら形と感度か。ま、一番大事なのは触れるかどうかだろ?」
「触らせてくれるか、それが問題だ」
「拝み伏して頼めばよかろうが。儂は妻に申し込んだ時は三日三晩頼み伏したぞ」
「おっさん……漢だな」
 誰か止め役はいないのか。
「男だったら胸じゃなく腕と足の筋肉の付き方が重要だ」
「待て。尻肉も捨てがたいものよ」
「へえ?そっちもいける系か、おっさん。豪毅だな」
「儂に尻と太股を語らせたら、ウザイぞ?」
「……なぁ待て?たぶん認識ズレてねえか?」
 どっちともとれそうだ。
「あと5年待ってくれりゃ一緒に飲めるんだが。先の約束ができない立場ってのは少し残念だな」
 温泉卵を食べながら悔しがるケイに、ゴライアスは笑ってその頭をわしゃわしゃ撫でた。
「機会があれば、また飲み明かすとしよう」
「約束だからな」
「おうよ」
 それぞれの杯に飲み物を注ぎ、三人そろって乾杯する。ぐしゃぐしゃになった髪を直しながら、ケイは何気なさを装ってとある一言を放った。
「ところで、あっちのねーちゃん等、裸だそうだな」

 キュピーンッ(小宇宙形成音)

「…おっさん。俺は今、自分が産まれて来た理由を…理解した気がするんだ」
「奇遇だな、白の字。儂もだ」

「「覗こう」」

 あかん。
「行くならこっちな」
 ケイ、お前もか。
「案内は任せるぜ!」
「ああ。泥船に乗った気持ちでいてくれ」
「「よっしゃ!」」
 沈む未来しか見えないが後ろの男二人は大真面目だ。白秋の蜃気楼が発動し、ナイトビジョンがゴライアスにも貸し与えられる。
「いつか言った事があるな。あんた達と同じ旗の元で戦ってみたかったと」
「おう」
 すちゃ、と装着して不審者二名。前を行くケイの背中が震えている。

「今、俺達は偉大な旗を掲げて戦っている――ひとつ夢が叶ったぜ」

 いいのか夢の一つがこんなので。
 しかし、そんなことを言っている間にもどんどん目標が近づいて来る。湯煙の向こうに人の気配。第一次不埒大戦・覗き隊。決死の作戦、今まさに。
「お。あっちにイイ体発見。水着もなかなか際どいな?」
「(そこか!)」
 小声。
「このポイントだ」
 ケイがベストポイントに二人を誘導した。

((今だ!))

 白秋の春一番が発動した。
 ケイの春一番が発動した。

「「おおっ!」」

>目の前の湯煙が払われた<
>裸身の古代が現れた!<

 を゛〜〜〜あ゛〜〜〜

 白秋の精神に−五百のダメージ!
 ゴライアスの精神に−一万のダメージ!
 古代の精神に−一のダメージ!

「流石にそこまで反応されると、俺も傷つくんだが?」
 一ポイントな。
「儂等の期待値が…! ダメージに…!」
「おっさん夢見すぎだな!? わかるけどよ…!」
 湯の底に沈んだ夢いっぱいな男二人と涙出るほど笑い沈んでるケイに古代は「やれやれ」と腰を下ろした。
 肉の目からも血の涙を流しながら白秋が立ち上がった。
「だいたい、なんで裸だ!?」

白秋『水着の混浴とか邪道じゃね!?騎士道に反してね!?』

「十七分前の俺の台詞ーっ!」
 時間差ブーメランに白秋が沈む真向かいで、古代は堂々たる仁王立ち。
「まぁ、たいした問題じゃないだろう」

 だいぶたいした問題だった。

 古代が蔵倫に褌をきりきり締められてる間に、白秋とケイが蔵倫に連行される。古代は己の褌に遺憾そうな表情だ。
「全く。風情が無い」
「まさにな」
「温泉には酒と裸だろう」
「然り」
「そっちもか。うおっ、ゴライアス… 」
 今かよ。
 だがしかし、古代は素早く腰の向こう(何処)からこっそり持ち込んだ秘蔵(意味深)の酒瓶を掲げ、こう言った。

「呑(ヤ)らないか」

 OK。





「そう言えば何でこんな所に…一献如何?」
「おうすまんな。今日は休養よ。朋輩と後輩に連れてきてもらってな」
「へえ、休養……まあいいや、一献」
 二人は次々に杯を空けた。
「気にならんと言えば嘘になるが今は良い夜で共に酒を酌み交わす男が居る」
 杯を掲げ、カチリと合わせて一息に飲む。
「ならば聞くまい。ならば問うまい」
 空に月。
 地上に楽園。
「肴は月と湯と、友で十分だ」
 無粋な話は肴足り得ない。
 盃と、酒のみがあれば良い。
 そういうものだ。
「その時になれば別だが今は静かに酔いたいだろう、貴方も」
 喉の奥で笑って、ゴライアスは杯を飲み干した。
「そうだな……。賑やかなのも好きだが、こうやってのんびり飲む酒もまた格別よ」
 じっくりと湯の温もりが染みてくるように、味わうのも乙なものだ。
 ふと、水音が聞こえて湯煙が動いた。
「矢野先輩?」
「明斗か」
 姿を現した明斗に、古代は笑う。
「お酒だけ飲むのは身体に毒ですよ、よかったらおつまみにどうぞ」
「用意がいいな」
 魔法の粉の菓子とおかきピーナッツだ。
「こりゃすまんな。温泉卵や饅頭ももらったが、これもなかなか」
 まぁこいつでも食え、とかわりに渡されたのはおむすびだ。
「食は良い。心が満たされる」
「そうですね。あ、良かったら使って下さい」
 ふとゴライアスの奇天烈な格好に気づき、明斗はバスタオルを差し出した。
「この菓子は売り物か。自作できそうなのは豆ぐらいか」
「同じものを作るのは難しそうですね」
 なんとなく一同で並んでもぐもぐしながら空を見る。
 満天の星と、湯気に包まれて見えない地上。世界そのものが微睡んでいるような光景。
 食道楽の話をしながら、最後にのんびりと湯を楽しんだ。





「いい具合に出来たな」
「美味なんだよー!」
 温泉卵を味わい、恭弥と縁は冷やしておいた牛乳を飲んで温泉の醍醐味を満喫する。
「上がったら水分補給しておけよ」
 クーラーボックスを抱え、雅が湯から上がった人々に飲み物を振るまっていた。
「まだだいぶ湯の中にいるな」
 人数を数えた雅が苦笑する。ふと、走り込んでくる影を見つけて首を傾げた。千鶴達だ。
「どうした?」





 撤収時間前のホイッスルが鳴る。
 布に包まれた宝具をぺちぺちさせてもらったユウが「おぉー」と抑揚のない歓声をあげる中、マリアンヌは恥ずかしげに謝罪していた。
「申し訳ありません。そのようなマナーがあるとは存ぜず、恥じ入るばかりですわ」
「あんたらが四国で目撃されてたメイドさん等とはねぇ。噂はかねがね」
 ヴィオレットをマリアンヌに戻しながらジーナが苦笑する。マリアンヌは微笑んだ。
「まぁ、どのような噂でしょう」
「各地で姿を見られてるってことは、そっちも色々、見てまわってことだろ?いっそ、ここらでサシで話し合ってみるってのはどうだろうねぇ?」
「…ふふ」
(出来れば戦いたい手合いじゃないねぇ)
 見やる先で、マリアンヌが微笑みを深くした。
「そうですわね…。皆様とお手合せもしたいところですが……その前に、一度正式にこちらのテーブルにお招きするのがマナーですわね」
「え?」
 さらりと言われた一言に、視線が悪魔へと向かう。湯煙に隠されつつある女悪魔はにっこりと微笑んだ。



「後日、ご招待をさせていただきますわ。どうかその時には、皆様、お誘い合わせの上、遊びにおいでくださいませ」





依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 創世の炎・大炊御門 菫(ja0436)
 今生に笑福の幸紡ぎ・フレイヤ(ja0715)
 釣りキチ・月詠 神削(ja5265)
 時代を動かす男・赤坂白秋(ja7030)
 おまえだけは絶対許さない・ジーナ・アンドレーエフ(ja7885)
 撃退士・強羅 龍仁(ja8161)
 撃退士・矢野 古代(jb1679)
 未来祷りし青天の妖精・フィノシュトラ(jb2752)
 久遠の風を指し示す者・ケイ・フレイザー(jb6707)
重体: −
面白かった!:16人

God of Snipe・
影野 恭弥(ja0018)

卒業 男 インフィルトレイター
撃退士・
マキナ・ベルヴェルク(ja0067)

卒業 女 阿修羅
思い繋ぎし紫光の藤姫・
星杜 藤花(ja0292)

卒業 女 アストラルヴァンガード
サンドイッチ神・
御堂・玲獅(ja0388)

卒業 女 アストラルヴァンガード
創世の炎・
大炊御門 菫(ja0436)

卒業 女 ディバインナイト
約束を刻む者・
リョウ(ja0563)

大学部8年175組 男 鬼道忍軍
ちょっと太陽倒してくる・
水枷ユウ(ja0591)

大学部5年4組 女 ダアト
今生に笑福の幸紡ぎ・
フレイヤ(ja0715)

卒業 女 ダアト
黄金の愛娘・
宇田川 千鶴(ja1613)

卒業 女 鬼道忍軍
撃退士・
久遠 仁刀(ja2464)

卒業 男 ルインズブレイド
あなたの縁に歓びを・
真野 縁(ja3294)

卒業 女 アストラルヴァンガード
ブレイブハート・
若杉 英斗(ja4230)

大学部4年4組 男 ディバインナイト
黒の微笑・
石田 神楽(ja4485)

卒業 男 インフィルトレイター
釣りキチ・
月詠 神削(ja5265)

大学部4年55組 男 ルインズブレイド
思い繋ぎし翠光の焔・
星杜 焔(ja5378)

卒業 男 ディバインナイト
リリカルヴァイオレット・
菊開 すみれ(ja6392)

大学部4年237組 女 インフィルトレイター
夜の帳をほどく先・
紫ノ宮莉音(ja6473)

大学部1年1組 男 アストラルヴァンガード
時代を動かす男・
赤坂白秋(ja7030)

大学部9年146組 男 インフィルトレイター
おまえだけは絶対許さない・
ジーナ・アンドレーエフ(ja7885)

大学部8年40組 女 アストラルヴァンガード
撃退士・
強羅 龍仁(ja8161)

大学部7年141組 男 アストラルヴァンガード
蒼を継ぐ魔術師・
アスハ・A・R(ja8432)

卒業 男 ダアト
鉄壁の守護者達・
黒井 明斗(jb0525)

高等部3年1組 男 アストラルヴァンガード
撃退士・
矢野 古代(jb1679)

卒業 男 インフィルトレイター
未来祷りし青天の妖精・
フィノシュトラ(jb2752)

大学部6年173組 女 ダアト
久遠の風を指し示す者・
ケイ・フレイザー(jb6707)

大学部3年202組 男 アカシックレコーダー:タイプB