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マスター:九三壱八
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
形態:
参加人数:25人
サポート:4人
リプレイ完成日時:2014/07/08


みんなの思い出



オープニング

 静寂の支配する部屋の中、月明かりの下で男は書状を手に取る。
 青く染まった紙に躍るのは流麗な文字。
 目で追い、恵ヴィヴァルディ (jz0015)は薄く笑む。
 さわ、と前髪を揺らすのはあるかなしかの夜風。
 他に聴く者とていない部屋に小さな呟きが流れた。

「……悪くない」





 円熟した肢体に湯の雫が弾ける。
 控えるメイド達が用意するのは香油。薔薇の花弁を追加する者の傍らでは、爪の手入れの用意をする者、髪の手入れの準備に入る者など。やわらかな湯気の傍らで、物音ひとつたてずに整えられるのは主の為の支度。
「人間の中にも役に立つものはいる……」
 ふわりと湯煙が動いて、甘美なる声が流れた。
「ならば利用せねばのう……」
 笑みを含む声は歌うかのよう。
 慎ましく控えるメイド達の前、メフィストフェレス (jz0269)は掌に薔薇の花弁を掬う。蠱惑的な笑みを浮かべ、見やる先は遥か彼方の魔界の月。
「ゆっくりと吟味しようではないか。まだ始まったばかりゆえな」






 爽兄へ。

 そちらの状況はどんな感じですか。
 寝癖はとれましたか。ご飯はちゃんと食べてますか。
 梅雨になる前に布団の入れ替えをしましたか。
 放っといたら仕事しかしてないから心p(荒々しく消されている)今度帰った時に見させてもらいます。

 孤児院の皆は元気ですか?



 夏に一回、会(荒々しく消されている)戻ります。


 どうか、元気で。


 ――涼風和幸





 南の島と聞くと暑いイメージがあるが、ここ数日の種子島は都心部よりも涼しかった。
「人界は気温の差が激しいと聞きますが、高松ゲートとこの辺りではさほど気温差はありませんのね」
「本番、これから。油断は禁物だね」
 幾度かの転移の末、港に到着したマリアンヌは興味深そうに周囲を見ている。対するリロ・ロロイは周りの様子には興味なさそうだ。
「シマイのじーじが見あたらないの」
 マリアンヌの豊かな胸から声があがった。いや、胸の下にホールドされている幼女から、だ。
「この辺りには居ないようだね」
「レディーの出迎えに来てくれないとは、男としてイカンなの。遺憾なのですよ!」
「ふふふ。前日に連絡鳥を放った程度の連絡でしたから、今頃ビックリしてるかもしれませんわね」
「それはじーじの方が遺憾なの」
 おっとり微笑むマリアンヌの胸の下、頭に乗せられた重量級の胸を重そうに振り落とそうとしながら幼女は大変遺憾そうな表情になった。その身もしっかりとメイド服を着込んでる。
「確か今の潜伏先はこちらですわね。ヴィオ、もう何回か転移してくださいます?」
 マリアンヌの声に、幼女メイド、ヴィオレットは「仕方がないのです」と小さな肩を落とす。高松からずっと連続転移してきて少し疲れているのだが、目的地がまだだから仕方がない。
「仕方がないの。リロも行くですよ」
「いつでもいいよ」
 真白き書に視線を落としていたリロが頷く。次の瞬間、三人の姿が忽然と港から消えた。
 その様子を見るともなく見ていた港の漁師達は顔を見合わせる。唐突、かつ牧歌的な様子だったので反応をし損ねていたが間違いない。

 新たな天魔。

 その一報は即座に久遠ヶ原学園に届けられた。





「種子島にメイド悪魔が三体!?」
 連絡を受け、四国対策室の面々は顔を見合わせた。
 妻のかわりに斡旋所で座っていた長門博は、即座に情報をかき集める。同時に依頼書を作成した途端、どこで聞きつけたのか張り出すより早く涼風和幸が飛び込んできた。
 種子島宇宙センターに兄が勤務しているという学生だ。
「種子島に新手ってどういうことだよ!?」
「先程あがってきた情報だ。四国付近で目撃情報が増えている『メイド悪魔』が三柱、種子島の港に来訪したらしい」
「そんな……あんな小さい島に、なんで……!」
「落ち着け。少なくとも今のところ騒ぎは起きていない」
 博は和幸を宥める。
 港に居た人々からの証言によれば、

・メイドはいつのまにかそこに現れ
・『シマイ』という相手を訪ねて来たらしいことを話しながら
・一瞬で姿を消した

 ということらしい。
「おそらくだが、長距離瞬間移動か、それに似た能力を持つ悪魔がいるのだろう。こちらで遭遇している悪魔達との特徴一致から、現れた悪魔のうち、二柱は【マリアンヌ】、および【リロ・ロロイ】。能力持ちの可能性としてはリロ・ロロイだろうか……もう一柱、一緒にいたのは4歳か5歳ぐらいの幼女らしいが、そちらかもしれない」
 だが、断定するには情報があまりにも足りなさすぎる。
「連中の目的も不明だ。今のところ、メイド達が種子島で騒動を起こしたという報告は無い」
 今までの報告から察するに、一般人をどうこう、という気は今のところ無いのかもしれない。
 だが、ずっとそうだとは限らない。
「マリアンヌ達は高位悪魔メフィストフェレスに仕えるメイド。種子島はただでさえ天使と悪魔、人間の様相が入り乱れて複雑な場所だ。今、下手に事を荒立たせるのは得策じゃない」
「なにもせずに去るのを待つっていうのかよ? もし何かあったら……!」
「落ち着け」
 車椅子姿でなかったら胸ぐらを捕まれそうな勢いに、博は苦笑した。
 島にいるという『兄』が心配でたまらないのだろう。血の繋がらない兄弟だと聞いていたが、そこにある愛情は血よりも濃い。
「雅先生に連絡したら、『あえて敵対行動はとらず』とも、『出来ることをやる』ことは可能だ、とのことだ」
 言って、博は一枚の用紙を差し出す。
「太珀先生に許可をもらった。四国に出ている合宿の延長で、種子島への一泊二日合宿を申請してる。突然学生が沢山いる理由としては『種子島合宿の最中だから』ということで。もちろん、皆にも旅行を楽しんでもらう予定だ。こんな時勢だから、武器持参でも仕方ないよな?」
「それって……」
 呟く和幸に、博は微笑った。
「種子島は今、天使との共闘に向けて動きだしたところだ。悪魔が現れた理由が、その対策のためだとすると、驚異になる。皆には何らかの異変が無いかも探って欲しいんだ。おそらく、次に動く時、種子島は大きな戦いになる可能性が高いから」





 先発として出た一行の中に和幸の姿はあった。
 種子島行きのフェリー。
 転移装置で直接乗り込まなかったのは、天と人と魔が入り乱れる種子島の状況を鑑みてのことだ。突如大勢が布陣すれば、それが火種になる可能性もある。フェリーで乗り込めば、少なくとも緊急配備の気配は薄れるだろう。
「あまり思いつめるな」
 甲板で物思いに耽る和幸に、客室から出てきた鎹雅が声をかけた。
「これ以上……あの島で、騒ぎなんて……」
 振り返り、呻くように呟く生徒の顔は苦渋が滲んでいる。『家族』がいるのだ。当然だろう。
「常に最悪の事態を想定しながら、最善を模索する。難しいことだが、我々撃退士が求められるのはそういうものだ。……君一人じゃない。先輩達が沢山いるだろう?」
「……はい」
 一緒に出発した人々を思い浮かべ、和幸は小さく頷く。その頭の中は、学園の仲間に背を押してもらってようやく再会が果たせた血の繋がらない兄のことで占められているのだろう。
「何事もなければ、スキューバダイビングだ。海が綺麗でいいよなぁ……! ほら、あんなに大きな鯖……!?」
 思考に落ち込んでいきそうな和幸に、あえて元気な声で声かけ海を指した雅は、海面からこちらを見るその集団にあんぐりと口を開いた。
「鯖ぁ!?」


 鯖魚人の襲来だった。



リプレイ本文




 そのディアボロを見たとき、およそ半数の者がとある者を見つめたという。



●あたしのとなり


「すごいですよ、めめこさん!魚に足が!魚人ってやつですね!初めて見ました!クゥトゥルーな香りがします!」
 のっぺりした青い顔を興奮にテララかせ、スタイリッシュな胴体と四肢を持つ長身の川中 糸魚(jb8134)は、一緒に旅行に出かけた産砂 女々子(ja3059)を見下ろした。
 女々子はそんな糸魚の『顔』を胡乱な眼差しで見つめる。

 脂がのってそうな艶やかな青い顔、
 生きてるのか死んでるのか分からない真円の瞳、
 清々しいほどビシッとした背びれ。

 どう見ても鯖。

 そのまま視線を目の前の魚人集団へ転じた。

 数は八体。
 頭部と尾部は細く、尾鰭は三日月。
 膨らみのある胴中央からスネ毛の生えたムサそうな足が伸びているが、

 どう見ても鯖。

「…そぉね、あんたの遠い親戚も混じってンじゃないかしらァ」
「え? 何処に?」
 ドン引き顔の女々子は生返事は、しかし糸魚には通じない。
「わかンないなら、ま、いいわァ」
 女々子は魚類顔負けの死んだ魚のような目で遠くを見つめた。
(なンでこんなことになるのかしらねェ)
 思わず過去を振り返る。それは僅か数分前のことだった。


○トキメキは過去の中に


「カワイイ子達と合宿だなんて、ンもう!最高じゃなぁい?」
 客室の中、夢見る乙女のポーズで女々子はハートマークを散らしていた。
 風は優しく、波は穏やか。
 学園の考えはどうあれ、行く先は南国のリゾート。煌く砂浜、宝石のような海、夏と南国の開放感に触発されて、燃え上がるアバンチュール!
(あたしったらどうしましょ…!)
 溢れるパッションが留まるところを知らない。
 そんな女々子の後ろを通り過ぎ、甲板に飛び出すのは真珠・ホワイトオデット(jb9318)だ。
「にゃー!がっしゅくたのしみですにゃん! .(≧∀≦)゜ .゜」
 魚を探す為、白い尻尾をフリフリしながら手摺から身を乗り出す。
「おっふね〜おっふね〜おさかなさんにゃーん!」
 形の良いお尻がぴっこぴっこしているのに、何人かがつい目で追ってしまい慌てて視線を外した。
 そんな真珠の斜め上、風を浴びながら遠くに思いを馳せている青年が一人。
「避難してる子供が多いんだったよね〜。なにか楽しい思い出を作ってあげたいな〜」
 海の向こうを見つめながら、星杜 焔(ja5378)は独り言ちた。
 まさかこの先で自分が思い出と現実の狭間で苦しむことになるとは知らず、今は穏やかな海の風を楽しんでいる。
 そんな焔の下、客室探索を終えたケイ・フレイザー(jb6707)は、甲板に向かいながら嘯くように呟く。
「しっかし、巨乳とロリのメイド悪魔って、シマイのおっさんの趣味か? 」
 新たに目撃されたメイド悪魔の情報に、種子島の悪魔を思いながら首を傾げる素振りをした。
「しかも呼び方「じーじ」とか…業が深いな」
 口元に意味深な笑みをニヤッと浮かべ、しみじみと。本人がいないのをいいことにシマイの性癖を誤解してみせる。これはいいネタができた。
 そのメイド悪魔を追って種子島へ向かっているのが黒井 明斗(jb0525)だ。
「何が起きようとしているのかは分かりませんが……」
 僅かに下がった眼鏡をスッと元の位置に戻し、近づいてくる岸を静かに見据える。
 天と魔と人が入り乱れている種子島。その様相は、どこか四国に通じる。
「好きな様にはさせませんよ」
 見やる先、南の海は陽光の反射で煌めいていた。


●現在はこうである。


(ないわー……)
 甲板でピチピチしている魚人(一部瀕死)に、テンションダダ下がりの女々子。
 だがしかし、

「くっ…なんだこのトリモチみたいなのは!」
 上半身が白いねっとりで甲板にくっつき、暴れるせいで今にも上半身が脱皮しそうな鎹雅(Fカップ)と、

「なんだこの滑る油みたいなのは!」
 全身透明なにゅる液に濡れそぼり、今にも服が脱げ落ちそうな涼風和幸(憂い顔系美少年)。

 二人を視界に認めて即座に把握した。

 ――これはなんてお い し い の!

「皆! ディアボロよ! 力を合わせて倒しましょう!」
 さぁ向かって行って! と全力で鼓舞する女々子。すでに顔がテカってる。
 その声に背を押されるように、上部甲板にいたレイ・フェリウス(jb3036)が青い顔で闇の翼を広げた。
「のんびり旅行に出かけたはずがどうしてこうなった…」
 レイが後にした甲板の縁では、今にも倒れそうな顔色で焔が呻いている。
「さ…さば…だと…」
 すでに顔が土気色。唇は早くも真紫だ。
「和幸さんとお兄さんの再会を見にくっついてきたらなんだか凄いことに!」
 なんか顔を輝かせているディアドラ(jb7283)さんがいたりするが、たぶん見てるものが違うのだろう。まず甲板の敵をガン無視しているのが非常に気になる。
「敵は口から奇妙な液を出すみたいです!皆さん、気をつけてください!」
 とても真面目に糸魚が叫んだ。
 敵襲来の一報に東城 夜刀彦(ja6047)が飛び出し、糸魚の真横に並んだのが丁度この時だ。
「なにこのディアボロ!?(ハッ…!)」
 横を見る。
「敵は鯖魚人さん?(ハッ…!)」
 飛び立たったディアドラが下を見る。
「あれ、すごく最近似たような人(?)を見たような…(ハッ…!)」
 上空のレイが客室出入り口を振り返った。

 糸魚を見る。
 鯖魚人を見る。
 糸魚を見る。
 鯖魚人を見る。

「……ふぁみりー?」
「え!? あちらは魚人ですよ??」
「ご親戚で……?」
「なぜ!?」
「きっと他魚の空似だよな…」
「え? 他魚?」
 驚き探す糸魚の耳(?)に、ディアドラの呟きが届いた。
「攻撃してもいいのかしら」
 おかしい。何故か自分も攻撃範囲に含まれているような気がする。
 全身に汗をかきはじめた糸魚の後ろ、客室から顔を覗かせた石田 神楽(ja4485)は即座に現状を把握した。
「あ〜…この状況は危険ですね」
 すぐに魔具を具現化して後ろを振り返る。
「千鶴さん、少し様子を見てから…」
 残像すら無かった。
「鎹先生が…っ」
「とりあえず早く倒さないと先生を助けにも行けな…宇田川さぁあああん!?」
「…もう居ませんか」
 速攻で特攻した宇田川 千鶴(ja1613)に夜刀彦が叫び、神楽は技を解き放つ。千鶴の進行方向に居た鯖がものの見事に吹っ飛ばされた。
「!」
 夜刀彦は神速で千鶴から目を逸らす。
(今!
 俺は!
 見てたら確実に撃たれるという未来を予知した!!)
 そんな夜刀彦の真横でフシュゥゥ、と黒い蒸気を上げている神楽。やばい。ガチ戦モードというよりなんか別の生命体になりそうな勢いだ。
「ぇっと、遠征してきますー」
「あ、東城さん。壁お願いします」
「おにぃぃい!」
 忍壁よりちょっぴりおっきな人を背に、夜刀彦が半泣きで決死の構え。
 魚人の目がぬらりっとそんな二人を捉えていた。


「おっと……!」
 透明な水鉄砲が放たれる中、必死に避け、素早く身構えるのはアニエス・ブランネージュ(ja8264)。見やる先、先程鉄砲を放った魚人が甲板の上でピクピク痙攣していた。
「姿から能力まで全てふざけたこんな敵、誰が作ったんだー!?」
 アニエス、魂の叫び。
 これが真面目に戦った末ならまだしも、勝手に乗り込み勝手に打ち出し勝手に瀕死になってピクピクしているのだからたまったものじゃない。鉄砲の内容についてはもっとたまったものじゃない。
「嘆いても始まらない、こうなったら倒すさ……っ!」
 船室の壁に体を預け、姿勢を安定させるアニエスの横に、ベタンッと勢いよく別の人物の背中がひっついた。
「鯖…何故、鯖…鯖の旬って秋でしょ!? それとも年中旬のゴマ鯖だっていうの?」
 戦慄く眼差しの先では、雅が今にも脱げそうな状態になりながら必死に暴れている。あまりの光景に、蓮城 真緋呂(jb6120)は叫んだ。
「ちょっと責任者出て来ーい!」
 たぶん製作責任者はそこらへんの海でエロい壺と一緒にバカンスしています。
「とりあえず、転落防止しなくちゃ…」
 サバイバルキット内のロープを取り出し、フェリーの手摺に体を繋いだ真緋呂に、アニエスは驚き、感嘆した。
「その手があったか……!」
 素早く近くのロープを拝借し、同じように体を固定する。
 敵に絶対近づきたくないアニエスが銃を構え、真緋呂がヌーンと冷刀マグロを構えた。
「あんなふざけた敵に、もう、変なことされてたまるものか……!」
「ええ、高級魚の意地と誇りにかけて、鯖如きに負ける訳にはいかないの……!」
 互いの台詞に「ん?」となる箇所はあったが、今はそれどころではない。二人は頷き、ガッと一度腕を組むとそれぞれを背に庇うような位置(ちょっと斜め)についた。
「絶対、勝つ……!」
 即席バディの結成だった。



 海上、フェリー内、船尾付近。
 水を滴らせながら来る魚人に、麻生 遊夜(ja1838)は遥か遠くへ視線を飛ばした。
「まぁ…普通に合宿に参加できるとは思ってなかったよ」
「鯖…の天魔、あれが魚人」
「うわぁ、魚人だ! 手足がすごいよ、先輩!…先輩?」
 こくり、と頷くヒビキ・ユーヤ(jb9420)の隣り、魂が旅立っている遊夜に、ユーヤと反対側にいた来崎 麻夜(jb0905)が袖を引きつつ首を傾げる。
「ユーヤ、戻っておいで」
 反対側からユーヤに頬をぺちぺち叩かれ、遊夜は深く嘆息をついた。
「ふぅ、気を取り直して…行くぞ!」
 落ちないように固定する手錠を麻夜とユーヤに渡し、遊夜は告げた。
「無駄かも知れんが、一応落ちる前に欄干やらに…」
 ガションッ
 ガションッ
「って、何してるんですかねぇ?」
 右手はユーヤに、左手は麻夜に、それぞれ手錠をかけられて遊夜が胡乱な目。
「こうすれば落ちないよね?」
「これで、大丈夫」
 カシャンともう片方を自分の手首にかけ、クスクス笑う麻夜に、同じく自身の手に片方をかけてこくりと頷くユーヤ。
「大丈夫だよぉ…さぁ行こう?」
「落ちそうな時は、2人で抱えれる」
 手錠で繋がった三人のど真ん中、片腕ずつ拘束された遊夜は愕然となった。あれ、これもしかして一蓮托生フラグ?
 あっ鍵捨てられたっ。
 盛大に頭を掻き、遊夜は二人に怪我させない為に気合を入れた。
「はぁ、わかった…離れんなよ、まったくよぉ!」
「突撃だー!」


●味方が酷い


 魚人来襲の直後、
「おお…変な魚がいっぱい…! でも…何かべとべとしてる…?」
 どう見ても巨大鯖にひょろい手足だけくっつけただけの生き物に、レイティア(jb2693)はきょときょと周囲を見渡していた。
 ぬるぬらな魚もそうだが、甲板がテカってたりモチみたいなのがくっついていたりで奇妙な状況になっている。
「あれ、せんせーだ!」
 その白いモチみたいなのが雅の成れの果てと気づき、レイティアは奮い立った。
「せんせー。今助けるからねー!」
 なんかトリモチにひっついた鳥みたいに、雅が一生懸命逃げ出そうと尻をぴっこぴっこ動かしている。今はなんとかスカートが覆っているが、これ以上動くと絵面が酷いことになりそうだ。
 この時、レイティアがいる方向を背にケイは魚人と対峙していた。
「生物学的に明らかに間違った生き物だよなあ…」
 水鉄砲を放って甲板の上でピクピクしている魚人に、ケイは呆れたような目を向けた。
「それは何か? 『鯖の生き腐れ』を体張って表現してんのか?」
 ピクピクしながら甲板を這う魚人(瀕死)にケイは風の烙印を発動させてから向かう。
「悪いが、弱ってるのから減らさせてもら……っと!?」
 仲間を守る為か、魚人が口から水鉄砲をはき出した。色は――透明!
「ハッ…予測対応してるんだよっ」
 ケイはサッと水鉄砲(透明)を避けきる。

 ――避けたら走り込んでいたレイティアがいましたよね。

「足元が滑るから気をつけないt…おぉ!?」
 見事にくらい、ぬるっぬるになると同時に転倒。
「レイティア君!?」
「あぁ!?せんせーどいてぇ!?」
 勢いもあってレイティアの体が回転しながら頭から突っ込んできた!
「わああ!?」
「きゃーっ!?」

\合体!/

「先生っ!」
 千鶴は見た。
 雅のブラに頭を突っ込み、かろうじてストップしたレイティアを。
「ホック千切れた……」
「せんせー!目の前が布で見えませんー」
「それは私のブラジャーだ」
 まさか最後の砦その1を開幕で奪われるとは記録係も想定外。
「へえ、先生って意外と…いや、何でもありませんよ(ニヤニヤ」
 偶然見てしまったケイが漁夫の利すぎる。
「って、レイティア君なにかぬるぬるしてないか!?」
「さっき滑ったやつかも! つるつるするー」
 とてもアウトな状況に、千鶴が素早くスクールジャケットを取り出した。このジャケットであの半裸+αを塞がなくては!
「襲撃か!?」
 爆睡から覚醒した若杉 英斗(ja4230)が甲板に飛び出してきたのはこの時である。
「いかんっ!鎹先生のピンチだっ!!」
 だがその心の中の悪魔英斗がひそひそ囁く。
(まてまて、もう少し様子をみるんだ。ほら、あとちょっとで鎹先生のえっちぃなボディがあらわになるぞ)
 即座に心の中の天使英斗が叫び返した。
(なにを馬鹿な事を!はやく先生を助けなくては!)
 英斗は迷った。
「ぐぬぬ…(どちらも一理ある)」
 マジか!?
 ここで千鶴が天の声を発動!

「若杉さん、今助けたら好感度だだ上がりやで!」

「それだっ!」
 英斗はカッと目を見開いた!
(好感度を上げれば、普通にキャッキャッウフフできるじゃないかっ!)
「先生、コレを使って下さ・」
「ハァッ!」
「うあああああああ!?」
 脇目もふらず駆け走り、コートとタオルを投げ放った所で女々子が邪魔な魚人を腰から破山。よろめいた魚人が英斗にダイビングアタック。
「ごめんなさァい、腰が滑って〜」
 いろんな意味で重い連鎖に蹈鞴を踏んだらにゅる液の上でした。
「こんな! ところで! ハッ!」
 ツルツル滑る液の上を滑走しながら英斗は気張る。だがとてもじゃないが踏ん張れない!
 しかし男・英斗、ここで挫けれるはずもない!
「俺には、魂の翼が、ある!」

\カッ!/

 輝く小天使の翼で見事に飛翔。後光まで背負ってビシィッ! と鯖魚人に指を突きつけた。
「てめーらは、この俺がシメてやる!鯖だけにっ!」
 どーん! と効果音まで発しそうな勢いに、魚人達が視線を集中させたのは言うまでもなかった。


 甲板が酷い状況になってる最中、猫野・宮子(ja0024)は握り拳を震わせながら通路を走っていた。
(合宿を楽しみに来てみたらこんな事に……どうしてこうなった!)
 猫耳尻尾を素早く装着。ぶべぇっ! と向かう先から投擲された水鉄砲を避け、宮古はビシッとポーズを決める。
「ときめき☆キラメキ! 悪魔の手先を懲らしめるため、マジカル☆ミャーコ見参にゃ!」
 キラッと輝く太陽がスポットライト。夏の太陽、いい仕事しました。
 ブゥンッと具現化された冷刀マグロ(物理)が空気を裂く。
「相手が鯖ならこっちは鮪にゃー!マジカル♪フルスイングにゃー!」

\ホームラーン!/

「フッ…悪が栄えることは無い・にゃあああああああ!?」
 キラーン☆と星になった魚人を見送りニヒルなポーズをとったところで、後ろから白い水鉄砲をくらった。だがこんなことでへこたれるミャーコではない!
「くっ…こんなことで負けないにゃ! マジカル♪パージ!」

\脱☆皮!/

 素早く服を引き千gもとい、脱ぎ去り(物理)、中から現れたのは下gならぬ水着姿の宮古もといミャーコ!
 涙目でキャットクロー(物理)を構え、ミャーコは叫んだ。
「うう、こうなったら三枚卸しにしてやるのにゃー!!」
 マジカル(魔法)の圧倒的不在感はつっこまない。記録係と皆のお約束だ!


 甲板が徐々ににゅる液に侵食される中、上空に退避する者達も少なくない。
「こんな時にも襲ってくるだなんて、ね……」
 憎々しげに魚人を見下ろし、リーリア・ニキフォロヴァ(jb0747)は陰影の翼を広げ、腕を打ち払った。
「蹴散らして、南の海を満喫するのよ!!」
 具現化されるのは禍つ呪術の本【ゲーティア】。
(だけど船体に被害を与えるわけには行かない!)
 ならば!
「尽く眠りにつくといいわ!」
 リーリアの氷の夜想曲が放たれた。闇の翼を駆使して水鉄砲を回避していたレイはその効果に目を瞠る。
「ああ、いい感じに敵が眠っzzZ」
 ボトッ

 あ、選別忘れてた。

「ごめーんっ!」
 爆睡したレイがにゅる液でトゥルーッと甲板を滑っていく。慌てて飛んでいったリーリアが手を伸ばし掴んで踏ん張り、
「ちょ!?なにこの潤滑液ぃいい!?」
 滑った。
「ええいままよ!自分でぬるぬるを喰らいなさい!!」
 滑る勢いをそのままに、利用して魚人にスライディングアタック(盾:レイ)!
 わりと酷い。
「……なんだか、頭が痛いような??」
「き、気のせいじゃないしら!? さ!戦闘戦闘!」
 頭にタンコブ作って起きたレイが「?」マークを飛ばすのに、リーリアは服を引っつかんだまま飛翔して誤魔化すのだった。



 さて、酷いと言えばこの人を忘れてはいけない。
「ふ。あたしの魂が告げていた」

 ここに
 宝が
 現れると!!

 カッ! と目をカッぴらき、ファラ・エルフィリア(jb3154)は闇の翼をバサァッした。
 最初から回避行動優先でカメラを構えるあたり、なんというか本気モードだ。
「美少年が濡れ透けで脱げかけとかヤベェ鯖魚人あたしのツボを心得てやがる!」
 本気になるべき箇所が違っている。
「くっ…こんな所、で…!」
 そのファラの眼差しの先、今にも落ちそうな服と滑りそうな手に絶望しつつ、涼風和幸は必死に手に力を込めた。だがもう限界に近い。
「とりあえず和幸たんは記念撮影しとくね」
 ジャジャジャジャジャ
「ぎゃあああ!?」
 突如現れ各アングルから高速でシャッターをきるファラに和幸が思わず絶叫。
「なんだよ!? 撮る前に助けろよ!?」
「先に撮らないと折角のシャッターチャンスが消えるんだもん……ちっ…ズボンがあと3センチ下がりやがらねぇ」
 ファラさんの目が本気すぎる。
「あらあら和幸さん。なんだか大変そうな有様で」
 そこへ真打ちが登場した。
「!? あんた!」
 和幸が驚きに目を瞠る。相手の顔に見覚えがあった。一番最初に兄を助けに行った時、背を押してくれた学園の先輩――ディアドラだ。
(助かった!)
 顔を輝かせた和幸にディアドラは笑顔で頷き、

 カメラを構えた。

 ジャカカカカカ
「なにしてんだよ!?」
「とりあえず和幸さんの大変な姿を」
「なんで!?」
「後でお兄さんに見せてあげないといけませんわね♪」
\助かってなかった/
 絶望入りしている和幸の向こう、自力飛行を再開したレイは遠い眼差しで(嗚呼)と呻いている。
(ファラはもう自由にさせておくしかないだろう止まらない)
 そこはもういつものことだから諦めるのだが、
(なんでもう一人同じ感じの人が増えてるの)
 ディアドラが魂の双生児になってるのが不思議でたまらなかった。


●ここでシリアスなメンバーを紹介しよう


(メイド悪魔を追って種子島まで来ましたが‥‥悪魔の趣味はよくないですね)
 甲板側入口前の護りに付き、弓を構えながら明斗は嘆息をついた。その矢が狙うのは水鉄砲を使い甲板で伸びている個体!
「数を減らす――戦いの定石です」
 穿たれた魚人が一撃で屠られた。
 海を渡る風にサラリと髪を靡かせ、戦場を見据える明斗の眼鏡が陽光を反射する。
「やるだけやって無事に帰れると思わない事です」


 戦場は広く、フェリーはその構造上、高低差がある。
 吐き出された水鉄砲をフェリーの壁で防ぎ、鴉乃宮 歌音(ja0427)は白雷の矢を放った。
「死屍累々だね」
 すでに甲板は色んな意味で酷い状態になっている。こちらに気づき、水鉄砲を放ってくるのを尻目に歌音は身を翻した。
「ッ」
 その目の前に魚人が飛び込んできた。丁度海から上陸してきた個体だ。即座に放たれた水鉄砲を白衣で捌く。
「当たらなければ、どうということはない」
 放たれた矢が、水鉄砲を放ち終えて衰弱した敵の頭蓋から尾を貫く。けれど歌音の足はそこで止まらない。
「ここを抑えていないとは……所詮、魚類だね」
 外階段を駆け上がり、歌音は高い位置から矢を構える。
「正面からぶつかるだけが、戦いじゃない」
 真正面の獲物と戦う魚人に斜め上から矢を放った。意識外からの攻撃に敵が怯む。
「さて、午後の紅茶までに片付けようじゃないか」


 迫り来る魚人たちを静かに見やり、紅香 忍(jb7811)は技を解き放った。
(‥鯖?‥‥不味そう‥‥青魚‥すきくない‥‥)
 分身の術で正面からは三人に増えたようにも見える忍。魚人の吐き出す水鉄砲が、幻影のうちの一つを貫いた。
「‥‥外れ」
 上へ跳ね上げた腕の動きに合わせ、走ったワイヤーが一撃で別の魚人を三枚下ろしにする。
 製作者の悪魔に何らかの拘りでもあったのか、下ろされた魚の中身も鯖そっくりだ。
「‥‥塩焼き‥食べれる?(かくり)」
 無理です。


●シリアス→ツリアス


 阿鼻叫喚の甲板で、佐藤 七佳(ja0030) は魔具を手に敵を鋭く睨み据えていた。
「あの、にゅる液……グリップが効かないって地味に厄介な能力ね」
 鷹の目のように鋭い観察眼が素早く戦場をサーチしていく。
「そしてねちょ液……動きを封じるか、戦場で貰ったら危ないなんてレベルじゃないわ」
 集団戦闘の役割分担を考え、最もベストな場所に敵が来た際の要点をまとめていく姿は流石の一言。効果音を出すのならば、
 ぽっくぽっくぽっく\ちーん!/
「見た目に反して、支援役としては十二分に厄介ね」
 バサァッ! と七佳は艶やかな黒髪を後ろに払った。
 データは揃った。
 アナライズした結果を今こそ告げよう!
「今は単体だから問題外だけど、火力役と組んで出現した時の被害は甚大な事になるわ」
 圧倒的シリアス臭。甲板の上なのに、なにかここだけ世界が違う!!
「でも、残念ね」
 スッと前に踏み出し、七佳は鯖軍団に向け力強く言い放った!

「こっちには蔵倫という、湯気さんに勝るとも劣らない優秀なガード役がいるのよ」

 \違わなかった/
「BD版じゃないから、気にする必要は殆ど無いわ。服を脱いで戦うのは多少どころではなく恥ずかしいけれど、バスタオルでも一枚持っていけば戦闘後でも安心よ」
 なんということでしょう。清純可憐に見えた七佳があろうことか最終バスタオル一枚覚悟。

 バ ス タ オ ル 一 枚 の 覚 悟。

「かかってくるといいわ。私は何も恐れない」
 勇ましく回転式多砲身機関砲を構え、七佳は堂々と告げる。
「それに、被弾しなければ何の問題も無いわ。避けるの苦手だけどね」
 それあかんフラグや。



 戦闘は続く。
 甲板上、暴れすぎてぐったりしてる雅とレイティアに向け駆けるのは千鶴。その体を狙って放たれた水鉄砲(透明)を神楽の黒塵が阻害する。
「千鶴さんはどれだけ突っ走るのでしょうね〜」
 酷い組とシリアス組の結果的連携によりすでに甲板上の敵は一度入れ替わっている。そこらへんに三枚に下ろされたり血抜き穴開けられた鯖が転がっているのが地味にシュールだ。鯖にスタイリッシュな胴体のついた個体も転がっているのは、うん、たぶん気のせいだろう。
「どっせぇ!」
 進行方向上の敵を蹴倒し、すでに放たれ甲板を濡らしている液を避け、千鶴は最短ルートで雅達の元へと向かった。
「千鶴さん、前!」
 そこに再度水鉄砲(透明)が放たれる。
「当たらんわ!」
 バァン!と叩いた甲板から畳っぽい何かがが具現化し、千鶴、避けた!
「直線系のは狙いさえ分かれば避けやすい・」

 ぼっとん。

「「あ」」
 なんか全く意識してなかった上空から真っ白い液が落ちてきた。
 べしゃっ、と甲板に引っ付いた千鶴に神楽も思わず声が出る。
 彼女の機動力を奪った敵はと言えば、空中を放物線を描くようにして飛び、甲板の上にべしょっと潰れた。水鉄砲を放った後なせいもあるだろうが、眉間(?)を尖ったもので穿たれているところを見るに、すでに死んでいるようだ。
「なにが…」
 千鶴の援護に構えながら、神楽は驚異の可能性を考え上を見る。

 焔がそこに立っていた。


●酷いのしかいない


 ソレが発動する二十秒前。
 焔は最初からクライマックスだった。
(くそっ…何で俺は…防護マスクをつけてこなかったんだあああ!海に!海に!)
 脳裏に蘇る悪夢は誰も設置していない最終トラップ。ああいっそデオドランド機能のついた酸素ボンベでもあったらなんとかなるような気もするのにどういうことだ!
 ぬちゃり、と水に濡れた足音がする。
 ぬちゃり。
 ぬちゃり。
「ふ……ふふふふふはははははは」
 ああ青い魚がそこにいる。
 煮込むと美味しいはずの味噌味がフラッシュバックで精神を蝕む。
 鯖が。鯖が。鯖が。鯖が。
 どんどん削られていく精神に摩耗しきり、正気度限界突破した瞬間、

 プツンッ

 何かが頭で切れた音がした。


「星杜先輩…?」
 ゆらり、と一段高い所にいる焔の体が揺れる。思わずそちらを見上げて声をかけた夜刀彦だったが、焔の魂はすでに現実世界からログアウトしていた。
「あはははははは!」
 あ、これあかんやつや。
「アハハハハハハ!」
 小天使の翼が発動する。
 白銀の槍が唸り、ものすごい勢いで繰り出されたそれが魚人の体を貫いた。
\とったどー/
「これはいけませんね…」
 あくまで冷静に神楽が黒業を放ち、千鶴に近づきかけた魚人の体を打ち抜く。
「こんな…程度…っ!」
 その視線の先、千鶴が根性でねちょ液に抗った!
「あぁ?!服位がなんや!」
 神楽が全戦場を照準に定めた。
 夜刀彦が神速で視線を別方向に向けた。
(とにかく先生と違う方向を見ながら鯖を減らし・)
 ツルッ
「ぎゃああああああああ!?」
 慌てて視線外したら足元不如意で透明液を踏みました。
「ちょ・これ、止まらないーっ!?」
 今にも四股踏みそうな体勢でトゥルーと滑っていく夜刀彦。見事に雅達の近くにいた魚人にスライディング!
「ああっなまぐさいっ」
 しかも止まらずそのまま流れる。
「東城君!」
「先生!」
 ここで床にひっついてる雅と滑っている夜刀彦がガッツリ手を結んだ!

 一緒に流れた。

「なんでー!?」
「あ、私がぬるぬる液に濡れてるからかな?!」
 雅の胸の下でレイティアがハッとなった。
「「それだ!」」
 しかもにゅる液の効果で白液と雅が分離しかけている。
「このままじゃせんせーが!」
 レイティアは咄嗟にぽろりしかけた雅の胸を両手で掴んで隠した!
「ぴぎゃー!?」
「…せんせー胸意外と大きいねー?」
 夜刀彦が神妙な顔で目を逸していた。


 雅達が一時的に船の縁に自動移動した頃、もう一人の初期被害者は色々と限界だった。
「おまえら味方じゃないのかよ!?」
 揺れるフェリーとにゅる液のせいでそろそろパンツも危うい和幸に、「ふ…イイ絵が…撮れたぜ」とファラが何かをやり遂げた男の顔的な感じ。
「さ、助けるよ!」
 肌、ツヤッツヤ。
「ええ。流石にこのままにはしておきませんから助けますね!」
 肌、ツヤッツヤ。
「写真消せよ…っ」
 輝く笑顔のファラとディアドラに、和幸がぷるぷる震えている。
「とりあえず滑らないように持てばいいんだよね?こう、おたまで卵掬い取る感じで」
「一人だと滑らせてしまうかもですから、一緒に抱えましょうか」
 ファラとディアドラが和幸の下で騎馬戦の騎馬みたいな格好でスタンバイ。
「とりあえず足場になるから、こっちに足かけて……」
 ゆっくりと下から持ち上げるように和幸に近寄る。
 ところでお忘れだろうか。
 彼女等の下、海の中にはまだ鯖達がいることを。
「で、そのまま乗ってもらったら」

 ぶぺっ!

「「……」」
 下から食らった透明液でぬるぬるなファラとディアドラに、今まさに乗せてもらおうとしていた和幸の顔が引きつった。しかも下の連中、海中だから即水分補給して復活してる。
「そーいやここ一番危険な場所じゃないかな?」
「ですわね。もう服がずるずる落ちていってますわ」
「ドレスだから余計にだねー。まぁいいや」
「よくないだろ!?」
 目の前で服がズレ落ちていっている美少女二人に、和幸は慌てた。自分の格好も酷いが相手は(外見は)うら若い少女である。
 だが中身は違った。
「まぁ服だけ脱げる程度ならどうということも」
「自分のことはどうでもいいわ!!!!!!!」
「ダメな風にしか聞こえな・わあああ!?」
 女前な二人に叫んだ所で和幸の手が滑った。構えたままの二人の間に落ちる。
 つるっ
「滑りすぎだろーっ!?」
「わぁああ留まりもしないーっ!?」
「仕方ありません。まずは攻撃します!」
 滑って海面まで落下する和幸に、後を追うファラと海上の敵に向かい攻撃を放つディアドラ。ファラも続いた。
「一旦安全確保しないと、だよね!」
 炎陣球が放たれた。
 呪縛陣が展開した。

 どっちも対象識別不可能だった。

「やっべ☆」
「うわああばかーっ!!」
 半泣きの和幸が抵抗失敗して束縛されたまんま海に落っこちる。一緒にドボンしたファラとディアドラが翼の有効利用で浮上して救出。
「あれ、これ海水でにゅるにゅるちょっと落ちるね。――ん?」
「本当ですわね。――ん?」
 二人がそろって和幸を見る。
「おまえら自分のを隠せーっ!」

 落下衝撃の結果、全員まるっと衣服が脱げ落ちていた。



 蔵倫警報が発令された所で船の側面に場面を移そう。
「来るなー!?」
 明らかにパニック一歩手前な声でアニエスは叫んでいた。滑りすぎてまともに体を支えられない状態で、必死にテラテラした鯖に向かって発砲する。
(ついこの間過去のデロい報告書を闇に葬ったばかり(のつもり)なのに、どうして即こんな目に遭わなきゃいけないんだ!?)
 じわっと目に涙が滲む。恐怖に青ざめ、健気に立ち向かいながらも打ち震える乙女のなんという誘い受け(いいえ)
「乙女の敵天誅ーっ!」
 その傍らでは真緋呂がぐるぐるになった目で冷刀マグロを振るっていた。二人に向かい透明液をぶっぱなして瀕死になった魚人を殴る殴る殴る。
「へ、平気よ、水鉄砲をくらっても、私にはロープがあるから…って、それも脱げるの!?」
 涙目で濡れた自身の体を見下ろせば、命綱なはずのロープまでがズルズルと落ちていっている。なんという摩擦ゼロ。
「くっ下着は、下着は死守しなければっ」
「これならまだ、白いやつのほうがマシじゃないか…!」
 同じく透明をくらっているアニエスが叫んだ。きっちりと着込んでいるはずの服が摩擦ゼロでずるずる落ちていっている。ボタンや紐の戒め、どうなった!?
「あと何匹いるんだ!?」
「分からない。海にもいるみたいだから!」
 滑りすぎて立ち上がれないアニエスの声に、同じ状態の真緋呂が叫び返した。その耳に「うわぁ!?」という悲鳴が聞こえる。
「レイさんまでくっついてどうするの!?」
「ごめん!なんか後ろから蹴られたような?」
 白液くらって甲板に仰向けに引っ付いてるリーリアと、その上に転がったらしいレイだ。
 誰が蹴倒したのかと視線を向けても、敵らしい者の影は無い。せいぜい女々子が瀕死の魚人を海に蹴り戻してるぐらいだ。
「取り敢えず、今のうちに脱出を…」
「待った!粘着すごくて服が脱げる!」
 ぐぐぐ、と脱出しようとするリーリアの服が剥けて白い肩が丸出しになった。
「ちょっとぐらい仕方ないもの!」
「ちょっとじゃないよね!?」
 二人のやり取りにアニエスと真緋呂は青くなり、女々子は肌をツヤツヤ。
 その背後からぬちゃり、という音がした。
「あらァ…おかえりなさぁい?」
 さっき海に蹴り戻した魚人だ。どうやらアニエス達側の方に登ってきたらしい。アニエスが「ひっ」と喉の奥で悲鳴をあげる。
「来るな! 来るなーっ!?」
「滑りすぎて踏ん張りが足りない…!」
 構える二人。魚人が白い液を放った!
「いやーっ!ねっちょりしてるー!」
 真緋呂の悲鳴に一緒に囚われたアニエスが叫んだ。
「なんで摩擦ゼロ状態なのに服だけしっかり粘着するんだ!?」
 仕様です。
「くっ…こうなったら何とか抜けて……いや、脱げてじゃないから!濁点多いから!」
「落ち着いて!?」
 パニックを起こしている二人の前では、加害者である魚人がピクピクしながら這っている。
「「ひ!?」」
 女々子がその魚人を海に蹴り戻した。
(くっ、どうせ射撃武器だから動き回らなくていい、服が脱げたんならいっそこの白い液で体隠し、体固定すればいいだけさ)
 追い詰められたアニエスがダイナミック発想の転換。
 反対側では白液からリーリア達が必死に這い出ている。
「よかった、なんとか上の服だけですみそう…!」
「上の服だけでも問題だと思うけど」
 肌色成分が大幅に増した美少女と美青年に、巻き込まれ攻撃で減っていた女々子の生命力が全快。見物に戻った所で後ろに魚人が戻ってきた。
「お早いおかえりねぇ?」
 それはもう海に戻してもらってますから。
 お礼とばかりに魚人が白液を吐き出す!
 女々子、受けた!

 べちょっ

「なんか後ろから!?」
「いや〜ん。くらっちゃったわ〜」
「なにかあたってる!?」
 下着だけで脱皮してきたリーリア&レイと一塊。ぴったり密着した女々子の肌がツヤツヤだ。
「これ脱皮したら下着脱げるんじゃ…」
「服が脱げた?ありのままの姿を見せればイイじゃない!」
「よくないな!?」
 女々子の声にレイが必死。女々子が根性で白液をパージした。
 服ごと。
「寧ろ見なさい崇めなさい、この肉体美をッ!」
 迫力に追撃に来ていた魚人達が正座。
「産まれたまんまで勝負よッ」
「隠せぇえええ!!」
 レイの絶叫が轟いた。


(鯖…味噌煮にしてもしめ鯖にしても美味しい鯖…)
 食いしん坊万歳な脳みそに色んな料理を思い浮かべ、みくず(jb2654)はバァンと悲しげに空気を叩いた。
(でも天魔だから食べられない! なんて残酷な現実!)
 素材が元人間でなく、たんに異界生物とかだったらもしかしたら異世界クッキングとかが出来たかもしれないのに!!
「これだけ立派な鯖…天魔じゃなかったらお兄ちゃんにさばいてもらうのに」
 あっ今のギャグじゃないよ本当に!
 ぐぐ、と悔しさを押し殺し、みくずは相手をキッと睨みつけた。
「倒させてもらいます!」
 シャキーン!と取り出し身構えるのは、醤油・味噌・レモン汁・パン粉!
\お兄ちゃん愛用調味料一式/
「下味ー!」
 近づいて来た鯖魚人にレモン汁ブシャー(目潰し)!
「衣ー!」
 魚人と一緒に甲板に沈没していたにゅるにゅる液付きの糸魚もパン粉を投擲して脱水分! 水分を抜けば違うよねきっと!

 ――パン粉でモサモサの塊ができました。

「お兄ちゃんの食材がこんなに役に立つなんて…さすがだね!」
 ふぅ! と額の汗拭うみくずの後ろ、モサパン糸魚はにゅる液を吸ってしっとりしたパン粉バディの中で打ち震えた。
「なんでしょう、私、揚げられそうな勢いです」
 そこに響く不吉な台詞。
「爆発とか炎系に怯んでくれたらいいんだけどね…!」
「やっつけるときはこんがり焼いちゃおう♪ 塩ぶっかけて、炎陣球で塩焼きだ!」
「焼き鯖にしたる…」
 タオル一丁で飛んできたリーリアのファイアワークスが発動。次いでみくずの炎陣球が発動。さらに千鶴の火遁・火蛇が発動した。
「ズギョォォォォン!?」
 あ、巻き込まれた。
「魚人はあちらですよ?!」
 コメディ補正で香ばしい匂いをさせながら叫ぶ糸魚フライ。なんという説得力の無さだろうか。
 そこへテテテテと走ってくる白い影。
「(*゜∀゜*)!!おっきなおさかなさんですにゃ!!!」
 ピンッと立った耳、ビンビンの尻尾。魅惑の果実をたゆんたゆんさせながら走ってきた真珠である。
「しんじゅおさかなだいすきですにゃ――――!ごーはーんーにゃー!!」
 それこそ目の色変えて走ってきた真珠に、みくずに味付けされた鯖魚人達がギョッとなる。
「ぎゅっぎゅあぐあぐはむはむがじがじがりがり(*´ω`*)♪」
「あれ。食べれるの?」
「いえ、駄目でしょう」
 いろんな意味で魚人にかぶりついている真珠に、みくずが首を傾げ、千鶴達を助けに移動していた神楽が答えた。
「だめにゃー?だめにゃー?」
「駄目ですよ」
「おなかすいたにゃー!(ハッ!)」
「ハッ!?」
 その時、必死に訴えた真珠と、たまたま視線を送った糸魚フライの目がばっちりあった。
「こっちにゃー!!」
「いやーっ!? 食べ物ではありませんよ!?」
 齧り付かれた糸魚が半泣きで逃げ惑う。だがこの甲板の上、にゅる液的な意味ですでにどこにも逃げ場がない。
「香ばしい匂いにゃ!」
 そこへ魔法半裸少女なミャーコが駆けつけた。エビフライの尾が鯖に変わったような不思議な物体をじっと見つめる。
「鯖……フライにゃ?」
「違いますよ!?」
 冷刀マグロを手にじりじり迫るミャーコに、糸魚はフェリーの縁に思わずかきつく。ふと縁の向こうを覗くと、ちょうど上向いたディアドラ達と目があった。
 糸魚は苦悶の気配を滲ませて呻く。
「くっ…皆さん、すみません………わたくし、カナヅチなんです」
「「その顔で!?」」
 ちなみに現在の彼は飛ぶこともできなかったりする。強いて言えば、そう、走るのは得意。
「鯖頭にゃのに…」
「鯖頭? 誰ですそれ?」
 真珠の声に糸魚がハテナ?を飛ばす。そこに透明液が放たれた。
「にゅるにゅるにゃー…!」
 嗚呼なんということでしょう。元々紐でしかない真珠が生まれたままの姿になっていく。
 しかしインパクトは横の糸魚のほうが酷かった。
「恥ずかしいです…」
「ボディは人体なんだ…?」
 思わず全員が注目。大自然のモザイク荒ぶる中、視線を感じて「ハッ…」と糸魚は顔を上げた。

 魚人と目があった。

 しばり見つめ合う。

 まだ見てる。

「いえ恋とか始まりませんよ」
 ドスッ!
 投げつけられた鉄扇が魚人のハートを貫いた。
「先生、これを…」
「千鶴さんも着てくださいよ」
 そんな中、ようやく合流した千鶴と雅に神楽がタオルをかける。英斗のコートもあってこちらの蔵倫は大丈夫そうだ。周囲の敵を牽制するかのように、白銀に輝く英斗の聖剣が降り注ぐ。
「さて、殲滅しましょうか」
 銃を構え、いつもと変わらない笑顔で神楽は断言した。
「食べれない鯖に存在価値はありません」


●終焉を奏でよう


「けったいな格好してやがるくせに無駄に強いな、おい!」
 惨状を見やりながら、遊夜は麻夜とユーヤの二人を抱え、飛んできた透明液を避けていた。
「こいつを食らうわけにはいかないからな…!」
「何でも来い!だよ」
「くっついても、滑っても、大丈夫(たぶん」
「いや大丈夫じゃないな?」
 何故かキリッとして見える両腕の二人に遊夜は慌てた。その腕の中、麻夜はクスクスと小悪魔の笑み。
(白に当たったらさらに密着、透明なら不可抗力でにゅっとりだよ)
 反対側のユーヤは表面こそ無表情だが内側は麻夜に勝るとも劣らない。
(密着しても、するっと服の中に手が入れられても)
「不可抗力、だよね」
 くすくす。
(なんだ……? 敵を狙い打っているはずが、ハンターに狙われるような感覚が)
 内心首を傾げつつ、遊夜は飛んできた白液を緊急活性化した盾で受ける。
「わはー、冷凍(焼き)魚だー!」
 その瞬間、麻夜がNight Temptationを発動させた。凍れる大量の黒羽根が舞うその中で、ユーヤがジャイアントピコハンを具現化させる。
「全力で、さようなら」
 一瞬浮かんだ微笑み。ピコッという可愛らしい音に反して魚の頭が陥没する。
 二人の助力を受け、麻夜はもう一体の瀕死の魚にファイアーパターンを刻んだ黒い双銃を向ける。
「お前はそこで乾いてろ!」
 愛の文言が刻まれた銃が吼え、穿たれた鯖が甲板に倒れた。
「フゥ…。やっぱり、弱体化したところを狙えば必勝だな」
「回避力が違うもんね」
 身を寄せてくすくす笑う麻夜にコクリと頷き、ユーヤはふと白液と透明液に塗れたレイティア達を見た。
「透明と…白合わせたら…中和できそう…」
「ははぁ。成程である…よっと!」
 不意に横合いから飛んできた白液を遊夜は避ける。だがすでに周囲のほとんどが透明液で濡れていた。
「壁走り、って手があってな……!」
 足の滑りを感じた刹那、遊夜は二人を抱えて壁走りで未だ無事な側壁を踏む。
 ツルッ
 ツルッ
 ツルッ
「駄目か!?」
「ボク達が支えるよ」
「ん…任せて…」
 左右の二人が翼で飛翔する。麻夜がにっこりと笑んだ。
「ボク達が、先輩の翼だよ」


「一旦足場にするといい」
 危険を察知し、降りてきた歌音が海にいる三人に救命胴衣ボートを落とした。
 同時期、合流した明斗と忍が真緋呂とアニエスにタオルを渡す。向こうでレイと女々子が蔵倫荒ぶる格好でバトルをしているが、命に関わることはないだろう。
「これは酷いですね…」
 明斗が見ている先は海上の鯖である。
「‥あれ‥めんどう‥殺る‥」
 忍がコクリと頷いた。
「僕が援護します」
「‥了解‥タイミング‥任せる‥」
 告げ、忍は水上歩行の術を発動させる。
「陸に上げて弱体化させたほうが得策ではあるけどね」
 無防備にならないよう、船上の敵を歌音が狙い撃った。その背後に忍び寄る魚人を駆けつけた七佳が回転式多砲身機関砲で吹き飛ばす。
「あとは甲板ですか?」
 七佳の大きなバスタオルの端っこが翻った。どうやらすでに洗礼を受けてしまっているようだ。
「それと海だね」
 歌音が告げ、明斗が編んでいた魔法を解き放った。
「行くよ」
 無数の流星が海上に降り注ぐ。回避する魚人に向かい忍が火遁・火蛇を放った。
「海での回避‥高い‥」
 だがおかげでディアドラ達に向かう個体がいなくなった。忍を狙う魚人を船上から明斗、歌音、七佳が狙い撃つ。
「海の中では無尽蔵に水鉄砲を打てるんですね」
 七佳に頷き、明斗は帰還する忍の支援にもう一度コメットを放った。その間に無事船上に戻ったファラ達にタオルを渡す。
「ありがと!」
「来ますよ」
 明斗の声に歌音がサンダークロスボウを構える。忍が縁を乗り越え、同時に魚人が現れた。
「終わらせてもらいましょう。元より、貴方達は旅行予定に入っていないのですから」


●ギリギリで


 戦いが終結したのは種子島入りする直前だった。
 倒しきり、ミャーコはキリッとした顔で肉球を掲げる。
「魔法少女はこの程度じゃ負けないにゃ♪…にゃ? 服の事忘れてたにゃー!?」
 慌てて隠す体に忍が上着を被せる。
「ありがとにゃー!」
「‥体‥大事に‥」
 そんな二人の向こうでは、白液で部分保護した女々子が担架で運ばれる綺麗な狐色に揚がった糸魚をしみじみ見やる。
「糸ちゃん、あんた…一層得体の知れない生き物になったわね」
「めめこさんの格好も十分酷いですよ…」
 おっと保護白液が落ちかけたぜ。
「さて。服が乾くまでどれぐらいかかるかね」
 優雅に紅茶を飲みながら歌音が甲板に揺れる皆の服に目を眇めた。
 視線を転じ、見やった埠頭では、シーツ被って涙目な和幸が着替えする暇もなく兄と対面するという羞恥プレイを自動決行させられている。遥か向こうの浜辺で膝を抱えてぐすぐす泣いているのは焔だろう。雅が傍らで慰めている。
「上陸したら刺身でも買うか…」
「それなら、お魚買って三枚おろしにしよう!」
「ああ、それもいいな」
 ワイヤーを仕舞いながらのケイの台詞に、みくずが手を叩き、聞きつけた真珠が「おさかにゃ!」と耳をピンと張る。
「まぁ、メイド達がシマイの所に行ったって言うんなら、いずれなにか動きはあるだろーな」
 漁協に寄ろうと話し合う七佳達を見やってから、ケイは宇宙センターの方に皮肉げな視線を送った。明斗が静かに告げる。
「四国のメイド達もまた、ここの悪魔から何かを得て来る可能性が高いですね」
 三つ巴の勢力と、それぞれの思惑。
 二つの島を繋いだ点と点がどのような形で世界に影響を及ぼすのか。
 まだ見ぬ日々に思いを馳せ、歌音は釣竿を肩に嘯く。

「いずれ時がそれを告げるさ」

 いつだって、時は進み続けているのだから。




依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: Defender of the Society・佐藤 七佳(ja0030)
 夜闇の眷属・麻生 遊夜(ja1838)
 『魂刃』百鬼夜行・産砂 女々子(ja3059)
 黒の微笑・石田 神楽(ja4485)
 災禍祓いし常闇の明星・東城 夜刀彦(ja6047)
 鉄壁の守護者達・黒井 明斗(jb0525)
 闇夜を照らせし清福の黒翼・レイ・フェリウス(jb3036)
 Lightning Eater・紅香 忍(jb7811)
 \鯖頭?誰ですそれ?/・川中 糸魚(jb8134)
重体: −
面白かった!:20人

無念の褌大名・
猫野・宮子(ja0024)

大学部2年5組 女 鬼道忍軍
Defender of the Society・
佐藤 七佳(ja0030)

大学部3年61組 女 ディバインナイト
ドクタークロウ・
鴉乃宮 歌音(ja0427)

卒業 男 インフィルトレイター
黄金の愛娘・
宇田川 千鶴(ja1613)

卒業 女 鬼道忍軍
夜闇の眷属・
麻生 遊夜(ja1838)

大学部6年5組 男 インフィルトレイター
『魂刃』百鬼夜行・
産砂 女々子(ja3059)

大学部6年1組 男 阿修羅
ブレイブハート・
若杉 英斗(ja4230)

大学部4年4組 男 ディバインナイト
黒の微笑・
石田 神楽(ja4485)

卒業 男 インフィルトレイター
思い繋ぎし翠光の焔・
星杜 焔(ja5378)

卒業 男 ディバインナイト
災禍祓いし常闇の明星・
東城 夜刀彦(ja6047)

大学部4年73組 男 鬼道忍軍
冷静なる識・
アニエス・ブランネージュ(ja8264)

大学部9年317組 女 インフィルトレイター
鉄壁の守護者達・
黒井 明斗(jb0525)

高等部3年1組 男 アストラルヴァンガード
心に千の輝きを・
リーリア・ニキフォロヴァ(jb0747)

大学部4年53組 女 ナイトウォーカー
夜闇の眷属・
来崎 麻夜(jb0905)

大学部2年42組 女 ナイトウォーカー
サバイバル大食い優勝者・
みくず(jb2654)

大学部3年250組 女 陰陽師
\不可抗力ってあるよね/・
レイティア(jb2693)

大学部2年63組 女 アストラルヴァンガード
闇夜を照らせし清福の黒翼・
レイ・フェリウス(jb3036)

大学部5年206組 男 ナイトウォーカー
おまえだけは絶対許さない・
ファラ・エルフィリア(jb3154)

大学部4年284組 女 陰陽師
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
久遠の風を指し示す者・
ケイ・フレイザー(jb6707)

大学部3年202組 男 アカシックレコーダー:タイプB
おまえだけは絶対許さない・
ディアドラ(jb7283)

大学部5年325組 女 陰陽師
Lightning Eater・
紅香 忍(jb7811)

中等部3年7組 男 鬼道忍軍
\鯖頭?誰ですそれ?/・
川中 糸魚(jb8134)

大学部7年58組 男 鬼道忍軍
\不可抗力ってあるよね/・
真珠・ホワイトオデット(jb9318)

大学部2年265組 女 ダアト
夜闇の眷属・
ヒビキ・ユーヤ(jb9420)

高等部1年30組 女 阿修羅