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マスター:九三壱八
シナリオ形態:イベント
難易度:普通
参加人数:25人
サポート:2人
リプレイ完成日時:2012/08/24


みんなの思い出



オープニング

 始まりは一本の電話からだった。
「すまんが、学生さん等で時間のある子はおらんかなぁ……?」
「依頼かね?」
 受けた少女は無表情のまま首を傾げる。
 電話の主から依頼を受けるのはこれが初めてではない。先だっては台風で倒れた山の木々を運ぶ依頼を受け、対応に当たった学生達が見事完遂してのけた。
 まさかまた木が倒れた、などということはあるまい。
「あぁ、依頼として回してもろたらありがたいなぁ……実はな、地元の夏祭りがピンチなんや」
 夏祭り。
 少女の頭につやつやしたリンゴ飴の姿が浮かんだ。
「祭りの花っつーたら花火やけど、ほれ、屋台とか、外せんモンいっぱいあるやろ。その屋台をな、やっとる連中がやな、この猛暑で熱中症ンなって倒れたんよ」
 たこ焼き。お好み焼き。いかフライ。アイスクリーム。かき氷!
 次々美味しいものが頭の中に浮かびあがり乱舞する。
 屋台。それは魔性の魅力に満ちた祭りの夜の誘惑者。
「そんでなぁ、悪いとは思うんやけど、学生さん等をアルバイトに雇わせてもらえんやろか。この前来てくれた子等も、そりゃあしっかりしてたから、同じ頼むんやったら久遠ヶ原の学生さんに頼みたいんやわ。もちろん、お礼は多めにさせてもらうつもりやし」
 ふむ、と少女は頷いた。
 急な依頼のため、出発までやや急ぎになるだろうが、仕方がない。
「それに、人数集まってくれたら、ほれ、店番以外の時間帯は自由にしてもろてかまんさかい。他の屋台に遊びに行くもよし、サクラになってくれるもよし、や。……まぁ、使うお金はお小遣いからになるやろうけど」
 少女はカッと目を見開いた。
「急いで皆に声をかけよう。すまんが、そちらもどこの屋台にどれだけの人員が欲しいのか、詳しい内容を至急FAXしてくれ!」
 学園のFAXナンバーを告げると、少女は大急ぎで依頼案内を作成すべく、自身のパソコンへと走って行った。




 廊下の一角に急遽張り出された依頼の用紙がある。
 慌てて作ったのだろう、やたらと簡素な依頼文の下にFAXのコピーが張られていた。

<急募! 夏祭りアルバイト員>

 祭りの屋台でのアルバイト員募集!

・屋台店番は常時2名必要(店番交代等は各自相談で)
・祭り全体での仕事従事時間は6時〜9時の全4時間
・おこづかいは3000久遠まで
・店番担当時間以外は祭りを満喫してOK
・チャレンジ系は自己責任で!


リプレイ本文

 闇夜にオレンジの色が爆ぜた。
 夜の帳を照らす幾多の灯り。道の両側を固める数々の屋台。入り口で燃える篝火にも負けない熱気の中、若々しい声が道行く人々の興味を惹く。
「冷たくて美味しいかき氷だよ〜、皆買っていってね〜!」
 場所は屋台通りの半ばほど、かき氷屋を任された滅炎 雷(ja4615)の上で黒い子猫が髭をそよがせる。
 熱気に火照った体に冷たい物は何よりのご褒美。味付けも定番から番外編まで。雷のアイデアで出されたキャラメルシロップはなかなかの人気だ。その屋台の中、新味を味見した石田 神楽(ja4485)は一つ頷いた。
「ふむ、これは案外イケますね」
 抹茶味である。甘めに調合するのは難しかったろうに、抹茶本来の味も活かした力量は見事だった。
「アルバイト…というのも、何気に久しぶりですね」
「頑張るよ〜!」
 店先に小さな信楽焼を設置し、二人は次々と訪れる客を捌いていった。


 本日の限定品はかき氷だけではない。
「限定品だ、お早めにー♪」
 わりとヘヴィなお好み焼き屋。実はかき氷屋のお隣さん。
 暑いの喰って冷たいのも喰って行けという親切設計もとい商売魂。呼び込みをするアストリット・シュリング(ja7718)の手元、焼き上がったのは黒百合(ja0422)提案【難易度:ハードコア】本日のみ十食限定の【激辛超度級お好み焼き】。生地に唐辛子粉末+具に激辛キムチ。そこに加えてタバスコソース&激辛マヨネーズの地獄パレード。すでにお好み焼きというより赤い物体Aである。
 鉄板一個まるまる使う超弩級の大きさといい、誰だこれ食べる奴と思われそうだがそこはそれ。完食で無料+店先に貼られる【栄光の完食者】のご褒美がチャレンジャー魂に火をつける!
「か、辛ェ……!み、水!」
 限定十食も手伝って思わず食べた勇気ある挑戦者第一号。あまりの辛さに二口で水ガブ飲み。お代わりを要求して如月 優(ja7990)に困り顔をされた。
「コップ一杯、以上の水、を、飲むと、アウトだが」
「殺生なー!」
 ちゃんと看板にも書かれてますヨ☆
 ちなみに食べきれない分はパックに入れてお持ち帰りである。


 粉物の定番。お好み焼きがあれば当然あるのがコチラたこ焼き屋。
「安くて美味しいですよー!」
 威勢の良い声と笑顔が魅力、氷雨 静(ja4221)の呼び声に人々が振り返る。目に飛び込むイラスト付きの手書きポップ。鼻孔をくすぐるソースと小麦の焼ける匂いに、思わず腹を鳴らす者も少なくない。
「一応本場出身やし?美味いもん作ったるでー!」
 本場出身、亀山 淳紅(ja2261)の手で次々に張りのある丸型になるたこ焼き達。関西出身の静もまた、勝るとも劣らない手腕で表面に張りのある中身とろりの本格焼き。
「これが今日の当たり食材やー!アレルギーある人は気ぃつけてや!」
 三パックに一つの割合で入る当たり。唐揚げ・竹輪・海老・タコさんウィンナー・牛肉・チーズ。アレルギーに配慮したメニュー表を眺めつつ、子供にせがまれた父親が二パック注文。淳紅はそっと屈むと当たり入りを敢えて入れてウィンクした。
「内緒内緒、…やでー♪」
 その姿を他の客から隠すように、静の光源球がふわりと光を放つ。
「うわぁ…!お姉ちゃん、魔法使いさん!?」
 目を輝かせる子供達に、静は控えめに微笑して一礼した。
「いいえ。私はあくまでメイドでございます」
 無論、装いもメイド服である。


「さぁ! ばんばん売りまくるよっ!」
 屋台に常駐、下妻ユーカリ(ja0593)の気合いは他陣営を大きくつき放す。
 夏祭りの屋台の定番と言えば、かき氷やたこ焼き。暑さで売れるアイスや、匂いで客を惹きつけるお好み焼き等も売り上げが見込める。しかし夏にりんご飴目当てに動く者はそんなにいないだろう。
 だからこそ……燃える!
 胃袋と財布の資源が限られる中、どれだけの人にりんご飴を食べたいと思わせるか!
 青森りんご農園の期待を一身に背負い、ユーカリ、全力の販売活動である。
「祭の定番りんご飴です!りんご以外にも当たり外れのあるゲリラ飴も提供しておりますのでお一つ如何でしょうか!」
「少し変わった中身も取り揃えています、どうぞ見ていってください」
 同じく販売に力を入れる神棟 星嵐(ja1019)が声を上げれば、牧野 穂鳥(ja2029)は興味を持って覗く人々にあれこれと薦める。
 自前の女性用甚兵衛に簪を挿したお団子髪姿と、雰囲気作りも万全。事前に作った千代紙の小さな飾りは女性客に評判だ。
 ちょうど小さな手に五百久遠を握りしめ、幼い少女がりんご飴を買いに来た。
「落としてしまわないように気を付けてね」
 屋台の外に出てかがんで手渡す穂鳥に、少女は輝くような笑顔で頷いた。
「おいしいりんご飴はいかがですかー?ちょっとチャレンジしたい方はゲリラ飴もありますよー!」
 粋な装いならば負けてはいない。自前の半被故か着こなしも抜群な櫟 諏訪(ja1215)。ゲリラ飴の中身にあわせて変えてあるべっこうの色も目に楽しい。
 そのゲリラ飴を覗いた客は驚いた。トマト・オレンジ・バナナ・レモン……その種類の豊富さは例年の数倍。しかもまだある。あれは何だ? オレンジでもレモンでも無い柑橘系……?
「それ一つ貰おうか」
 興味を惹かれて購入した勇者、食べて驚いた。グレープフルーツだ!
「こ、これは……甘酸っぱい……!」
 星嵐特性GF飴。飴の甘さとGFの酸っぱさが見事にコラボ。ある種新しい味覚の快感だ。
 しかもまだまだ増える。あれはチェリー、ではあの茶色の物体は?
「俺、それください」
「あたしそっちの欲しい!」
 口コミが評判を呼ぶりんご飴屋。初手からいきなりの快進撃である。


 アイスクリーム屋では只今緊迫の実況中継中。
「あ、落ちるかなー? 大丈夫、五段目成功ですっ」
 甘やかな雪成 藤花(ja0292)の実況にあがる歓声。なにしろダブル・トリプルまでなら日常茶飯事だがそれ以上ともなるとあまり見ないのがアイスクリームタワー。綺麗な球体が五つ重なっている様はなかなか壮観だ。
 互いにサポートしあいながらタワーを作成する相方は木花 小鈴護(ja7205)。衛生面に配慮してタオルで髪を押さえつけ、一生懸命綺麗な玉を乗せていく姿にお姉さん達の視線が集まったりするのだが、本人全く気づいていない。なにせ彼は小学生。かなりの高身長に惑わされがちだがランドセルを背負う年齢である。
「お、落ちるー、落ちるー……っと成功です!」
 本日の記録は七段。じわじわとハードルが上がっている。用意したナッツ系トッピングを可愛く盛りつけながら、藤花はふとここには居ない大切な人を脳裏に思い描いた。
(……次は、あの人とも一緒にお祭りに行きたいな)
 きっとそれだけで世界は何倍も楽しく美しく見えることだろう。恋は世界を変える魔法の一つだ。
(おみやげに何か買って帰ってみようかな)
 藤花は口元に淡い笑みを浮かべる。
 トッピングがてんこ盛りになっていた。


 冷たい物があれば当然暑い物もある。常に最高温のフライ屋でソフィア・ヴァレッティ(ja1133)は袖をまくる。紫地に花が描かれた浴衣が実に艶やかだ。
「さあて、腕が鳴るね」
 同じ屋台内のファリス・メイヤー(ja8033)は揚げすぎ防止もかねて個人用にアラームを設定。慣れているソフィアに習いつつ、美味しい揚げ方の実践に余念がない。
「カリッとしたイカフライはいかがですか?」
 ややぎこちないながらも声を上げてみる。美味しそうな単語を交ぜるといい、というのはソフィアからの受け売りだ。揚げたてに塗られたソースの匂いも手伝って、若い男女を中心に寄ってくる。
「ソースの他に、塩、柚塩など、いろいろあります。どちらになさいます?」
「あ。俺普通の塩がいいや」
「私、柚塩〜」
「あたしはソースで!」」
 意外と塩で食べる派もいる様子。ソース味に飽きた面々から順調に売れていく。それに笑って、ソフィアは声をあげた。
「ポテト揚げたてだよ!」
「お。丁度よかったな」
「いらっしゃい!」
 笑顔で迎える先、注文に並んだのは仁科 皓一郎(ja8777)と雀原 麦子(ja1553)だ。
 同じかき氷屋担当二人でビール片手につまみの調達といったところだろう。揚げたてのフライの匂いは酒スキーにはたまらない。
(今度は祭、か、元気だねぇ)
 今回の依頼主と顔見知りである皓一郎は軽く微苦笑を浮かべる。祭りの依頼が舞い込むことになった最初の依頼を果たしたのは、誰在ろうこの皓一郎を含む六人の撃退士達なのだ。
「おつまみゲット♪」
 揚げたてに麦子が顔を綻ばせる。
 そんななか、数軒向こうの屋台で賑やかな声が上がった。
「坊! 来とったんか!」
 その声に皓一郎は「ぉ」と足を向けた。視線を馳せれば、やはり居た。先程から探していた今回の依頼人だ。
「あ…、倒木片付けの依頼ではお世話になりました。鮎、おいしかったです」
「そいつぁ何よりや! こっちこそ世話ンなったなぁ!」
 地主はすでにいい感じに酔っているらしい。同じく前回の依頼を成した小鈴護の肩をばんばん叩いたり握手したりと大忙しだ。
「あ。仁木さん」
「よぅ」
 軽く手を挙げる皓一郎に小鈴護は顔を綻ばせて挨拶し、地主は笑顔で背中を叩きに来た。
「よぉ来たなぁ!」
「あん時の鍋、美味かったしな」
「嬉しいこと言ってくれるなぁ!」
 がしぃ! と握手。
「お前さん達に集めてもろた倒木でな、今ペンション作っとってなぁ。出来上がったらまた学園に連絡しようかと思うんやわ。本格的ログハウスや」
 よかったら遊びに来てくれや、と笑う声を斜め向こうのりんご飴屋から眺め、星嵐は(なるほど)と納得した。
「なるほど。以前ご協力した際の実績が今回の依頼に繋がっていると……。地域の皆さんに頼って貰えるのは、嬉しい事ですね」
 人の世はいつだって縁によって結ばれている。繋がれた縁を増やすも減すも、太らせるも細めるのも、全てはそこに在る人達次第なのだ。
 無形でありながら、確かに存在する『信頼』と同様に。



 学生の快進撃は商売に留まらない。
「夏祭りねェ…くくくゥ…面白いィ、全部喰らって上げるわァ…!」
 屋台の花、食料系を踏破する黒百合の手には、すでにイカフライとりんご飴が握られている。年に似合わぬ妖艶な顔立ちの中、口の横にちょこっとついたソースの残りが愛らしい。
 同じく食料系を制覇中なのが同学年生の天道 冥(ja9937)だ。満面笑顔で突き進む黒百合と違い、冥の表情は全く変わらない。瞳にも感情が希薄なため、一見すると人形が動いているようにも見える。だが、お好み焼きをつつく箸の動きはなかなかに速かった。
 食べ物所に行く者もいれば、遊び系に行く者もいる。
「お迎えに来ましたー」
 濃紺の浴衣に、どこで手に入れたのかハムスターのお面を頭の後ろにつけた東城 夜刀彦(ja6047だ)。迎えたアイリ・エルヴァスティ(ja8206)が笑って射的の景品を見せた。
「ほら!ジャンガリアンのぬいぐるみよv撃って撃ってv」
「……何故撃つのを薦めるの?」
 魂がジャンガリアンハムスター。同種の危機に夜刀彦、すでに涙目だ。
 そして視線を屋台に並ぶ友達に向ける。
「……なんでジーナはハム狙ってるの?」
「ふっ」
 只今絶賛狙い中。ジーナ・アンドレーエフ(ja7885)は艶やかに流し目を送った後、口の端をクイッと上げて笑った。舌なめずりで狙う姿は一種官能的でもある。
 その様子に笑いながら設置を行っていたカーディス=キャットフィールド(ja7927)の手には、猫のぬいぐるみが握られていた。初心者用、上級者用で別れる景品は、大人から子供までうけている。
 屋台から出た日谷 月彦(ja5877)は、裏技を使った連射で打ち倒されたハムスターに苦笑した。
「おめでとうございます!」
 笑顔で声をあげるカーディスとアイリ。その実ちょっと困り顔なのは、当たり景品の裏に重石をつけたり、銃の中にドーナツ型の円盤とその留め具を仕込んだりと、手の込んだ仕掛けを施していたからだ。射的の目玉は、店にとって大切な客引きなのである。
「ま。荒稼ぎはしないから、これだけはおくれねぇ」
 ほくほくしている客と仲間のやりとりを聞きながら月彦は夜刀彦と一緒に休憩に出る。
 アイリが笑顔で手を振った。
「デート行ってらっしゃーい」
「こいつは男だぞ?」
「違和感は特に…ごほごほ」
 ありませんでした。
「お好み焼き! 超弩級お好み焼き!」
「待て、おまえもこいつらにだな……おい!?」
 夜刀彦はすでに心がご飯に飛んでいる。阿修羅を引っ張る鬼道忍軍を見送って、カーディスは道行く人々へと声をあげた。
「いらっしゃいませ〜射的ですよ〜是非寄って行って下さいませ〜」
 わりと日常的な一場面であるらしい。
 そこへやって来たのがつまみをGETした皓一郎と麦子のコンビ。ぬいぐるみをめざとく見つけ、目を輝かせた。
「イルカ発見!」
 落ちにくそうだな! 体型的に!
「さぁ、ちょっと本気で落としにいくよ〜」
 腕まくりする麦子。目がマジだ。
 だがコルク弾はあと少しというところでイルカの横をすり抜けた。
「あれ? 手元狂ったのかな」
 日頃ディアボロと戦う彼女等にそういったミスは珍しい。これは、と気づいて麦子はニヤリと笑った。
「さて、癖を掴むとしましょうか!」
 ヤバイ。
 射的屋の二人は横目でチラッチラッ。けれど仕方がない。そもそも射的で撃退士に本気出されたらどうにもならない。
 次の一発でコツを掴んだ麦子。三発目で見事にイルカに当たった。
 だが、落ちない。
「……しょうがねぇ。手伝うぜ」
 全能力がオリンピックLVの撃退士タッグ。しかも麦子は二挺銃。駄目だコレ。重石一個や二個じゃどうにもならない。
 二人はスッと銃身を構える。見惚れるほどの見事な立ち姿。思わず足を止める観客の視線の先、全く同時のタイミングで撃った。
「ぃよっし!」
 さすがにこれはたまらない。弾かれたような勢いで後ろに落ちたイルカに、こっそり重石を取り外しながらカーディスは苦笑した。
「撃退士二人がかりではどうしようもないですね〜」
 目玉商品をさらっていくのが久遠ヶ原学生ばかり、というのもなにか複雑だが、当てれるのだ、というアピールは連敗続きの一般客の意欲を高めるのに丁度いい。
 難しいが当てられる、というのを目の当たりにして挑戦しはじめた人々の阿鼻叫喚を聞きながら、アイリとカーディスは(結果オーライ)とこっそりサムズアップしたのだった。


「夏祭りか。これもある意味、一つの戦い、だな」
 商売敵でもある店々を周りながら、神凪 宗(ja0435)は各店の凝りっぷりに内心舌を巻く。なかでも久遠ヶ原の学生が運営する屋台が特に熱い。今年はすごいね、という声があちこちで聞こえるほどだ。
 ついでに彼らの容姿の良さも噂になっていた。
(……まぁ、盛り上がっているのなら、それでいいが)
 道行く人々の顔は皆明るい。昨今は天魔の襲来も激しく、大きな戦も各地で起きている。不安を覚えない人はいないだろう。
 だがそれでも、人はこうして笑顔を浮かべる。
 その笑顔を支えようとする人がいる限り。
(平和な世界……か)
 わずか一瞬だけ遠い目をして、宗は軽く首を振った。口元に少しだけ哀しい苦笑が浮かぶ。
(いつか……果たすさ)
 その望みがこの胸にある限りは。
 きっと。
 静かな願いと決意を冷静な顔の下に隠し、屋台で買ってきた土産を持って担当のアイスクリーム店に帰還した宗は見た。
 屋台の隅っこで、こそっと自分で作った「雪だるまさんアイス」を食べているエルレーン・バルハザード(ja0889)を。
「えへへへ…」
 大きなアイス玉の上に小さなアイスを乗せ、チョコで顔と手を作った雪だるまさん。チョコの種類も棒状・マーブルチョコ・プレッツェルチョコと三種用意している。
 あっ、こいつ、自分のだけマーブルチョコてんこもりにしやがった!
「や、やくとく、ってやつだもん!」
 腰に手をあて、上からじとーっと覗き込んでやると、エルレーンはちょっぴり慌て顔でそんなことを主張。そんな二人をよそに、店番の藤花は小鈴護とともにタワーを作っていく。
 色とりどりのタワー。現在の記録は八段である。



「さァ売るわよォ……!」
 お小遣い尽きるまで頑張った! 飲食店梯子完了の黒百合は優とともにお好み焼きを焼いていく。その間にアストリットはフライ屋へ。
「いい匂いだな。美味しそうだ」
 酒が飲める年齢だったなら、と悔しがる彼女は十七才。悲嘆に暮れることはない。年月とはあっという間に過ぎてしまうのだから。
 静は競合店達の力の入れようや、道往く人と時間を計り次の戦略を練っている。祭りを楽しむように歩いていれども、その観察眼は休むことを知らない。
「お祭りいろいろ楽しみですねー!」
 屋台から出た諏訪は同行の藤花と共に屋台を冷やかして回っていた。たこ焼き屋で見事引いた当たりはタコさんウィンナー。すでに頭は囓り済だったが、ちょこっと残った見事なタコ足(ウィンナー)で素材が判明。何気に凝っている。
「みんな、すごいですね」
「力入ってますねー」
 かき氷は抹茶味とキャラメルを購入。なかなかのお味とほくほくだ。
「祭りって、なにかわくわくしますね」
 藤花の声に、諏訪はにこっと笑った。
「隣にいるのが想い人じゃなくて申し訳ないですけどねー?」
 少女は真っ赤になって俯いた。
 一方その頃、店番に戻った冥は黙々とたこ焼きを焼き続けていた。初めてではあるが、静が分かりやすい絵付きの焼き方手順を作ってくれていたし、何度も練習をした。面倒見のいい淳紅が適宜教えに来てくれるので今のところ順調だ。
 新しい生地の補充をしようと顔を上げた冥は、ふと通りを行く親子の姿に目をとめた。
 両手を両親に握ってもらい道を行く子供。表情は見えない。けれどきっと笑っているだろう。楽しそうに。
「……。……?」
 ふと頬を伝った涙に冥は首を傾げた。
 冥には分からない。
 彼女の記憶は感情とともに心の奥深くに封印されてしまっている。心が壊れてしまわないように。
 けれどもふと見る光景に、揺り動かされものがあるのだろう。何も分からないままに、ただ涙が流れる。
 淳紅に気づかれぬようにそっと涙を拭って、冥は何事もなかったかのように作業に戻った。
 その胸に刹那の悲しみを抱えて。 


 祭りも後半になってくると冷たいものの消費は加速する。
「神楽ちゃん達お疲れ〜」
「おや。ずいぶん大漁ですね」
「狸もあるのよ〜」
「……何故、狸ですか」
 にこにこと笑う神楽に笑顔で狸のぬいぐるみを押しつける麦子。その背後で、皓一郎は雷から氷を削るコツを習っている。
「氷、削ンのは初めてだが、なるほどな……」
 しょりしょりと削れていくのを見るのはなかなか楽しい感じだ。
「じゃ、交代ね♪」
「ええ。お願いします」
「任せなさい♪」
 今日はお祭りだから、と「飲み過ぎないように」という注意を飲み込んだ神楽と、屋台めぐりにうずうずしている雷を見送り、麦子は浴衣をたすき掛けして呼び込みを開始した。
「さあ、冷たくて美味しいかき氷はいかが〜♪」
 楽しげな声が客を惹きつける。
「大人なあなたに限定品! ビールかき氷なんてどうかな♪」
 なにそれ新しい! 氷を入れて飲むビールを逆に氷にかけちゃおうという発想。冷たいの食べたい+ビール好き、のコラボに甘味が苦手なお父さん達が食いついた。
「変わり種、なら、カレーもあるぜ」
 待てソレむしろどうやってシロップにした!? 
 新たなネタ食に群がるのはお約束。話の種にと購入する少年達を中心に着実に売れていく。
「内緒って言ってたシロップ、ビールか」
「まーね♪」
 笑顔で頷く麦子に、皓一郎は笑って言った。
「その浴衣。似合ってるぜ」


(さて、どこを回ろうか)
 灼熱の屋台から出て周囲を見渡すファリスは、着慣れない浴衣を幾度と無く手でなでつけた。慣れない衣服というのはどうしても動きがぎこちなくなるのだ。
(……射的、上手くいかなかったし)
 しょんぼりと思うが、むしろそれは色んな仕掛けのせいである。ちらっと目に当たったおもちゃレーザーの光とか。
「あつぅい夜に、ひやっこいあいすはいかがですか、なのー?」
 心退かれる客引きの声に、ファリスは足を止めた。見れば猫耳カチューシャをつけたエルレーンが、タワーを作っている宗の横で声をあげている。
(……そういえば、最高記録は11段でしたね)
 導かれるように歩みよりつつ、フェリスはお小遣いを握りしめた。
「うふ、かぁいいでしょ?…サービスで、まゆげ、つけといたの!」
 小さな子供に雪だるまさんアイスを渡していたエルレーンが、ファリスに気づいて笑顔で顔を上げる。
「いらっしゃい、なの!」
「アイスタワーは、出来ますでしょうか?」
「はいなの! 今のところ最高記録は九段なの」
「十二段で」
 場が一瞬、凍り付いた。
「十二、段?」
 宗が鸚鵡返しに口にする。
 十二段。つまり、祭り新記録を出せ、と!
 思わず周囲がざわめいた。全員の視線が集中する中、宗はしっかとファリスを見据える。真っ直ぐに見返す瞳。……冗談で言っているのではない。これは本気の注文だ!
「……その注文、引き受けました」
 引き締まった顔で宗が頷く。ここは撃退士として退いてはならないところ。なにせ依頼が来ましたから!
「了解、なの!」
 観客が固唾を呑んで見守る中、今、祭り新記録への挑戦が始まった!


「日本の、夏、は、情緒、ある」
 自分が立ち去った後のアイス屋でそんなイベントが勃発しているとは知らず、屋台を満喫している優はラムネシャーベットを嘗めながらかすかに笑みを零した。
「……ん。美味し」
 そこここで威勢の良い客引きの声があがり、人々の喧噪が灯りを中心にして満ちている。祭りの賑やかさに少々あてられた気がして、優はそっと離れた木陰で一服した。
 わずか十歩程度離れただけで、まるで別世界のように見えるお祭り騒ぎ。
「皆の熱気が、凄い……」
 優は目を細めた。脳裏に、かつて見た哀しい光景がふと蘇った。
 別の国、別の祭りで起きた悲劇。自分達を庇って亡くなった親友の祖父。
(……哀しい記憶、も、いっぱい)
 それでも、それだけではないからこうして立っていられる。それはきっと、自分だけじゃなく、自分の周りにいてくれた、自分以外の誰かのおかげ。
(……ああ、星が、綺麗だな)
 今は少し遠く見える空を見上げて、優は少しだけ微笑った。
 その優からわずか十数歩離れた屋台通りのど真ん中、満面笑顔で食べ物に突撃する雷がいた。
「お祭りといったらやっぱり食べ物だよね〜!」
 握られた綿菓子はすでに半分胃の中だ。それを笑って眺めながら、カーディスと神楽は並んで歩く。気分は子供を見守る父親だ。
「やっぱり皆すごく食べるんですね〜」
「まぁ、育ち盛りですからね」
 頷いて、神楽はカーディスを見た。
「そういえば、カーディスさんは射的屋をされていたんですよね」
「そうですよ〜。学園の人達にいっぱい獲られました〜」
 しょんぼりと言う相手の姿に、神楽は(……ふむ)とにこにこ顔の裏で思考する。
(射的に行く事があれば、自身の能力を最大限活かしてみようかと思いましたが……)
 脳裏に浮かぶのは大量のぬいぐるみを持ってきていた友人達の姿だ。屋台を離れる時に置いてきたが、丸っこい狸のぬいぐるみは今も神楽の身代わりとしてかき氷屋でちょこんと鎮座している。
「……まぁ、おみやげ分ぐらいなら、許容範囲内でしょうか……」
 一発だけなら(略)かもしれないし。
 その三人とすれ違う形で進み、射的屋を覗いた小鈴護は、スッと差し出された銃に目を丸くした。
「あら、いい男ぶり。いかが?射的であなたの男を魅せてくれないかしら?」
 おっとりと笑う美女がそこにいた。艶かな声と言葉だが、なんとなく全体的に母性を感じずにはいられない。
「的に、当てるん……ですか?」
「ええ。落としたら、その品があなたの物」
 にこりと微笑むアイリに料金を払って、小鈴護は小さな梟のぬいぐるみを見据える。
「もうちょっと左のほうがいいわよ?」
 お母さん。子供には優しいようです。
 素直に指示に従って、小鈴護はやや左寄りに照準を合わす。勢いよく発射されたコルク弾は、過たず梟を後ろに落とした。
「おめでとう!」
「ふふふ……縁起物を落とすとは……やるな」
 イイ笑顔の月彦から梟を受け取って、小鈴護はちょっとだけ顔を綻ばせる。
 福を呼ぶ鳥は、暢気そうな顔で少年を見返していた。


「揚げたていかがかしらぁ?」
 せめてぐるっと屋台を巡っておいでと店から出された星嵐は、いい匂いにつられてそちらを見た。ジュージューと音をたてる揚げ物はいかにも熱そうだが、若い胃袋に揚げ物の匂いは大変魅力的だ。
 見ればフライにつけるのもソース一辺倒では無いらしい。少年がふっている粉を見て星嵐は首を傾げた。
「それは……?」
「塩麹です」
 笑顔で答えた夜刀彦に、へぇ、と星嵐は感心する。他の屋台でも思ったが、皆それぞれに工夫をこらし、店を盛り立てようと力を入れている。
 たかが一夜の屋台手伝いと、手を抜くような者がいないのだ。
(あぁ、負けられないな)
 なんとなくそう思う。皆が全力を尽くしているのを見れば、もっともっとと思ってしまう。そして、そうした思いや行動は、きっとまた地域の人達の心に残ってくれるのだろう。
「その塩麹の、一つ頼む」
「まいどあり♪」
 笑顔で渡される品を受け取って、少年は自分の屋台へと足を進めた。
 立ち去る者がいれば帰り来る者もいる。
「油の熱もあって暑いだろうから、冷たいの持ってきたよ」
 灼熱地獄への救世主。ソフィアの気遣いにジーナと夜刀彦が歓声をあげた。
「面白い味もあったしね。あ、ビールは大人用だからジーナさんね」
「こっち抹茶だ。美味しい」
 笑顔でつつきはじめる二人にソフィアは笑う。
「ところで、なんで夜刀彦さんは口紅塗ってるの?」
「口紅!? ち、違います!」
「激辛超弩級お好み焼きに挑戦した結果ですってぇ」
 同行していた月彦に「無茶しやがって……」と嘆息をつかれた食べっぷりで完食したのはいいものの、唇が赤くなってしまったという。
「新しい客引きかと思ったよ」
 笑って揶揄しながら、ソフィアは通りへと視線を向けた。同じく帰ってきた少女をめざとく見つけたのだ。
「お帰り」
「只今戻りました。暑いでしょう。かき氷を買ってきました」
 その言葉と差し出された品に、三人は思わず顔を見合わせる。ファリスも二人が手にしている見たことのある器に目を丸くした。
 わずか一瞬の空白。
 そうして、弾けるような笑い声が屋台に響いた。


「よっし! 偵察も完了したよ!」
 星嵐同様、屋台巡りに送り出されたユーカリも周りの屋台をチェックしただけで早々と帰還。後半も売りまくるわよ! と腕まくりだ。
「あれ? このかき氷どうしたの?」
「よかったら、どうぞ」
 しゃくしゃくと皆して食べているかき氷。そのうちの一つを差し出されてユーカリは目を丸くした。
 穂鳥は穏やかに微笑む。
「他にもフライドポテトやたこ焼きも買ってきています。……ほとんどずっと店番をされていましたから」
「ありがとう!」
 外に送り出されても買い物一つせず帰ってきたユーカリは、深い感謝とともにそれを受け取った。
「ええ子等やなぁ……」
 そんな彼女等の様子を少し離れた場所で地主と一人の少女が眺めている。
 少女は誇らしげに胸を張った。
「うちの学生達は、皆可愛いだろう?」
「あぁ。えぇ子等ばっかりや」
 地主は頷く。
 徐々に激しくなりつつある天魔の躍動は、人々の心に悪い影響をあたえている。
 撃退士に縋る気持ち。化け物と戦える相手への畏怖。助けられなかった命を挙げての糾弾と不信。
 日本に在って堅固たる実績を築く久遠ヶ原はとくに好奇の視線にさらされる。
 だが、そんな中、誰が気づいているだろうか。
 彼らは『撃退士』であると同時に、一人の人間だということを。
 年端もいかぬ幼子もいれば、若い世代にとっては同年代の青年達もいるということを。
 命がけの戦いに身を投じれば一騎当千。されどその日常にあって、ごく普通に笑い、怒り、悲しみ、楽しみ、身近にいる我が子や家族達と変わらぬ姿をしていることを。
 無論、幾多の例外はあろうとも、だ。
「無知は、狂気と暴虐の温床や」
 見知らぬ相手を、知らないがゆえに勝手に決めつけ誹謗する輩の、なんと多いことだろうか。
「皆に知ってもらいたいなぁ……あの子等の、あの優しさも、ひたむきさも」
 潔さも、強さも。
 そして、脆さと、悲しさも。
「ま。ちょっとずつでも、触れあえる場が増えればええはなぁ」
 くしゃりと笑って、地主は時計を見た。
 時刻は九時少し前。
 祭りの終わりは、もうすぐそこに。
「さぁ、最後の一花、今宵の学生さん等に見せたらなんだらなァ……!」



 時計の針が頂点を指すと同時、夜空に鮮やかな花が咲いた。
「わぁ……!」
 屋台終了を告げる運営者達に導かれ、学生達は通りへ集まる。
 屋台撤収まで手伝おうとする淳紅も、笑顔の運営班に押し出されるようにして通りに出た。
 その視界の先、夜空に乱れ咲く数多の光の花々。
「う、わぁ……!」
「これは、絶景ですよー!」
 響く轟音に叩かれて、空から星が落ちそうな勢いだ。
「たーまやー!」
「か、かーぎやー」
 ユーカリが声をあげ、応えて穂鳥もそれに続く。
 笑い声が響く中、花火の光が人々の笑顔を鮮やかに照らした。
 空に花。
 地上に笑顔。
 見上げる空の向こう側で、花火に負けじと輝く星。
 夏の夜が終わろうとしていた。



 後日、学園に一冊の冊子が届いた。
 第八十三回阿波屋祭りと題されたその冊子には、十二段のアイスを掲げる三人の少年少女の写真を筆頭に、いきいきとした学生達の写真が所狭しと並べられていたという。



依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: −
重体: −
面白かった!:20人

思い繋ぎし紫光の藤姫・
星杜 藤花(ja0292)

卒業 女 アストラルヴァンガード
赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
凍気を砕きし嚮後の先駆者・
神凪 宗(ja0435)

大学部8年49組 男 鬼道忍軍
みんなのアイドル・
下妻ユーカリ(ja0593)

卒業 女 鬼道忍軍
┌(┌ ^o^)┐<背徳王・
エルレーン・バルハザード(ja0889)

大学部5年242組 女 鬼道忍軍
次なる階梯に至りし体・
神棟 星嵐(ja1019)

大学部7年150組 男 ディバインナイト
太陽の魔女・
ソフィア・ヴァレッティ(ja1133)

大学部4年230組 女 ダアト
二月といえば海・
櫟 諏訪(ja1215)

大学部5年4組 男 インフィルトレイター
夜のへべれけお姉さん・
雀原 麦子(ja1553)

大学部3年80組 女 阿修羅
喪色の沙羅双樹・
牧野 穂鳥(ja2029)

大学部4年145組 女 ダアト
歌謡い・
亀山 淳紅(ja2261)

卒業 男 ダアト
世界でただ1人の貴方へ・
氷雨 静(ja4221)

大学部4年62組 女 ダアト
黒の微笑・
石田 神楽(ja4485)

卒業 男 インフィルトレイター
泥んこ☆ばれりぃな・
滅炎 雷(ja4615)

大学部4年7組 男 ダアト
人形遣い・
日谷 月彦(ja5877)

大学部7年195組 男 阿修羅
災禍祓いし常闇の明星・
東城 夜刀彦(ja6047)

大学部4年73組 男 鬼道忍軍
古多万の守り人・
木花 小鈴護(ja7205)

高等部2年22組 男 アストラルヴァンガード
猛☆攻!肉弾魔女・
アストリット・シュリング(ja7718)

大学部5年213組 女 ダアト
おまえだけは絶対許さない・
ジーナ・アンドレーエフ(ja7885)

大学部8年40組 女 アストラルヴァンガード
二月といえば海・
カーディス=キャットフィールド(ja7927)

卒業 男 鬼道忍軍
黄金の細腕・
如月 優(ja7990)

大学部4年108組 女 アストラルヴァンガード
天眼なりし戦場の守護者・
ファリス・メイヤー(ja8033)

大学部5年123組 女 アストラルヴァンガード
大海原に覇を唱えし者・
アイリ・エルヴァスティ(ja8206)

大学部8年315組 女 アストラルヴァンガード
気だるげな盾・
仁科 皓一郎(ja8777)

卒業 男 ディバインナイト
閉じた心・心つなぐ・
天道 冥(ja9937)

高等部3年15組 女 阿修羅