水際に美しい光景が展開された。
前哨戦は両組とも全員女性。組色で纏められた水着は全てビキニ。無論健全な依頼()の為わりと布地の多いタイプなのだが困ったことに標準サイズ。規格外は推して知るべし。
「前哨戦だから、後につなげるのを重視しようか」
健康美溢れるソフィア・ヴァレッティ(
ja1133)は、せめて自分のと同じ型をと根性でホルターネックタイプを探し出した強者。その隣にいる焔・楓(
ja7214)もまた健康的な美幼もとい美少女だ。
「いっぱい暴れるのだ〜♪それにしても文字通り紅組♪おねーさんばっかりで楽しそうなのだ♪」
あ! 大きなお友達が観客席でカメラ構えてるぞ!
「紅いビキニって派手だよね…ちょっとサイズ小さいけど、大丈夫かな? 」
ビキニに心許なげな顔をしているのはけしかrもとい立派な胸の菊開すみれ(
ja6392)。OH!規格外。その胸に観客の情熱は急上昇だ!
「球技大会に参加するのは初めてだから…とても楽しみだわ」
貴族的美貌に微笑を浮かべたのはフィン・スターニス(
ja9308)。全力で楽しもうと心密かに決めた彼女の胸も様々な意味で弾けんばかりになっている。
対するは引き締まった美体の白ビキニ達。腰の細さと臀部から太ももにかけての魅力が恐ろしいほどだ。女頭領ジーナ・アンドレーエフ(
ja7885)を筆頭に次々プールに飛び込んでいる。
(肉弾戦か……!今日の私はひと味違うぞ!)
普段後方魔法部隊のアストリット・シュリング(
ja7718)は早くも戦闘への期待に胸熱。隣に立ったアレクシア・フランツィスカ(
ja7716)は別の意味で胸が熱い!
(美男美女入り乱れての水上乱戦!キタ!我が聖戦!)
落ち着け! 男達は本戦参加だ!
そんな風に熱い白組中、一人クールなのが如月優(
ja7990)。
「この身の、経験、は、後の者の、為に」
静かな眼差しがひたと敵軍をにらみ据える。
かくて戦いの火蓋は切って落とされた。
●
戦場となるプールの水嵩は平均して少女達の胸の下辺り。これは楓のため急遽減らした結果だ。
「がんばるのだ♪」
その楓は今は騎手。組まれた赤組騎馬上のバランスボールに\てーん/と乗った姿が愛らしい。その相手、白組騎手は異様に官能的な肢体のジーナ。ボールに跨っただけでいやにエロイ。その様はまさに幼vs妖。
鳴らされる開始のホイッスル。ぽぴー。なんだその気の抜けた音。
しかし戦場は気合い入ってる。
「砲撃体勢なのだ!」
楓が騎馬へ命令を与える。付与される能力上昇効果。同時にジーナも命令を発する。
「総員、構え!」
ぐん、と白騎馬の体が沈んだ。
「撃てーッ!」
そこへ楓が撃ち出した投擲用ボールが凄まじい速度で迫る! だが、ジーナは自軍の球に張り付きそれを回避──否!
「突撃ーッ!」
突撃体勢だ! 気づいた時には白組が眼前に迫っている!
「きゃあ!」
「くっ!」
パァン!と肉と肉がぶつかり合う音が響き、両軍の騎馬が大きく揺れた。余波で投擲用のボールが騎馬の傍から流される。
「体勢立て直して!」
ソフィアの指示が飛び、踏みとどまった騎馬の上、楓がかろうじて手に入れたボールを振りかぶる!
「必殺・ボール乱舞☆」
「きゃん!」
台詞は可愛いが攻撃は強力。至近距離で喰らったジーナが悲鳴をあげた。
「命中したところを一気に突撃だー♪」
「甘いわぁ!」
そして反撃。女頭領が全身をバネにした投擲攻撃。胸の規格外ボールももげ飛びそうなほど大きく揺れる!
「ひゃん!」
「突き崩せ!」
「させない!」
悲鳴を上げてボールにしがみついた楓に、優とすみれが叫び、動く!
二度目の激突!? いや、赤組、かわした!
「バックアタックを!」
叫ぶソフィアに従い、楓の命令で能力を底上げした赤組騎馬が動く。遠距離攻撃が赤組の主攻撃方法。全力で移動し白組の背後を取る!
「ぁくっ!」
回避間に合わず、直撃を受けたジーナの背がしなった。
「チャージ完了!行くぞ!」
命令による補正を受けてアストリットが叫ぶ。白組騎馬は近距離戦主体。反転、狙い定めて、第三撃!
「ぇやぁああああッ!」
実戦さながらの雄叫びと同時に、来た! 騎手の安全に配慮しているのかどうか怪しいほどの勢いで!
回避は無理だ!
「耐えて!」
両軍、激突! 今度は白組もバランスをやや崩す。チャンスか? いや、フィンの胸元から赤いものが流れている!
血か!? 慌てたベンチ陣だったが、すぐに腰を落ち着けた。なんだ、水着だ。問題ない。
いや、大アリだ。
「……えっ?…あ、ぅ、きゃああああ!!!」
悲鳴が上がった。観客からは歓声が。なんと、度重なる衝撃に紐が解けてしまったらしい。実にけしからん! 警備員がデジカメ部隊の討伐に乗り出した。
しかもまだ戦闘中だ。水の中に潜りたくても潜れない!
「あ…あたし…も、もうお嫁にいけない…!」
見られた。絶対見られた。ベンチに男の人いるし!
本気の涙目で見やる白組ベンチ。男性二人。何故かパーカーを脱いでる最中だ。
「決着急ぐのだ!」
これは危ない。早く終わらせなければ乙女の危機。叫んだ楓は見た。
大きく揺れる二つの立派なホワイトボムを。
「終わらせるよ!」
放たれたボールが楓を直撃する。負けじと楓もボールを放った。ボールは見事ジーナの肌に赤い跡をつける。
ジーナ様! お胸が全開です!
「戦場で姿など気にしている場合か!」
女頭領、怒りの一喝。全く躊躇せず全開のままで号令を飛ばす。
「たたみかけるよ!」
「防ぎきるよ!」
ソフィアが叫び、両軍、さらに激突! 今度は楓のブラが大きくズレた。禁断のピンクチェリーが解禁される!
「水着がずれても気にしないのだ♪」
こっちの騎手も無頓着だ! しかしこれは年齢も相まって大変だーッ! 蔵倫先生が観客一同に向かって出動した。水しぶきがいい感じに仕事を始める!
「水しぶき如きで我が心眼を破れるかーっ!」
邪視眼ここに発動! 観客の心情でも代弁したのかアレクシア。その頭上、球の上のジーナは只今見事なM字開脚。
「せぇやぁ!」
赤組のボールを蹴りつけた!
「負けません!」
崩れるバランスを涙目のフィンが支えきる! だが──
「墜ちなッ!」
鬼が居た。楓の攻撃を避け、繰り出す渾身の投擲! 放たれたボールが次の攻撃準備をしていた楓を直撃した。たまらずボール上から水面に落下する小柄な体。
ぽぴー
終了のホイッスルが抜けた音を響かせた。
●
「これ、どうぞ」
「え?」
終了と同時水中に沈んだフィンは、浮上と同時に上から被せられたパーカーに目を丸くした。視線を上げると、白い足が水上を歩いていく。
「ジーナ」
白組のベンチにいた東城夜刀彦(
ja6047)だ。全開のまま歩いている鬼頭領に渡しているのは、同じくベンチにいた向坂玲治(
ja6214)の物。楓に渡しているのは赤組ベンチの風鳥暦(
ja1672)の物らしい。先程脱いでいたのはこのためだったのだ。
「ありがとうなのだー♪」
笑顔で受け取った楓は暦の所へと急ぐ。
「さっきのでどんな感じかはわかったのだ!暦おねーさん、今度は騎手頑張ってなのだ!」
休息を兼ねた作戦会議時間。次はいよいよ本戦だ。
「どれ、俺もちっとは本気を出さ無いとな」
肩をぐるぐる回しながら玲治は不敵に笑う。水上歩行で戻って来た夜刀彦は何か戦う前から悟りでも開いたかのような表情だ。
(……無心で挑もう……)
未来を察知でもしたのだろうか。だが参加した時点ですでに運命は定まっている。
赤組本戦選手はフィンとソフィアに代わって暦、珠真緑(
ja2428)。
白組本戦選手は優とアストリットに代わって、玲治、夜刀彦。
(キタ!男と男の娘フラグ!)
男達が知ったら本気で泣くぞ! アレクシアは腐った邪視眼で戦意↑↑。しかし残念! 今度の彼女は前騎馬だ。ならば今とっくりと眺めておこう、という友人と一緒にアストリットも男二人に珍しく全開微笑。
(ほぅほぅいい筋肉ついてるではないか」
心の声が半分口から漏れている。
そんな(女性が)ヨコシマな白組と違い、赤組は大変可愛らしい。
「身長的不利なわけだけど…それを攻略するのが楽しいのよねっ! ゲームといえども手なんか抜いてやらないんだからっ!」
準備体操中の緑は戦意も充分。貸し出された水着が若干小さい気がするのは身長のわりに体格が実にけしからん成長をとげているためである。部活顧問のアリスのため、頑張ろうという気合いが愛らしい。
(騎馬に可能な手段は大抵使っちゃっていいよね。勝った者勝ちよね! )
小悪魔でもあったようだ。
「さあ! おもいっきりやりますよ〜!」
本戦赤騎手、暦は全力で勝ちにいくべく白組にビシッと指を突きつける。戦闘中と眠りを妨げられた時には別人格が発動するが、今日は普通の通常人格。溌剌とした笑顔がとても印象的だ。
「勝負です!」
実は暦、玲治、夜刀彦は同じ部に所属している。副長の声に玲治はニヤリと笑い、夜刀彦はほわんと微笑った。
「全力で相手するぜ!」
「よろしくお願いします」
性別欄を二度見した人、挙手しなさい。
●
「さて、そろそろだな……」
赤組同様、前哨戦組から綿密な引き継ぎを受ける二人を置いて、ジーナとアレクシアは体を暖めほぐすと戦場へ駆け戻る。
プールに向き直った男二人は見た。
騎馬位置にいる女性二人を。
──あれ? 俺達騎馬だったよね?
「さぁ! ボールに乗るがいい! 大丈夫! ただの観音開きだ!」
「ドウイウコトナノ!?」
男二人、絶望のorzポーズ。危ない! 後ろでベンチ組が君達の尻を拝んでいる!
しかしこれはただのネタである。大慌てで走ってきた男二人に女性陣、イイ笑顔。
「さぁこれでいらん力は抜けただろう!参るぞ!」
いらん力どころか全脱力ではなかろうか。有る意味SAN値直葬だ。
「……どっちが騎手でもキツイんだよ……」
アンラッキースケベフラグですね☆分かります。
「女性だらけの騎馬戦に男性が混じるのもある意味、可哀想な気がしないでもないですね」
「…男性陣には、同情するわ」
すみれとフィンが可哀想な子を見る目でそれを眺めている。しかしそこに活路を見いだすのもまた女性である。
「……作戦、いくよ?」
ゴーグル越しに緑の目が光った。
「了解です!」
暦の目も光る。
男性が混じった場合の作戦──その名も【お色気】!
作戦決行に先立ち、すみれはビキニの紐をちょっと緩め、谷間が露になるように細工しはじめた。なんという凶器。緑と二人で双頭の巨乳。この女性陣、本気すぎる。
そんな状況なぞ知るよしもなし、白組は騎馬をくみ上げる。ボールの上には先程と同じ鬼頭領。男二人の肩に足を乗せ、しっかりとボールに体を固定させる。
「荒っぽいが、しっかりつかまっててくれ」
「了解よぉv危険値ギリギリまでいきなぁ」
前哨戦で衝撃のデッドラインは把握した。十を軽く超える検証をした優の情報の元、白組は限界値を出しきるべく力を高めていく。
「にゅふふ、頑張って勝つのだ♪」
戦いのダメージを後に残さない。目指すのはただ勝利のみ。赤組の気炎も高まっていく。
ぽぴー
「砲撃態勢!」
「総員、構え!」
響く号令。それぞれの基本戦術は変えようもなく。
「突っ込むよ!」
「これでも食らえ!飛燕弾!!」
強弓から放たれた矢の如き勢いのボールに、むしろ向かっていく形で白組が走る! 直撃した! だが鉄壁のアストラルヴァンガード、痛みに耐えてそのまま突っ走る!
勢いが止まらない!
パァンッ!!
凄まじい音と同時に赤組が大きく崩れた。
「きゃあ!」
「ぇえっ!?」
さすがにその威力には観客も総立ち。審判すら唖然とした。
一撃で崩したのだ。騎馬を。
「まだよ!」
「終わらない、のですよ!」
だが、緑と暦、諦めない! 崩れた騎馬を根性で支える緑。その上、かろうじて止まっている球に足でしがみつき、暦が転落を避ける!
「くっ」
緑の口から苦悶が漏れた。
残ってる騎馬は緑とすみれ。楓は衝撃ポイントが悪かったせいか、吹き飛ばされて水中に沈んでいる。
「今!」
「回避補助を!」
敵陣の動きに危険を察し、緑が叫ぶ。前哨戦組から受け継いだ能力でギリギリ落下を免れている状況。今攻撃されれば危ない!
受けたすみれが白組に体を張った妨害行動!
「え?」
「!?」
突っ込んで気づいた。すみれ、緩めておいたブラが衝撃で外れている!
「ちょ……タイム! 服!」
只今二の腕が白い無敵艦隊に挟まれ中。小粒のついた大マシュマロに夜刀彦、軽くパニックだ。
でもタイムは認められません。
その頃、ギリギリの衝撃に耐えて攻撃態勢をとっていたジーナはすみれの一撃でバランス崩壊、ボールから滑って玲治の頭部にラッキースケベ☆
なんとか尻着して助かった。
(おっと……これくらいの役得があっても罰は当たらんだろう)
男らしい反応の玲治。ちょっと上向いた瞬間、柔らかな肉圧に窒息しかかった。
「玲治殿、落下阻止GJ! 」
しかもボール上に復帰するために太ももで頭挟まれた。なにこの桃源落とし。
そしてここで思わぬ事態発生。
「あ。」
極限のバランスゲーム。ふらんふらんしていた暦のバランスが崩れた。ボールを二人で中途半端に支えている状態上、一人でも動けばそれが反動で大作用。暦の落下先も狙ったかのように夜刀彦である。なにこのミラクルラッキースケベ。
そして両軍の球を支えに女体ブリッジが完成。審判!これは落下になるんですか!?
「足と尻が自軍のボールにひっついてるからセーフかな」
さぁ大変だ!
なにが大変って暦の胸が頭に乗ってる夜刀彦である。ずりずり滑る体と一緒に暦のブラがズレる!
「キャー!」
さすがに悲鳴をあげた。
夜刀彦が。
「こ、こっちがキャーなんですよ?」
暦だって悲鳴をあげたい。でもよく見よう。せめて艶姿を見るまいと懸命に目を瞑り、自分に組み敷かれて震える少年の姿を。
良し。
「今がチャンス!一気に攻めるよ〜」
「了解!」
転んでもただでは起きない! 暦の命令に緑とすみれ、そして復帰した楓が動く。とりあえず暦を救わないとどうにもならない。
「やぁっ!」
緑が攻撃しようとするジーナに向かって水飛沫で壁を作る。一瞬の隙が発生! だが──
「悪いけど、逝ってもらうよ!」
狙うはボールをしっかと挟んでいる暦の健康美脚。至近距離からの攻撃に耐えられるはずもなく。
ぽぴー
戦場に気の抜けた音が響いたのだった。
●
戦いは続く。主にカメラ破壊的な感じで。
プールの傍らで夜刀彦が暦達に平謝りしている中、緑が水神の異名に相応しい美しいフォームで泳いでいたり、紅白入り乱れての水の掛け合いが始まっていたり。
その様子を眺めながら審判はボードに結果を書きつける。
試合結果、白組:24ポイント 紅組:0ポイント
されど熱戦であったと、心の映像録を噛みしめつつ、審判の少女は参加者一同に深く深く一礼したのだった。