「オカシイである。♂の匂いが複数するのに目の前に♂が一匹しかいないである」
女王蜂ハイジは目を丸くした。その前に並ぶはなんとも可憐な♀蜂の群れと♂一匹…と思いきや数匹性別不明が混じってた。
「うわチェリーちゃん可愛い…!」
まず自身の姿を見てくれとツッコミを入れたくなるのは東城夜刀彦(
ja6047)。もこもこってる蜂胸のせいでどう見ても♀だが性別欄は♂という設定ミスですねわかります。
『夜刀くんも可愛いー!』
その前にいる美少女が御手洗紘人(訂正線)チェリー(
ja2549)。心も乙女な彼(訂正線)彼女が♂設定になってるのはきっと運営のAPに違いない。
「ゲイ・ルー様…何故貴男はスズメバチ…」
悲哀を漂わせるのは精神が乙女化したままの紺屋雪花(
ja9315)。現実世界でゲイルと色々あったらしい。その貌には悲恋の色香がほんのりと。わりと本気で性別欄の表示バグを疑うレベル。
「これ以上、スズメバチ帝国の蹂躙を許すわけにはいかないな。俺達がここで喰いとめなければ」
そんな可憐な一群の横、凛と告げたのはチョコーレ・イトゥ(
jb2736)。クールなのは肌の色だけではない。鍛え抜かれた鋼の如き肢体は問答無用のツートンカラー。蜂胸仕様の立派な雄っぱいの下は割れた腹筋とぽってり蜂尻。そこから伸びる見事な大腿筋が何故か生足仕様だったりするのだがチョコーレまるで気にしてない。
「みんなの力をあわせて、オオスズメバチを倒すのだ」
『「「はーい!」」』
ところでお分かりだろうか。ここまで全員男である。
どう見ても♂一匹です本当にありがとうございます。
「最近は蜂と言えば大往生とかそっち系な気もしますが…なんだっていい、モフモフするチャンスです!」
れっきとした♀蜂はコチラ!
凛とした風情の蔵里真由(
jb1965)はモフモフさMAXのハイジをターゲット・ロックオン!
「わ、我輩何か身の危険を感じるであるぞ!?」
ハイジ、ブルッと身を震わせた。
(報酬はレッ…ハイジさんを好き放題をモフモフできる権利がいいです!)
隣のクラuもといクララ、真由の魂の声に笑顔でコクリ。ハイジ、まさかの友に売られフラグ。
「ふっ。私の名前を言ってみなさい! 私は!今滅び様とするこのミツバチ王国を救うべく降臨したたしょが、れ、の…な、なによぅ…」
全員に見つめられたフレイヤ(
ja0715)、最初の勢いはどこへやら恥ずかしげにもしょもしょる。ちなみにトレードマークの魔女帽は健在だ!
そんな撃退蜂にクララは満足そうに猫のような瞳を細めた。
「ふふふ。東も頼もしい蜂達ばかりですね」
そのちんまりしたバディを夜刀彦、ガン見である。
(なんて可愛い蜜蜂)
その感想で大丈夫か。出汁の元になる日が近くなるぞ。
「皆!任せたであるぞ!」
ハイジの激励に頷き、真由はバッと羽根を広げた。
「撃退蜂部隊、出撃します!」
●
視界一面を黄色い花が埋め尽くしていた。
「この美しいタンポポノハラが、これから地獄の戦場になるわけか」
チョコーレが決意をあらたにスズメバチ帝国軍を睨み据える。しかしそんなクールでシリアスな雰囲気の背後、
「雑魚なんて軽く蹴散らすわよ! …花からなんか出たわ」
「女王蜂の言ってた【蜂壷】? あっ攻撃当たっちゃったっ」
「白壷って何でした?」
『槍が入ってるやつだよー☆ 誰が取るー?』
「もしよろしければ私が」
『いっちゃえーっ☆』
可愛い蜜蜂達がきゃっきゃうふふで進んでいる。どう見ても女学生集団。違和感ちょっと仕事しろ。
しかし可愛い風情に騙されてはいけない。なにしろ敵が来る前から花を打ち抜き壷を出し素早く欲しい色に変えてGETするという恐ろしいほどの準備態勢である。その様子はまさにデート前に光速で本気化粧完成させる女子そのもの。
「力が湧きあがってくるのだわっ」
「素早さが上がった!?これ現実にも欲s(ry」
「蜂壷は白1青1緑2を狙っていきましょう」
『皆青までは取ったー? あとは緑だねー☆』
「! 敵影確認しました!」
「迎撃するわよっ!」
『「「「ぉーっ!」」」』
♂一匹、チョコーレ、このノリに光速置いて行かれ状態である。
(俺以外にも、男がいたと思ったのだが)
たぶんきっと気のせいだ。
「視界が開けるぞ! 油断なく行け!」
やや遅れて青壷をとったチョコーレが警告する。隠密系スキルを行使して真由が自身の体を景色に溶け込ませた。
「来るぞ!」
声と同時、殺蜂ビームが飛んできた!
「チョン避けで!」
全機一斉に散開する!
(▼×▼´)(・△・´)(・言・´)ビビビ ビビビ(`0ω0)(`・ω・)(`>ω<)☆
『いっくよーっ☆』
チェリーの二本槍が光った!
『ふっ☆ 素敵な雄っぱいだからって容赦しないんだからねっ!ミ☆』
キラッと輝くラブリービームでムキムキムッキーズが激殺だ!
「当たらなければ……どうという事はない!」
青壷で更に加速しチョコーレが見事な回避を披露する!
「二時方向より三匹!」
「雪花! 行きます!」
夜刀彦の声に雪花が蜂針を振るう。撃破された敵蜂の後ろから更に新手が現れた!
「ステルスなんてちょこざいよっ!」
フレイヤが赤壷バリアーの体当たりで吹き飛ばした!
だが数が多い!
「バリアーが切れる!」
しかしそれよりも早く突如現れたビームが敵蜂を薙ぎ払った!
「ステルスを使えるのは、敵だけじゃあないんですよ」
ニッと笑った真由が、襲いくる敵蜂に華麗なチョン避けを披露しつつ敵誘導に入る。
「誘導は基礎テクニックですよね。ボンバーとか甘えです」
次々に敵蜂を撃ち落とす撃退蜂に、強敵を知ってか部隊の布陣が厚くなった。
「左! 弾幕薄いよ!」
「「なぎはらえーっ!」」
夜刀彦と雪花が先のフレイヤに続いてダブルバリアで一気に突っ切る!
「っくちゅっ」
おっと花粉に夜刀彦、こっそりくしゃみ。
次なる赤壷をゲットした真由が続いて花粉バリアを展開させた!
「ウェヒヒヒ」
乙女ーッ! なぜその笑みをチョイスした!
連続する猛攻にしかし敵陣営崩れない。チョコーレがキッと眦を険しくする。
「スズメバチどもめ。一網打尽にしてくれる。【友情攻撃】いくぞ!」
「ゆっゆ・ぅじょー!?」
「えぇい、非常事態だっ!ぐだぐだ言ってないで手を繋ぐのだ!」
びっくりまなこのフレイヤの手を握った!
↑\(`▼×▼´)人(`・言・´)/↑
広がった攻撃範囲による広範囲ビームを放つ!
「ちゃんとやらないと、勝てないではないか、たなか…じゃなかったフレイヤ殿」
「たなかいうなし!」
『チェリーは死角から狙われないようにフォローするよ☆』
「わ、私も……あっ!」
友情攻撃の補助にチェリーが走る。続こうとした雪花、敵の攻撃が腕を掠って悲鳴を上げた。
「紺屋さん!」
夜刀彦が空を駆ける!
狙い撃ちで敵を蹴散らすそこに流れ弾で緑に変じた壷が二つ飛んできた!
「緑壷! 攻撃の手が増えるって…!」
「取ろう!」
二人、取った!
「これで攻撃の手が…ぎゃー!?何か増えたーっ!?」
文字通り、攻撃用の手がにょきにょきと。
「いいもうせんじゅかんのんになってやる!」
「ゲイ・ルー様に会うまでは、墜ちない!」
二人、ガシッと手を握った!
↑↑ミ(`0ω0´)人(`・ω・´)ミ↑↑
戦場を二つの巨大きゃのん砲ハチーズが疾駆する!
「援護します!」
薙ぎ払う二塊の周囲を真由とチェリーが護衛蜂の如く旋回する。
「左、集団ビーム攻撃!」
((( ↑\(`▼×▼´)人(`・言・´)/↑ (( ↑↑ミ(`0ω0´)人(`・ω・´)ミ↑↑
『右陣ビーム連射くるよっ!』
↑\(`▼×▼´)人(`・言・´)/↑ )) ↑↑ミ(`0ω0´)人(`・ω・´)ミ↑↑ )))
「4WAY弾来ます!」
((↑。(`▼×▼´)。↑))
((↑゜(`・言・´)゜↑))
((↑↑。(`0ω0´)。↑↑))
((↑↑゜(`・ω・´)゜↑↑))
画像はめるふぇんだが激戦である。
次々に放たれる撃退ビームに蜂壷も大放出。取りすぎると難である壷をチェリーが次々と拾いフォローする!
『回復とバリヤー以外チェリーが身体をはってとるよ! ちなみに欲しい壷ってあるー?』
「紺屋さん用に回復壷を!」
『オッケイ☆』
夜刀彦の声にチェリーが近くの花から出た壷をそのままスルーで流す。雪花と夜刀彦、同時にそれを所得した!
どばしゃーっ
なんと中身が蜂蜜とすり替わっていた!
「……またか」
「……すごい既視感」
甘い蜜にまみれた二人がしょっぱい顔。チェリーも目を丸くした。
『あ、あれー? ふつーのだったよねー?』
「どうもフェイクが混じっているようですね」
『チェリーも取ってみるよ☆ 決して蜂蜜が食べたい訳じゃないんだからね!』
次に出てきた蜂壷にチェリー、果敢に特攻。だが先の二人の悲劇を見ておくべきだった!
「服が溶けないだけマシ……って蟻ぃぃいい!?」
なんと蜂蜜の香りにつられて大量の蟻が押し寄せてきた!
「うわなんか…ちょっ…なんで蟻だけちっちゃいの!?」
仕様です。
凄まじい勢いでたかられる美少年ズ。蜜濡れの姿と相まって絵的に色々ヤバイヤバイ。
「ちょっ、くすぐった……あっ」
「ふ、服の中にまで入って……!」
仕様です。
同時刻、取った蜂壷が同じく蜜壷だったチェリーもハニー&アント塗れ!
『やだ…チェリーの美貌で蟻すらも魅了するなんて…チェリーったら罪なお・ん・な☆』
ポジティブだ!
「そ、そういえば……国語の教科書で蜂蜜の作り方知ったけど、んっ、擬人化でやったらあれ…やばいよね」
ゆっきー、なぜそれを今呟いた!
『つまり、あの素敵なマッスルズもちゅーでこの蜜を作っていると!!』
駄目だもう蜂蜜見たらムキムキムッキーズが蜜を作ってるシーンしか浮かばない!
「……なにか後方が黒団子になってる気がするんだが」
蟻にたかられて全埋もれな三匹にチョコーレが青い顔。しかし地肌が青くて分かりにくい。
「蜂蜜パックとか女子力高いな!?」
「違うと思いますよ!?」
フレイヤの真顔に真由が慌てる。
そうこうしている間も攻撃を集中させ一直線に敵陣営最奥に向かい飛行する!
「! 見えたぞ!」
その前方で、ゲイ・ルーが待ち受けていた。
●
『キターッ!ナイスミドルの雄っぱい!』
チェリー、魂の歓声。ゲイ・ルー、何故か開けた空間に仁王立ちホバリング。
「アレすごい危険蜂ですよ!?」
色んな意味で。真由の声にチェリー、魂の声むっはー!
『例え頭がお花畑でもナイスミドルで雄っぱいなら許容範囲内じゃー!』
オンナマエだな!
「ゲイ・ルー様!」
「待って紺屋さんなんで蜂針出してるの!?」
乙女の祈りポーズで必殺の一撃針出てる雪花に夜刀彦が驚愕。
それより君等はその蟻もぐれを何とかしたまえ。どう見ても黒いゴマ団子だ。
そこにかろうじてシリアス枠なチョコーレが飛来する!
「貴様が親玉だな。覚悟っ!」
「来るがよい我が嫁よ!」
ダメだここ一番の嫁フラグだ!
「まずは弱らすわよっ!」
フレイヤの号令の元、一斉に蜂とゴマ団子が飛んだ!
「偶数WEY弾は動かなければ当たらない!」
「被弾確認!全然効いてない!?」
「怯むな!必ず効果はある!」
『雄っぱい!雄っぱい!』
「はーっはっはー!」
短くも激しい戦闘の後、フレイヤは叫んだ!
「だいぶ消耗させたわ! 蜂球開始を西に伝えるわよっ」
「「う゛っ」」
途端、二匹の蜂がズザーッと遠くへ。
「…悪いが、俺にはそのダンスはできないな」
「これは生き残るために必要な、技術なんだから!」
「ソレがそこまでアレでなければ参加したんですけどね〜」
大真面目なフレイヤ、すでに花粉パンを股に挟んでポーズ待機。チョコーレと真由は伝説のダンスを辞して西のダンスチェック要員に。
そしてズラッと並ぶ股に花粉パンを股に挟んだ美少女蜂群(実質女子一匹)!
「いくわよっ!」
『「「おー!」」』
号令と共に西で戦う同志に向け、伝説の尻振りダンスを開始した!
花粉パンを股に挟み!
右手の指を鼻の穴に入れ!
左手でフェンシングをしながら!
「しりばりだいじに」!
訳:我等此レヨリ蜂球ス
ひどかった。
「なんと…余は奇跡を目にしたのか!?」
ゲイ・ルーは感動した。
『やだ…チェリー…こんな恥ずかしいダンス出来ない…(照』
やっとるがな。無論、輝く瞳で仲間のダンスもガン見なぅ。
「西も送信きましたね」
「向こうもひどいな」
二匹、真顔で西に向かいコックリ。後ろで必死に踊ってる四匹を見てやれよ。
「では幕引きと参りましょう」
そして何事もなかったかのように参戦。ノーマル蜂と未だに下半身だけゴマ団子蜂(蟻、蜂蜜パンに群がり中)、頷きと同時に一斉にゲイ・ルーに抱き着いた!
「はちたまーっ!」
ゲイ・ルー、まともに喰らって目を剥いた。
「これは伝説の…ハーレム!」
違う。
『グフフ…べ…別にラッキースケベなんて狙ってないんだからね!』
真正面から突撃ったチェリー、心の声が駄々漏れだ!
「なんという馨しい蜜の香り!」
ゲイ・ルー魂の歓喜と共に蟻塗れなチェリーにかぶりつく!
『やだおじ様ったら昼間からダ・イ・タ・ン☆』
なにかもう蟻ごと吸われてる。無論その間に他一同もそれぞれデカイ手で揉まれたり撫でまわされたりと散々である。
「〜〜っっ」
真横から行った夜刀彦などまさに痴漢に耐えるアレでソレな風情である。
「はゃく、蒸さ…れ、て、んっ」
●REC
位置的にゲイ・ルーの背後となった雪花、間近に感じる相手の変化に気づいた。
同時、チェリーの目がキラリと光る!
『美しい華にこそ毒があるのよ☆お・じ・様☆』
ぐわっと尻を振り被ったチェリー!
狙うは一点!(自主規制)!
「違う蜂同士のあなたとは結ばれないさだめなら…ッ」
涙をちらし、ゆっきーも尻を振り被る!
狙うは一点!ゲイ・ルーの尻!
今、前後から同時二点攻撃【最期の一撃】が放たれた!
\アッー!/
ゲイ・ルーは散った。
「紺屋さん! チェリーちゃん!」
ぱたり、と儚く散った雪花を抱き、夜刀彦はもう一匹の友も看取る。
『花はね…散るからこそ美しいんだよ…(やべぇ…部屋のBL本処分すんの忘れてた…』
ぱたり。
勇者死す。君の本は記録係が頂戴した。
●
謁見の間。
ハイジは撃退蜂もぐれとなっていた。
「くららひどいであるひどいであるーっ!」
凄まじいばかりのモフられっぷり。特に真由は至福の表情だ。
「だ、だが、西の勇者の名は永遠に語り継がれるであるぞっ」
友蜂の死にしょげている夜刀彦をギューしつつ、ハイジはそう告げる。
「立派な石碑だったな」
「針が抜けないから敵も一緒に埋めてたけどねー」
チョコーレとフレイヤが城近くの石碑を見つめる。
その石碑には、三匹の蜂の名が魂の言葉と共に刻まれていた。
『我が蜂生に一片の悔いなし』ゲイ・ルー
『結ばれない定めなら(純殺』雪花
『OH! MY 雄っぱい!』チェリー
石碑は今も尚伝説と共に在るという。