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マスター:九三壱八
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:6人
サポート:6人
リプレイ完成日時:2013/04/22


みんなの思い出



オープニング

※このシナリオはエイプリルフール・シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。


 むかしむかし あるところに
 あくぎゃくひどうな おうこくがありました。
 みんしゅうは いつも くるしいおもいをして
 それでも いっしょうけんめい いきています。
 あるとき くにでいちばんの つわものが
 おうさまに はんきを ひるがえしました。
 けれど おうさまのもとに
 たどりつくことは できませんでした。
 おうこくの おうさまは たくさんのゆうしゃを はべらせているのです。

 これは そんな わるいわるい おうこくのおはなし――





「どういうことだ!」
 天界の一角で少年は叫んだ。
 年の頃は十四か十五か。白を基調とした礼服を纏っている。
「神も神だ。何故あのような輩に加護を与える!?」
「エッカルト様……」
 怒れる少年に、憂鬱な表情をした青年がゆるく首を横に振った。
「気まぐれな神のことですから……」
 その声にエッカルトは眦を怒らせた。
「お前は腹が立たないのか! 何故、我等天界の者が奴等に下男の如く扱われなくてはならない!? 生まれ持った能力を振りかざすだけの輩だぞ!? しかも、なんだあの傍若無人さは……! 下界の民の苦悶を見るがいい!!」
 エッカルトの声には凄まじいばかりの怒りがある。
「お腹立ちは分かります。私もあの者達が来るたびに難儀をしております」
「だが、レヴィ。連中がおまえに何か言っている姿はあまり見なかったぞ」
「はぁ……あまり言われることは無いのですが」
 ややぶすくれて文句を言うエッカルトに、レヴィは困ったような顔で答えた。
「あの者達が来ると、物が消えますので」
「盗難か! 手癖も最悪だな! 何盗まれた!?」
「下着です」

 ・・・・。

「取り返せよッ?!」
「正面切って戦うにはいささか面倒です」
「面倒で放置するな! 気持ち悪いだろ!? いろんな意味で!」
「それはこのうえなく気持ち悪いです。エッカルト様のも持って行かれてしまって困りましたし」
「取り返せ――ッ!!」
 しれっと言う相手に、エッカルト、涙目である。
「意趣返しの類なら可能でしょうが、後々を考えると面倒です。いっそあの勇者達を増長させている王国を叩いてしまうほうが楽かもしれません」
「あの悪逆非道な国をか」
「はい。王国兵と勇者とが揃っているといささか面倒ですが……」
「うぅむ……」
 二人が難しい顔をした時、例えようもなく美しい声がかけられた。

 ――まさに、時は来り、か。

「ルス!?」
「主様」
 ふたりは振り返る。現れた女は淡く微笑んだ。

 クラウン殿から話があった。あちらでも相当な被害にあっていると聞く。

「魔界もですか……」
「おのれ勇者め! どこまで非道を働く気か!」

 あちらは勇者を相手に仕掛けると言う。
 剛毅であろう?
 なれば、我等も手を貸すべきと思うが、どうか……?

 ルスの声にエッカルトは頷いた。
「王国軍の足止めか」

 そう。
 勇者への意趣返しは彼の君に任す。
 我等以上に怒りもあろう故。

「だが、勇者共の強さは恐ろしく卑怯なレベルだぞ」
 エッカルトの懸念にルスは笑んだ。

 彼の君にも志を同じくする仲魔がいる。その者達とともに一泡吹かせてみせるという。
 我等もまた、我等と志を同じくする者達と共に、彼の君が目的を果たすまで王国軍を留めおこうぞ。

 すでに招集はすませているという。
 いつになく乗り気なルスにふたりは顔を見あわせた。
 レヴィが首を傾げて問う。
「主様。何か勇者達に思うことがおありですか?」
 首を傾げるふたりに、ルスは肩をすくめた。

 なに。そうたいしたことではない。

「ですが……」

 湯あみを覗かれた程度だ。

「―――。」

 その瞬間、
 エッカルトは逃げた。
 ルスは目を丸くした。
 春の陽だまりのような天空に、物凄まじい雷鳴が走ったのを見たのだ。

「……おふたかたは、こちらにおいでくださいますよう」
 いっそ穏やかな声でレヴィは告げた。
 物陰に逃げ込んだエッカルトが震えながら頷く。こうなると天使としての威厳などどうでもよかった。
「主様は特に、決して動かれませんよう」
 ルスはふるふると首を横に振った。
 流石にそれは承服できない。しかし迂闊に何か言おうものなら、何かものすごい目でジロリとやられそうな気がする。
 だから黙ってこっそりついていくことにした。
 そんなふたりを背後に残し、レヴィは常と変らぬ歩みで外へ出る。
「王国軍を留めるだけなど生ぬるい……」
 足音が遠ざかる。
 ふたりはそっとそれを見送る。
 ゾッとするほど冷ややかな声が聞こえた気がした。

「……滅ぼします」





 その頃、王宮では何も知らない王様が玉座でふんぞり返っていた。
「あァ……? 民衆が税軽くしろってうるせぇ? ブタ箱にぶちこんで死ぬまで働かせりゃいいだろーがクソが」
 悪逆非道な王の名をノナメといった。
 退屈だと言っては民衆を串刺しにし、刑罰だと言っては毒蟲の壷に落とし、重税をかけては側近たちと豪遊をする暴君だった。
「陛下。そういえば先ほどから城下が騒がしいようですが……」
 今日も盛大な宴を催している最中、ふと重臣の一人がそう声をあげた。
 そこに王国軍の兜を被った兵が走り込んでくる。
「申し上げます! 城下街の住民が何者かによって誘導され、城の外に連れ出されてしまいました!」
「申し上げます! 天界の騎士より書状が! この国に宣戦布告するとのことです!」
「なんだと!?」
 国王が立ち上がった。重臣たちが顔を見合わせる。
「なんと愚かな! 勇者達に敵うと思っているのか!?」
「陛下。はよぅ勇者達をお呼びくださいませ!」
「あやつらは今留守だ」
「なんと!?」
 声を失った一同に王は嗤う。
「その隙をつけばなんとでもなると思ったのだろう。だが、我が王国軍とて神の加護をあたえられた者達。その軍に立ち向かえばどうなるか、連中に思い知らせてやるがいい」
「はっ!」
「勇者達にも伝令を放て。念のためにな」
「御意!」
 走り去る兵に薄く笑い、王は魔蟲の籠を懐から取り出す。
「久しぶりに遊ぶのも面白いだろう。連中の臓腑を生きながら取り出し、虫に食わせてやろうじゃねェか」


 ●


 その城を見おろし一同は武器を具現化させた。
「建物の損害は後ほどこちらで修復いたします」
 静かな声で銀髪の青年がそう告げる。
「主様の加護により、私達の能力値は倍加され、また、同等となります」
 一人の力は皆の力に。皆の力は一人の力に。その力はまさに一騎当千。
「今から相対するは、罪咎の無い人々を苦しめ死に追いやった外道達。生かしておけばこれからも被害者を増やすでしょう」
 今日という日は、その王国の息の根を止める日。
「最悪の壁であった勇者達は冥魔の友が止め置いてくれます。我等は――」
 青年はまっすぐに透明な剣で王城を指す。
「国を落とします」

 狙うは王城。玉座の間。
 そこに住まう、悪逆の王。

「天の威はここに在り。我等は己の身と心一つで立つ者也」
 ――例えここに正義は無くとも、
 この心一つで立ち向かう者達也。
 陽光に刃が煌めく。
 ルスが全員の背後でその優美な翼を広げる。
 与えられるのは天の加護。

 そなたらに光があらんことを――

 受け、全員が駆けた。
 誰ともなく声をあげる。
 わずか数名。けれどそれは確かに、戦いの幕開けを告げる鬨の声。


 戦いの火蓋は、今、切られた。



リプレイ本文





 それを見ていた人々はこう語る。

『最初からクライマックスだった』と。





●作戦名:がんがんいこうぜ!


「どけやこんのド変態共がぁあ!!」
 凄まじい一喝と共に幾人もの王国兵と虫が宙を舞った。
 凛とした美貌を怒りにひきつらせて驀進するのは宇田川千鶴(ja1613)ことハイエルフ<騎士>チカゲ(♂)。愛刀片手に恐ろしい程の勢いで兵士を蹴散らせていく。
 あ。性別欄は見ないでください。APですから!
「副隊長(♂)と隊長(♂)のパンツ返せーッ!」
 おっと今の性別でそれは多大なる誤解を受けるフラgごっつぁんです!
 そんな銀髪の青年の横を素敵なバディのレディが走る。
「おまえらが勇者万歳するせいで…そのせいでっ、うわぁあーっ!」
 ばいんばいんと無敵なお胸を揺らし、全泣きで突撃するのはレイン・レワール(ja5355) ことサラマンダー<マザー>レイン(♀)。非常に際どいラインで切りあがったバニー服から伸びるおみ足がOH! モーレツ!
 あ。性別欄は信じないでください・APです!
 ちなみに足は網タイツ。異論はガーターリングなら認めます。
 二人が激しく攻めたてる相手は悪逆非道な王国軍。その数三万の大軍である。
 対するはわずか七体の天使軍。端から戦いになどなろうはずがないのだがそこはAPもとい天界軍、タダビトなど唯の一人もいようはずもなく。
「ぎゃああっ!」
 二人の右方から絶叫が上がった。地面から串刺すのは数千の長針。倒れる兵を凄絶な憎悪を宿した瞳で見下ろし、ファティナ・V・アイゼンブルク(ja0454)ことシルフのティナ(♀)は低く呟く。
「悉く死に絶えなさい」
 まるで汚物を見るような眼差し。マザーと同じバニー服なのだが怒りに我を忘れている模様。
「誰もここから生かして帰さないから」
 冷静系の彼女がここまで激怒している理由は唯一つ。
「やるなら徹底的にやりましょう」
 その原因こと笑顔が煌めく神月熾弦(ja0358)もといウンディーネのシヅル(♀)。水の体をたゆんと揺らし王国兵を纏めて十体溺れさせる。虹色ドレスを纏う貴婦人なのだが、なにしろ本体が水である。変幻自在な事ことこのうえない。
 だがここまではかろうじで人型だ。

\ウォオオーッ/

 戦場に雄叫びが轟くと同時、突如兵士達がばたばたと倒れ伏す。
「ぐ…ぐぉぉ」
 頭を抱え苦悩の声をあげる兵達の前を走る影。
 奇跡の様に美しい手足。眩いばかりの白い肌理。見た者を釘付けにしてやまないバディ。
 そんな魅惑溢れる魔性のヲンナは強羅龍仁(ja8161)ことノーム(変種)<ダイコンレディ>ゴウラン(♂♀)。性別どころかいろんなものを捨てて来た。
 彼なのか彼女なのか分かりにくいがそれより前後左右が分かりにくい。そんな彼女の産声はコチラ。

\ウオォォォ(よりによってこれかぁぁ)!!/

 たいへんなおおよろこびである。
 そんな歓喜溢れる雄叫びをくらった兵士達、成すすべもなく倒れ伏した。
「うわああっ!」「マジかよ…」「こんなところで…」「ギャ〜ッス!」
 死屍累々である。
「ええぃ! 天界軍の兵士は化け物か!」
 反論のしようもありません。
 その時、兵士達の騎乗する巨大虫が次々に持ち上げられた。
「うわぁあ!」
 驚愕の悲鳴をあげた人々は見た!
 騎虫を捕食する――

 巨大なハエトリグサを。

「何だアレはーッ!」
 何だと問われても見たままである。
 扁平で幅広い葉柄は長く、その先に捕虫器となる二枚貝如き肉厚の葉。地面から引っこ抜いてきた根で爆走するのにやたらめったら気配が薄い。
 そんな彼女(?)こそ天界きってのグルメ博士、羽空ユウ(jb0015)ことドリアード(珍種)<ヴィーナスフライトラップ>ユウ(♂♀)!
<レジスタンス、それもまた、摂理……虫、がいなくなれば――エサ、が減るけれど>
 むっしゃむっしゃ
<……光合成、すれば、いい、か>
 このある種伝説的異様(誤字に非ず)に人間では無く虫達が怯えた。我先にと背を向けブンブン飛んで逃げていく。
「き、貴様ら!敵前逃亡か!」
 虫に人間語通じない。騎乗した兵をぽいぽい落っことして飛び去った。
 逆に虫が大挙して押し寄せる相手がゴウランだ。

\オ?オォォオオオ(敵が寄ってくる…?あぁ…そうだな!俺は今大根だもんな!!虫は好きだよな!大根!!間違い無いな!ちくしょぉぉ!!/

 流石は愛され系ゴウラン。只今熱烈フィーバー中。正直戦争そっちのけだ。

\ウオォォオォ(責任者出てこーい!/

 たいへんなおおよろこびである。
「惑わされるな!行けー!」
 数十が逃亡し数百が魅了(物理)されようともそこは三万の大軍勢。全体からすれば微々たるもの。未だ勢いの衰えない軍を前にシヅルはにっこり微笑んだ。
「最初こそ最大火力で一気に機先を制し、流れを引き寄せるべきでしょう」
 応えて五名はそれぞれの魔法を練り上げる。ゴウランは虫に埋もれてどこにいるのか分からない。正直何が起きても不思議じゃない規模の魔術が構築されつつあるのだが、彼らの長たる特攻副隊長は遥か前方(攻撃範囲内)を暴走中。気づいたシヅルが真顔で頷いた。
「特攻副隊長は……大丈夫でしょう、あの実力なら」
 レヴィまさかの巻き込まれ確定。
 六名が練り上げた魔法が天を輝かせ地上に亀裂を入れる。天変地異の前触れに王国軍に動揺が走った。
 レインは据わった眼差しで呟く。

「ふふ……全部消えろ」

 その脳裏に、わずか数時間前の光景が蘇っていた。





「ルス様…!本当に…本当にこれしか無かったのですか…!」
 涙目で訴えたティナに、ルス・ヴェレッツァはその伝説的美貌を微笑ませた。
『それしか無いのだよ』
 ルスが見つめるティナは淡い銀の煌めきを有する風の精霊。物質化能力で肉体を得ている彼女の肢体は、現在ルスから手渡された服を着ていた。
 即ち、バニー服を。
「うう…何でこんな…あまり見ないで…」
「これも…これも勇者達のせい…!」
 蠱惑的な体を恥ずかしげに隠す彼女の横で、レインも身も世も無い有様で震えている。
 天界の美形母娘と名高い二人がルスの元に訪れたのは、勇者一行による盗難被害にあったためだった。下着はおろか服まで盗まれ、同じ服を着続けるわけにもいかずに相談に来た結果、渡された服を着ることになったのだ。
 二人、そろって(゜△゜)後の羞恥プレイ。
 ルス、大満足である。
『美しい者は美しく装わねば』
「えぇ、娘は相変わらずのセクシーで…って、こ、こっちみないでください。おねがいします…!」
「主様、突然の招集でしたが…」
 二人の素敵な様子を見守って後、チカゲとシヅルはルスに問いかけた。その後ろではゴウランが風に葉をそよがせながら空を見上げてアンニュイ(あれ?顔どっちだっけ?)。
『そなたらにも被害が出ておろう? 勇者一行の事よ』
 嘆息をつき、ルスは全員に計画とその理由を語った。聞いた瞬間、一行の顔が変わる(一部除く)。
「主様の覗きに副隊長達の下着泥棒…? …ふざけんなマジ形なくなるまで全潰す」
 チカゲがドス低い声で呟き、
「ふむ……確かに、自分の事はともかく皆様も被害に遭い続けているのであれば、一度気を引き締めて頂くためにも戦ってみる事も必要でしょうか」
 シヅルが頷き、
「自分の事、ですか?」
 ティナがその発言に0.1秒で反応し、
「ゆるしませんヤるまでは」
 レインの優しい微笑の中、瞳に怒りを爛々と燃やす。
 二人とも自分の恰好を一時忘れてしまったようだ。その向こうでゴウランは大根の葉を萎れさせている。気配すらしなかったユウがぱくーっと開いた葉の奥から声を発した。
<無心。それが、全て……でも、望むなら、手助け、する>
 葉っぱがそよそよ。
<理由。あの王国、変わらない……変化、必要、だから>
『礼を言う。レヴィにも理由を伝え同行させよう』
 その声に頷くシヅルの横では、初めて別の事情を知ったティナが恐ろしい気配を漂わせ始めていた。
「シヅルさんの…湯浴みを…ですか…へぇ…」
 底冷えする様な声が流れる。覗かれた本人は神の加護を持つ相手だからと大して気にもしていなかったがとんでもない。
「せめて命だけは取らずにおこうかと思いましたが…止めです」
「遠慮したる必要無いしな」
「ええ。何処の誰が、何人が見たのかはこの際問いません」
「ああ。どいつだどうとかどうでもええ」
 ティナとチカゲは据わった眼差しで同時に告げた。
「全て屠ってしまえば良い訳ですしね?」
「なんもかんも全部潰したる」
 すでに暴走ルートに突入だ。同行する副隊長がどう言うか等は考えなかった。考えるまでもない。
 空に凄まじい稲妻が走る。轟く轟音と同時、ルスが向かった先から鬼気を纏った副隊長が現れた。
「……滅ぼします」

 GOサインは下りた。


●作戦名:○○○だいじに!


 天地が裂けた。
 レイン、シヅルが召喚した数多の流星群およびゴウランが呼び出した荒ぶる大根群にティナ、ユウが生み出した炎が重なり、それに合わせてチカゲが構築した魔術により地が吹き出す。
 天から降り注ぐ数千の火の玉と炎大根。
 地から吹き上げる怒涛の大地。
 ここに究極合体魔法―ハルマゲドン(AP)―が完成した!
「逃げ場?何それ美味しいん?」
 冷ややかに見据えるチカゲの前、荒れ狂う天変地異が一気に王国軍を吹き飛ばす!

 レヴィごと←

「あれ?副隊長は?」
 もうもうたる土煙が収まって後、気づいたレインが首を傾げた。
 幾つものクレーターが出来た大地には大根が刺さってる以外、家はおろか道の跡すら無い。怯えて散り散りに逃げていく残党を追う形で一同は走った。その遥か前方で、ボコッと地面から手が出てくる。そのままニョキッと副隊長が生えてきたところを見ると巻き込まれて埋まっていたらしい。しかも全くの無傷のようだ。
「流石副隊ty」

 体だけは。

「待ったー!副隊長!」
 こちらの収穫を待たずに地面から出てきた相手にレインが叫ぶ。特殊殲滅型特攻副隊長<マッパ(現状)>レヴィ、頭がキレすぎて自身の現状に気づかないままあっという間に爆走した。
「くっ…勇者がパンツ盗まなければ!」
 ※今、彼をゼンラーにしたのは君たちです。
 しかしこれは大変だ。レヴィの危険度が色んな意味でヒートアップ。
<このまま、では、副隊長、こかn、もとい、沽券に、関わる>
 ここでユウのMOZAIKUが発動。彼のこかnもとい沽券を守るため、知る人ぞ知るハエトリグサの白い花(巨大版)を咲かせてこけnもとい股間を守る。
<これで、安心>

 ビジュアルの危険度が増しました。

「あかん凶悪になった!」
「全面お花畑になりませんか!?」
<花の数に、限りが、ある>
 仕方なくユウがドリアード(珍種)能力を全開。レヴィのバストとヒップを守るため、ハエトリグサ(葉)を生み出した。
「ふ、副隊長ーっ!」
 更に危険度が増したレヴィにレインが叫ぶ。遠くでピクニックしているルスは遠隔認識(AP)を駆使してほんわかと微笑んだ。
『レヴィ……立派になって』
 何を見たのかは永遠に秘密である。


●作戦名:ぼっこぼこにしてやんよ!


「お城への被害は、あくまでも攻略の為に仕方ない事です、えぇ」
「もう城とか壊れたら良いと思ってました」
「……火の玉、飛んで、きた?タイミングを、見ている、だけ。宇宙が、私、に、力を貸す、タイミング、を」
 シヅル、レイン、ユウが視線を真正面に固定したまま真顔で発言。残る三名も無言で真顔。視線は目の前一点集中。決して右隣のレヴィは見ない。これはみんなのおやくそく。
 王城は見るも無残な状況だった。なにしろ二階以上の部分が全部吹っ飛ばされている。必死の全力移動でレヴィに追いついた一同が(絶対にレヴィを見ないようにしながら)全者一斉攻撃をもちかけ、完全一致の合体攻撃を成功させた結果だった。
 ちなみにレヴィの攻撃シーンの数々は、彼女達の涙ぐましい努力によって荒ぶるMOZAIKU(作戦名:なかまをたすけろ)となったことを追記しておく。
「残るは王と警護特殊虫だけでしょう。私は虫を相手どります」
 未だに現状把握していないレヴィがキリリ。そろそろ正気に戻ってくれください。
<連携した、方が、負傷も少ない、筈……後ろは、護る。心配、させたく、ない、でしょう?>
 前も違う意味で護ってる。そんなユウも一緒に行く。
 あっ前に立たれるといろいろ厳しい!
 慌てた五名、颯爽と二人に先立ちぼろぼろのドアを蹴り飛ばした。
「ヘェ、あんたらが軍・」

 どすっ

 みなまで言わせず、シヅルがヴァルキリージャベリンを全力投擲した。
「死にさらせーっ!」
 そこへすかさずチカゲが迅雷でケンカキックを叩き込む。怒涛のように全員が攻撃に走った!
\ウオオォォオ(お前のせいで俺は!!俺はぁぁ!!/
 ゴウランがヴァルキリーダイコンを投擲!
「さっさと潰れんかああぁ!!」
 レインのインパクトが炸裂!
「よくもシヅルさんの湯浴みを……!」
 ティナのブラストレイが発動!
 突き刺さり吹っ飛ぶ王にゴウランが走る!
\ウオオォオオ(フォローはする!積年の恨みを叩きつけろ!/
 発動した審判の鎖に絡め取られた王の後ろにチカゲが回り込んだ!
「無辜の民の恨み!」
 背後をとったチカゲ、そのまま抱えて跳躍、全っ力で頭から地面へ叩きつける!
「どっ…っせぇええ!!」
 王様、見事に床に上半身がめりこんだ。
\ウオオォオオ(虐げられし野菜の恨みを…って野菜じゃねー!あ、今、野菜だったな!!/
 そこへ見事な曲線美を描くゴウランの美脚蹴りが炸裂!

 ぅわぁ〜お!(最大効果音)

 どこを蹴りつけたのかは【お察しください】
「こっちは恥で死にそうなんだよっ!!死ぬ前にやる!」
 赤面涙目でレイジングアタックを放ったレイン、全力を叩きつけた後、自分にだけ返ってきた精神的ダメージでへこんでいるゴウランの肩(たぶん)をポンと叩いた。
「その調子乗った面が気に食わんのじゃあ!!!」
 チカゲが速度を活かして無双フルボッコ。
「皆さん下がって!」
 あらゆる力を身に溜めこみティナが走った。何をするかは分かってる。シヅルを抱えて全員が離脱した。
「お前達が見るくらいなら…私が見たかった!!!」

 凄まじい大爆発に残っていた二階部分が倒壊した。







『頑張ったな』
 終着を見届けルスが一同を代わる代わる抱きしめる。
「成程。虫の親、は、虫」
 国王を捕食したらしいユウがむっしゃむしゃ。その地下で正気に戻ったレヴィが三角座りしていたり。
 迎えに来たエッカルトが副官を探しつつ代わりに見つけたゴウランに目を丸くした。
「おまえ、すね根が残ってるぞ」
 ぶちぃ!と千切ると突然大根が割れて中から魔法少女が―
 否!魔法少女なオッサンが現れた!

 (゜△゜)

 をを見るがいいミニスカから覗く絶対領域の生足美脚(筋肉)を!
 見上げるエッカルトの前、龍仁は震えながら絶叫する。


「最後までこういう役かー!」






 おうこくは きょうからずっと へいわです






依頼結果

依頼成功度:大成功
MVP: 撃退士・強羅 龍仁(ja8161)
重体: −
面白かった!:22人

撃退士・
神月 熾弦(ja0358)

大学部4年134組 女 アストラルヴァンガード
Silver fairy・
ファティナ・V・アイゼンブルク(ja0454)

卒業 女 ダアト
黄金の愛娘・
宇田川 千鶴(ja1613)

卒業 女 鬼道忍軍
懐かしい未来の夢を見た・
レイン・レワール(ja5355)

大学部9年314組 男 アストラルヴァンガード
撃退士・
強羅 龍仁(ja8161)

大学部7年141組 男 アストラルヴァンガード
運命の詠み手・
羽空 ユウ(jb0015)

大学部4年167組 女 ダアト