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マスター:川崎コータロー
シナリオ形態:ショート
難易度:普通
参加人数:6人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/09/06


みんなの思い出



オープニング


 最近、春夏冬は疲れ気味のようだ。
 妹分である小鳥遊にはわかった。春夏冬本人は上手いこと隠しているつもりのようだが、付き合いが長いぶんそんな空元気など簡単に見抜けた。
 無理もないとは思う。
 小鳥遊の姉であり春夏冬の婚約者でもあったアデレイドの葬式も終えて早数週間。本国に帰って葬儀を執り行い、喪が明けたら即座に久遠ヶ原にとんぼ返り。
 悪魔である小鳥遊でもかなり体に来るスケジュールなのに、春夏冬は右目というハンデを背負っているのだ。その疲労は計り知れない。
 姉の死からそこそこ立ち直った今、十不在の状況では小鳥遊が頑張る他ない。上司を気遣うのも部下の仕事だと父からは教えてもらった。七生報国とは、身近な所からこなして成り立つと。
 閑話休題。
 最近の食事をコンビニで手早く済ませているという春夏冬。それではいけない。食事こそ肉体面そして士気に関わる重要問題。
 と言うわけで。
 自分の寮の部屋の台所よりも遥かに広く設備が整った家庭科室を借り、料理を作ることにした。
 軍人ならば野戦レーションで三色腹を満たすのもアリかもしれない。しかし見渡せば部隊の食卓を担う炊事係というのも存在しているし、つまりそういう事である。
 手料理とは、肉体面のみならず精神面すらも補強する最強の存在なのだ。
「ええっと……そろそろね」
 鳴り響くキッチンタイマーを止める。
 この度作ったのはカレーライス。奴の好物……ではなかったが、手早く栄養価の高いものを摂取できるという点に惹かれた。
 厳選した食材を入れ、煮込みも終わり、ついに完成品とのご対面。
「よし、これで大丈夫な筈よ……」
 意気揚々として鍋の蓋を開ける。
 さて、出来上がりの程は。

 目が、合った。

「……」
 問答無用で蓋を閉める。
 これは何かの間違いである。実際、アレンジとして入れたマグロの目玉と視線が合ってしまっただけなのだ。
「も、もう一度よ!」
 精神的ブラクラを踏んでしまったダメージから早々に回復し、新たな料理を作るためにも再度買い出しに行かなければ。できれば今日中には春夏冬に作った料理を届けたい。
 あの禍々しいカレーライスの事を振り切るように家庭科室を飛び出してゆく小鳥遊。
 途中、春夏冬とすれ違った。
「あれ、小鳥遊お前どこ行くんだ?」
「どこだっていいでしょ?! じっとしておきなさいよ!」
「はぁ?」
 事情を露も知らない春夏冬からすれば、非常に意味の分からない対応であった。
「……元気になったって事でいいのかね」
 彼女の姉が死んで早いことで数週間。思う所は色々あるだろうが、それでもこうして元気になってくれただけでも兄貴分としては満足である。
「……ん?」
 足元に何か落ちている。――小鳥遊の財布だ。
「あいつ、財布落としてやがる」
 あんなに急いで走るからだ――と追いかけたい所ではあるが、あいにくと自分もこれから外せない用事があり、届けることはできない。
 歩きながら溜息を吐き、とりあえず頼めそうな何人かに電話をしてみる。急ぎであるし、礼は弾む。一人ではなく複数人で謝礼が出るのは、なんとなく様々な意味で嫌な予感がしたからだ。


 久遠ヶ原に数あるスーパーの中でも意識高い系だと評判なスーパーがある。その名も聖場石井。
 普通の学生ならあまり手の出ない高級スーパーなのだが、プラチナカードを持つ小鳥遊にとっては値段など関係のない次元であった。
「よし――」
 リベンジに燃える小鳥遊は、出入り口たる自動ドアをくぐろうとする。
 しかし自動ドアのガラス一枚隔てた先では、ディアボロが待ち構えていた――


リプレイ本文


「ふむ、予感がするな何とかしなければならないという使命感的なモノが……」
 財布を渡すだけなのだが、とディザイア・シーカー(jb5989)は少しだけ首を傾げる。
「また何か問題? ……疲れそう。まぁ、手を貸せるなら貸すけれど……仕方ない」
 シーカーの肩に乗った麻生 白夜(jc1134)は溜息を吐く。
 開け放たれた自動ドアから飛び込むと、早速小鳥遊の姿が見えた。同時に、彼女もこちらに気付いたらしい。
「……! あんた達、どうしてここに」
「お届け物だぜ、ついでに仕事もな」
 シーカーは笑っていたが、小鳥遊には事態が飲み込め切れなかった。
「ぴんぽーん♪」
 背中を軽く叩かれ振り返る――と、ぷにゅり、と頬を突かれた。
「へぇ?」
 つついた指と、つついたユリア・スズノミヤ(ja9826)を交互に見て、小鳥遊は目をぱちくりとさせた。
「お財布のお届けものでーす。おっちょこちょーぃ、ふふっ☆」
 頬をつつかれたままきょとんとしている小鳥遊の目の前に、蓮城 真緋呂(jb6120)はサイフを差し出す。
「お財布忘れて買い物とか、小鳥遊さんはサ……くしゅん! ……エさん的なドジっ子だったのね」
「あの貝の?」
「ううん、何でもないの。――で」
 首を横に振った蓮城は向き直る。
「……何かこの軍服の人達はディアボロに好かれるみたいね。人的物的な被害が増える前に、さくっと倒しましょ」
 飛び掛ってきたゴブリンの棍棒をアイビーウィップで絡め取って引き寄せる。
 ここは店の中。さらなる被害を防ぐために外へ誘導するのも定番――だが、火を噴く情報もある。
 雷光を纏う片手で頭を掴み、そのまま殴る。
「押さえつけて殴ればいい――」
 感覚としては殴ってふっ飛ばしたら被害が出るので、適当に掴んでふっ飛ばさない程度に殴ったのだが――
「あ、弱い」
 その程度のようであった。
「なら、ふくろだふくろにしちめぇっ!」
 ハイヒールでげしげし蹴りながら鉄の扇でべしべしと往復ビンタを食らわせるスズノミヤ。特に強くないのだ。外までおびき出すよりここで袋叩きにした方が早い。
「こっちだ!」
 打撃の連続から何とか逃れたゴブリンは、見事にリリル・フラガラッハ(ja9127)のタウントに引き寄せられる。
「お財布を届けるだけの簡単なお仕事……とはいかないみたいだね。まぁ天魔討伐は撃退士の本業だし、やるとしようか」
 フラガラッハは深い溜息を吐きつつも、僅かな熱を背後で感じて踵でブレーキをかける。
「やらせない……!」
 炎が燻り始めた口をめがけて魔銃の弾丸を撃ち込む。槍のような弾丸は音をも越えた速度で空間を切り裂き、顎を破壊しながらゴブリンの頭を吹っ飛ばした。
「……敵は三体? 問題ない」
 上空では麻生が待ち構え、シーカーと共に一気に仕留めにかかる。
 磁場形成で一気に距離を縮めたシーカーは、店の商品を背で守るように打撃をいなす。吐かれた炎はダイヤモンドダストで凍らせ、この隙に仕上げ。
「すまんがお引取り願おう」
 雷を纏う右腕がゴブリンを捕まえ、殴り飛ばす。
「被害が出ると面倒、さっさと痺れなさい」
 ゴブリンの体が宙に浮く中、麻生が最後の一体を稲妻の刃で仕留めた。
 雷電が辺りに滞留する。青白い光が弾ける音以外は聞こえない中、これで一件落着……と行く筈がなかった。

「すごく慌ててたらしいけど……何のお買物?」
「え、ええと……」
 改めて財布を手渡した蓮城が問うと、小鳥遊は途端に言葉を濁す。麻生は首を傾げた。
「財布とスーパー……ご飯作るの?」
「そ、そう! 自炊……しようと思って」
「……誰に作るのかは聞かない、わかりやすいもの」
「う……」
 小鳥遊の勢いが完全に失速した。
「その……あんた達さ、料理作れる?」
 唐突であったが、一同はじっと耳を傾けた。
「良かったら、その……教えて、欲しい、んだけど……」
 消え入りそうな声。しかし対人関係にはあまりにも不器用すぎる彼女にとって、それは精一杯の言葉であった。
「料理を教えて欲しい? いや、まぁいいけど。また唐突な」
 負傷者の回復を終えてきたフラガラッハも、今までの話は耳にしていたようだ。藪から棒にと思った所で、財布を渡したあの依頼者の男の顔がよぎる。
(……んー、考えれば何となく理由は読める、か)
 フラガラッハが軽く推測を終えた所で、小鳥遊に暖かい視線が降り注がれた。
「何よそんなにニヤニヤして」
「料理を教えることに関しては……ま、野暮は言うまい」
 微笑ましく小鳥遊を眺めるのはシーカーだけではない、アルティミシア(jc1611)もだ。
「ふふっ、心を掴むには、胃袋から、です。恋でも、友情でも、です。作った料理を、美味しそうに、食べてくれる。幸せですよね」
「何で照れるのよ! そうじゃないって言ってるじゃない!」
 ぎゃいぎゃい必死になる小鳥遊をアルティミシアは宥める。
「大丈夫、ですよ。知識がなければ、学べば良い。経験が無ければ、作れば良い。それだけの、話ですから」
「気持ちはわかるから、手伝うのは吝かじゃない」
 快諾したのは麻生であった。
「心が籠もったお料理って、身体だけじゃなく心の栄養にもなるんだよね。春夏冬ちゃんの為に、小鳥遊ちゃんからの心のプレゼントを一緒に作りまっしょい☆」
 スズノミヤがおー! と言った所で麻生は溜息を吐いた。
「でも、高級スーパー……幾らお金があろうが一般常識は必要」
「へ?」
 溜息を吐いたのは麻生だけではない。フラガラッハもだ。
「だよね。普通の料理作るだけなのに高級スーパー行くのはどうかと思うよ? ああいう場所は普段からいくもんじゃない気が……」
「そういうものなの?」
(っていうかお金持ってるからって普段からやたらとぽんぽん使うもんじゃ……あ、世界経済を好循環させるためにはこういう人も必要なのかも。ならまぁそこまで気にしないでも……? ってそういう話じゃないか)
 恐らくはそもそもの経済観念からして違うのだろうが、少々浮世離れしすぎているような気もする。
「……お金積めば良いってものじゃないと、私言わなかった? 頭を冷やしなさい」
「へぶっ! ……ごめんなさい」
 いい笑顔で、蓮城は氷の結晶で小鳥遊の頭に一発拳骨を食らわせた。
「――まぁ、お店もこんな状態だし、別のところに行きましょうか」
 と、言うわけで後の始末は別の方面に丸投げして、スーパーを庶民向けの所へと変更する。
「そういや、何買うんだ?」
 肝心の事を聞いてなかった――とシーカーが向き直る。
「あいつの好物じゃないけど、栄養がいいからカレーにしようかな……って」
「ふむ、せっかく作るなら好物がいいだろうな」
「そうね。どうせなら春夏冬さんの好きなもの作ったら?」
 シーカーと蓮城の提案に少し驚きを見せた小鳥遊であったが、こくこくと頷いて同意。
「春夏冬の好物は?」
「肉じゃがと……味噌汁だって」
「なら話は早いな。肉じゃがや味噌汁は栄養面でも悪くない。肉じゃがは醤油ベース、味噌汁も豆腐とわかめの定番が妥当か」
 うんとシーカーは頷き、カゴを一つ小鳥遊に手渡した。
「でも、難しそうね……」
「ルー・醤油や味噌、出汁を入れ替えればほぼ同じと言うくらい、カレーと肉じゃがは似てる」
「そうなの?」
 首を傾げると、麻生は頷いて肯定した。
「では、食材の厳選から始めようか」
 そうしてシーカー達は食品売り場へと足を踏み入れる。
 高いものならば無条件に良いものという式が出来上がっているならば、徹底的に叩き込むしかない。
「ジャガイモは芽がなく張りのあるもの、肉じゃがならメークイーン系が良いだろう。ニンジンやタマネギ、牛薄切り肉なども安くていいものはいくらでもある」
「食材は家庭によるけれど、今回は選ぶのは定番とされるもの。その料理に適した食材を選ぶのも大事」
 いわゆる庶民の知恵を教えてゆくシーカーと麻生。
「……詳しいのね」
「これでもおとーさんやおかーさんのお墨付きなのよ? カレーを選んだのも良い着眼点、嫌いな人はそういない。でも、精神的な面で言えば好きな物の方が良い。家族に好物を作って貰えるのは嬉しいものよ? それに、栄養価では劣るけれど悪いわけじゃないもの」
「家族……」
 その言葉を聞いて、小鳥遊はふと考える。小鳥遊は春夏冬の事を兄貴分と考えてきた。しかし、逆はどうなのだろうか。
「……喜んで、くれるかな」
「料理は愛情、と言いますが、愛情だけでは、どうにもなりません。98%の堅実さと、1%の愛情、そして1%の味見、これに尽きます。それに、上出来、です。初心者ですもの。これだけできていれば、大丈夫。さ、次はお豆腐、です」
「ええと……豆腐?」
「少し、違いますね……」
 本人の意図はどうあれ、それは豆腐は豆腐でも杏仁豆腐だ。アルティミシアがそっとカゴから抜き出して元の場所へと戻す。
「そういえば、少し気になったんだけど……小鳥遊さんの好きなものは?」
「ビーフシチュー……かな」
 似たもの兄妹ね――と蓮城は肩を竦めた。だからこそ、こうして互いを思いやっているのかもしれない。


 戻って、家庭科室。
「それじゃあ、春夏冬ちゃんの好物、肉じゃがと味噌汁のレシピをおしえまっす☆」
 フォローはできるだけするが、最終的には小鳥遊が完成させるように、と気概を見せるスズノミヤ。その隣、気になったシーカーは隅に置かれた鍋の蓋を、それとなく開けてみる。
「……」
 何故かカレーと目が合ったのでそっと閉じ、シーカーは言い放った。
「アレンジは百年早い、レシピ見ずに同じものを作れてからだ」
 あれを二度と作り出してはならない。そんな戒めも含んでいた。口を酸っぱくして、耳にタコができさせてでも教え込む。妥協はない。
「まずはレシピ通りに作ったほうがいいよ。マニュアル大事」
 フラガッハは欧米人なのでそもそも和食は専門外だが、洋食はそれなりに作れるのだ。
「そして聞いた話によると大抵の料理下手はレシピ通りに作らすに無理なアレンジを試みて失敗するとか。だからまずレシピ通りに作れるようになって、それからアレンジに挑むようにしよう? 多分失敗の理由これだよね?」
「うぐっ……」
 大雑把な当て勘だが、当たりらしい。
「でも……時間がかかるわね。短くとかできないの?」
 白板に書かれたレシピに唇を尖らせた小鳥遊。
「この手間こそが愛情だ、惜しむことはない。基礎なくして発展はねぇ、春夏冬の好みに合わせるのはその後だ」
「まずは定番から押さえる、好みの修正はそれから。切り方は優秀、問題ない」
 うんと頷いたシーカーと麻生。野菜を洗い、皮を剥いて切ってゆく。意外にもこの辺りの手つきは滑らかだった。着々と次の工程に進んでゆく。
「ふふ、ジャガイモは、先に軽く下茹ですると、煮込む時、煮崩れしませんよ。ジャガイモとニンジンは、後から煮ます。じっくり煮込む、必要は、無いですよ? 冷ますと味が、染み込むので」
 どうやら付きっ切りで指導をすると、自己判断で突拍子もないようなものは入れないらしい。アルティミシアが見守る中、肉じゃがの材料を鍋に投入し、炒めてゆく。
「それから肉じゃがは具材をしっかり炒めてうまみを閉じ込めてねん。で、お味噌汁は面倒でもお出汁からしっかりとるとふんわり優しいお味になるよん」
 スズノミヤの言う事も聞きながら平行して進めるのは味噌汁だ。麻生が先回りで器具を用意して説明する。
「大き目の具材は先に入れる方が良い。あと炒め方や灰汁取り、煮込み時間が重要。味噌汁は昆布で出汁から作る。味噌を入れてからは煮立たせないように」
 蓮城は別の卓で作業をしながら助言を与える。
「料理は愛情と言うけど、全てがそれで美味しければ、皆三ツ星よね。土台をしっかり作った上で、最後のスパイスが愛情なのよ? 本や皆の話に忠実に、下手なアレンジは失敗の素よ、気をつけて」
「わかった……って、あんたは何やってるのよ」
「うーん、自分の料理?」
「何それ……」
 訝しむと共に、鍋に蓋をする。しばらくは煮込みの時間だ。
「煮込み終わるまで時間があるねーん。じゃあこれどうぞー☆」
 スズノミヤが冷蔵庫から取り出したのは、持参したアボカドのぬか漬けだ。
「意外に美味しいんだよ☆ はい、あーん♪」
「ちょっとぬかって得体が知らな……」
 有無も言わさずに小鳥遊の口にアボカドのぬか漬けが入れられる。
「……あ、おいしい」
 小鳥遊は思う。
 栄養がいいものだけを入れればいいという話でもなく、かといって突拍子もない組み合わせが意外な美味さを生むことがある。
 料理は奇怪だ。


 料理が完成し、春夏冬を呼ぶ頃にはすっかり暗くなっていた。
「これ、小鳥遊が作ったのか?」
「……うん」
 目の前で供された料理をぱちくりと見つめながらも、手を合わせて箸に取る春夏冬。
「ど、どう……?」
 緊張の瞬間である。
「うん、おいしい……おいしい、うん。おいしいよ、おいしい……」
 壊れた機械のようにおいしいを連呼しながらぱくぱくと食べてゆく春夏冬。
 どうやら成功のようだ。
「そ、そう……よかっ、た……」
 呆然としながら小鳥遊が準備室に入ってくる。
「あ、おかえりー☆」
 それを出迎えたのは、白昼から行動を共にしている六人だ。
「はい、お疲れ様」
 成功を見届けた蓮城が渡したのは保温ジャー。
「これは……」
「ビーフシチュー。変にアレンジなくても大丈夫でしょ?」
 買い物の途中でいなくなったのも、一人だけ別の台で何かを作っていたのも。これの為と言うのか。
「その……ありがと……」
 好物の入った保温ジャーを抱え、走り去ってゆく小鳥遊。
「――で。お前らはこんな時間までよく小鳥遊に付き合ってくれたな。ただ財布届けてくれるだけでよかったのに……」
 少し首を大きく動かした春夏冬が、準備室に視線を向けた。どうやら気付いていたらしい。一同はそろりと準備室から出る。
「愛情と技術と、レシピを駆使して、作りました。味見済みですので、ご心配なく。いかが、でしたか?」
「ああ……美味かったよ。ありがとうな。しっかしまぁ……よくあいつに料理を教えれたな。癇癪起こしたりしなかったか」
「怒っちゃ駄目。優しく根気よく、です。お料理って、そういうもの、ですよね」
 照れくさく微笑むアルティミシア。
「私、昔の春夏冬ちゃんの事は知らない。どんな事があったとか、そういうのは聞かないよ。私は、私の目の前に居る春夏冬ちゃんが好きなわけだしねん。という訳で、手作りなのでちょっと歪んでるけど、どうぞ♪ ふぉーゆー☆」
 そう言ってスズノミヤが手渡したのは紅葉饅頭。手作りなせいか、端から見ればパンダの手形のようだ。
「まったこんな懐かしいネタを……ありがとう」
 春夏冬の笑顔は穏やかであった。小鳥遊が見たかったのは、これなのかも知れない。
「また一緒に遊んでね☆」
「ああ。またな」
 涼しくなってきた宵。温かな料理の熱が残っていた。
【了】


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: あなたへの絆・蓮城 真緋呂(jb6120)
 魂の救い手・麻生 白夜(jc1134)
重体: −
面白かった!:4人

カミソリリリル・
リリル・フラガラッハ(ja9127)

卒業 女 ディバインナイト
楽しんだもん勝ち☆・
ユリア・スズノミヤ(ja9826)

卒業 女 ダアト
護黒連翼・
ディザイア・シーカー(jb5989)

卒業 男 アカシックレコーダー:タイプA
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
魂の救い手・
麻生 白夜(jc1134)

小等部5年5組 女 アーティスト
破廉恥はデストロイ!・
アルティミシア(jc1611)

中等部2年10組 女 ナイトウォーカー