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マスター:川崎コータロー
シナリオ形態:シリーズ
難易度:普通
参加人数:8人
サポート:1人
リプレイ完成日時:2015/06/07


みんなの思い出



オープニング


 青い薔薇が咲こうとしている。
 凛々しい青に清廉な香りを持った、それはそれは美しい不可能の薔薇。
 不可能だからこその幽玄の美に、彼は魅せられた。
 決して助けることのできない儚さに、彼は心焦がせた。
 もし叶うのであれば、この美しさを、永遠に。


 穏やかに吹く夜の涼しい風。天には煌く満点の星空があり、満月がある。地では丁寧に手入れがされて開く花や木の数々。品のあるオブジェクトが花達を引き立たせるように置かれ、毛足を一定に揃えられた芝生の上には回廊のように石畳が敷かれていた。
 しかしここは屋外ではなければ、夜でもない。ここは広大な地下空間を利用して作られた、魔法仕掛けの常夜の庭園だ。
 そんな庭園の中心で、紅茶を淹れる一人の青年。彼は滑らかな手つきでカップを目の前の少女に差し出した後、ふと口を開いた。
「――それで、今日も手がかりはあったのかい」
「いえ……何も……今日か明日くらいに、学園の方から……また別の方々が、調査に加わるという話ですが……」
「焦る必要はない。確かに急ぐ必要こそあるが、下手に出れば君もまた危ないからね。そうだ。新しい仲間が来るのであれば、一度最初から資料をまとめてみたり、改めて聞き込みをしてみるというのもいいかもね。存外、新しい発見があるかも知れないよ」
「はい……」
 少女――ダリア・ネイは紅茶を少しずつ飲みながら、この庭園の主である青年――エドワードをふと見た。
 自分を何かと気にかけてくれる教師・伽藍桔梗からの提案で受けることになった、ある地方都市で起こる連続婦女失踪事件の調査と解決。
 天魔の仕業と目されている以外は全て暗闇の中にあるこの事件の調査の最中に出会ったエドワードは、天界に嫌気が差して堕天した天使だという。
 堕天した後は地方都市の外れにある洋館で花をいじって悠々自適に暮らしていたものの、堕天して十数年も経つと人やもちろん同族の天使が恋しくなるらしい。偶然調査で通りかかったダリアに同族の気を感じてからというものの彼女を気に入ったようで、頻繁に午後のティータイムに誘うようになったのだ。
「しかし恐ろしい事件だね。この街、僕以外に天魔の類はいないと思っていたんだけど。流石にそれは世間知らずの能天気すぎるか」
「いえ……そんな事は……」
 エドワードの淹れる紅茶は、添えられる茶菓子は、美味しかった。有力な手がかりが掴めない日々の中で徐々に疲弊してゆくダリアの心を癒してくれる、今となってはそんな役割があった。
「どうだい。今日はいいサクランボが手に入ったからね。クラフティにしてみたんだ」
「おいしい、です……」
 自分から関わりに行く事が少々苦手なダリアにとって、何であれ気にかけてくれる人は嬉しかった。期間が限られていても頼れる人物がいるというだけで、安心ができる。
「――さぁ、もう時間だ。そろそろ行かないと、仕事の方にも影響が出るだろう。よかったらまた来なさい。何せ僕は暇人だからね。紅茶くらいはすぐに淹れられる」
「はい……ありがとう、ございます……」
 古い様式のエレベーターを降りると、古びた洋館の隣に寄り添う温室に出る。硝子天井から降り注ぐ陽光のまばゆさに目を細めながら、ゆっくりと歩を進める。
「気をつけてね。相手はまだ見えていないんだろう。用心に越した事はない……そうだ。これ、今日のクッキーの余りだ。もって帰るといい。一人じゃ食べきれないからね」
「お気遣いも、その……何とお礼を言えば、良いのか……」
「気にしなくていいんだよ。君は女の子だし、僕も久々に天使の力を使える人とお近づきになれたんだ。少しくらい世話くらい焼かせてくれ」
 エドワードは数世紀ほど生きているらしく、時々好々爺とした言動を取る。確かにエドワードがダリアに向たものは、老人が孫に向けるようなそれによく似ていた。
「それではまた……」
「はい。またおいで」
 初夏の陽光と共に、エドワードの厭世的な笑みが微かに輝いた。

 その夜、ダリア・ネイに無邪気な悪の刃が突きつけられる事になる事は――ただ一人を除いて、まだ知らない。


リプレイ本文


 翼で夜空を切り裂く二つの影。片方は悪魔が持つ闇の翼。もう片方は布で形作られた大翼。どちらも鎌鼬の如き速さで、現場に急行する。
 できるだけ早く、ネイの下へ。
 適度な距離を保っていた両者だが、闇の翼の持ち主が布の翼の持ち主につと寄った。
「ゆ〜りりん♪ 今回もよろしくねぇ」
 麗奈=Z=オルフェウスが、百目鬼 揺籠(jb8361)に腕を絡ませる。
「ゆり……って俺のこと?」
 自分を指差すと、オルフェウスはニッと不敵に笑ってうんうんと頷き、自慢の谷間をそれとなく見せ付ける。
「まぁ、別にいいですけど……」
 百目鬼はオルフェウスの見た目がタイプなので、誘惑に抗う術はなかった。振り回され気味だが、満更でもない。
「――さ、じゃあ……行きますかぃ。月の綺麗な夜は、俺らの領分ってぇ決まってましてね!」
「せやね!」
 その時、百目鬼のナイトビジョンがネイだけでなく、アスファルトに生えのさばった奇妙な雑草や、草刈機を随所に取り入れた頭部のない女形サーバントの姿を映す。
 幸いにも、ネイと女型サーバントの距離は近くない。
 今だ。
 月下、鉄下駄の歯がカチンと小気味良く鳴る。目の前には真っ赤な女型サーバント。
「あんたの相手はこっちでさ!」
 初手。
 まずはネイの保護が最優先である。鉄下駄を引っ掛けた足が黒い炎を纏い、女型サーバントを吹き飛ばす。
「真夜中に庭仕事なんざ、ご近所迷惑もいいとこですぜ?」
 草刈機に雑草。刈る物と刈られる物。妙な連携を取られても困る。
 雑草を担当する者達の為にも、引き剥がしは必要なのだ。
「ここまでは届かへんでしょ? 狙い撃ちさせてもらうわぁ♪」
 上空よりオルフェウスが弓で狙い打つ。
「素直に芝も刈ってくれるとありがたいんやけどねぇ……」
 軽く溜息を吐きながらも、矢の雨を降らせるオルフェウス。
 彼女も雑草との連携をしないかどうか深く注視しながら、雑草の行く手を阻むように矢を放つ。
 そして彼女は辺りをそれとなく見回す。
 何故ネイなのか。
 何故今なのか。
「どうにも狙いがピンポイントすぎるのよねぇ……」
 相手の真意はわからない。しかし、何かの意図があってネイを襲ったのは確かであろう。
「さてェ……救出作戦を始めましょうかァ、手早く終わらせて夜食にでもしましょうかねェ……♪」
 黒百合(ja0422)が不敵に笑う。地面に降り立とうとする時に敵の中心に発煙手榴弾を落とし、煙幕を展開。
 その直前にネイの姿を即座に捕捉した彼女は、煙幕の中で複数の敵を巻き込むように氷の夜想曲とアンタレスを打ち込む。氷と劫火の饗宴。しかし決して攻勢には持ち込まない。あくまでも目的は、ネイの救助とこれから来る離脱要員の路を開ける為なのだ。
「ネイ様が襲われた……? 事件と何か関係が? 何か犯人に辿り着く証拠でも掴めれば僥倖…とはいえ、まずはネイ様をお助けするのが最優先事項ですわ」
 リラローズ(jb3861)がその指先で弓の弦を弾く。
 雑草が彼女に反応し、向かう。雑草の群れが移動をしているという光景が既に奇怪だが、それでいい。少しずつ後退して女型サーバントと引き剥がし、各個撃破に持ち込む。
 それでも尚、囲まれたと言うのであれば――
「さあ、輪舞を踊りましょう」
 怯むことはない。
 放ったクレセントサイスが、鎌のように草を刈ってゆく。
 その様を見ながら空に上がり、体勢を立て直す。
「ネイ様……お怪我が心配ですの」
 シアン・BR・ルナルティア(jb2554)が、リャナンシーを使って空から攻撃を行う。
 その背後、一つの影が疾走する。
「ネイさんは今も一人で戦っているんだ! 早く助けに行かないと!」
 伊藤司(jb7383)は通報を聞きつけて以来、既に戦闘状態に入っているネイの事をずっと心配していた。
「スレイプニル! 頼んだぞ!」
 伊藤を背中に乗せて全力で飛翔するスレイプニルは嘶く。伊藤は仲間内における自身の火力の低さを痛感していた。よって、戦闘に参加するよりもネイの救護・援護の回ったほうが役に立てると考え、とにかくネイを守ることに全力を尽くす。
 ネイを含めた仲間達が無事に学園に帰れること、それが伊藤の願いであり目的であった。
 同時に百目鬼とオルフェウスが切り開いた場所に飛び込み、手を伸ばす。
「掴まって!」
「あの……」
「早く!」
 言いたい事、聞きたい事は山ほどあるだろう。しかし、今は身の安全が最優先だ――そんな伊藤の心中を察したのか、ネイは何も言わずに手を伸ばした。伊藤はその手を確かと取る。
「よし!」
 そのままネイの手を引いてスレイプニルの背中に乗せた後、スレイプニルが大きく翼を動かす。
 無論、それを見逃すほど低脳でもないらしい。女型サーバントが彼らに迫る。
「遅れた分、上乗せして働くわ。……燃えなさい」
 翼を持たない蓮城 真緋呂(jb6120)は現場への到着も遅くなってしまった。されど、そうなったと言って全てに於いて遅れを取る訳ではない。足の速い者達がネイを救出してくれている分、自分は存分に力を振るう。
「最近よく単独行動の人が襲われてるパターンに遭遇するわね…もう少し用心してもいいと思うんだけど――ともあれ早急に助けなくちゃ」
 狙うは空白地帯。味方を巻き込まない形で、アンタレスを雑草に向けて撃ち放つ。複数の雑草に猛然と燃え移る劫火は、女型サーバントのドレスの裾に迫る。
 女型サーバントの動きが鈍る。その隙に風を捉えたスレイプニルが全速力で場から離脱した。
 ビルの壁という壁を駆け抜けながら、御門 彰(jb7305)は呟く。
「こいつが連続婦女失踪事件の犯人で良いんだよね? この見た目なのに殺害じゃなくて失踪なんだ……」
 頭部が異形の女型サーバント。こいつが犯人ならば被害者は殺されていてもおかしくはないが……死体すら見つからず、生死が判明しないから失踪という扱いになっているのか?
「足止めとは言っても倒せるなら倒すに越したことは無いからね」
 構えた大鎌は相変わらずぶちまかしてしまった芳香剤の匂いがきついが、今はそれを気にしている場合ではない。
 意識を不意打ち・奇襲のみに集中し、ひたすら急所だけを狙う。
 今だ。
 ビルの壁から爪先を離し、放つ。
 さらに女型サーバントの視界を防ぐように靄を発生させる。頭部が草刈機そのままなのでどこで見ているのかわからないのだが、ひとまず全身を覆っておけば問題あるまい。
 容赦はない。足止めとは言っても、倒せるのであれば倒すに越したことは無いのだ。


「あの……あなた方は……」
 戦闘の音が遠くに聞こえる中、スレイプニルの背から降りたネイは伊藤に問う。
「紹介が遅れたね。僕達は今日久遠ヶ原から来て調査に加わる予定だったんだよ」
「あ……話は聞いております……」
「まさか到着したらこんな事になっているとは思わなかったけど……大きな怪我がないみたいで良かった」
 見たところ負傷は軽い掠り傷が主で、勿論大怪我は見当たらなかった。伊藤は手早く応急手当を行う。
「あの……」
「何?」
「これから……またあそこに行くのですか……?」
「うん。僕には僕のできる事を全力でやりたいんだ。例え戦闘が苦手でも、みんなの為にできる事はある筈だから」
 即答であった。心配していたネイも大きな怪我はないし、ここまで離れていたらひとまず安心だろう。
「私も……連れて行っていただけませんか……?」
「――本気かい?」
 伊藤も多くは聞かなかった。ネイはゆっくりと、だが確かと頷く。
「……よし、じゃあ乗って! くれぐれも無理はしないでよ」
「はい。……ありがとうございます」
 スレイプニルは再び二人を乗せ、飛び立つ。
 目指すはすぐそこ。激戦の場。


 雑草も駆除し終え、戦闘は明らかに後半戦へと突入していた。
 一瞬の隙を見抜いた蓮城が繰り出した月の柱が、その合図である。
「それじゃ、本格的に始めましょうか」
 相手は全身が武器のようなものだし、手数が多いという事か。
 女型が繰り出した殴りを刀の峰で受け、腕全体のバネで押し返す。
 続き再度飛行を開始した黒百合の狙撃に合わせ、蓮城が袈裟に斬る。銃撃と斬撃。一撃の威力が上がる。
「一人じゃないなら一人じゃない戦い方がある」
 つかさず御門が忍法・髪芝居で動きを止め、自由に動けないように立ち回る。更なる連携――波状攻撃だ。
 直接矢表に立たず、仲間の援護に徹する。
 されど、攻撃手段は持ち合わせる。隙はない。
「直接手を下すだけが暗殺者じゃないからね」
 瞬間、妖なるものが不敵に笑う。
 百目鬼の踵が、女型の正中線めがけて振り下ろされる。
 刀の如き鋼の一撃。脳天から地面に目掛けた垂の一直線。風切りの軽妙な音と共に、何かの鈍い音が、確かに聞こえた。
 ぎちぎち、と歪な音が聞こえる。
 女型サーバントが四肢をぎこちなく震わせながら、草刈機の部分が仄かに光を帯び始める。
 光……?
 否、これは火だ。
 猛火。
 周りの物全てを無差別に飲み込む猛火が、四肢に纏われる。
 そうして手足を振り回しながら暴れる様は、最後の悪あがきのようだった。
「危ない!」
 伊藤はネイを押し出して、攻撃の軌道から逸れさせる。
「……! お怪我は……!」
「大丈夫……これ位は掠り傷だから」
 身を挺した伊藤も上手に避けていたらしい。完全に、とは言えなかったが、背中のあたりに軽い火傷を負った程度だ。数日もすればすぐ治るだろう。
「……なら、私の炎も味わいなさい」
 燃え盛る炎が、槍となって蓮城の前に形作られる。
 一斉攻撃。畳み掛ける。
「窮鼠猫を噛む……と例えるには、少々物騒過ぎますわね」
 蓮城は燃え盛る炎の槍を作り出し、リラローズは弓に不可視の矢を番い、御門は構える大鎌への意識の誘導を試み、百目鬼が構え、オルフェウスが狙いを定め、女型サーバントを見据える。
 逃げ場はない。逃がさない。
 放つ。
 轟音、閃光――そして舞い散るは、赤い花弁。
 女サーバントの残滓と言わんばかりに舞い散る赤は、やがて夜風にかき消えてゆく。
 夜の静寂が、戻る。
 黒の空を塗り替えた狂騒の赤が、深夜の帳の下に沈んで行った。


 夜の涼しい風が吹く。
「はー、いきなり襲われててびっくりしたわぁ……」
 されど戦闘の痕が生々しく残る中、麗奈は服についた埃を払う。
「大怪我は無いですかぃ?」
「あの……」
 幸いにも、再び参加した戦闘でもこれといった大怪我を負っていない。黒百合が手に包帯を巻いてくれてはいるが、数日すれば完治するレベルだ。
「安心しなせぇ。なんたってネイさんは、もう一人じゃねぇですからね」
 手を伸ばした百目鬼がそのままネイの頭をぽふぽふと撫でる。ネイは慣れない感覚に目を細めたが、悪い気はしなかった。
「して、今日はいったい何があったんですかぃ?」
「これまでと何か違った事とかあったかしら?」
 百目鬼や蓮城の問いに、ネイは考える。これまでと違う所。ネイには覚えがなかった。精精、調査にのめり込みすぎてこんな夜遅くになってしまった位だろうか。
「女性ばかりが標的にされた失踪事件、ですか…犯人は、女性に対して強い執着を持つ者であるのは間違いないようですわね。ネイ様がサーバントに襲われたのも、事件と直接の関与があるとすれば、何か犯人に辿り着く証拠でも掴める筈ですわ」
 リラローズは考える。被害者は女性のみの失踪事件。ネイは女、さらに言えば、事件の調査を行っている、口封じにネイを襲ったと言っても過言ではないだろう。
「失踪事件、天使が絡んでいるのかな。もし調査してる人を狙ったのなら、敵もネイさんの動向を知ってた?」
「せやね、 調査してて狙われるとなると、向こうさんに感づかれてるかもしれへんし」
 蓮城とオルフェウスの言う通りであった。しかし、ネイには目処がつかなかった。
「最後に訪れた場所はどこですの?」
 ルナルティアの質問に、ネイは首を傾げつつも答える。
「すぐ近くにある交番……です。しかし、何故?」
「最後に訪れた先で眼を付けられターゲットにされた可能性もありますの。撃退士1人ならなおさら、ですの。とにかく、今度は何方かとご一緒して行動した方がよいですの。約束ですの」
「はい……」
 ネイはこくりと頷く。彼らの言う事には一理あった。今のような襲撃があった以上、誰かと行動を共にしたほうが安全と言える。
「ネイ様は、懐かしい匂いがして……善し悪しは解らずとも懐かしく……それでも、私シアンはネイ様とお友達になりたいんですの」
「友達……?」
 ルナルティアの発言に、ネイは首を傾げる。彼女にとってその発言は唐突だった。戸惑い気味に八人の顔を見る。
「あの……その」
「皆さんと友達になりてぇんですかぃ?」
 百目鬼がさらりと発した友達、という単語に逡巡するネイ。
 心の中に漂っていた曖昧な感情を、すぐさま言葉にされたような戸惑いであった。そうだ。ネイは、この八人と友達になりたいのだ。
「せやね。これから一緒に調査していくんやし。みんなと友達くらいにはならんと」
「皆さんと……」
 オルフェウスの発言に、再び一同の顔をぼんやりと見るネイ。
「皆さん、その……よろしく、お願い……します」
 しかしどうしていいかわからず、頭を下げた。
「そんなに畏まらなくていいんだよ。夜も遅いしさ、帰ろう」
「そうだね、また襲われでもしたらたまったものではないからね」
 伊藤や御門の言う通りであった。しかし、では友達とは一体?
 『知り合い』は多いが『友達』はいないネイにとって、その存在は不思議なものであった。
 夜の薄明かりの下、歩いてゆく八人の伸びてゆく微かな影。
 その先端に、一枚の花弁が舞い落ちる。
 花弁は地面に落ちると、先に散った赤達の後を追うように掻き消えて行った。
 真っ赤なアネモネの花弁。
 花言葉は「君を愛す」。
 そして、「嫉妬の為の無実の犠牲」。
 砂糖漬けの死は、すぐそこで微笑を湛えている。
 されど今はまだ、硝子の瓶の、奥の底。

【続く】


依頼結果

依頼成功度:成功
MVP: あなたへの絆・蓮城 真緋呂(jb6120)
 闇を解き放つ者・伊藤司(jb7383)
 鳥目百瞳の妖・百目鬼 揺籠(jb8361)
重体: −
面白かった!:5人

赫華Noir・
黒百合(ja0422)

高等部3年21組 女 鬼道忍軍
青薔薇で眠る・
シアン・BR・ルナルティア(jb2554)

大学部1年237組 女 アーティスト
砂糖漬けの死と不可能の青・
リラローズ(jb3861)

高等部2年7組 女 ナイトウォーカー
あなたへの絆・
蓮城 真緋呂(jb6120)

卒業 女 アカシックレコーダー:タイプA
撃退士・
御門 彰(jb7305)

大学部3年322組 男 鬼道忍軍
闇を解き放つ者・
伊藤司(jb7383)

大学部3年93組 男 鬼道忍軍
鳥目百瞳の妖・
百目鬼 揺籠(jb8361)

卒業 男 阿修羅
甘く、甘く、愛と共に・
麗奈=Z=オルフェウス(jc1389)

卒業 女 ダアト